中原流相掛かり

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△後手 持ち駒 歩
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91 81 71 61 51 41 31 21 11
92 82 72 62 52 42 32 22 12
93 83 73 63 53 43 33 23 13
94 84 74 64 54 44 34 24 14
95 85 75 65 55 45 35 25 15
96 86 76 66 56 46 36 26 16
97 87 77 67 57 47 37 27 17
98 88 78 68 58 48 38 28 18
99 89 79 69 59 49 39 29 19
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▲先手 持ち駒 歩
図は△5四銀まで
第1図 中原流相掛かり

中原流相掛かり(なかはらりゅうあいがかり[1])は、将棋戦法・戦型の一つ。


中原流相掛かりは、1990年代に中原誠十六世名人が指し始め、史上初となる2度の将棋名人位復位への大きな原動力となった。このことで、相掛かりで思い浮かぶ棋士として、ぱっと出てくるのが大多数となっていく。

中原誠十六世名人の名人時期は大山康晴十五世名人の16期に次ぐ、名人獲得記録であり、名人を10期以上獲得したのはこの2名しかいない。中原は初の名人獲得から9連覇を達成したが、その当時は矢倉戦法を主力戦法としていた。しかし一度目の名人失冠のあと、将棋の芸風棋風をさらに広げる必要があった[1]

その代表的なものが中原流相掛かりであった。

中原の▲3六歩-3七銀型で3筋を突き捨て、▲4六銀と上がる早繰り銀に似た「中原流」は、多くの棋士にも指されていく。第1図がその中原流である。

そして谷川浩司名人(当時)との名人戦で、突如▲5六飛と5筋に回った「中原飛車」もよく知られる[2]

概要[編集]

相掛かりは軽快に動きたいなら浮き飛車、じっくりポイントを重ねて駒組み勝ちからリードを広げたいなら引き飛車と、使い分けが行われる。

中原流相掛かりは浮き飛車が主流で、浮き飛車は早く動くことが多いが、引き飛車等であれば反対に角交換して、じっくりした戦いになりやすい。飛車への当たりが弱いので (浮き飛車だと△4四角や△2五歩などの手がすぐ飛車に当たってくる) 棒銀との相性も抜群である。 第2図は持久戦となった一例であるが先手は矢倉、後手は菊水矢倉とぱっと見たら相掛かりの出だしには見えない。図から▲2五桂と跳ね、△同桂なら▲同銀△4三金右に▲1四歩△同歩▲同銀△4三金右なら▲1三桂成と突っ込んで、△同銀▲1四歩でいずれも端攻めが厳しく先手良しとなる。中原は1980年代まではひねり飛車横歩取りなどの例外を除き、相掛かりは後手番が主で、こうしたじっくりとした戦術を採ることも多かった。

△後手 持ち駒 歩
Shogi zhor 22.png
91 81 71 61 51 41 31 21 11
92 82 72 62 52 42 32 22 12
93 83 73 63 53 43 33 23 13
94 84 74 64 54 44 34 24 14
95 85 75 65 55 45 35 25 15
96 86 76 66 56 46 36 26 16
97 87 77 67 57 47 37 27 17
98 88 78 68 58 48 38 28 18
99 89 79 69 59 49 39 29 19
Shogi zver 22.png
▲先手 持ち駒 歩
図は△4四歩まで
第2図 相掛かり持久戦の一例

一方で中原流の場合は早い動きが特徴であるが、第1図で単に▲4六銀であれば、後手に△4四歩と突かれて銀が立ち往生する。▲3五歩△同歩と突き捨ててから▲4六銀と上がるところが第1のポイントとなる。

そして△4四角▲3八金△2二銀と進み、そこで▲3四歩と打つのが第2のポイント。この歩を打つことにより、しばらく後手を壁形にすることができる。

以降は機を見て▲4四角△同歩▲3五銀として、▲7五歩から左辺に転戦したり、3五に進出した銀を生かして手を作っていく。

△後手 持ち駒 角歩
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91 81 71 61 51 41 31 21 11
92 82 72 62 52 42 32 22 12
93 83 73 63 53 43 33 23 13
94 84 74 64 54 44 34 24 14
95 85 75 65 55 45 35 25 15
96 86 76 66 56 46 36 26 16
97 87 77 67 57 47 37 27 17
98 88 78 68 58 48 38 28 18
99 89 79 69 59 49 39 29 19
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▲先手 持ち駒 角歩2
図は△5二金まで
第3図 相掛かり中原囲い

横歩取りでよく使われる中原囲いも、中原十六世名人が相掛かりで使用したのが始まりだった。特徴としては、8七に歩を受けず▲9六歩から▲7七桂として、強く戦う。持ち歩が2枚あるので、攻めのバリエーションが広がる。第3図の先手陣が中原囲いである[1]

ここで▲9五歩が機敏な攻め。△同歩に▲9二歩と打ち、△同飛なら▲8六飛△8二歩▲9三歩△同桂▲8一角、△9二同香なら▲9一角△8三飛▲8五歩で、次の▲8六飛が厳しい狙いになりいずれも先手良しとなる。

また▲3六歩から▲3七桂と活用し、▲3五歩△同歩▲1五歩と1、3筋を絡めて攻めていくのも有力な指し方として知られている。

角交換せずに▲7七桂と跳ね、▲2五飛から8五飛とぶつけたりとさまざまな指し方ができる[1]

中原飛車[編集]

△後手 持ち駒 なし
Shogi zhor 22.png
91 81 71 61 51 41 31 21 11
92 82 72 62 52 42 32 22 12
93 83 73 63 53 43 33 23 13
94 84 74 64 54 44 34 24 14
95 85 75 65 55 45 35 25 15
96 86 76 66 56 46 36 26 16
97 87 77 67 57 47 37 27 17
98 88 78 68 58 48 38 28 18
99 89 79 69 59 49 39 29 19
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▲先手 持ち駒 歩
図は▲5六飛まで
第4図 相掛かり中原囲い

第4図は1990年5月の第48期名人戦第3局、浮き飛車の構えからいきなり▲5六飛と回ったのが、「中原飛車」と呼ばれる作戦である。狙いはのちに右桂を活用しての5筋突破であるが、単純な組み立てであるため、後手も対策は立てやすい。この一局のテレビ放送解説を担当した大山康晴も、あまりの単純さに呆れかえっていたという。事実、途中の進行は先手が明らかに作戦負けとされていた。しかし逆転勝ちでこの一局をものにすると、続く第5局でも再び中原流相掛かりを採用する。こちらは中原が圧倒し快勝している[2]

出典[編集]

  1. ^ a b c d 中原, 誠 (1994). 中原流相がかり―必殺の5九金型. 日本将棋連盟. ISBN 9784819703192 
  2. ^ a b 中原, 誠 (1994). 中原誠名局集. 毎日コミュニケーションズ. ISBN 9784839937393 

関連項目[編集]