ABEMA 将棋チャンネル

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ABEMA 将棋チャンネル(アベマ しょうぎチャンネル)は、株式会社AbemaTVの運営するインターネットテレビ局「ABEMA」におけるチャンネルの1つ。その名の通り将棋を専門に扱う。

概要[編集]

将棋の公式戦インターネット中継はニコニコ生放送2011年開始[1])、将棋プレミアム2015年開始[2]、有料)が行っていたが、これらに続き2017年2月1日に開設された。全体プロデュースは塚本泰隆(麻雀チャンネル兼務)[3]。元々はAbemaTVの藤田晋社長と雀鬼会で親交のあった将棋棋士鈴木大介が、藤田に将棋チャンネルの開設を提案してきたのがきっかけでスタートした経緯がある[4]。また番組内容の面では、同じく将棋棋士の遠山雄亮が、チャンネルの立ち上げ段階からプロデューサーとして関与している[5]

タイトル戦では、他局が独占配信権を持つ王将戦[注 1] を除く7棋戦(竜王戦名人戦叡王戦[注 2]王位戦王座戦棋王戦棋聖戦)の番勝負を生中継する。ただし、2023年の第72期王将戦七番勝負をきっかけにABEMAでも囲碁・将棋チャンネルの映像を利用して王将戦のペイ・パー・ビュー配信を行うようになった。またそれ以外に順位戦等の中継も行われており、特に朝日杯将棋オープン戦については第12回(2018年度)より本チャンネルの独占配信となる[6][注 3]

さらにオリジナル番組として、プロ棋士による非公式戦・非公式大会も開催されている。一方で将棋講座的な内容の番組は、開局当初こそ囲碁・将棋チャンネルの番組が複数配信されていたが2018年現在は『AbemaTV初級講座』が配信されるのみとなっており、事実上対局中継に特化したチャンネルとなっている。生中継を行うのが基本だが、過去の対局中継の再配信も行う(長時間対局で尺が足りない場合は編集が入る)。

なお対局中継を行う場合は、通常は早指しの場合を除いて、それぞれ複数の解説棋士と聞き手の女流棋士を起用し、基本的には朝番と夜番で分けるタイムパートで務めてもらう体制としている。一方で2018年10月からは、解説・聞き手を一切置かず対局場の映像・音声を垂れ流し状態とした「将棋情報LIVE」もスタートしたほか、2019年からは同番組を16倍速でリプレイする「将棋16倍速振り返り」も配信されている。

2019年7月、コンピュータ囲碁ソフト「GLOBIS-AQZ」とプロの囲碁棋士仲邑菫芝野虎丸)が対決する「プロ棋士vs囲碁AI 2番勝負」を配信することになり、将棋以外に囲碁も扱うようになった[7]

2019年12月より、NHKで放送された「NHK杯争奪将棋トーナメント」→「NHK杯テレビ将棋トーナメント」を1986年度の第36回から2018年度の第68回まで(但し、一部の回を除く)、Abemaビデオにて配信を開始している。

2020年1月、対局の形勢を判断するAIシステム「SHOGI AI powered by AbemaTV」を導入を発表し、16日配信分より実装[8]

藤井聡太四段 炎の七番勝負〜New Generation Story〜[編集]

概要[編集]

2016年10月1日付で、14歳2か月での最年少四段昇段=プロ入りを果たした藤井聡太四段と、一線で活躍する先輩棋士7名との非公式戦。2017年3月から4月にかけて、オリジナル番組第1弾として配信され、全七局。

第一局から第四局までは、タイトル挑戦や昇級・新人王獲得など、若手の中でも実績の高い4棋士と対戦。第五局から第七局までは、羽生三冠を含む、順位戦A級在位のトップ棋士3名と対戦した。

持ち時間は第六局までは1時間、持ち時間がなくなったら一手30秒未満。第七局のみ持ち時間2時間、切れ1分。いずれも対局時計使用で、本企画はアナログ式時計(秒読みはストップウォッチ)を使用した。

配信日時・結果[編集]

藤井はA級3棋士すべてに勝利するなど快進撃をみせ、6勝1敗の快挙を達成した。第七局の対戦相手であり、藤井と同じく中学生棋士としてプロ入りした羽生は、AbemaTVの取材に対し、「デビュー当時の自分と比べても藤井の将棋は完成度が高く、今後の成長に大いに期待できる」とコメントした。

配信日時 手番 勝敗 対戦相手(段位・実績は対戦時のもの)
氏名・段位 年齢 タイトル 2016年度 主な活躍
1 2017年3月12日 先手 増田康宏四段 19 新人王・C級2組5位(頭ハネ)
2 2017年3月19日 先手 永瀬拓矢六段 24 挑戦1 棋聖挑戦・C級1組昇級
3 2017年3月26日 先手 斎藤慎太郎六段 23 年度勝率1位・新人賞・B級2組昇級
4 2017年4月2日 先手 中村太地六段 28 挑戦2 B級2組昇級
5 2017年4月9日 後手 深浦康市九段 45 獲得3・登場8 A級在位
6 2017年4月16日 先手 佐藤康光九段 47 永世棋聖・獲得13・登場37 A級在位・将棋連盟会長
7 2017年4月23日 先手 羽生善治三冠 46 永世六冠・獲得97・登場128 最優秀棋士賞 王位王座棋聖 防衛 (名人陥落)

※勝敗は、藤井からみた結果

若手VSトップ棋士 魂の七番勝負[編集]

概要[編集]

2017年9月から11月にかけて配信された、オリジナル番組第2弾。全七局。

23歳以下の注目若手棋士7人による「若手チーム」が、永世名人資格者を含むタイトル戦経験者7人による「トップ棋士チーム」に挑む、チーム対抗戦七番勝負企画である。「トップ棋士チーム」はいずれも40代で、いわゆる「羽生世代」とよばれている棋士であり、全員がタイトル獲得か全棋士参加棋戦の優勝経験を持っている。

対戦相手は「若手チーム」がプロ歴が浅い順に、「トップ棋士チーム」の中から自ら対局したい棋士を指名し挑む形式がとられた。

持ち時間2時間、切れ1分、アナログ式対局時計使用。

結果[編集]

「若手チーム」が6勝1敗

配信日時 若手チーム 結果 トップ棋士チーム
実績 氏名・段位 年齢 手番 勝敗 手番 年齢 氏名・段位 実績
1 2017年9月30日 勝率7割・フリークラス脱出最短記録 佐々木大地四段 22 45 屋敷伸之九段 タイトル3期(最年少挑戦・獲得記録保持)
2 2017年10月7日 '16棋王戦挑決 佐々木勇気六段 22 46 藤井猛九段 タイトル3期(登場7回)
3 2017年10月14日 最年少プロ・29連勝 藤井聡太四段 15 43 行方尚史八段 タイトル登場2回・棋戦優勝2回
4 2017年10月21日 '16勝率1位・竜王戦ベスト8 青嶋未来五段 22 46 郷田真隆九段 タイトル6期(登場18回)
5 2017年10月28日 '16朝日杯優勝 八代弥六段 23 46 森内俊之九段 タイトル12期(登場25回)・永世名人資格保持
6 2017年11月4日 '16新人王 増田康宏四段 19 43 三浦弘行九段 タイトル1期(登場5回)
7 2017年11月11日 '16王将リーグ入り 近藤誠也五段 20 44 木村一基九段 タイトル登場6回・棋戦優勝2回

※勝敗は、若手チームからみた結果

新春女流企画!花の三番勝負[編集]

2018年正月に配信された[9]。ある共通点を持つ女流棋士同士による対局となっている。持ち時間は各1時間(チェスクロック使用)、切れたら1手60秒未満。正月番組ということで、対局者はいずれも着物を着用して対局に臨んだ。

配信日時 副題 先手 結果 後手
氏名・段位 氏名・段位
1 2018年1月1日 実力・人気 No.1 は譲れない!同い年ガチ対決 香川愛生女流三段 室谷由紀女流二段
2 2018年1月2日 将棋界サラブレッド二世対決 飯野愛女流1級 塚田恵梨花女流1級
3 2018年1月3日 将棋界みんなの妹対決 里見咲紀女流初段 中村桃子女流初段

※勝敗は先手から見た結果

ABEMAトーナメント[編集]

羽生善治発案の「AbemaTVルール」にて実施される、将棋チャンネルのオリジナル大会。

楽屋で一局[編集]

本チャンネルの対局中継で解説・聞き手を務めた棋士が、中継終了後の楽屋でお遊びの将棋を指しているという設定の番組。ルールは原則として持ち時間一手10秒で、棋士・女流棋士が2人一組となり交互に手を指すペア将棋の形をとる。対局中継が早くに終了した場合のフィラー扱いで配信される他、Abemaビデオでも無料配信されている。2017年より不定期更新。

将棋宇宙戦争[編集]

将棋を知らない視聴者に対局の面白さを伝えるため、“宇宙を舞台に、名だたる棋士がロボットで対局する”という設定で繰り広げる3Dアニメーション×実写作品。第2回AbemaTVトーナメントを題材に、戦術を必殺技として表すなどeスポーツの表現を組み込んでいる[10]。ナレーションは宮村優子[11]。2019年6月14日開始。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ CS放送囲碁・将棋チャンネルが協賛しているため、同チャンネルでの独占放送、及び同社の「将棋プレミアム」による独占配信が行われている。
  2. ^ ドワンゴ主催のため、第4期まではニコニコ生放送が独占配信していたが、第5期はAbemaTVでも配信されていたが、ドワンゴの撤退により、第6期より本チャンネルでの独占配信となる。
  3. ^ 実際には本戦は朝日新聞デジタルでも配信されたため、完全な独占配信ではない。

出典[編集]

  1. ^ 「公式将棋」の検索結果”. ニコニコ生放送. 2018年12月15日閲覧。
  2. ^ いよいよ本OPEN★同時にキャンペーンを実施予定!”. 囲碁・将棋チャンネルホームページ (2015年9月30日). 2018年12月15日閲覧。
  3. ^ Yamazaki, Haruna. “AbemaTVはニコニコとどう差別化するか? 将棋チャンネルから見るそれぞれの戦略”. BuzzFeed. 2019年1月31日閲覧。
  4. ^ 羽生善治三冠とサイバーエージェント藤田社長、二人の考える将棋のいいところとは? 日本将棋連盟 2017年8月4日
  5. ^ 2月1日にAbemaTV将棋チャンネルが開設! 将棋棋士 遠山雄亮のファニースペース 2017年1月20日
  6. ^ 「AbemaTV」将棋チャンネルにて『第12回朝日杯将棋オープン戦』を独占生中継! 日本将棋連盟 2018年6月28日
  7. ^ 成長過程の囲碁AIに10歳の天才少女、19歳の天才棋士が挑戦 「天才10代たちからの挑戦状 プロ棋士vs囲碁AI 2番勝負!!」決定 - AbemaTIMES・2019年7月3日
  8. ^ AbemaTV、将棋チャンネルに「形勢を判断するAI」導入 対局の勝率・最善手をリアルタイムに分析”. ITmedia NEWS. 2020年1月15日閲覧。
  9. ^ 「AbemaTV」将棋チャンネルオリジナル番組 2018年新春女流企画 『花の三番勝負 白黒はっきりつけましょう』 2018年1月1日(月)より3日間連続で放送決定! - 日本将棋連盟・2017年12月18日
  10. ^ あんた、バカァ!? AbemaTVが将棋×ロボットアニメ「将棋宇宙戦争」配信へ ナレーションに声優・宮村優子”. AbemaTIMES. 2019年6月16日閲覧。
  11. ^ 「エヴァ」アスカ役・宮村優子、バッカじゃないの!? 棋士がロボットで対局する“将棋宇宙戦争”でナレーション担当”. アニメ!アニメ!. 2019年6月16日閲覧。

外部リンク[編集]