白玲戦
白玲戦 | |
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棋戦の分類 | 女流タイトル戦 |
正式名称 | ヒューリック杯白玲戦 |
開催概要 | |
開催時期 | 9月 - 11月 |
初回開催 | 2021年度 |
持ち時間 | 4時間 |
番勝負 | 七番勝負 |
優勝賞金 | 1,500万円 |
主催 | ヒューリック・日本将棋連盟 |
公式サイト | ヒューリック杯白玲戦・女流順位戦 |
記録 | |
現白玲 | 西山朋佳(第1期) |
女流順位戦 | |
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棋戦の分類 | 白玲戦の予選 |
開催概要 | |
開催時期 | 11月 - 翌年8月 |
初回開催 | 2020年度(第1期) |
持ち時間 | 2時間 |
主催 | ヒューリック他 |
記録 |
ヒューリック杯白玲戦(ヒューリックはいはくれいせん)は、ヒューリックと日本将棋連盟が主催する将棋の棋戦(女流タイトル戦)[1]。七番勝負の勝者は白玲のタイトル称号を得る。白玲のタイトル保持者は序列1位となり、優勝賞金は女流棋戦の過去最高となる1,500万円。また、女流棋戦では初めての七番勝負である。
本項目では、白玲戦の挑戦者決定のために実施される女流順位戦(じょりゅうじゅんいせん)についても述べる。
2020年11月13日に第1期女流順位戦が開幕し、第1期白玲戦七番勝負は2021年9月~10月に実施[2]。
概要[編集]
優勝賞金は1,500万円で、竜王戦七番勝負敗者賞金1,650万円に匹敵する額であり、女流棋戦では序列2位の清麗戦(700万円)の2倍以上となる。タイトル名の由来は「『令』和の『王』者が真っ『白』なページに時代を刻む」[3]。本棋戦の創設に伴い、ヒューリックがこれまで主催してきた清麗戦は大成建設の主催となる。会見でヒューリックの西浦三郎会長は「本当の意味の実力が出てくるのではないかと、順位戦という形をとらさせていただいた。女流棋士にはもっと強くなってほしい」と述べた[4]。
本棋戦の成績による「白玲獲得で女流三段」「A級昇級で女流二段」「B級昇級で女流初段」「C級昇級で女流1級」の独自の昇段規定が設けられた[5]。また、本棋戦の創設により、女流棋戦も(男性)棋戦と同じ8タイトルとなった。
2020年のリコー杯女流王座戦で初めて導入された「リコーAI自動記録システム(リコー棋録)」を白玲戦においても導入することが発表された[6]。2021年1月29日の対局から使用される。
2020年12月より2021年11月までの12回、BSフジにて本棋戦の第1期を扱ったドキュメンタリー『白玲〜初代女流棋士 No.1 決定戦〜』が放送された[7][8]。2022年5月より第2期の放送が行われている。
方式[編集]
予選は女流順位戦という独立した名称となり、白玲のタイトル保持者を頂点として上からA級、B級、C級、D級に階級を分けて年度ごとに昇降級する制度を採用し、「名人戦・順位戦」の制度を女流棋戦において踏襲した形式となる[2]。参加資格は女流棋士及び女流タイトル保持者。
第1期[編集]
予選[編集]
- 順位決定リーグ戦:64名の女流棋士[注釈 1]が8名1組とするAからHまでの8組に分かれての総当たりリーグ戦。持ち時間は2時間(チェスクロック方式)。同成績で並んだ場合、該当する者の直接対決の成績で順位を決定する。直接対決で差がつかない場合はトーナメント形式でプレーオフを行う[10]。
- 順位決定トーナメント戦:AからHまでの各組同順位者による順位決定戦。
七番勝負[編集]
各組1位による順位決定トーナメント戦の決勝(1位・2位決定戦)に進出した2名による七番勝負。持ち時間は4時間(チェスクロック方式)。第2期以降はタイトルホルダー(白玲)と女流順位戦・A級で優勝した女流棋士による対戦となる。
第2期以降[編集]
第2期では、第1期の順位決定リーグ戦の各組1位が1位から8位(白玲とA級1位から7位)まで、各組2位が9位から16位(A級8位から10位とB級1位から5位)までというように決め、初代白玲を除く上位からA級B級が各10人、C級が20人、残りの全員がD級に分かれる。A・B級が9回戦総当たり、C・D級が事前抽選によって対局相手を決定する8回戦となり、順位戦と同様に昇降級が行われる。A級優勝者が白玲への挑戦者となる[5]。第3期以降は前期成績による昇降級を反映したクラス分けとなる。
クラス | 定員 | 白玲戦・順位戦の
対局数 |
持ち時間 | 昇級など | 降級・降級点 |
---|---|---|---|---|---|
白玲 | 1人 | 挑戦者と七番勝負 | 4時間 | 挑戦者に4勝で白玲位防衛 | 挑戦者に4敗で白玲位失冠→次期 A級(1位) |
A級 | 10人 | 総当たり 9戦(原則)
+プレーオフ |
3時間 | 【白玲挑戦者(優勝者)】
白玲に4勝で白玲位獲得 |
【降級者】
成績が下位の2名→次期 B級 |
B級 | 10人 | 総当たり
9戦(原則) |
【昇級者】
成績が上位の2名→次期 A級 |
【降級者】
成績が下位の3名→次期 C級 | |
C級 | 20人 | 同クラス内での
8戦 |
2時間 | 【昇級者】
成績が上位の3名 全勝者は4名以上でも全員昇級 →次期 B級 |
【降級者】
成績が下位の4名→次期 D級 |
D級 | 不定 | 【昇級者】
成績が上位の4名 全勝者は5名以上でも全員昇級 →次期 C級 |
【降級点】
成績が下位の5名 |
- 持ち時間は全てチェスクロック方式。
- 女流2級でプロ入りした女流棋士の女流順位戦参加初年度は、D級での参加となる(第2期以降)。
- C級以下で全勝者が昇級枠以上発生した場合は、次期上位クラスの降級人数を増やして人数調整を行う。途中休場による不戦敗を含めて降級(降級点)に相当する成績となった場合や、前期を休場し張出となったまま再度休場した場合も降級(降級点)の対象となる[10]。
- 女流順位戦D級降級点に関する規定
- D級降級点は参加人数4.5人につき1人の割合で成績下位に付与される。
- D級降級点3つの付与で、女流順位戦D級から降級となり女流順位戦への参加権を失う。
- 1つ目のD級降級点は、D級在籍中は消去されない。
- 2つ目のD級降級点は、D級で勝ち越し(5勝以上)の条件を満たせば消去される。
- 棋士の順位戦での降級点規定と異なり、D級降級点は2期連続指し分け(4勝4敗)では消去されない。
- C級に昇級、またはD級から降級した場合、降級点は全てリセットされる。再度D級に在籍する場合、1年目は降級点0となる。
- 女流順位戦D級から降級・陥落した女流棋士は、次の条件を満たせば女流順位戦D級に復帰できる。復帰までの期限は設けられていない。
- 女流順位戦D級成績下位者に与えられる降級点は、女流棋士の引退制度における「降級点」とは異なる制度である。
歴代七番勝負・女流順位戦A級[編集]
白玲戦七番勝負 | 順位決定リーグ戦 | |||||||||||||||
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期 | 年度 | 決勝勝者 | 勝敗 | 決勝敗者 | A組1位 | B組1位 | C組1位 | D組1位 | E組1位 | F組1位 | G組1位 | H組1位 | ||||
1 | 2021 | 西山朋佳 | ○○○○ | 渡部愛 | 伊藤沙恵 | 加藤圭 | 加藤桃子 | ◎西山朋佳 | ◎渡部愛 | 石本さくら | 里見香奈 | 中井広恵 | ||||
白玲戦七番勝負 | 順位戦A級リーグ | 順位戦B級リーグ | ||||||||||||||
期 | 年度 | 白玲 | 勝敗 | 挑戦者 | 白玲 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 | A級リーグ昇級者 |
2 | 2022 | 西山朋佳 | 西山朋佳 | 渡部愛 | 里見香奈 | 加藤圭 | 伊藤沙恵 | 石本さくら | 加藤桃子 | 中井広恵 | 鈴木環那 | 甲斐智美 | 山根ことみ | 中村真梨花、上田初美 |
期 | 合計 | 白玲 | A級 | B級 | C級 | D級 |
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1 | 64 | |||||
2 | 68 | 1 | 10 | 10 | 20 | 27 |
記録[編集]
獲得 | 出場 | 挑戦 | A級在籍(白玲在位含む) | |
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最多 | 西山朋佳 1期 | 西山朋佳・渡部愛 1期 | 西山朋佳・渡部愛 1期 | 西山朋佳他 1期 |
連続 | 西山朋佳 1連覇 | 西山朋佳 1連続 | 西山朋佳・渡部愛 1連続 | 西山朋佳他 1期 |
最年少 | 第1期 西山朋佳 26歳 | 第1期 西山朋佳 26歳 | 第2期 石本さくら 22歳 | |
最年長 | 第1期 西山朋佳 26歳 | 第1期 渡部愛 28歳 | 第2期 中井広恵 52歳 |
通算成績[編集]
棋士 | 白玲在位 1期 |
七番勝負出場 1期 |
A級在籍 1期 | |||
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通算 | 連続 | 通算 | 連続 | 通算 | 連続 | |
西山朋佳 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 |
渡部愛 | 0 | 0 | 1 | 1 | 1 | 1 |
里見香奈 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
加藤圭 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
伊藤沙恵 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
石本さくら | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
加藤桃子 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
中井広恵 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
鈴木環那 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
甲斐智美 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
山根ことみ | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
- ^ “ヒューリック会長「一番強い女流棋士決めたい」”. 産経ニュース (2021年11月5日). 2021年11月5日閲覧。
- ^ a b “女流新棋戦創設と主催者交代について|将棋ニュース|日本将棋連盟” (日本語). www.shogi.or.jp. 2020年10月6日閲覧。
- ^ “八つ目の新女流棋戦「白玲戦」 11月に開幕、優勝賞金は過去最高1500万円” (jp). Mainichi Daily News. (2020年10月6日) 2020年10月6日閲覧。
- ^ INC, SANKEI DIGITAL (2020年10月6日). “将棋で8つ目の女流タイトル戦創設 ヒューリック杯白玲戦女流順位戦” (日本語). 産経ニュース. 2020年10月6日閲覧。
- ^ a b INC, SANKEI DIGITAL (2020年10月6日). “将棋で8つ目の女流タイトル戦創設 ヒューリック杯白玲戦女流順位戦” (日本語). 産経ニュース. 2020年10月6日閲覧。
- ^ “「リコー将棋AI棋譜記録システム」をヒューリック杯 白玲戦・女流順位戦に導入|将棋ニュース|日本将棋連盟” (日本語). www.shogi.or.jp. 2021年2月1日閲覧。
- ^ BSフジ新番組「白玲~初代女流棋士 No.1 決定戦~」が12月20日14時より放送開始日本将棋連盟公式サイト 2020年12月14日
- ^ “白玲 ~初代女流棋士No.1決定戦~|BSフジ”. www.bsfuji.tv. 2021年6月6日閲覧。
- ^ マンスリー将棋 ヒューリック会長「一番強い女流棋士決めたい」 - 産経新聞(2021年11月5日)
- ^ a b c 将棋世界2020年12月号。
関連項目[編集]
- 棋聖戦 (将棋) - ヒューリック特別協賛の将棋のタイトル戦
外部リンク[編集]
- ヒューリック杯白玲戦・女流順位戦 - 日本将棋連盟