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エリアメール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

エリアメールとは、気象庁が配信する緊急地震速報津波警報、地方公共団体が発信する災害・避難情報などを受信することができるNTTドコモ携帯電話向けサービス。対象エリアにいる利用者に限定して配信するため、輻輳の影響を受けない。2007年12月10日に開始し、2007年12月21日からサービスを拡充した。

報道機関などでは、他社の緊急速報メールも総称して「エリアメール」と称することがあるが、エリアメールという名称はNTTドコモの登録商標(第5050018号ほか)であるため、他社は使用することができない。

概要

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  • 対象エリアにいる人は申込不要、月額使用料、通信料などは一切無料で情報を受信することができる。
  • 利用するためにはエリアメール対応機種が必要であるが、対応機種でも受信設定が必要な機種もある。
  • 受信時には、ポップアップ表示、専用の警告音で通知する。
  • 気象庁から配信された一般向け緊急地震速報を利用して最大震度5弱以上と推定した地震の際に、強い揺れ(震度4以上もしくは長周期地震動震度階級3以上)の地域(全国を約200の地域に区分)の携帯電話に一斉配信する。
  • 2007年12月21日からサービスを拡充し、これまで配信対象としてきた気象庁の緊急地震速報に加えて、地方公共団体による災害・避難情報を配信可能とした。2012年2月24日からは、気象庁の津波警報の配信が可能となった。
  • 当初は配信を希望する各事業者の規模に応じて月額料金を課していたが、東日本大震災以降の緊急速報の重要性などから、2011年7月より事業者に関係なく利用料金が無料となった。
  • 2013年7月より、緊急地震速報についてはアラーム音に「地震です」というメッセージを挿入することになり、比較的発売時期の新しい端末については、エリアメールアプリのアップデートで対応する。docomo STYLE seriesの一部については、対応予定の端末に限り、順次アップデートが行われる。
  • NTTドコモの回線を借りている格安SIM(MVNO)では受信できることがあるが、「エリアメール」という記載はウェブサイトで記載されていないことが多い。
  • なお、大雨・暴風や火山の噴火などといった特別警報発表時も配信していたが、防災ラジオや防災アプリなどが普及してきたことから、2021年10月28日に配信を終了する事を気象庁が発表していた[1]。しかし、「避難に必要な情報が得られなくなるのではないか」などの意見が寄せられたことに加え、気象庁も地方自治体が住民に対して避難情報を適切に提供しているか調査した上で改めて配信継続の可否についての判断を行いたいとして一旦終了を延期することになったが[2]、結果として、2022年末に終了した[3]

配信方式

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  • CBS方式 - 配信に5 - 6秒。Cell Broadcast Serviceの略称。
  • ETWS方式 - 配信に3 - 4秒。Earthquake and Tsunami Warning Systemの略称。FOMAの従来型携帯電話では、2010年冬モデル以降は、順次ETWS方式を採用している。XiのタブレットおよびFOMAデュアルモードのスマートフォンモデルは当初から対応[4]

注意事項

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  • 音声通話中、iモードなどのパケット通信中、その他の通信中であった場合は、受信できない[5]
  • 通常の携帯電話のサービスと同様、圏外では一切受信できない。また電波状態が悪い場合などは受信できないことがある[5]。但し、XiのETWS方式対応端末では、ドコモのエリア外、かつ、他携帯電話事業者のエリア内で条件が合致すれば、他携帯電話事業者がETWS方式で送出した緊急速報を受信できる場合がある。
  • エリアメールは特定エリア内の携帯電話に対する一斉同報システムであるので、(iモードメールのような)受信できなかった場合の個別再送信は行われない[5]
  • 以上のことから、避難指示のように確達性が求められる情報は、エリアメール以外の複数の手段による伝達や、近所同士の声掛けにより補完することが望まれる。
  • 緊急地震速報については、実際の揺れの到達の前にエリアメールが届くとは限らない[5]
  • 2008年冬モデル以降の携帯電話は、購入時に受信する設定となっているが、FOMAの906i・905i・706i・705i・らくらくホンの各シリーズの対応機種では、事前に受信設定が必要。
  • 現在地と異なるエリアに関する情報を受信する場合がある。
  • 日本のみのサービスであり、日本国外では利用できない。
  • 電子メールの受信拒否設定に関わらず、強制受信する。
  • 受信したエリアメールは、電子メールの受信BOXに保存される。保存できる件数は機種に依存する。スマートフォンの場合、エリアメール専用アプリがインストールされており、そこに保存される機種もある。ただし、iPhoneの場合は履歴としては残らず、通知を消してしまうと再度確認することはできない。

経緯

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利用料金

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  • 携帯電話の利用者は通信料、情報料ともに無料。
  • 国や地方公共団体である自治体の配信のための初期費用および月額利用料(市区町村の場合2万1000円)は2011年7月1日以降無料[15]

配信項目

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緊急地震速報を受信できるエリア

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  • 日本

津波警報を受信できるエリア

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2012年2月24日から沿岸部に配信を開始[17]

災害・避難情報を受信できるエリア

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最新の配信元については、配信を行う機関名・配信を行う地方公共団体を参照。
※2012年1月時点で配信を行っていた地方公共団体

対応機種

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対応機種以外では利用できない。

2010年冬モデルの一部からETWS方式へ規格が変更されている。2013年7月下旬に開始された、緊急地震速報の警告音に「地震です」という音声が挿入される端末については、X-xxD以降の一部の端末にはアップデートで対応し、今後発売予定の端末には当初から搭載された。

出典

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  1. ^ 気象庁が気象・噴火の特別警報の「緊急速報メール」配信終了へ、地震や津波は継続”. ケータイ Watch (2021年10月13日). 2021年10月13日閲覧。
  2. ^ 特別速報メール「配信終了」は白紙に 気象庁”. 産経新聞 (2021年10月15日). 2021年10月16日閲覧。
  3. ^ a b 株式会社インプレス (2022年10月19日). “気象庁、大雨などの緊急速報メール廃止 避難には遅く「かえって混乱」”. Impress Watch. 2023年12月15日閲覧。
  4. ^ NTTドコモが新災害対策発表、基地局の電源確保などに205億円日経PC online
  5. ^ a b c d 緊急速報「エリアメール」 - ご注意事項”. 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ. 2013年9月17日閲覧。
  6. ^ ドコモ、緊急速報サービス「エリアメール」を12月10日開始 ケータイ Watch 2007年11月25日付
  7. ^ 節電呼びかけメール、国が送信 東電管内2420万人に”. 朝日新聞 (2011年3月14日). 2011年3月20日閲覧。
  8. ^ チェーンメール? 節電要請メールの出所が分からず混乱”. 産経新聞 (2011年3月14日). 2011年3月20日閲覧。
  9. ^ 内閣官房/エリアメールで国民に呼びかけ”. 流通ニュース (2011年3月16日). 2011年3月20日閲覧。
  10. ^ 政府からの「Jアラート」を携帯各社の緊急メールで配信 避難・救援・弾道ミサイル発射情報など ケータイwatch 2014年3月28日付
  11. ^ ドコモ、緊急地震速報などの「エリアメール」を多言語化 - 5カ国語に対応 マイナビニュース 2015年4月13日付
  12. ^ ドコモ、緊急速報「エリアメール」が“やさしい日本語”に対応 CNET Japan 2015年8月26日付
  13. ^ 大手携帯キャリア3社、エリアメールおよび緊急速報メールでの「特別警報」の配信を開始へ iPhone Mania 2015年11月16日付
  14. ^ 3キャリアの「エリアメール」と「緊急速報メール」が「洪水情報」に対応 マイナビニュース 2016年9月1日付
  15. ^ ドコモ、国・自治体向け「エリアメール」利用料を無料に”. Impress Watch (2011年6月27日). 2011年6月28日閲覧。緊急速報「エリアメール」(災害・避難情報)のご利用料金を改定2011年6月27日付け・NTTドコモ、及び読売新聞2011年6月28日13版8面
  16. ^ 災害・避難情報を配信する府省一覧 (PDF) -NTTドコモ(2017年9月2日閲覧)
  17. ^ 新たな災害対策の取り組み状況”. NTTドコモ. p. 24/26 (2012年2月23日). 2012年3月28日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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