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東急グループ

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東急 > 東急グループ
東急グループ
Tokyu Group
東急本社の東急南平台町ビル
創業者 五島慶太
創立 1922年
国籍 日本の旗 日本
中核企業 東急株式会社
会員数 232社5法人(2020年3月末現在)
従業員数 24,655名(2021年3月31日現在)
中核施設 東急南平台町ビル
中心的人物
  • 野本弘文(東急代表取締役会長)
  • 髙橋和夫(東急代表取締役副会長)
  • 堀江正博(東急代表取締役社長兼執行役員)
主要業務 鉄軌道事業、不動産事業など
外部リンク https://tokyugroup.jp/
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東急グループ(とうきゅうグループ、: Tokyu Group)は、東急株式会社を中核とする日本の企業グループ。 鉄道を中心とした交通事業を基盤とした「街づくり」を事業の根幹に置き、鉄軌道事業、不動産、生活サービス、ホテル・リゾート事業などを展開している[1]

東急電鉄最大のターミナル駅である渋谷駅が所在する東京都渋谷区に本社を置く企業が多く、渋谷地区は東急グループの本拠地である。 2020年3月末現在、232社5法人で構成[2]大手私鉄グループの中では、連結売上高は近鉄グループホールディングスに次ぐ2位、連結総資産は阪急阪神ホールディングスに次ぐ2位である[3]。コーポレートスローガンは「美しい時代へ―東急グループ」。

概要

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五島慶太が最初に手掛けた目黒蒲田電鉄を源流とし、戦後の財閥解体を受けるまでは東急コンツェルンを形成していた[4]公職追放の解除後は五島慶太は経営者として復帰し、さらなるグループ拡大を指揮した[4]

創業家である堤家一族が確立した旧西武グループや、根津家一族が経営に深く関わっている東武鉄道など、同じ電鉄系のほかの企業集団とは異なり同族経営とはしておらず、東急グループの五島家一族(五島慶太五島昇など)は創業家ではなく、資本的な(株式)支配も希薄で純粋な『経営者』に徹した。

このことから、世襲の弊害を意識して実力主義を貫き、多角化が順調に進んだ。安定的な収益を生む鉄道を中核に、交通・不動産・リテール・レジャー・サービス・リゾート/ホテル等の各分野が一丸となっているのが強みである。また、東急の祖業は田園都市株式会社というデベロッパーであり、伝統的に不動産に強く東急不動産は東急グループの重要な稼ぎ手であるが、東急の連結子会社ではなく、持分法適用関連会社である。

グループ規模に対して、トップシェアとなる分野がないことから、「御公家集団」と評されることもある。これは、グループ総帥・五島昇の「全国展開、あるいはナショナルブランド化は安易に進めてはならない。まず、偉大なローカルブランドとなることが出発点だ」という方針によるとされている。

五島昇亡き後

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1989年に五島昇を失った影響は大きかった。五島亡き後、横田二郎を中心とする集団指導体制に移行したが、グループ各社のトップも年齢的に退く時期になり、やや求心力を欠いた経営をやっているように思われた。

だが、「東急グループ」の厳格なマネジメントは存在しておらず、拡大や成長とともに各社の自由な裁量で、グループ加盟会社毎に事業拡大・肥大化した。グループ各社で事業部門が重複し無秩序に増えていった結果、最大で500社を数えるまでに膨張。バブル崩壊後の縮小経済下では、そのスケールの巨大さはデメリットに転じ、1999年(平成11年)3月末の有利子負債はグループ全体で3兆円以上を抱えるなど業績不振に陥った。さらに、グローバル基準である連結決算重視の流れや減損会計の導入などを受けて、グループ大再編に踏み切った。

1990年代後半以降

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1998年、東急グループ代表・清水仁の下[5]、主要加盟社に対し「自立なき者は共創の輪に加わる事ができない」旨[6] を通告したのを皮切りに、リストラを大胆に加速。磐石である『電鉄』に依存するのみで、「シナジー価値を創出していない」と判断された数百社をグループから離脱・独立させた。

そして、無秩序な全国拡張路線を改め、原則的に東急沿線や都市部に経営資源を集中させ、「東急の価値を共に高める総合力」が東急グループであると定義した。

重要なコア事業を担う子会社等は、本体、すなわち今の東急株(「東急株」とは旧東京急行電鉄を改称した東急株式会社の略称。なお「東急」との略称は東急電鉄を指す)にとってのポートフォリオ企業として監視を強める体制にした。加盟社数は大きく減少したが、業績は逆に好転し回復傾向にある。

主なグループ会社・法人

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中核

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交通事業関連

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流通事業関連

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東急百貨店本店(2023年1月31日をもって閉店)

ホテル・リゾート事業関連

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  • 東急系
    • 東急ホテルズ&リゾーツ - 下記2社が2023年4月1日に合併して発足。[8]
      • 東急ホテルズ - ザ・キャピトルホテル東急、東急ホテル、エクセルホテル東急、東急REIホテル、東急イン、東急リゾート、ホテル東急ビズフォート、パン パシフィック 横浜ベイホテル東急
      • 東急シェアリング - タイムシェア型会員制リゾートホテル「東急バケーションズ」の運営
    • 東急リネン・サプライ - クリーニング、ユニフォームのレンタルなど
  • 東急不動産系
  • 伊豆急ホールディングス系
    • 伊豆観光ホテル - ホテル伊豆急
    • ルネッサ - ホテル・コテージの経営および経営受託、スポーツ施設の運営、料理飲食店の運営、研修セミナーなどの企画および運営
  • 上田交通系
    • 上田ステイ - アパートメントホテル

総合不動産・不動産事業関連

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建設事業関連

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渋谷セルリアンタワー
  • 東急建設 [4] - 総合建設業
    • 東建産業 - 土木建築用資機材の製造加工、販売、整備および土木建築工事の設計・施工請負
    • 東急リニューアル - 建物の増改築、改修に関する受託調査、企画、設計、監理、施工、家具の販売並びに施工
    • チョウカンチャン・トウキュウ コンストラクション
    • トウキュウ・コンストラクション・インドネシア
  • 世紀東急工業 - 道路建設、スポーツレジャー施設、環境開発・整備事業
    • 新世紀工業
    • エス・ティ・サービス
    • エスティ建材
    • 水戸プロパティー
    • 中外エンジニアリング
    • やまびこ工業
    • みちのく工業
  • 石勝エクステリア - 環境技術、緑地管理、造園
    • 石勝グリーンメンテナンス
  • 東急グリーンシステム - ゴルフ場・造園・土木の企画・設計・監理・施工
  • 東急設計コンサルタント - 企画開発、建築設計、土木設計およびコンサルタント
  • 東急ジオックス - 建設用資材販売
  • 伊豆急ハウジング - 建築、土木、造園、リフォーム

製造・整備事業関連

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レジャー事業関連

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  • 東急レクリエーション - 映画館109シネマズシネマコンプレックス)、映画配給、ボウリング場、フィットネスクラブ「AXIA」、フットボールコミュニティー、ランキンランキン等を運営
    • 広島東急レクリエーション
    • 熊本東急レクリエーション
  • 東急レジャー - 加山雄三ミュージアム等の運営
  • 堂ヶ島マリン - 遊覧船
  • 東急スポーツシステム(東急出資) - フィットネスクラブ「アトリオあざみ野、アトリオドゥーエ碑文谷・二子玉川・武蔵小山・たまプラーザ・青葉台」、田園テニス倶楽部、東急あざみ野テニスガーデン、東急あざみ野ゴルフガーデン、スイング碑文谷、東急スイミングスクールアディダスフットサルパーク渋谷・池袋・川崎・あざみ野・たまプラーザ・横浜金沢、J-フロンテッジフットボールスクール等を運営

サービス事業関連

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文化・教育事業関連

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サポート部門関連

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廃止された主な事業など

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東京高速鉄道開業時に用いられた100形電車(地下鉄博物館に保存のカットボディ)
かつて東急バスが運行していた夜行高速バス「ミルキーウェイ」
函館バス市内・近郊路線車両
函館駅前バスターミナル。東急バスからの移籍)
日本エアシステムボーイング777-200型機
新千歳空港、2002年3月)
箱根ターンパイク御所ノ入り駐車場から撮影

以下に、かつて(過去)のグループ会社、過去に資本関係があった企業、および事業を列挙する。

運輸業

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製造業

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  • 東急車輛製造大阪製造所(旧帝国車両工業) - 2003年(平成15年)8月に撤退、跡地には2008年(平成20年)3月にアリオ鳳7&i系、イトーヨーカ堂セブン&アイ・クリエイトリンクによる共同運営)開業。
  • 東急観光 [4] - 東急航空を合併[4]。2004年(平成16年)3月に離脱、2006年(平成18年)1月にトップツアーへ社名変更。2013年(平成25年)8月に東武鉄道が子会社化[10] し、2015年(平成27年)4月に東武トラベルと合併して、東武トップツアーズとなる。
  • 東急くろがね工業 - 日本内燃機として設立[4]1970年(昭和45年)、日産自動車ほかに売却、東急グループを離脱。現:日産工機
  • ゴールドパック - 食品清涼飲料水の製造・販売。2011年2月より丸紅傘下となる。
  • シロキ工業(旧社名:白木金属工業) - 自動車部品の製造・販売。2011年4月より筆頭株主がトヨタ自動車となる。2016年4月にアイシンの完全子会社化。
    • 九州シロキ - 自動車部品の製造・販売
    • シロキ・ブローゼ - 自動車部品の開発・製造販売
    • シロキ精機 - 金型類・工作機械等の製造・販売
    • シロキ商事 - 鋼材・合成樹脂材・工作機械の販売
    • シロキ ノースアメリカ - 自動車部品の製造・販売
    • シロキ GA LLC - 自動車部品の製造・販売
    • 広州白木汽車零部件有限公司 - 自動車部品の製造・販売
    • シロキタイランド - 自動車部品の製造・販売
    • シロキ GT LLC - 自動車部品の製造・販売
    • サンサークル - 鉄道車輌シートの製造・販売
  • シロキクリエイトサービス - 人材派遣、警備
  • シロキU.S.A. - 人材派遣
  • 東急車輛製造 [4] - 近年の需要減少と競争の激化により抜本的な対策が必要になったとして、2012年4月1日付で以下の3事業に会社分割を行い、同年4月2日にそれぞれ東日本旅客鉄道(JR東日本)と新明和工業に株式譲渡された。2014年に横浜金沢プロパティーズに社名変更、2016年に東京急行電鉄に吸収合併[11]
    • 鉄道車両事業 - JR東日本に株式譲渡され、総合車両製作所へ社名を変更。
    • 立体駐車装置事業 - 新明和工業に株式譲渡され、東京エンジニアリングシステムズへ社名を変更。2018年4月1日、新明和パークテックへ再度社名を変更。
    • 特装自動車事業 - 新明和工業に株式譲渡され、東邦車両サービスへ社名を変更。
  • 東急パーキングシステムズ - 2012年4月2日、新明和工業に株式譲渡され東急グループを離脱。同日に東京パーキングシステムズへ社名を変更。2014年4月1日、東京エンジニアリングシステムズに吸収合併され消滅。
  • 東急車輛特装 - 2012年4月2日、新明和工業に株式譲渡され東急グループを離脱。同日に東邦車両へ社名を変更。
  • 東急車輛サービス - 2012年4月2日、新明和工業に株式譲渡され東急グループを離脱。同日に東邦車両サービスへ社名を変更。
  • 東急車輛エンジニアリング - 2012年4月2日、総合車両製作所の子会社となり東急グループを離脱。同日にJ-TREC デザインサービスに社名を変更。
  • 京浜鋼板工業 - 2012年4月2日、総合車両製作所の関連会社となり東急グループを離脱。2013年3月に解散。
  • 日東タイヤ(旧) [4] - 旧昭和ゴム(当時社名:昭和護謨、現:昭和HD)よりタイヤ事業を含む一部事業を分離、当時の東急により設立。のちに1961年10月に株式上場(東証2部)を果たすも、業績不振が続き、当時の三菱化成工業(現:三菱ケミカル)に株式譲渡され、東急グループを離脱。その後はタイヤ以外の事業(建材・景観材・車両部品・産資他)に経営資源を集中。祖業のタイヤ事業は提携先の東洋ゴム(旧菱東タイヤを合弁で設立→同社へ吸収合併)に事業譲渡、販売・営業部門を「ニットータイヤ(新)」へ移管。

建設業

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  • 東急工建(1985年に東急プレハブより商号変更) - 東急建設の子会社としてプレキャストコンクリート工法専業では大成プレハブに次ぐ第二位であり、住宅・都市整備公団やデベロッパー物件を多く建築したが、受注低迷、一時発行した外債等の有利子負債増加により、東急グループ方針の関係上2000年(平成12年)に清算・解散。
  • 東急設備(旧:東急環境プラント) - 受注低迷により、2000年(平成12年)に清算・解散。

小売業

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  • 札幌東急ストア - 現:東光ストア [4]。2009年(平成21年)10月末に離脱。
    アークスグループが、同社の全株式を東急および関係会社(東急ストア)から取得して子会社化。
  • 東急フーズ
    • ベーカリー事業部 - 1994年平成6年)に分社化され、株式会社サンジェルマンとなり、2002年(平成14年)より日本たばこ産業 (JT) 傘下。
    • レストラン事業部 - 分社化され、株式会社レストラン・モンテローザとなり、2003年(平成15年)より現:シダックスレストランマネジメント。
    • ミート事業部 - 現:セントラルフーズ。※現在はセントラルフーズのみ東急系。
  • トヨタカローラ東急(旧:神奈川トヨタディーゼル→横浜トヨタディーゼル) - 1972年、トヨタカローラ横浜に吸収合併
  • 東急コンビニエンスシステム - コンビニエンスストアam/pmをフランチャイズ運営していたが、am/pmがファミリーマートに吸収合併され、ブランド統一されたのに合わせて、ティーアール・フーズに吸収された。
  • 東急ステーションリテールサービス(旧社名:東弘商事) - 東急各線の駅構内売店「toks」などを運営していたが、2022年(令和4年)3月に東急ストアに吸収合併。
  • 東急ハンズ - 都市型ホームセンター(東急ハンズ、ハンズ・ビー)、専門店(アウトパーツ)、アウトレットショップ(ボックスアウトレット)の運営および地方都市の既存商業施設等の中に期間限定で出店(トラックマーケット)。2022年3月31日にカインズに売却し東急グループを離脱[12]。同年10月1日に社名、10月26日に店舗ブランド名を「ハンズ」に変更。
  • 東京トヨタディーゼル - 1980年解散

情報サービス

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観光・レジャー

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その他

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  • 国民銀行(旧社名:国民相互銀行)[4] - 1974年(昭和49年)に離脱、国際興業グループ入り。その後1998年(平成10年)に経営破綻、八千代銀行に営業譲渡。
    買収当時、東急グループのOB会社に該当する国際興業は交通のほか地銀・建設・ホテル等、多角展開を推し進めていた。

テレビ番組

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提供番組

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2025年現在

過去

脚注

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注釈

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  1. ^ 当時の実際の表記は株式会社ビーエムジージャパンとして登記。詳細はBMG JAPAN#BMG JAPAN(BMGファンハウス)または、商号#商号登記を参照のこと。

出典

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  1. ^ 東急グループについて”. 東急不動産. 2020年7月25日閲覧。
  2. ^ 東急グループとは”. 東急株式会社公式サイト. 2024年2月7日閲覧。
  3. ^ 大手民鉄の素顔 2024
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z 坂口筑母『財閥の全貌 : 人脈からみた』経営経済社、1969年、313-320頁。doi:10.11501/12012058 
  5. ^ 日経産業新聞1995/05/01
  6. ^ 経営戦略の策定と推進
  7. ^ 商号変更および鉄軌道事業の分社化に関するお知らせ|東急株式会社
  8. ^ 東急株式会社のホテル・リゾート事業子会社を再編し、「東急ホテルズ&リゾーツ」が新たに始動します~ブランドラインナップを拡充してお客さまの多様なニーズにお応えし、新たな成長を目指します~”. 東急株式会社. 2023年3月3日閲覧。
  9. ^ 相鉄ホールディングス:会社の沿革 - 相鉄グループ
  10. ^ 株式会社ティラミスホールディングス(トップツアー株式会社の持株会社)の株式取得(子会社化)に関するお知らせ (PDF, 2013年7月31日 東武鉄道)
  11. ^ 子会社の吸収合併(簡易合併・略式合併)に関するお知らせ
  12. ^ カインズ、東急ハンズの買収完了 店名・社名はしばらく「東急ハンズ」のまま”. ITmedia ビジネスオンライン (2022年3月31日). 2022年3月31日閲覧。
  13. ^ 実績紹介,株式会社 東映建工
  14. ^ 会社概要、東急レクリエーション
  15. ^ 会社案内PDF,東映株式会社,16頁
  16. ^ BS松竹東急が2022年3月26日に開局、チャンネル番号やロゴを発表”. ステージナタリー (2022年1月6日). 2022年1月6日閲覧。
  17. ^ ルネサンス、東急スポーツオアシスを完全子会社化”. 日本経済新聞 (2023年8月10日). 2023年8月12日閲覧。
  18. ^ 社名変更に関するお知らせ”. 株式会社東急スポーツオアシス (2024年3月1日). 2024年4月1日閲覧。
  19. ^ 甦れ!夢のマイホーム「~中古住宅の新たな活用法~」 - テレビ東京 2007年7月10日
  20. ^ 『バケモノの子』x 渋谷ロケMAP - MOVIE WALKER PRESS
  21. ^ 【お知らせ】東急グループ提供番組 フジテレビ「環境クライシス」

関連項目

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外部リンク

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