ダイレクト向かい飛車

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△持駒 角
Shogi zhor 22.png
91 81 71 61 51 41 31 21 11
92 82 72 62 52 42 32 22 12
93 83 73 63 53 43 33 23 13
94 84 74 64 54 44 34 24 14
95 85 75 65 55 45 35 25 15
96 86 76 66 56 46 36 26 16
97 87 77 67 57 47 37 27 17
98 88 78 68 58 48 38 28 18
99 89 79 69 59 49 39 29 19
Shogi zver 22.png
▲持駒 角
ダイレクト向かい飛車の基本形

ダイレクト向かい飛車とは、将棋の戦法振り飛車に分類され、向かい飛車戦法の一種であるが、交換も辞さない、もしくは角交換が前提の力戦振り飛車(角道を止めない振り飛車)である[1][2]。2011年(平成23年)頃からプロでの採用数が増え始め、2013年(平成25年)には大流行を見せた[2]

従来用いられていた「角交換四間飛車」は、(後手番であれば)飛車を一旦4筋に振ってから、改めて2筋に振り直し、先手の飛車先からの逆襲を目指す戦法であった[3]。4筋に途中下車しなければならないのは、居飛車側に▲6五角(後手なら△4五角)と言う有力な反撃手段があり、それを防ぐためのものだった。ダイレクト向かい飛車はこの▲6五角への対策が急所と言える[1]

ただし、従来の「向かい飛車」も飛車を8筋から2筋(後手番の場合)に振っており、4筋への途中下車は無い。「ダイレクト」とは、あくまで4筋への途中下車を余儀なくされる角交換型四間飛車との対比により生まれた表現である[2]。この手得を生かして後手から積極的に動くこともできる[1][2]大石直嗣佐藤康光が得意にしている。

※この戦法は後手番で多用されるため、振り飛車側が後手の場合を基準にして解説する。先手番でも応用は可能であるが、後手番に比べ条件が多い。

登場の背景[編集]

左美濃居飛車穴熊の登場により一時衰退していた振り飛車戦法は藤井システムゴキゲン中飛車の出現により、大きな変革を迎えていた。

藤井システムは基本的には従来の角道を止める振り飛車の王道である四間飛車の序盤の駒組みを前提とする指し方で一時主流であったが、居飛車側の対策の進歩により藤井システムの成功率も下がっていった。この流れの中で、そもそも振り飛車側の角道が止まっているために居飛車側に固い囲いを許してしまうのではないかという考え方が出てきた。「振り飛車には角交換」という常識そのものが修正を迫られたのである。

そこで、序盤早々に角道を止める手を省略して角道をあけたままとする力戦振り飛車(角道を止めない振り飛車)が試みられるようになった。すでに升田式石田流や立石流四間飛車が先行して流行していたが、ゴキゲン中飛車の登場がこの傾向に拍車をかけた。

角道を止めない振り飛車にとって、居飛車側の角交換後の4三・8三両成りを狙った▲6五角(振り飛車側が後手番の場合)の対策は悩みの種であり、当初は一度四間飛車に振ってを囲い、8三を守ってから向かい飛車に振り直す二手損向かい飛車が出現した。この戦法は一手損角換わりとの併用もあって一時流行を見せた。しかし2手損[* 1]への抵抗感から流行は下火となった。そんな中佐藤康光は、角交換四間飛車(二手損向かい飛車)の序盤で一度四間飛車に振る手順を省略し、初期位置(後手番なら8二)から▲6五角への対策をせずに△2二飛と振る力戦向かい飛車を実戦で試みて注目された。これがダイレクト向かい飛車である。居飛車側に▲6五角と打たれても、振り飛車側が△7四角と切り返す対抗手段があるので互角であるとするのが主張である。

また、角交換四間飛車でも後手が指せる(戦える、もしくは有利になるという意)のであるから、損が一手分少ないダイレクト向かい飛車であればなお後手指しやすいのではないか、と言う理由から冒頭で記した通り、2011年から2013年にかけて大流行を見せた。大石直嗣はこの戦法を駆使して、2013年度はNHK杯テレビ将棋トーナメントでベスト4、順位戦でC級1組昇級と好成績を挙げ、将棋大賞新人賞を受賞した。

注釈[編集]

  1. ^ 後手からの角交換で先手の銀が一手進むことと、飛車の四筋から二筋への振り直しの二手の損。

出典[編集]

  1. ^ a b c 大石 2013, p. 8.
  2. ^ a b c d 上野 2014, p. 20-22.
  3. ^ 上野 2014, p. 4-7.

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  • 上野裕和 (2014), NHK将棋講座 2014年9月号 別冊付録 上野裕和のNHK杯の序盤がわかる! (2) 角交換四間飛車 / ダイレクト向かい飛車, NHK出版 
  • 大石直嗣 (2013), ダイレクト向かい飛車徹底ガイド, マイナビ, ISBN 978-4839947637 
  • 勝又清和「勝又教授の最新戦法講義 第3回 振り飛車クロニクルの巻」 将棋世界 2008年8月号P82 - P95掲載
  • 佐藤康光『佐藤康光の力戦振り飛車』 (日本将棋連盟、2010年)
  • 先崎学北尾まどか『先崎学のすぐわかる現代将棋』(日本放送出版協会、2010年)P176 - P185