平安将棋
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平安将棋(へいあんしょうぎ)は、将棋の一種であり、二人で行うボードゲーム(盤上遊戯)の一種である。
鎌倉時代初期に編纂されたとされる習俗辞典二中歴(平安時代後期に成立した掌中歴および懐中歴の合本)に平安大将棋とともに掲載されている将棋である。この中では単なる「将棋」という名前であるが、後の小将棋や現代の本将棋と区別してこう呼ばれる。
目次
二中歴の記述[編集]
『二中歴』の「第十三 博棊歴」には、以下のような将棋の記述がある。
- 将棊 棊一作騎
- 玉将八方得自在 金将不行下二目 銀将不行左右下
- 桂馬前角超一目 香車先方任意行 歩兵一方不他行
- 入敵三目皆成金 敵玉一将則為勝
(二中歴3 第十一~第十三(尊経閣善本影印集成)ISBN 4-8406-2316-3 P.118 より引用)
ルール[編集]
※文献にしか載っていないものであるため、当時の正確なルールであるとは限らない。
基本ルール[編集]
- 将棋盤の上で行う。将棋盤の大きさは縦横8マスずつ[1]、縦8マス・横9マス、縦横9マスずつの諸説があるが正確なことはわかっていない。
- 駒は、玉将(玉)・金将(金)・銀将(銀)・桂馬(桂)・香車(香)・歩兵(歩)の6種類あり、それぞれ動きが決まっている。
- 敵陣に関する記述はないが、おそらく相手から見て3段目までに入れば玉将と金将以外のどの駒も金将に成れる。
- 本将棋とは違い、捕獲した駒を自らの持ち駒にはできないと考えられている。持ち駒が使用できるルールも存在したとする説もある。
- 本将棋と同様に敵の玉将を詰めると勝ちとなるが、敵を玉将だけにしても勝ちである。
初期配置図[編集]
以下のいずれかであったか、時代が下るとともに盤の大きさも変化していったと考えられる。
縦横8マスずつと仮定した場合[編集]
▽香車 | ▽桂馬 | ▽銀将 | ▽金将 | ▽玉将 | ▽銀将 | ▽桂馬 | ▽香車 |
▽歩兵 | ▽歩兵 | ▽歩兵 | ▽歩兵 | ▽歩兵 | ▽歩兵 | ▽歩兵 | ▽歩兵 |
▲歩兵 | ▲歩兵 | ▲歩兵 | ▲歩兵 | ▲歩兵 | ▲歩兵 | ▲歩兵 | ▲歩兵 |
▲香車 | ▲桂馬 | ▲銀将 | ▲玉将 | ▲金将 | ▲銀将 | ▲桂馬 | ▲香車 |
縦8マス・横9マスと仮定した場合[編集]
▽香車 | ▽桂馬 | ▽銀将 | ▽金将 | ▽玉将 | ▽金将 | ▽銀将 | ▽桂馬 | ▽香車 |
▽歩兵 | ▽歩兵 | ▽歩兵 | ▽歩兵 | ▽歩兵 | ▽歩兵 | ▽歩兵 | ▽歩兵 | ▽歩兵 |
▲歩兵 | ▲歩兵 | ▲歩兵 | ▲歩兵 | ▲歩兵 | ▲歩兵 | ▲歩兵 | ▲歩兵 | ▲歩兵 |
▲香車 | ▲桂馬 | ▲銀将 | ▲金将 | ▲玉将 | ▲金将 | ▲銀将 | ▲桂馬 | ▲香車 |
縦横9マスずつと仮定した場合[編集]
▽香車 | ▽桂馬 | ▽銀将 | ▽金将 | ▽玉将 | ▽金将 | ▽銀将 | ▽桂馬 | ▽香車 |
▽歩兵 | ▽歩兵 | ▽歩兵 | ▽歩兵 | ▽歩兵 | ▽歩兵 | ▽歩兵 | ▽歩兵 | ▽歩兵 |
▲歩兵 | ▲歩兵 | ▲歩兵 | ▲歩兵 | ▲歩兵 | ▲歩兵 | ▲歩兵 | ▲歩兵 | ▲歩兵 |
▲香車 | ▲桂馬 | ▲銀将 | ▲金将 | ▲玉将 | ▲金将 | ▲銀将 | ▲桂馬 | ▲香車 |
駒の動き[編集]
現代の本将棋に同じ。ただし、取った駒は使えないので、成銀・成桂・成香・と金の区別はなく、すべて金将になったと考えられる。
元の駒 | 動き | 成駒 | 動き | ||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
玉将(ぎょくしょう) |
|
全方向に1マス動ける。 | - | - | - | ||||||||||||||||||
金将(きんしょう) |
|
縦横と斜め前に1マス動ける。 | - | - | - | ||||||||||||||||||
銀将(ぎんしょう) |
|
前と斜めに1マス動ける。 | 金将(きんしょう) |
|
縦横と斜め前に1マス動ける。 | ||||||||||||||||||
桂馬(けいま) |
|
前へ2、横へ1の位置に移動できる。その際、駒を飛び越えることができる。 | |||||||||||||||||||||
香車(きょうしゃ) |
|
前方に何マスでも動ける。飛び越えては行けない。 | |||||||||||||||||||||
歩兵(ふひょう) |
|
前に1マス動ける |
脚注[編集]
関連項目[編集]
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