村山慈明

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 村山慈明 八段
名前 村山慈明
生年月日 (1984-05-09) 1984年5月9日(39歳)
プロ入り年月日 2003年10月1日(19歳)
棋士番号 249
出身地 東京都日野市
所属 日本将棋連盟
(関東[-2019年3月]
→関西[2019年4月-])
師匠 桜井昇九段
段位 八段
棋士DB 村山慈明
戦績
一般棋戦優勝回数 2回
2023年6月21日現在
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村山 慈明(むらやま やすあき、1984年5月9日 - )は、将棋棋士桜井昇九段門下。棋士番号は249。東京都日野市出身。

棋歴[編集]

1995年、日野市立日野第三小学校5年時に小学生将棋名人戦で優勝し、奨励会に入る。

2001年後期から参加した三段リーグを2年・4期で抜け、2003年秋にプロデビュー。それから間もなく頭角を現す。2004年度、第23回朝日オープン将棋選手権で予選を勝ち抜き本戦出場。さらに、同年度に行われた第53期(2005年度)王座戦の予選では、松尾歩橋本崇載阿久津主税島朗らを相手に6連勝して本戦出場にあと一歩と迫るが、予選決勝(二次予選決勝)で先崎学に敗れる。

第19期(2006年度)竜王戦6組で準優勝し、5組へ昇級。

2007年度、第38期新人王戦棋戦初優勝。さらには第66期順位戦C級2組(在位4期目)で、1敗の後の9連勝で1位となり、C級1組に昇級。この年度は全棋士中で1位の勝率(36勝10敗、0.783)も挙げ、将棋大賞で勝率1位賞と新人賞を同時受賞。

第23期(2010年度)竜王戦で4組優勝し、初めて決勝トーナメントに進出(初戦敗退)。

2011年度、第52期王位戦でリーグ入り。佐藤康光三浦弘行に勝つなど第4回戦まで無敗で単独トップに立ったが、最終の第5回戦で羽生善治(1敗)に負けて並ばれる。プレーオフでも羽生に敗れ挑戦者決定戦進出を逃したものの、陥落しやすいリーグとして知られる王位リーグでの残留は果たした。翌第53期は2勝3敗で陥落。翌第54期は予選からの再出発となったものの、そこを再び勝ち抜き3年連続でリーグ入りを果たした(リーグでは最終局で佐々木慎に1勝を挙げたのみで陥落)。

第71期順位戦C級1組(在位5期目)で、8回戦(金井恒太戦)以外をすべて勝利し、稲葉陽に次ぐ2位でB級2組に昇級。続く第72期順位戦B級2組でも佐藤天彦に次いで2位となり、B級1組に昇級、規定により七段に昇段した。

2015年には将棋電王戦FINALの第4局でponanzaと対局。自ら立候補しての参加であったが[1]相横歩取りの末に分の悪い変化に持ち込まれて敗れた[2]

2015年度のNHK杯テレビ将棋トーナメントでは、1回戦で初出場の八代弥、2回戦で菅井竜也を下し、3回戦で前年度優勝の森内俊之を相手に勝利。準々決勝で豊島将之、準決勝で広瀬章人と、ともに自身より若くタイトル挑戦経験がある二人を倒し、決勝で初出場の千田翔太を下し、初優勝を達成した。一方、第74期順位戦B級1組は3勝9敗で12位に終わり、B級2組へ降級となった。

2017年2月11日、2016年度の第10回朝日杯本戦トーナメントで決勝進出。八代弥との対局は、終盤にもつれ形勢不明の展開になったが、敗れて準優勝[3]

第30期(2017年度)竜王戦で3組優勝し、7年ぶりに決勝トーナメントに進出。佐藤康光(2組2位)を破ったが、羽生善治(1組2位)に敗れた。

2018年度、第59期王位戦で5年ぶりとなるリーグ入りを果たし、3勝2敗と健闘するも陥落。

棋風[編集]

居飛車党。序盤戦の深い研究で知られ、同じ名字の村山聖が存命で新鋭の頃に「終盤は村山に聞け」と呼ばれたことにあやかり、「序盤は村山に聞け」(あるいは「終盤は聖に聞け、序盤は慈明に聞け」とも)と呼ばれる[1]。電王戦での二つ名も漢字違いの「序盤は村山に訊け」であった。

人物[編集]

棋界では渡辺明戸辺誠と共に『酷評三羽烏』と言われ、歯に衣着せぬ物言いで知られる。ちなみに、村山は雛鳥らしい。

仲間内では名前を音読みした“じめい”の愛称で呼ばれている[1]。ニコ生中継で「聞き手・じめこ女流7級」と名乗ったこともある[4]

2014年、30歳のときに結婚[5]。多くの棋士が披露宴に出席した。[6]

2016年度には『NHK将棋講座』で「知って得する序盤術」と題して、講師を半年間にわたり担当した[7]

2019年度より、目標とする順位戦A級昇級とタイトル挑戦の達成のために、活気ある環境を求めて関東から関西に移籍した。これに伴い、羽生善治木村一基松尾歩と行っていた「羽生研」(後任は青嶋未来)、藤井猛行方尚史佐藤天彦との研究会(2018年度末解散)など10件の練習将棋・研究会を全て終えた[5][8]

昇段履歴[編集]

昇段規定は、将棋の段級 を参照。

主な成績[編集]

棋戦優勝[編集]

優勝合計2回
竜王戦組別優勝
  • 第23期(2010年)4組優勝
  • 第30期(2017年)3組優勝

在籍クラス[編集]

順位戦・竜王戦の在籍クラスの年別一覧
開始
年度
(出典)順位戦 (出典)竜王戦
名人 A級 B級 C級 0 竜王 1組 2組 3組 4組 5組 6組
1組 2組 1組 2組
2003 62 昇段前 17 6組
2004 63 C244 18 6組
2005 64 C229 19 5組
2006 65 C206 20 5組
2007 66 C207 21 5組
2008 67 C123 22 4組
2009 68 C107 23 4組
2010 69 C119 24 3組
2011 70 C103 25 4組
2012 71 C109 26 4組
2013 72 B222 27 4組
2014 73 B113 28 4組
2015 74 B108 29 3組
2016 75 B201 30 3組
2017 76 B209 31 2組
2018 77 B204 32 2組
2019 78 B204 33 3組
2020 79 B206 34 4組
2021 80 B208 35 4組
2022 81 B205 36 4組
2023 82 B204 37 4組
順位戦、竜王戦の 枠表記 は挑戦者。右欄の数字は勝-敗(番勝負/プレーオフ以外)。
順位戦の右数字はクラス内順位 ( x当期降級点 / *累積降級点 / +降級点消去 )
順位戦の「F編」はフリークラス編入 /「F宣」は宣言によるフリークラス転出。
竜王戦の 太字 はランキング戦優勝、竜王戦の 組(添字) は棋士以外の枠での出場。

将棋大賞[編集]

  • 第35回(2007年)勝率1位賞、新人賞
  • 第41回(2013年)勝率1位賞

著書[編集]

単著[編集]

共著[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c 杉本吏 (2015年4月1日). “将棋電王戦FINAL 第4局――「次元の違う強さ」「もはや怪物」 Ponanza VS. 村山慈明七段の見どころは”. ねとらぼ (ITmedia). https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1504/01/news051.html 2015年6月18日閲覧。 
  2. ^ 鈴岡圭 (2015年4月11日). “定跡とは何か「将棋電王戦FINAL」第4局 - 村山七段の研究不発、ponanzaが示した可能性”. マイナビニュース. https://news.mynavi.jp/article/20150411-denoufinal/ 2015年6月18日閲覧。 
  3. ^ 朝日新聞DIGITAL・ニュース「八代弥五段、歴代最年少で優勝 朝日杯将棋オープン戦」(村瀬信也 2017年2月11日17時59分)ほか
  4. ^ 第74期(2015年度)A級順位戦最終回ニコニコ生中継(2016.2.27)
  5. ^ a b 村山慈明七段、来月関西へ移籍「40歳までの5年がラストチャンス」”. スポーツ報知 (2019年3月11日). 2020年7月15日閲覧。
  6. ^ 佐藤天彦七段が結婚式で見た棋士たちの意外な特技 | NHKテキストビュー”. NHKテキストビュー | 生活に役立つNHKテキストの情報サイト. 2020年7月15日閲覧。
  7. ^ NHK出版「2016年度将棋講座テキスト」4月号ほか
  8. ^ 大川慎太郎 (2019年9月1日). “杉本昌隆八段と行方尚史八段のベテラン対決”. NHKテキストビュー. 2021年3月28日閲覧。
  9. ^ 村山慈明五段が六段に昇段”. 日本将棋連盟 (2012年5月18日). 2015年6月18日閲覧。
  10. ^ 村山慈明六段が七段に昇段”. 日本将棋連盟 (2014年3月14日). 2015年6月18日閲覧。
  11. ^ 村山慈明七段が八段に昇段”. 日本将棋連盟 (2023年6月22日). 2023年6月22日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]