佐藤天彦

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 佐藤天彦 名人
名前 佐藤天彦
生年月日 (1988-01-16) 1988年1月16日(29歳)
プロ入り年月日 2006年10月1日(18歳)
棋士番号 263
出身地 福岡県福岡市
師匠 中田功
在位中タイトル 名人
段位 九段
戦績
タイトル獲得合計 2期
一般棋戦優勝回数 3回
2017年6月6日現在

佐藤 天彦(さとう あまひこ、1988年1月16日 - )は、将棋棋士中田功七段門下。棋士番号は263。福岡県福岡市出身。第74期・第75期名人

棋歴[編集]

1998年 、小学5年時に小学生将棋名人戦西大会で糸谷哲郎に敗れ、ベスト16。その年の9月に6級で関西奨励会入り。小学生時代のライバルは八尾直輝。

奨励会時代[編集]

2001年に初段、2002年からプロ入りに一歩手前の三段リーグに参加。三段リーグ時代に2つのことで話題となった。

その1つ目は、2004年に通算2度目の次点(3位)となり、フリークラスの棋士としてプロ入りできる権利を得た[注釈 1]にもかかわらず、この権利を放棄したことである。その後、2006年度前期リーグで14勝4敗で戸辺誠に次ぐ2位の成績を収め、見事、フリークラスではなく順位戦に参加できる棋士として、同年秋にプロデビュー(四段昇段)した。

2つ目は、61年振りのプロ編入試験として世間の注目を集めた瀬川晶司のプロ編入試験の第1局(2005年7月18日)の相手(試験官)を務めたことである。日本将棋連盟によると佐藤が試験官に選ばれた理由は、(瀬川がかつて奨励会を年齢制限で退会したにもかかわらず、再度プロ入りに挑戦しているのに対し)佐藤が上記のごとくフリークラスの権利を放棄したことから、「瀬川とは全く相反する勝負師観・人生観を持つ者として、奨励会員達の気持ちへの配慮をする上で相応しい」とされたことである[1]。なお、この一局は公開対局として行われた。戦形は横歩取り8五飛となり、結果は91手で先手番の佐藤が勝った。

プロデビュー後[編集]

デビュー戦(2006年12月11日)は女流棋士千葉涼子との対局であったが勝利。以後、2007年3月5日まで負けなしのデビュー9連勝を飾った。その中で、瀬川晶司との因縁の対決で勝ち、3人の元タイトルホルダー(加藤一二三塚田泰明中村修)を負かしている。3月16日、第20期竜王戦6組3回戦で同年代のライバル・広瀬章人にプロ入り初黒星を喫し連勝が途絶えたが、9連勝の中には広瀬との初戦があったので、いわばリベンジをされた格好となった。なお、第20期竜王戦6組の敗者復活戦(3位昇級者決定トーナメント)では、またしても瀬川との対決があり、こちらでは瀬川に敗れている。

2008年9月25日、第39回新人王戦決勝三番勝負で奨励会三段の星野良生に連勝し、棋戦初優勝。星野による史上初の奨励会三段優勝を阻む。同年、第21期竜王戦6組の3位決定戦で同年代のライバル・高崎一生に敗れたが、5組欠員補充のための追加の昇級決定戦(5位決定戦、対・小林宏戦)が組まれ、この一番に勝利して、竜王戦参加2期目にして5組への昇級を決める。この年度は、将棋大賞の新人賞を受賞した。

2009年4月30日、第22期竜王戦5組準決勝で安用寺孝功に勝ち、4組への昇級を決めるとともに五段に昇段(連続2回昇級による)。この対局は、プロ入りから通算100局目であった(68勝32敗)。なお、5組決勝では新進気鋭の豊島将之に敗れ、本戦トーナメント出場を逃す。

2010年は第81期棋聖戦において一次予選・二次予選を6連勝で抜け、決勝トーナメントに進出。1回戦で谷川浩司に勝ち、2回戦で郷田真隆に敗れる。第23期竜王戦4組では10月28日の3位決定戦で日浦市郎に勝ち、3期連続昇級で3組へ昇級。第69期順位戦C級2組では10戦全勝の成績を収めてC級1組に昇級。また9月から翌2011年2月にかけて公式戦で17連勝を達成し、さらに年度通算成績が35勝9敗(勝率.795)となり、将棋大賞の連勝賞と勝率1位賞を受賞。

2011年4月21日、第24期竜王戦3組準決勝で富岡英作に勝ち、4期連続昇級で2組への昇級を決めるとともに六段に昇段(2組昇級・連続2回昇級による[注釈 2])。その1週間後(2011年4月28日)、第82期棋聖戦本戦決勝(挑戦者決定戦)で深浦康市と戦うが敗れ、タイトル初挑戦を逃す。なお、本戦決勝に勝ち進む中で、二次予選で森内俊之木村一基らに勝ち、本戦では渡辺明・郷田真隆らに勝っている。第24期竜王戦3組では決勝でも勝ち、初の組別優勝と本戦進出を果たす(本戦初戦で2組2位の山崎隆之に敗れる)。10月、第42回新人王戦決勝三番勝負で豊島将之を下し、2度目の優勝。

2012年2月7日、第70期順位戦C級1組で8勝1敗となり、最終局を残して、B級2組への昇級を決める(最終成績は8勝2敗の1位)。

2014年1月23日、第72期順位戦B級2組で9勝0敗となり、最終局を残して、B級1組への昇級を決める(最終成績は10戦全勝)。

2015年1月8日、第73期順位戦B級1組で9勝2敗となり、抜け番を含む2戦を残して、A級への昇級と八段昇段を決めた。8勝2敗の暫定1位で迎えた同局は、7勝2敗で暫定2位の屋敷伸之との直接対決。この対局に勝ち、結果3敗となった2人(屋敷伸之と木村一基)が直接対決を残していたため、昇級となった(最終成績は10勝2敗の1位)。同年7月21日、第63期王座戦挑戦者決定戦で豊島将之七段に勝利し、羽生善治王座(名人・王位・棋聖)への挑戦が決定[2]。初のタイトル挑戦となったが、2勝3敗で敗れた[3]。同年12月、第41期棋王戦で敗者復活戦を勝ち抜き挑戦者決定戦二番勝負に進出。佐藤康光九段に2連勝して渡辺明棋王(竜王)への挑戦を決めたが、1勝3敗で敗れた。

2016年2月27日、第74期順位戦A級で行方尚史八段に勝ち、8勝1敗でA級1期目で名人位挑戦を決める。同年4月1日、第43回将棋大賞受賞者が発表され、敢闘賞、最多対局賞(59局)、最多勝利賞(41勝)、連勝賞(15連勝)の各賞を受賞した。また、同年3月21日に行われた棋王戦第4局(対渡辺明棋王戦)が、第10回名局賞に選出された。

2016年5月31日の名人戦第5局で羽生善治名人に勝ち、4勝1敗で史上四番目の若さで自身初のタイトルとなる名人位を獲得。また名人奪取により、同日九段昇段。名人位奪取による九段昇段は谷川浩司・佐藤康光・丸山忠久・森内俊之に次ぐ5人目で、14年ぶり(黒星先行からの4連勝奪取は1952年名人戦七番勝負で対局した、大山康晴木村義雄戦以来、64年ぶりのスコアである)。また、1997年度の谷川浩司以来、約20年ぶりの羽生世代でない名人である。

九段の肩書で出場している第2期叡王戦で決勝進出。千田翔太五段との決勝三番勝負は、2連勝で優勝。今期で最後となる第2期電王戦では、ponanzaとの2番勝負が開始、第1局、第2局共にponanzaが勝ち、叡王の0勝2敗で幕を閉じた。

2017年度に入り、 稲葉陽八段を挑戦者に迎えての第75期名人戦がはじまった。七番勝負は6月6日の第6局を112手で佐藤が制し、4勝2敗で名人位を初防衛[4]

棋風[編集]

  • 居飛車党。2014年頃からは、先手番では角換わり、後手番では横歩取りを主力戦法とし、特に後手番の横歩取りでは非常に高い勝率を誇っている。終盤での粘り強い受けの手を得意とし、トップ棋士を相手に何度も逆転勝ちを収めている。
  • 第75期名人戦七番勝負第二局(2017年4月20-21日)では、最後まで居玉で戦い、稲葉陽に72手で勝利している。
  • 対局中は、相手の離席時に体を前や横に倒したり、脇息に体を投げ出すなど独特の仕草を見せる事がある[5]

人物[編集]

  • 佐藤および糸谷哲郎広瀬章人高崎一生戸辺誠らは1987年前後に生まれ、1998年奨励会に入会した同世代の棋士達であるが、彼らは総じて勝率がよい。奨励会時代に「平成のチャイルドブランド」としてとりあげられたこともある。
  • プライベートでは、渡辺明と親交がある。佐藤は中学生の頃から、当時高校生だった渡辺明と友人関係にある[6]。元々は将棋倶楽部24でのネット対局と感想戦(チャット)で知り合ったという[7]。2015年春には渡辺・広瀬と一緒に欧州旅行に行く予定だったが、棋聖戦で挑戦者決定戦に進出したためにスケジュールがバッティングし旅行に行けなくなってしまった[8]
  • クラシック音楽、特にモーツァルトベートーヴェンといった古典派音楽を好む[9]
  • ファッションへのこだわりにも定評があり、ブランドではアン・ドゥムルメステールを特に気に入っている。2015年現在、同ブランドの服を100着以上持っていて「収納に困る」ほどになっているという[8]。2016年には第34回毎日ファッション大賞話題賞を受賞した[10]
  • 棋士仲間の間でのあだ名は「貴族」。名付け親は佐藤慎一で、本人も「嫌ではない、客観的に見て楽しんでいる」という。NHK将棋講座テキストで連載していたエッセイも、あだ名にちなみ「『貴族』天彦がゆく」という題名になった[8]

昇段履歴[編集]

昇段規定は、将棋の段級 を参照。

主な成績[編集]

獲得タイトル[編集]

  • 名人 2期(2016年度 = 第74期 - 2017年度)
登場回数4回 獲得2期

棋戦優勝[編集]

優勝合計 3回

在籍クラス[編集]

竜王戦と順位戦のクラスは、将棋棋士の在籍クラス を参照。

将棋大賞[編集]

  • 第36回(2008年度) 新人賞
  • 第38回(2010年度) 勝率1位賞・連勝賞
  • 第43回(2015年度) 敢闘賞・最多勝利賞・最多対局賞・連勝賞・名局賞(第41期棋王戦第4局・対渡辺明棋王)
  • 第44回(2016年度) 最優秀棋士賞

記録[編集]

  • 竜王戦5連続昇級6組→1組(史上4人目)

著書[編集]

単著[編集]

監修[編集]

テレビ出演[編集]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 次点2度の規定でフリークラス入りの権利を得たのは伊奈祐介に次いで6年ぶり2人目である(伊奈はフリークラス入りの権利を行使した)。
  2. ^ 1回の勝利でたまたま2つの竜王戦昇段規定を同時に達成したが、このようなケースは飛び昇段の対象とならない。

出典[編集]

  1. ^ 瀬川晶司氏のプロ入りについて(日本将棋連盟)2010年2月19日閲覧
  2. ^ 「佐藤八段が挑戦者に 将棋王座戦」日本経済新聞2015年7月22日
  3. ^ 羽生王座が防衛に成功 将棋王座戦、4年連続23期目 - 朝日新聞デジタル・2015年10月26日
  4. ^ 名人戦棋譜速報「第75期名人戦七番勝負第6局は112手で佐藤名人が制しました。第4局からの3連勝で4勝2敗。名人位初防衛です」(2017.6.6 20:25)
  5. ^ 第74期名人戦・ニコニコ生放送・棋譜速報・中継ブログなど
  6. ^ 「NHK将棋講座」2014年3月号
  7. ^ 将棋の渡辺くん』第1巻・p.124
  8. ^ a b c 【ノーカット版】第63期王座戦挑戦者 佐藤天彦八段インタビュー「自信と期待の五番勝負」 - マイナビ将棋・2015年9月10日
  9. ^ 佐藤天彦七段、偉大な先輩の将棋に感じた「芸術」 - NHKテキストView・2013年8月26日
  10. ^ 2016年(第34回)受賞者 - 毎日ファッション大賞

関連項目[編集]

外部リンク[編集]