三間飛車破り

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三間飛車破り(さんげんびしゃやぶり)は、将棋の戦法において振り飛車の三間飛車を破るために編み出された戦法。

一般には居飛車舟囲い急戦#対三間飛車にある4五歩早仕掛け#対三間飛車4六銀左戦法#対三間飛車三歩突き捨て急戦二枚銀#対三間飛車棒銀#対三間飛車、石田流の棒金が知られる。

また、相振り飛車対三間飛車での中飛車左穴熊なども知られる。

この他については居飛車穴熊#対三間飛車左美濃位取り戦法、ミレニアム囲い英春流#右四間嬉野流/鳥刺し (将棋)地下鉄飛車など、通常対振り飛車に使用される戦術も使用される。

振り飛車戦の中で急戦が一番定跡化されているのが対三間飛車とされており、振り飛車には角交換の格言、特に三間飛車に対しては角交換を狙って指すのが一応の基本となっているが、1981年12月から1982年11月末日までの統計調査で居飛車対振飛車対抗系のうち、対三間飛車は総計165局あった[1]。戦法の統計調査では3七桂~4五歩早仕掛け戦法が23局で、この他棒銀が1局、4六銀戦法が7局、5筋位取りが6局、玉頭位取りが4局、腰掛け銀が8局、引き角が2局、左美濃が29局、居飛車穴熊が22局(うち相穴熊が3局)、その他が6局、である[1]。3七桂~4五歩早仕掛けは、うち定跡系での仕掛けは5局あり、結果は居飛車側が1勝4敗で、仕掛けてからがまた大変という典型例である。居飛車先手の場合は定跡によってある程度戦い方仕掛け方が定まっているが、振り飛車先手であると同じようにはうまくいかず、仕掛けの形を作るのに苦労するため定跡化が遅れている。このため4六銀戦法(4六銀右戦法4六銀左戦法)や腰掛け銀、仕掛けは後の左美濃となる。事実この統計では 4六銀戦法が7局はすべて後手番であり、腰掛け銀8局中6局が後手番であった[1]

右四間飛車[編集]

△ 持ち駒 なし
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▲ 持ち駒 なし
図は▲4五歩まで
図 △4二銀-3四歩型
△ 持ち駒 なし
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▲ 持ち駒 なし
図は▲4五歩まで
図 △4三銀-3四歩型(超急戦)
△ 持ち駒 なし
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▲ 持ち駒 なし
図は▲4八飛まで
図 △4三銀-3四歩型
△ 持ち駒 なし
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▲ 持ち駒 なし
図は▲4八飛まで
図 △5三銀-3四歩型
△ 持ち駒 なし
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▲ 持ち駒 なし
図は▲5六銀まで
図 △4三銀-3五歩型
△ 持ち駒 歩
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▲ 持ち駒 歩
図は▲4五歩まで
図 △4三銀-3五歩型

対石田流[編集]

(対石田流持久戦型) 図のような攻撃体制の早い石田本組に対しては、居飛車側が美濃に早く組むことができる。

右銀は▲5七銀と進める。早くの△3三桂には▲7九角として次に銀出を狙う。後手△4五歩には▲4六歩で、△同歩なら▲同銀△4四銀▲3六歩△同歩▲3五歩となるので、4六歩には△4四銀▲4五歩△同銀▲4六銀もしくは△5四歩▲4五歩△3六歩▲同歩△5三角▲2七飛△3六飛▲3七歩△2六飛▲同飛△同角といった展開が考えられる。

△持ち駒 なし
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▲持ち駒 なし
図は△3三桂まで
腰掛け銀右四間型での3四飛-3三桂型石田流破り
△持ち駒 なし
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▲持ち駒 なし
図は△7二銀まで
腰掛け銀右四間型での3一銀型石田流破り

腰掛け銀右四間型で、早くに攻撃体制を敷く3四飛-3三桂型石田流には、図より▲3八飛△1四歩には、▲3六歩で、△1三角は以下▲3五歩△同角(△同飛は▲4四角△3八飛成▲同銀もしくは▲同金)▲3五同飛(▲3六歩は△1三角)△同飛▲4四角△3四飛▲5三角成。 ▲3六歩で、△同歩は以下▲同銀に、△1三角▲3五歩で(▲5八金右なら△4六角)△2四飛には▲2八飛△4二銀▲2六歩△4五歩(△5二金左や6二玉は▲2五歩)▲同歩△7四飛▲4四歩△3二金(▲7六飛なら△4三歩成▲同銀△3三角成)▲3四歩△7六飛 ▲3三歩成△同銀▲2五桂△4六角(△2四角は▲3三桂成△同角▲3四銀)▲3七歩(1八飛もある)△4二銀▲4三歩成△同銀▲1一角成。

他に図より▲3八飛△1四歩に▲5六銀△1三角▲5八金右△4二銀▲4七金△6二玉に▲2八飛で以下△7二玉に▲2六歩なら、△4五歩▲同歩△7四飛で▲4四歩に△5二金左(△8二玉は▲4三歩成△同銀▲3三角成)の展開もある。

腰掛け銀右四間型での3一銀型石田流(久保流)については、図より▲4五歩△同銀▲同銀△8八角成▲同銀△4二銀▲4四歩△5二金左▲1六角(▲6五角は△3一飛)△1四歩▲3四銀△4七歩▲同飛△6五角▲4五飛△5四角▲4三歩成(△2九角成も▲4三歩成、▲4八飛成であると△1五歩▲4三歩成△1六歩▲3二と△同角)△4五角▲3二とである。以下△2八飛に▲4八飛では△同飛成(△2九飛成は▲4五飛と角を取る筋がある)▲同金△2八飛▲4九歩△2七角成▲同角△同角成▲4二と△同金▲2二飛△4一歩。▲5八金右は△3四角▲同角△5一銀などの展開が知られる。

途中▲3二とで▲4五同銀には△4三金▲4四歩△3三金~4七飛であり、▲5二とならば△3四角▲同角△同飛▲6一と△同銀▲1六角△5二角である。 △2八飛で△3四角▲同角△4四飛は▲4二とで、△同飛は▲4八歩、△同金は▲4五銀、△4九飛成は▲5二と、△3四飛は▲5二と△同金▲1六角である。

棒金[編集]

きmきm金[編集]

△ 持ち駒 歩
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▲ 持ち駒 なし
図は▲6六金まで
図 きmきm金

きmきm金という戦法がある。読み方は「きもきもきん」。アマチュア棋士のマントが研究して誕生、金の動きが気持ち悪いことから名付けられた。

石田流三間飛車に対して用いる戦法で、図がその駒組み(先後逆)。▲7八金~▲7七金~▲6六金がその特色で、この金で盤面中央を制圧する。後手の出方にもよるが、このあと先手は▲7七角~▲8八飛の向かい飛車が狙い筋のひとつとなる。イロモノっぽい名前に反して押し引きのある手順が続いていく。

左美濃での対三間飛車[編集]

△持ち駒 なし
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▲持ち駒 なし
図は△3一角まで
対三間飛車後手左美濃
△持ち駒 なし
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▲持ち駒 なし
図は▲7九角まで
対三間飛車先手左美濃
△持ち駒 なし
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▲持ち駒 なし
図は△3三桂まで
対石田流先手左美濃

三間飛車に対する三枚美濃。四枚美濃と違って右銀を攻めに使用が可能である。

先手左美濃として説明すると、図より△7三桂であると▲2四歩の仕掛けが利く。△7三桂に代えて△5一角でも、以下▲2四歩△同歩▲同角△2二飛で、この場合は飛車にヒモが付いているので▲5一角成が利く。以下△2八飛成であると▲6一馬で、△同銀ならば▲2八銀があるので、△7八龍▲同玉△6一銀▲4一飛△5二銀成▲2一飛成が予想される手順である。

▲2四歩△同歩▲同角に△3三桂には▲6八角とし、以下△2五歩▲2四歩△2二飛には▲4八銀△7三角▲3七桂から▲2五桂を狙う。

三間飛車の場合なら四間飛車と違って図より△4五歩がある。これは以下先手の▲ 2四歩△同歩▲同角のときに△2二飛ではなく△4四角と避けることができる意味である。▲3七銀型は居飛車もこの時三間飛車型からの△4四角から2六歩で押さえる手段を牽制している。

△持ち駒 なし
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▲持ち駒 なし
図は△7三銀まで
対三間飛車後手三枚左美濃
△持ち駒 なし
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▲持ち駒 なし
図は△3一角まで
対三間飛車後手四枚左美濃

『羽生の頭脳』によると、先手三間飛車に後手居飛車四枚美濃では、先手▲5七銀型三間飛車に対し△3一角は▲3七桂で良く、△8六歩▲同歩△同角でも5七銀型ならば以下▲8八飛△8五歩▲8七歩である。△7四歩でも▲6五歩△7三桂▲6八飛。△4四歩から1歩持って△4三金型にしても、真部流になって三間飛車が十分となるとしている。

一方で右銀を右に使う後手居飛車左美濃は千日手用で、振り飛車が動けばそこで手を作るイメージであるという。例えば△3一角に▲3七桂は△7三銀とし、以下▲5八銀で△8六歩▲同歩△同角▲8八飛であると△7七角成▲8二飛成に△8二銀をみており、▲5八銀に代えて▲5九角ならば居飛車同様の仕掛けで、 ▲8二飛成には先手左美濃のときのように△4九馬がある。

このほか図のように△3一角(先手左美濃ならば▲7九角)にあらかじめ▲8八飛(後手三間飛車なら△2二飛)として受けておく手もある。以下△7三銀に▲5九角とする。△8四銀なら、▲6五歩△7五歩▲4八角をみている。

△8四銀に代えて△2二玉に▲6五歩なら△6四歩▲同歩△同銀で▲4八角には△7五歩▲同歩△同銀▲7八飛△7二飛▲7六歩△6六歩▲同銀△7六銀で、▲7五歩は△6七銀成、▲6五銀は△7七歩▲6八飛△6七歩、放置は△7七歩▲同銀△6七銀成であり、途中△7五歩に▲6五歩△同銀▲7五歩は△6六歩▲同銀△同銀▲同角△6二飛で居飛車も手になると解説している。

戻って▲5九角△2二玉に振り飛車側も▲2七銀とし、以下△2三銀▲3八金△3二金▲9六歩△9四歩で、▲3七桂△4二角に▲6八角なら、△3一角から千日手コース、▲5八銀~5七銀なら5八銀のときに△7五歩▲同歩△6四銀▲7四歩(▲6七銀なら△7五銀▲7六歩△8六歩)△8四飛▲7八飛△7五銀で次に△8六歩や7四飛を狙う。△4二角に▲4八角なら△8六歩▲同歩△同飛で、以下▲同飛△同角▲8三飛は△6八角成と解説している。

その他の戦法[編集]

図は『神戸発 珍戦法で行こう』(2006年)では「かえるがぴょん戦法」として紹介されている戦法。三間飛車に飛車先を1歩止めているのが特徴。

△持ち駒 なし
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▲持ち駒 なし
図1-1 ▲3六歩まで
△持ち駒 なし
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▲持ち駒 なし
図1-2 ▲2六歩まで

図1-1から後手△3五歩ならば▲2五歩△3四飛▲3五歩△同飛▲2四歩△同歩▲同飛△3二金に▲2二飛成△同銀▲2四角△3三飛打▲4四角△2五飛▲3三角右成△同銀▲2六歩(図1-2)などが一つの手順例。▲2二飛成では▲2八飛△3三角でも一局。図1-2以降は▲3三角成から▲2一飛などがある。

△持ち駒 なし
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▲持ち駒 なし
図2-1 ▲7八玉まで
△持ち駒 なし
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▲持ち駒 なし
図2-2 ▲3五歩まで
△持ち駒 なし
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▲持ち駒 なし
図2-3 ▲2四飛まで

図2-1から後手が漠然と美濃囲い、先手は▲5六歩から先手が▲6八銀~▲5七銀左~▲4六銀から▲3五歩(図2-2)では以下△3五同歩▲2五歩に△3四飛なら、▲2四歩△同歩▲4五銀△3二飛▲2四飛(図2-3)で一局。

△持ち駒 なし
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▲持ち駒 なし
図3-1 ▲5八金まで
△持ち駒 金歩2
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▲持ち駒 なし
図3-2 ▲2五歩まで

図3以降の左美濃に構えた局面から△3五歩には以下▲2五歩△3三角▲3五歩で△1五角には▲1六歩とし、△4八角成▲同金△3九銀なら▲3八飛△4八銀成▲同飛△3五飛で▲1七角があり、以下△2五飛▲2六銀△2四飛▲2五歩(図3-2)で一局。手順中△3三角で△3四飛は▲3五歩△同飛▲2四歩△同歩▲同飛など。図3-2からは▲3五銀から▲2六飛などの展開がある。

脚注[編集]

  1. ^ a b c 高橋道雄「緊急レポート居飛車vs振飛車プロ間における最近の序盤傾向の研究」第2回 三間飛車中飛車編(『将棋世界』1983年2月号所収)