仮想移動体通信事業者

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

仮想移動体通信事業者(かそういどうたいつうしんじぎょうしゃ、英語: Mobile Virtual Network Operator, MVNO)とは、無線通信回線設備を開設・運用せずに、自社ブランド携帯電話PHSなどの移動体通信サービスを行う事業者のことである。通信サービスの提供には移動体通信事業者(MNO)の卸売をうけたり、仮想移動体サービス提供者(MVNE)の機能を利用したりする。

なお、総務省による定義では、「MNOの提供する移動通信サービスを利用して、又はMNOと接続して、移動通信サービスを提供する電気通信事業者であって、当該移動通信サービスに係る無線局基地局)を自ら開設しておらず、かつ、運用をしていない者」である[1]

概略[編集]

移動体通信サービスにおけるOEM製品ともいえる。MVNOは、物理的な移動体回線網設備の負担なくサービスを提供できる。MNO・MVNEは、MVNOの販売・営業体制を活用することができる。

卸売と相互接続の形態がある。また、両者間の契約形態(帯域貸しなどその他)から、同程度のサービスを、卸元よりも卸先が安価に提供することも多い。

日本におけるMVNO[編集]

2015年平成27年)時点の日本で、MNOであるMVNOを除くMVNOは、NTTドコモKDDIの携帯電話、UQコミュニケーションズモバイルWiMAXを利用したものがある。また、MNOによるMVNOは、KDDI+WiMAXソフトバンクSoftBank 4Gなどがある。

日本でのMVNO第一号は、ウィルコム(現・ソフトバンク)のPHS回線を利用した、2001年の日本通信 b-mobile(ビーモバイル)である。2009年(平成21年)からは、NTTドコモ網のレイヤー2接続が開始された。

テレコムサービス協会は、MVNOの普及、認知度向上を目的として「しむし」というゆるキャラを作成した[2]

電話番号は、概ね関東甲信越地域で卸元と契約した場合に発番される番号が割り当てられる(ディズニー・モバイルは、契約した各地域毎の番号帯が割り当てられる)。ただし、Y!mobileの自社回線[3]は、開業当初から全国一社体制だった関係もあり、地域別の附番は行っていないため、総務省が同社割り当てた番号帯のいずれも附番されうる。

音声通話系[編集]

音声通話MVNO
名称 MVNO MVNE MNO サービス 備考
開始 新規加入停止 廃止
.Phoneユビキタス NTTコミュニケーションズ
050IP電話
Y!mobile
PHS
2009年 NTTコミュニケーションズや無料通話先プロバイダを通話相手とした音声通話定額制
楽天モバイル for Business 楽天コミュニケーションズ
050IP電話
2009年4月15日 自社IP電話回線と併用する形でのFMCサービス
ディズニー・モバイル・オン・ドコモ ウォルト・ディズニー・ジャパン NTTドコモ 2012年2月1日
ディズニー・モバイル・オン・ソフトバンク ソフトバンク 2008年3月1日 2017年後半 「ディズニースタイル」「ディズニーマーケット・オン・ソフトバンク」開始

SIMカード型[編集]

データ通信回線の提供を主とするサービスで、「格安SIM」とも呼ばれる。通信端末は、MNOが販売した白ロム端末または、一般のSIMロックフリー端末を使用することができる。回線の契約とは別に、一部のMVNOはSIMロックフリー端末を販売している。

名称 MVNO MVNE MNO サービス開始 備考
OCN モバイル ONE NTTコミュニケーションズ NTTドコモ 2013年8月29日
IIJmio高速モバイル/Dサービス インターネットイニシアティブ NTTドコモ 2012年2月27日
U-mobile U-NEXT フリービット NTTドコモ 2013年9月
BIGLOBE SIM ビッグローブ NTTドコモ 2014年7月1日

課金体系[編集]

SIMカード型サービスのデータ通信の課金体系は下記のようなものがある。

  • 高速で通信可能な通信量が決まっており、それ以上の通信は速度が規制されるもの。1ヶ月を単位として通信量を計算することが多いが、OCNは1日単位とするプランもある。
    • MVNOによっては、専用アプリの操作で低速モードに切り替えることにより、高速で利用可能な通信量を消費しないようにすることができる
    • 特定サービスの利用に関する通信は通信量の計算に含まないMVNOもある
  • 速度は中速(LTE方式で数Mbps)だが、総通信量には制限がないもの。

サービス終了または、事業撤退[編集]

サービス終了MVNO
名称 MVNO MVNE MNO サービス 備考
開始 新規加入停止 廃止
J:COM MOBILE ジュピターテレコム ウィルコム 2006年 2013年3月31日 PHS直収電話とのFMC
通話料にオプション割引制度
talkingSIM 日本通信   NTTドコモ 2010年7月30日 2013年5月16日   UIMカードのみ
talking b-microSIM Platinum Service SIMフリー版のiPhone4向けmicroSIM
WILLCOM CORE 3G ウィルコム ソフトバンクモバイル 2012年 2014年8月 PHSとの組み合わせを音声でも提供開始
EMOBILE 4G-S イー・アクセス ソフトバンクモバイル3G
Wireless City Planning AXGP
2013年8月20日 2014年8月 自社回線を一切利用しない
ECナビケータイ ECナビ インフォニックス
セレクトモバイル
au電話
CDMA 1X WIN
2009年8月3日 2012年7月27日 2013年2月28日 初期投資での資金不足により基盤ごとKDDIに移管[4]
Tigersケータイ 阪神タイガース 2010年5月24日
受付開始5月10日
GIANTSケータイ 読売ジャイアンツ 2010年6月30日
受付開始6月10日
JALマイルフォン 日本航空インターナショナル 2010年5月18日 2013年6月30日
ベネッセモバイルFREO ベネッセコーポレーション ソフトバンクテレコム ソフトバンクモバイル 2010年2月9日 2010年5月15日 2011年2月28日 進研ゼミ会員を対象
VERTU
ヴァーチュ
ノキア NTTドコモ
国際ローミングサービスWORLD WING対応
2009年5月 2011年8月31日
スマートフォンの台頭などによるVERTU事業・ノキア業績悪化のため
銀座旗艦店をオープン。プラチナ宝石螺鈿をちりばめた職人手作りの端末、電話やメールでホテルやレストラン、航空券の予約などを行える"VERTU Club"コンシェルジュ[5]
高級携帯電話 MVNO
VERTU Constellation

なお、MVNOとは称していなかったが、現在で言うMVNOに近いものとして、次のサービスがあった。YOZAN時代末期のアステル東京が2004年9月より「全国コールサービス」としてDDIポケット(当時)網に接続するサービスを開始したが、その実態はアステル電話機にDDIポケットの番号を書き込むというものであった(旧番号への着信は1ヶ月間無料で新番号に転送された)。これにより自社網は一切使えず、通話以外の機能は使えなかった。対象者は同年8月末時点での契約者に限られ、2005年3月に受付終了、同年11月30日にアステル東京自体がサービス終了した。同サービス利用者のウィルコムへの移行は番号変更なしでできた。

データ通信系[編集]

契約数[編集]

日本におけるMVNOは、2013年頃に「格安SIM」や「SIMフリー」などのキーワードがマスコミなどによって取り上げられ[6]、一般ユーザーに浸透した。この時期から契約数が急速に伸びている[7][8]

MVNO(MNOであるMVNOを除く)サービスの契約数の推移
時期 サービスの契約数
(万件)
移動系通信の契約数に占める比率
(%)
備考
携帯電話
PHS
BWA 携帯電話
PHS
BWA
2013年9月 485 127 611 4.2
2013年12月 537 132 669 4.6
2014年3月 596 143 739 4.9
2014年6月 644 147 792 5.2
2014年9月 687 154 841 5.5
2014年12月 735 158 893 5.8
2015年3月 786 166 952 6.1
2015年6月 836 161 997 6.3
2015年9月 901 163 1,063 6.7
2015年12月 991 164 1,155 7.2

法規制[編集]

MVNO/MVNEの提供役務に関しても、音声通話が可能となる通信端末やSIMカード等は、携帯電話不正利用防止法の規制対象となり、契約者の本人性確認の義務付けや、不正な譲渡の禁止等がなされている。なお、データ通信専用となる通信端末やSIMカード等は、同法の規制対象外である。

一部のMVNO/MVNE事業者では、データ通信専用となる通信端末やSIMカード等について本人確認書類の授受を省略しているものがある。

脚注[編集]

[ヘルプ]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]