仮想移動体通信事業者
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仮想移動体通信事業者(かそういどうたいつうしんじぎょうしゃ、英語: Mobile Virtual Network Operator, MVNO)とは、無線通信回線設備を開設・運用せずに、自社ブランドで携帯電話やPHSなどの移動体通信サービスを行う事業者のことである。通信サービスの提供には移動体通信事業者(MNO)の卸売をうけたり、仮想移動体サービス提供者(MVNE)の機能を利用したりする。
なお、総務省による定義では、「MNOの提供する移動通信サービスを利用して、又はMNOと接続して、移動通信サービスを提供する電気通信事業者であって、当該移動通信サービスに係る無線局(基地局)を自ら開設しておらず、かつ、運用をしていない者」である[1]。
目次
概略[編集]
移動体通信サービスにおけるOEM製品ともいえる。MVNOは、物理的な移動体回線網設備の負担なくサービスを提供できる。MNO・MVNEは、MVNOの販売・営業体制を活用することができる。
卸売と相互接続の形態がある。また、両者間の契約形態(帯域貸しなどその他)から、同程度のサービスを、卸元よりも卸先が安価に提供することも多い。
日本におけるMVNO[編集]
2017年時点の日本で、MNOによるMVNOを除くMVNOは、NTTドコモ・KDDIの携帯電話網、UQコミュニケーションズのモバイルWiMAXを利用したものがある。また、MNOによるMVNOは、KDDIの+WiMAXやソフトバンクのSoftBank 4Gなどがある。
日本でのMVNO第1号は、2001年の日本通信 b-mobile(ビーモバイル)で、DDIポケット(現・ソフトバンク)のPHS網を利用した。同社は2009年からNTTドコモ網のレイヤー2接続も開始している。
2016年12月時点で、600社以上がMVNOに参入している[2]。
テレコムサービス協会は、MVNOの普及、認知度向上を目的として「しむし」というゆるキャラを作成した[3]。
電話番号は、概ね関東・甲信越地域で卸元と契約した場合に発番される番号が割り当てられる(ディズニー・モバイルは、契約した各地域毎の番号帯が割り当てられる)。ただし、Y!mobileの自社回線[4]は、開業当初から全国一社体制だった関係もあり、地域別の附番は行っていないため、総務省が同社割り当てた番号帯のいずれも附番されうる。
音声通話系[編集]
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| 名称 | MVNO | MVNE | MNO | サービス | 備考 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 開始 | 新規加入停止 | 廃止 | |||||
| .Phoneユビキタス | NTTコミュニケーションズ 050IP電話 |
Y!mobile PHS |
2009年 | NTTコミュニケーションズや無料通話先プロバイダを通話相手とした音声通話定額制 | |||
| 楽天モバイル for Business | 楽天コミュニケーションズ 050IP電話 |
2009年4月15日 | 自社IP電話回線と併用する形でのFMCサービス | ||||
| ディズニー・モバイル・オン・ドコモ | ウォルト・ディズニー・ジャパン | NTTドコモ | 2012年2月1日 | ||||
| ディズニー・モバイル・オン・ソフトバンク | ソフトバンク | 2008年3月1日 | 2015年9月30日 | 2017年後半 | 「ディズニースタイル」「ディズニーマーケット・オン・ソフトバンク」開始 | ||
SIMカード型[編集]
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データ通信回線の提供を主とするサービスで、「格安SIM」とも呼ばれる。
通信端末には、当該MVNOと対応するMNOが発売した端末、または、SIMフリー端末を使用することができる。ただし、MNOにより使用周波数帯が異なるため、使用する端末が対応しているかを当該MVNOのウェブサイト等であらかじめ確認する必要がある。一部のMVNOは独自に対応を確認したSIMフリー端末を販売している。
メインで使用している格安SIMのシェア(2017年3月)[5]
NTTドコモ系[編集]
| 名称 | MVNO | MVNE | サービス開始 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| OCN モバイル ONE | NTTコミュニケーションズ | NTTコミュニケーションズ | 2013年8月29日 | NTTドコモの兄弟会社 |
| ASAHIネット LTE | ASAHIネット | 2013年3月4日 | ||
| NifMo | ニフティ | 2014年11月26日 | ||
| ぷららモバイルLTE | ぷらら | 2013年11月1日 | NTTコミュニケーションズの関連会社 | |
| IIJmio | インターネットイニシアティブ | インターネットイニシアティブ | 2012年2月27日 | |
| exciteモバイル | エキサイト | 2012年7月26日 | ||
| DMM mobile | DMM.com | 2014年12月17日 | ||
| Tikimo SIM | エヌディエス | 2015年6月26日 | ||
| hi-ho LTE | ハイホー | 2012年3月1日 | IIJの完全子会社 | |
| b-mobile | 日本通信 | 日本通信 | ||
| U-mobile MAX | U-NEXT | |||
| TONE | TONEモバイル | フリービット | 2013年11月 | |
| U-mobile 通話プラス、データ専用 | U-NEXT | 2013年9月2日 | ||
| DTI SIM | ドリーム・トレイン・インターネット | 2015年9月17日 | ||
| mineo ドコモプラン | ケイオプティコム | ケイオプティコム | 2015年9月1日 | |
| Fiimo Dプラン | STNet | 2016年2月15日 | ||
| BIGLOBE SIM | ビッグローブ | 2014年7月1日 | ||
| FREETEL SIM | プラスワンマーケティング | |||
| ペンギン モバイル | 日本自由化事業協会 | 2015年11月1日 | ||
| LINE モバイル | LINE | 2016年10月1日 | ||
| 楽天モバイル | 楽天 | 2014年10月29日 | ||
| WirelessGate SIM | ワイヤレスゲート | 2014年9月1日 | ||
| SkyLinkMobile | エレコム | 2014年9月1日 | ||
| ポインティSIM | アクセリア | |||
| Wonderlink | パナソニック | |||
| ファンダム支援SIM | アイストリーム | |||
| インターリンクLTE SIM | インターリンク | 2014年7月8日 | ||
| もしもシークス | エックスモバイル | 不明 | ||
| NEW LIFE MOBILE | NEW LIFE MOBILE | 2015年5月26日 | FC展開 |
au系[編集]
| 名称 | MVNO | MVNE | サービス開始 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| UQ mobile | UQコミュニケーションズ | UQコミュニケーションズ | 2014年12月18日 | KDDIの関連会社 |
| J:COM MOBILE | ジュピターテレコム | 2015年10月29日 | KDDIの子会社 | |
| mineo auプラン | ケイオプティコム | ケイオプティコム | 2014年6月3日 | |
| Fiimo Aプラン | STNet | 2016年2月15日 | ||
| IIJmio | インターネットイニシアティブ | 2016年10月1日 |
ソフトバンク系[編集]
| 名称 | MVNO | MVNE | サービス開始 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| b-mobile S | 日本通信 | 日本通信 | 2017年3月 | |
| U-mobile S | U-NEXT | 2017年3月 | ソフトバンク回線 | |
| U-mobile SUPER | U-NEXT | 2016年6月 | ワイモバイル回線 | |
| Hitスマホ | 飛騨高山ケーブルネットワーク | 2016年8月 |
課金体系[編集]
SIMカード型サービスのデータ通信の課金体系は下記のようなものがある。
- 高速で通信可能な通信量が決まっており、それ以上の通信は速度が規制されるもの。1か月を単位として通信量を計算することが多いが、MVNOによっては1日単位とする契約プランもある
- MVNOによっては、専用アプリの操作で低速モードに切り替えることにより、高速で利用可能な通信量を消費しないようにすることができる
- 特定サービスの利用に関する通信は通信量の計算に含まないMVNOもある
- 速度は中速または低速だが、総通信量には制限がないもの
- 規定の通信量に達すると、追加料金を支払わなければ所定の期間中は通信不可能になるもの
- プリペイド方式で、利用可能期間と通信量が決まっているもの。なお、プリペイド方式では、本人確認不要にするため通話機能をなくしデータ通信専用とするのが一般的である
サービス終了または、事業撤退[編集]
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| 名称 | MVNO | MVNE | MNO | サービス | 備考 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 開始 | 新規加入停止 | 廃止 | |||||
| J:COM MOBILE | ジュピターテレコム | ウィルコム | 2006年 | 2013年3月31日 | PHSと直収電話とのFMC 通話料にオプション割引制度 |
||
| talkingSIM | 日本通信 | NTTドコモ | 2010年7月30日 | 2013年5月16日 | UIMカードのみ | ||
| talking b-microSIM Platinum Service | SIMフリー版のiPhone4向けmicroSIM | ||||||
| WILLCOM CORE 3G | ウィルコム | ソフトバンクモバイル | 2012年 | 2014年8月 | PHSとの組み合わせを音声でも提供開始 | ||
| EMOBILE 4G-S | イー・アクセス | ソフトバンクモバイル3G Wireless City Planning AXGP |
2013年8月20日 | 2014年8月 | 自社回線を一切利用しない | ||
| ECナビケータイ | ECナビ | インフォニックス セレクトモバイル |
au電話 CDMA 1X WIN |
2009年8月3日 | 2012年7月27日 | 2013年2月28日 | 初期投資での資金不足により基盤ごとKDDIに移管[6] |
| Tigersケータイ | 阪神タイガース | 2010年5月24日 受付開始5月10日 |
|||||
| GIANTSケータイ | 読売ジャイアンツ | 2010年6月30日 受付開始6月10日 |
|||||
| JALマイルフォン | 日本航空インターナショナル | 2010年5月18日 | 2013年6月30日 | ||||
| ベネッセモバイルFREO | ベネッセコーポレーション | ソフトバンクテレコム | ソフトバンクモバイル | 2010年2月9日 | 2010年5月15日 | 2011年2月28日 | 進研ゼミ会員を対象 |
| VERTU ヴァーチュ |
ノキア | NTTドコモ 国際ローミングサービスWORLD WING対応 |
2009年5月 | 2011年8月31日 スマートフォンの台頭などによるVERTU事業・ノキア業績悪化のため |
銀座に旗艦店をオープン。金、プラチナ、宝石、螺鈿をちりばめた職人手作りの端末、電話やメールでホテルやレストラン、航空券の予約などを行える"VERTU Club"コンシェルジュ[7] | ||
なお、MVNOとは称していなかったが、現在で言うMVNOに近いものとして、次のサービスがあった。YOZAN時代末期のアステル東京が2004年9月より「全国コールサービス」としてDDIポケット(当時)網に接続するサービスを開始したが、その実態はアステル電話機にDDIポケットの番号を書き込むというものであった(旧番号への着信は1ヶ月間無料で新番号に転送された)。これにより自社網は一切使えず、通話以外の機能は使えなかった。対象者は同年8月末時点での契約者に限られ、2005年3月に受付終了、同年11月30日にアステル東京自体がサービス終了した。同サービス利用者のウィルコムへの移行は番号変更なしでできた。
データ通信系[編集]
契約数[編集]
日本におけるMVNOは、2013年頃に「格安SIM」や「SIMフリー」などのキーワードがマスコミなどによって取り上げられ[8]、一般ユーザーに浸透した。この時期から契約数が急速に伸びている[9][10]。
| 時期 | サービスの契約数 (万件) |
移動系通信の 契約数に占める比率 (%) |
||
|---|---|---|---|---|
| 携帯電話・PHS | BWA (モバイルWiMAX・AXGP) |
合計 | ||
| 2013年9月 | 485 | 127 | 611 | 4.2 |
| 2013年12月 | 537 | 132 | 669 | 4.6 |
| 2014年3月 | 599 | 143 | 742 | 5.0 |
| 2014年6月 | 648 | 147 | 795 | 5.3 |
| 2014年9月 | 691 | 154 | 845 | 5.5 |
| 2014年12月 | 740 | 158 | 898 | 5.8 |
| 2015年3月 | 791 | 166 | 958 | 6.1 |
| 2015年6月 | 845 | 161 | 1,006 | 6.4 |
| 2015年9月 | 910 | 163 | 1,073 | 6.7 |
| 2015年12月 | 999 | 164 | 1,163 | 7.2 |
| 2016年3月 | 1,102 | 167 | 1,269 | 7.8 |
| 2016年6月 | 1,176 | 169 | 1,346 | 8.2 |
| 2016年9月 | 1,256 | 171 | 1,427 | 8.6 |
| 2016年12月 | 1,314 | 171 | 1,485 | 8.9 |
法規制[編集]
MVNO/MVNEの提供役務に関しても、音声通話が可能となる通信端末やSIMカード等は、携帯電話不正利用防止法の規制対象となり、契約者の本人性確認の義務付けや、不正な譲渡の禁止等がなされている。その為、契約において身分証明書の提出が必要となり、解約の際には違約金が発生する。なお、データ通信専用となる通信端末やSIMカード等は、同法の規制対象外である。
一部のMVNO/MVNE事業者では、データ通信専用となる通信端末やSIMカード等について本人確認書類の授受を省略しているものがある。
外国におけるMVNO[編集]
イギリスやイタリアなどでは、郵便局のMVNO事業参入が行われて、アメリカでは、MVNOを保護する法規制は存在しないため、ネットワークを安価に調達することが難しく、価格面でのMNOとの差別化が困難になっている[12]。
脚注[編集]
- ^ “MVNOに係る電気通信事業法及び電波法の適用関係に関するガイドライン(再改定)” (プレスリリース), 総務省, (2008年5月19日) 2015年11月4日閲覧。
- ^ 房野麻子・ITmedia「IIJmio meeting 15:MVNOはなぜドコモ系が多いのか? MNOはMVNOに“いじわる”できる? 総務省が解説」『ITmedia Mobile』アイティメディア株式会社、2017年4月26日
- ^ 【ニュース】業界の現状や展望について話し合う「MVNOフォーラム」開催、キャラクター「しむし」選ばれる
- ^ EMOBILE 4G-S契約は、ソフトバンク関東・甲信地域(旧・ジェイフォン東京)の番号帯が割り当てられる。
- ^ 「MMD研究所 調査データ 2017年3月格安SIMサービスの利用動向調査」 MMD研究所、2017年3月
- ^ 〈お知らせ〉 「JALマイルフォン」、「Tigersケータイ」、「GIANTSケータイ」および「ECナビケータイ」に係るMVNO事業の譲り受け完了について
- ^ VERTU端末向けサービス「VERTU Club」発表(ITMedia)
- ^ SIMフリーとは? | OCN プロバイダ(インターネット接続)
- ^ 格安SIMの今後はどうなるのかをMVNOの中の人に聞いてみた
- ^ “電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表 (平成28年度第2四半期(9月末))” (プレスリリース), 総務省, (2016年12月16日) 2016年12月16日閲覧。
- ^ “電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表 (平成28年度第3四半期(12月末))” (プレスリリース), 総務省, (2017年3月21日) 2017年6月1日閲覧。
- ^ “MVNOの深イイ話:海外のMVNOから学ぶべきこと”. (2016年1月29日) 2016年11月26日閲覧。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
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