飯島流引き角

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飯島流引き角(いいじまりゅうひきかく、英:Iijima Bishop Pullback もしくは Iijima's Back Bishop)は、将棋の戦法のひとつ。居飛車振り飛車相手に対して使用する戦法である。それは指し手によって先手と後手の両方で活用できる。

歩突き△3四歩(先手なら▲7六歩)で角道を開かず、代わりに角を引いて(後手でプレイする場合は3一に、先手でプレイする場合は7九に)陣を出て相手の利きをつくることができるようにするのが特徴 。歩を突くことによって開かれた中央(5筋)地点に移動させて[1]角行が元の位置からいなくなることで、王将を左美濃囲いに入れることが可能となる。

この戦法を開発し2010年に升田幸三賞を受賞した棋士飯島栄治にちなんで名付けられた。

概要[編集]

飯島流引き角戦法の狙いは、対振り飛車において角道を開けずに駒組みを進める。角道を開けないまま左美濃に囲うことで、振り飛車側の角のにらみを軽減できる。主に藤井システム対策であるといえる。『トップ棋士頭脳勝負』[2]久保利明は振り飛車に対する角道を開けない持久戦は藤井システムも玉頭銀も避けている上で持久戦を確定させており、攻め筋がなく振り飛車は苦戦するとしている。

現在では飯島栄治が作り出した振り飛車対策として広く知られるが、この指し方自体は飯島の創案ではない。2001年の順位戦A級で三浦弘行藤井猛相手に類似の引き角の将棋を指している。

飯島流の特徴は先手でも引き角にすることにある。それまで対振り飛車の引き角は後手番でしか現れていなかった。

先手引き角の初出が2003年2月6日の順位戦C級2組、▲飯島栄治五段対△中村亮介四段戦である(段位は当時)。図から△5四歩▲5八金右△5二飛▲2五歩△3三角▲4六角△2二銀▲6八玉△5五歩▲同歩△同角▲7九玉△3三銀▲6八角△2二飛▲8八玉と進んでいる。この将棋は先手が敗れたが、飯島は改良を重ね、升田賞を受賞するに至った。

飛車先を早くに伸ばさないで駒組を進めるのもポイントである。先手番引き角については『トップ棋士頭脳勝負』では、▲2五歩△3三角と飛車先を早めに決め、▲4八銀で△4ニ飛と四間飛車に振ったと仮定した局面を例題にしている。ところが先手の4八銀のあと、後手が飛車を振らずに△8四歩と居飛車にすれば、渡辺明はこの局面は後手が良く、したがって「この局面はありえない」としている。△8四歩以下は、▲7六歩△2ニ銀▲3三角成△同銀▲8八銀もしくは▲7六歩△8五歩▲7八金であり、先手の指し手は不自然で、これは後手番限定の戦法であるとしている。渡辺はまた、▲7六歩△8四歩▲5六歩の引き角戦法は危険であるとしているが、組みきってしまえば優秀であるともみている。森内俊之も、どこかで△8四歩と突いて、居飛車の含みをもたせたいとし、そして▲5七角~8八玉型にできれば先手はなんの不満もない、後手△5四歩~4五歩なら、▲3六歩~3七桂で対応できるとしている。谷川浩司も▲2六歩からのスタートになるので、相手が居飛車で来ないという前提で指しているが、居飛車で来られたら明らかに損であり、先手が早くに振り飛車の態度を決めている時だけは、やる意味があるとしている。広瀬章人も △8四歩とする相手にはこの作戦はできないとしていると同時に角道を開けない左美濃は久保同様堅いとみており、自分も飛車先を突くとしている。

vs中飛車[編集]

ここでの例は、先手が指す中飛車のポジションに対して後手が指する飯島流引き角である。

後手は最初に居飛車を明示し、先手は中飛車のポジションを示唆する。

先手は飛車を中央に振って、中飛車にする明確な意図を示す。

この時点から、後手は左銀をまっすぐ上に動かして、角を引き戻すスペースを作ることで、飯島流引き角の構築を開始。つまり先手に5筋の位を取らせずに、後手は角道を開けず△3二銀から3一角とする。こうして引き角を明示する

先手は玉を右方向に移動し始めている間に、後手は角を1筋に利かせる。これにより、8六地点のフォーカルポイントで8筋を角と歩の総交換が可能になる。以下後手は△5三角と上がってから△4二玉から3一玉と囲う。△3四歩を突かないことにより、平べったい美濃囲いの堅陣を作ることができるのが戦術である。主導権を渡さず戦うことができる。

なお先手で指す時は、▲2六歩△3四歩に▲4八銀と指すため、△8四歩と居飛車にされた時の用意も必要となる。

最後の図では、対局者が(a)王を城に移動し終え、(b)攻撃する銀をさらに攻撃参加させ、(c)中央の歩を交換した状態。

vs四間飛車[編集]

持駒 –
Shogi zhor 22.png
91 81 71 61 51 41 31 21 11
92 82 72 62 52 42 32 22 12
93 83 73 63 53 43 33 23 13
94 84 74 64 54 44 34 24 14
95 85 75 65 55 45 35 25 15
96 86 76 66 56 46 36 26 16
97 87 77 67 57 47 37 27 17
98 88 78 68 58 48 38 28 18
99 89 79 69 59 49 39 29 19
Shogi zver 22.png
持駒 –
Fujii System vs Bishop Pullback

図は対先手四間飛車藤井システムに対する指し方例。以下▲7八銀なら△8五歩▲7七角△3一角となると、次の△8六歩で以下▲8六同歩△同角に▲8八飛は△7七角成▲8二飛成△6七銀の二枚替えがある。これを嫌って、図から先手が先に▲7七角として△3一角に▲6五歩として△8五歩▲8八飛と8筋をケアする指し方や、△3一角に▲7八金として飛車先を切らせ角交換する手もあるが、居玉で▲3八銀-4九金型の場合に早くの角交換は、1筋の歩突きあいの交換をしていないと後手に△2八角の狙いがある。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 勝又 2014, p. 75–76, 飯島流引き角.
  2. ^ 森内俊之, 渡辺明, 谷川浩司『トップ棋士頭脳勝負: イメージと読みの将棋観 3』日本将棋連盟、2014年。

参考文献[編集]

  • 勝又, 清和 (2014). 新手ポカ妙手選: 居飛車編. マイナビ出版. ISBN 978-4-83995-058-3 勝又, 清和 (2014). 新手ポカ妙手選: 居飛車編. マイナビ出版. ISBN 978-4-83995-058-3  勝又, 清和 (2014). 新手ポカ妙手選: 居飛車編. マイナビ出版. ISBN 978-4-83995-058-3 

外部リンク[編集]