囲い
将棋の戦い方の基本セオリーでは、自玉を守るための「守備の陣」、および相手玉を攻撃するための「攻撃の陣」、それら両方を構築して戦うものとされている。《囲い》というのは前者の「守備の陣」である。(将棋の戦い方の概略については、将棋#場面ごとの戦い方や将棋の戦法を参照のこと)
概説[編集]
将棋では玉将の守備を行わないままに敵陣に攻撃したりすると、反撃を受けやすくなってしまう[1]。自分の側が勝とうとして敵の王(玉)を攻撃しようと狙うのと同様に、敵の側も勝とうとしてこちらの玉(王)を攻撃しようと狙っている。自分の玉が敵から攻撃されるままになり自分が負けてしまう事態を防ぐためには、金将・銀将などの駒により、玉を守る(護る、護衛する)ための「守備陣」を構築することになる。そこで構築される、まるで玉を囲むような形の守備陣を「囲い」という。玉を囲いに入った状態にすることは「囲う」と言い、その囲いを一種の城に見立てて「入城」とも表現される[2]。
頻出の囲いは分類、類型化されており、「○○囲い」といった名称がつけられている。
囲いは自身と相手の採用する戦法、特に居飛車・振り飛車の別を考慮し選択される[2](次節参照)。
特に有名な、基本的な囲いには美濃囲い、矢倉囲い、穴熊囲い、カニ囲いなどがある。2010年代後半には将棋ソフトのelmoが(それまで知られていなかった、だが意外に効果的な)elmo囲いを多用しこれを人間の棋士も模倣して採用するようになり有名になった。
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囲いの種類[編集]
居飛車、振り飛車などといった戦型やさらに細分化された戦型ごとに用いられる囲いの種類を挙げる。
居飛車[編集]
対抗型[編集]
- 対振り飛車急戦の囲い
- 舟囲い系統:舟囲い(7九銀型・6八銀型・5七銀左型)、箱入り娘、セメント囲い、二枚囲い、大隅囲い(大住囲い)、elmo囲い
- 持久戦
相居飛車[編集]
- 矢倉・角換わりの囲い
- 相掛かり・横歩取りの囲い
振り飛車[編集]
- 美濃囲い系統:金美濃、高美濃、銀冠、端玉銀冠、銀美濃、片美濃、ダイヤモンド美濃、木村美濃、平目
- 振り飛車穴熊系統:振り飛車穴熊、片穴熊、銀冠穴熊、振り飛車ミレニアム
- 船囲い系統:elmo囲い、大住囲い(大隅囲い)、 高大住、壁囲い(早囲い)
- 左右バランス型:中住まい、風車、左玉
相振り飛車のみ[編集]
その他[編集]
- 駒落ちの戦法・囲い
- 冗談の戦法・囲い
脚注[編集]
- ^ 一瀬浩司 (2017年10月22日). “初心者がはじめに覚えるべきこと。玉を守るための「囲い」とは?|将棋コラム”. 日本将棋連盟. 2019年3月1日閲覧。
- ^ a b 一瀬浩司 (2017年10月25日). “囲いにはどんな種類がある?代表的な3つの囲いをご紹介|将棋コラム”. 日本将棋連盟. 2019年3月1日閲覧。
- ^ 『日本将棋用語事典』pp.61-62