4五歩早仕掛け

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4五歩早仕掛け将棋戦法の一つ。居飛車舟囲い急戦の一種で、主に四間飛車三間飛車に対して用いる(中飛車に対しても用いることがある[1])。

概要[編集]

居飛車対振り飛車の将棋において、振り飛車側は角で居飛車側の飛車の突破を防いでいることが多い。そこで居飛車側が▲4六歩 - ▲4五歩と角交換を挑み、振り飛車側の角をどけて飛車を成り込むのが狙いである[2]

対四間飛車[編集]

四間飛車側が△4三銀と上がっている場合に有力。

6九金型[編集]

△持ち駒 なし
Shogi zhor 22.png
91 81 71 61 51 41 31 21 11
92 82 72 62 52 42 32 22 12
93 83 73 63 53 43 33 23 13
94 84 74 64 54 44 34 24 14
95 85 75 65 55 45 35 25 15
96 86 76 66 56 46 36 26 16
97 87 77 67 57 47 37 27 17
98 88 78 68 58 48 38 28 18
99 89 79 69 59 49 39 29 19
Shogi zver 22.png
▲持ち駒 なし
対四間飛車6九金型基本図

後手はここで△5四歩とするのも自然な手。以下先手が▲4五歩と仕掛けるのがこの戦法の骨子で、△4五同歩なら▲3三角成△同桂▲2四歩で飛車の突破が見込める先手が有利になる[3]。そこで▲4五歩には△6四歩▲3七桂△7四歩(または△6三金)と互いに力を貯めてから▲2四歩と仕掛けるのが定跡である[4]

これに△2四同歩なら、▲4四歩△同銀▲4五歩△同銀▲同桂△同飛▲3三角成△同桂▲2四飛が一例で、先手が有利となる[5]。後手は△7四歩と△6三金の両方を指さなければ、先手からの寄せが厳しくなるためである(△7四歩だけでは▲8六桂が厳しく、△6三金だけだと美濃囲いが狭い上に▲7五桂が厳しい)[6]。△2四同角には▲4四歩△同銀▲4五歩△3三銀と抑えて▲4七銀 - ▲4六銀左と持久戦にするのも有力だが、居飛車が手を作りにくい[7]。そこで▲4四歩△同銀には▲4三歩△同飛▲2四飛△同歩▲3二角と攻めるのが明快である。以下△4二飛▲2一角成△4一飛打▲3三桂△5一飛で後手受け切りが定説であったが[8]、▲9五歩△同歩▲同香△同香▲4三歩という郷田真隆の新手で、先手が攻めきれるという結論に変わった[9]。 そのため△5四歩に換え△5四銀と玉頭銀を見せるのが有力で[10]、先手の打開が難しい。薄くなった角頭を狙う▲3八飛も、△4三銀(藤井猛の新手)と引き返して千日手を狙われてしまう[11]

6八金型[編集]

6九金型の基本図での▲4六歩を尚早と見て、▲6八金上△5四歩の交換を入れてから▲4六歩とする作戦もある[12]。しかし1手仕掛けが遅れるため後手に△6三金 - △7四歩(手順前後には▲3七桂に換えて▲4六銀と出て△4五歩を催促し、無理やり角交換に持ち込む米長邦雄の新手がある)の2手で陣形を安定させてしまう[13]上に、△8四桂 - △7六桂の反撃でその▲6八金を狙われるのが厳しい[14]。それでも居飛車側も十分に指せると言われている[15]

対三間飛車[編集]

三間飛車は飛車を3筋に回しているので、棒銀斜め棒銀に対して強く捌ける。そのため4五歩早仕掛けが有力とされる。

急戦[編集]

△持ち駒 なし
Shogi zhor 22.png
91 81 71 61 51 41 31 21 11
92 82 72 62 52 42 32 22 12
93 83 73 63 53 43 33 23 13
94 84 74 64 54 44 34 24 14
95 85 75 65 55 45 35 25 15
96 86 76 66 56 46 36 26 16
97 87 77 67 57 47 37 27 17
98 88 78 68 58 48 38 28 18
99 89 79 69 59 49 39 29 19
Shogi zver 22.png
▲持ち駒 なし
対三間飛車急戦基本図

参考図までの手順で、▲3七桂には常に△2二飛の一手であり、この手を怠ると▲4五歩△同歩▲3三角成△同銀▲4五桂△4四銀▲2四歩以下先手に飛車先の突破を許してしまう[16]。後手は4二銀型を保つのも肝要で、四間飛車のように4筋から反撃出来ない場合、△4三銀と立つと4筋からの仕掛けに対し当たりを強めてしまうだけでなく、▲3三角成に△同銀とする筋を失ってしまう(▲4五歩に△4二飛は四間飛車に比べて純粋な手損となり、やはり後手苦しい)。また△2二飛に換えて△4三銀だと▲4五歩△3五歩▲同歩△4五歩▲3三角成△同飛▲2四歩△3六歩▲2三歩成△3五飛▲2五飛と進んで先手良しとされているが[17]、この▲2五飛に△同飛ならば▲同桂で手順に桂を逃げられるが△3四銀とされると容易でないとして、手順中△3五歩には▲2四歩△同歩▲4四歩△同銀▲4五歩が優り先手良しとする研究もある[18]。いずれにせよ△4三銀と上がる手が成立しないという結論に変わりはない。

基本図から▲5五歩△同歩▲4五歩と仕掛ける(▲4五歩△同歩▲5五歩の手順前後は△5五同角で先手不利)[19]。△4五同歩は▲同桂△4四角▲5四歩と進み、▲5三歩成から駒得が確実になり先手良しである[20]。そこで▲4五歩には△5三銀▲4六銀と進め、後手には△5四銀と△5六歩の2つの手がある。△5四銀ならば▲5五銀△同銀▲同角△4三金と進み銀交換になる[21]。従来は▲8八角△4五歩▲5五銀△4四銀▲同銀△同金▲2四歩△同歩▲2三歩△同飛▲3二銀△2二飛▲2一銀成△同飛▲4五桂で居飛車良しが定説だった[22]が、丸山忠久が△2一飛に換えて△2三飛と辛抱する手を発見し、これは難解である[23]。△5六歩には先手が▲4七銀から歩を取りにいき後手は△3九角から馬を作る将棋になるが、居飛車良しが定説である[24]。三間飛車のスペシャリストである中田功は△5四銀を推奨している[25]。実際、平成元年 - 平成21年度末までのプロの公式戦では、△5四銀型は居飛車の6勝8敗、△5六歩型は居飛車の20勝6敗である[26]

なお三間飛車側が先手の場合、図に△6三金が入っている勘定になるため(実際は先手番なので▲4七金)、後手の居飛車側が△6五歩▲同歩△5五歩としても▲同歩△6五桂▲6六角△6四銀▲5六金で、居飛車側の仕掛けは成立しない。

超急戦[編集]

△持ち駒 なし
Shogi zhor 22.png
91 81 71 61 51 41 31 21 11
92 82 72 62 52 42 32 22 12
93 83 73 63 53 43 33 23 13
94 84 74 64 54 44 34 24 14
95 85 75 65 55 45 35 25 15
96 86 76 66 56 46 36 26 16
97 87 77 67 57 47 37 27 17
98 88 78 68 58 48 38 28 18
99 89 79 69 59 49 39 29 19
Shogi zver 22.png
▲持ち駒 なし
対三間飛車超急戦基本図

▲6八銀 - ▲5七銀左 - ▲3七桂を省略し、後手が美濃囲いを完成させていない段階で▲4五歩△同歩▲5五歩と仕掛ける手も存在する[27]。まだ居飛車が▲3七桂と跳ねていないため、後手は△5五同歩と取れる[28]。以下▲3七桂に△5六歩から角を捌いてしまうのが三間飛車側の狙いで、▲4五桂の筋を緩和する。先手は▲2四歩△同歩▲3三角成△同銀▲4五桂と攻めたてる。これに対し△4四銀なら▲2四飛で先手良しだが[29]、飛車取りと同時に2四を受ける△4六角がある。先手には▲3三桂成から銀桂交換の狙いがあるものの、後手に△3三同桂 - △4五桂と捌かれる恐れがあり、難解な勝負である[30]

また基本図に至るまでの手順で三間飛車側が△8二玉に換えて△9四歩とし、△6一金にヒモをつける指し方もある[31]。なお三間飛車が先手の場合は美濃囲いが完成しているため、この仕掛けは上手くいかない。

脚注[編集]

  1. ^ 『急戦!振り飛車破り 4 徹底4五歩早仕掛け』p.222
  2. ^ 『急戦!振り飛車破り 4 徹底4五歩早仕掛け』まえがき
  3. ^ 『四間飛車破り(急戦編)』p.13
  4. ^ 『四間飛車破り(急戦編)』p.14
  5. ^ 『四間飛車破り(急戦編)』p.17
  6. ^ 『四間飛車破り(急戦編)』p.16,18,31
  7. ^ 『四間飛車破り(急戦編)』p.24
  8. ^ 『四間飛車破り(急戦編)』p.25
  9. ^ 『四間飛車破り(急戦編)』p.26
  10. ^ 『四間飛車破り(急戦編)』p.34
  11. ^ 『四間飛車破り(急戦編)』p.62
  12. ^ 『四間飛車破り(急戦編)』p.68
  13. ^ 『将棋世界2011年8月号』p.56
  14. ^ 『四間飛車破り(急戦編)』p.16
  15. ^ 『将棋世界2011年8月号』p.58
  16. ^ 『羽生の頭脳(急戦、中飛車・三間飛車破り)』p.14
  17. ^ 『仕掛け大全(振り飛車編)』38頁-39頁の手順を応用。
  18. ^ 『先手三間飛車破り』p.17-p.19
  19. ^ 『羽生の頭脳(急戦、中飛車・三間飛車破り)』p.17
  20. ^ 『羽生の頭脳(急戦、中飛車・三間飛車破り)』p.18
  21. ^ 『羽生の頭脳(急戦、中飛車・三間飛車破り)』p.19
  22. ^ 『羽生の頭脳(急戦、中飛車・三間飛車破り)』p.23
  23. ^ 『コーヤン流三間飛車の極意(急戦編)』
  24. ^ 『羽生の頭脳(急戦、中飛車・三間飛車破り)』p.47
  25. ^ 『コーヤン流三間飛車の極意(急戦編)』
  26. ^ 『イメージと読みの将棋観・2』p.150
  27. ^ 『コーヤン流三間飛車の極意(急戦編)』
  28. ^ 『居飛車対振り飛車I』p.130
  29. ^ 『居飛車対振り飛車I』p.132
  30. ^ 『居飛車対振り飛車I』p.133
  31. ^ 『コーヤン流三間飛車の極意(急戦編)』

参考文献[編集]