鯨将棋

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鯨将棋(Whale Shogi,くじらしょうぎ)とは、将棋の一種であり、2人で行うボードゲーム(盤上遊戯)の一種である。

1981年ウェイン・シュミットバーガー (R. Wayne Schmittberger) が発表した、ごく新しい将棋である。その名の通り、全ての駒が類の名前を持つ。駒の名前が同種の動物で統一されていることや、「二歩」はよいが「三歩」はいけないというルールなどが禽将棋によく似ている。

将棋の変種ではあるが、誕生はアメリカである。そのため日本国内よりも国外でよく知られている。

ルール[編集]

  • 盤面は縦横6マス。「成り」のルールそのものがないため自陣、敵陣はないが、その代わりのようなルールとしてネズミイルカのシャチへの再生や、イルカの最前列いる場合のみの特例の動きといったものがある。
  • 駒はそれぞれ白鯨ネズミイルカコククジライッカクザトウクジラシロナガスクジラシャチを1枚ずつ、イルカを6枚持つ。白鯨が玉将にあたり、これを詰められると負けである。なおシャチは初期配置で盤面に置かない。
  • 本将棋と同様、取った駒は持ち駒として使える。ただしネズミイルカは取ったあとゲームから取り除き、代わりにシャチを持ち駒として加える。取られたネズミイルカは再利用しない。取ったシャチは普通に持ち駒として使える。
  • イルカは最前列に打てない。
  • 自分のイルカを同じ縦列に同時に3つ以上存在させてはいけない(「三歩」禁止)。すなわちイルカが既に2つある縦列には新たにイルカを打ったり、他の列からイルカを移動させたりしてはいけない。
  • 打ちイルカ詰めは打ち歩詰め同様禁止。
  • その他のルールは本将棋に準じる。

初期配置図[編集]

1 2 3 4 5 6
B N P W G H a
D D D D D D b
c
d
D D D D D D e
H G W P N B f

シャチは配置せず、相手のネズミイルカを取った時に持ち駒として加える。

駒の動き[編集]

○はその位置に動けること、☆はその場所まで飛び越えて行けること、線はその方向に走れることを表す。どの駒も成ることはできない。

元の駒 動き
白鯨
(White Whale)
W
八方向に1マス動ける。これが詰められたら負け。
ネズミイルカ
(Porpoise)
P
横に1マス動ける。これを取っても再利用できず、代わりにシャチが持ち駒として加わる。
コククジラ
(Gray Whale)
G
前と斜め後ろに何マスでも進める。飛び越えては行けない。
イッカク
(Narwhal)
N
横か後ろに1マス動ける。また2マス前へ駒を飛び越えて動ける。
ザトウクジラ
(Humpback)
H
斜め四方と後ろに1マス動ける。
シロナガスクジラ
(Blue Whale)
B
前、斜め前、後ろに1マス動ける。
イルカ
(Dolphin)
D
前に1マスだけ動ける。ただし最終列にいる時だけは斜め後ろに何マスでも動ける。このとき飛び越えては行けない。また既にイルカが2つ以上いる列には移動してはいけない。
シャチ
(Killer Whale)
K
斜めに1マス動ける。また縦横に何マスでも動ける。飛び越えては行けない。最初は盤上にはなく、相手のネズミイルカを取った時、その代わりに持ち駒に加わる。

関連項目[編集]