とある魔術の禁書目録の登場人物

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とある魔術の禁書目録の登場人物(とあるまじゅつのインデックスのとうじょうじんぶつ)では、鎌池和馬ライトノベル作品(電撃文庫刊)およびそれを原作とする漫画CDドラマテレビアニメとある魔術の禁書目録』に登場する人物とその能力について解説する。声優は、ラジオドラマ・ドラマCD版、テレビアニメ版で共通。

英語表記は公式サイト[1]より。

キャラクター五十音索引

あ行 は行
か行 ま行
さ行 や行
た行 ら行
な行 わ行
他  0 1 2

科学サイド(学園都市)

とある高校

生徒

上条 当麻(かみじょう とうま)
声 - 阿部敦
本作の主人公。学園都市のとある高校に通う、右手に「幻想殺し(イマジンブレイカー)」という力を持つ少年。自他ともに認める不幸体質。
土御門 元春(つちみかど もとはる)
声 - 勝杏里
上条の寮の隣室の住人にして高校のクラスメイト。
青髪 ピアス(あおがみ ピアス)
声 - 川原慶久
上条や土御門の親友で学級委員の高校1年生。本名不明[注 1]
世界三大テノールも驚く野太い声で[要出典]エセ関西弁を話す、長身の自称関西人。級友からは、友人の上条や土御門と共に「クラスの三バカ(デルタフォース)」の一角として認知されている。登場シーンは3人でオタク談義を行っていることが多く、他の2人以上に豊富なオタク知識や嗜好を持つ。特に好みの女性のタイプを述べた際は、電撃文庫の1ページが半分埋まるほど[要出典]のタイプを(ショタも含め)列挙した。メイド服似の制服を目当てに、とあるパン屋で下宿している。
小萌に対して一定の価値観を置いており、夏休みの宿題を彼女に褒められたくて全部やったのに、彼女の補習を受けたい一心で全て家に置いてくる。また、小萌の住所を知っているため、作中では「ロリコン」「マゾ」「ストーカー」などと表現されている。
能力はレベルを含めて不明。また上記のように小萌目当てにわざと補習を受けていることもあるため、本当に成績が悪いのかすらわからない。
『超電磁砲』では「天賦夢路(ドリームランカー)」の中でも伝説と謡われるSランカーBLAU(ブラウ)として登場。芸能人や超能力者の常盤台組を題材にした卑猥な夢を配布していたことがバレて、美琴から制裁を受けたうえで食蜂に記憶を消された。
新約ではオティヌスの作り出した世界で懐中電灯を武器に上条に襲いかかった。この時、初めて標準語を話すなど不気味な雰囲気を醸し出していた。12月の防犯オリエンテーションでは暴漢役を演じるが、どこからか入手した女物のパンティを頭から被るという変態ぶりで乙女を泣かせ、激怒した吹寄が連射した刺股で首などを刈られて磔にされ失神する。
創約では12月24日には人肌が恋しくなってシリコン製のおっ○いマウスパッドを電子レンジで加熱するという愚行に及び、両手を火傷してクリスマスを入院して過ごす羽目になっている。
姫神 秋沙(ひめがみ あいさ)
声 - 能登麻美子
上条のクラスメイトの高校1年生。元霧ヶ丘女学院の生徒。「原石」の一人。
表情の変化が少ない長い黒髪の少女。しかし、全くの無表情というわけでもなく、むしろ一切の攻撃性を感じさせない、安心感を与える顔立ち。[要出典]初登場時は巫女装束姿。原作や漫画では読点(、)を使うべき箇所で句点(。)を使った話し方で表記される。Cカップ。
もともとは京都の小さな山村で生活していたが、10年前、自分の能力を恐れた吸血鬼に命を狙われた際に、結果として吸血鬼化した故郷の住人達を皆殺しにしてしまった過去を持つ。それ以来、能力の弊害を防ぐ術を求め、学園都市に訪れるが、希少能力者であったことから三沢塾による軟禁生活を送ることとなる。その後、吸血鬼を欲するアウレオルスが三沢塾を乗っ取り、互いの目的のために彼に協力していたが、三沢塾の事件で自暴自棄になったアウレオルスに殺されそうになったところを上条とステイルに救出される。
事件後は、イギリス清教からもらった「歩く教会」の力を簡略化したケルト十字架で能力を制御したことで、吸血鬼を呼び寄せる心配はなくなった。だが、これによって無能力者と判定されて霧ヶ丘女学院を退学させられ、8月中は一時的に小萌の家に居候することになり、その後、2学期より上条の高校へ転入した際に学校の寮へ引っ越す。転校後は同級生の吹寄と仲が良く、男子相手にも物怖じしない姿に憧憬を抱いている。なお、この十字架を持っていたため、大覇星祭ではイギリス清教の魔術師と間違えられてオリアナに襲撃され重傷を負うが、小萌とステイルが魔術で治療した事で一命を取り留めた。
12月26日には急遽アメリカに行く事になった上条から自宅の荷物を取ってきて欲しいと頼まれ、ちゃっかり合鍵の位置を確認していた。
能力は「吸血殺し(ディープブラッド)」。学園都市に来る前から持っており、「原石」の能力の一つ。自分の意思と無関係に、吸血鬼を食虫植物のごとく誘い出し、自身の血を吸った吸血鬼を無差別に灰に帰してしまう。この能力によって吸血鬼が存在することが証明される。
漫画版では原作第2巻の内容が描かれていないため未登場だったが、原作と同じ2学期に上条の高校に転入してきた謎の転校生として登場している。また、コンビニのATMのシーンが上条との初めての会話となっている。
吹寄 制理(ふきよせ せいり)
声 - 藤村歩
上条のクラスメイトの高校1年生。
背はクラスでも高い方で、巨乳でスタイルも良い美人だが、ちっとも色っぽくない鉄壁の女[2]。大覇星祭実行委員に立候補し、全力で活動するなど典型的な仕切り屋タイプ。また、通販好きの健康オタクで、怪しい健康グッズや健康食品などを多く持っている。
クラスメイト(特に男子生徒)からは「対カミジョー属性完全ガードの女」と呼ばれている。「不幸という屁理屈で人生に手を抜く輩は大嫌い」とも豪語しており、「不幸」が口癖の上条には厳しく接する。男勝りな性格からも、上条とは友人的なポジションにいる。三バカが学校で引き起こす問題行動に対して制裁を加えるが、やり過ぎて教師から一緒に怒られることも多い。
大覇星祭初日に運営として玉入れの会場で働いていた際、オリアナが仕掛けていた「速記原典」による攻撃を受けて負傷するが、上条の幻想殺しによる処置を受けた後、冥土帰しの病院に搬送され一命を取り止める。
新約の防犯オリエンテーションでは、変態的行為で乙女を泣かせた青髪ピアスに激怒して刺股の連射で仕留め、その勢いのまま上条や土御門を攻撃する。大熱波の際には上条や青髪ピアスと共に「水狩」の一員として校外で活動した。
創約ではクリスマスに入院することになった青髪ピアス達を見舞いに来た。26日には急遽アメリカに行くことになった上条から自宅の荷物を取ってくるよう頼まれる。
雲川 芹亜(くもかわ せりあ)
声 - 藤井ゆきよ[3]
上条の高校の先輩。統括理事貝積継敏のブレイン。雲川鞠亜の姉。
底辺校の生徒だが、非常に頭脳明晰な巨乳(Gカップ)の美少女。「けど」という語尾が特徴。貝積のブレインとして様々な情報に精通しており、上条の「幻想殺し」を知っている模様。話術のみで人心の掌握を行い、現在の地位に君臨している。また、肉体損傷に備えて「瓶詰工場」で肉体のスペアパーツをいくつも用意している。
刺激溢れた今の生活を愛しており、刺激の中心になる上条の不幸を面白いと気に入っている。記憶喪失前の上条とは親交があり、彼との関係性を大切にして暗部などのしがらみを持ち込まない関係を保とうとしている。また、上条が記憶喪失になったことも知っている模様[4]。上条への好意や心理戦を得意とするという共通点から、食蜂とはライバルのような関係。上条への好意はかなり強く、食蜂に彼が自分の悪口を言っていたというあからさまな嘘を聞かされた時には普段の冷静な態度が崩れて涙目になり、彼がラブレターをもらって自分の目の前で喜びだした(結局は誤解だった)時には殺意をのぞかせている。
世界中の「原石」を独占しようと企んだアメリカの要人ジョージ=キングダムに対し、貝積の頼みで妹達を使って「原石」達を保護する計画を立案・実行する。また、絹旗にジョージ暗殺を命令した。「人的資源」プロジェクトを貝積と共に潰そうと画策していたが、薬味に騙され黒幕が貝積だと思った土御門と交戦。丸腰にもかかわらず話術と心理的圧迫により圧倒的優位に立つが、抉り取られた眼球を触媒とした呪いという未知の技術を使用されて敗れる。「人的資源」プロジェクトが潰えた後、スペアの眼球を移植し、一連の行動のケジメとして土御門を第7学区の鉄橋で「処刑」した。食蜂が自身の記憶に不審を持った際には上条のことを出されたこともあって素直に協力し、彼女が危機に陥ることを見越して入院中の上条を第21学区に向かわせた。
12月25日にはオペレーションネーム・ハンドカフスをやり過ごすため、第6学区の遊園地でゲコ太の着ぐるみを勝手に拝借し、妹と共に「世界で一番小さな密室」に籠ってやり過ごした。12月31日には渋谷ミヤシタアークに何かがあると踏み、金銭的に貧窮した上条に「年末出稼ぎアルバイト」を提案して一緒に渋谷へ向かう。しばらく上条のバイトに付き合い、アラディアの襲撃を受けた際に逸れるが、ボロニイサキュバスに保護された彼と合流し、超絶者同士の戦闘に敗れて致命傷を負ったボロニイサキュバスの治療を上条に託され、インデックスと「旧き善きマリア」と力を合わせて蘇生させた。ミヤシタアークの調査は出来なかったものの、密かにボロニイサキュバスの服に付けておいた極小GPSで「橋架結社」の本拠地を割り出そうとする。
『超電磁砲』にも登場。「ヘソ出しカチューシャ」を名乗り、大覇星祭初日に行われた二人三脚の解説者を務めた。

教師

月詠 小萌(つくよみ こもえ)
声 - こやまきみこ
上条のクラスの担任である化学教師。
童顔と身長135cm[5][6] の容姿から小学生にしか見えない[注 2]が、教師だけあり、大学も卒業済みのれっきとした成人女性。普通免許も持っており車の運転もするが、足がペダルに届かないため、ペダルの操作を手で行える障害者用の車を使っている[注 3]。私生活はずぼらで、タバコも吸いビールも嗜む。特に飲酒においてはそうとうな酒豪。学園都市の七不思議のひとつになっていたり、一方通行に「不老不死実験の被検体」と揶揄されるほどに実年齢は物凄いことになっているらしく(少なくとも黄泉川よりは上で、地の文では熟女扱いされたこともある[7])、第5巻あとがきでは「最年長ヒロイン」と称された。教え子のことを名字+「ちゃん」(「上条ちゃん」など)で呼び、周囲からは「小萌先生」と名前の方で呼ばれる。
教えることが大好きで教育の機会を取り上げられると酷く傷つくなど、教師の鑑のような人物。出来の悪い子こそ教師が救うべき対象と考え(上条によると「出来の悪い子供を見れば見るほどニコニコの笑顔になる」)、自分の生徒を侮辱されると猛抗議する。その辺りには生徒達も感謝しており、大覇星祭では自分達を侮辱して小萌を悲しませた対戦相手をチーム一丸となって殲滅した。また、姫神や結標のような家出少女などの保護が趣味という、根っからの世話好きでもある。
科学技術が発達している学園都市でも際立つほどのオンボロアパートに住んでいる。また、秒刻みで時間がわかる正確な体内時計を持っているため、家に時計は置いていない。
能力開発の専攻は発火能力らしいが、社会心理学・環境心理学・行動心理学・交通心理学なども専門とする。また、「AIM拡散力場」に関しても豊富な知識を持ち、その知識はしばしば上条を助けている。
黄泉川 愛穂(よみかわ あいほ)
声 - 甲斐田裕子
上条の高校の体育教師。第73活動支部所属の「警備員」の一員。
尻まで届く長さのロングヘアを後ろに縛り、抜群のプロポーションが映える大人の美女であるが、服装はいつも冴えない緑のジャージ姿。「 - じゃん」という語尾が特徴。同僚の小萌とは友達に近い交流を持っているほか、芳川とも昔馴染の間柄。普段は飄々と振る舞っているが、「警備員」としての熱い側面を持つほか、何か問題があると後先を考えずに部屋の整理整頓を始める癖も持つ。教師としては「優等生より馬鹿な生徒の方が面白くて好き」らしく、そういった面々のクラスを担当している小萌を羨んでいる(黄泉川のクラスは優等生ばかり)。
過去に「警備員」として子供に武器を向け殺してしまったため、相手がたとえ上位の能力者であっても子供へ武器を向けないよう自分に制約を課している。その代わり、「あくまで防具」としてヘルメットを武器のように使って捕縛行為をする。また、ATM荒らしをした浜面達を捕まえる際には大型特殊車両でカーチェイスをし、却って被害を拡大させるような面もあることから、「シリアスをコミカルに処理する女」と評される。[要出典]そんな彼女だが、子供のために武器を向けることは迷わない。
小萌の家とは対照的に、最新設備が満載された第7学区の教員用4LDKマンション「ファミリーサイド」の2号棟13階に、実験協力という名目で住んでいる。また、電気炊飯器を万能な調理器具として用いており、これで色々な料理を作ることができる。
芳川から一方通行打ち止めの面倒を見るように頼まれ、退院した2人を自宅へ引き取り、職を失った芳川も居候させる。都市の暗部に堕ちた一方通行が距離を置いた後も彼を気に掛けており、一方通行と垣根の勝負の際にはこれに割って入り、とどめを刺そうとした一方通行を引き止めようとした。その際、垣根に腹部を刺されて重傷を負うも快復し、第三次世界大戦後は、暗部から解放された一方通行に加えて、新たに番外個体の面倒も見ている。
12月25日には警備員の一員としてオペレーションネーム・ハンドカフスに参加するが、正義が正しく回らなくなる「何か」があることに気づき、迷いを感じつつも職務に当たる。だが、警備員化学分析センターでの惨劇と警備員側の自滅によって、自分たちは事態の結末には関われないことを悟った。事件後には自首してきた浜面を迎えたが、ホルスターに入れていた銃が暴発して、被弾した浜面に瀕死の重傷を負わせてしまう。12月29日には昏睡状態が続く浜面を見舞った後、道を違え「暗部」の脱走事件を起こした鉄装を止めるために奔走し、ベニゾメからの情報提供で第10学区のゴミ焼却施設まで駆けつけて、自らの腕を犠牲に彼女を撃破する。
「警備員」という立場上、『超電磁砲』『一方通行』にもしばしば登場する。
親船 素甘(おやふね すあま)
声 - 原由実
上条の高校の数学教師。親船最中の娘。
逆三角形の眼鏡に堅いスーツ姿の女性。教師の中でも特にしつけに厳しい人物。自身の損な経験上、美人は得をするということを身をもって知っていることから、美人の恩恵を受けるために化粧や健康管理など色々努力している。
災誤(さいご)
上条の高校の教師。生活指導を担当している。
厳つい顔と巨体からゴリラと描写される。古武術の使い手で、青髪ピアスを一瞬で締め落とすほどの実力を持ち、生徒から恐れられている。落石注意ゾーンで岩盤を両手で受け止めた伝説がある。人間離れした風貌から、五和アックアと間違えて攻撃され、病院送りにされたことがある。

常盤台中学

御坂 美琴(みさか みこと)
声 - 佐藤利奈
本作のヒロインの1人。常盤台中学2年生。学園都市第3位の超能力者(レベル5)。『超電磁砲』の主人公。
白井 黒子(しらい くろこ)
声 - 新井里美
常盤台中学1年生。「風紀委員(ジャッジメント)」。所属は常盤台内部にある003支部だが、普段から初春達のいる177支部の方に入り浸っている[8]。大能力者(レベル4)。『超電磁砲』では準主人公。
茶髪ツインテールの少女。鈴のような声をしており、語尾に「 - ですの(主に事件発生時に容疑者と対峙する際の台詞「ジャッジメントですの!」)」と付けるなどのお嬢様口調が特徴(ただし汚い言葉も平気で使う)。作中では「風紀委員」として事件の表部分に関わることが多いが、「残骸(レムナント)」や「暗部」を巡る事件では主人公格として活躍する。
実家はホワイトスプリングホールディングスという持株会社で、全国規模のコンビニドラッグストアショッピングセンターを傘下に収めるカジュアル路線の怪物と評される[9]。裕福だが、古くからの名家のような、いわゆるお嬢様の家系の出身ではない。金を動かすことに肌感覚で慣れておくための社会勉強の一環として株取引を行っている。
美琴の後輩かつルームメイト。本来は美琴のルームメイトではなかったが、美琴の本来のルームメイトを「あくまで合法的に[10]」追い出して同室になった(美琴によれば「押しかけてきた」らしい)事が、黒子の言葉から明らかになっている。美琴を「優しすぎる」という理由で慕っており、彼女を「お姉様」と呼び、自身はその露払いを自称している。時には相棒として共に戦い、友人としては美琴にも認められているが、恋愛感情に基づいたアプローチをする点は変態扱いされており、しかもそのアプローチが過激なため、美琴からはたびたび電撃制裁を受けている。また、美琴と親しくなった人に対して嫉妬し、怒りを露わにしたりする。「風神雷神コンビ」として美琴と仲のいい婚后光子を目の敵にしており、会うたびに言い合いをしているが、ときには背中を預けて共闘もしたことがある。美琴が好意を寄せる上条の事は、「類人猿」呼ばわりして露骨に警戒する。
「風紀委員」で一緒に活動する初春に対しては上から目線ではあるが技能と性格を信頼していて、内心では「最高のパートナー」と認めている。初春を介して知り合った佐天とは少々距離があったが、「獄門開錠編」を経てタメ口で話す関係になる。
自他共に認める変態では有るが、成績・素行等は優良、能力レベルも高いため、学校内では次代のエース候補と目されている。何故か正義の心と矛盾する事なく不純と不真面目を極めてしまっており[11]、佐天によれば、「自分の中で絶対に曲げない信念があって、それを信じて実行する正義の人」[12]。断罪ではなく治安維持が「風紀委員」の役目である以上、守る対象は被害者だけでなく加害者も含まれると考えており、危険を冒してでも実力行使ではなく極力説得で事を収めようとする[13]。基本的には公私をキッチリと分け、「風紀委員」として行動する際は一切その素振りは見せず確実に任務をこなすなど、非常に優秀な人物でも有る。ただし、美琴とのデートを実現させるために初春を利用しようとしたりするなど、他人を巻き込むこともする。一方で、仲間思いの面もあり、美琴が何か隠し事をしていると気づいた時には、ただ黙って見守っていたりもする。美琴が本質的に自分の手助けを必要としていないことも理解しているが、走るのに疲れて座り込んだ時にそっと傍らに寄り添うことが自分の役目と自負している[14]。能力使用の関係から下着は布面積が少ないものを好み、水着もほぼ猥褻物というほどの露出の多さで周囲をドン引きさせる。幽霊が怖いといった意外な面もある[15]
小学生の時、固法と共に「風紀委員」として郵便局にいた時にその郵便局が強盗に襲われ、勝手に先走って犯人を逮捕し損ない、犯人に殺されかけたものの美琴に超電磁砲で助けられたことが本人の話で明らかになっているが、美琴はそのことを覚えていなかった。また、黒子は美琴が超電磁砲を撃ったことは気付いてはいるが、美琴が超電磁砲を撃つ場面は見ていないので超電磁砲を撃ったのが美琴であることに確信は持っていない。
7月1日からのデモンストレーションで美琴がロシアのショッピングセンターに行っている間、学園都市に侵入したテロリストが起こした都市伝説「輝くネックレス」に倣った事件への対処に当たり、水爆を誘導するUAVの位置に関する美琴からの情報を上層部へ伝達した[16]。7月中は暴徒化した「幻想御手」使用者への対応[17]、8月初めには頻発するRSPK症候群の対策に追われ[18]、8月末には学級会の第一会場にて風紀委員の中心となって暗部組織「スタディ」の「革命」を阻止するなどの活躍をする[19]。9月3日からの広域社会科見学では美琴・初春・佐天と共にアメリカの学芸都市に遠征し、「翼ある者の帰還」との最終決戦においては美琴をサポートして「太陽の蛇」迎撃に貢献した[20]
9月14日、不審なキャリーケースの確保に失敗したことから「残骸」事件に巻き込まれ、初春のサポートで主犯の結標を追い詰めるが発砲され重傷を負う。ビルの崩落に巻き込まれかけたところを上条と美琴によって救われたが、しばらく車椅子生活を送ることになる。
大覇星祭には怪我のために不参加。2日目、パトロール中に不確定要素とみなされ食蜂によって一時的に美琴の記憶を消去される。初春と美鈴が不審者に襲撃された一件から「書庫」の記録に疑問を持ち「才人工房」へ向かい食蜂たちを救出、「外装代脳」の権限を使い誘導役として美琴を操っていた警策と負傷を押して交戦し、初春のサポートもあってこれを撃破した。なお、事件の中で御坂妹にも会っているが、この記憶は食蜂によって消去されている模様[21]。「宝探しアプリ」が流行し出すと、11次元演算で未来を変えうることからアプリの配信者である美山から相談を受け、事故を防止するための活動を続けた[22]。「理想の能力」に関わる事件では解決のために食蜂と取り引きし、情報を得る代わりに一時的に食蜂派閥に加入、蜜蟻の「仕込み」に巻き込まれた人々を食蜂と共に救う過程で、留学生の彩鈴と交戦、撃破する。第二少年院の「脱獄トライアル」後に初春が誘拐された際には、美琴と手分けして誘拐犯の追跡を行い、囮となった釣鐘を撃破する[23]
12月に発生したエレメント襲来及び大熱波では、事態に対処すべく奔走していたが熱中症で倒れてしまう。その後の疎開では他の常盤台生と共にバリ島へ向かう。12月24日の清掃活動では邪な事を考えていたため、美琴が脱走する際の囮に使われる。翌日はオペレーションネーム・ハンドカフスに駆り出され、警備員の楽丘と組んで「暗部」に対処する。花露姉妹が引き起こしたガス爆発で重傷を負うが、浜面達の治療などの甲斐もあって復帰し、楽丘と共にベニゾメの捕縛に成功。しかし、警備員化学分析センターで過愛と相打ちになり、感染させられた殺人バクテリアの影響は取り除かれたものの、美琴や食蜂と同じ病室に入院する事となった。26日には株取引のために調べていたスペースエンゲージ社の情報を、ロサンゼルスにいる上条へ美琴の携帯電話越しに伝える。4日後の29日には退院し、職務に復帰した早々、逮捕した凶悪犯達の脱走に対処する事となる。鉄装に操られるのどかに頭を殴られて敗北した際、彼女の手で逃されて上条に救出され、彼とアリスと共に第10学区の妖宴の元へ向かう。妖宴が配置していたコオロギの大群によって窮地に陥ったがアリスに救出され、ベニゾメの確保を遂げた後は新統括理事長からの情報でカキキエ隧道へと向かう上条に同行。だが、彼が「幻想殺し」で暴走するカキキエ隧道を破壊したためにくしゃくしゃになっていた空間が拡張され、どこか遠くへ飛ばされてしまう。
能力レベル4の「空間移動(テレポート)」。能力の限界値は、距離が81.5m、質量が130.7kgであり、飛距離と質量の間に因果関係はないが、双方が限界値に近いほど精度は落ちる。空間移動の連続はおよそ1秒につき1度となるため、自身を転移させる際は直線の移動速度に換算すると時速約288kmに相当する[24][25]。物質を自動的に押し出して転移するため、転移先に干渉する物質がある場合、板状のものを転移させる事で物質を「切る」ことも可能。転移対象は皮膚上に触れているものに限定されるため、箱の中身だけを転移させて取り出すといったことは不可能(箱を転移させて中身を取り出すことは可能)。戦闘では、相手を逆さまに転移させて転ばせる、自身を相手の頭上へ転移してドロップキックを見舞うなどの攻撃をする。また、武器として太股に忍ばせた鉄矢を転移させて、相手の衣服を壁などにダーツのように刺し止める戦法を使う。相手に刺し込むことも可能だが、立場上、相手を必要以上に傷つけないように制限している。便利な能力に頼み過ぎるきらいがあり、格闘も能力前提で組み上げている部分が大きい[26]が、「AIM拡散力場を利用して行動を先読みする」相手に対して、「演算を使ったフェイント」を即興で編み出し実戦レベルで使いこなすという、天性の格闘センスの持ち主でもある[27]。扱い方次第では「銃の時代」を覆すほどの戦果を挙げる事もできるが、「1回狙いを定めて1回跳躍」が基本なので、自分の体を飛ばしての回避と、金属矢を叩き込んでの攻撃を同時に繰り出すことはできないなど、ルール無用という訳でもない[28]
婚后 光子(こんごう みつこ)
声 - 寿美菜子
常盤台中学2年生。大能力者(レベル4)。
食蜂 操祈(しょくほう みさき)
声 - 浅倉杏美
本作のヒロインの1人。常盤台中学2年生。学園都市第5位の超能力者(レベル5)。
寮監
声 - 尾小平志津香(禁書目録)、生天目仁美(超電磁砲)
常盤台中学の「学舎の園」外の学生寮寮監を務める女性。本名不明。「禁書目録」では初老の女性、「超電磁砲」では若い女性となっている。
薄絹 休味(うすきぬ やすみ)
声 - 升望
常盤台中学1年生。ドラマCDの「科学サイド」パートに登場。
黒子と同じく美琴に想いを寄せており、美琴の全力を引き出せば彼女への恋は叶うという噂を信じ、彼女に決闘を申し込む。
能力はレベル3の「念動力(サイコキネシス)」。副作用として一定限度の電気を遮断する「気力絶縁(インシュレーション)」を用いる[注 4]。念動力の方はレベルが示す程度だが、付加的に発動する「気力絶縁」の方は、電撃を防御したり、辺り一帯を力で包むことで、電気を基点とする攻撃そのものを封じることが可能。
帆風 潤子(ほかぜ じゅんこ)
声 - 津田美波
常盤台中学3年生。大能力者(レベル4)。食蜂派閥のナンバー2。縦ロールの髪が特徴。
湾内 絹保(わんない きぬほ)
声 - 戸松遥
常盤台中学1年生。強能力者(レベル3)。
泡浮 万彬(あわつき まあや)
声 - 南條愛乃
常盤台中学1年生。強能力者(レベル3)。
牧上 小牧(まきがみ こまき)
声 - 留冬藍名[29]
常盤台中学の生徒。食蜂派閥の一員。
雅王院 司(がおういん つかさ)
外伝『とある科学の心理掌握』の登場人物。常盤台中学の生徒会副会長。小柄な少女で、お付きのメイドを引き連れる。懐中時計を愛用し、芝居がかった言動をして「〜(です)とも」を語尾につけるのが口癖。
相当な人誑しの才覚があり、完全なアウェイの状況から瞬く間に場に溶け込むことができる。選挙ルールぎりぎりのグレーな手段は使うが、自らの組織と世間について「未来像(ビジョン)」を持って天下国家を論じられることが、頂点に立つのに最も必要な資質と考えているので、不正を煽って分断するような無粋な謀略は使わない。
普段はメイドが瑣末事を片付けてくれるので目立たないが、GPSがなければ移動教室で迷子になるほどの方向音痴。身長の低さに若干のコンプレックスがあり、わずか1年で中学生離れしたプロポーションに成長した食蜂に嫉妬している。尊い関係に満ちた乙女の園である常盤台を愛し、永久に尊さを観測するために「常盤台(の校舎)になりたい」とまで考えているので、食蜂には「想像以上の変態」と思われている。
次期生徒会長としての公約で、全ての派閥の解体を掲げる。生徒会長の座をかけて食蜂と選挙で決闘することを宣言し、「笑顔のパンケーキ」とコラボ(買収)してビラ配りを効率化、応援演説に美琴を起用、別派閥の生徒会役員に協力を求める、新聞部の学内ネットニュースを利用して株を上げるなど様々な権謀術数を駆使して勝利を目指す。選挙中、帆風が何者かに嵌められるという事態に際して真相究明のために食蜂と手を結ぶ。
加巳野(かみの)
生徒会長選挙の立候補者の1人。浮遊票を手中に収めるべく美琴を味方に引き入れようと、手芸部の能力者に命じて彼女が紛失したゲコ太ストラップを再現させようとしたが失敗。そして選挙に最大派閥の食蜂が参加するのを知ると妨害工作を始め、派閥員に命じて派閥棟をシステムジャックさせ、長期使用申請が臨時メンテナンスでキャンセルされた隙を突き、食蜂派閥が常用している教室を横取りして活動の場を奪う。。
夜鳴 麗華(よなき れいか)
声 - 関根明良
『とある科学の心理掌握』ドラマCDに登場。強能力者(レベル3)。中庭で食蜂の頭にプログラミング授業で製作したドローンが落下した事件の容疑者の1人。授業後に完成したドローンを職員室に運ぶ途中で尻餅をついてしまい、作ったリモコンを壊してしまう。
多仲 瑞穂(たなか みずほ)
声 - 川口莉奈
『とある科学の心理掌握』ドラマCDに登場。ドローン直撃事件の容疑者の1人。授業後は工具の確認と片付けを任され、しばらくはんだごてを探していた。
海辺 遼子(うみべ りょうこ)
声 - 河瀬茉希
『とある科学の心理掌握』ドラマCDに登場。ドローン直撃事件の容疑者の1人。授業後は使った図面とスマホで撮った組み立て動画を職員室のサーバーにアップ提出していた。
尖林 此実(せんはやし このみ)
声 - 小坂井祐莉絵
『とある科学の心理掌握』ドラマCDに登場。ドローン直撃事件の容疑者の1人。食蜂に輪をかけて不真面目な性格。授業をサボって保健室に行き、昼休みには教室に戻って来て友達と食事をしていた。

繚乱家政女学校

土御門 舞夏(つちみかど まいか)
声 - 福圓美里
繚乱家政女学校の生徒でメイド見習い。土御門元春の義妹。
登場する際はなぜか清掃ロボに座っていることが多い。柄の長い掃除道具を使いセンサーを撹乱させて清掃ロボを操っている。「 - だぞー」「 - からー」など、語尾を伸ばした口調が特徴。料理が全くできない義兄・元春の部屋に頻繁に訪れて食事を作っている。そのため、隣人の上条やインデックスとは面識があり、交流もある。元春との関係は彼の言動を見る限り、兄妹の一線を越えているらしく、彼女自身、兄と妹が関係を持つことが好きであるような描写がある。
学校の中でも成績のいいエリートらしく、実地研修のために常盤台中学など、あちこちに顔を出す(そのため美琴とも面識がある)。特に料理の腕前は上条によると「お金を取れるレベル」で、同じく料理が得意な五和に対してライバル心を持っている。メイドについて深いこだわりを持ち、サブカルとしてのメイド像を挙げる元春にはしばしば暴力をふるうこともある。
スカートの中にはお屋敷のトラブルを解決するためにダクトテープバールを隠し持ち、豪邸にあるスプレー缶オーブンレンジ芝刈りマシン洗剤鋼管ボンベといった物を武器に作り替え、立て籠もったテロリストと戦えるだけの知識も持っている。
もともとは孤児で、元春が学園都市に潜入する際に、追及を撹乱する目的で妹役に選ばれた[30]
12月の「大熱波」の直後、義兄がアレイスターを銃撃して学園都市を追われる立場になると、それまでの生活や友人を捨てて共に逃避行に出る事を決断。だが、外壁を越えようとした際にアレイスターの魔術剣を受けてしまったため、呪詛を解くべく敵本丸の「窓のないビル」に乗り込む。
雲川 鞠亜(くもかわ まりあ)
繚乱家政女学校の生徒。雲川芹亜の妹。異能力者(レベル2)。
舞夏のクラスメイトで、黒髪縦ロールに蛍光カラーでスカート丈が非常に短いという「電気街にいそうな」メイド服を着用している、繚乱家政女学校でトップクラスの成績に加え、能力強度・運動神経に幸運をも兼ね備えた完璧美少女を自負しており、ゆえにプライドの崩壊を招きやすい不測の事態や窮地に対する免疫を作るため、自らのプライドに傷がつく行為を率先して行っている。姉に似ず貧乳。
カポエラブレイクダンスポールダンスを組み合わせたオリジナルの格闘術を会得し、両腕両脚を通常の人間の範疇を越えて自在に操れる(本人によれば「右足で剣道できるし左足で槍投げできる」)。
命の恩人である加群の消息を追って「ナチュラルセレクター」が行われるバゲージシティーに潜入していたところ、「グレムリン」と学園都市部隊との戦闘に巻き込まれる。戦乱の中、円周との戦闘などを経て加群の死を見届け、マリアンの「戦乱の剣」の前に絶体絶命の状況に陥るが、上条の介入により難を逃れる。その後、第23学区での研修中に上条と再会、東京に侵攻した「グレムリン」との戦いに向かう上条たちに同行、飛行機が撃墜されてからはレイヴィニアやレッサーとともに行動していたが、意識を失ったフレイヤを上条から預かり、「死者の軍勢」になりながらも人命救助を行っていた加群とともに戦場を離れた。
12月25日にはオペレーションネーム・ハンドカフスを回避するため、姉と共に着ぐるみを着て第6学区に潜む。
能力はレベル2相当の「暴風車軸(バイオレンスドーナツ)」で、自分自身の体が生み出す遠心力を0.5-2倍の範囲で増減させる。ただし、身体構造の強化は出来ないため、全力で攻撃すると自分の体がダメージを負う。

柵川中学校

初春 飾利(ういはる かざり)
声 - 豊崎愛生
柵川中学1年D組所属。「風紀委員(ジャッジメント)」第177支部オペレーター。低能力者(レベル1)。血液型A型。乙女座。西葛西出身[31]。『超電磁砲』では主要人物の一人。SP初春編では主人公格として活躍する。
黒髪のショートヘアに飴玉を転がすような甘ったるい声色[32]が特徴の可愛らしい少女。ショートヘアの頭に造花の飾りの付いたカチューシャを付けており、遠目には頭に花瓶を乗せているように見える。なお、「頭の花のことを尋ねてはならない」[33] とのことでアニメ版「超電磁砲」では頭の花を褒められた際も「なんのことですか?」と笑顔で言い放った。
天然なところもあるが、高度な情報処理能力を有し、洞察力も高い。人間関係に於いて、相手を信じる心が強く、優しい心を持ち、アニメ版「超電磁砲」、「超電磁砲S」では、木山春生春上衿衣枝先絆理の心の支えとなった。佐天曰く、「正義に憧れて正義でありたいと思っている子」[12]
少女小説の影響でお嬢様という存在に憧れを抱く[33]。黒子と違い、まともな意味での憧れだが、若干幻想が激しくなってしまっているところもある。一方で付き合いの長い黒子に対しては日頃の変態的な言動を見ているためか時折毒舌になるが、相棒としては信頼している。中学の同級生である佐天とは親友で、自身がクラスに馴染めず孤立しかけていたところを救ってもらったため感謝している。ただしいつもスカートめくりを狙ってくるため、対応が辛辣になることがある。
黒子とは小学校の頃から「風紀委員」としての付き合いを持ち、主にオペレーターとして、情報の収集・伝達等で黒子達のバックアップを担う。また、超一流の天才ハッカー[34] でもあり、ハッカー達や親しい人達の間では「守護神(ゴールキーパー)」と呼ばれているが、本人は快く思っていない。彼女が構築したコンピュータセキュリティを破るのは至難の技で、その技術レベルは黒子も舌を巻くほど。それゆえ作中での戦闘場面では主にコンピュータなどを用いて御坂や黒子のサポートをしている。わずかな情報を起点にシステムという「花」を思い浮かべ、情報を補完して頭の中で全体像を仮組みするように「とある機構を様々な角度から想像する」力があり、瞬時にネットワークの構造を分析し、最速かつ安全な近道、裏道を通って、システムの管理者や設計者よりも速く、最短の作業量で目的の情報に到達する技能を持ち、美琴をして解析に時間を要する暗号をわずか7秒で解読する[35]。また、彼女が構築したセキュリティプログラムは、データを「防護」するというよりも侵入者を「攻撃」する構成になっており(度が過ぎて黒子に怒られることもある)、更に侵入者を誘導してIPアドレスを「警備員」に通報するためのダミーサーバも作っている[36]。体技訓練を受けているにもかかわらず身体能力は小学生レベルと、「風紀委員」のトライアル基準をぶっちぎりで下回っているが、ハッキングの特技の一点突破によって所属を許されている。また、黒子は警策と戦った時、数万台もの中継カメラをハッキングして警策の支配下にあるカメラを特定して作った合成画像を警策の端末に送信していた初春を「それができる最高のパートナー」と言った。手先も器用で、携帯電話のストロボを改造し最高電圧20万Vのスタンガン機能を付けて護身用にしている[37]
過去に黒子と固法が郵便局に行った時、自分も郵便局にいてその郵便局が強盗に襲われ、強盗に人質にされたことがある。そして黒子によってテレポートで脱出させられた後、必死になって助けを求めていた初春を見た美琴が超電磁砲で黒子を救った。そしてこの時の黒子を見て、自分の信念を曲げないことを心に誓った。ただ、初春はこの時黒子を助けたのが美琴であることに気付いていない。
優しい心を持っており、特に幼い子供には相手に相応の話し方や接し方をする。また、アニメ版の「とある科学の超電磁砲」の「能力と力」では介旅が幼い子供に持たせた爆弾から子供を守るために逃げずに子供を抱きしめた。この時は爆弾との間に美琴が入り、爆弾を超電磁砲で破壊しようとしたものの美琴がコインを落としてしまい、美琴と爆弾の間に飛び込んだ上条によって救われた。
7月初めにショッピングセンターからのテロリストが学園都市を襲撃した際には、黒子の戦闘をバックアップし、拘束後には佐天からの情報提供で計画がまだ終わっていないことを察して、事情を説明する[16]。「幻想御手」にまつわる一連の事件では重力子爆弾で狙われたところを上条に助けられ、幻想御手の副作用で佐天が倒れてからは事件の真相に迫るも、真犯人である木山に一時的に拘束されてしまった[17]。8月1日には暴走する衛星誘導車を止めるために体を張った。8月初めにはルームメイトになった転校生の春上がRSPK症候群の頻発に関与していると疑われる中、最後まで彼女の無実を信じ続けた[18]。8月末には風紀委員として学級会第四会場で「スタディ」と交戦し、佐天と共に「エカテリーナ二世号改」に搭乗して敵幹部を撃破する[19]。9月3日からの広域社会科見学で学芸都市に赴いた際には、機密に触れて行方不明になった佐天の所在をハッキングで見つけ出し、脱出時は他の観光客への避難勧告と「行方不明」として拘束されていた人々の解放を行った[20]
大覇星祭編では9月19日に偶然「才人工房」と食蜂の関係を示す都市伝説サイトを発見したため、彼女の「心理掌握」によって操られてしまい、その翌日に黒子たちと同様不確定要素とみなされ一時的に美琴の記憶を消去されてしまう。その事実を聞いたうえで裏方として警策と交戦する黒子をサポートし、合成映像で警策の目を欺き黒子が追い詰めるまでの時間を稼いだ[21]
9月30日には支部で事務仕事をしていたが、テレビのニュースで事件を知ったことで「天罰術式」の影響を受け昏倒してしまう。予知アプリが出回った頃には佐天からの情報提供で調査に乗り出し、黒子とともに運命を変えるために奔走した[22]。また、「学園都市伝説」に関連する「理想の能力」の一件では、蜜蟻の計画を阻止するために情報操作を行い、彼女の工作アカウントを全て凍結する。10月9日の独立記念日には偶然出会った打ち止めを庇い、彼女を狙う垣根に拷問され左肩を脱臼するも一方通行の登場により難を逃れる。第二少年院の「脱獄トライアル」では持ち前のハッキング能力を駆使して優勝を果たし、賞金の10億円は「置き去り」のために全額を寄付する。しかし、有能なハッカーを探していた嬉美の一派によって自宅を襲撃され、誘拐されてしまい、逃走中に佐天が自分を庇って致命傷を負ってしまう。激しい復讐心に突き動かされそうになるが、瀕死の佐天に宥められ、風紀委員として犯人をも救うために嬉美からドラゴンを引き剥がす[23]
能力はレベル1の「定温保存(サーマルハンド)」[38]。触れている物体の温度を一定に保つことが出来るというものだが、レベル自体が低いことに加え、余りにも高温や低温の物体にはそもそも触れることができないため、結果として対象は常温の範囲内の物体に限られている(暖かいお茶を冷まさなかったり、冷たい水をぬるくしない程度)。発動には「対象を手で包み込んでいるという認識」が必須で、バスケットボール以上の大きさの物体には能力を使用できない[33]。『超電磁砲』では氷を溶けないようにして身体に当て、血管を冷やして熱中症を防いでいる[39]。また、アニメ版「超電磁砲」の作中で、入院中の春上にたい焼きを温かいまま届けたように、相手の不安な心を穏やかにしたりしている[40]。また応用の幅が微妙に広く、適当に湿らせた上で温度を一定に保つ事により微生物の力で急激に腐敗発酵させる事もでき、少量の生分解性プラスチックなら短時間で変形させ、重量1トン以上の牛1頭でも10時間程で丸ごと肥やしに変えて抹消可能[41]
また、獄門開錠編終盤では、AIMジャマーを逆用して刻一刻と変化する微弱な力場をミクロレベルで操作するという離れ技で、現実世界を2進法のデジタルに再定義し、「春暖嬉美とドラゴンを引き剥がす能力」を創造する。その際、AIM拡散力場は蕾のような左右一対の角や大型の四花弁型パネルとして実体化した。
同原作者の漫画版『ヘヴィーオブジェクト』にも名前は明言されていないが主人公と同僚の少女兵として登場している。[要出典]
佐天 涙子(さてん るいこ)
声 - 伊藤かな恵
柵川中学1年D組所属。無能力者(レベル0)。本作では第1期OPとインデックスたんに登場。

スキルアウト

駒場 利徳(こまば りとく)
声 - 三宅健太
第7学区のスキルアウトのリーダー。
コピー用紙を吐き出すように[要出典]陰鬱な話し方をする、ゴリラのような大男。大柄で筋肉質なので初対面の人を怯えさせる事が多いが、そのような外見に反して性格は優しく、性根は争いを好まず、無法者の集団でしかないスキルアウトの中では比較的モラルがある人物。
「無能力者狩り」を楽しむ心無い能力者達を粛清するために各地区のスキルアウトを纏め上げて学園都市全域の通信機能を麻痺させ、「警備員」や「風紀委員」が混乱した隙にリストアップした能力者を殺害する計画を進めていたが上層部に知られ「グループ」が派遣されたことで計画は失敗、自らも結標や一方通行と戦うことになる。筋肉を補強する「発条包帯(ハードテーピング)」や薄型の電波撹乱兵器の「攪乱の羽(チャフシード)」、標的に最も適した火薬と弾頭を即興で形成する「演算銃器(スマートウェポン)」を駆使し二人の弱点を突いて善戦するも遂には敗れ、最後に一方通行へ携帯電話の画面に映る被害者(フレメア)の姿を見せ、計画の真意を伝えた後、一方通行の反射能力が生きているのを知りながら彼に向けて銃を撃ち、その反射された弾丸を受けて自決した。
なお、リストアップされた心無い能力者達はこの後に一方通行がすべて粛清した。
服部 半蔵(はっとり はんぞう)
声 - 阿座上洋平[42]
第7学区のスキルアウトのメンバー。浜面の後のリーダーを担っている。
何かと自分を卑下することが多い浜面を陰ながらサポートする。正体は伊賀服部家の末裔であるであり、伊賀三領袖の一人[43]。その出自から影に徹していて、駒場や浜面がいた頃は作戦立案が主な役目だったらしい。雑草のようにどこにでもあり、害虫のようになくならず、脇役として背景に溶け込む事が忍びの本質であるため、別に忍者は強くも偉くもないと思っている。和食好きで、焼肉屋や中華料理店でも伝統を気にしない庶民派の和風家庭料理ばかり注文する。
忍術の極意として、ちょっとした工夫で戦闘のリズムを自分に傾け、その隙に死角から攻撃を加える技を得意とし、拳銃以外にも、世界最小の短槍とも言われる全長15cm程度の刺突用の矢「打ち根」などの暗器をつかう。最初の一撃で確実に殺し、失敗したら速やかに逃走するセオリーに忠実で、「初撃必殺」に強い拘りを持つため、最初の一撃で確実に敵を殺せる戦闘以外は一切参加しない。ディスカウントショップの品だけで超小型MAVを自作する技能も持つ。ダンボールハウスから高級マンションまで様々な隠れ家を多数用意しており、身分を偽装するための道具も一通り取り揃えている。
黄泉川に一目惚れしている。
「新約」では駒場に代わってフレメアの世話をしていたが、そのフレメアが「新入生」に狙われ始めたため浜面と共に「新入生」に立ち向かった。
「創約」のオペレーションネーム・ハンドカフスの間は郭と共に水面下に潜る。
横須賀(よこすか)
第7学区のスキルアウト。浜面らとは別グループ。
対能力者戦闘のエキスパートを自負し、「内臓潰しの横須賀」の異名を持つ巨漢。原谷をカツアゲした仲間が削板に倒されたことで彼に勝負を挑むも、「すごいパーンチ」に敗れる。
『偽典・超電磁砲』「とある自販機の存在証明」にも登場する。削板との対決後も何度もリベンジをかけ、互いを認め合う仲となっているが、削板からは「モツ鍋なんとか」と適当に覚えられている。
現在は削板を打倒するため第6位の藍花に仲介人として雇われており、「藍花悦」のプロフィールを他人に貸し与え、その支援を行っている。

超能力者(レベル5)

一方通行(アクセラレータ)
声 - 岡本信彦
本作の主人公格の一人。学園都市第1位の超能力者(レベル5)
垣根 帝督(かきね ていとく)
声 - 松風雅也
学園都市第2位の超能力者(レベル5)。スクールを参照。
御坂 美琴(みさか みこと)
声 - 佐藤利奈
本作のヒロインの1人。学園都市第3位の超能力者(レベル5)。
麦野 沈利(むぎの しずり)
声 - 小清水亜美
学園都市第4位の超能力者(レベル5)。アイテムを参照。
食蜂 操祈(しょくほう みさき)
声 - 浅倉杏美
本作のヒロインの1人。学園都市第5位の超能力者(レベル5)。
藍花 悦(あいはな えつ)
学園都市第6位の超能力者(レベル5)。容姿、本名、性別、年齢など一切の個人情報が不明で、学園都市でも一切存在を知られていない。
そのことを利用し、藍花本人は一切表に姿を現さず、ある事情で苦境に立たされている人物に問題解決のための手段として仲介人を通じて学園都市第6位「藍花悦」の個人情報と身分を貸し与え、第6位を名乗らせており、自らは仲介人に指示を出して対象人物の支援や、演技がばれた際のアフターケアを行っている。問題解決したときにはまた別の人物に「藍花悦」のプロフィールを移動させている。仲介人として雇われている横須賀は第6位の能力があれば直接救済できるといっていたが、本人曰く「自分で解決しないと意味がない」としている。超能力者らしく、正しいことに対してはとことん傲慢な性格をしており、始める前から解決は無理だと取り上げて、当事者そっちのけの上から目線で接する側面も持っている。
『超電磁砲』では大覇星祭の実行委員が選手宣誓を彼に依頼しようとしていたが、原作版では実行委員の山根が依頼しようとしたが結局見つからず、アニメ版では第6位を名乗る人物の情報が余りにも多く、委員の一人が「触らない方が良い気がする」として依頼を断念した。
新約7巻にて登場した「人的資源」の騒乱の終局で、暴れている「ヒーロー」たちを制圧していた黒い革のジャケットをまとった少年も「藍花悦」を名乗っていたが、食蜂には「第6位を騙っている」と言われていたため、偽物である模様。能力を使ってはいなかったが戦闘力は高く、「ヒーロー」たち数十人を徒手空拳で鎮圧していた。
新約12巻では、ダイヤノイドにて加納神華という少年が「藍花悦」を名乗っていた。
本来はどっちつかずの偽善者には関わらないようにしており、口では性善説を語りながら拳での暴力を捨てられない矛盾を抱える上条には接触するつもりはなかった。だが、創約2巻でアンナ=シュプレンゲルが学園都市を襲撃した際には、自分を曲げて上条に接触し事態に対処する力を貸そうとしたが、その上から目線の姿勢を嫌った彼から助力を拒まれる。
望む能力を他人が使えるようにできる能力を持ち、面倒な修行やレベル上げの必要もなく、誰でもインスタントで主人公にさせられるようだが、能力を創る事は出来ないという。能力の性質上個人で正義を為せる訳ではないので、誰に味方すれば善玉が勝てるかを常に考えて行動しており、自分の名前をあちこちで貸しているのもその一環である。
削板 軍覇(そぎいた ぐんは)
声 - 河西健吾
学園都市第7位の超能力者(レベル5)。「原石」の一人。通称「ナンバーセブン」。
白い特攻服のような服装の少年。他人が困っていたり傷ついていたりしたら、迷わず助けるような熱い性格で、人助けを理由に学校を休むことも多い。口癖は「根性」。
後述のようにその能力は学園都市の学者さえも取り扱えないほど複雑かつ繊細な力らしく、超能力者(レベル5)に分類できるものかも確信できない能力者であるため、世界最高の「原石」とされている。
大覇星祭の開会式では第5位の食蜂と共に選手宣誓を任されているが、途中でセリフを忘れた挙句アドリブを始め大失敗(しかも背後で爆発)している。翌日、雷が地上から上空へ昇る光景を目撃して何らかの事件が起きていることを察知し、幻生によって操られ絶対能力者化が進行する美琴を止めるため上条と共闘。負傷しながらも異世界の力を押さえつけ、上条が美琴に接触するための道を作る活躍をした[21]。また、インディアンポーカーが流行し始めた頃、正気を失って暴れる人々の共通点を知覚し、その出所を調べる過程で本拠地の印刷工場に行き着き、作業員の供述から暴力的な常盤台生(=北条彩鈴)が雇い主だと知るが、勘違いから帆風の根性を叩き直そうと攻撃を仕掛ける。誤解が解けると、風紀委員や食蜂と協力して異常が発生している地点を教え、旧・才人工房ビルで静護を撃破した後は、彼と蜜蟻を崩落寸前のビルから運び出した。
10月第2金曜日、アメリカによる「原石」採集に端を発する一件では、牽制目的で学園都市に侵入したオッレルスと交戦するも敗北する。
オティヌスが作った「幸せな世界」では一方通行、美琴、麦野、食蜂がそれぞれの「幸せ」にいたが、垣根帝督と同様に動向が確認できず、どこでどうしていたか不明。すべてが戻った世界では学園都市に上条とオティヌスの抹殺依頼を受けたが、引き受けなかった。
能力は正式名称も具体的な原理も不明。本人も自分の能力を恐ろしく大雑把にしか把握しておらず、例えば「念動砲弾(アタッククラッシュ)」(掛け声は「すごいパーンチ」)なる必殺技を不安定な念動力の壁に刺激を与えて爆発を起こさせていると解説しているが時間割り(カリキュラム)に沿った理論ではそのような現象は起きない。また、通常の「すごいパーンチ」よりはるかに強力な「ハイパーエキセントリックウルトラグレートギガエクストリームもっかいハイパーすごいパーンチ」や、衝撃を遠方へ飛ばす「超っすごいパァァンチ」、掌を高速で擦り合わせる事で空気中の粒子を励起させてプラズマ状態を生じ、極めて強力なエネルギーを撃ち出す「スーパーウルトラメガエレクトロオーバードライヴマグネチックライトニングすごいパーンチ」[44] がある。「来るとわかってる攻撃は効かない」[45] とのことで、銃撃程度では傷一つ負わず、「根性入れりゃ血は止まるし骨だってくっつく」と豪語する驚異的なタフさを見せ、「心理掌握」さえも短時間で解除出来る[46]。その他にも音速の2倍の速度で動く、空気を蹴って空を飛ぶ、異世界の力を強引に抑え込むなど、多彩かつ不可解な技能を持つ。ただし、「思い込み」が届かない想定外の攻撃は通る[47]ので、作中では「説明できない力」であるオッレルスの「北欧王座」、絶対能力者へ進化しつつあった美琴の視認不可能なほど高速の攻撃、帆風の「天衣装着」を用いた不意打ち、食蜂の死角からの「心理掌握」などで一定のダメージを受けている。帆風と一緒に戦った悠里は、「『根性』が『鍵』となって強化作用が発動する『すっごいやせ我慢』」ではないかと推測したが、確証は得ていない[48]。なお、他の全超能力者の能力を再現できる恋査でも、削板の力だけは再現することができない。
『超電磁砲』第5巻特装版『偽典・超電磁砲』の「とある自販機の存在証明」にも登場し、美琴と交戦している。

その他の学園都市の学生

海原 光貴(うなばら みつき)
声 - 岸尾だいすけ
常盤台中学理事長の孫。大能力者(レベル4)。
美琴に好意を持つ爽やかな少年で、しばしば彼女に付きまとっているらしい。一方で、自分の能力を使ってカンニングを行っていることなどから、努力家の美琴は彼を嫌っている。
能力はレベル4の「念動力(テレキネシス)」。自身を分子レベルで固め、コールドスリープ状態になることが可能。また、定期テストでは、教員のパソコンの画面表面に密かに「能力の膜」を張ってパソコン起動における画面光量や熱量を感知してカンニングを行っている。そのため、本来の成績はあまり芳しくない模様。コールドスリープ時はエツァリの槍でも解体できない。
なお、作中に登場する「海原光貴」は基本的に本人ではなく、その容姿をまとったエツァリを指す。
エリス=ウォリアー
20年前に死亡した学園都市の少年。シェリー=クロムウェルの友人であり、彼女の使う「ゴーレム=エリス」の由来となった人物。
学園都市とイギリス清教の共同で超能力と魔術を両方行使する人間を生み出す研究の素体としてイギリスを訪れ、イギリス側の協力者だったシェリーと出会う。しかし魔術を行使するや拒否反応が出て重傷を負い、時を同じくして乱入した共同研究に反対する騎士派の襲撃に遭い、シェリーを逃がすことには成功するが自身は騎士たちによって殺害された。
原谷 矢文(はらたに やぶみ)
横須賀が所属するスキルアウトにカツアゲの被害にあった学生。
横須賀の無駄に大きい存在感や、削板の根性論に外れた能力解説といった2人のやり取りにツッコミを入れる。
工山 規範(くやま きはん)
学園都市に住む高校生。
小学生の頃に教職員用パスワードを偶然解除してしまったことをきっかけにクラッキング[34] に目覚め、趣味的クラッカーとして暗躍するようになる。「守護神」の噂を聞きつけて初春に挑むもあっさり見破られ、「警備員」によって補導された。
フレメア=セイヴェルン
8歳の無能力者(レベル0)の少女。フレンダの妹。第13学区の学生寮に住む。
かつて駒場利徳が「無能力者狩り」から助けて保護し、その姿を携帯電話の画面で一方通行に見せた少女でもある。姉と同じく金髪碧眼で、ゲームやアニメのキャラクターのような派手でフリフリの衣装を着ている。姉の会話にたまにノルウェー語がでる(超電磁砲T)ためノルウェー人とみられるが、姉と同じく流暢な日本語を話す。B級ホラーゲームが好きで、グリーンピースが嫌い。「大体〜」と付けるのが口癖。「にゃあ」という猫の鳴き声のような口調も特徴だが、浜面によれば昔はそんな口癖はなかったらしい。
浜面と一方通行の両方に関わりがある人間という理由で「新入生」に標的として狙われていたため、半蔵に保護されていた。「新入生」による襲撃後は新生「アイテム」の面々に見守られながら暮らしている。「一端覧祭」前夜祭で迷子になった際、同じく迷子になっていた打ち止めと出会いともだちになっている。
何度も危険な事件に巻き込まれそのたびに誰かによって命を救われているという経緯から、「人的資源」プロジェクトの人造庇護対象として「力点」に選ばれ、「ヒーロー」達に追われることとなる。だが、垣根が連鎖の攻撃を受けたのを見て庇護対象以外の性質を獲得、AIM思考体に逆に干渉し薬味を恋査の内部に叩き込むことに成功する。
微細 乙愛(びさい おとめ)
学園都市の学生であり研究者。SP上条編に登場。
高校生ながらも、ブレザーが不自然に見えるほどの妖艶な雰囲気を纏った色っぽい少女[49]。戦闘ではを使うが、鞭で敵をいたぶる行為に快楽を感じている節がある。仲間からは「微細博士」と呼ばれ、第22学区に位置する密着微生物の研究施設「火星の土(マーズワールド)」の研究責任者を務めている。また、部下である私設の特殊部隊を護衛として引き連れている。
スタングレネードで相手を翻弄しながら爆音と閃光に紛れて「衝撃を伝導させやすい微粒子」を周辺に散布し、それを自身の能力で衝撃に指向性を持たせている。これにより、全長が1mほどしかない鞭の射程距離を10m以上延ばし、遠く離れた相手を自在に攻撃する戦術を取っている。能力の名称などの詳細は不明。
作中の数カ月前から密着微生物とコンタクトを始め、彼らを火星の過酷な環境から救い出し地球上で保護しようとする。その研究の中でテストのために同種の微生物を作り出そうとして、「演算能力を持たず、外部に流出すれば地球を覆い尽くしてしまうほどの莫大な繁殖力を持っただけの突然変異体」を生み出してしまう。それらは適切に管理していたものの、存在を聞き付けたフレイスと彼女に協力する上条達と交戦し敗れたために、人工変異体は絶滅させられる。その後、密着微生物を救出するためのシャトル発射を計画する。
扶桑 彩愛(ふそう あやめ)
声 - 夏吉ゆうこ[50]
学園都市に多数存在するヒーローの1人。上半身がビキニ、下半身がぶかぶかのズボンという舞台衣装を着た少女で、普段はゲリラバンドの活動をしている。薄着は自分をさらけ出して歌を届けるという意図があるため。貧乳にコンプレックスがある。能力強化用に巨大スピーカーを搭載した無人トレーラーを使用するが、道路交通法違反であるため、正義の味方でありながら警備員に追われる姿がたびたび目撃される。
10月にはトレーラーのローン返済のため、賞金10億円目当てで「脱獄トライアル」に参加する。能力と身体能力で配備されたメカを次々破壊していったが、実力者を排除していた雷斧に襲われ、撃ち落としたT:HWの麻酔針を背後から刺されて脱落する[23]
11月には「人的資源」の影響を受けてフレメアを救うために立ち上がり、巨大スピーカーを搭載した広告トラックを引き連れ、自身の能力と合わせた大音量と衝撃波を駆使して他の「ヒーロー」達と交戦していた。購入したスピーカートレーラーのローンに悩まされており、バイトなどで完済を目指していたが、乱入した麦野の一撃でトラックをすべて破壊されてしまった。
音響系能力を保有し、歌声を衝撃波にして攻撃に使う。能力の性質上、音痴と思われがちだが、攻撃に使わなければかなりの美声。AIMジャマーで能力を封じられても、生の歌声で共振を起こしてロボット内部の半導体を壊すこともできる。
『超電磁砲』には、天賦夢路編ではインディアンポーカーの製作者の1人として夢の中だけの登場で、本人は獄門開錠編が初登場。
幌河(ほろかわ)
学舎の園にある女学校の一つ・枝垂桜学園に通う女子生徒。
アズミ
学園都市に住む女子小学生。
フレメアと同級生。大人しめの性格をしている。
天埜 郭夜(あまの かぐや)
ある統括理事のブレインを務める中学生くらいの少女。長い黒髪に十二単を纏う純和風な風貌だが、口調は粗野。その体躯は人間離れした「少女漫画みたいな」スタイルであるといい、究極の美貌の代償として、1G環境下、つまり地球での食事や二足歩行が不可能になっている。
学園都市が打ち上げている人工衛星ひこぼしII号」の中にある「無重力生体実験室」に滞在している。直径20mほどの無重力部屋に、半ば監禁されているかのように配属されている。「ひこぼしII号」の主と形容されており、地上からの指示に応じて衛星の管理を行っている。
デンマーク「魔神」包囲網では、SSTOで届けられた一方通行をS5でイエリングに向けて射出した。
化生院 明日香(けしょういん あすか)
ある中高一貫校の高等部生徒会長。異能力者(レベル2)。大きなリボンをつけたロングヘアーの少女。大仰な名前と裏腹に引っ込み思案な性格で、周囲からは「ビクビクウサギ」のあだ名で呼ばれる。
虚勢は張るが何かあると年下の未絵に泣きつくなど非常に頼りなく、成績も平均以下で、生徒会でもほとんど役に立ってはいない。ただし妙なカリスマ性とピーキーな個性があるためそれなりに慕われてはいる模様。木原唯一が成り変わる対象に選ばれ、稀少な寄生虫に感染したという扱いで緊急入院することになった。エレメント襲撃前には退院、ほぼ面識がないにも関わらず妙に上条に懐いている。
能力はレベル2の発火系。
秋川 未絵(あきかわ みえ)
ある中高一貫校の中等部に通う少女。母親は宝飾デザイナーでアローヘッド彗星から宝石を引き抜くプロジェクトに一枚噛むほどの影響力を持ち、父親は大金庫や建築に関わる業種。腰が低く稼ぎは妻の5分の1以下の父と、なぜ母が結婚したのか不思議に思っている。
非常に優秀な学生で放課後には高等部の生徒会にお手伝いとして駆り出され、業務の実質8割を執り行っている。学校の家庭教師的なシステムで明日香とは縁があり、勉強を教えたり食事を作ったりと何かと頼りない先輩の世話を焼いている。
12月3日、僧正による被害を制御するためのサイドストーリーとして利用されることとなり、父が設計した金庫が地盤の崩落で壊れ、庫内に収められていた母のプロジェクトに重要な500カラットで6兆円相当の液体ダイヤを守るべく、3人の大学生からなる強盗の追手から逃げ続けた。その際上条と僧正の交戦で追跡が一時緩んだため、詳しい事情は知らないが助けられたと思って両者に感謝している。翌日自身の学校に通うこととなった上条と再会、さらに翌日になって明日香の異変を感じとり彼に助けを求めた。
乾山 庄治(けんざん しょうじ)
大学生3人グループのリーダー格である若い男。「魔神」僧正の襲撃によって大破した警備員の関係車両から警備員仕様のPフォンと拳銃を窃盗し、防犯オリエンテーションと僧正が原因の混乱に乗じて時価6兆円の液体ダイヤを盗もうと、仲間を引き連れ未絵を追跡した。爆走する上条のアクロバイクに轢かれながらも追跡を続け、遂に追いついて銃でダイヤを脅し取ろうとしたが、干潟、潮騒、未絵の父に殴り倒され、逮捕された。
岡田 歩(おかだ あゆむ)
乾山の仲間の大学生の男。おどおどしている。乾山の火事場泥棒に便乗して液体ダイヤを追っていたが、上条を追って爆走してきた僧正に接触して街路樹に叩きつけられる。負傷により脱落するが、救急車を呼ぼうとした干潟を乾山が銃で脅して妨害したため、路上に放置される。
干潟 彰夫(ひがた あきお)
乾山の仲間の大学生の男。冗談のつもりだった火事場泥棒の話が現実に進んでしまい、乾山が拳銃を所持している事もあって乗り気ではなかったが未絵の追跡を行う。上条や僧正に接触する事なくダイヤを追い続けたが、狂気に囚われた乾山が未絵に対し銃を向けるのを見て、人殺しにするくらいならと鉄パイプで殴って暴走を止めようとした。
杠 林檎(ゆずりは りんご)
外伝『とある科学の未元物質』の登場人物。低能力者(レベル1)。「暗闇の五月計画」の生き残りの少女。一方通行の“執着心”を植え付けられており、実験の弊害か、元々の性格かは不明だが、一方通行の思考を植え付けられているとは思えないほどふわふわしており、記憶が少しずつ抜け落ちている。計画の過程で友人の知果を殺してしまった事がトラウマになっている。映像で見た垣根の天使のような能力に憧れを抱いていた。
一方通行を倒すためにその演算パターンを欲していた垣根に保護される。しかし、代替品としての一方通行の再現を望む相似に狙われて、洗脳したDAアラウズにより誘拐され心を調整されて、自我を失った状態で垣根と戦わされる。「未元物質」で音や光を重ね合わせて脳の電気信号に干渉したことで意識を取り戻したが、垣根に最初に保護された時点で仕込まれていた臓器への機能停止命令を出す自壊プログラムが発動して死亡してしまう。最期の瞬間、垣根が知果を覚えている自分を忘れないと約束したことに満足して息を引き取った。
能力はレベル1〜2相当の「念動使い(サイコキネシスト)」。通常の出力は小石を揺らす程度だが、強い負荷(ストレス)を受けることが鍵となって出力が桁違いに跳ね上がり、一方通行のベクトル操作のように「方向だけ」を反転させることも可能。相似により調整された際には一時的に超能力者と互角の戦闘力を引き出され、「未元物質」の翼でも威力を殺しきれないほどの出力で無数の瓦礫を発射、変質した烈風を弾き返し、能力で強引に身体を加速させて高速移動することが可能になったが、Gによる身体的負荷でダメージを負うリスクがある。
流郷 知果(りゅうごう ともか)
外伝『とある科学の未元物質』の登場人物。「暗闇の五月計画」の被験体であり、杠の友人。心臓が弱く、計画でも「見込みなし」で見放されていたが、杠の“執着対象”だと判断されて彼女の目の前で暴行を受け、能力を制御できなくなった彼女の暴走で落下した瓦礫に押し潰され、事故死してしまう。
リサコ
レパトリが保護する「置き去り」の少女。10歳くらいで赤い髪をキャンディのように縛っている。
ソダテが盗んだボールをマンホールの下に隠していると考えて下水道に潜るが、錯乱した楽丘に追われる。脳幹やヴィヴァーナに助けられて地上に帰還した後は、レパトリらと共にカキキエ隧道に向かう。
自分では一度も戦わずに「ハンドカフス」を生き延び、ソダテ以外の他の子供達と別れて表の街に戻ってきたが、自分が弱かったせいで脳幹、ヴィヴァーナ、ドレンチャー、浜面が死んでしまったという後悔から、数値や順位として実感できる力を欲して、どんな手を使ってでも強くなりたいと思ってカキキエ隧道へと向かう。そこを端数に突かれて憑依されてしまうが、浜面と脳幹の生存によって論理が崩れ、メルザベスが電話で端数の意識をそらした隙にクリファパズル545により救出されて、人を傷つける力ではなく、みんなを笑って励まし、どんなピンチでもみんなの力を120%引き出せるような優しい力を望み、端数の幽霊を跳ね除けて虚数学区へと追放した。
ソダテ
レパトリが保護する「置き去り」の少年。窃盗癖があり、盗んだ備品を秘密基地に隠している。
自分たちが実験のために利用される存在だと理解しており、リサコだけでも救うためにわざとボールを盗んだ。帰ってきてしまったリサコを救うため、浜面がレディバードを撃破するのを援護した。

警備員(アンチスキル)

黄泉川 愛穂(よみかわ あいほ)
上条当麻が通う高校の教師。
詳細は先述記載を参照
才郷 良太(さいごう りょうた)
第84活動支部所属の「警備員」。
平時は鈴山高等学校で教師を務めている男性。所属支部は違うが黄泉川と共に行動することもある。
杉山 枝雄(すぎやま えだお)
学園都市の「警備員」。
ステファニー=ゴージャスパレス
声 - M・A・O
学園都市の「警備員」。元傭兵兼暗殺者。モデルのような容姿の女性。
元は学園都市で「警備員」を務めていたが、傭兵となる。傭兵としての駆け出し時代に砂皿緻密に助けてもらった縁から、彼を師として慕っている。砂皿とは対照的に派手な近接戦闘を好み、特注の軽機関散弾銃を用いる。「警備員」の経歴を持つため、能力者に対する考察や対応も優れている。
砂皿を倒した絹旗に復讐するため、トマスの誘いに乗って学園都市を訪れると、重体の砂皿を交渉材料にしようとしたトマスを殺し、絹旗の命を狙う。絹旗の武器である窒素を奪うように戦うが、結果的には絹旗を侮っていたため敗北した。
松定博士亡命事件の前に「警備員」として復帰。同じ「警備員」である黄泉川とはそれ以前から面識があったらしい。12月1日には浜面とともにダイヤノイドに機材を搬入する仕事を請け負っていたところにサンジェルマンの襲撃を受け、その後は新生「アイテム」の面々とともにサンジェルマンたちと交戦した。
亀山 琉太(かめやま りゅうた)
学園都市防空部隊所属の「警備員」。
学園都市で防空パイロットに就くために教員となった人物。第三次世界大戦ではHsF-00を操り、ロシア空軍部隊を圧倒。その後「クレムリン・レポート」発動を阻止するべくエリザリーナ独立国同盟近郊の空域まで進行し、細菌兵器の散布装置を焼き払うが、麦野の「原子崩し」の余波を受けて機体が損壊し不時着した。
麓洞 龍一(ろくどう りゅういち)
学園都市の超音波爆撃機HsB-07のパイロット。バゲージシティへの攻撃でファイブオーバーを守る役割を負うが、マリアンが投じた「ロキの投網」に機体ごと絡め取られて墜落する。
手塩 恵未(てしお めぐみ)
工示 雅影(こうじ まさかげ)
第73活動支部所属の「警備員」。
鉄装 綴里(てっそう つづり)
第7学区の学校教師で、第73活動支部所属の「警備員」。
潮騒(しおさい)
黄泉川の同僚の警備員。「魔神」僧正の出現によって同僚達と共に出動したが、手持ちの装備では火力不足として上から即時撤退命令を出され、僧正の攻撃により大破した車両から拳銃とPフォンを盗難されたため、犯人の乾山を追跡し、彼が人を殺す前に逮捕した。
楽丘 豊富(らくおか ほうふ)
「警備員」の一員。バーコード状に頭髪が禿げ上がり、タクシーの安い合成皮革のような加齢臭を漂わせる、マッチ棒のようなメガネのおっさん[51]。学校を卒業した後、就職活動で弾かれたため、教員免許を持っていたので大した理由もなく教職に就き、母親や妹が胸を張って自慢できるようにとただの教師ではなく警備員になった。社畜気質で、独身かつ童貞。
自動運転車の座席に腰掛けるだけしかできない即日交付のサポート副次免許しか持たないため普通車の運転はできず、保険証も紛失しているので、身分を証明できない。今時パソコンも使えず、車の揺れと芳香剤の匂いで酔う体質。「覚悟のスク水昇天先生」というおぞましいハンドルネームで、深夜に度数の強い酒を呑みながら辛口レビューをするのが数少ない娯楽。
その正体は戦闘のエリートである、「アンチスキル=アグレッサー」の一員。支給された筋フィラメントの分割管理技術を使いこなし、優に重量100kgを超える筋肉の塊を装備した8頭身の巨漢となる。ある種の消化酵素で増やした筋繊維の束を細かく動かすことで筋組織を擬似的に増幅させ、総量は変わらないはずの筋肉を無駄なく操り普段以上の怪力を発揮、推定筋力は重量挙げで70トン超で、体当たりの威力は大型ダンプを彷彿とさせ、土壁を簡単にぶち破り、人を5m以上も撥ね飛ばし、装甲車の側面程度であれば、粘土のように毟り取る事が可能[52]。ただ、使用時に体型が大きく変化するため、毎度防弾服が破れて備品管理担当者に叱られている。
だが、本人は自分の世界を守るために忘れていたが、家族を追い詰めたストーカーの木原平均を妹が殺害してしまい、邪魔な遺体を解体して完璧に処理したという過去をもち、自分自身も「暗部」の嫌普性に分類される存在であった。「世界が狭い」ような不自然な挙動は、押し寄せる「社会」の責任が怖くて「学校」から出られなかったことを反映している。
オペレーションネーム・ハンドカフスで黒子と組み、残念な言動で彼女を呆れさせながらも危険を乗り越えていった。しかし、過愛を追跡した際にかつての証拠隠滅時に利用した下水道に入ってしまい、目を背けていた事実に直面して錯乱。居合わせたリサコを「暗部」だと一方的に断定して殺害しようとし、遭遇した脳幹を排除して追跡を続けたが、彼女を庇ったヴィヴァーナの一撃で失神。汚水の中を流され、妖宴が地面に作ったヒビから地上に帰還すると、殺人バクテリアに冒された黒子を助ける手段となる薬品を提出して力尽き逮捕される。12月29日、護送中の「オーバーハンディング」の事故に乗じて脱走し、8000万円の懸賞金を掛けられる[52]。それでもなお警備員として自由に動く犯罪者を自らの手で捕まえようと奔走し、地下で過愛を追って第10学区のゴミ焼却施設へと現れると、妹を安全な投棄用縦坑へと放り込んでから鉄装に立ち向かい、事件後は警備員に捕獲された。

統括理事会

アレイスター=クロウリー(Aleister=Crowley)
声 - 関俊彦〈男〉、水橋かおり[53]〈女〉
学園都市統括理事会理事長。学園都市の最高権力者。元世界最高最強の魔術師にして現世界最高の科学者。
窓もドアもないビルの中、緑色の手術衣を着て、赤い液体に満たされた巨大な円筒器に逆さまで浸かっている「人間」。作中では「男にも女にも、子供にも老人にも、聖人にも囚人にも見える」と描写される。生命活動を全て機械によって補い、計算上は1700年の寿命を持つ。肉体はほぼ仮死状態に近く、思考の大半も機械で補っている。基本的に生命維持装置から出ることはなく、外から情報を得て指令を出すだけだが、その気になれば出ることもできる。
公には明らかにされていないが、その正体は20世紀最高にして最低の魔術師と言われた「アレイスター=クロウリー」(実在の人物で、本名はエドワード=アレクサンダー=クロウリー)その人。魔術サイドでは新約聖書に名前が載るレベルの有名人であり、アレイスターの活動したわずか70年ほどで数千年を超える魔術師の歴史が塗り替えられたとまで言われ、現在の魔術師の2割がアレイスターの亜流、何らかの影響を受けている者ならば5割に届くとされており、今でもmagick系魔術師への対策機関が存在している。「法の書」「トートタロット」などの魔道書を記した魔導師でもあり、名実共に魔術師の頂点に君臨していた。魔法名はBeast666。現実の魔術師達の間ではタブーだった血の供物、すなわち「生体を材料にした実験」を率先して肯定していた異端者でもあり、イシス、オシリス、ホルスの時代(アイオーン)という概念を提唱した事でも知られる。
力を信奉するが、何が起きても結果として一つの大きな流れを導けるなら同じ事だと考えるので、善悪・正負・成否の区別をつけずに目的の達成のためならば躊躇なく手を伸ばし、合理と効率を重視する性格。失敗することや妨害を受けることが当然と考えているため、失敗を織り込んだ「計画」を立てて行動しており、挫折し失敗しても構わないという考えからトラウマを乗り越えるつもりがなく、強い憎悪や嫌悪から目的を達成するための力を得ようとする。個々の人があるべき振る舞いを行う場合に限り世界に無駄はなく、全ての物事が絡み合って組み上げられているという事を説明した、「全ての男女は星である」という言葉でも知られる。また、魔術と知り合う前は科学的興味を追求し、諸々の迷信を実験と観察という具体的行動によって証明しなければ気が済まない人間であり、元々科学的という言葉を「霊的、物的を問わず、美しく順序立てて因果を説明できるもの」としてポジティブに使っていた。
若いころは中世的な美貌とカリスマ性から割とモテて、生涯で数回の結婚を行い、何人も愛人がいたが、その一方で上条から「ド変態クソ野郎」と評されるほどに性的にフリーダムな変人でもあった。周囲の寛容や理解を気にしない性格だが、過去に「規格外の悪人」「変態」「食人鬼」として糾弾され、国外退去処分を下されたことからイギリスという国に対して隔意を抱いている。倫理が壊れているため、1秒前に自分が言った約束でも忘れてしまう。良くできるのに周りがそれを評価してくれないため自信がなく、正しいものを正しい場所に置くために地均ししたいと思っており、他人と比較して自分を優位に置かなければ安定できないので口が悪い。財力をはじめとする全てを得ていながら、「理解者」となる存在や愛情を得ることができず、「黄金」に優れた人材を集めたメイザースに対して羨望を抱いていた。また、求めれば求めるほど遠ざかるのに、どうしても寄り添っているとしか思えない「奇跡」の存在を知るが故に、神様のことをひどく嫌っている。
幼少期に親や教師から受けた仕打ちがもとで不完全な世界に失望し、自らが完全な世界を作ることを夢見て「黄金夜明」に入る。しかし、「黄金」の魔術が位相の衝突を生み、その結果として世界に無用の不幸を生み出し続け、それに巻き込まれてこれから生まれる娘が「不幸」にも病で死ぬことを知り、世界の日向の部分に悲劇が溢れ返り、これから生まれる命がすでに偶発の死に堰き止められているという悲劇が埋もれてしまう事、そして、それを誰もが仕方がないと諦めてしまう事に憤り、「黄金」への復讐を開始。1900年に「ブライスロードの戦い」を引き起こし、究極の追儺霊装「幻想殺し」を盗み出して「黄金」を壊滅させた。だがそこで止まらず、「この世界にある全ての位相を絶滅させ、位相に振り回されて不幸になる人を二度と出さない世界にして見せる」という信念により魔術を絶滅させることを誓う。一方で魔術の反動の危険性を熟知しながらも、自らの手でグローバルリスクを掌握するため、「『黄金』の壊滅と共に資料流出した」という体裁で近代西洋魔術を全世界へ拡散させる。しかし、「黄金」全体にかけた「以降の人生全ての選択肢は失敗に終わる」という呪いのため、長女の誕生を最後に転落人生を送る事となり、予言の通り4年後に産まれた娘は生後間もなく死亡、「全ての可能性が摘み取られた」苦難の道を歩む事になる。1920年代にはイタリアシチリア島にて新たな魔術結社「テレマ僧院」を興すが、「たった一つのアクシデント」により崩壊している。
現在の最大の目的は「全ての位相を破壊すること」で、奇跡になり損ねた飛沫から人々を助け出し、神頼みや天罰などに左右されない、個々人が積み上げた成果だけが返る世界を築くことであり、オティヌスの見解では宗教によらない科学の世界を直接扱うためにエイワスの力を利用する予定らしい。その詳細は不明だが、「エイワス」や「虚数学区・五行機関」の制御や利用を土台にして「計画」の達成のために行動しているらしく、学園都市中にばら撒いた「滞空回線」で、学園都市内の情報を細かく把握し、その他の組織との微妙なパワーバランスを操るなど、常に何らかの計算を行っている。上条の存在や、一方通行の「絶対能力進化実験」およびそれの頓挫なども想定範囲内に納め、修正、調整によって「計画」自体に大きな影響はないとしているが、度重なるイレギュラーや第三次世界大戦の影響で「計画」に大きな誤差が生じているようである。「計画」のために多大な犠牲をもいとわないが、その一方で甘さを捨てきれない部分もあり、自分の行いが魔神たちのものと変わらないことに苦悩することもある。
突如として魔術を捨て科学に奔ったため、魔術サイドからは魔術史上最大の侮辱として全世界の魔術師を敵に回すことになった。その後、魔術師討伐組織に追われ、ボロ布同然になっていたところを冥土帰しに助けられ、史実同様1947年に死亡したことにして予てから興味のあった日本へ移住、彼の助力もあって失われた「幻想殺し」を活躍させ、発見するための舞台として学園都市を創設することとなる。今でも本名の「アレイスター=クロウリー」を名乗っているが、同時に誤情報も流し、機械によって魔術的探査からも逃れているため[注 5]、一般には魔術師アレイスターと同姓同名の別人か、名を騙った偽者と思われている。
魔術潰しにかける執着を正しく回せば「魔神」になれた可能性もあったというが、魔術師とは違うものを統べるため、「魔神」にならないように自分自身を調整している。師アラン=ベネットが得意とした「霊的蹴たぐり」やその補助術式「衝撃の杖(ブラスティングロッド)」を扱い、病に対する武器という扱いで医療機器・検査機器までイメージさせられる。近代西洋魔術を組上げて再配布した存在であるため、自身の理論が根底にある技術体系全般に対して介入を行うことができ、魔術基礎の国際共通規格を巡ってしのぎを削ったウェストコットやメイザース級の独自性を保った魔術師か、真正の「魔神」ほどに飛び抜けた存在でなければ、魔術の分野で出し抜くことは不可能。ただし自身の構築したフィルターを介さない太古の技法による神秘であれば殺すことが可能で、1947年にはこの方法で敗北を喫している。自分自身で行使した魔術に限定されるが、位相の衝突で生じる火花や飛沫のしわ寄せを恣意的に操作する技術を編み出しているほか、自身の魔術の金字塔の一つである他人の呪いの方向性を変更する「アブラ・クアタブラ」の呪詛返しを使い、自らが魔力を練ることなく探知を躱して対象を魔術的に攻撃することが可能。「幻想殺し」への対策の1つで、敵に刺した召喚儀礼を先導するための闇色の魔術剣を媒体として、仏教(カルマ)の概念を用い、透明な血肉を纏った虹色の光を発する鎖の骨格と歯車と手錠によって構成される怪物「業の獣」を生み出し、これを破壊させて靄のような「殺生のカルマ」を負わせる。鎖は人の業に手を伸ばして背中を押す山の魔性、歯車は男性原理の太陽、手錠は女性原理の輪を象徴し、普通の物理的な攻撃では殺せず、ガラスの柱で分解できる光の色を回し、手錠が停滞、歯車が加速を示す事で、人の心に働きかけて頭に浮かぶ配色を変え、イメージに色彩を挟む魔術を暴走させる事ができるため、基本的に「幻想殺し」でしか対処できないが、倒す度に雪だるま式にカルマが膨らんで効力は強く分厚くなっていく。生み出せる「枠」は1対2人までで、追跡不可能になった古い個体は自ら形を失って「ストック」を増やす。加えて魔術剣もそのままでは苦痛のような自覚症状はないが、「幻想殺し」で破壊される事を前提に組み上げられ、ガラス細工でできたジグソーパズルのような性質を持つので、砕くと欠片が飛び散って体の内側から傷付ける陰湿なトラップになっている。単独で魔神にも通用するだけの技量を持つが普段は魔術を封じており、自らが決めた生き方を貫く場合、癒した肉体を副作用で傷つけるという破滅的な循環となるため、自分に対する回復魔術は使用できない。
さらに今日の「科学サイド」と「魔術サイド」という枠組みそのものを作り出した存在であるため、人間の好悪も善悪も切り分ける「原形制御(アーキタイプコントローラ)」により、その人間の特性を傾けることで魔術や能力を奪うことができる。恋査の技術を応用する事で、学園都市の隅々まで張り巡らせた人工の神経と血管で全ての能力者と問答無用でリンクし、その力を「窓のないビル」に集約させてエイワスを光臨させる事も可能。ただし、土御門のように魔術と科学の双方に関わる人物には効果が薄い。また、魂に秘めた10億8,309万2,867通りもの可能性を同一の座標にとどめており、ファックスのように自身の可能性を一瞬だけ分化させ瞬間移動させることすら可能とする。学園都市全てを掌握していた経緯から、「書庫」なしでもショッピングセンターの日曜大工だけで次世代兵器を作り上げる科学技術力も持っている。加えて財力の面でも桁違いで、隠し財産を全てかき集めれば、ブリテン・ザ・ハロウィン、第三次世界大戦、デンマーク「魔神」包囲作戦で財政の傾いたEUを丸ごと買収できるとされる。
作中で彼が本人であることを知っている描写があるのは冥土帰しと土御門くらいであったが、第三次世界大戦終戦間際にてロシアにifを1体飛ばし、自らの「計画」を逆算、阻止される可能性を潰すためフィアンマを制裁した際の700秒間をイギリス清教に探知され、生存が確認される。大戦以降はイギリスに対しても完全に連絡を絶っていたが、オティヌスの行為に介入した真のグレムリンメンバーたちが潜む「位相」に侵入し、激情に任せて魔神達と戦闘を開始する。その結果体の3分の1を焼き焦がされるが、肉体の修復を終えあらゆる魔術を撃滅するための闘いを開始する。魔神達が実存世界に現れた際、事前に魔神の一柱であるゾンビを倒し、魔神達の実存世界での活動を可能にする術式に何らかの細工を施し、彼らのパラメーターを操作し、宣戦布告した。僧正を脳幹が倒した直後に上里が「魔神」達を次々と葬っていることを知り、「計画」に支障をきたす上里を排除するために脳幹を捨て石として唯一の成長を促し、自身も安全地帯から外に出る。復讐心から暴走を始めた唯一の行動を黙認し、A.A.A.を鹵獲したことで「計画」の障害となりつつあった美琴を呪詛で昏倒させ、エレメントの一件が終息したところでイギリス清教と繋がりを持つ府蘭の前に姿を現すが、「原形制御」の通用しない多重スパイである土御門に撃たれて一時的に行動不能になる。その翌日、上条たちを「窓のないビル」まで招き入れ自身の半生を伝えたうえで交戦に突入する。エイワスを召喚することで圧倒的優位に立ったかと思えたが、わずかな失敗の積み重ねにより敗北。直後ローラ(コロンゾン)により心臓を「ダモクレスの剣」で破壊され死亡し学園都市を奪われるも、無数の可能性を群体「クロウリーズ・ハザード」として解き放ちイギリス本土を除くイギリス連邦加盟国をすべて制圧する。
これらの群体は、魔術を極めたものからきっぱりと諦めたものまで様々で、ほとんどは人の姿をしておらず、元は同一人物でありながら共闘も不可能。自分なりの責任の取り方として自分の魔術の反動は自分自身で抑え込むため、無数のクロウリーが共存する場所では様々な場所へ反動を押しつけている。また、個体がすり潰されるたびに「血の供犠(ブラッドサイン)」によってデフラグ、効率化が進んでいき、表面上の戦闘能力も向上する。ただ、世界の総人口を10%近く増やしてしまったが、単なる思いつきによる行動だったため、それに伴う食糧・エネルギー問題については一切考えていない。
そのうちの1体は、叡智の聖母ベイバロンをイメージソースとする中学生ぐらいの美少女の姿[54]で上条に接触を図る。5人分のクロウリーを消費して「窓のないビル」ごとコロンゾンを宇宙へ追放した後で、悪魔の置き土産であるA・O・フランキスカに対処するため学園都市内で情報収集を行う。それにより事件の鍵となっている浜面の元へ上条と共に向かい、エイワスによって救い出されていたリリスと再会を果たし、A・O・フランキスカの核であるルビーの結晶を摘出することで府蘭を救う。戦後、敵の本丸である大英帝国を陥落させるため上条等に協力を要請し、「新天地」から帰ってきたコロンゾンに対して「もう一人の娘」を取り戻すことを宣言し、学園都市全体を「西旗」に見立てて「暫定封印」を行う。ウェストミンスター寺院の墓地に埋葬されているはずのメイザースの遺体を手に入れ、それを中継器としてコロンゾンを間接的に操るためイギリス本土へ直接乗り込む。上条を利用してロンドンを覆う三重四色の最結界を解除させ、市内に侵入すると神裂や騎士団長を退けるも、相性差から「クロウリーキラー」として作られたイシス=デメーテルに敗北。上条の助けを借りて「神威混淆」を破壊して目的地へ到達した際に、すでに死んだはずの元「黄金」メンバー全員から未知の攻撃を受けるも、2度の交戦で相手がコロンゾンによってタロットカードから再現された存在だと見抜き、「王室派」を襲撃するメイザースを追跡して空から攻撃を仕掛ける。相打ちになる形で落下した先で自身が結婚式を挙げた小さな教会でオルソラに再会し、彼女との対話を経て大嫌いな十字教の神様の力を借りることを決意、メイザースとの一対一の殴り合いでは意図的に聖痕を作り出すことで空間に莫大な力を満たして「黄金」たちが形を保てないようにして勝利する。メイザースとの決着後、エディンバラ城でメイザース本人の遺体を確保しコロンゾンの制御に成功したかに見えたが、ローラの姿もコロンゾンが作り上げた偽物である事が判明し、安堵した一瞬の隙をつかれ彼女にナイフで刺されて重傷を負う。回復しないまま度重なる戦いを経たことで肉体が限界を迎え、コロンゾンとの戦いの後で遂に立ち上がれないほどに消耗。船内に現れたエイワスとアンナ=シュプリンゲルとの繋がりを知るが、何もできないまま去っていくのを見届け、直後にやって来た一方通行にリリスの乳母をミナに任せるよう頼み、統括理事長としての全権を彼に委譲して息を引き取り、ローラ=スチュアートを止めた功労者として故郷イギリスで国葬されることとなった。
自身も満足して死んでいくつもりだったが、「深淵」を超えるためにコロンゾンと同化した儀式が「中断」していたせいでくたばることにも失敗し、大悪魔が用意した肉の器にアレイスターが入るという人の領域からはみ出した形で生き残ってしまう。そして、コロンゾンの力の象徴であった長い髪を切り落とし、科学と魔術の外にある「第3の領域(バックステージ)」にしばらく潜ることにして、12月25日のオペレーションネーム・ハンドカフスの後で脳幹と合流する。一方通行が捨てた科学技術の「暗い部分」を拾い、翌26日には人の皮下に卵を植え付けるよう変異させた殺人ヤドリバエやガス式水鉄砲に詰めたアレルギー物質を駆使して、ロサンゼルスのR&Cオカルティクス本社ビルにいた重鎮達を惨殺する。29日にはシュプレンゲル嬢のモデルの一人とされるアンナ=キングスフォードの遺体が安置される施設の情報を回収するために一旦学園都市に戻り、脳幹に陽動を任せている間に上条と再会。損得抜きで上条に事件解決をバトンタッチする提案をして断られた後、「ハンドカフス」の決着には関わらずに街を離れる。31日には「彼ら」がミヤシタアークの多国籍レストランに隠していたアンナ=キングスフォードの永久遺体を回収。最先端機械で内臓を置換する事で再起動させ、彼女が捕縛したシュプレンゲル嬢を尋問しアリスの正体を突き止めようとする。だが、封印したシュプレンゲル嬢を上条に目撃されてしまい、彼を思っての行動が裏目に出て「失敗」してしまう。
トマス=プラチナバーグ
声 - 村上裕哉
学園都市統括理事会の一人。
理事会では若手で、ゆくゆくはアレイスターの跡を継ごうと考えている成金。
一方通行と「猟犬部隊」の戦いの際に、情報収集のために一方通行に強襲される。その後、一方通行に復讐するため、重体の砂皿緻密を使ってステファニー=ゴージャスパレスを雇おうとする。しかし、万が一のために砂皿の身体に仕込んでいた内臓を停止させる特殊な発信機の存在を彼女に見抜かれた上、それを逆に自身の体内に埋め込まれて死亡した。
親船 最中(おやふね もなか)
声 - 土井美加
学園都市統括理事会の一人。親船素甘の母親。
年齢は50 - 60歳程度。娘からの手作りの贈り物を身に付けるなど、家族想いの女性。
人格者で、理事会の思惑に反して学園都市とローマ正教の全面対決を回避しようとしたり、学園都市の子供達に選挙権を与えようとしたりしている。そのため、他の理事会メンバーには良く思われておらず、潮岸の牽制を受けている。単純に善人というわけでもなく、かつては「平和的な侵略行為」とも称された話術・交渉術に長けた辣腕家であったが、娘を盾にした脅迫を受けてからはその一面を見せることはなくなっていた。
左方のテッラがC文書を使って学園都市に対するデモと暴動を起こした際は、使いたくない拳銃を使って半ば強引に上条に事態の収拾を依頼。また上条への依頼は自身が勝手に行動し、拳銃で上条に脅迫したという名目で、土御門に自身への制裁も依頼。土御門に急所を外して撃たれるという自作自演を演じた後はしばらく身を潜めていたが、10月9日に復帰。暗部組織抗争で「スクール」に命を狙われたが「グループ」に暗殺から救われた。「ドラゴン」を追っていた「グループ」が潮岸に接触しようとした時には彼らに協力し、海原に変装用の皮膚を提供した。
潮岸(しおきし)
声 - 金本涼輔
学園都市統括理事会の一人。
学園都市の軍事技術分野に縄張りを持ち、理事会の中でもかなり暗部に関わる老人。身の安全を第一にすることこそが趣味という感じで用心深い性格。普段から特注の「駆動鎧」を着込み、部下も離反の可能性を考え「杉谷班」と「美濃部班」に分けている。
「ドラゴン」について知っており、また知ろうしている者の暗殺を行っていた。そのため、「ドラゴン」を知ろうとしている「グループ」を消そうとしたが、親船最中の協力を得た彼らに逆に追い詰められる。最中に変装して現れたエツァリに駆動鎧を解体されて武装解除され、同様の術式で美濃部に化けていたテクパトルに刺されて重傷を負い、最終的にエイワスが現出するきっかけとなる。
貝積 継敏(かいづみ つぐとし)
学園都市統括理事会の一人。
自身も学者であるらしい老人。雲川芹亜をブレインとして雇い、この地位にいる。
「原石」に対する扱いなど、理事会のメンバーの中では善人であり、雲川には甘いと評されている。親船と共に平和主義であるが、彼女ほど博愛を貫いているわけではなく、争乱が起きると分かれば、即座に準備して徹底的に抗戦することで生き抜いてきた。雲川を中心とする「実力行使部隊」を抱えている。
生演奏マニアを唸らせようと360度をスピーカーの群れで取り囲むホームシアターを個人的に用意しており、実際素晴らしい音質を実現したが、専用の音楽メディアを用意するのに1曲あたり2000万円ほど消費するので、芹亜や妻娘には呆れられている。
「人的資源」プロジェクトを阻止しようとしていたが、そのために薬味に疎まれ、彼女の策略により逆にプロジェクトの黒幕に仕立て上げられ、誤情報を摑まされた土御門に襲撃される。
薬味 久子(やくみ ひさこ)
学園都市統括理事会の一人。
外見年齢は30歳程だが、実際は70代の女性。医療関係に明るく、自身も第13学区の病院で医師を勤めるという顔を持っている。元々は患者からの信頼も篤い名医であったようだが、いつのころからか木原唯一の知的好奇心を植え付けられており、その結果「人的資源」の事件を引き起こすことに繋がってしまった。
「人的資源」プロジェクトの主導者であり、その目的完遂のためにフレメア殺害を目論み、その障害になる新生「アイテム」を人食ゴキブリを使って襲撃する。襲撃自体には失敗して自らがゴキブリに食われ肉体を失ったが、思考をAIM拡散力場を触媒にした「濃淡コンピュータ」に転移させて目的完遂を図る。しかしフレメアが守られる側ではなく守る側になるという決意を固めたことから、彼女の「人的資源」プロジェクトにおける庇護対象としての価値が霧散し、恋査の機体に叩き込まれたところへ上条の「幻想殺し」を受け脱落した。ゴキブリの群れに意識を移すことで間もなく意識を取り戻したものの、フロイラインによって自らの存在を限界ギリギリまで捕食されることになる。
根丘 則斗(ねおか のりと)
統括理事の一人。年齢は30歳前後で、理事の中ではかなり若い。元レスキューの精鋭で、消火や防災といったセキュリティ関係に強い人物とされる。第15学区にある70階建ての巨大複合ビルダイヤノイドの最上階に居を構え、ヘリ空母の飛行甲板のようになった屋上には複数のVTOL機を個人所有している。
レスキューとして助けてきた被害者達が好奇の目にさらされて苦しんでいるのを見て、誰の目も届かず自分を見つめ直すことのできる場所として「暗部」の必要論を主張する。「暗部」存続派として、オペレーションネーム・ハンドカフスによる「暗部」一掃に抵抗するため、自動投資アルゴリズムが掘り当てた外部勢力であるR&Cオカルティクスから魔術を習得、さらにアシがつかないよう大量にばら撒き迷彩とした。正統な魔術師ではないため、魔法名や「魔神」といった魔術サイドの常識は持たない。12月24日、一方通行への交渉材料として打ち止めの拉致を舞殿に命じるが、上条達の行動により妨害される。拘束された舞殿から漏れた情報を手繰って警備員が自宅に来る事を予測し、彼女を潰すための時間を稼ぐべく、包囲された住居に先んじて放火し負傷を装う事で世間の同情を集めようとしたが、美琴の迅速な行動により失敗。魔術によって上条らの口を封じようとしたが、オティヌスに術式の仕組みを看破され、上条に理想を論じながらも自らが悲劇を生み出す側になっている事を糾弾される。効果の薄れた魔術を捨て、元レスキューの身体能力を活かした接近戦で上条を倒そうとするも、血の目潰しで視界を封じられて殴り倒された。
R&Cオカルティクスで習得した魔術「最小衝突理論」は、フィラメントとして人差し指にも満たない小柄な天使を詰めたガラス容器2本を銃身とする暗殺拳銃型の霊装1対を用い、適当なドイツ語の末尾にelをつけるだけでその場で適当な天使を作り、超常現象を引き起こすという「黄金」の亜流と言える術式。天使崇拝が加熱し聖書に登場しない天使が粗製濫造されたという歴史的事実や、「黄金」が「天使の力」を効率的に扱うため出エジプト記の文字列から天使の名前を自作して切り分けたという伝承を元に、聖化発声の応用で身近な金属を用いて不可視のセフィラを想起し、架空の天使により架空の球体を作り世界のルールを改変する。際限なく広げられるはずの己の想像を金属や元素という現実の枠に納めた堅実な魔術で、ただ単語の端を加工しただけなので効果が低下しており、機械製品で作り出せる艦載兵器の性能しか発揮できず、ストックは総勢4つしか抱えられないので、後から追加して切り替える場合はその名を別枠で切り取らなくてはならないのが欠点であり、奇襲には使えない。
ヴァルアート=シグナル
統括理事の一人。樽のように恰幅が良すぎる男性で、灰色が混ざり始めた黒いひげ面が特徴。統括理事の中でも建設分野を牛耳ることで独自色を出しており、「木原」を始めとする「暗部」の秘密基地を提供するため、地下に穴を掘ったりコンクリートを流している。元々不動産を営んでいたが、オカルトによる風評被害で破産しかけて一家全員自殺しそうになった事があり、曖昧なものを全て潰すために様々な研究に出資している。
オペレーションネーム・ハンドカフスについて、留置場の一方通行に抗議をしに行くが、彼が学園都市の存続を最初から考えていないと知り驚愕する。
亡本 裏蔵(なきもと りぞう)
声 - 田所陽向
学園都市統括理事会の一人。

AIM思考体

風斬 氷華(かざきり ひょうか)
声 - 阿澄佳奈
本作のヒロインの1人。上条たちの通う高校へやってきたインデックスが学園都市で出会った初めての友達。
巨乳の眼鏡っ娘で、温厚かつ引っ込み思案な性格。姫神も、霧ヶ丘女学院在籍時に名前だけは知っていた。初登場当時は、学園都市における謎の存在である「虚数学区・五行機関」の正体を知るための鍵という情報以外、一切が謎に包まれていた。その正体は、端的に言えば「虚数学区・五行機関」そのもの(=AIM拡散力場の一部。端的に言えば「超能力の塊」)であり、多くの能力者から発生した膨大な規模のAIM拡散力場がもたらす能力者の物理的人体情報の集合体、つまり人間の手や足、頭の形などの情報が集まって人の姿となったものである。そのため、実際の街中を闊歩するとノイズが走り、立体映像のように見える。
9月1日に初めて実体化し、とある高校で偶然知り合ったインデックスと友人になる。そして上条も交えて地下街に遊びに来た際にシェリーの襲撃を受け、自分が人間ではない事を知るが、初めての友人を救うためにシェリーのゴーレムと戦い、一連の事件が解決した後、消失した。9月30日には学園都市に侵入したヴェントへの対抗手段として、アレイスターの策略により人工天使「ヒューズ=カザキリ」に変貌するも、インデックスらの尽力で救われる。第三次世界大戦では自らの意思でロシアへ出撃し、一方通行と共に大天使「神の力」と交戦する。そして撃退後、打ち止めの治療法を模索する一方通行にかつてインデックスが行った「歌」による治療法を伝え、消失した。
12月29日には学園都市の総意として、虚数学区に飛ばされた木原端数を完全に消滅させる。
能力は「正体不明(カウンターストップ)」。常人を超える身体能力や再生能力を発揮する能力。詳細なレベルは不明だが、「能力の希少価値」が評価される霧ヶ丘女学院ではトップだった。
ヒューズ=カザキリ
風斬氷華をベースに、AIM拡散力場の集合体(虚数学区・五行機関)を部分的に展開させて構築された人工天使。
「妹達」のミサカネットワークの計算能力(「妹達」の意思に関係なく強制的に計算させている)でコントロールし、打ち止めにウィルスを打ち込むことで、現出する。この状態になると、髪が金髪になり、頭には天使の輪、背には雷光のような翼が生える。また、現出することで界に圧迫を与えるため、魔術師には大きな負荷がかかる。
戦闘力は本物の大天使には及ばないものの非常に高く、強力な雷光のような力を操り紫電の翼や剣で戦う。
「0930」事件で強制的に顕現させられ暴走状態となるも、わずかに残された理性で倒れ伏す人々を守り続けた。第三次世界大戦では自らの意思で現出してロシアに出撃し、一方通行とともにミーシャ=クロイツェフと交戦した。
エイワス(Aiwass)
声 - 宮本充
ドラゴン」と呼ばれる学園都市の最重要機密。
フィアンマによると「神学や聖書でも説明できず、神の属性からも外れた存在」で、神の定めた運命を切り崩す糸口である異形な天使。第7巻および史実より、1904年に「魔術師」アレイスターへ妻ローズを介して「法の書」の内容を伝えた聖守護天使エイワス」と同じ、93の数字を背負う存在。叡智の結晶を投げ込む事で波紋を広べ、世に変革をもたらす。伝えた当時の記憶を持っていることから、同じ存在であることがうかがえるが、当時の存在の方式が現在のAIM拡散力場を元にする存在とは違うはずのため、完全な同一の存在かは不明。また、完全な魔神である「僧正」によれば「完全な失敗作」とのことであるが詳細は不明。オティヌスによるとその正体は位相の最下層の純粋な物理法則の世界における天使であり、この莫大な力を利用することでアレイスターはすべてのフィルターを破壊しようと目論んでいる。
ヒューズ=カザキリを核とし、AIM拡散力場を集合させることで現出する。本人によれば、AIM拡散力場という「濃度の高い食塩水」にヒューズ=カザキリという異物を加えることで「結晶化」したのがエイワスであり、ヒューズ=カザキリとはAIM拡散力場をエイワスという「結晶」とするために調整された特殊な「核」であるらしい。
「ホルスの時代」に属する魔術を行使することが可能。理論上は「魔神」に対抗できる力を秘めており、人には理解できない青ざめた輝きのプラチナのような翼を使った攻撃で、一方通行の反射を力でねじ伏せた上に黒い翼の力さえも圧倒し、アレイスターの補助術式「衝撃の杖」の効果で「幻想殺し」の中から溢れたなにかを潰している。加えて、アレイスターの手で変形機能が加えられている模様。さらに、その出自には「地球外知的生命体説」が存在することから、地脈などの存在しない宇宙空間であってもその権能を地球上と同じように発揮できる。それでもまだ全力には遠いらしく、霊媒となる肉の器を得ることで剥き出しのエネルギーである現状以上の力を発揮できるようになるとされる。
他の「天使」とは違って滑らかに自己を表現する。たまに言葉にノイズが混じるが、それはこの世界では「ヘッダが足りない」ために意味を表現できないからだという。ただし「世界が真実を取り戻した」ことで、上条と対峙した際にはブレずに肉声を届けられるようになった。幾つかの異なる時間軸ではアレイスターの「プラン」の崩壊を示唆している。
「しあわせになるための努力を常に怠るべきではない」という持論を持っており、自らの意思で茨の道を歩み続けることを決めたアレイスターには契約者として一目置いており、彼の妻に憑依した際に胎児だったリリスに接触したことでその死の運命に「先」を継ぎ足して別の位相へと退避させていた。しかし、「必要な事だから」という理由で真実を隠し、事前にきちんと話していれば流れる必要のない血があったとしても、アレイスターがいばらの道を歩むのを止めなかった心性の持ち主でもある。実際、一歩離れた場所から全てを覗き込む絶対悪コロンゾンに綺麗に対応する究極の善性として、原罪抜きの無垢なる魂を持ち世界の外から来たリリスを温存し対消滅させようと計画していた。一方でアレイスターの人生に関わる超存在の片割れであるコロンゾンのことは激しく嫌悪しているようで、辛辣な言葉で罵倒している。
「ドラゴン」を求める「グループ」の前に姿を現し、一方通行を圧倒して重傷を負わせる。その後、打ち止めの救済法を求める一方通行が意識を失う直前に、禁書目録という言葉を頼りにロシアへ向かうことを促した。
一方通行以外の「グループ」のメンバーには興味がなかったので気絶させるなど興味がないものには完全に無関心であり、風斬にロシアで戦うかどうかの決断を迫る際にはロシアの動向に興味はあるが戦うほどではないとし、自身の存在や人類そのものに対しても関心がないことを示唆している。
12月11日、「窓のないビル」に侵入した上条の「天敵」として、アレイスターがこれまで積み重ねてきた物全てを使う儀式の末に光臨する。「衝撃の杖」によって10倍に増幅された力で上条を軽々たたき伏せるが、彼の味方についた問答型思考補助式人工知能の妨害で力を奪われ、美琴・食蜂によるビルへの攻撃、土御門による術式への介入と言う要因が重なったことで実体を保てなくなり消滅。しかし宇宙へ向かう「窓のないビル」の中でコロンゾンを足止めする問答型思考補助式人工知能の前に再び現れ、魔道書「黒猫祭祀秘録」をしたためることで彼女に移動の自由を与えてアレイスターへの言伝を託して逃がし、その直前にアレイスターの苦難に報いるようにしてリリスを学園都市へ送り2人の再会を果たさせている。コロンゾンとの戦いでは霊媒の有無という差で敗北したかに見えたが、相手を「新天地」へと送り込むと言う目的を達しており、自分もそれに巻き込まれるのを防ぐためにあえて消滅していた。
実は、アレイスターに召喚される以前からアンナ=シュプリンゲルに使役されており、マダム・ホロスを殺害するよう指示を与えられていた。伝承ではあらゆる魔術結社に設立許可を与えるシークレットチーフと同一存在とされ、アンナはその巫女に相当する立場のはずだが、実際には逆の立場である模様。死にかけのアレイスターの前に現れたホロスを殺害した後は、肉体を取り戻したアンナと共にどこかへ姿を消した。ただ、アレイスターの生存に気づいていながら、アンナには秘密にしているなど、完全に従順という訳ではない模様。
創約2巻でアンナに呼び出された際には頭部が鷹のような形に変わっていた。3巻では体内から太陽のような光を炸裂させ、コロンゾンの切り札であったクリファパズル545を一蹴している。

学園都市暗部組織

猟犬部隊(ハウンドドッグ)

木原 数多(きはら あまた)
声 - 藤原啓治
都市の暗部組織「猟犬部隊」のリーダー。学園都市の科学者。木原一族の一人。
顔の左半分に刺青がある男で、両手にマイクロマニピュレータを装備している。部下を平然と使い捨てにし、雑草を抜くような感覚で躊躇なく人を殺す残虐な性格(その殺意には敵意が無いため、ヴェントの「天罰術式」が効かない)。一方で優秀な科学者でもあり、かつては一方通行能力開発にも関わっていた。
自身の肉体を用いて金槌レベルの衝撃を顕微鏡級の精度で行使する技能を持っているうえ、一方通行の能力開発に携わっていたことから、彼の能力や思考パターンを熟知しており、手首を当たる直前で返すという特殊な体術でダメージを与えることができる(当たる直前に手首を返す、つまり手前に引くことにより一方通行のベクトル変換を逆手に取り、一方通行が自分から木原の拳を自らの体に引き寄せることになる)。ベクトルの向きを変えても、すぐにそれに対応するなど、頭の回転も早い。ただし、これは対一方通行の能力専用の戦法であるため、一方通行が能力を使用できなくなると、自身の戦法も無効になってしまう。また、数多以外の者がこの戦法を使用すると、使用者も代償として腕が潰れるなどのダメージを負ってしまう。
新約では木原唯一の高速打撃で敵の体内に気泡を発生させて殺害する体術を参考に、数多がこの戦法を生み出したことが判明する。
ヴェントの侵攻(「0930」事件)に際し、アレイスターがこれを迎え撃つためにヒューズ=カザキリの現出を画策したため、木原は打ち止めの誘拐及びウイルス「ANGEL」の注入を指示される。打ち止めを守ろうとする一方通行と戦うことになるが、先述の特殊な攻撃によって一方通行にダメージを与え、これを退ける。ヒューズ=カザキリを現出させた後に再び一方通行を追い詰めるが、全演算能力を失った彼に追い詰められ、最後は黒い翼によって超音速で吹き飛ばされて死亡した。
オーソン
声 - 松尾大亮
「猟犬部隊」の一員である男性。
一方通行から脅迫され、車を運転した。一方通行から解放された後は冥土帰しの病院へ送られ、消息は不明。
ロッド
声 - 宮崎寛務
「猟犬部隊」の一員である男性。
一方通行を追跡して第三資源再生処理施設へ向かったが、他の隊員と同じく撃破された。
ナンシー
声 - 牛田裕子
「猟犬部隊」の一員である女性。
一方通行を追跡して第三資源再生処理施設へ向かったが、ショットガンで下顎を吹き飛ばされたうえにプレス機で潰されかけた。
ヴェーラ
声 - 茅野愛衣
「猟犬部隊」の一員である女性。同僚からは暗部に似合わない健全な人間だと評価されている。
一方通行を追跡して第三資源再生処理施設へ向かったが、部隊の全滅と仲間の凄惨な姿を目撃し、絶望と混乱に呑み込まれながら一方通行に撃破された。
マイク
声 - 小島英樹
「猟犬部隊」の一員である男性。かつて冥土帰しの患者だったらしく、面識がある。
オーソンとインデックスを追跡して第七学区の病院へ向かったが、冥土帰しから忠告を受けた後、一方通行に撃破された。
デニス
声 - 松尾大亮
「猟犬部隊」の一員である男性。
オーソンとインデックスを追跡して第七学区の病院へ向かったが、他の隊員と同じく一方通行に撃破された。

グループ

土御門 元春(つちみかど もとはる)
声 - 勝杏里
都市の暗部組織「グループ」の構成員。
一方通行(アクセラレータ)
声 - 岡本信彦
本作の主人公格の一人。学園都市第1位の超能力者(レベル5)。暗部組織「グループ」の構成員。
海原 光貴(うなばら みつき) / エツァリ
声 - 岸尾だいすけ(海原光貴の姿時)
都市の暗部組織「グループ」の構成員。中米の魔術結社「翼ある者の帰還」に所属していたアステカの魔術師。
本名はエツァリだが海原光貴の姿を借りており、海原光貴という表記は基本的に彼を指す。素顔は黒髪に褐色肌の容姿をしている。土御門同様、魔術師でありながら科学サイドにも所属しているので、魔術・科学両サイドの豊富な知識を持っている。普段は爽やかで物腰柔らかい印象だが、腹黒い一面もある。しかし、惚れた美琴を欺き、本物の海原を利用して傷付けてしまったことに悩み、かつての仲間であるショチトルの見舞いに頻繁に訪れたり、魔術の行使のためにトチトリを「利用」したテクパトルに対して激昂したりするなど、基本的には善良で仲間思いな性格である。さらに上条と戦った際は、上条が感情的にならず大人しくしていれば美琴や海原を巻き込まずに済んだと悲痛な本音も吐露しているほか、自分は上条ではないと嘆くなど上条に対しては嫉妬と同時に憧れを抱いている節がある。「グループ」の一員になった後も余計な被害を出したくないという理由で海原の姿は借りたままであり、「グループ」のメンバーにも偽者であることは明かしているが本名ではなく海原と呼ばれていた。また、自分が魔術師であることも隠していなかった。海原の姿を借りている現在は元同僚のショチトルにも敬語を使うなど常に丁寧な口調で話すが、ショチトルによると組織にいた頃はそんな口調ではなかったらしい。
組織の命令で学園都市に潜入した際は1ヶ月間、上条を監視。海原として上条に会う1週間に本物の海原と入れ替わっているほか、エツァリが入手した断片的な情報と推測によれば夏休み中に上条はいくつかの組織を壊滅させた模様。
上条が科学サイドと魔術サイド両方に精通したことで、「上条勢力」という新たな団体ができつつあることを警戒した組織の命令で、学園都市へ潜入し、上条と上条勢力が脅威と判断。変装魔術で海原になり済ますことで、内部から上条の仲間関係を壊そうとした。しかし、利用しようとした美琴に惚れてしまい、上条に敗れた時、彼に「御坂美琴とその周囲の世界を守る」よう約束させる。その後、組織を裏切り、陰から美琴を守るため暗部組織「グループ」の構成員となって行動するようになる。その後、上層部がスキルアウトに依頼した御坂美鈴への暗殺計画を上条との約束の借りとして撤回させ、暗部組織間抗争では、変装魔術を駆使して「ブロック」を攪乱し、かつての仲間であり、「メンバー」に潜入していたショチトルと相対した際に、彼女の肉体に仕込まれていた魔道書「暦石」の派生系の原典を引き継ぐことで、彼女の一命を取り留める。後に「ドラゴン」の調査のため、統括理事潮岸のアジトに潜入した際、親船最中に変装して潮岸を欺き、潮岸の元に潜伏していた元同僚のテクパトルとの戦いでは、彼が用いた原典「月のウサギ」を逆利用し、原典の暴走を誘発することで撃退し、2冊目の原典を手にする。
12月25日のオペレーションネーム・ハンドカフスでは、ショチトルとトチトリを保護して潜伏し、計画終了とゴロツキの揺り返しが終息するまで息を潜めていた。
人の皮膚を剥ぎ取った護符を使いその人間に変装する魔術を使う。その際、変装する相手の特徴を一週間かけて調べてから行うようにしている。また、金星と災厄を司るアステカ神話の神トラウィスカルパンテクウトリが持つ、「金星の光を浴びた者を全て殺す」槍のレプリカである霊装「トラウィスカルパンテクウトリの槍」を所有しており、金星の光を「鏡」となる黒曜石のナイフで反射し、その光を浴びたもの(無機物・有機物・大きさは関係ない)を構成する全パーツに解体するハンドサイズのレーザー兵器のような魔術を使う。一撃で巨大建造物を破壊でき、殺傷能力もきわめて高いが、対象は1度につき1つに限定されるため複数を相手にするには不向きで、光を反射して発動する性質上、霊装に粉塵などの異物が付着すると使用不能になる。ショチトルとの戦いで、魔道書の「原典」を入手後しばらくは汚染に苦しんでいたが、徐々に自分のものにしていき、「月のウサギ」の所有者に選ばれた際は「自分は原典に気に入られている」と解釈している。なお、土御門と違い能力開発を受けていないため、魔術の行使に際して副作用のダメージを負う事はない。
結標 淡希(むすじめ あわき)
声 - 櫻井浩美
都市の暗部組織「グループ」の構成員。霧ヶ丘女学院2年生。大能力者(レベル4)。窓のないビルへの「案内人」。
長い赤髪を2つに分けており、上半身は胸にサラシを巻いてその上からブレザーを羽織り、下半身はミニスカートのみという露出度の高い少女。「残骸」の事件後、経緯は不明だが小萌の家に居候している。
他の「グループ」構成員3人がそれぞれ年下の少女のために活動している(土御門→舞夏、一方通行→打ち止め、海原→美琴)ため、彼らをロリコンと揶揄したが、逆に3人からは、「残骸」事件の仲間だった少年たちのために活動しているためショタコンと指摘され、激しく動揺していた[注 6]
かつて自身を転移させた際に座標を誤り、足に重傷を負う。そのトラウマによって自らの能力に怯え、また自分の能力の必然性に疑問を持ち、能力者の少年たちや学園都市外部の科学結社と結託して「樹形図の設計者」の「残骸(レムナント)」を巡る事件を起こす。しかし、黒子に自分の考えを否定されたことを理由に黒子を拳銃で撃ち、彼女に重傷を負わせた後、実験再開を阻止するために現れた一方通行に一撃で倒される(科学結社も「警備員」に壊滅され計画自体も失敗に終わる)。黒子からの情報提供で現場に現れた上条の通報で病院へ搬送され治療されたが、その後、学園都市に仲間だった少年たちを人質に取られてしまい、彼らを救出するため暗部組織「グループ」の構成員となって行動することになる。スキルアウト鎮圧戦では能力が不安定状態でありながらリーダーの駒場と交戦。暗部組織間抗争では、アレイスターの殺害を目論んだ「ブロック」が、その「案内人」である自分との交渉材料として狙った仲間達を守るため、彼らが収容されている少年院に向かい、再び足を負傷するも、過去の恐怖に打ち勝ち手塩を撃破する。
第3次世界大戦後は、一方通行により暗部が解体されたことで、元の日常生活を送っている。だが、オペレーションネーム・ハンドカフスで捕縛対象になった際は、収監されている以上、仲間が警備員に殺されることはないと判断し、自分の身を守ることを優先。警備員側の監察医が使っている死体安置所に忍び込み、電源を切った冷凍ロッカーに潜伏していた。
能力はレベル4の空間移動系「座標移動(ムーブポイント)」。通常の「空間移動」と違って「始点」が固定されていないのが特徴で、直接物体に触れずとも物質を転移させる事ができ、複数の対象を照準して同時に転移させられる。距離は800m以上、重量は最大4.52t(ただし1t以上は身体に悪影響が出る)を転移可能と同系統でもトップクラスの能力。本来はレベル5に認定されてもおかしくないが、前述の事故によって自身を転移するのには体調を狂わすほど精神を消耗するためにレベル4止まりとなっている。そのため、相手の攻撃に対し転移で避けることができず、何かを自分の周りに転移することで防御していた。「残骸」の事件で一方通行に敗れたことで、さらに能力が不安定化し、低周波振動治療器を用いて精神を安定させていたが、「ブロック」との戦いでトラウマを克服する。その後は、自身の転移も軽々と行っており、後の「迎電部隊」との戦いでは視界に入っていない位置への転移も行っている。また、自由度の高すぎる能力に基準をつけるため、警棒兼用の軍用懐中電灯を用いている。なお、レベル5に到達すれば学園都市最強の空間移動能力者となれる可能性を秘めており、新約10巻のあとがきによればトラウマを克服できれば「全能神」のトールと同じようなことができるとされている。
グループの連絡係
声 - 野島健児
都市の暗部組織「グループ」の上役を務めていた男性。容姿や本名は不明。
「0930」事件において、一方通行を暗部に引き込んだ都市上層部の人物。非常に丁寧な口調だが、学生の回収運動に動いた保護者代表の御坂美鈴への暗殺をスキルアウトに依頼するなど、学園都市への障害を取り除くためなら手段を選ばない冷酷な人物でもある。

スクール

垣根 帝督(かきね ていとく)
声 - 松風雅也
学園都市第2位の超能力者(レベル5)。都市の暗部組織「スクール」のリーダー。外伝「とある科学の未元物質」では主人公。
長身・茶髪でヤクザ予備生+新人ホストのような風貌の少年。同じレベル5の麦野をあっさり退け、一方通行の反射を打ち破るなど、非常に高い戦闘力を誇る。性格は非常にきまぐれで、自分を「最低の人間」と称するが、一般人には極力手を出さず、脅威にならないと判断した浜面や滝壺を見逃したりしている。一方で、打ち止めを逃がそうとした初春を殺そうとするなど、敵とみなした相手には容赦せず、自分の目的を達成するためには手段を選ばない残虐非道な一面もある。
アレイスターの計画の第2候補(スペアプラン)であり、目的は不明だが彼との直接交渉権を得るため、暗部組織間抗争で第1候補の一方通行の命を狙う。一方通行の反射を破るなど善戦するが、自身の能力を解析されて敗北、とどめを刺される寸前に止めに入った黄泉川を攻撃し重傷を負わせたため一方通行を激昂させてしまう。暴走して発現した「黒い翼」の様を見て自身の能力をより深く理解し、覚醒させるが、「黒い翼」に一瞬のうちに敗れ、瀕死の重傷を負う。
その後はアレイスターの指示で回収され、一命を取り留めるも、脳は3分割されて容器に納められ、潰れた内臓を補うために冷蔵庫より大きな機材を取り付けられた状態(麦野によると「超能力を吐き出すための塊」)となり、後述の「未元物質」を素材として生み出すための道具にされてしまっている。しかし後に、「未元物質」を使って人体細胞を構築する術を獲得し、それによって失われた器官を補い復活した。これにより個という概念を失ってバラバラに分化した事で不死身となり、「ヒト」という枠を超える存在となった。その姿は初登場時と比べると遥かに人間離れしていて、体や服も「未元物質」によって作られている為か真っ白になっている。しかし、未元物質で構成した「カブトムシ05」と呼ばれる戦術兵器が自我を持ち[注 7]、善良なる「垣根帝督」となってからは能力を乗っ取られたため前述のような見た目から以前のような外見に戻った。エイワスからは「垣根帝督」として気にされている。
一方通行や麦野は主導権を握ったカブトムシこそ「垣根帝督」と呼べる存在であり、以前の彼だった人格は「誰でもない者」と述べる。その後はフレメアの「トモダチ(保護者兼ボディガード)」としてこっそり同居する。「人的資源」の一件では「主体を必要としない」という特性を逆手に取られ、恋査によって能力に介入されてフレメアを危険にさらしてしまったが、その特性をさらに逆に利用して再起動し、「博覧百科」で上条と共闘して恋査を撃破した。
なお、本来の肉体はフロイライン=クロイトゥーネの代用品として「グレムリン」に持ち去られ、「主神の槍」の材料として利用された。この時、最初の「垣根帝督」に近い人格が現れ、未元物質で巨大な翼を生成して「槍」を作っていたオティヌス達に襲いかかるが、オティヌスに首を掴まれた挙句、ストッキングを被ったような顔があるバレーボール状の球体にされてしまう。球体となった垣根の肉体のその後の消息は不明。また、オティヌスが作った「幸せな世界」では一方通行や美琴、麦野、食蜂などがそれぞれの「幸せ」の中にいたが、原石でレベル5でもある削板軍覇と共に確認できず、どこで何をしていたか不明。
カブトムシの垣根帝督として元に戻った世界では学園都市に上条とオティヌスの抹殺を依頼されるが、学園都市が暗部の存在していたころと変わっていないことを嘆き、引き受けなかった。大熱波の際に出現したエレメントは自分に外見が似ていたため、かなり迷惑に感じていた。
オペレーションネーム・ハンドカフスの間は、フレメアやフロイラインと共に遊園地のホテルに身を潜めていた。
能力はレベル5の「未元物質(ダークマター)」。この世に存在しない新しい物質(素粒子)を作り出す能力で、それを活用することで既存の物理法則を塗り替えることも可能。能力を発生させると天使のような6枚の発光する翼が形成され、それにより飛行、防御、打撃、烈風を生み出すことができる。またその翼を通過した太陽光を殺傷力をもった光線に変えるなど、かなりの自在性を持つ。麦野の「原子崩し」を受けても即座に再生するなど驚異的な再生力を持ち、物理攻撃に対してはほぼ無敵であるうえ、内部で情報伝達を行う電気信号も直結ではなく自由伝達を可能とするため、信号を逆流させても効果はない。物質表面にこびりついた細かな凹凸をなぞることで、その場に残留した情報に形を与えることもできる。さらに、他の物に能力を転移させることもできるようで、「未元物質」が搭載された兵器が登場している。これらの特異性を持ち、数ある超能力の中でも類を見ない異質な能力である。なお、「ダークマター」という名称だが暗黒物質ではなく、あくまで(理論上も)この世に存在しない物質である。
獄彩 海美(ごくさい かいび)[55]
声 - 井澤詩織
都市の暗部組織「スクール」の構成員。獄彩三姉妹の次女。
14、5歳の外見をしているが、ホステスが着るような赤い派手なドレスを着ている少女。格好通りホテルで男性と会うなど、いわゆるホステスのような仕事もしているが、身体は売らず、単に話を聞いてあげるだけという。
暗部組織間抗争では「アイテム」との戦闘で浜面を追い詰めたりしたが、一方通行との戦いでは能力が無意味な相手と考え、垣根に任せて戦線離脱する。結果として「スクール」では唯一無事であり、後の暗部組織の再編に登場している。この時、拘束した絹旗にアレイスターのプランに関わっている上条当麻、一方通行の名前を出し、イレギュラー因子である前者2人がどんなに暴れてもプランの許容範囲内にいて影響力がないこと、それに対して暗部抗争で死ぬはずだった浜面仕上が生存して、前者2人以上にプランにダメージを与える存在になったことを説明している。
オペレーションネーム・ハンドカフスの際には、楽して生き残るためにわざと警備員に捕縛されることで身を守り、留置場内で能力を駆使して計画終了まで無傷で生き抜いた。
能力は「心理定規(メジャーハート)」。標的の他人に対して置いている心理的な距離を読み取った上で、それを元に標的と自分の間に存在する心理的な距離を自由に操ることができる能力。尋問には非常に便利な能力であるほか、例えば、近しい人物相当にまで距離を縮められてしまえば攻撃ができなくなり、さらに、それ以上の関係に近づけることで、相手の本心を能力で塗り潰すこともできる。しかし、中には「距離が近しいほど殺意が沸く」、「裏切られたことに逆上し、より一層激しい攻撃を仕掛ける」というような人間もいるために、全ての人間の攻撃を封じることができるわけではない。またヤンデレ気質で面倒くさい性格の相手も心理的な距離が取りづらく苦手としている。精神系能力者としてはレベル5の食蜂操祈に劣るが、運動音痴の食蜂と異なり、自身の能力ばかりに頼らず、鉄球付きクレーン車などの重機の操縦や銃器の扱いにも長けており、小型拳銃と小型グレネード砲をスカートで隠しながら足のホルスターに携行している。
誉望 万化(よぼう ばんか)[注 8]
声 - 広瀬裕也[56]
都市の暗部組織「スクール」の構成員。大能力者(レベル4)。
頭全体がシャンプーハットのような金属の特殊ゴーグルに覆われており、360度にプラグで刺したケーブルが腰の機械に繋がっている少年。ゴーグルは情報の分析・抜き取り・転写などをこなすだけでなく、能力のスイッチの役目も果たす。かつて垣根に下剋上を挑んだが敗北、その後何らかの懐柔工作を受け「スクール」に入る。垣根へのトラウマがまだ残っており、彼が殺気を滾らせると恐怖から嘔吐している。
『超電磁砲』では「ピンセット」に関係するようなインディアンポーカーの情報をネットワーク上から回収しており、いくつかの研究施設に保管されていたカードの情報を盗み出している。確度が低いと思われていた佐天の確保に失敗したとの情報から猟虎を差し向けるが、フレンダに撃退されたのを確認すると彼女が殺される寸前で何とか救出し逃走に成功する。
計画の際に、人員を確保するのに利用した「人材派遣」から情報が漏れるのを防ぐため、「グループ」の護送車を襲撃し連行中の「人材派遣」を殺害する(「人材派遣」以外は気絶で済ませている)。暗部抗争で第18学区の素粒子工学研究所にいた時、「アイテム」の襲撃を受けて殺される。
能力はレベル4の「念動能力(サイコキネシス)」。能力の応用で発火・無音化・透明化・電子操作などの多彩な能力を包括的に扱うことができ、超能力者相当の実力を持つと自負している。
砂皿 緻密(すなざら ちみつ)
声 - 木内太郎
傭兵兼暗殺者。紹介料だけで70万という実力者。
絹旗に殺された「スクール」メンバーの代用として「人材派遣」を介して雇われた補充要員。学園都市製の磁力狙撃砲MSR-001で、親船最中の暗殺を試みるが、一方通行らに阻止されて失敗。その後、垣根たちと「アイテム」を襲撃した際に、絹旗の反撃を受けて意識不明の重体に陥る。
その後、一方通行に復讐したいトマスステファニーとの交渉材料にするため回収。生命維持装置に入れられて彼女の元に送られた。
SP初春編では、「警備員」の依頼を受け、衛星誘導車を足止めする為に高架道路を狙撃・破壊した。
弓箭 猟虎(ゆみや らっこ)
砂皿の前任のスナイパー。

アイテム

麦野 沈利(むぎの しずり)
声 - 小清水亜美
学園都市第4位の超能力者(レベル5)。都市の暗部組織「アイテム」のリーダー。
お嬢様タイプの女学生。表向きは面倒見のいい頼りがいのあるリーダーとして振る舞っているが、実際にはプライドが非常に高く、自己中心的かつ逆上しやすい性格。特に激昂すると不良のような下品な口調になる。ただし、浜面と和解後はそういった部分はなりを潜め、あっけらかんとした明るい性格になっている。シャケ弁が好物。年齢については明らかにされていないが、美琴を年下と見下していたことから高校生以上と思われる。[独自研究?]浜面に敗北した後は右目は機械の義眼、左腕は義手になっている。なお、この義眼は脳と直結しており、ケーブルを繋ぐことで機械から直接情報を受け取れる機能を有している。
8月19日に「絶対能力進化実験」の実験施設の防衛を依頼され、侵入してきた美琴と交戦。フレンダ、滝壺と3人がかりで美琴を追いつめるも能力と地の利を生かされ取り逃がした。直後、研究員を脅して実験の秘密事項を聞き出し、面白がってそのまま放置することにした。『革命未明』編では「スタディ」に自立機動兵器のデータ取得に利用され、その報復のため「スタディ」の本拠地を襲撃、同じく「スタディ」と敵対する美琴を不本意ながら援護することになった(『超電磁砲S』)。
暗部組織間抗争では垣根と2度戦うが、2度ともあっけなく敗北。その後、保身から情報を流したフレンダを粛清し、「スクール」に挽回するため既に限界状態の滝壺に体晶を使わせようとする。さらにそれに反発した浜面を殺そうとするが、油断から右目を潰され、能力の暴走で左腕を失って敗北する。しかし、能力再利用のためにアレイスターに回収され、冥土帰しが残した「負の遺産」と呼ばれる医療技術で一命を取り留めた。抗争後、復讐のために再び浜面と滝壺を襲うが、浜面の機転によってまたも敗北。その後、(結果的にだが)彼らの逃亡を手助けし、浜面を追うべく自身もロシアへ向かう。ロシアでは体晶による驚異的な力で浜面を追い詰めたが、体晶の副作用で肉体が限界を迎えて自滅。その際に浜面の説得を受け入れて和解し、浜面や滝壺と共に学園都市に帰還した。
新約では絹旗、滝壺、浜面とともに新生「アイテム」として活動しながらも、暗部からは身を引いている。一巻でフレンダの墓参りに行った後、不良たちから逃げて行った浜面と合流を図る最中に暗部のにおいをかぎつける。捜索中に打ち止めと遭遇し、以前では考えられないほどの寛容さで対応していた。その後上条の部屋で浜面と合流し、フレンダの妹のフレメアと対面する。さらにそこで一方通行と出会い、元暗部同士自分の罪の清算について述べ合った。6巻で垣根に追われる身となったフレメアを救うため垣根と戦い、ダークマターで作られた妹達に追いつめられる一方通行に死者に対する向き合い方を諭した。7巻でも「人的資源」プロジェクトの中心となっているフレメアを救うために「アイテム」を引き連れてヒーローたちの一掃を行った。12巻では「アイテム」のメンバーと浜面を待つついでにダイヤノイドでショッピングに来ており、そこで襲ってきたサンジェルマンと交戦した。20巻での学園都市からの疎開後も日本国内に留まり、オルソラ教会建設予定地跡を中心とした地域に潜伏、復旧後は学園都市に帰還し浜面達と合流した。
オペレーションネーム・ハンドカフスの際には素早く逃走し潜伏していたが、想定よりもタガが外れることなく事態が終息したことを知る。
能力はレベル5の「原子崩し(メルトダウナー)」。電子を波と粒子のどちらでもない状態に固定し、自在に操る能力(正式な分類上では「粒機波形高速砲」と称される)。結果として、固定された電子は、ほとんど質量を持たない「壁」として機能し、その「壁」を高速で動かし叩きつけることで圧倒的な破壊を引き起こすことが可能。またこの状態の電子を一定座標でループさせることも可能であり、浜面との2度目の対決ではこの方法で失った腕を能力で補うという手法を見せた。産業的な応用性の観点から超能力者の序列では美琴の下だが、純粋な能力の出力だけを見れば彼女を上回っている。ただし、威力が強すぎるので目標設定は慎重に行う必要があり、自然と発動は遅くなってしまうのが欠点。また、反動も大きく、通常は無意識下でリミッターを設け、自身が傷つかないようにしている。連射性能の低さは「拡散支援半導体(シリコンバーン)」というカード状の道具を通すことで補うことが可能。なお、能力だけでなく身体能力もスキルアウトで鍛えていた浜面を圧倒するほどのレベルにあり、片手が金属の義手になってからは打撃力が致命的なまで上昇している。
絹旗 最愛(きぬはた さいあい)
声 - 赤﨑千夏
都市の暗部組織「アイテム」の構成員。大能力者(レベル4)。
見た目12歳ほどの女子中学生。言葉にやたらと「超 - 」と付けるのが口癖。その能力より「アイテム」での活動ではもっぱら前線に立つため、かなり戦闘慣れしている。性格は「アイテム」の中では比較的まともで、面倒見が良く気配り上手。プライベートではB級以下の映画マニア。日ごろから「総合的に見れば超スタイルはいい」と豪語しているが、内心ではメンバーで一番胸が小さいことを気にしている。
『超電磁砲』絶対能力進化計画編では、8月19日に単独で美琴が向かったのとは別の研究所に行き、布束を拘束した。天賦夢路編では偶然美琴と遭遇したものの個人的な遺恨はなかったため、貧乳という同じ悩みを抱える仲間として「巨乳御手」を探すため協力した。
暗部組織間抗争では砂皿を撃破するも垣根に敗れ負傷するが、その後はすぐに戦線に復帰し、10月第2金曜日には雲川の依頼でアメリカの要人ジョージ=キングダムを暗殺している。
「アイテム」壊滅後は浜面とケンカ友達のような仲(絹旗はあくまで上下関係を主張)となっており、映画鑑賞や滝壺のお見舞いなどで共に行動している。滝壺の退院時、砂皿の件で恨みを持つステファニーに襲撃され、周囲の窒素を吹き飛ばされて苦戦したものの携帯液体窒素を使って撃退、その後、浜面に彼が学園都市から狙われているという情報を伝えて逃亡を促した。
新約でもアイテムとして活動しており、ときどきお笑い要因のような立ち位置になる。浜面がいない場合に代わりにツッコミ役に回ることが多く、よく過激な行動に出がちな麦野のストッパー役になったり、話を聞かない麦野と口げんかをしている。第三次世界大戦終戦後、フレメアを狙う「新入生」と戦い、同じ「暗闇の五月計画」に参加していた黒夜と交戦、相手がサイボーグ技術で能力を向上させていた事で敗北するも、生還。「人的資源」の一件では、薬味が呼び寄せた食人ゴキブリの群れを殲滅した。
オペレーションネーム・ハンドカフスの間は特殊メイクで顔を変え、ライブハウスの楽屋に身を潜めていた。
能力はレベル4の「窒素装甲(オフェンスアーマー)」。窒素を自在に操ることができる能力で、窒素越しに自動車を持ち上げたり、弾丸を受けとめたりできる。ただし、射程距離は短く、物を動かす際はある程度まで手を近付けて動かす必要があるため、傍目には怪力であるように見える。また、一方通行の「反射」のような常に能力が展開された自動防御機能があり、例えば狙撃などの不意打ちであっても彼女には効かない(垣根によると、自動防御は一方通行の演算パターンを参考に「自分だけの現実」の最適化を目的とした「暗闇の五月計画」の副産物らしい)。ただし、窒素が無いと能力を使えず、本人も能力が無ければただのか弱い女の子だと自覚しているため、非常時に備えて液体窒素を入れた容器を携帯している。
フレンダ=セイヴェルン(Frenda=Seivelun)[57]
声 - 内田真礼
都市の暗部組織「アイテム」の構成員。フレメアの姉。
金髪碧眼の女子高生。脚線美が自慢で「結局」「ワケ」が口癖。まれにノルウェー語が出る(超電磁砲T)ためノルウェー人とみられるが、他の日本人と変わらないレベルの流暢な日本語を話す。サバ缶が大好物で、本人によると長時間摂取しないと震えや動悸が起きるほど。お調子者な性格をしているが、暗部の「アイテム」のメンバーであり、戦闘においては敵に対して冷徹な一面も見せる。しかしアイテム一の仲間想いであり、滝壺が能力の使用で倒れそうになった時は真っ先に彼女の体を支え、気遣いの言葉をかけている。アイテムの仕事で得た収入で何を買うかをとても楽しみにしている。非常に顔が広く、裏の世界と表の世界を合わせれば4桁にものぼる知り合いがいる。
『超電磁砲』絶対能力進化計画編では、8月19日に施設に侵入してきた美琴と遭遇。功績を独り占めするために単独で迎え撃ち、話術なども駆使して彼女を翻弄したが、詰めの甘さのせいでミスを犯して敗北。麦野が駆け付けたおかげで難を逃れ、能力の過剰使用で継戦が困難になった滝壺を連れて戦線を離脱したが、設置した爆弾の回収を忘れたため、後に麦野からの何らかの制裁を受けた模様。天賦夢路編ではサバ缶目当てで店に行った時、残っていたサバ缶を購入した佐天と偶然出会い、サバ缶を一個もらった上佐天の家でサバ缶の鯖入りカレーをご馳走になったことで友人になる。その後佐天が「ピンセット」につながるカードを手に入れたと考えた「スクール」により佐天が拉致されたのを目撃し、浜面と共に彼女を救出したが、その事で佐天を重要人物と思った誉望からの依頼で「スクール」のスナイパーである猟虎から命を狙われてしまう。佐天と共にデパートに買い物に行った時、デパートの前で弓箭の狙撃を受けて負傷し、佐天と共に逃げる。当初は誰が犯人か分からず、さらに弓箭の狩猟技術に翻弄されたものの、弓箭が同じ学校の生徒に近づかれたことで攻撃をためらっている間に弓箭の視覚外に逃げることに成功する。そしてこの時、「足手まといになるから」とフレンダに気遣いをした佐天に対して胸ぐらを掴み、「私から離れて身を守れるの!?」と怒鳴りつけるなどしたものの自分から離れて自分の身を守れる可能性が低い佐天の身を案じており、さらに「フレンダの足手まといになってしまっては申し訳ない」という佐天のフレンダへの強い優しさに気が付き、佐天と二手に分かれるのではなく、あくまでも離れた所から佐天の安全を監視できるように佐天を囮にすることにする。そして佐天に人形に似せた大量の偽の爆弾を持たせ、「犯人が特定できたらすぐに戦闘になるからすぐに他の人に紛れてその場から逃げなさい」と言い、佐天を送り出す。そして佐天が持った大量の人形を観てそれを爆弾だと思った弓箭が恐れをなして柱に隠れたことでフレンダは犯人が弓箭であることを特定。弓箭と交戦状態になる。事前に弓箭に大怪我を負わされていた上、弓箭の高い戦闘能力の前に苦戦するも最後は事前にフレンダが仕掛けた爆弾を一斉爆破。弓箭が酸欠から逃れるために窓のそばに行って口を開けたところでその口の中に爆弾を詰め込み、割れた窓から蹴落とす。そしてさらに上から爆弾を落として爆弾を一斉爆破、弓箭を倒した。
暗部組織間抗争では「スクール」に捕まり、保身から「アイテム」の情報をしゃべってしまい、そのことで麦野に殺される。そしてこれによって「次は私が奢る」という佐天との約束は果たせなかった。遺体は第10学区の墓地に埋葬される。新約では死後でありながらもたびたびその存在が言及され、一端覧祭のときには彼女の姿を模倣した暗部の手先が現れた。第十五学区の上層マンションに秘密の部屋を持っており、そこで麦野や友人の加納たちへのプレゼントを考える場所として使っていた。
無能力者の可能性があり、戦闘スタイルは、「アイテム」内では唯一能力には頼らず、リモコン式を始め、時限式・着火式の爆弾を武器に用いる方法で、心理戦も併用する。また、敵に直接爆弾を当てずに周囲の建物を破壊し、そのがれきや鉄骨で道を塞ぐ等の高度な技も使える。格上の美琴を翻弄させるしたたかさを見せたが、人を見下す性格のため油断することがあり、詰めが甘い。
滝壺 理后(たきつぼ りこう)
声 - 洲崎綾
本作のヒロインの1人。都市の暗部組織「アイテム」の構成員。大能力者(レベル4)。
ピンクのジャージを着用している脱力系の女子高生。着やせしやすい隠れ巨乳。他人の名前を呼ぶときは「はまづら」「きぬはた」などの平仮名で表記される。何事に対しても無気力に見えるが、浜面(恋人関係になる以前)を助けるために副作用がある体晶を躊躇せずに使用したりするなど、仲間想いで心優しい性格。趣味は後述の能力による日光浴ならぬ「AIM拡散力場浴」。これには能力を暴走させる必要はなく、ボーっとしている時は大抵他人のAIM拡散力場に身をゆだねている。
危険を冒してまで自分を何度も救ってくれた浜面に対して恋愛感情を抱くようになり、現在では相思相愛の関係になっている。歩行パターンや重心の偏りで浜面を識別する能力を持つ。しかし、やや嫉妬深い所があり、浜面が麦野と絹旗に抱きつかれた時には目に見えて不機嫌になった。特にフレメアとは相性が悪く、子供らしく遠慮のない言葉にイラついたり、目の前で堂々と浜面に甘える姿を見ては語気を荒らげるほど憤慨している。
暗部組織間抗争では、その能力の重要さから直接「スクール」に狙われるも無能力者である浜面を守るため単身で垣根に挑むが、敗れて脳にダメージを負い、これ以上能力を使えば脳が崩壊すると診断されるほどまで悪化してしまう。抗争後は入院しながら浜面や絹旗と過ごしていたが、退院直後にテロや浜面を狙う麦野の復讐に巻き込まれる。その後、浜面と共に学園都市を脱出してエリザリーナ独立国同盟へと辿り着き、エリザリーナに体内の体晶を回復魔術で取り除いてもらい、普通に出歩ける状態までには回復する。その後、浜面と麦野の和解を経て、2人と共に学園都市に帰還する。
新約20巻で学園都市からの疎開が開始されると浜面に同行してイギリスへと向かい、「クロウリーズ・ハザード」との戦いに巻き込まれる。ダイアンを復活させるためにコロンゾンの捨て駒になる覚悟をした浜面に置いていかれ、聖マーガレット礼拝堂騎士団長から尋問を受けることになるが、恋人が世界に押しつぶされる前に救い出すため、アンナ=シュプレンゲルを名乗るマダム・ホロスの手引きで脱走。魔力を精製することなく術式が行使できる魔導書を与えられてクイーンブリタニア号に乗り込むが、最短最速で事態を解決する「だけ」の力を押し付けられたせいで魔術の制御が利かなくなり、意図せず浜面に攻撃してしまったが復活したダイアンに助けられた。終戦後にウィンザー城が神浄に占拠された際は、上条の事情には興味がなく、特に理由もなく死ぬのは真っ平だと思いつつも、陽動として前線へ出た浜面の援護としてテムズ川のほとりから重機関銃で射撃を行った。
帰国後の12月25日、オペレーションネーム・ハンドカフスが始まって間も無く警備員に拘束されるが、浜面と合流して留置場から逃走、学園都市からの脱出を目指して逃避行を繰り広げる。
能力はレベル4の「能力追跡(AIMストーカー)」。透視や遠視の派生形で、一度記憶したAIM拡散力場の持ち主を捕捉し、たとえ太陽系の外まで逃れても居場所を探知できる能力。「アイテム」の中核を担っていたほどの能力だが、発動には体晶を服用し、強制的に暴走状態になる必要があったため、自身の崩壊を招く危険性も伴っている。また、能力が完全に開花すれば相手のAIM拡散力場に干渉して「自分だけの現実」を歪め、他人の能力を自在に制御することで、能力者から能力を奪ったり、強化・改変することも可能となる。この「学園個人」とでも言うべき機能は、彼女の資質である8人目のレベル5の能力の片鱗である。弱点として特殊な受信体質としての側面を持つため、神としてまともではない存在とチャネリングすると破損ファイルを読み込むようにハードウェアを傷つけられるリスクがあり[58]、魔力を一定周波数で振動させる交信手段などを使われると脳に散弾銃を受けたかのような負荷[59]がかかってしまう。また、純粋な「読み取る力」だけで大能力者まで上り詰めただけあって、マダム・ホロスの変則スクライングを利用した戦闘モジュールの魔道書とは相性が良く、副作用なく魔術を行使することもできる。
浜面 仕上(はまづら しあげ)
声 - 日野聡
本作の主人公格の一人。元スキルアウトの少年。暗部組織「アイテム」の構成員。
電話の女
声 - 村川梨衣
「アイテム」の上司を務めていた女性。飄々としたノリの軽い性格で、「こいつらと来たら」が口癖。「アイテム」以外にも部下はおり、第三次世界大戦ではロシアにいた滝壺を回収させるためにヘルメットの女を差し向けている。

メンバー

博士(はかせ)
声 - 杉崎亮
本名不明。都市の暗部組織「メンバー」のリーダー。
白衣を羽織って眼鏡をかけた、いかにも学者然とした中年男性。数式に美を見出しており、そのためには「アレイスターの犬と呼ばれても構わない」と言うほど執着している。馬場の操作する動物型ロボットと共に垣根を襲うが、あっけなく殺される。
「オジギソウ」と称する、空気中の雑菌に付着させた反射合金の粒を武器に用いる。特定周波数で遠隔操作し、相手の細胞を1つ1つ毟り取るような戦い方をする。
馬場 芳郎(ばば よしお)
声 - 林大地
都市の暗部組織「メンバー」の構成員。高校生。
頭脳派で指揮能力に長け、収集した情報をもとに綿密な作戦を立ててから実行に移す。学校では人当たりのいい好青年を演じているが、本性は腹黒く、他人を見下している。極めて自己中心的な性格で自分の同僚ですら信用しておらず、自らの手柄を横取りされないように単独行動することが多い。実際は虚勢を張る見栄っ張りかつ根は臆病な小心者で、自分より強い者には焦るだけの矮小な弱者となってしまう。
体型は媒体によって異なり、原作ではやや小太りだが、漫画『超電磁砲』では太めの体形、アニメ『禁書目録Ⅲ』では細身、アニメ『超電磁砲T』では太めとは言えない程度の体形に描かれている。
『超電磁砲』では、大覇星祭の最中に美琴を拉致するために暗躍、競技に出場していた御坂妹を美琴本人と誤解してナノデバイスを打ち込んだものの、裏で動いていた食蜂が先んじて身柄を保護したため確保に失敗する。翌日、美琴の代理で御坂妹を探す婚后から情報を手に入れようとして戦闘になり、卑劣な手段で排除するが、友人を害されて怒った泡浮と湾内に成敗され敗走する。逆上して博士から提供された大型ロボットで2人を陵辱しようと息巻くも、婚后への仕打ちを知って駆けつけた美琴にロボットを徹底的に破壊され、「次に自分の目の届く範囲にいたら容赦なく潰す」という脅しにあっけなく屈して仕事を降りた。
その後、美琴への恐怖から逃れるため、安全な隠れ家として見つけた第22学区のVIP用核シェルター(通称「避暑地」)に引きこもる。暗部組織抗争では動物型ロボットを遠隔操作して博士をサポートしたが、博士の死後、水攻めによってシェルター内に閉じ込められ、食料や酸素、救助などへの不安から錯乱状態に陥る。
査楽(さらく)
声 - 高橋大輔
都市の暗部組織「メンバー」の構成員。
キノコのようなおかっぱが特徴でダウンジャケットを羽織った少年。語尾に「ね」をつけて話す。
「ブロック」の計画破綻を狙って衛星アンテナを破壊しようとした一方通行に対し、その防衛のため、能力を利用した不意打ちをしかける。銃の照準を狂わせ遠距離攻撃を防いだかに見えたが、すぐに能力の正体・弱点を見抜かれ、「反射」で弾道制御し直した銃弾が直撃して敗北する。
能力はレベル4未満の空間移動系「死角移動(キルポイント)」(一方通行による仮称)。他人の背後に回り込む能力。自身を転移させられるため本来ならばレベル4認定されてもおかしくないが、自力で11次元上の理論値を算出できないため、他人の位置情報を元にする必要があり、結果として対象の背後にしか移動できない。新約10巻では上条と3度目の交戦となったトールが査楽の情報を入手していたのか、死角移動はレベル3程度でしかないことが語られている。
『超電磁砲』では、天賦夢路編でインディアンポーカー製作のSランカー「BLAU」の上客として登場する[60]
ショチトル(Xochitl)

ブロック

佐久 辰彦(さく たつひこ)
声 - 水越健
都市の暗部組織「ブロック」のリーダー。28歳。主任務は学園都市の外部協力機関との連携の監視。
熊のような大男。低俗かつ酷薄な性格。アレイスターの暗殺を目論み、「窓のないビル」の「案内人」である結標を利用するため第10学区の少年院にいる彼女の仲間を人質に使おうとした。第5学区・ウィルス保管センターへのクラッキングを囮として第23学区の衛星管制センターから「ひこぼしII号」を乗っ取り、一方通行に地上アンテナを破壊させることで衛星の機能を封じた。その隙に第11学区の外から5,000人の傭兵を内部に招き入れようとしたが、山手に変装していたエツァリの妨害で計画が破綻、「六枚羽」の攻撃を受け、残った100人の傭兵たちを連れて少年院に向かう。だが、人質作戦に反対する手塩に壁まで殴り飛ばされ、血を流して気絶させられる。
手塩 恵未(てしお めぐみ)
声 - 森永千才
都市の暗部組織「ブロック」の構成員。表向きは「警備員」としても活動している。25歳。警備員の逮捕術にアレンジを加えた格闘術を使う。
長身に筋肉質な体格の女性。過去に「悲劇」を経験したことから、アレイスターがそれに関わっていたのかを問いただすために計画に加わったが、最終的に結標を従わせるために人質を使う作戦に反発して佐久を殴って昏倒させた。基本的な戦術だけで土御門を戦闘不能に追い込んだものの、トラウマを乗り越えた結標との格闘戦の末に敗北する。
山手(やまて)
声 - 岸尾だいすけ
都市の暗部組織「ブロック」の構成員。実戦部隊としての能力はあまり高くなく、組織の作戦立案や情報分析などの重要な任務を担当していた。
「人材派遣」に関する情報隠匿のために海原(エツァリ)を襲うが、逆に彼に殺され入れ替わられる。以後、活躍する山手はすべてエツァリだが手塩によれば山手の力がアレイスター殺害計画の成否を握っていたらしいがその詳細は不明。これには彼に化けたエツァリ自身も適当な雑魚だと思っていた山手が組織の中枢を担っていたことに驚いていた。初登場と同時に台詞もなく殺されたため、とあるシリーズの不遇キャラクターとして読者に認識されている。[要出典]
鉄網(てつもう)
声 - 続木友子
都市の暗部組織「ブロック」の構成員。
陰気な少女。自分の価値は人の心を読むことしかないと考えている。その能力より裏切り者の探索を担っていたが、海原(エツァリ)に右手を爆破され能力を封じられる。その後は痛みと出血のために失神し、佐久と手塩に見捨てられる。
能力は「意見解析(スキルポリグラフ)」。握手した相手の心を読み、名前や年齢などのプロフィールを知ることが可能。
アニメでは『III』で登場。原作での右手を爆破される展開はなく、ブロック共々結標の仲間が収容されている少年院を襲撃するが、海原によって呼び寄せられた六枚羽の反撃に合った挙句、六枚羽の機銃掃射で爆発した車の爆風に巻き込まれて気絶。そのまま佐久と手塩に見捨てられた。台詞が無く叫び声を上げるだけになっている。その後は『III』#15で学園都市暗部組織生き残り達の中で後ろ姿で登場。

新入生

黒夜 海鳥(くろよる うみどり)
声 - 春野杏[61]
都市の暗部組織「新入生」の構成員。12歳。大能力者(レベル4)。
黒い髪を肩甲骨の辺りまで伸ばし、耳元だけを金色に色を抜いてアクセントとして、露出の多いパンク系の黒革衣装にフード付きの白いコートをフードの部分だけ被るという格好をしている。絹旗と同じ「暗闇の五月計画」の被験者で、その影響か昔の一方通行に似た悪辣な目つきと言葉遣いを持つ。性格は慇懃かつ残酷。しかし周到な策を練ってから実行に移す慎重さと計算高さも併せ持つ。イルカのビニール人形をこよなく愛するのが趣味。普段慣れていない方面からの侮辱で泣き出してしまう、歯医者を怖がるなど年相応の面も持つ。後述の通り番外個体とは能力的な相性が最悪で、最近ではパシリのように扱われよく絡まれている。
激情家である一方、非常に理知的かつ柔軟な思考の持ち主でもあり、咄嗟の発想と応用力においては上条にも引けを取らない。聞きかじっただけの知識で魔術の真似事をやってのけるなど、自分の能力だけに頼らないバイタリティと才能も備えている。
一方通行によって暗部から解放されたことを逆に嫌悪し、闇の世界へ戻るため「新入生」に加わる。そして上層部に対し強力な交渉カードを持つ一方通行と浜面をまとめて排除するため、2人と接点があるフレメアの命を狙い、両者を協力させることで上層部の危機感を煽り、二人の抹殺指令を出させるという計画を企てたが、浜面が乗り込んだ駆動鎧「ファイブオーバー」の前に敗北。最後の力でフレメアを殺そうとしたが、駆け付けた上条に阻止され捕らえられた。その後、フレメア暗殺を防ぐため上条らがハワイ諸島に向かう際に同行させられ「グレムリン」の騒動解決に協力した。
「人的資源」プロジェクト遂行の際に用済みとして恋査に始末されそうになり、居合わせた浜面に共闘を提案される。しかし自分を信じたその言葉を疑ったせいで浜面が重傷を負い、激しい後悔と自責の念に苛まれることとなった。九死に一生を得た後は、ずっと浜面を敵視していた心情に、若干の変化の兆しを見せている。
能力はレベル4の「窒素爆槍(ボンバーランス)」。窒素を槍状に固形化して掌から高圧で噴出し、莫大な圧力を使って物体を切断する能力で、攻撃範囲は約3m。絹旗の「窒素装甲」に対して攻撃に特化しており、かつてこの力で研究員達を惨殺したことが「暗闇の五月計画」破綻の原因であった。槍で気流を操作して空中で静止する事もでき、最大級の出力を出した一撃は「爆砕」を生み、それが連続して標的を地形ごと瓦礫の山に変えるほど。この攻撃性は一方通行の「ベクトル制御」に起因する。掌から一本ずつしか出せないため有効範囲と防御の面で劣るという欠点があるが、左右の脇腹に生体サイボーグの腕を無数に装着し、砲口を増やすことで本数や威力を飛躍的に高めることによってレベル4の域を超越している。数百数千もの発射地点は単なる能力の放出に留まらず、群体として一定範囲の気体の流れ全てに干渉することで巨大な窒素の槍を生み出したり、窒素を奪った空間を作り、そこに水素や酸素を雪崩込ませることで爆発を起こすこともできる。体内の電気信号を操作することも可能で、それを利用すれば1週間ほど飲まず食わずでも生存可能らしい。しかし、能力が腕に依存している特性上、サイボーグ内部の端子に異物を詰め接触不良を起こしただけで能力が使えなくなる。サイボーグの制御機構を操作されるため、電気系能力者ときわめて相性が悪い。なお、このサイボーグは死亡した木原相似の研究施設から略取したものである。
シルバークロース=アルファ
都市の暗部組織「新入生」の構成員。
「駆動鎧(パワードスーツ)」の操作・操縦に秀でており、シンプルな二足歩行の人間型から制動が極めて難しい多足歩行の非人間型まで難なく乗りこなす。専用のバンカーには10機以上もの「駆動鎧」が用意され、状況に応じて最適なものを着こなしていくことをポリシーとしている。制裁で顔を焼かれ、仕事の報酬で整形手術を繰り返したことにより元の顔を取り戻した過去を持ち、その経験から「自らの外観、輪郭、印象に対して、全く執着を抱いていない」という心の組み立て方と感覚を持つに至り、ヒトの外見や2本の手足による挙動に執着しない多種多様な「駆動鎧」を巧みに操る根幹となっている。
黒夜と共に、一方通行と浜面の危険性を上層部に知らしめるべく行動し、フレメアを誘拐、地下鉄トンネルで一方通行を振り切るが、「ドラゴンライダー」に搭乗した浜面に敗北した。戦闘不能になった後は「ファイブオーバー」に部品として詰め込まれて再び戦場に投入されるが、意識不明のままだったために柔軟な対応ができずまたしても浜面に敗北する。

屍喰部隊(スカベンジャー)

飯棲 リタ(いいずみ りた)
声 - 藤田茜
「屍食部隊」のリーダー。他メンバーからの呼称は「リーダー」。
作楽木 ナルハ(さくらぎ なるは)
声 - 古賀葵
「屍食部隊」の構成員。他メンバーからの呼称は「ナル」。
清ヶ 太郎丸(せいけ たろうまる)
声 - 貫井柚佳
「屍食部隊」の構成員。他メンバーからの呼称は「清ヶ」。
薬丸 医月(やくまる いつき)
声 - 西田望見
「屍食部隊」の構成員。他メンバーからの呼称は「ヤっくん」もしくは「薬丸」。

その他暗部関係者

人材派遣(マネジメント)
声 - 野上翔
学園都市で人数が必要な犯罪行為を行うとき、補充人員を紹介して仲介料を稼ぐ業者。犯罪用の道具の売買も行なう。軽薄そうな大学生くらいの男で、首から複数の携帯電話をぶら下げている。
「スクール」にスナイパーとして砂皿を紹介したが、取り引きを嗅ぎ付けた土御門に事務所を襲撃され、腹部を銃撃されて重傷を負う。詳細な情報を得るため生かされたまま「グループ」下部組織に護送されているところ、口封じに来た誉望により両手を潰されたうえで殺害される。
雑貨稼業(デパート)
声 - 本橋大輔
学園都市で逃走、潜伏に必要な物品や施設を商品として扱う裏の調達屋。第15学区に建つ巨大統合ビルの最上階に住むが、金を出せば自宅でも商品の隠れ家として提供する。人身売買も行なっており、自らも700万円で購入した少女をサンドバッグ代わりにして殴るのを趣味としている。
依頼を受け「グループ」から派遣された一方通行に始末され、息を吸って吐くだけの肉塊にされて「グループ」下部組織に回収されるという末路を辿った。
ヘルメットの女
声 - 渡部紗弓
学園都市の暗部に所属する女性。「電話の女」と呼ばれている女性の部下であり、命令系統は「アイテム」と同じ。第三次世界大戦終盤、上からの指示で滝壺を回収するため部下を連れてロシアに向かい、「アイテム」の面々を包囲するが、逆に近くの集落から駆け付けたディグルヴたちに拘束されてしまい、浜面の拷問で「素養格付」の情報を引き出される。
恋査(れんさ)
統括理事・薬味の側近である女性のサイボーグ。
普段は薬味と同じ病院で看護師として働いている。製造及び維持に学園都市の予算の一角を使うまでの多額の費用を投じられており、人の脳の最小単位である視床下部以外は全て機械で構成されている。この視床下部は恋査というサイボーグを動かすための部品の一つでしかなく、消耗する度に取り替えられている。#040まで視床下部のストックがあり、作中では#028と#029が恋査に搭載された。
戦闘能力は極めて高く、超能力者全員が一斉に反抗した時に対する備えとして、背部に展開する「編み棒」の数値制御によりAIM拡散力場を介して削板以外の全超能力者及び半径200m以内の任意の能力者の能力の「噴出点」を自らの脳構造、身体構造を作り変えて生成し、使用することが可能。
上条、垣根との戦闘により、機械の心臓部が完全に破壊された。
#028
淡々とした性格ながら毒舌。高火力の飛び道具を使い、「噴出点」を多用する傾向が強い。
白いカブトムシに干渉してフレメアを誘導、黒夜の能力を使用してフレメア殺害を図り、黒夜と浜面を撃破する。駆けつけた上条を肉弾戦で圧倒するが、「幻想殺し」を引き出そうとしたことでマシントラブルを起こし機能停止した。
#029
テンションの高い性格。「噴出点」よりも第一位の能力を使用した肉弾戦に重きを置き、五感よりも演算の結果を重視する。薬味は自身の恩人であり、自らの意思でこの姿になった。
「避雷針」で上条を襲撃、制御を取り戻した垣根とも交戦する。2対1の劣勢の中、「黒い翼」を発現し逆に2人を追い詰めたが、フレメアの干渉でAIM思考体となった薬味を機体に叩き込まれ能力の制御を失う。全身が崩壊しながらも薬味を守ろうとし、ついには「白い翼」をも発現させることに成功したが上条に撃破される。
蜜蟻 愛愉(みつあり あゆ)
声 - 花守ゆみり[62]
食蜂を憎む少女。強能力者(レベル3)。
「才人工房」第3研究室「内部進化」の出身[63]。精神系能力者の頂点に立つ素養を持っていたが、食蜂のスレーブとして時間割りから切り捨てられた存在。研究室では年長者であり、予算が足りないという名目で1人だけ能力開発の実験から外されると説明を受け、自ら外れることを願い出る。その実験が失敗した時は、遠峰を犠牲にしつつも暴走する悠里を能力で鎮めた。
能力開発が行き詰まったことに悩み、本編1年前の8月に入水自殺を図った。本来ならば上条が救出に向かっていたが、彼が偶然食蜂と接触したことで間に合わなかった。その後一命を取り留めるも、暗部に身を落とす。
10月、協力者の北条兄妹と共に、「学園都市伝説」を経験できる「インディアンポーカー」によって、一種のインターネットミーム化した悠里を「AIM拡散力場」と紐付けて力の受信機とし、「内部進化」では失敗した「理想の能力」を実現しようとした。しかし、電子戦のエキスパートである初春により、興醒めする情報を流した上でより強力な話題でマウントを取られ、さらには工作用アカウントを全て凍結されて打つ手がなくなり計画は頓挫。その後、静護を倒した削板により崩落寸前の旧・才人工房ビルから救助され、静護の最期を看取る。
11月には蠢動からファイブオーバーOSとファイブオーバーを貸与されて、食蜂の精神を破壊しようと暗躍する。戦闘の末、食蜂を拘束することに成功したが、その場に駆けつけた上条と交戦。その後は今まで利用していた暗部組織などによる報復から守るため、少年院に送られた。
能力はレベル3の「心理穿孔(メンタルスティンガー)」。「心理掌握」と同様に脳内の水分を顕微鏡レベルで制御して精神制御を行うが、こちらはカメラと指先で標的を設定する。怒りなどで感情が高ぶると、空気中の水分の圧搾と対象内部からの水分子の抜出により、フリーズドライに似た肉眼で確認できる現象を起こすことも可能。マスターである食蜂と同じ能力開発を受ければ超能力者に達する可能性もあるとされている。
蠢動 俊三(しゅんどう としぞう)
学園都市上層部の思惑を無視する大人達の一人。
かつては「才人工房」の「内部進化」において中心となっていた研究者だった。統括理事会メンバーをパトロンにつけ、「AIM拡散力場」を解析し、その核となる「自分だけの現実」を抽出して操ることができれば、能力者とその能力を自在に操れるのではないかと仮説を立て、夾雑物にまみれた「自分だけの現実」を記録した他の能力者へ学習させ、意図した方向へと能力へと変化させることを繰り返し、望む「理想の能力(アイデアル)」を創り上げるという計画を立案、悠里の「幽体連理」をカードに記録し子供たちに学習させ、成果をフィードバックし、最終的には「自分だけの現実」を変質させる上に洗脳効果まで持ったカードを学園都市中にばらまこうとした。最初の実験が大事故に発展し、脳幹から厳重注意を受けてもなお悠里が無事なら計画を続行できると考えていたが、同時に食蜂の全てを横取りしようと企み洗脳した異分子を使って彼女の側の研究にも干渉していたことを気付かれ、食蜂の密告を受けたパトロンから出資を打ち切られ、「内部進化」を解体されることになる[64]
「心理掌握」に執着し、1年前にはデッドロックを追い詰めると同時に彼らに「簒奪の槍」を与えて食蜂を襲撃させたが、上条の介入により失敗。この時、上条はデッドロックの攻撃を受けて食蜂に能力を使った応急処置を施されるものの、食蜂を認識できない記憶障害を脳に負ってしまう。彼女を犠牲にしてでも能力のメカニズムを知ろうとしたため、アレイスタ―の指示を受けた脳幹により文字通り肉体を粉砕される。爆破された後も生き延び、自らの脳をシャチの脳に接続して復活、1年後に蜜蟻を陰で操り再び食蜂を襲撃させたが、最終的にこれも上条が阻止。食蜂と、アレイスターのプランに必要な上条に2度も手を出し、そのことを察し自らの前に再び現れた脳幹を30基の「鋼の臼歯」を以て迎撃しようとしたが、己の理解が及ばない圧倒的火力(対魔術式駆動鎧)の前に敗北する。
舞殿 星見(まいどの ほしみ)
「暗部」に属する15、6歳の少女。根丘の尖兵。上記の名前は上条に名乗った偽名で、本名は不明。
学校では「何でもできる委員長」的な立ち位置にいるが、両手の人差し指に全神経を集中させる「能力の最適化」を何の断りもなく施され、シグナルスライド法で情報の上書き操作を繰り返された結果、片手でを持つ機能を復旧不能にされており、そのことが強烈なコンプレックスになっている。学友との食事や外食を気兼ねなく楽しむことを願うも、「暗部」に身を浸すことで「できない」ことへの羞恥から自分を守っていた。
「暗部」一掃に抵抗し、根丘の指示で新統括理事長の弱みである打ち止めの拉致を目論む。「一番目立つ事で、人の印象から消える」目的で、計画当日の12月24日はミニスカサンタのコスプレと長い金髪のウィッグを纏って行動していた。打ち止めが向かったダーツバーを両断し、一緒に居た上条の脇腹を刺して誘拐を成功させ、追ってきた美琴とインデックスを倒壊させたビルに閉じ込める。だが、御坂妹に治療されて駆けつけた上条が、15年分の記憶を失っているという自分より重いハンデを背負っていることを知って精神的に圧倒され、接近戦に持ち込まれて殴り飛ばされ敗北する。その後は意識を失ったまま拘束され、根丘の関与の証拠として御坂妹の手で警備員の秘匿取調室へ連行された。
事件後は裁判が始まるまで犯罪容疑者として鉄格子のついた病室に閉じ込められていたが、アンナ=シュプレンゲルの侵攻の非常事態に乗じて監視を逃れ、上条に借りを返そうとしたが、逆に彼から「暗部」絡みは辞めると自分の意思で決めた以上はその通りに生きるべきだと諭されて、協力するのを諦める。
能力は「念動能力(テレキネシス)」。上述の最適化を受けた結果、純粋に「物を動かす力」の一点だけなら美琴でも綱引きにならないほど強力で、50階建ての高層ビルを根こそぎへし折り、道路を地盤ごと持ち上げ、水道管やガス管を自由自在に引き千切り、10万t以上の原子力空母を動かすという圧倒的な出力を発揮する。さらに「ベクトルの加工」まで可能としており、左右の人差し指で1つの標的を指定し、千切って破断する、圧縮する、回転運動に結び付けるなど応用が利く。また、「摑む」ことができるのは固体限定ではなく、空気の塊を上空から叩きつけて暴風を起こすことも可能。だが、人間そのものを振り回すことはできないという制限があるため、人体に影響を与える場合は対象の周囲にある物を利用する必要がある。純粋に「ゼロから力を生み出す」出力だけで言えば学園都市最強であるが、あまりにも殺しと破壊に特化されすぎて応用性が足りず経済的価値が見出されないという理由から、超能力とは認定されていない。
碧海 華麗(あおうみ かれい)
ペットブリーダー」の通称で呼ばれる「暗部」の女性。年齢は大学生くらいで派手な露出の黒光りするボンデージを着ている。
秘密裏に訓練された害虫や害獣のような危険なペットをけしかけ、事故に見せかけて狙った人物を攻撃する専門職。単純な脅迫から著名人のリタイア、暗殺まで傷の大きさや感染症の度合いは多岐に渡るという。本拠地の廃ビルは一種のビオトープとなっており、現場周辺で発見されたヒアリカミツキガメが保健所に捕獲された程度の証拠しか残さず、事件化はされていない。本性はコストカット要員の偽装職で、浅い層にグロテスクな底を作って分かりやすい恐怖を演出するだけで、様々な仕事を請け負うが実際には暗殺はほとんど使わない。また、様々な動物を扱う関係で、bC-96/Rといった人間用の治療薬も融通している。
オペレーションネーム・ハンドカフスの際、黒子と楽丘によって本拠地に踏み込まれる。殺傷能力を落としたイナゴガラガラヘビの群れで2人を攻撃するが、楽丘の突進によってデンキウナギが入れられた池に転落、忌避剤が通じず感電死した。
花露姉妹
「暗部」でも嫌普性に分類される双子の研究者。どちらも白衣とガスマスクを装備した10歳くらいの長い黒髪の少女で、年齢や背丈の割に胸が大きい。無能力者(レベル0)。
有害物質や微生物を昆虫や小動物に載せて指定の通りに拡散させ、狙った個人やエリアを正確に攻撃するエキスパート[52]。高位能力者ではないが、動物を操作するための人工フェロモンや合成蜜と、動物に載せて使う毒性の高い化学薬品や微生物が揃えば、手に負えない脅威となる。おおよそ都市型の害虫や害獣であれば何でも操る事ができるため、街中なら半永久的に武器の補給を受けられる状態にある。
誘引物質を散布することでそれらの生物を単に集めるだけにとどまらず、ネズミの大群を銃弾を遮る肉壁にする、羽虫の群れの羽ばたきで銃弾の軌道が逸れるほどの強風を発生させる、トンボスカシバガのように透明な羽を持つ虫で光の屈折を操作して立体映像を作る、蜘蛛の体組織のタンパク質を溶解させ胃のポンプで吸い出す性質を利用した顔面の整形や体格変更、ガリオネラ属鉄バクテリアで電流を流すアースを作る、数万匹のコオロギに一斉合唱させて高音でダメージを与える、というように複雑にコントロールすることも可能。また、ある種の虫が宿主の体の一部を大きく膨らませる「寄生肥大」を利用して、巨大化させたカラスゴキブリを背中に貼り付けて空を飛ぶ。まず使うことはないが、傷口をマゴットセラピーで消毒、ハチの針と蜘蛛の糸で縫合し、医療ビルで鎮痛を行うなど、医療行為の用途としての技能も持つ。
花露 過愛(はなつゆ かあい)
花露姉妹の片割れで、「分解者」の通称で呼ばれる、食物連鎖のピラミッドを循環させるために不可欠な存在である、ハエゴキブリネズミダニなど都市の残飯喰らいの研究者。
命と命のやりとりに遊びや気紛れを挟んでパフォーマンスを繰り返す。一方的な吸い上げによって先細りと硬化を招く世界の秩序を嫌い、大きな街の汚れをかき集めて体の中で浄化したいと思っている。その一環で自分の全裸を衆目に晒そうとする悪癖があり、妖宴からはやめるよう何度も文句を言われているが、一向に気に留めていない。その関係で、上条のような熱血で潔癖な正義の押し売りをする男性原理の権化を最も嫌う。また本心では、1人で何でもできることから妖宴の存在を窮屈に感じており、双子の絆も自分自身も「何もかも分解したい」という独立心を抱えている。
「分解者」としての本領は、カビ、薬品、細菌といった目には見えない分解要因を伝達させることであり、激症型の殺人バクテリアで人間の細胞膜を崩壊させ、強化ガラスや鉄筋コンクリートの壁を食い破る。
オペレーションネーム・ハンドカフスへの制裁として警備員の留置場を襲撃し、人間を生きたまま腐らせて、発生したメタンガスに火を付けて爆発を起こす。続いて、第18学区の警備員化学分析センターを襲撃し、「自分でも何やってるか分からない」ほどの破損を引き起こす。そして黒子を戦いの中で激症型の殺人バクテリアに感染させるが、「風通し」を良くしてマーブル模様の迷路を崩されたことで操っていたネズミの群れから攻撃を受け、自らの骨を溶かしてステンレスシンクの排水溝から逃走、結果として薬味久子と同種の永遠に死ねない存在となって下水道を漂うことになる。しかし3日間で下水の環境にも慣れてしまい、意識を持つ肉と同じクリーム色の液体として復活を遂げる。29日には地下で楽丘に追われながら移動し、最低で最悪な花露妖宴の姿を見たいと第10学区のゴミ焼却施設に現れ、妖宴とペアで鉄装達と戦い、戦闘後は妖宴と一緒に逮捕される。
花露 妖宴(はなつゆ ようえん)
花露姉妹の片割れで、「媒介者」の通称で呼ばれる研究者で、あらゆる病原菌を効果的に運搬するために小動物を使う。
容姿が酷似しているだけに、過愛の特殊性癖に巻き込まれて自分まで恥をかく経験を幾度もしており、何度言っても態度を改めない彼女には手を焼いている。一方で防犯ブザーを過愛の腹部に縫って埋め込むなど、彼女とは対照的に縛り付けてでも永遠にべったりしたいという考えを持つ。双子の片方と向き合ってタイムアタックをひたすら極める事以外に興味が薄いため、明白な目的がない限りは機能と効率を重視する。ぐいぐい推しの一手で来られるとつい流されてしまう性格[65]
オペレーションネーム・ハンドカフス中は過愛と共に警備員に対する報復行動を行う。しかし、分析センター襲撃時に過愛が汚水に溶けて拡散したことを知って取り乱し、「ニコラウスの金貨」で地面を割って汚水を地上に噴出させ、「生物濃縮」によって希釈された過愛を自分に取り込もうと汚水を飲むという常軌を逸した行動を取る。しかし「ニコラウスの金貨」の力でも過愛を元通りにはできないと分かって絶望し、汚水によって歯が溶けた状態で意識を失い拘束される。しかし、肉体の破壊という最後の一撃によって警備員の中に無秩序に破滅を媒介し、良心に押し潰されて自滅する警備員を大量に生産することに成功した。12月29日、護送中の「オーバーハンディング」の事故に乗じて脱走し、3億円の懸賞金を掛けられる[52]。溶けた口腔は飛行機のボディに使われる非金属系のインプラントに置換して、鋼管を歯で破れるようになっている。第10学区のゴミ焼却施設に潜伏して、死んだふりで追跡を逃れるべく30万人以上の死人を出そうかとも計画していたが、自分と競い合ってくれる過愛を失った事でモチベーションが低下していた。そこを鉄装に襲撃されるが、妙に馴れ馴れしい上条に助けられ、楽丘豊富を助けるのを手伝ってほしいと懇願され、汚水の中から復活した過愛と共に鉄装と戦った。戦闘後は過愛と一緒ならどこでもいいとあっさり逮捕され、カキキエ隧道へ向かう上条の銃創を無毒なカビで簡単に塞いで送り出す。
レディバード
木原端数が作ったアンドロイド。外から見れば人間と全く見分けがつかないクオリティで、外見年齢は13、4歳くらい、鮮やかな真紅のロングヘアに、オレンジと黒の競泳水着に似た装束を纏っている。対人関係が皆無で世界が狭く、精神的に未熟である。
「暗部」のゲテモノを素材とした骨格や筋肉は、その気になればV12エンジンの最高回転数とでも張り合えるとされ、40kgはあるだろう女性を片手で振り回す怪力を発揮する。その力で、劣化ウランの65倍の金属結合の強さを持つ超重量の人工元素であるセインティウムから作られた、刃渡り60cmはある分厚い山刀状の刃物「防御の剣(レフトアーム)」を武器とし、艦砲クラスの装甲貫徹弾くらいまでなら問題なく受け止める。常温超電導液体を利用して余剰エネルギーを安全に逃し、同時に各部の摩擦消耗を抑える放電機械油を定期的に使用する必要があり、衣類も機体の放熱性能を助けることが最大の役割。また、精密に作られ過ぎているせいで、内部に煙が入ると活動に異常をきたす。「脳が体を着る」サイボーグの恋査とは逆に、「体が脳を取り込む」というアプローチによって、脳神経より細く精密な炭素系素材のセルロースナノファイバーを配線とすることで、強能力程度の「念動能力(テレキネシス)」や「発火能力」を切り替えて使うことができる。ただ、配線を活動状態で放置すると際限なく自己増殖し無理に折り畳んでスペースを確保しようとするので、脳を決められた頭蓋の範囲に収めるために「異物」として人間の脳を「背中の口」から取り込む必要がある。機体の名称はテントウムシに由来し、ユーモラスで人に好まれる配色をしているが貪欲な肉食性昆虫でもあるという側面を反映している。
オペレーションネーム・ハンドカフスでは、端数の指示で警備員達と激戦を繰り広げる。その中で浜面達と何度も戦い、第6学区の遊園地ではフリルサンド#Gの、第11学区のコンテナラボではヴィヴァーナの乱入によって撤退する。カキキエ隧道での最後の戦いにおいて、自分が人間の脳を捕食する存在であると教えられて狂乱し、それでも本能に従って「置き去り」を襲うが、浜面が煙幕でセンサーを誤作動させたことで体操服を着せられたドラム缶を取り込んでしてしまい、それに銃弾を浴びせられて内部から爆発して粉砕された。機能停止した残骸はカキキエ隧道に放置されていたが、29日にメルザベスの知恵を借りた上条が配線を直し、ロジスティクスホーネットの光ニューロコンピュータと頭脳を同期する事で再起動を果たし、能力を使えなくなった代わりに人の脳を捕食する必要もなくなり、悪趣味から子供達を守るという理念に目覚めて、創造主の手からリサコを救うために奮闘する。
フリルサンド#G
ドレンチャー=木原=レパトリによって科学的に作られた人造ゴースト。外見はツインテールにした長い金髪に薄い青のふわふわしたシルエット、ボディラインのくっきりしたドレスの上に薄布を重ねた、洋風の人形のようなグラマラスな20歳くらいの女性。名前のGはゴーストを意味する[66]。「まずは身近な子供を守る子育て幽霊であって、そのためならば外敵と戦う事も辞さない」恐るべき善性の幽霊である[65]
ハイボルテージ=カッティング法」と呼ばれる、ある種の高エネルギーを放射し続けると、自分自身の中で互いに干渉し合ってイレギュラーな波形や像を作り出すという原理を利用した、要は「高エネルギーの塊」。ここで言うエネルギーとは、二酸化炭素窒素酸化物が空気中の水分と結合した酸性雨と、電極となる街中の亜鉛からなる、街一つ以上に大きな規模の「文明電池」を指す。そして、安定したエネルギーの中に「ノイズ」が多い突出した一点を設けることで姿を現すので、人がいて文明がある場所ならどこでも自分を保つことが可能。災いをもたらす心霊写真の呪いような致死性まで組み込まれ、その際、大勢の中から正確にターゲットを選ぶため、「置き去り」達がつけた「幽霊の実験器具」であるモーションセンサーを利用している。「顔が見えている」だけで攻撃は終わっているので、視界の隅に立つだけで気づかれずに継続ダメージを与えることも、圧倒的な破壊力ですり潰すこともでき、単体戦闘能力であれば第2位以上とされる。また、怪異の目撃談の最初に機械の異常が生じることから、カメラやセンサーなどの「機械的な五感」に誤作動を起こす機能も備わっている。ものに触れられない代わりにどんな壁や柱でもすり抜ける事ができ、銃弾などの普通の武器は通用しない。オカルトではない科学的に説明できる幽霊なので、「幻想殺し」で触れても消滅せず、攻撃を打ち消す事もできない。アリスの「処刑人」による魔術攻撃は当たるが、「切断の条件」が合わないために頸部に刃を何度振り下ろされても切り離されず、首が90度折れ曲がったまま攻撃し続ける。しかし莫大な電気に支えられて存在する不安定なエネルギーである以上、塩水静電気マイクロ波電磁パルスといった様々な電磁的要因で安定性を欠くという弱点を抱えており、家庭のキッチンでも電子レンジだけは避ける。
オペレーションネーム・ハンドカフスの際、一度は第6学区の遊園地でレディバードから浜面達を助けたが、カキキエ隧道で殿の役目を任された時は次々と現れる「暗部」を1人で圧倒する。そして、浜面と滝壺を始末しようとするが、戦場となった隧道が巨大なAIM拡散力場の塊であったことから、端数がエネルギーの安定を崩したことで誤作動を起こし、ピンホールカメラ中に吸い込まれる。事件後、カキキエ隧道の微弱な力の集まりを吸い込んで存在を取り戻し、レパトリの死体を目の当たりにして本物の怨霊へと膨れ上がる。29日には暴走して度々上条達の前に現れて致命的な攻撃を行うが、子育て幽霊の本質からカキキエ隧道で端数に憑依されてしまったリサコを救うために行動し、相性の悪さから再び敗北して端数の制御下にある「禁忌」の中で迷子になってしまったものの、上条や浜面に助けを求めてカキキエ隧道へと導く。
ヴィヴァーナ=オニグマ
「暗部」の和風拷問マニア。長くてクセの強い銀髪に袴姿の女子学生で、滝壺には劣るが巨乳。「暗部」としては良心的で、好普性に分類されている。自分で線を引いて真摯に科学と向き合う専門家で、悪人に対しても非殺傷を選択し、見知らぬ子供を救済するために自分の命を投げ出せるという、無駄を楽しむ浪漫の心を持っている人物[66]
日本で鼻つまみにされていた研究資料を集め、消えゆく歴史や文化を次世代へ伝えて人の役に立ちたいと考え、和風の拷問や処刑の研究者となる。だが、その研究分野が教育関係者から白い眼を向けられた関係で、いつしか「暗部」にまで身を落とす羽目になっている。情報を聞き出す前にうっかり死なせないようにするための「荷重の分散」の技術に長け、矢来やで相手の動きを封じ、逆に荷重の一極集中で鋼管さえ容易くへし折る。許容上限を超える痛みを与えて相手を一撃で失神させる、香辛料を燻した煙幕で鼻粘膜を刺激するといった技術も使う。研究分野の関係で、鍼灸漢方などの治療行為にも精通している。
オペレーションネーム・ハンドカフスの際には、偽書を掴まされて大損した過去をネタに「工場否定」から偽装パスポートを手に入れようと遊園地に現れたが、職人は直前に殺害されていたため、成り行きで知り合った滝壺を治療した後で浜面たちと一緒に「学園都市最大の禁忌」を目指して行動する。しかし道中で2人と逸れて下水道に迷い込み、リサコを守るために錯乱する楽丘を撃破するが、この戦闘で内臓に致命的なダメージを負う。その後、第23学区で再会した浜面達をレディバードから救ったが、連戦で肉体が限界を迎え浜面に看取られながら絶命した。
ベニゾメ=ゼリーフィッシュ
「暗部」狙いのパパラッチをしている女性。20代前半くらいのグラマラスな美女で、黒髪おかっぱ、クラゲの飾りを付けたド派手なテンガロンハット、真っ赤なチャイナドレスという和洋中揃い踏みの奇抜な格好をしている。「やめてよね」が口癖。
人の人生を転落させるスリルに耽溺するブラックジャーナリズムの常習者。特別なスクープを撮るためなら撮影対象を銃撃して混乱を見舞わせるくらいは当たり前、目的のためには殺人すらも厭わない、というモラルハザードを起こした報道人で、その性質から自分から罪を犯す事はないが、すでにある犯罪行為を引っ掻き回して被害を倍加させていく。「暗部」の世界をあまりにも知り過ぎていたために、優れた撮影技術やスクープ写真のコンスタントな提供能力があっても出版社のお抱えになることはできず、「暗部」での生き方を覚えていくうちに自らも「暗部」と呼ばれるようになった。だが、本人としては正義のまま「暗部」を追っているつもりである。ペンの強さに取り憑かれた人物で、「正義」のこだわりとして動画サイトやSNSが発達した時代でも紙の週刊誌を重視している[66]
大量の銃火器を銀色のケースに入れて携行し、電子線テラヘルツ波など特殊な撮影機材を使って布越しでも標的を正確に狙うことができる。また、アナログフィルムの製造メーカーが開発しているハイパワーのマシン系だけを問答無用で腐食させる薬液なども所持し、ストロボ測距用レーザーなどによる目潰しも使うので近距離戦闘でも隙がない。スナイパーとしての資質も高いが、1発の弾丸より1枚の写真の方が世界は震えると考えているので、パパラッチという仕事にこだわっている。
オペレーションネーム・ハンドカフスの時には、「工場否定」の元へ集まってくるだろう「暗部」の大物を撮影するため、第6学区の遊園地で待機していた。レディバードの襲撃を受けて滝壺を囮に一時撤退したが、再び舞い戻って「工場否定」を射殺、そのまま浜面と滝壺の悲劇を撮影しようとするが駆け付けた黒子に妨害される。周囲に設置した撮影装置や銃器を駆使して黒子を追い詰めるが、土壁をぶち破って突進してきた楽丘によって跳ね飛ばされ、瀕死の重傷で戦闘不能になる。12月29日、護送中の「オーバーハンディング」の事故に乗じて脱走し、1億5000万円の懸賞金を掛けられる[52]。鉄装とのどかに敗れて「舌禍抜取」を装着させられ、狙撃で協力を強いられたが、裏で黄泉川へ情報提供して彼女を現場の第10学区まで導いた。その後は駆けつけた黒子によって雑に確保され、警備員の手で移送される。
硬俵 総太(こうたわら そうた)
工場否定(パーフェクトフィルム)」の通称で呼ばれる、完璧な身分証を作る技術を持つ腕のいい偽造職人。見た目は岩石のような頑固オヤジ。第6学区のシークレットレジデンスを拠点とし、ド派手な洋館の脇に立てたいくつかのテントを住居やラボなどとして利用している。「本物よりも出来の良いパスポート」なら相場は500万円。
レパトリとの交渉を浜面に邪魔され、その間にベニゾメによって射殺された。
警策 看取(こうざく みとり)
声 - 富田美憂
食蜂操祈の協力者でドリーのお目付け役。

木原一族

木原 数多(きはら あまた)
木原 幻生(きはら げんせい)
テレスティーナ=木原=ライフライン(Therestina=Kihara=Lifeline)
木原 那由他(きはら なゆた)
木原 乱数(きはら らんすう)
バゲージシティ制圧のために投入された木原一族の一人。
茶髪の若い男性。「木原」としてはスタンダードな人物で、軽薄な口調と残虐非道な性格の持ち主。作者曰く一族内のランキングは中の下[67]
体験」を司る化学物質の研究者で、専攻は世界平和。世界的なスポーツの国際大会など、共通する条件の下で興奮や快楽に包まれている間は、民族・思想・国境といった問題から解き放たれて一体感に包まれる事に着目し、それを人工的に作り出す研究を行っている。
第五位のファイブオーバーシリーズの派生研究で開発された脳内分泌物と同じ効果を持つ微粒子をカビに乗せて空気中にばら撒き、人間の精神を操って幻覚を見せる事を得意とする。風や温度変化、静電気などを利用したプログラムで微粒子の流れを操り、望む方向にばら撒いたり、安全地帯を作る事も可能。本来は一つの感情を操作する事を得意としており、特定のコマンドでターゲットの行動範囲を絞ってから銃や刃物で確実に仕留めるという攻撃が基本[67]だが、複数の人間が相互に影響を及ぼし合う非常に複雑な「体験」[注 9]まで作る事ができる。
反学園都市の上層部を皆殺しにした後、暇潰しとしてウェイスランドを幻覚の中で弄んでいた所、似たような幻覚使いであるウートガルザロキの魔術を掛け返されてしまい、双方幻覚の無限ループに囚われ相討ちとなった。
木原 円周(きはら えんしゅう)
バゲージシティ制圧のために投入された木原一族の一人。
年齢は中学生ぐらい、左右にお団子を結った黒髪に、統一感のないセーターやスカートといった服装で、オドオドとした雰囲気の大人しい小柄な少女。紐で首から提げたスマートフォンや小型ワンセグテレビなど複数の携帯端末機器で、半自動的にハッキングを行っている[67]
仲間意識を口にしたり他人の身を案じるなど木原一族らしからぬ言動が目立ち、「木原」が足りないと評されるが、頭の良さだけならトップグループに属する[67]。幼少期、木原一族を妬む者に誘拐・監禁されていた時期があり、その間一切の教育を受けなかったために九九も出来ずカタカナも書けないが、部屋の中にあったあらゆる物から独自に科学を学んで誘拐犯を殺害、善悪の区別なくそれらを行使するという純粋かつ最悪の存在になってしまった。
本来の専門は「学習装置」とされる。彼女自身は那由他や加群とは違う意味で不足している「木原」を思考パターンをグラフ化することで補っており、戦闘ではそのパターンをカードゲームのデッキのように組み合わせて使う。パターンの中には「木原」だけでなく「上条当麻」なども含まれる。この戦法は「プログラムに人間が誘導される」状況に陥ってしまう危険があり、円周クラスの人間でなければ使いこなせない[67]
バゲージシティでは関係者を虐殺していたが、「戦闘パターンの分析は100%完璧ではない」「同じデッキを使っていても、戦闘でどのカードを切るかは円周自身が決定している」という2つの弱点を鞠亜に突かれ、自分自身の戦闘パターンで逆転を狙ったが、これまでの戦闘で用いたパターンの使い方から「木原円周デッキ」のパターンまで読まれていたため敗北。気を失った状態で拘束され、そのまま学園都市の民間委託少年院に収監される。以後はアレイスターの「原形制御」により認識を操作されて民営の少年院に留まり続けながら、文明を4、5回は滅ぼせるような数式を組み上げている。唯一に協力を要請されて脳幹のパターンを組み上げるが、「魔術」の解析をしたことで意識を失って倒れた。
木原 病理(きはら びょうり)
バゲージシティ制圧のために投入された木原一族の一人。「諦め」を司る研究者。
一族の中でも上位に位置する。車椅子に乗っている女性で、眼窩が暗い影に覆われたように描かれることもある。相手を諦めさせることに意義を見出している。
相手が自分を倒して安心したところを襲うため、「わざと倒されるように」体を段階に分けて調整している。変形機能を備えた戦闘用の車椅子、足に装着した虎を蹴り殺せるまでに脚力を上昇させる駆動式ギプスなど、身体を外から強化する複数の手段を備えているだけでなく、体内を「未元物質」によって改造しており、心臓を潰されようがコマンド一つで生還し、UMAの推測構造を元に肉体を自由自在に変貌させる。作中ではスカイフィッシュの構造を再現した腕による超音速投擲、イエティの豪腕、ネッシーによる巨大な首長竜への変身などを発動し、指先にリトルグレイの脳を創り出せば異能力〜強能力程度の「念動能力」も使用できる。ただし、「未元物質」による肉体変化を使いすぎると自分の本来の姿を見失ってしまう恐れがあるため、めったに使用しない。加えて、あくまで「科学的な攻撃を想定して」変形の段階を踏んでいるため、その枠の外から奇襲されると「何度も変身して徐々に強くなっていく戦闘シナリオ」が台無しになってしまう[67]
マリアンと円周にそれぞれ撃破されるも悉く平然と生き残っており、円周を倒し安心しきった鞠亜達を「諦めさせる」べく襲撃しようとする。しかし、かつて「諦めさせた」はずの加群の襲撃を受け、自分が対応できない「魔術」のために仕込みが機能せず、相打ちとなって殺害された。
木原 加群(きはら かぐん)
木原 唯一(きはら ゆいいつ)
木原一族の一人である若い女性。既製品のリクルートスーツと白衣を着用。一国の指導者程度では閲覧できない情報を得る権限を有している。本来はかなり荒っぽく話すようだが、普段は丁寧な口調で会話する。同じ木原である脳幹のことを「先生」と呼び、尊敬している。脳幹が依頼を受けた際にはサポート役として動いている。
非常に優秀な科学者で「滞空回線」を起爆する「横紙破り」などを開発している。また身体能力も高く、「打点を複数設けることで体内に伝播する衝撃同士をかち合わせ、血管内を移動する血液に気泡を与えて死を招く」という数多の体術の元になった技術を使う。また体内に取り込んだ弱毒化サンジェルマンウイルスによって炭素操作の魔術「シャンボール」も使用できる。
「ナチュラルセレクター」での戦闘終了後にバゲージシティを訪れ、サイエンスガーディアン側の敗北を告げる。一端覧祭前夜には「木原」の総意を垣根に伝え、「暗闇の五月計画」を応用して自身の知的好奇心を薬味に植え付け、「人的資源」を陰で操っていた。デンマーク「魔神」包囲網では郭夜にS5の使用要請を行った。脳幹が上里と交戦し瀕死の重傷を負った時には彼の遺言を聞き、既存の「木原」を超えた「唯一」の存在になることを誓い、彼を傷つけたあらゆるものを一掃するために行動を起こす。
少年院に収監された円周の元を訪れ「対魔術式駆動鎧」と「理想送り」の情報を入手し、上里が通う中高一貫校へファイブオーバーOSを利用して明日香に変装し潜入する。そして上里の右手を切断しサンプル=ショゴスを使って自らの右腕に接合、弱毒化サンジェルマンウイルスを利用して右手に宿るモノの認識を狂わせて「理想送り」を手に入れる。その場に居合わせた去鳴や上条とも交戦し追い詰めていったが、「対魔術式駆動鎧」を装備した美琴に阻まれ重傷を負った。その後、アレイスターとの接触を経てエレメントを学園都市全域に解き放ち、これを利用した自分専用のA.A.A.を開発、右手を奪われた復讐に燃える上里を「窓のないビル」で迎え撃ち、序盤は圧倒されたかのような演技をしてロケットエンジンのブースターがある場所まで彼らを誘い込み、上里勢力の少女達を守る決断をした彼を自らの意思で「消滅」させ、上里の物だった右手を人質にして彼の帰還をちらつかせることで上里勢力のほぼ全員を手中に収める。少女達へ自分に刃向かった上条を殺すように命じ、自分に逆らえないのをいいことに散々挑発的な言動を重ねていたが、上里の帰還と共に少女達から反旗を翻され、その後は消息不明。
「少数派であるが故にアレイスターの「原形制御」から逃れられない」という「木原」の弱点を克服するために「全人類を『木原』にする」という実験も平行して行っており、目的の達成には至らなかったが上里勢力に対して「木原」の残虐性を植え付けることには成功している。
木原 脳幹(きはら のうかん)
声 - 速水奨[68]
木原一族に数えられるゴールデンレトリーバーに演算機を取り付けただけのものだが、人語を介し言葉を話すことが可能で、推定で80年以上の寿命を持つ。本質的には血族には縛られないという木原一族の一端を表している。犬であるにも関わらず、各部へのコネクションの影響力が強い。現存する木原一族の中では最古に当たり、今はもう亡き木原一族の始祖である7人によってただの犬から知性を持つ存在となった。
愛煙家でロマンチスト。木原一族ではあるが、それなりに倫理観を持っており、導き出された「木原」の答えを確かめ、7人の始祖が始めたタスクを閉じる事を使命とする。同じ木原である唯一から「先生」と呼ばれ、慕われている。「感傷」を知る稀有な「木原」であり何らかの「答え」に至った加群には一目置いており、彼が学園都市を去ってからもその頼みで夜回りを続けている。ただし、加群の教え子のうち自分をさんざんな目に合わせた鞠亜のことは「天敵」と評するほどに苦手。科学サイドながら魔術、さらに「魔神」についても把握しており、アレイスターの過去についても知ったうえで彼の甘さや人間らしさに好感を覚えている。本人(犬)としては不本意だが犬猫の必殺おやつの誘惑には敵わない。
アレイスターの秘奥を扱う精鋭の兵であり、科学の街の真髄どころか、そこからはみ出た魔術サイドの事まで理解して連携を可能とする唯一無二の存在として、「対魔術式駆動鎧(アンチアートアタッチメント)」を装備し前線に赴く。アレイスターらの思惑に反する行動をとった者たちを内々に始末しているが、本来の役割はレディリー=タングルロード、フロイライン=クロイトゥーネ、エイワスといった者たちに対する安全弁として機能し彼らを叩き潰すというものである。目下の仮想敵は「魔神」。その戦闘力は非常に高く、万全の状態の「魔神」の一柱「ゾンビ」を倒すほどである。
僧正との戦いの後、自分が捨石とされたことを悟りながらも、上条との交戦で重傷を負った上里の前に立ちふさがる。「対魔術式駆動鎧」が「理想送り」で消失させられてしまうが、「この世界で生きて死ぬ」とただの犬として立ち向かい、滅多打ちにされて瀕死の重傷を負う。自分が倒れることが唯一にイレギュラーである上里を倒させるための一手であることを理解し、救命措置でコールドスリープ状態に入る前に唯一を鼓舞し意識を失った。数日後、冥途帰しの治療によって回復し、アレイスターに呼ばれた彼とエジプトにいるリリスの元に向かい、アエティール・アバターに襲撃を受けた後はイギリスでアレイスター達と合流、A.A.A.を装備して本来殲滅対象であるイギリス側の魔術師と共闘しコロンゾンと最前線で戦った。
学園都市への帰還後、オペレーションネーム・ハンドカフスでは下水道の内部で少女を救うために楽丘と交戦。負けたふりをして下水に飛び込み、コロンゾンの肉体に取り憑いたアレイスターと合流し、魔術の撃滅を再開する。29日には一旦学園都市に帰還して、自分が「ハンドカフス」の時に行った死んだふり作戦が、リサコが端数に操られる原因の一端になった事から、借りを返すべく上条や浜面に協力して幽霊化した端数と戦う。
『超電磁砲』には、自殺志願者の相談に乗る都市伝説「喋るゴールデンレトリバー」として登場。
木原 相似(きはら そうじ)
外伝『とある科学の未元物質』に登場する「木原」の青年。本来の専門は傷んだ肉体を代替するサイボーグ技術で、医療用の人工臓器の研究者であるが、「心を代替させる」事で自分の命令を信条だと思い込ませる洗脳技術を持つ。
一方通行が脳を損傷した事を受け、9月上旬に「DA」の中でもタカ派である「DAアラウズ」を洗脳して杠を誘拐させ、彼女に調整を施して一方通行の力を再現しようとした。洗脳して超能力者と互角の戦闘力を発揮できるようにした杠と垣根を戦わせてデータを得ようとしたが、常識の通用しない「未元物質」により計画は失敗。なおも諦めなかったが、「未元物質」によって細胞を砂へと変化させられた事で肉体が崩れ去り、死亡する。
木原 端数(きはら はすう)
マッチ棒のように痩せ細った「木原」の老人男性で、アンドロイド・レディバードの開発者。青いつなぎの上に白衣を羽織っている。様々な「暗部」のネタを追ってきたベニゾメをして「ちょっと大物過ぎる」というほどの有力者。
レディバードにはアンドロイドの研究が進めば人体実験は必要なくなると語っていたが、「置き去り」を実験台にしようとするなど、本性は「木原」らしく非情かつ悪趣味。
オペレーションネーム・ハンドカフスに際し、レディバードと共に学園都市外に脱出を試み、各学区で警備員達と激戦を繰り広げる。カキキエ隧道でフリルサンド#Gを無力化すると、レパトリに手を組んで共に都市外への脱出を提案するが、その際に実験台として「置き去り」数名の身柄を要求したため決裂。レディバードにレパトリを殺させると、「置き去り」を守ろうとする浜面を始末しようとする。レディバードが浜面に敗北した時は呆然としつつも課題と改善点を考察し、生き延びて次世代機を開発するため「ニコラウスの金貨」で起死回生を狙い「浜面の拳銃を爆発させる」ように祈るが、予測していた「機関部の破裂」ではなく「引き金を引かずに弾丸が発射される」という現象が起き、弾が当たった胃袋が破裂して漏れた胃酸で5分以上も苦しみ抜いて絶命した。
だが、フリルサンド#Gの技術を参考に自らの意思を人工幽霊として復元する事に成功、上層大気地磁気との相互作用を利用してダイナモ説と自分を接続し、地球の中心核を破壊しなければ滅ぼせない存在になろうと画策する。フリルサンド#Gとは基本的な構造こそ同一だが細部が異なっており、カキキエ隧道の誤作動を制御して風景全体の地形や材質そのものに干渉して操る能力を持ち、火打石と同じ原理でチェーンソーで接触した物体の中から炭素を吸い寄せて火花を起こすと共に、ターゲットからは炭素を抜いて強度を脆くし、「禁忌」内に元々ある物に限り、あらゆる物体をチェーンソーで叩き切り、砕いて、破片を散弾のように射出する事が可能。副次的にある程度は物を掴む事もできる特性も備えるが、カキキエ隧道との相性問題を調整できるように機能をいくつか切った事で、電気的に説明できる物理現象以外の致死性は捨て去っており、現状では「禁忌」の外に出ると高圧電流が暴走して街(実験材料)ごと焼いてしまうという欠陥を抱え、電磁波などに対する脆弱性もそのまま残っている。
接続までに必要な作業をリサコに憑依する形で行っており、彼女を救おうとするフリルサンド#Gを「禁忌」から排除するが、同じ理由から「禁忌」に駆けつけた上条、浜面、ソダテ、脳幹、そしてメルザベスが修復したレディバードによって押されていき、メルザベスに挑発され意識が逸れた一瞬を突かれ、一方通行が派遣していたクリファパズル545にリサコを奪還されてしまう。そしてリサコが優しい力を望んだ事で憑依できなくなって虚数学区へと追放され、研究を続けられないまま霧散するという恐怖を感じながら、学園都市の総意を受けて現れた風斬に矢来で刺されて完全に消滅させられた。
ドレンチャー=木原=レパトリ(ドレンチャー=きはら=レパトリ)
幽霊という分野にまでメスを入れた「木原」の青年研究者。地味な色のサファリジャケットを着た探検家のような出立ちで、アウトドア用のwebカメラを頭に固定している。「人工的に幽霊を作る」という研究でフリルサンド#Gを開発した。
複数の大型トレーラーで形成される「小さな村」で、50人以上の「置き去り」の子供達の面倒を見ている。「木原」を名乗り「暗部」になりきったのは「置き去り」の子供を闇の中から救うという目的のためであり、子供達にはモーションセンサーを装着させてフリルサンド#Gの存在を確立させるために利用しているが、非道な実験を行い犠牲を出すようなことはしていなかった。
「工場否定」と交渉して偽造パスポートの製造を約束させたが、ベニゾメの襲撃によって入手に失敗したため、「暗部」でありながらスリルより平和を求める浜面を保険としてカキキエ隧道の情報を与え、子供達を載せたトレーラーを伴ってカキキエ隧道からの都市外への脱出を試みる。そこで端数によって最大戦力のフリルサンド#Gを無力化され、彼から一緒に脱出することを提案されるが、条件に「置き去り」の実験材料としての提出を挙げられたため拒絶。端数に発砲するが、レディバードに銃弾を跳ね返されて上半身に被弾し致命傷を負う。最期の瞬間まで子供達の心配を続け、浜面に彼らを託して息を引き取った。
木原 平均(きはら へいきん)
木原の研究者。心理学的アプローチの一環として尾行技術を習得していたが、完全に公私を混同させる悪癖からストーキングの常習犯でもあった。これによって楽丘家を苦しめたが、追い詰められたのどかによって殺害され、証拠隠滅のために邪魔な死体は豊富が完全に解体して捨てられた。

その他の学園都市関係者

冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)
声 - 仲野裕
学園都市第七学区にある病院に勤める医師。本名不明。
その容姿から「カエル顔の医者」[注 10][注 11] とも表記・描写される初老の男性。基本的に作中で負傷した人物は、ほぼ全員が彼の治療を受けることとなり、特に上条が最終的に彼の治療を受けて終わるパターンが多い。「 - ね?」など疑問形になる語尾が特徴だが、真面目な場面においてはその限りではない。
切断された腕を縫合痕すら残さず結合したり局所麻酔で心臓手術を行うなど、医師としての腕はズバ抜けており、どんな病気や怪我も治すという(上条の記憶を回復させることができなかったことが、唯一の敗北とされる)ことから、「冥土帰し」の異名を持つ。また「何があっても患者を見捨てない」という信念の下、「必要とあらばどんなものでも用意する」と豪語し、医師として眉をひそめるような技術でも躊躇せず治療に利用する。また、治療後や退院後の患者についても気にかけており、声だけで患者を特定できるほど覚えている。
かつてイギリスの片田舎でアレイスターと出会い、学園都市の創設にも関わる。アレイスターの生命維持装置も製作したため、彼とは個人的な関係にあって敬意も持たれていたが、アレイスターが進める「計画」が自分の患者(特に一方通行や打ち止め)を不幸にすると見なして決別する。しかし、アレイスター自身については自分の患者であると見捨てないでいる。
「絶対能力進化実験」凍結後は、「妹達」の保護者的役割も兼ねており、雲川が「妹達」の協力を得ようとした際には「冥土帰しの許可が必要」と述べている。一方で、ややズレた恋愛観や価値観を「妹達」に教え込んでいる一面もある。
「大熱波」の直前に重傷を負った脳幹の治療を終えると、アレイスターの要請を受けて機能停止した学園都市からエジプトに向かい、ミナを信用させるために「アラン=ベネット」を演じて非常に不安定な状態のリリスの治療を開始する。エジプトにアエティール・アバターが出現した後はイギリスでアレイスターらに合流、コロンゾンとの決戦では傷ついたイギリス側の戦士達の治療を行った。
その後は学園都市に戻っているが、クリスマスには「R&Cオカルティクス」で学んだ魔術の副作用で倒れる学生達の治療に追われることとなる。
『超電磁砲』『一方通行』にもしばしば登場し、重要な立ち回りを行う。
妹達(シスターズ)
声 - ささきのぞみ日高里菜(打ち止め)、加隈亜衣(番外個体)、小原好美(ドリー)
御坂美琴のDNAマップを用いて作られた体細胞クローン。
ミサカ○○号と呼ばれる(10032号は御坂妹とも)御坂美琴と瓜二つの20,000体に加え、制御用個体の20001号・打ち止め(ラストオーダー)、第3次製造計画で生み出された番外個体(ミサカワースト)、量産型能力者計画以前に製造されたドリーが登場している。
芳川 桔梗(よしかわ ききょう)
声 - 冬馬由美
「絶対能力進化実験」の研究員で実験管理の中枢を担っていた女性。
実験の凍結後も自分だけ研究所に残り、天井が打ち止めに仕込んだウィルスコードを除去するため、コード解析やワクチンの作成を進めていた。性格は甘いだけで優しくないと自覚しており、かつて、希望であった学校の先生になることを断念した経験がある。
一方通行と協力して天井の計画を破綻させ、自身も命を捨てる覚悟で天井と相撃ちになる。致命傷を受けたが、一方通行と冥土帰しによって一命は取り留め、第12巻で一方通行や打ち止めと共に退院する。その際に、旧友の黄泉川に彼らの面倒を看るように頼み、自身も黄泉川宅に居候しながら職を探している。
友人の抜群スタイルに思うところがある様で(自分のバストは10代後半から70cm後半のまま)、豊胸マシーンなど「肉体を変質させる機器」を買い漁る癖がある。無職になったためかウエストが増えている。
新約20巻で学園都市からの疎開が始まると、打ち止めと番外個体を連れて学園都市を離れ、一時的にアラスカまで行っていたが、オーロラを見られなかったことをぼやいていた。
『超電磁砲』『一方通行』にも登場。
天井 亜雄(あまい あお)
声 - 鈴木達央
「絶対能力進化実験」の研究員で実験管理の中枢を担っていた男性。
「学習装置」を用いた人格データの作成が専門で、その前は「量産型能力者計画」に携わっていた。
実験の凍結後に、前々からの借金と合わせて進退極まり、反学園都市の外部組織(科学結社)に加担する。打ち止めにウィルスを仕込んでミサカネットワークを悪用しようとしたが、一方通行に妨害されて失敗し、芳川と相撃ちになる。その後の消息は不明。
杉谷(すぎたに)
声 - 松田健一郎
統括理事潮岸の側近を務める男。潮岸の警備組織の半分「杉谷班」を任されている。
年齢は30歳ほど。短く刈り上げた頭で、スーツとサングラスを着用している。自らを甲賀の末裔と名乗り、優れた体術と忍者のような相手の裏を突く戦法を使う。特に一方通行との戦いでは、木原数多の「手首を当たる直前で返す」攻撃を不完全ながらも行っているが、代償として腕を潰してしまう。KKDS5(甲賀カラオケ大好き5)の一人[43]
潮岸のアジトで「グループ」と交戦した際には不意討ちで結標を気絶させ、一方通行にはミサカネットワークの遮断で無力化を図る。しかし、一方通行が杖に仕掛けていたジャミング装置によって遮断が無効化され、自身の銃撃を反射されて敗北する。
坂島 道端(さかしま みちばた)
学園都市で美容院を営む男性。
ややいい加減そうな性格をしているがその腕は確かで、その美容院は常盤台中学から学校指定美容院に指定されている。ただ、自分の趣味を優先しようとするところがあり、帆風の髪型を縦ロールに変えた元凶である。学園都市では珍しくオカルトも信じており、逆に学園都市の存在意義について疑問を抱く一面もある。
丈澤 道彦(じょうさわ みちひこ)
学園都市で働く整備員の中年男性。
自分が製作した駆動鎧「HsSSV-01 ドラゴンライダー」が、第三次世界大戦の早期終結によって倉庫行きが決定したことには安堵と喪失感を募らせていた。
指定の倉庫へ「ドラゴンライダー」の運搬中に浜面が現れ、フレメアを攫ったシルバークロースを追うため車体を盗もうとする現場に遭遇する。そして彼から事情を聞き、「罪の無い少女を闇から救い出す」ことを絶対条件に浜面へ「ドラゴンライダー」を貸し与えた。
不願 竜造(ふがん りゅうぞう)
学園都市で働く設計士の男性。
顧客から求められた設計書を作成してそれを提供するというビジネスを行っている。完成するものがいかに危険なものであっても、それを作るのも使用するのも自分ではないため、法の隙間を潜り抜けて報酬を得ていた。しかし土御門舞夏暗殺のための設計書を作っていたことから土御門の恨みを買い、襲撃を受けた。
松定(まつさだ)
学園都市の研究機関に所属する博士。男性。
流体力学の権威と呼ばれる著名な学者。自らの研究成果がもたらす厄災を恐れて学園都市からの逃亡を図るが、「警備員」によって拘束される。しかし「cp-191」を服用して強制冬眠状態となり、具体的な供述を残すことはなかった。
山岳 揚子(さんがく ようこ)
衛星誘導車の運転手を務める女性。
祭場(まつりば)
学園都市の若い新入り運転士。鉄オタでもないフラットな状態で運転士という職に就いた変わり種。「オペレーションネーム・ハンドカフス」で逮捕された「暗部」を護送する「オーバーハンディング」の運転を担当する。
楽丘 のどか(らくおか のどか)
楽丘豊富の妹。栗色の長い髪を簡素なヘアゴムで縛った、女子大生より歳上くらいに見える、おどおどした若奥様。
ストーカーの木原平均を殺害した張本人で、100均ショップディスカウントストアを軍の武器庫にも勝る殺傷力の山と化す、死のクラフトスキルこそが本質。必要に迫られればいくらでも破壊力を調達できる閃きで満ちており、不足を感じた瞬間に機転を利かせて創意工夫を思いつき、その場にあるものだけで形を作り、きちんと結果まで残す悪運の強さを持っている。
薬品などで体内の軟骨を変質させて全身の関節の可動限界を作り替え、猫のような関節や軟骨のしなやかさを実現しているので、160センチ台の小ぶりなライオンレベルの身体能力を発揮できる。さらに猫の肉球のような分厚いメリケンサックで武装し、頭につけた猫の耳のような三角形の機材で空気を裂く音を正確に読み取って飛来する物体を難なく回避する。
兄が証拠を完璧に処分していたので「暗部」落ちはしていなかったが、12月29日に凶悪犯の家族で殺人犯という弱みをアンチスキル=ネゴシエーターの鉄装に握られ、「舌禍抜取」を付けられて脱走犯の捕縛に駆り出される。脅迫の通じない黒子を手荒な手段で逃した後、ベニゾメを制圧し、妖宴が潜伏する第10学区のゴミ焼却施設を襲撃したが、過愛を追って現れた兄に安全な投棄用縦坑へと放り込まれたところへ、妖宴が投げ入れた作用対抗薬品の副作用で眠らされ、鉄装の敗北後は警備員に逮捕された。
富良科 凛鈴(ふらしな りりん)

魔術サイド(十字教各宗派・魔術結社・他)

英国(イギリス)

イギリス清教(清教派)

インデックス(Index)
声 - 井口裕香
本作のメインヒロイン。イギリス清教「必要悪の教会」所属の魔導図書館の少女。
ステイル=マグヌス(Stiyl=Magnus)
声 - 谷山紀章
イギリス清教「必要悪の教会」所属の魔術師。
神裂 火織(かんざき かおり)
声 - 伊藤静
本作のヒロインの一人。イギリス清教「必要悪の教会」所属の女性魔術師。天草式十字凄教の女教皇も務める聖人
土御門 元春(つちみかど もとはる)
イギリス清教「必要悪の教会」所属の魔術師。

王室派

エリザード(Elizard)
声 - 沢海陽子
英国女王(クイーンレグナント)。英国国家元首にして、「カーテナ=セカンド」の現保有者。また、「王室派」の代表であると同時に(名目上)イギリス清教の頂点に立つ存在。
年齢は50歳前後で、表面的な所は老いの影が見え始めているが、芯や骨格といった根本的な部分では10代の上条を凌駕している。国と国民への想いは厚く、自身の3人の娘が持つ「頭脳」「軍事」「人徳」全てを兼ね備える統治者でありながら、堅苦しい儀礼を嫌い、お祭り好きでお茶目な面も持ち合わせている。しかし、冗談の度が過ぎて騎士団長や神裂にあきれられることもある。同じく派閥トップのローラとは打ち解けた仲で、クーデターの最中でもふざけ合っていた。
パーソナリティの確立は自らの手で行わなければ依存を招くだけだと考えて、娘達の教育方針は放任主義かつ超スパルタ。しかし、各々がそれぞれに極端な欠点を抱えていることに頭を痛めている。また完全に放置しているわけでもなく、10年前には南米を手に入れようと三女を囮に使った執政気取りの政治屋達に制裁を与えている。
キャーリサのクーデターでは、「騎士派」に一時拘束されるもローラと共に脱出する。その後、自らの命を捨ててまで英国を守ろうとした次女を止めるため彼女と対峙し、大魔術「連合の意義(ユニオンジャック)」を発動させ、カーテナの力を9,000万人の英国国民に分散させて、カーテナに宿る力を弱めることで彼女に対抗した。
グレムリンに対する「多国籍連合軍」の会合の際にはニューヨークに向かい、デンマーク「魔神」包囲網の終盤、上条とオティヌスの最終決戦を見て内部向けに演説を行った。
コロンゾンとの決戦では、カーテナ=セカンドを手に大型の3輪トライクに乗ってクイーンブリタニア号に突撃する。祝勝会では暴走する食蜂の「心理掌握」から自動切断で身を守るが、身体を動かせずにいたところ、神浄に「幻想殺し」でその両方を破壊されて覚醒。国防の要となる霊装を盾に取られて、国民を守るために止む無くカーテナ=セカンドを取って上条らと敵対する。浜面を始末しようとしたところで割って入った一方通行と交戦、学園都市製の兵器に翻弄され、能力を使った戦略爆撃を超える一撃で敗北する。事件後はダイアンからの提案で彼女を新最大主教に任命し、ヴィリアンをその監視役に付けた。
モデルは無く、作者の理想の統治者とのこと[69]
リメエア(Rimeea)
声 - 日野まり
英国第一王女。
年齢は30代前半くらい。黒髪で左目に片眼鏡(モノクル)を付けている。「頭脳」に秀でた冷静沈着な戦略家。エリザードも、自力で頑張る自立心や独立心は三姉妹の中でも最優良としている。
しかし、王女という身分ゆえに人間不信に陥っているため、権力の中にいて自分を知っている人間は一切信用しておらず、権力構造の中にあるプロやエリートを特に嫌っている。逆に自分を王女と知らない者や動物には素直に接する。頻繁に宮殿を抜け出しては「王女ではない顔」のまま、何の権力も使わずに己の手で仲間の絆を構築して、彼らによる独自の情報網を持っている。
冷徹でしとやかな雰囲気だが、にぎやかなのが好きでノリの良い一面もあり、上条が写真撮影を試みた際にはちゃっかりポジションを確保していたり、コロンゾン戦後には町の酒場に飲みにきていた。
キャーリサのクーデターでは、発生直前に彼女の意図を察して行方をくらませる。そして、裏で自分の信用する仲間にクーデターの真の目的を調べさせ、「騎士派」に妹の真意を伝え彼らの離反を誘った。
クロウリーズ・ハザードに対する避難時には、「カーテナ=ロスト」を振るいメイザースから車列を守るべく奮戦した。コロンゾンとの決戦では、オナーズオブスコットランドによりクイーンブリタニア号から放たれる一度の斉射で4種40万発の魔術攻撃を、40万以上の樹氷の森で妨害する事で人的被害を抑える役目を担った。戦後は、アレイスターの喪に服するつもりがなく、人がすり寄ってくるパーティーを嫌がって、祝勝会に参加することなく街の酒場に繰り出していたので、運良く「心理掌握」の暴走から逃れる。本物の上条と再会し彼とウィンザー城が置かれた状況を知り、国家単位のマンパワーを持つ相手を制するには短期決戦をする必要があると助言し、滝壺と共にテムズ川のほとりから重機関銃で陽動の射撃を行う。
キャーリサ(Carrisa)
声 - 真堂圭
英国第二王女。
年齢はぎりぎり20代後半。豪快で物怖じしない性格をしている。語尾に「 - だし」とつけることが多く、長音が長音符で表記される口調が特徴。「騎士派」とのつながりが強く、「軍事」に優れていることから魔術や兵器の扱いにも長けている。荒っぽさを感じさせる豪快さが目立ち、強気で派手好き、前に出る性格のため、最も華美な印象を与えるが、思慮深さも併せ持ち、自分なりに国の行く末を見据えている。
イギリスがEUの中で立場が低いことに不満を抱きつつも、当初は女王の平和路線の政策に従っていたが、フランス政府によるユーロトンネル爆破により、このままでは英国が欧州から孤立してしまい、英国国民に被害が及ぶと危機感を覚える。さらに、科学サイドと魔術サイドの戦争でどちらが勝利しても英国に未来はないと考え、完全独立を目指すべく「騎士派」を利用し「カーテナ=オリジナル」を用いたクーデターを起こす。
クーデターの真の目的はカーテナ=オリジナルの力を持って英国に敵対する勢力を滅ぼした後、その強大過ぎるカーテナを歴史から抹消するため、たとえ後世から暴君と呼ばれようともカーテナを使用できる王室の血を絶やし、今後新たなカーテナが誕生しないよう現存するカーテナの製造法と2本のカーテナを自分の死と共に消し去ることであった。
「新たなる光」を使ってカーテナ=オリジナルを手中に収めると、自らを新国家元首と宣言し、「騎士派」に英国各地への侵攻を命令する。その後、「清教派」の反撃により力の約5割を損耗するが、バッキンガム宮殿にて上条や「清教派」の魔術師達を迎え撃ち、カーテナ=オリジナルの全次元切断術式や攻城戦用移動要塞「グリフォン・スカイ」、さらには大型弾頭「バンカークラスター」を駆使して圧倒するが、女王・エリザードに自分の考えをカーテナ=オリジナルを使用できる「国家元首」という特権階級に縛られたままだと否定され、女王が発動した「連合の意義」によって決起した9,000万人の英国国民の抵抗にあい、最後は上条にカーテナ=オリジナルを破壊され敗れた。
クーデター終結後、イギリス全軍を率い、「傾国の女」を擁するフランス軍と一時対峙する。フィアンマがミーシャを召喚すると、「ベツレヘムの星」へのミサイル攻撃の準備が完了するまでロシアで「傾国の女」と共闘した。
大戦以降は恩赦を蹴って、反逆の罪などにより処刑塔に幽閉されている。グレムリン掃討のために一時的に釈放されることになり、北極海へ向かうもダミー情報に踊らされていたため罠により窮地に立たされたかと思われたが生還して、デンマーク「魔神」包囲網に参加。そのままロシア成教との戦いを終えたばかりの上条をホテル・エアリアルに攫うが、上条の説得でそれまで行動を共にしていた神裂が彼の側についたため足止めをくうこととなる。
外見のモデルはDS版ドラゴンクエストVのデボラ[6]
ヴィリアン(Vilian)
声 - 原田彩楓
英国第三王女。24歳。
絵本に出てくるような箱入りのお姫様。「王室の顔」「最も結婚したい姫君」として知名度が高く、国民からは「人徳」に秀でた王女と評されるが、他人を気にするあまり自己主張ができない性格のため、2人の姉に比べると王室の切り札と言うには地味な存在で、いつ政略結婚させられるか分からない状態らしい。その気になれば不自由ない生活を提供される立場にありながら、「人徳」はちょっとひねくれると他力本願に傾きかねないという理由で、安易な救いは厳禁として厳しく育てられてきた。箱入りではあるが、自動車の運転免許は取得している。
10年前に誘拐された際、政治的陰謀のために見捨てられかけたところをアックアに救出され、それ以来、彼が英国を去った後も彼のことを気にかけている。
魔術に関しては武力に応用できる点から身につけることに抵抗があり、発動済みの霊装に触れて操作するぐらいしかできないが、キャーリサのクーデターではインデックスの知識を借りてカーテナ=オリジナルの供給源を断つ働きを見せた。
当初は他人に気を遣うあまり自分の意見を持たなくなっており、母親からも心配されていた。「ブリテン・ザ・ハロウィン」では王室の血を引く者としてキャーリサに命を狙われるが、処刑される寸前でアックアに救出される。そして、自分を守るために体を張ったアックアや使用人達に影響され、上条らとロンドンに乗り込んだ際は、真っ先にキャーリサの元に到達、カーテナ=オリジナルの圧倒的な力を目の当たりにしても果敢に立ち向かった。
コロンゾンとの決戦では雑な作戦を立てる母や姉を酷評しつつ、戦端が開かれた後は神裂らと共に傷ついた味方の治療に当たった。祝勝会で「心理掌握」の暴走を受けて行動不能になるが、エリザードが神浄に膝を屈した後も折れずに水面下で行動を続け、新たに子飼いにした府蘭に戦場へ運んでもらい、母が一方通行に敗れた直後の交渉を担当、イギリスが「学園都市や科学サイドから、毟り取るだけ毟り取られる」最悪の事態を回避する。以降は権力がスライドすることのない欲のない者として、新任の最大主教となったダイアンの監視者に任じられる。
外見のモデルはディシディア ファイナルファンタジーのティナ[6]
シルビア
声 - 小林ゆう[70]
オッレルスとコンビを組む長身の女性魔術師。聖人。
英国王室派の近衛侍女にして王権神授制のトップに仕える巫女としての役割も担っており、そのため英国国内ではそれなりの地位を築いている。
海外研修中にオッレルスと出会い、彼の馬鹿を見ている内に彼を守る羽目になり、以後、英国から帰国命令が出ているが共に行動している。
「結界」を専門とする魔術師でもあり、シジルを利用してロープの周囲に「天使の力」の壁を展開して空気を抑え込む「手」を作り、聖人の身体能力を以てそれを高速回転させて攻撃を行う。さらに扱う「天使の力」を次々と変えて相生を狙うことで、総体のバランスで神の右席をも上回ろうとする魔術を使う。
レイヴィニアと共にブリュンヒルドを助け、彼女たちと一端覧祭期間中の学園都市を訪れる。グレムリンに先んじてフロイライン=クロイトゥーネを狙うがトールによって阻止される。
グレムリン掃討では、ブリュンヒルドと共にグレムリンの正規メンバーであるヘルと交戦状態に入った。オッレルスから「魔神」になる機会だけでなく体内の特別な力すら奪ったオティヌスにすさまじい憎悪を抱き、オーデンセで彼女に味方する上条を徹底的に痛めつけるが、自分を止めるために現れたオッレルスが戦闘に介入したことでオティヌスを攻撃していたブリュヒルデと高速で衝突し、意識を失う。

騎士派

騎士団長(ナイトリーダー)
声 - 子安武人
英国三派閥の1つ「騎士派」の長。本名不明。年齢は30代半ば。
騎士ゆえに忠実で真面目な人物。しかし、上条とインデックスの言動に耐えかねて剣を抜こうとしたり、女王の気まぐれに思わず暴言を吐いたりしている。また、神裂を騎士団に迎えたいと考えており何かと彼女を誘うも断られている。
アックアとは旧知の仲で、かつては杯を交わすほどの仲だった。しかし、第三王女救出の際にアックアと袂を分かつこととなり、彼との力の差を埋めるべく10年に渡って修練を重ねていた。
カーテナから供給される並みの聖人を上回る総量の「天使の力」を生身で保存・運用するため、ベーオウルフが使用した「返り血により鍛え上げられていく」魔剣と同名の「フルンティング」というロングソードの霊装を用い、偶像崇拝の理論で「天使の力」を「返り血」に対応させて大量に圧縮封入する事で、赤黒くなった剣は全長3.9mに達し、莫大な破壊力を得る。また、様々な文化圏の騎士の神話に登場する術式や霊装から抽出した「射程距離」「切断威力」といった特定の「パターン」を付加する魔術を得意とする。さらに、カーテナに依らず自力で構築した魔術として、自分が認識した武器からの攻撃を10分間程無効化する「ソーロルムの術式」や高速移動用の補助術式を操り、これらに卓越した剣術を複合することで非常に高い戦闘能力を誇る。ただし、武器無効化術式は「肉体の一部」として認識されるものや、本人が武器として認識していないものには発動せず、騎士としての忠誠のため英国王室関係者の武装は無効化できないように配慮して設計されているため、英国王室と血縁関係にあるフランス王家に縁の霊装も無効化できない。加えて、「パターン」も2つ以上を同時に対応させることはできない。
キャーリサがクーデターを起こすと、それが内戦として長期化した場合にイギリスが国力を低下させることを懸念し、一刻も早く新体制を構築するべく「騎士派」を率いて彼女に加担する。クーデター中は「カーテナ=オリジナル」からの力を得たことで、聖人である神裂を圧倒した。そして、ヴィリアンを処刑しようとした際、因縁あるウィリアムと戦うこととなり、互角に渡り合うが敗れる。その後、リメエアからキャーリサの真意を聞き、彼女を止めるため、上条やウィリアムらと共闘した。
グレムリンの掃討戦では、女王エリザードの指令でキャーリサ、ウィリアムと共に北海の「船の墓場(サルガッソー)」に赴いた。そのままデンマーク「魔神」包囲網にも参加したが、上条側についた神裂とキャーリサの鬼気迫る戦闘に圧倒される。「クロウリーズ・ハザード」との決戦ではクリファパズル545の影響で正義感の軸をズラされ、アレイスターと交戦するも、悪魔が敗北したことで無力化される。
ホレグレス=ミレーツ
「騎士派」に属するイングランドの騎士。退廃した貴族のような、清廉とはほど遠いでっぷり太った中年男。「王室派」とも懇意にある。典型的な選民思想の持ち主。高価な霊装で身を固め、一方通行の直接打撃を受けても命に支障がないほど頑丈。防御の短剣としてパリーイングダガーを携帯している。
実質的にイングランドの騎士の一極体制を構築する野望を持ち、クロウリーズ・ハザードの脅威を隙だと見て、邪魔な「清教派」をローラが消息不明になった隙を突いて確実に潰し、「王室派」に恩を売ることで、外様を除いて身内だけで国を固めるために暗躍する。「王室派」に従うだけの騎士団長に否定的で、聖ジェイムス宮殿に陣取り彼の頭越しに「神威混淆」などの案件を進めていく。全兵士への「断頭金貨」の携帯を認めさせる。敵に沿岸防衛隊が突破されたことを受け、ロンドン外で戦闘中の元アニェーゼ部隊、天草式十字凄教などの外様部隊を放置してイングランド―ロンディニウム大要塞の結界を閉じるよう通達し、調査担当の責任者として行方不明となったローラの居住区であるランベス宮の捜索を行う。元アニェーゼ部隊を処刑する手間を省くためにあえて激戦地へ飛び込まざるを得ない状況を作り出す。イシス=デメーテルが起動し手間もなく、紋章から居場所を推理した一方通行に捕縛され、選民思想まみれの弁明と情けない命乞いをする。「うっかり殺してしまう心配もなく、1ミリも罪悪感の湧かないくそ野郎」だったことから、一方通行の八つ当たりでたたきのめされ、最後は1,000m以上蹴り飛ばされて時計塔のど真ん中へ突き刺さる。
戦争の狂気から解放された後は引き締まった固太りの容姿になり、コロンゾンとの決戦では復帰して負傷しつつも騎士としてアエティール・アバターと戦った。祝勝会では下っ端がするようなウィンザー城周辺の見回りを小まめに行い、ドラゴン(上条)の侵入をいち早く察知する。エリザードが神浄に膝を屈した後も、騎士の本懐で女王が自らの足で立ち上がるまで支える決断をし、一方通行と共闘して「清教派」を迎え撃つ。
女性騎士
「騎士派」に所属する女性。銀の鎧やサーコートに身を包む。「大軍勢の黒点」と称され善意や良心からの命令違反者となる、とびきりのお人好し。処女。キャーリサから軍馬アレックスを預かっており、魔術で剣を青白い燐光でできた巨大な槍へ変え、人馬一体の攻撃を繰り出す。
クロウリーズ・ハザード戦で最前線のドーバーへ配置される。クロウリーの1体に襲われていたところをイギリスに上陸した上条に救出されたが、相手の不審さから警戒心を募らせたため、駆けつけた一方通行により昏倒させられる。戦線崩壊後はロンドンに戻り、結界を破壊し処刑塔から脱獄した上条を追ってロンドン市街を駆け回るも、「ワチェット=レト」の運び屋をしていたレイヴィニアやレッサーと偶然遭遇し、「神威混淆」の非人道性を憂慮していた事から上条たちに霊装の使い方についての情報を渡した。イシス=デメーテルの出現によってその場から遠ざけられたが、スコットランドへ向かう「王室派」と合流できず途方に暮れていた時に上条と再会し、彼を馬上に乗せて「王室派」の車列まで送り届け、「黄金」3名を戦線離脱させる活躍を見せた。
アレックス
キャーリサから女性騎士に預けられた王室御用達の軍馬。育成に各種術式を使って相当手を加えてられているため、バイクに匹敵する機動性を誇るだけでなく、時速180km/hで長距離を走行できる。ユニコーンのように純粋な乙女にしか懐かない。

ローマ正教

ロシア成教

サーシャ=クロイツェフ(Sasha=Croitsef)
声 - 寺崎裕香
ロシア成教殲滅白書」所属のシスター。小柄な金髪の少女。
かなり際どい拘束服を身に纏い、ハンマーやノコギリといったイギリス製の対人用拷問霊装を懐に携えている。この拘束服は上司のワシリーサに無理やり着せられたもので、本人は嫌がっており、周りの評価も散々である。「第一の質問ですが、 - 」「第一の解答ですが、 - 」「私見ですが、 - 」など、文章の趣旨を予め説明するという形式的な独特の口調が特徴。
腰に差した七つ道具同様、「戦術を切り替える事であらゆる局面に対応できる」オールマイティな魔術師。大天使の「天使の力」を丸ごと取り込めるほどの許容量があるという極めて稀な資質を持っている。
御使堕し」の影響を受け、精神が大天使「神の力」と入れ替わってしまい、その時にはミーシャ=クロイツェフと名乗っていた。「御使堕し」以降、近くで魔術が発動していると手が震え、一方通行同様に第三次世界大戦時では胸への圧迫感に変化している。なお、彼女には「御使堕し」時の記憶がない。
天使を降ろした者として彼女を狙うフィアンマの息がかかったロシア成教に追われ、ワシリーサの協力とヴェントの手引きでエリザリーナ独立国同盟への逃亡に成功するが、エリザリーナ独立国同盟でフィアンマに誘拐されてしまい、「神の力」の召喚儀式に利用された。儀式終了直後に逃走して再会した上条と儀式場の破壊工作を行い、フィアンマの攻撃で彼と分断された後は同じく要塞に侵入していたレッサーと合流し、「ベツレヘムの星」の解体に貢献した。オティヌス討伐作戦ではワシリーサと行動を共にする。
ミーシャ=クロイツェフ(Misha=Croitsef)
「御使堕し」により、サーシャ=クロイツェフの肉体に大天使「神の力(ガブリエル)」の魂が宿った状態。
本来、ミーシャという名前はロシア語での「神の如き者(ミカエル)」を指す男性名「ミハイル」の愛称だが、四大属性の歪みの影響でミーシャと名乗っていた。「問一。 - 」「解答一。 - 」といったサーシャに似た形式的な話し方をするが、丁寧口調のサーシャと違って無機質な口調が特徴。本性を現した以降や再召喚後の姿では、ノイズが混じった人外の言語を話す。普通の聖人でも天使を肉体に宿した時点で肉体が滅ぶのだが、サーシャの肉体がガブリエルと相性がいいために肉体が滅ぶことはない。
「御使落し」の影響で本来のレールから外れてしまい、「天上へ戻る」というただ1つの目的のために行動し続ける。サーシャに宿ってしまった際は、「御使落し」の術者を探して神奈川県を来訪し上条たちと共に調査をしていたが、術者が刀夜だと判明すると本性を現し、神の許可なく人間を殺せないという制約を無視して「一掃」を発動しようとした。しかし、神裂が時間を稼いでいる間に、土御門が「御使落し」の儀式場になっていた上条宅を吹き飛ばしたことで元の位相に戻った。
第三次世界大戦にて、フィアンマにサーシャを媒介にした術式で再び召喚される。この時は、身長2m前後でシルエットは女性的、体表は装束と一体化したすべすべした布で覆われて、眼も鼻も口もなく全ての臓器を布の凹凸で表現した姿で現れた。「四大属性の歪みを正す」利害の一致からフィアンマに協力し、学園都市軍を始め、魔術・科学両サイドの実力者たちを圧倒したが、アックアが力の50%を奪い、上条が儀式場を破壊したことで弱体化し、一方通行と風斬(ヒューズ=カザキリ状態)によって撃退された。その後、属性の歪みが正されたことで復活し、力の素となる大量の水を求めて北極海へ進撃するも、墜落した「ベツレヘムの星」に押し潰され、海に沈む要塞内部で上条と交戦し、消滅した。
戦闘力は大天使の名に相応しく、一つ一つの術式が「天罰」に匹敵し、フィアンマによると、50%の状態でも一方通行と風斬を上回るという。天使の術式「天体制御(アストロインハンド)」により天体単位で位置関係を自在に操作でき、無理矢理夜と月を呼んで自身の属性を強化するだけでなく、その気になれば地球の自転を停止させ地殻の表面を吹き飛ばすことすら可能。また、夜空に何十億もの魔法陣を展開し、一定時間後に堕落都市ゴモラを焼き尽くした火矢の豪雨を降らせる「一掃」、氷でできた最大100mの翼を叩きつけて大地を削る「水翼」、水翼を分裂させた「刃片」を無数に発射する「刃の豪雨」などの強力な魔術を行使できる。また、伝令の御使いとしての性質から、勘や予兆といった第六感的な情報をデコイとして加工し、好きな方向・距離・タイミングで受信させることで攻撃のタイミングを外させることもできる。ただ、四大属性に歪みによって「水」の属性の中に一部、「神の如き者」が司る「火」が混ざっている。
ワシリーサ(Vasilissa)
声 - 本名陽子
ロシア成教「殲滅白書」所属のシスター。サーシャの上司。
性格は不敵にして饒舌であり、目上の地位にあるニコライばかりでなく総大主教、果てはローラやローマ教皇相手でも軽口を叩く。年下のかわいらしい子に目がなく、現在はサーシャを溺愛している状態。かなりの日本通であるが知識がある方面に偏っており、サーシャに際どい拘束服や有名なアニメキャラのコスチュームを着せようとしてその度に嫌がられている。
本人によると「自分が一番強いから」という理由で所属組織のまとめ役となっており、実際サーシャの逃亡を手引きした際は部下である「殲滅白書」の魔術師たちを圧倒し、司教であるニコライをも一方的に打ち倒したほどである。ただ、肌の調子を気にして夜間の仕事を嫌がるなど、勤務態度には問題がある。なお、ワシリーサという名前はロシア民話のヒロインから取ったものなので偽名の可能性が高く、年齢も20代とのことであるが後述の能力から真偽のほどは不明。本人やニコライ=トルストイの話によれば、民話のヒロイン・ワシリーサそのものらしい。
オティヌス討伐作戦ではサーシャを引き連れてストウリングまで出向いた。総大主教の術式の効果範囲にいたため、術式が破られた後も上条に手出しできなかったがイギリス勢力が彼を攫って行くのを見逃し、その後は彼らを尾行しオティヌスと上条に最後の戦いを直接見届けた。
戦闘時にはロシア民話に登場する魔女「一本足の家の人喰い婆さん」を召喚し、魔女の持つ強力な魔術で敵を完膚なきまでに殲滅する。また魔女が管理しているという永遠の寿命を与える「命の水」の力によってほぼ不老不死の肉体を持ち、半身を失っても瞬く間に再生するほどの驚異的な再生能力を持ち合わせている。
ニコライ=トルストイ(Nikolai=Tolstoy)
声 - 綿貫竜之介
ロシア成教の司教。ロシア成教と軍部のパイプ役で、サーシャやワシリーサの上司。
ローラによると「ローマ正教とイギリス清教間に争いがあれば積極的に漁夫の利を狙っていくことで知られている狡知の人物」。
現状のままでは総大主教になれないことをフィアンマに付け入られ、総大主教を監禁、署名を捏造して第三次世界大戦の引き金を引く。ロシア軍を指揮していたが、「ベツレヘムの星」の完成に伴い用済みとなり、想像力の欠如をフィアンマに嘲られ、利用されたことに怒り、「ベツレヘムの星」に戦略核弾頭Nu-AD1967を発射しようとした。しかし間もなくワシリーサに襲撃され、彼女への対策として入手していた寿命を断つ「死の水」も通用せず、完敗する。
クランス=R=ツァールスキー(Krans=R=Tsarskiy)
声 - 泊明日菜
ロシア成教の総大主教
15歳くらいという地位不相応とも思われる年齢でありながら、人々の平和を常に案じて活動する聡明さを持っている。線の細い美少年で、その愛らしさはサーシャ一筋であるはずのワシリーサをグラつかせるほど。
ニコライの謀略により署名に細工されて第三次世界大戦を引き起こす事となり、モスクワの宮殿に軟禁されていたところをワシリーサに救助される。その後は「ベツレヘムの星」解体に貢献し、フィアンマが倒され「ベツレヘムの星」が崩壊した事で全教徒に対し終戦を宣言した。
オティヌス討伐作戦では無線機を介してニューヨークから対魔神術式「七つの大罪」を発動し、上条の身体能力を7分の6まで封じたが、こじつけが強引であることなどから論破され作戦には失敗した。その後、上条とオティヌスの最後の戦いに際して他の会議参加者と共に演説を行い、「アメリカの声が届きにくい場所」へ重点的に声をかけた。
スクーグズヌフラ
ロシア成教「殲滅白書」所属のシスター。
ありとあらゆる性魔術のエキスパートと称され、そのためかレースとレザーで構成された拘束服を着用する妖艶な女。総意としてローマ正教に与することとなり、右方のフィアンマの欲するサーシャを捕えるため、それを防ごうとするワシリーサと対峙するが、返り討ちに遭ったらしい。
ブラッシャ=P=マールハイスク
ロシア成教所属の魔術師。
エリザリーナ独立国同盟の前線基地を建設するにあたってそこの住民を強制収容所へ連行する役目を与えられ、護送用トラックのスレイプニルを操っていた。それを見咎めた上条とレッサーによって、鋼の手袋を使った「地殻破断」を模した攻撃におののき、トラックを見捨てて逃亡した。
ヴォジャノーイ
ロシア成教所属の女性魔術師。
雪を水の槍として飛ばす魔術を用いる。一方通行が入手した羊皮紙の当初の運搬先だったロシア空軍基地跡で、10人程の魔術師とともに一方通行を襲撃する。不完全に働いた反射によってその攻撃は阻まれ、一方通行の反撃によって仲間とともに倒された。

魔術結社

新たなる光

レッサー(Lessar)
声 - 高田憂希
英国の結社予備軍「新たなる光」に所属する少女。
年齢は10代前半、髪は先端だけ三つ編みにしてまとめた長い黒髪に赤いカチューシャをしている。ジャケットを羽織っており、スカートの中は直パンツ。またデフォルメされた悪魔の尻尾のような霊装が伸び、普段は太腿へ巻きつける形で収納しているが、感情に合わせてコミカルに振り回すこともある。身長は小柄だが体型は女性的で、それなりに出る所が出ている。
非常に大雑把かつ飄々とした軽妙な性格で、よくニヤニヤと小悪魔的な笑みを漏らす。細部の詰めが甘く可愛げがある。その一方で実直な面があり、使命に殉じる愛国主義者であり、戦闘においては不利な状況も厭わず突撃する挑戦的な性格ものぞかせる。口調は基本的に敬語。また後述のような色仕掛けにも抵抗がないなど、下ネタにもノリが軽い。色々と振り回された上条からは「レッサーが関わるとろくな事にならない」と思われている。
純粋な戦闘力では「新たなる光」最強の実力を誇り、「鋼の手袋」の扱いにも最も長けている。また前述の「尻尾」状の霊装によって、空中でバランス調整することで一気に3階ほどの高さまで達する跳躍力を有する。ただし、着地の補助はできないので、一定以上の高さには上がりにくい。なお、ロシア入国時には遠距離の物も掴めるように改良された「鋼の手袋」を持っていたが、上条の作戦の犠牲となり大破し、以後は旧来の「鋼の手袋」に戻っている。「新たなる光」の連携戦闘における役割は、その機動性を活かした「敵陣深くへの斥候偵察」。斥候偵察専門なので、術式や霊装の解析能力にも長ける。
カーテナの輸送では「ハーフ」として中継役の一人を担い、その際に所持していた「大船の鞄」を見失うというミスを仕出かし、上条とオリアナに妨害されロンドン中を逃走。結果的に任務には成功し、自ら進んで「ロビンフッド」による狙撃を受け粛清されようとするも、上条のとっさの行動によって命を救われた形になる。その後、イギリス清教に保護されて治療を受け、上条を英国の一員として引き入れることを目論み、ロシアへ向かった上条に合流し行動を共にする。「ベツレヘムの星」浮上の際に逸れてしまうが、要塞内に潜入し偶然合流したサーシャと協力して上条達を遠方から支援した。なお、同行していた際に何度も色仕掛けで籠絡しようと誘惑していたが、行動がズレていたためか全く意味がなかった。
その後、「グレムリン」に対する総攻撃に際して切り札となる「幻想殺し」を確保するため、組織内のジャンケン大会を制し学園都市に入る。乗っていた飛行機が撃墜されてからは上条たちと東京湾で待ち受けるオティヌスの元まで向かった。オティヌスと長い時を過ごした上条が彼女の側につきデンマークに向かってからは自らも海を渡り、その決着を見届けた。「クロウリーズ・ハザード」襲撃時には、ホレグラスから「神威混淆」ワチェット=レトの運搬を依頼されたが、移動中にスクーターで轢いた上条に霊装の用途を問いただされる。ガソリンスタンドで遭遇した浜面の心の暴走を予見して、コロンゾンと共に行動する彼をグラスゴー行きの列車の中で捕らえようとしたが失敗する。
創約では「明け色の日射し」の下請けとして扱き使われ、「R&Cオカルティクス」による魔術の拡散に対処している。
能力実演旅行編SSでは調査のために潜入していたロシアの「ショッピングセンター」で美琴と出会い、彼女と協力して都市伝説に絡んだ一連の事件の解決に当たり、広範囲爆弾「硫黄の炎」の解除、敵魔術師カリーチェの撃破、巨大霊装「車輪の大蛇」の破壊といった魔術サイドの案件を担当した。
ベイロープ(Bayloupe)
声 - 藤原夏海
英国の結社予備軍「新たなる光」に所属する少女。4人の中ではリーダー格。
年齢は18歳ほど、髪は銀髪のショートカット。ジャケットは着ておらず、スカートの中は青いレギンス。「新たなる光」随一の巨乳で背も高い。性格は真面目かつ厳格で、軽率な行動を取るレッサーのことをよく叱っている。年相応にプレッシャーに弱く神経質になりがち。
「鋼の手袋」に加え、「知の角杯ギャッラルホルン)」という霊装を所持する。左右の耳に引っ掛けた補聴器に似た器具から二本ずつ真空管が伸びたような外観で、「鋼の手袋」に雷属性を追加する効果があり、無数のルーン文字を伴う緑色の落雷を、弧を描くラインで降らせて絨毯爆撃のように一帯を蹂躙することができる。「知の角杯」使用時はレッサー以上の戦闘力を発揮する。「新たなる光」の連携戦闘における役割は、敵の位置情報を受けて「遠方からの高威力砲撃」。
カーテナの輸送では「ハーフ」として中継役の一人を担い、地下鉄で天草式に包囲され五和と交戦。彼女を退けるも罠に嵌まり、閉鎖された「必要悪の教会」の魔術施設に誘導され戦闘不能となった。
能力実演旅行編SSでは魔術がらみの事件に一般人の美琴を巻き込んだレッサーを折檻した後、カリーチェらロシア系魔術結社の戦闘部隊を「知の角杯」の絨毯爆撃で殲滅する。
フロリス(Floris)
声 - 鈴木みのり
英国の結社予備軍「新たなる光」に所属する少女。
年齢は15歳程度、髪は明るい金髪を肩まで伸ばしたショートカット。ジャケットを着ており、スカートの中は赤いスパッツ。飾らない砕けた性格をしているが、気の利くしっかり者でもあり仲間内ではフォロー役に回ることも多い。
「鋼の手袋」の他に、両肩に「」状の霊装を装備している。通常時は小さな羽飾りだが、飛行時はそこから長い金属の骨格を伸ばし、間に光の膜を展開したコウモリの翼のような外観に変形する。それにより低空での高速飛行が可能で、自分の意思で一気に高度10m程度まで上昇することも可能。「新たなる光」の連携戦闘における役割は、敵陣深くへ入り込んだレッサーを「翼による飛行で回収すること」。地上における移動でも運転手を務める。
カーテナの輸送では「ハーフ」として中継役の一人を担い、神裂に倒され「必要悪の教会」の聖堂に捕縛される。クーデター発生後は「清教派」から「騎士派」に身柄を移され、列車によって移送中、車内に侵入してきた上条と遭遇し、2人で脱出するも上条の浅慮のために散々な目に遭い、逃走中のヴィリアンと合流した後で再び天草式に捕まった。そのため上条を恨んでいて、対「グレムリン」総攻撃で学園都市に向かうチャンスを逃した時には、復讐の機会を失ってかなり悔しがっていた模様。
能力実演旅行編SSでは、「車輪の大蛇」を止めようとするレッサーの解析作業を援護した。
ランシス(Lancis)
声 - 田辺留依
英国の結社予備軍「新たなる光」に所属する少女。
年齢は10代、髪は茶髪のショートカットを緑のカチューシャで持ち上げ額が出ている。ジャケットは着ておらず、スカートの中は青いスパッツ。胸の大きさは「新たなる光」では最底辺だが、美琴よりは上。性格は少々天然気味で奔放。また、眠たくなると他人の布団に潜り込む癖があるなど無頓着で、羞恥心も薄い。
自分や他者を問わず精製された魔力に「くすぐったさ」を感じる体質。紫色の長い「」状の霊装を付けており、敵の各種ステータス異常を引き起こす遠隔攻撃が可能らしい。「新たなる光」の連携戦闘における役割は、状況に応じて広域へ異常攻撃を行って「敵の回避性能を削ぎ落とすこと」。
カーテナの輸送では「キーパー」として始点を担い、ロンドンより30kmほど離れた場所から「ハーフ」を経由させて「騎士派」へカーテナを送り出した。
能力実演旅行編SSではレッサーと合流しようとする美琴としばらく行動を共にし、魔術結社との戦闘では後方支援をしていた。事件後、カーテナ=オリジナル発見の報告を受け取り、仲間たちへと伝えた。

明け色の陽射し

レイヴィニア=バードウェイ(Leivinia=Birdway)
声 - 大地葉
英国の「黄金」系魔術結社明け色の陽射し」のボスを務める女性魔術師。魔法名はRegunm771パトリシアの姉。
肩にかかる程度の短い金髪に、白いブラウスとスカートに黒いストッキングという服装の12歳の少女。その容姿とは裏腹に狡猾かつ明晰な頭脳を持っており、非常に大人びた口調をしている。人をいじめたりからかうのが好きな嗜虐的な性格で、仕事においては敵に対して一切の容赦をしない。その反面、パトリシアを魔術の世界から遠ざけるような姉らしさや、妹を救ってくれたステイルに礼を言うなど、人間らしい一面もある。また、背伸びしてミックスジュースをノンアルコールカクテルと言い張ったり、フレメアと口論の末に取っ組み合いをするなどの子供らしい面も持つ。結社の本来の性質ゆえか、フリントロック式の銃を愛用したり科学雑誌を購読するなど科学サイドに対する抵抗が希薄であり、組織の本来の形を取り戻すことやこれからの行く末などについて案じている。辛い物が苦手。ブラを着用しておらず、年の割に胸が薄いことを気にしている節がある。また、明言はされないが上条に好意を寄せている節があり、彼の事となると冷徹な仮面を崩し年相応さを晒け出すことも。電撃文庫公式海賊本『電撃VS』掲載コラボ小説『禁書目録VSデュラララ!!』で共演した『バッカーノ!』のロニー・スキアートからは「お兄ちゃんっ子」つまり兄妹願望と評された。
ブリテン・ザ・ハロウィンの際には「連合の意義」によって自分に分配されてきた「天使の力」を突き返し、第3次世界大戦の「浄化」の際にはドーバー海峡にて黄金の腕を殲滅している。その際、部下達をロシアに潜入させており、北極海から上条を救出し、共に学園都市に現れた。グレムリンがハワイで暗躍しているという情報を上条たちに与えそこに誘い、彼らを騙してグレムリンを釣るための餌として学園都市協力機関27社の離反を誘導する動きを起こさせる。その後、オッレルス勢力と合流し、シルビアと共にブリュンヒルドを救出し、学園都市に向かう。フロイライン=クロイトゥーネを「殺せる体」にする術を持っており、彼女の前に立ちふさがるが駆けつけた上条との戦闘に敗れる。グレムリン総攻撃に際して上条に同行し、東京湾へと向かうが上条の突然の離反を受け、インデックスと共にフレデリシアに向かう。彼女の補助を受け「主神の槍」を生み出し一時的に疑似魔神化することに成功したが、カミジョー属性によってインデックスからの補助が途切れたことで槍が暴走し、戦闘不能になる。その後はインデックスのお目付け役として戦場を離れ上条に全てを託した。
寄生生物に取りつかれたパトリシアを追って自らの命を懸けて妹を救うべく、12月3日に単身学園都市に入り込み、再会した上条によって寮に連れ帰られ、彼らの協力で妹ともども命が助かった。
「クロウリーズ・ハザード」襲撃時には、ホレグラスから「神威混淆」ワチェット=レトの運搬を依頼されたが、移動中にスクーターで轢いた上条に霊装の用途を問いただされる。クロウリーズ・ハザードの収束後はレッサーを連れてスコットランドを目指していたが、ガソリンスタンドで浜面に保護されていたダイアンと顔を合わせることになり、自分が研究対象としていた「黄金」の実情を知ってショックを受ける。
「R&Cオカルティクス」により魔術が表の世界に拡散した際には、「必要悪の教会」とも手を組んで事態への対処に追われ、「新たなる光」を下請けの実働部隊として雇って扱き使う。
魔術師としても強大な魔術結社のボスとして君臨するに相応しい技量を持ち、非常に万能なスタイルの実力者で、「聖人」の神裂とも互角に渡り合える。接近戦では魔術剣や四大元素にそれぞれ対応する形に変化する象徴武器剣と杯の杖」を状況に応じて使い分け、遠距離砲撃や火力重視の大規模儀式魔術、大質量の「天使の力」召喚も得意とし、大アルカナのフルセットで愚者から世界まで一直線にコンボを決めれば一時的に音速挙動もできる。その真骨頂は、「いつも同じ動作で同じ術式を振るうことで自分自身を魔術的な記号とし、高威力の術式を使用できる」という並々ならぬ努力で習得したもの。これにより速攻の敵殲滅を可能としているが、裏を返せば高威力で使えるのは同じ術式だけであり、新たな魔術を実用レベルで用意するのには時間がかかる。この弱点を隠すため、本来必要な準備を敢えて省略し、自らの腕と勘を頼りに即席で発動させる火属性大規模魔術「召喚爆撃」だとして、他者を欺いている。術式開発能力にも優れ、前述の通り一端とはいえ「魔神」の力を高純度で再現する「模倣神技」を成功させているほか、寄生生物に侵された妹のためにアフリカシンデレラともいわれるニャニャブレムブの伝承をもとに作った腐った赤い絨毯のような外見をした、美しい姫君を誰にも邪魔されずに育て上げるための「姫君の毛皮」を纏うことで、トウモロコシ由来デンプン製の代替臓器である「果実」を育てるという「カニバリゼーション」の術式を短期間の内に作り上げている。ただ、体内で育て上げる「果実」は成長の途中で体を内側から破裂させるという重大な欠陥があった。
マーク=スペース
「明け色の陽射し」に所属する魔術師で、レイヴィニアの部下。魔法名はArmare091
他の「明け色の陽射し」構成員同様、礼服にスカーフを巻いた、金髪で20代の男性。上司のレイヴィニアと一緒に登場することが多く、しばしば彼女のツッコミ兼イジられ役や、機嫌が悪い時の八つ当たり対象となる。毎度のように彼女のわがままに振り回されたり、理不尽な命令で扱き使われるなど、かなりの苦労人である。基本的には丁寧語だが、一人の時は少し荒っぽい口調になることもある。
「黄金」系ではポピュラーなタロットの中でも、小アルカナ4種の内の「風の十四枚(ソード)」を得意分野とし、それぞれ効果の違う14枚のカードを使い風属性の魔術を行使する。なお、単にカードを1枚ずつ消費していくだけでなく、戦闘している場所をタロットのテーブルに見立てることによって、使い捨てたカードの配置を巨大な陣とする大規模儀式魔術を発動させることもできる。儀式魔術は速度は劣るものの威力が高いため、カードをうまく配置し入念に準備すれば一撃逆転を狙える大規模な「天使の力」の召喚が可能。新約3巻では風以外の属性も含めた小アルカナのフルセットの使用許可も降りている。

翼ある者の帰還

エツァリ
ショチトル(Xochitl)
声 - 大和田仁美
中米の魔術結社「翼ある者の帰還」に所属するアステカの魔術師。学園都市の暗部組織「メンバー」の構成員。
浅黒い肌の、彫の深い顔立ちをした少女。スリーサイズはB84・W58・H81[71]。「死体職人」の異名を持ち、死者の魔術に精通している。そのため死者の残留思念を拾うこともある。本来は汚れ仕事とは無縁のポジションにいたが、エツァリの妹弟子のような立場で、彼を「お兄ちゃん」と呼ぶこともあり、ゆえに組織を裏切ったエツァリが許せなかった。
武器としてマクアファティルを持つ。本来の死者の魔術以外に、組織に身体を改造されて、他人の武器を自分の肉体として扱い自殺させる、「自殺術式」といえるものを用いる。「暦石」の派生系と思われる、自動迎撃術式として「武具を持つ者への反撃」を有する動物の皮に文字を記された絵文書形式の「原典」を用いた強力な術式だが、自らの皮膚の内側に記述することで力量を補っていることに加え、乾燥させ粉末状になった肉体を散布し付着させた武具を操るという性質から体の3分の2を喪失しており、エツァリとの戦闘中に肉体が限界を迎える。
『超電磁砲』学芸都市編SSでは、学芸都市との抗争に参加し、主に後方支援や負傷者の回収任務に就いていた。その任務の中で学芸都市に潜入し孤立していた際、偶然通りかかった佐天と接触し、一時彼女と行動を共にする。島から一度脱出した後、オリーブに殺されかけた佐天を救い、大型救命艇サーモンレッドの機密情報を教え、「雲海の蛇」に乗り最後の襲撃作戦と「太陽の蛇」護衛任務に就き、阻止しに来た美琴と激戦を繰り広げたが、佐天を「太陽の蛇」から庇って墜落。最終的に、関係者を乗せたサーモンレッドを一般人ごと攻撃しようとするテクパトルら同僚の魔術師に反発し、組織に離反してトチトリと共に戦い無事阻止するが、制裁として身体改造を施される。
その後、組織を裏切ったエツァリを粛清するため、変装して学園都市に潜入し、暗部組織「メンバー」の一員として活動する。大覇星祭では「メンバー」として活動中、佐天と偶然再会する。偶然「メンバー」のアジトの一つを発見し、内部にうっかり入り込んでしまった佐天を成り行きで救出、背信行為をした警策の真の狙いが美琴であることを彼女に伝える。
そして、暗部組織間抗争の際に少年院でエツァリと戦うも、先述のように肉体が限界を迎えたため敗北する。しかし、「原典」をエツァリが継承し、彼が「原典」を騙して延命させたことで死ぬことは免れ、その後は病院に入院し、ちょくちょくエツァリの見舞を受けている。エツァリが組織を裏切った理由にはあきれているものの、現在の彼の立場を受け入れつつある。なお、入院時もトチトリと共に海原への人質となる利用価値があったため、清掃員に扮した二人以上の見張りに監視されていたが、一方通行の活躍で暗部が解体され、見張りがいなくなった事で現在監視は受けていない。
新約ではトチトリと一緒に入院してた他、オティヌスが作り出した「幸せな世界」の学園都市に似た街で、素顔を晒したエツァリとトチトリの3人で歩いていたところを上条に目撃されている。
創約3巻の12月25日のオペレーションネーム・ハンドカフスでは変装術式を駆使してエツァリと共に病院からトチトリを連れ出し、計画とその後の揺り返しが収まるまで隠れていた。
トチトリ
声 - 伊藤彩沙
中米の魔術結社「翼ある者の帰還」に所属するアステカの魔術師。初登場は外伝「学芸都市編SS」。
ショチトルより若干年上で、同じく褐色の肌の少女。テクパトルの部下であり、ショチトルとは腐れ縁の戦友でよく軽口をたたき合い、特にエツァリに関することではショチトルを茶化すような冗談をよく言う。
「学芸都市編SS」では、「雲海の蛇」に乗って学芸都市の機密施設内に突入し、学芸都市に奪われていた「太陽の蛇」起動の鍵となる霊装を回収し、脱出する際にショチトルも拾う。その後、最後の襲撃の際にテクパトルの作戦に反発し、離反してショチトルと共に戦った。
その結果、制裁を受け身体改造を施され、テクパトルが用いる魔術「月のウサギ」に必要な「ウサギの骨」の代わりとして自分の骨が消費される状態にされており、消費された骨は黒曜石に交換されるものの、その際の激痛によって精神崩壊状態にあった。
テクパトルに連れられて学園都市に入っており、彼の術式行使に利用されていた。だが、エツァリがテクパトルを殺して「月のウサギ」を継承したことで「原典」から解放され、以降はショチトルと同じ病院で治療を受けている。
新約でもショチトルと共に登場。創約3巻ではオペレーションネーム・ハンドカフスのため、エツァリとショチトルの手で病院から連れ出された。
アニメでは「Ⅲ」に登場。こちらでは黒髪ロングにロールという容姿でデザインされている。
テクパトル
声 - 柳田淳一
中米の魔術結社「翼ある者の帰還」に所属するアステカの魔術師。初登場は外伝「学芸都市編SS」。
現場での指揮や作戦立案を行い、ショチトルやトチトリの上役にあたる。組織が学芸都市との抗争に勝利したものの、自分達の現状は何も変わらず、これは幹部たちが自分たちの利権を守るための戦いだったと考え、上層部を粛清する。しかし、この行為によって組織の方向性を完全に見失い、事実上組織は壊滅状態にある。また、この上層部がエツァリに上条勢力の組織壊滅を命じたとされるが、皮肉にもテクパトルの暴走により、自分達が壊滅の道を歩んでしまうことになった。
「暦石」の派生形である、「月のウサギ」という数枚の石板状の魔道書の「原典」に備わる自動迎撃術式「長距離砲撃」を用いた魔術を使う。「ウサギの骨」に見立てたトチトリの骨を飛ばすことで強力な破壊力を持った砲撃を行う術式で、骨の質の問題で本来のものより威力は落ちているものの、対戦略兵器用のシェルターを一撃で破壊し数十人を一度に殺傷する。また、自身への原典の汚染を防ぐために防護策などを講じていたが、これが「原典」に「死蔵」と判断され見限られる原因となる。
裏切り者のエツァリを粛清するため、トチトリを連れて潮岸の側近の美濃部(声 - 石狩勇気)に成り代わる。計画は狂ったが、偶然にも潮岸と「グループ」の抗争でエツァリと出会い、命を狙う。原典「月のウサギ」を用いてエツァリを圧倒するも、彼が機転を利かせ魔道書の記述を広めようとしたのを妨害する形になってしまい、自分の魔道書に迎撃されて殺される。
アニメでは「Ⅲ」に登場。トチトリと共に不明だった容姿が明らかとなり、顎髭が生えた褐色肌の青年として描かれている。

グレムリン

オティヌス勢力
オティヌス
声 - 瀬戸麻沙美
本作のヒロインの1人。魔術結社「グレムリン」のトップ。北欧神話の主神であり、戦争・魔術・芸術・詐術の神「オティヌス(オーディン)」の名を冠する。オッレルスからその座を奪った、正真正銘の「魔神」で、その正体は作品世界におけるオティヌスとオーディンの伝承の基となった張本人。
毛皮のコートの下に黒装束[注 12]、尖った鍔広の帽子という、魔女の如き風貌をした隻眼の少女。「知識」を得るために片目をえぐりだしさらに首をくくったという。えぐりだした「目」は、デンマークの、後世にイーエスコウ城が湖上に建てられる湖の中に沈められており、これが彼女の魔神化にとって重要なファクターとなっている。また、外見こそ13〜14歳程度の少女だが、不老不死のレディリー=タングルロードと同様に実際の年齢はそれ以上とされる。
最も「魔神」に近い人物であるオッレルスをして「絶対に勝てない」と言わせるほどの力を持ちながら、「魔神」が持つ「無限の可能性」により50%の確率で失敗するというリスクを抱えており、このジレンマから解放される手段を求めて活動しているらしい[注 13]。成功の100%を手にするため「主神の槍(グングニル)」の完成を目指している。
性格は第三次世界大戦を起こした時のフィアンマに似ていて冷酷無慈悲だが、面倒見は案外よく、インデックスやレイヴィニアと同様で説明好き[注 14]。だが、その分析はインデックスとは違い、攻撃的で相手の尊厳を削り落とす害意に満ちている。
グレムリンの仲間や部下達、数々の暗躍や作戦も使い捨ての囮、時間稼ぎとして利用しながら、「船の墓場」での「槍」製造中にオッレルスとフィアンマの襲撃を受け、「妖精化」で「魔神」として完膚なきまでに敗北を喫する。しかし、実は50:50というどちらに転ぶか定かではない状態のため動きが取れなかったにすぎず、成功か失敗のどちらか100%を手に入れることが真の目的で、何者かに敗北すること自体が第2希望だった。よって敗北により失敗の100%を獲得したことで「魔神」として完成し、さらに自らの肉体から成功を象徴する「槍」を生み出したことで「魔神」すら凌駕する存在となる。
実は作中の世界にたどり着く前に世界の改変を何度も行っていたという過去を持ち、その結果自分が元居た世界の姿を見失ってしまっていた。仕方なく元の世界に酷似した世界を作り上げ「魔神」の力を捨てて暮らしていたが、次第にその世界に妥協できなくなり、もともとの「第一希望」の世界に帰りたいと願うようになる。「グレムリン」を組織したのも、完全なる「魔神」の力と「基準点」である「幻想殺し」の力を使って元の世界に帰るという真の目的のためだった。
「槍」を手に入れた後は位相を作り出し、「幻想殺し」を扱いやすくするべく上条の心を挫くために数え切れないほど世界で押しつぶし続け、「上条への最後の料理」としてわざと見逃しておいたミサカ総体によって上条が精神的に回復してからも数百万回世界の繰り返しを行った。だが、圧倒的な格下を幾度となく相手取ったことが仇となり、10,031回目の直接対決で遂に自分の方が先に精神的な限界を迎えてしまったため、「幻想殺し」を手中に収めることを諦め、「次の世界」で妥協しようと考え上条の殺害を決意する。自分専用の戦闘パターンを積み上げた上条に成功100%の方向性である「槍」を砕かれはしたものの、残った失敗100%の力で勝利したが、瀕死の彼から「幻想殺し」でオティヌス自身の「第一希望」の世界を取り戻すように頼まれる。上条という「元の世界」にいた時ですらいまだかつて現れたことの無かった理解者の喪失がきっかけで、彼の世界を戻してその世界で支えとなるものを見つけたいと願い、「妖精化」の弊害に体を蝕まれながらも自分の死を覚悟して「上条当麻の世界」に戻した。魔神のみに作用する「妖精化」を無効化するためには人間へと戻る必要があったため、自分の側につくことを決意した上条と共にデンマークへ向かう。数々の敵の攻撃を退けながら「目」が沈む湖までたどり着いたが、自分自身を許すことができず、自らの死によって世界中を敵に回した上条を救おうとして、限界を迎えつつある肉体で彼に対して魔術を行使する。
最後の戦いで「幻想殺し」で「妖精化」を破壊されたため、肉体は9割9分が死滅してしまったものの、僧正の介入により完全には死を迎えることはなく、「魔神」に最も近しい存在でありながら一切魔術の使えない身長15cmの小人として復活する。当初の予定ではアメリカに引き渡されて収監される予定であったが、小人の脱獄を防ぐことの可能な施設がないことや寿命の概念があるかさえ不明なことから、「幸せな世界を眺め続ける」という罰を与えられた。現在は上条の家で生活しているが、同居人インデックスの飼い猫であるスフィンクスに何度も襲われており、名前を聞くだけで涙ぐむほどの天敵となっている。なお、ジャガイモ料理、特にフライドポテトが好物で、お国柄かニシンも好き。
ローラとアレイスターの協議で身柄の保証が為されていたが、双方共に社会的地位を失ったことで立場が不安定なものとなっている。上条からは「理解者」として、インデックスと同じ魔術のスペシャリストとして厚い信頼を寄せられているが、女性関係の広さに嫉妬して不平をこぼすことも多い。移動の時は、上条の右肩を定位置としている。なお、上条との最後の戦いはアメリカの手回しにより全世界に衛星中継されており、小人化した姿も世界中に流されたのだが、学園都市は例外であったらしく、目撃した上条のクラスメートからは精巧なフィギュアだと思われていて、美少女フィギュアを持ち歩いているという誤解を振り撒いている。
死体の要所に黄金を打ち込むことで「死者の軍勢エインヘルヤル)」として操ることができ、生命の活動の根幹にある生命力の代わりに、外部から魔力を注ぎ込むことで精密に動き回り、心臓は動き、脳が思考を継続しているが、生物として当たり前の呼吸、反射、反応は行わない。そして、「槍」の完成によりその術式を「生み出す」極致の象徴として強化、「位相」をそれまでの世界に挟み込むことで全く異なる見え方の世界を作り出し、世界中の人間の生き死にさえ自由に操ることができるようになる。さらに、体内で製造した「主神の槍」は、英傑シグルズの父が持つ「伝説の剣」バルムンクを叩き折ったことに起因して、「人間の権威の象徴を打ち砕く」という「神様の優位性」を示す他の神々の武具とは一線を画する特徴を有し、この「槍」を投擲すると、その瞬間に新たな「位相」を埋め込まれた世界は粉々に砕け、その破片は巨大な槍の形になって位相の壁を噛み砕きながら突き進み、人間の抗う意志を破壊する。また、「オティヌス」としては1発で惑星の1つ2つを削り取るほどの威力を持つ10本の「矢」を扇のように展開して放つ「(いしゆみ)」の術式と、自分を含む対象者を除く世界のすべてを移動させ相対的に瞬間移動を行う術式「骨船(こつせん)」を使用できる。移動後は天体全体を元の位置に戻すので時計などに誤差は生じないが、300〜400kmの誤差が当たり前なうえ、移動中に海に落ちたり山脈に衝突する危険性がある。以上の術式は神としての力を失った後は使えなくなったが、神の知識自体が失われた訳ではないので、アンナが学園都市に現れた際には、カラスの羽根を使った傍受霊装をばら撒き、R&Cオカルティクスで使われる中途半端な術式に介入した「監視と伝達フギン・ムニン)」で周囲の状況を見聞きしていた。また、2羽のカラスの使い魔で世界中の情報を蒐集し、鷹に化けて下界を視察することから鳥と相性が良く、神の力を失ってからも鷹を捕まえて乗りこなす程度のことはできる。
投擲の槌(ミョルニル)
魔術結社「グレムリン」の正規メンバー。北欧神話の雷神トールが持つ雷槌「ミョルニル」の名を冠する。
黒い大理石で出来た直径55cm、高さ1m程度の円筒形の物体という異様極まりない姿をしているが、れっきとした人間であり魔術師。自分の術式を最適化させるためマリアンに改造され現在の姿になったとされる。本名、性別など素性に関するものは一切不明だが、オティヌスによれば少女とのこと。本当の声であるか定かではないが、高いソプラノの声で言葉を発する。人体改造による最適化は当たり前の毎日の延長線でしかなく、マリアンに肉体を預けたのは信頼の証であった。
ミョルニルの特性にちなんだ半径400mを射程とする電撃と、体表を箱のように開き内部で召喚した火縄銃などの飛び道具による攻撃を得意とする。最大の武器は自らの名前でもある術式「ミョルニル」で、莫大な電力を纏い空中を高速旋回することによりソレノイドコイル状の磁場を発生させ、円の内部に帯電した空気を通す事で超巨大な雷撃を発生させる。また、トールが万能神であった頃の名残で様々な用途で利用できる「魔術の杖」の力も有し、魔術におけるあらゆる問題を一つだけ解消できる霊装としての希少な能力を持つ。
自らも形状を変え空中飛行することが可能。これは空中を飛ぶ魔術師に対して絶対の効果を持つ魔術「撃墜術式」の格好の的であるが、その異様な外見により人間であることを見破られることは稀。
上条当麻の生存確認のため打ち上げられたラジオゾンデ要塞に逗留し、宇宙空間から落下するという荒業で要塞への侵入を果たした神裂火織を襲撃する。「ミョルニル」で要塞の3分の1を吹き飛ばし神裂を追い詰めるも、正体を見抜かれ「撃墜術式」を唱えられたことで撃墜され、逃走する。
以降はマリアンと共に行動する事が多く、「一端覧祭」では彼女の護衛、「船の墓場」では「主神の槍」製造の補佐を行った。デンマークではマリアンと上条の戦いを見届けて、意識を失った彼女を連れて去っていった。
マリアン=スリンゲナイヤー
声 - 五十嵐裕美[72]
魔術結社「グレムリン」の正規メンバー。現存する数少ない「黒小人(ドヴェルグ)」。銀髪の三つ編みに褐色肌の少女。黒小人再興の夢を仲間から託されて「グレムリン」に参加した。
黒小人に伝わる技術により、黄金の工具を用いて「神々の武具」を作り上げるだけでなく、人間を家具に作り変えることも可能。完全な道具の場合は鉱物から、演算機能を持たせる場合は生命体から作る、という大雑把なルールを設定している。ただし、死体の加工は専門外で、改造された人間は生きたままなので、生理的な弱点を突かれて無力化され得るという弱点を持つ。
切り札として全人類を殺害するために作られた霊装「戦乱の剣ダインスレーヴ)」も所持している。最終戦争ラグナロクの合図の一つとなる戦争を引き起こす、人が操る武器の中では最大クラスの災厄を生み出す伝説の魔剣がモデルなだけあって強大な力を宿しており、天国への道を閉ざす形で様々な宗教において封印された存在を解き放ち「終末」を再現することができる。使用時にはあらかじめ境界を引いて一種の結界を準備する必要があり、この工程を怠ると「御使落し」のような怪現象が起きる恐れがある。完全に抜刀してしまえばとんでもない災害をもたらすことから、鞘から刀身を露出させるだけでも、狙った相手が恐怖の余り自分で心臓を止めて死ぬほどのとんでもない威力を誇る。また、この剣を封じる鞘の力で直径3mほどの「透明な球体」の内部へ地球の重力を封印し、乱反射させ続けることも可能で、その際に人間ごと封印したり、封印した空気中の埃や塵を一点から解き放つことで灰色状の切断ブレードも生み出せる。灰色の大剣による攻撃は物理法則に従うものであるため「幻想殺し」で打ち消すことができないが、同時に自身の意思で操作することもできず、「射出口」の形が変わると暴発する危険性が高いという弱点があり、塵の補充は自動で行われるので異物を投げ込まれるだけで簡単に封じられてしまう。なお、人間の王が使う武器なので、特殊な接続術式を施す必要性がないのが利点。バゲージシティでオティヌスが破壊したが、放棄された「主神の槍」の材料から作られた、人間が扱える範囲のあらゆる武器を作り上げる「万象の金ドラウプニル)」によって再生されるも、「幻想殺し」によってふたたび破壊された。
黒小人が使う工具の進歩を目指していた頃に加群に接触して友人となる。グレムリン結成後は相討ちによる復讐を止めさせようと組織に引き入れ彼が必要とされる場所を提供したが、止められないと悟るや相打ちになっても生き残れるように支援することを決意。敵と味方の境界が極端で、敵には残虐な改造を施し惨殺する一方、仲間がたとえ一人でも死ねば大きく取り乱す。
ある実験の為にウートガルザロキやシギンと共に「ナチュラルセレクター」を警護し、学園都市地上部隊との交戦にとどまらず、理論や運命の抜け道すら塞ぐ霊装「ロキの投網」によって航空部隊の迎撃も行っていたが、加郡の死を目撃したことで実験やオティヌスの制止を無視して激昂、「戦乱の剣」で無差別殺人を行おうとするも上条に敗北する。その後、フロイライン=クライトゥーネを確保するため「投擲の槌」やトールと共に学園都市に侵入するが、上条たちの策で自分の居所が割れたと焦り、暴走し始めたためトールによって昏倒させられ戦線を離脱した。
その後は、「船の墓場」で「槍」の調整を行うが、オッレルスによる妨害を受け負傷する。グレムリンを見捨てたオティヌスを始末するため単身で上条たちを襲うが敗北、「投擲の槌」に連れられてその場を去った。
ウートガルザロキ
魔術結社「グレムリン」の正規メンバー。北欧神話の巨人「ウートガルザロキ」の名を冠する。金髪の男性。
雷神トールさえ完全に騙し切った幻覚のスペシャリストであったウートガルザロキにちなんで、炎の写真を見せて炎の痛みを与えるといった、「五感の一つで得た情報を別の五感に移し替える」という幻覚系の魔術を使う。使い方次第で相当な破壊力を秘めているが、長時間精密な幻覚を見せるためには、相当多くの「素材」を集めて正確に提示する必要がある。
本来直接戦闘には参加しない魔術師で、「戦闘を含むバゲージシティという環境を繊細に調整する事」を目的に派遣され[67]、ウェイスランドの護衛をしていたが、乱数の襲撃を受け重傷を負わされるも、幻覚を掛けて動きを封じた。しかし、似たような幻覚使いである乱数に幻覚を掛け返されてしまい、無限ループに陥って行動不能となる。
シギン
魔術結社「グレムリン」の正規メンバー。北欧神話の悪神ロキの妻「シギン」の名を冠する。
論理の穴埋めを得意とするディベートの達人で、100%確実な「助言」を行うことができる。また、敵側に間違ったアドバイスを与えて自滅させる攻撃方法も使い分ける[67]。その能力を自分のために使うことができれば「魔神」に手が届く可能性すらあるとされるが、そもそも魔術師であるかどうかは不明で、「論理の穴埋め」能力が魔術にも通用するものであったため、魔術サイドの業界に入る事になった[67]。自分はアドバイスするだけで、「助言」によって仲間が成功した時だけ自分の手柄にしようとするため、仲間意識はきわめて希薄で、裏切りにも抵抗感がない[67]
バゲージシティに派遣されていたが、序盤のうちにすでに近江率いる甲賀の部隊に捕らえられていた。
木原 加群(きはら かぐん) / ベルシ
木原一族の一人。魔術結社「グレムリン」の正規メンバー。北欧神話の英傑「ベルシ」の名を冠する。
短い黒髪の男性。初登場時は白いロングコートと同色のフルフェイスヘルメットで完全に容姿を隠しており、地の文などでは正体が判明するまで「ヘルメットの男」と表記されている。木原一族らしからぬ人格の寡黙で優しい人物だが、手段の正当性を選ばない所や暗部に似た科学実験の考案など、やはり彼も「木原」らしい特徴を持つ。しかし目的のために自身の死を厭わず、各所に様々な気配りをした計画を立てるなど、上条とは違う方向における完璧で潔い主人公とも描写されている。[要出典]
かつては学園都市暗部に属する臨死体験を専門に扱う研究者で、人の命の普遍的価値を追求する目的で生命を科学的に究明しようとしていた。その結果、人間を安全に殺害し安全に蘇生させる方法を確立し、単純に「人間の心臓を止めた回数」では一族内でも1、2を争う(ただし全員蘇生なので実質0人)という記録を作ったものの、このまま研究を続ければ人の命の軽さを結論付けてしまい本来の目的に反すると気付いて研究職を辞す。その後は一般の小学校教師となり、不登校生徒と接し学校生活へ復帰させる「落第防止(スチューデントキーパー)」の役職を担い生徒達の憧れとなる。その間は夜回りをして生徒の安全を守っていただけでなく、近隣住民にも子供達に危険が及んでいないか確認するよう頼んでいた。教師時代は童話の「幸福な王子」に例えられる人物で、他人の危機には鋭敏だが、自分の人生を充足させる事にも自分の危機にも興味がなく、理由がないから見捨てないという考えの元で行動していた。だが3年前のある日、その生徒の一人である雲川鞠亜の登校途中に襲撃してきた通り魔の少年を返り討ちにして殺害してしまい、正当防衛と認められるも生徒達のために教職を辞する。さらに通り魔の少年が実際は病理によって通り魔に仕立て上げられた被害者だったと知り、彼の復讐として病理と自分自身を殺害するために学園都市を去った。
マリアンと出会い魔術の存在を知ると、復讐を完遂する手段として独学で魔術師となり、「最終的に共倒れになる削り合い」という目標を達成するための術式の構築を開始、自身の異名の英傑ベルシの持つ決闘剣「ヴィーティング」の伝承にちなんだ、一撃で致命傷になる攻撃だけを全部無効化する極端な防御術式と、負傷の度合いに応じて攻撃力を増す効果を有する青白い光の剣を生む術式を磨くようになる。「一度パワーアップしたら以降は敵を倒すか標的を切り替えるまでその攻撃力のまま」であるため、猛攻を受けると天井知らずの術式を無制限で使えるが、補正がないと活躍しづらいので、奇襲や一方的な攻撃は苦手であり、幻覚使いは天敵といえる[67]。「グレムリン」に所属してからは科学者として貢献し、魔術と科学の融合技術創造や作戦立案を担当していた。
バゲージシティではファイブオーバーなどの学園都市側の軍勢を撃破し、円周を一時退ける。その後、病理を襲撃して消耗戦に持ち込み、自身の目的通り相討ちを果たし死亡した。死体は、オティヌスの「死者の軍勢」の一つとなったものの、バックドアとして事前に首に埋め込んだ半導体によって自分らしくない行動を命じられたときにはそれに抗うことができるようになっている。それにより、総攻撃の際にはフレイヤと共に東京襲撃を命じられたものの、人命救助を行っている。そして、上条達に敗北したフレイヤとその母体を病院へ搬送し、オティヌスが力を失いグレムリンが撤退したのと同時に機能停止した。
生前、「新入生」を仮想敵とし彼らに対抗するための拠点を学園都市内に準備しており、これが上条やトールのフロイライン=クロイトゥーネ救出に役立つこととなる。
トール
声 - 斉藤壮馬[73]
魔術結社「グレムリン」の正規メンバー。北欧神話の雷神「トール」の名を冠する。金髪を長く伸ばした細身で色白の少年。
直接戦闘手段を突き詰めた結果、「戦争代理人」と呼ばれるほどの実力をつけた戦闘のプロ。とあるの物語で初めて登場した戦闘狂でもあり、[要出典]経験値の獲得を目的としている。「聖人」や「魔神」、フィアンマのような特別な力を持つ魔術師ではないが、魔術などの異能の力を使わない格闘術も強く、学園都市のファーストフード店で上条と大喧嘩した際は殺人のさらに先にあるとされる暴力を振るい、不良の喧嘩程度しか知らない客達(学園都市の各校の生徒ら)にその暴力を見せて恐怖心で動けなくなるほど戦慄させた。トール自身も異常に打たれ強いため、上条の拳を喰らってもしつこく粘り続け、敗北しても最後まで倒れなかった。
指先から灼熱のアーク溶断ブレードを噴出する攻撃手段を備えており、これはさらに「投擲の槌」を接続して永続的に力の供給を受けることで、雷光を最大で2kmまで伸長させることもでき(通常使用時は20m)、常に力の供給を受け続けているため幻想殺しでも消しきれない。これらは足からも噴出でき、ブースターとして使用することも可能。また、「」の霊装により、橋梁を投げ上げるほどの怪力を振るったり[注 15]トールの伝承に則った霊装による女性限定の変装術式も備えている。この魔術で美琴やマリアンに変装した。だが、これらの強大な力はあくまで「雷神」としての特性であり、トールの力の本質ではない。
その本質とは単なる雷神ではなく、農民や製造業を守り、あらゆる気象、季節、天候、災害を司っていたころの、全能の神としての力。「全能神」としての術式は「自分が必ず勝てる位置に相手を地球ごと移動させる」というもので、手足を振るうだけで必ずクリーンヒットになる位置と距離を自動で調整し、相手が地球の反対側に居ようと即座に懐に潜り込める。学園都市の超能力で言うところの「空間移動」に類する魔術で、原理としてはオティヌスの「骨船」に似ており、査楽の「死角移動(仮称)」とほぼ同じ効果をもたらすが、規模は結標の「座標移動」さえはるかに凌ぐ。また、「絶対に敗北を回避する」ことと同義であるため、相手の攻撃は一切届かず、一方通行でも殺せないとされる。「魔神」の一撃のように世界全体を一瞬で粉砕するような攻撃には太刀打ちできないが、裏を返せば一撃で全能のトールを倒せるのは「魔神」のみということになる。しかし、確実に勝てるという性質上、戦闘による経験値はほとんど蓄積せず、使用すればするほど自転や公転の誤差が修正しきれなくなるという重大な欠点がある。また、相手との戦闘に直接かかわりのないものは対象外。これらの欠点を加味してもその力は強大で、オティヌスが「魔神」とならなければ「グレムリン」のトップについていたはずだったほどであり、グレムリン内では「旧全能」と呼ばれている[注 16]
上条が身を置いていた環境、またはそうした環境に身を投じる選択の潔さに憧れ[74]、以前から破壊を拡大させる自分の力を抑え込むことのできる上条に目をつけていたほか、上条のこれまでの戦いの経歴や彼の性格も気に入っており、自身もさらなる経験値を獲得できる最高の敵として高く評価している。また学園都市の情報もいくつか把握しており、オッレルスと削板の「説明できない力」の類似点を上条に語っていたことから、学園都市での2人の交戦も知っている節がある。
学園都市に潜入すると、上記の雷神が女装する逸話を基にした女性限定の変装術式で美琴に変装し、溶断ブレードで上条と一時交戦。フロイライン=クライトゥーネを救うため「グレムリン」を欺き、上条と接触し行動を共にする。彼女が「窓のないビル」から脱走すると、他のメンバーを前線から遠ざけてから美琴を唆して共にオッレルス勢力の前に立ちふさがり、シルビアと交戦。その後、学園都市を出る前に上条と戦闘し、雷神としては敗れたが両腕を骨折した状態ながら全能の神の圧倒的な力を持って彼を降す。バゲージシティの一件で既に「グレムリン」を見限っており、オッレルスと入れ替わって組織を脱退する。
その後、オティヌスを斃そうと世界中からオーデンセへと集結した「グレムリン」メンバー全員を「全能神」の圧倒的な能力で殲滅し、上条の前に立ちふさがる。満身創痍の上条を追い詰めるも、術式の弱点を逆手に取られ列車に轢かれてしまい、何とか致命傷は避けたものの重傷を負って戦闘不能になる。自らも負傷した後は、上条に最後の敵が一緒に逃げてきたオティヌスであることを教え、上条の最後の戦いを見守った。
作者のあとがきでは原動力の面で初期の一方通行との共通点を指摘され、「一線を踏み外さないまま、順当に成長する」事で形成されたキャラクターとの事[75]
フレイヤ
魔術結社「グレムリン」の正規メンバー。ぎりぎり女子大生ほどの年齢の妊婦[76]。北欧神話の豊穣神「フレイヤ」の名を冠する。
胎児を安全に出産するための術式を攻撃用に転化した術式を使い、「コール」で「ブリーシンガメン」という宝石を核に、北欧神話に登場する怪物たちを「仔」として生み出す。さらに、北欧神話が共倒れの伝説であることを利用し、生み出された怪物たちは「ブラック」と「ホワイト」の2つに分類され、「シフト」で対になる存在を捕食させることにより怪物を強化することもできる。
母体に魔術を扱うセンスがないため胎児を利用して魔術を使用していると発言していたが、実は妊娠2年を経た胎児こそが「魔術師・フレイヤ」としての本体だった。自分を身籠ったことで周囲の人間から縁を切られ孤独の中で倒れた母親を救うために、自らの意思で母親の意識を乗っ取る。その影響で母親の意識が薄れ、いずれ死を迎えるという事実を覆すため「魔神」であるオティヌスを頼る。
「グレムリン」の総攻撃の際にはベルシと共に東京を襲撃、ムスペルを最も多く撃破した上条の前に現れ交戦を始めるが、美琴に切り札の「地の底這う悪竜ニーズヘッグ)」を撃破され、インデックスが魔導書の知識によって元々の術式を完成させたことにより胎児から母親に意識が切り替わった。その後は鞠亜やベルシと共に戦場を離れ、病院へと搬送された。
ロキ
魔術結社「グレムリン」の正規メンバー。奇術師か道化師のような印象の燕尾服の老人[77]。全世界を引っ掻き回して北欧神話を最終戦争へと導く悪神「ロキ」の名を冠する。
空一面に偽りの星々を高精度で映し出す術式「ヴィゾヴニルの御膝元」を「船の墓場」上空に展開し、味方にすら現在地を北海だと思い込ませ、誤った情報を受けたイギリスの部隊をダミーに引きつけることに成功する。その際にロビンフッドで首を貫かれて致命傷を負ったかに思われたが生存したようで、オティヌスの逃亡時にはイーエスコウ城までやって来ていたことが示唆されている。
ヨルムンガンド
魔術結社「グレムリン」の正規メンバー。少年[78]。北欧神話に登場する世界をぐるりと囲む大蛇「ヨルムンガンド」の名を冠する。「グレムリン」の直接戦闘担当。
天の神すら殺す毒の息を模した紫の光球を飛ばす術式を使用する。
「グレムリン」総攻撃の際には日本海上空1万mでロシアの爆撃機編隊を襲撃、直後にステイルと戦闘を開始する。
ヘル
魔術結社「グレムリン」の正規メンバー。無数の皮膚移植が施られた肌を持ち、返り血を浴びたかのような色のドレスを纏った少女[79]。北欧神話の死者を束ねる冥界ニヴルヘイムの女王「ヘル」の名を冠する。
死者の残留情報から死因を取り出し、武具による「死因と入れ替える」術式を使う。個人だけでなく物体にも使用することができ、例えば銃殺を焼殺と入れ替えれば弾丸1発で戦艦一つを丸ごと焼くことも可能。
「グレムリン」総攻撃の際には太平洋サイパン沖で補給艦隊及びそのルートの破壊を行うが、シルビアとブリュンヒルドと交戦することとなる。
フェンリル
魔術結社「グレムリン」の正規メンバー。青年[80]。北欧神話の最終戦争で主神オーディンを喰らう獣「フェンリル」の名を冠する。グレムリンの直接戦闘担当。
フェンリルのが川を作ったという伝説をもとに、「川」と同じ記号を盛り込むことで龍脈や地脈のようなエネルギーの流れを強引にねじ曲げ、莫大な力を呑み込む「溝」を作り、魔術的なエネルギーを任意の場所へ強引に受け流す術式を使用する。呑み込む過程で色々なものを巻き込むという性質を利用して、攻撃に転用することも可能。
「グレムリン」総攻撃の際にはNORADの弾道ミサイル基地を抑えるべくアラスカに向かい、オリアナと交戦する。
イドゥン、シフ
魔術結社「グレムリン」の正規メンバー。名前のみ登場[81]。北欧神話の女神「イドゥン」、「シフ」の名を冠する。後衛担当。
サローニャ=A=イリヴィカ
魔術結社「グレムリン」の構成員。ロシア・エカテリブルグ出身の魔術師。15歳。
白い肌に金髪で緑を基調とした衣装に膝上まである革のブーツを履いている。単語に「ちゃん - 」と付けるのが口癖でおどけた言動と裏腹に残忍な性格。
元々ロシア成教に所属していたが、第三次世界大戦後に失踪、学園都市とアメリカ合衆国を中心とする体制に不満を抱き、グレムリンに加わる。
レーシー」というロシアの妖精に関する術式を用いる。「レーシーの森」の植物が生成した酸素を吸った生物の精神レベルを均等に整え、支配する。ただし完全に操作できるのは大脳の未発達な昆虫や爬虫類までで、人間は意志薄弱にする程度が限界である。「森の住人」の悪意や敵意を集中させることで「森」から排除されたものの心を外側から干渉して捻じ曲げ、植物の生育を妨げた者への罰として種子や花粉をぶつけた対象の体を麻痺させることも可能。ロシア以外の土地ではロシア産の植物を使い「飛び地」を作らなければ術式が行使できず、植物や動物を持ち込まない限り数日間のラグが生じるという欠点があるほか、持ち込んだ植物を抜かれるなどで森を破壊されると術式が強制停止されてしまう。
オーレイと組んでアメリカ合衆国を掌握しようと画策し、ハワイで暗躍していたが、狙いを突き止めた上条と黒夜に敗北した。
サンドリヨン
魔術結社「グレムリン」の構成員。フランス出身の魔術師。
ダイバースーツに似たコルセットの上に透明なドレスを着用している。
名前通りに「灰被り」に関する術式を用い、失敗があり得ないよう外的要因をすべて排除するほか、ガラスの靴に基づく22.5cm以外の大きさの足の破壊、ダンスの技術を応用した高速戦闘、カボチャの馬車をモチーフとする衝撃波による攻撃を行う。術式の発動にはドレスを着用することが必要で、また午前12時(あるいは夜明け)を示されると術が解除される弱点がある。
ハワイへ来た上条達を空港で襲撃するも、レイヴィニアに弱点を付かれて敗北する。事件後、マリアンの口からハワイでの作戦の真相を聞いて激昂するも「投擲の槌」に敗れ、制裁として彼女の手でテーブルに改造された。
その後、オッレルスによって元の姿に戻されたことで自分の体を組み立て直せるようになり、自らを分解して荷物として学園都市に侵入して、麦野に自分の体を作らせ、彼女が分量通りに作らなかったためやや小柄な姿で肉体を復活。「グレムリン」に決定的なダメージを与えるべく上条と接触し、フロイライン=クロイトゥーネの「機能」を停止させるため自らの体の材料の余りを提供する。

真のグレムリン(魔神勢力)

僧正(そうじょう)
声 - 津嘉山正種[82]
真のグレムリンのメンバーである日本仏教由来の「魔神」。干からびた木乃伊そのものの外見で、不動明王の装身具を模した紫の僧衣と豪奢な純金の飾りを身にまとい、黄金の剣を杖の代わりにしている。外見は老人だが、「魔神」の中では比較的若い部類に入る。
かつて衆生の救済のため、厳しい修行の末に即身仏となる道を選んだものの、入定後に貴賎なく衆生を救済する事を望まない貴族の派閥争いに巻き込まれた結果、の座を与えられることなく「あさましい欲を捨てられなかった未熟者」として葬り去られかけた。その時すでに仏としての力を得ていた事で周囲のさまざまな情報を取得し、自分が受けた仕打ちから衆生の救済には新たな仏に座を与える必要がなかったと結論付け、哀れな欲を捨てる事ができない「衆生」の望んだ通り、自らを「仏となっても座も役割も与えられず、ただ莫大な力を持ち彷徨うモノ」と定義して「魔神」として再起動を果たし、その場で調整を進めていた貴族や僧達を皆殺しにして、役割を与えられることなく力を振るい続ける「迷い仏」と化す。そのため仏としての名を持たず、僧綱である僧正の名で呼ばれている。
一度手に入れたものには執着を抱かない性格で、上に立った物言いで他人を評価する悪癖がある。善悪も役割もないが故に、誰にも方向性もなだめ方も分からない存在であり、冤罪同然で押しつけられた「あさはかな欲を捨てられず、結果、役割のない仏となった」誰かとして動く事が世界の救済に繋がると信じて満足しているので、説得も通用しない。
自らが人としての死を迎えた時に周囲に存在し、乾燥の過程で遺体から滲み出たモノが絡み合って繋がりを得た「」を自在に操る術式を有し、土で作った巨大な腕を振るい攻撃する。その際に利用した土は補充されることがないため、術式行使後に地盤の崩落を引き起こす。ただし、ガラスやコンクリートのように一度加工されたものを操ることはできない。加えて、「地面」に接している者を探知する能力もある。その真価は一代で仏となったことによる六道交差にあり、内臓が極端に委縮している木乃伊化した肉体をでありながら活動し、首を折られようが真空や1,000度を超える高熱にさらされようが問題なく活動することが可能で、時速60km/h近い速度で走る。上条は、誰も見た事のない六道の価値やランクをレールの切り替えのように操り、破壊される側、向かってくる側を「弱体化」させるという、左方のテッラの「光の処刑」に近い術式ではないかと推測したが、実際のところは不明。
隠世に潜み、実存世界の様子を観察していたが、オティヌスが崩壊した直後に干渉を行った結果アレイスターの侵入を許してしまい、「位相」を暴かれたため、実存世界に現れた。実存世界に現れる際に世界の崩壊を防ぐため、自身の存在を無限に小分けすることで世界が許容できるレベルに落としていたが、そのために使用したゾンビの術式がアレイスターによって細工されていたため、新たなパラメーターを打ち込まれてしまう。
防犯オリエンテーションが行われているとある高校に現れ、上条を呼び出して六道ではない7つ目の道を示す採点者になるよう依頼し、代わりに運命論を支配する権利を与えると提案する。それを断られると学園都市に多大な被害を与えながら、逃走する上条の追跡を開始、「警備員」や右方のフィアンマの妨害もものともせず追い詰め、上条が正面から戦わずに科学的な搦め手を使い、周囲の被害を止めながら逃げるというらしくない戦法を取るのは一緒にいる美琴のせいだと批判して、協力者を馬鹿にされた上条を怒らせる。そして、第23学区でマスドライバーで宇宙空間まで打ち上げられるも、宇宙でアローヘッド彗星と一体化、軌道を操ってマッハ20以上の高速で地球に帰還しようとしたが、アレイスターの命令で出撃した脳幹の対魔術式駆動鎧に貫かれ、アレイスターに詫びを告げながら死亡した。
ネフテュス
声 - ゆかな[83]
真のグレムリンのメンバーであるエジプト神話由来の「魔神」。体中に包帯を巻いた左右の瞳の色が異なる褐色の肌の美女。体に巻かれた包帯は、神の肉体を内外の劣化や腐敗から守るためのもの。四大文明の一角をなすため、「魔神」の中でも長老格。
その正体とは副葬として生き埋めにされた奴隷や召使い達の集合体で、葬儀の場に参列した泣き女を軸に創作された、豊穣神ヌトの子、冥神オシリスの妹にして死神セトの妻である女性神格「ネフテュス」を名乗る。神格が形成された経緯から非常に涙もろく、些細な事でももらい泣きしてしまう。権力者の身勝手で命を落とした過去から人間の死を踏みにじる行為や生贄の強要などを嫌う性格で、生け贄を強要するテスカトリポカとはソリが合わない。
半身であるセトがオシリスを殺した罪を滂沱の涙で浄化する事から、死と葬儀、神殺しの穢れを祓う属性を持つ。神の葬儀で大泣きしたという伝承により、自分が涙を流すところを見せて、他人の感情を揺さぶり、同じ涙を誘発させる「強制精神共振」の魔術を得意としており、「泣く」ことで他の「魔神」の感情や集中にも横槍を入れることができる。例えば、対象の魔術を増幅させ外部から暴発させる「伝播の涙」は、力が強ければ強いほど高威力の「攻撃」となる。ただ、精神変調の術式は降水などで他の水と判別できなくなると効果を失う。周囲に存在するありとあらゆる水分を一滴も残さず搾り取り、かき集めた水で巨大な刃を形成することもでき、電波の遮断などの応用も可能。この力には、四界の表層世界には存在しない神の絶命以上の穢れを持ってこなければ真正面から対抗できない。また、前述のように集合としての存在であり、自分の力を分割することに特化しているため、パラメーターにより力を奪われた状態でも新たな位相を1回生み出すだけの余力を有していた。肉体は風化し、時の流れと共に消えていったミイラが粉末状になったものの集積体であり、個の循環など求めず、多重に連結する生命力の輪は、並列回路のようにどこかが断裂しても繋がりを切り替えることで大きな循環を維持するので、肉体を大きく損傷してもほとんど影響はない。
自分自身に個人という概念がないので外の世界やそこに住む人々に興味はなく、王の供をするように無言の強要をしてきた者達の末裔と仲良くするつもりもないが、隠世に潜んで実存世界の様子を観察しながら、「神話の中で予定調和とみなされた、必要な犠牲として扱われた死の伝承に異を唱える女神」として、目の前の誰かが挫折するのを見ては誰も彼も見境なく優柔不断に肩入れし、勝手気ままに現れて、勝手気ままに感情移入して、勝手気ままに大泣きして現世に干渉していた。人間や科学サイドに対しては割と好意的であり、簡単に手が届く天に輝く星に辿り着くために情熱を注ぐ姿を素直に羨んでいる。だが、アレイスターにより「位相」を暴かれたため、実存世界に現れ、その際に世界の崩壊を防ぐために、自身の存在を無限に小分けすることで世界が許容できるレベルに落としていたが、そのために使用した魔神「ゾンビ」の術式がアレイスターによって細工されていたため、新たなパラメーターを打ち込まれた。
僧正に追われる上条たちの前に現れ、魔神同士の戦争を抑えて本当の犠牲を防ぐために僧正の能力についての情報を与える。僧正の敗北後、心の中ではまだまだ神様らしいことをしてみたいという想いを持っていたため、娘々を葬った上里を倒そうとするが位相の力ごと「理想送り」で肉体をえぐられ敗北。エジプト式の木乃伊の特徴として心臓以外の主要臓器を肉体の外に保管してあったためかろうじて復活、上条に上里の出現を警告した。その時にはすでに肉体の大半を失ったことで非常に衰弱しており、最後に残された神の力で自らの体を作り替え、サンプル=ショゴスが体内から消失したことで体内の脂肪を失い命を落としかけたパトリシアを救い、そのまま消滅した。
一方、上里によって「新天地」へ追放された9割以上の力は「魔神」たちとのケンカに明け暮れていたが、コロンゾンへちょっかいを懸けているうちに元の世界へ誤って帰還してしまう。その後は「人の業」を傍観するため、動機が一番希薄だった浜面に同行してロンドンへと向かう。名前しか知らない少女の笑顔を見るために傍観者から主人公になった浜面に肩入れし、一方通行に襲撃された浜面を助け、一方通行を列車から叩き落とすと同時に、いずれ後腐れなく全力で戦えるよう胸に詰まっていた血を吐かせることで彼の不調を治療する。最終決戦ではクイーンブリタニア号に侵入して再び一方通行と交戦したが、「人造の樹」を操った彼とクリファパズル545の絆を認め勝利を譲った。
娘々(ニャンニャン)
声 - 朝日奈丸佳[84]
真のグレムリンのメンバーである道教由来の「魔神」。敢えて自ら命を絶ち「魔神」となった尸解仙で、れっきとした仙人でありながら、時に血を吸う鬼のように恐れられた存在。名前のとおり少女の姿をしているが、青白いと呼ぶのも生ぬるいほど病的に肌色が悪い。丈の短いチャイナドレスを着用し、額には札を貼っている。ノーパン。戦闘狂で、とにかくアクシデントを起こしたがって場を掻き乱す。四大文明の一角をなすため「魔神」の中でも長老格。
指先を変化させ、仙人の武器とされる様々な「宝貝(パオペイ)」を作り出す能力を持つ。宗教書や歴史書ではなく古代中国の「小説」に出てくる仙人の武具は世界の位相の仕組みと同質の物で、混ぜてしまうとお互いに相殺してしまう相容れることのできない奇跡を、壁で区切り、別々の枠に収めて、純粋さを保つ事で、尸解仙の持つ莫大な力をジャンルごとに小分けして管理するための代物である。また、武具同士がぶつかる際には「再現された火花」が飛び散り、見えない死角から標的を狙う。
隠世に潜み、実存世界の様子を観察していたが、アレイスターにより、「位相」を暴かれたため、実存世界に現れた。実存世界に現れる際に世界の崩壊を防ぐために、自身の存在を無限に小分けすることで世界が許容できるレベルに落としていたが、そのために使用した魔神「ゾンビ」の術式がアレイスターによって細工されていたため、新たなパラメーターを打ち込まれた。
ネフテュスと共に上条に僧正の情報を与えたが、脳幹が僧正を殺害したのを知り激情のままに学園都市を壊滅させようとする。しかし、上里の手にかかり新天地への期待に打ち震えながら消滅した。「新天地」では「魔神」たちとのケンカに明け暮れていたが、ネフテュスと同じくコロンゾンへちょっかいを懸けているうちに元の世界へ誤って帰還してしまう。その後は「人の業」を傍観するため、動機が一番希薄だった浜面に同行してロンドンへと向かう。「黄金」消滅後は浜面と共に移動するコロンゾンを襲撃したものの、五体満足のまま取り逃がす。クイーンブリタニア号ではアレイスターに攻撃を仕掛けたが、負傷を度外視して真正面から戦えたことに満足して敗北を認め勝利を譲った。
ゾンビ
真のグレムリンのメンバーであるブードゥー教由来の「魔神」。全身縫い目だらけの少女。
魔神が持つ無限の力を無限に等分することで、世界にとってギリギリ許容可能なレベルにまで自己をとどめる術式「鏡合わせの分割」を考案した。
サンジェルマンの撃破に前後して脳幹に討たれ、自らがほかの「魔神」たちに施していた術式を上書きされる。
ヌァダ
真のグレムリンのメンバーであるケルト神話由来の「魔神」。全身に戦化粧の入れ墨を入れ、左手に銀の義手をつけた青年。片腕を失いながらも医術の神の力の借り神々の王の座に返り咲いた戦の神ヌァダの伝承に倣い、自らの腕を切り落として試練を乗り越えた存在。
銀の義手からヌァダの肉体に寄生していた何億何兆もの白い蟲「ダルヴ=ダオル」を使役する術式を使う。これらは牙も脚もない数mmのウジのような蟲で、「新天地」ではギャンブルのモチーフがマイブームだったのか、ビルを押し潰すほど巨大な賽子MIRVのように分裂する巨大なコイン、ビル1棟丸ごと切断しかねない巨大ギロチンのようなカード、台風のような巨大ルーレット盤などを作り出した。
上里に襲われ「銀の腕」だけを残して消滅したため、新天地では隻腕となっている。
キメラ
真のグレムリンメンバーであるギリシア神話由来の「魔神」。ライオンの鬣のようなファーをつけた金髪で背の高い優男。人間の限界を超えた美しさに辿り着くために他の生き物の因子や構造を取り込んでいることから「ナルシストの変態」扱いされているが、人間では彼の存在が「美し過ぎて耐えられない」ため、視認するだけでなく声を聞き匂いをかぐだけでも発狂しかねない。ネフテュスによれば、「四面四角の教会芸術から解き放たれたルネサンスの反動」らしい。
テスカトリポカ
真のグレムリンメンバーであるアステカ神話のテスカトリポカに由来する「魔神」。片足に義足の代わりに黒く磨き上げられた丸い鏡を受けた浅黒い男。娘々によれば「ケツァルコアトルと間違えられたスペイン人に対抗する意味で生み出された」存在であるとのこと。
太陽神として無数の閃光の槍を発射する術式を使い、国家が丸ごと呑み込まれてもおかしくない規模の大爆発を起こす。また、本体が地球に叩き落とされれば爆発で地球全体が巨大な白熱電球のように発光し、氷河期を一瞬で終わらせるほどの高熱を発生させることもできる。
プロセルピナ
真のグレムリンメンバーであるローマ神話のプロセルピナに由来する「魔神」。西洋風の黒いドレス型の喪服に同色のベールで顔を隠す妙齢の美女。上里の手に掛かり消滅。
母親が使った世界全土をマイナス60℃の雪と氷で覆い尽くす神罰を元にした、惑星規模の人工氷河期発生魔術を使用する。唯一の体から出た者は体内に取り込んだものを強引に死へ落とすザクロの粒を模した術式を使っていたが、これはサンプル=ショゴスでできた張りぼてがシャンボールで作った偽の術式であったため、本人もこの術を使えるかは不明。
「忘れられた神」
ラヴクラフトの参考資料にされたせいで「原典」を忘れられてしまった「魔神」。棒人間のように非常に単純化された姿をしている。「魔神」でなければ認識すらできない「何か」を操る。

黄金夜明

サミュエル=リデル=マグレガー=メイザース
黄金」創設者の一人。実在のモデルは、マグレガー・メイザース。変人独特の奇妙なカリスマ性を持つ中年。魔女のとんがり帽子や外套、マフラー、派手なスコットランド式の軍服、スコットランド貴族の誇りであるチェック柄の飾り布からなるカラフルな服装が印象的。スコットランドへの執着から、ハイランダーの末裔やスコットランド貴族グランストラエ伯爵を自称しており、スチュアート王朝の再興を切望していた。
文才と翻訳に優れ、「ヴェールを脱いだカバラ」、「術士アブラメリンの神聖なる魔術の書」、「ソロモンの大きな鍵」といった古き「原典」を誰でも読める分かりやすい形に変換したという功績を持ち、欧州全土にカバラを広め、魔術の洋の東西を切り分けた。「黄金」へ学者から芸術系まで多くの者が叡智を持ち寄るよう、画家の卵だったミナと結婚する。
一度凝り始めると止まらなくなる子供っぽさを持つ反面、人としての情の部分を切り離すことができ、見込みのある魔術師は崖の下に突き落とし、這い上がってきた者だけを認めていたため、結社の中で最も恐れられ、時に暴君や独裁者などと呼ばれた。また、無職かつ浪費癖から妻にも赤貧生活を強いていた負い目から、労せず大金を持つアレイスターを羨んだだけでなく、妻の才能と家柄、アニーの裕福さ、ウェストコットの人望などと自分を比較しており、自信のなさも抱えていた。
師匠から弟子への不毛な知識の伝達の停滞、本当に使える先達を知るための作法のような不要な学習を厭い、自分にとって有利なルールをばら撒き、インフラの要に自分を据え置くために近代西洋魔術の編纂者の位置を牛耳ることが目的で、アレイスターを自身の派閥に取り込み、「『黄金』の工作キットの開発ツールへの上書き」という彼の研究成果を奪うことで結社を掌握し、歴史に名を残そうという野望を持っていた。しかし1900年の「ブライスロードの戦い」でアレイスターの反逆にあい、結社での立場が脅かされるという妄執に取り憑かれ、彼が使用した偽造文書によりウェストコット派と内部抗争せざるをえない状況に追い込まれる。その抗争の末にアレイスターとも刃を交えることとなり、相打ちに近い形で深手を負うが、アレイスターを破滅させるために悪魔コロンゾンを召喚しており、これが100年以上の時を経て彼に一矢報いることとなる。そして、アレイスターから受けた呪いにより成功の目を見ることなくその生涯を終え、ウェストミンスター寺院に遺体が安置されていることになっている。
タロットカードの「原典」を核にローラ=コロンゾンの力で生前の状態で再現され、ウェストミンスター寺院の墓地に到達したアレイスターを他の「黄金」メンバーと共に襲撃する。独自解釈で大アルカナの番号を入れ替えることでコロンゾンの制御から離れており、コロンゾンを出し抜いて「黄金」全員を解放し、自由に世界を歩くことが目的で、最終的にはコロンゾンの殺害を目論んでいた。クロウリーズ・ハザードにより本当の墓所があるエディンバラ城に英国王家が避難を開始し、「王室派」という魔術記号で城の周囲に張った結界が押しつぶされるのを懸念して襲撃対象を変更、スコットランド貴族という「設定」のためにイギリス王室への決定打を欠き、追いついた上条の妨害によりアレイスターに追いつかれ、100年前のメイザースとは異なる自らの意思で遺体の保護ではなく彼女との決着を望むが、最後の一騎打ちで「原典」に由来する半不死を阻害され、人の形を保てなくなり「黄金」の仲間共々死亡する。
4つの元素という基本中の基本を完全に御することで世界の全てを表現できる実力者で、コロンゾンも単純なスペックではアレイスターより上としている。浮遊する火の杖、水の杯、風の剣、土の盤などの象徴武器の扱いに長け、大悪魔コロンゾンや四大天使に代表される高次生命の召喚もこなす。さらに、どす黒く変色した乾いた豆から発生する黒い糸で、力ある魔王と標的の名前を接続し、犠牲者の心臓から汚染して全身の血管へ汚濁と病原を行き渡らせて徐々に呪い殺す「蠅の王(ベルゼビュート)」という術式を身内の粛清用に開発している。この術式は結社の魔術師たちの恐怖の象徴であり、ブライスロードの戦いの渦中で責任の追及により組織が空中分解する原因となった伝説の一撃である。また、再現されたメイザースは生前に「幻想殺し」に敗れた経験から、壊されることを前提にした対「幻想殺し」の応用技を編み出している。加えて、フランス軍の軍用書の翻訳を手掛けたこともあるため、集団を指揮して他を圧倒する軍事の腕も持ち合わせており、「黄金」の軍勢を率いた状態ならクロウリーズ・ハザードですら一蹴できる。
ウィリアム=ウィン=ウェストコット
「黄金」創設者の一人。実在のモデルは、ウィリアム・ウィン・ウェストコットスコットランドヤード検屍官として働く、分厚いコートを纏う医者といった風情の老人。
文書の偽造を最も得意としており、これを使ってアンナ=シュプレンゲルからの「シュプレンゲル書簡」を捏造し、薔薇十字の正当な系譜であるという「設定」を主張することで結社に箔付けしていたほか、結社にとって初となる聖堂としてロンドンにナンバー03を冠する「イシス=ウラニア」を設営した。実際にはドイツ人令嬢風の筆跡を学んで1人文通を繰り返していたに過ぎないが、これにはアンナの存在を確信した上で「黄金」メンバーの目から隠すために、わざと嘘をついていたという裏の理由もあった。
アレイスターに対しては彼の「黄金」加入当初からその危険性を感じ取っていた。その後、ブライスロードの戦いの末に、霊装「幻想殺し」により自身の不死性を破壊されアレイスターによって討たれた。
メイザースと対立する立場だったため、再現体は禁域へ近づこうとする者を見つけ、恐怖を与えて警告を飛ばす「子供部屋のボーギー」の役割を振られる。天草式を排除し、ダイアンを拾った浜面たちを追跡するが、当のダイアンの交渉で手を引き「王室派」襲撃時はインペレーターを務めた。
魔術の腕では他の創設者に劣っていたとされるが、偽造技術を羊皮紙による悪魔との対話や魂の運搬に当てはめることによって得た半不死性により、巨大派閥の一翼を作り上げた。また、意志の力を届ける書簡からの派生で、練って柔らかくしたを高速で弾き出す術式を使う。
アレイスター=クロウリー
ミナ=メイザース
声 - 斎藤千和[85]
実在のモデルは、ミナ・メイザース英語版。マグレガーの妻。実家は哲学者を輩出するエリート一族だった。
「黒猫の魔女」とも、異端の絵描きとも、創設者の理解者とも呼ばれた女性。アニーやマグレガーからは何にでも美点を見つけようとする悪癖が唯一の欠点と言われており、アニーの忠告を振り切って結婚を決めた。
芸術を武器とする魔術師で、「黄金」では形のないインスピレーションに具体性を加え、カードや武器として送り出すという役割を担っていた。また、ダイアンと対立した際には、家の周りに黒猫だらけにする、知らない間に背中に肉食獣の「爪痕」を刻む、虎サイズの黒猫の幻を見せる、といった苛烈な魔術攻撃を行ったとされる。
アレイスターの主観では比較的穏当で常識的な物言いをする人物であり、それゆえに「窓のないビル」内の彼のトラウマの世界ではホスト役として問答型思考補助式人工知能がその姿を借りている。
アラン=ベネット
実在のモデルは、アラン・ベネット英語版。アレイスター=クロウリーが利害なく接していた、友とも師ともいえる数少ない人物の一人。仮面舞踏会の君の配下の1人。
アレイスターも得意とした、「霊的蹴たぐり」という類感魔術の応用でパントマイムに本物の価値を付随させ見る者に問答無用でイメージを叩き込む魔術を扱い、限られた情報から何もない隙間を補填する認識学の脳内処理を逆手に取り、自分の体と他者の体を接続し、ジェスチャーに合わせて標的となる人物の頭にこちらが指定した武具とその威力を叩き込む事ができる。また、魔術の威力を相手の思う10倍に増幅する補助術式「衝撃の杖(ブラスティングロッド)」を併用する。これらは威力が相手の想像に依存するという特性上、その相手が魔神であろうと通用する。
19世紀末の時点で重病で、鎮痛剤として使用していた医療用阿片の中毒に陥っていた。アレイスターに魔術による位相の衝突のしわ寄せについての真相を語り、彼の魔術に対する憎悪を汲んで1人の魔術師としてその手にかけられた。その後は仏門の僧侶スワミ=マイトラナンダを名乗り、遠くセイロンヨガを学びながら養生した結果、見違えるような健康体になったとされる。
エドワード=べリッジ
実在のモデルは、エドワード・べリッジ英語版。曲者揃いの「黄金」の中にあって、メイザースが全幅の信頼を置くことのできた数少ない忠臣の筆頭。魔術医療のスペシャリストで、衛生兵の真似事なのか、モスグリーンの軍服の各所に包帯や消毒液などの小袋を提げている。
猟犬たちに指示してアレイスターを追うが、ピカデリーサーカスでの交戦では取り逃がしてしまう。その後、イシス=ウラニア別館の戦いでアレイスターが起動させた衛星光学兵器、及び一方通行の「反射」によりエネルギーに満たされた空間の中でメイザースを庇ったため、人の形を保てなくなり元のタロットカードへ戻った。
閃光タブレットを使って、穢れを「逸らす」ことで癒しに転じる魔術医療術式を用いる。
アニー=エリザベス=フレデリカ=ホーニマン
実在のモデルは、アニー・ホーニマン英語版。ロングのドレスに実用重視の片眼鏡という古風な家庭教師のような出で立ちの女性。オカルトに興味があり、裕福な生活をしていたことから、初期「黄金」の資金源となっていた。ミナ=メイザースの親友だが、生活支援のために友人に送った金銭を魔術のために浪費し、上から目線で金の工面を求めるメイザースのことは軽蔑している。
メイザースを嫌っていたため、ウェストコットと共に「子供部屋のボーギー」役で隔離領域から人を遠ざける仕事をさせられる。「王室派」襲撃時はガードナーの離脱後にストリステスを務めた。
助演として個人の成果は求めず、白と黒の長い棍をヤッキンボアズに見立ててソロモンの大神殿を儀式場として提供し、第三者が用いる術式の整合・最適化する術式を用いる。
ジョン=ウィリアム=ブロディ=イネス
実在のモデルは、ジョン・ウィリアム・ブロディ・イネス英語版。黒衣の裁判官じみた服装の男性。仮面舞踏会の君の右腕。
ネイキッドショッピングセンターでアレイスターと戦うが取り逃がし、スコットランドへ向かう「王室派」襲撃時に車列から落下し、女性騎士が操る軍馬アレックスに踏み潰され戦線離脱。
魔術に関わるあらゆる文字、紋様、魔法陣の交差部分、すなわち十字に作用する火花を放ち、種々様々な十字を陣形のジョイント接合部として、力の収束、偏向、拡散を起こす十字聖別の術式を用いて、交差点を軸に陣の中を走る魔力の流れを変える。時間を与えれば与えるほど大規模な陣を組むことができる。
ロバート=ウィリアム=フェルキン
実在のモデルは、ロバート・ウィリアム・フェルキン英語版。どす黒い外套と純白の礼服でコントラストを作る旅人。魔術の世界における超人的存在シークレットチーフを追い求めて欧州全土を旅して回り、アンナ=シュプレンゲルを名乗る女性を養女とする「教授」に接触したという。
ネイキッドショッピングセンターでアレイスターと戦った後、スコットランドへ向かう「王室派」襲撃時はプレモンストレーターを務めたが車列から落下し、女性騎士が操る軍馬アレックスに踏み潰され戦線離脱。
周囲に飛び交う精神没入霊装で他人の幽体を泥沼へ引きずるこむような術式を使う。無防備な肉体への総攻撃を行う。
ダイアン=フォーチュン
実在のモデルは、ダイアン・フォーチュン。ミナ=メイザースから「手厚い」保護を受けて1919年に「黄金」に入団し、再興できない結社の復古を無理矢理目指した非業の魔術師の1人。150cmに届かない小柄な体軀と赤いショートの髪の、ふわふわしたドレスを着た中学生ぐらいの見た目の少女。
魔道書の執筆、オカルト雑誌への寄稿、文通に通信教育、講演会といったマルチな活動を行なっていた。ヨガを例に出してカバラを説明しようとした事でも知られる。結社の縄張り争いが原因でミナを本気で怒らせた唯一の魔術師で、苛烈な魔術攻撃を受けたことがあるため、彼女(アネリ含む)を「お姉さま」と呼びながらも苦手意識を抱いている。創設期のウェストコットやメイザース、結社を粉々にしたクロウリーに比べれば知名度は劣り、いくつか記した魔道書も、「写本」として複製される機会が少なかった事もあって、入手難度も格段に高い。
ピカデリーサーカスに逃げ込んだアレイスターたちを狙い襲撃するが、彼女が即興で製作した極超音速衝撃波圧縮打撃砲からマッハ9.8で放たれる見えない音の壁に撃墜され、さらに仮面舞踏会の君が召喚した惑星霊の一撃に巻き込まれる。重傷を負って倒れていたところを浜面に救助され、滝壺を守るためウェストコットやアニーに立ち向かった彼に恩を返すため、結社の仲間を交渉で退かせる。
他の「黄金」同様、アレイスターの攻撃の余波で消滅するが、浜面がコロンゾンと交渉し命懸けで儀式を行ったことでタロットカードから復活し、暴走する滝壺の魔導書を自らの霊装で破壊、さらにコロンゾンが宇宙の半分を破壊するために不完全なまま発動した「モ・アサイアの儀」を阻止した。ウィンザー城での戦闘では上条に協力することになり、当初は浜面と陽動を行い、途中で上条から呼ばれて「聖人」である神裂を撃破する。事件後は浜面達を無事に出国させる条件として自ら「清教派」の最大主教に志願し、権力の簒奪を狙う輩が付け入る隙を封殺し、コロンゾンの技術体系を引き継ぐ人工物としての適度な罪悪感があるという点から、ヴィリアンの監視付きで女王に申し出を認められる。
人類という種の寿命にも限界があるとして、自分の仕事は「ちょっと人の滅びを先延ばしにして、かつ、できるだけ後味を良くする事」と考えているが、浜面との友人関係を大切にしており、彼が死亡した時点で「後味の良い時代の継続を諦める」と宣言している。 12月26日にはホワイトハウスから「オペレーション・オーバーロードリベンジ」の進捗について問いただされると、裁判中の一方通行へクリファパズル545を介して連絡を取り、友人で恩人の浜面仕上の生存が保たれる限りはイギリス清教の力を全て統括理事長に貸すと約束、「妹達」の存在を世間に完全に認めさせるために進行中の「オーバーロードリベンジ」に参加させるよう提案する。
黒い箱型の「自己情報無限循環霊装アーキタイププロセッサー)」に術式を突っ込み、「伝言ゲームの変遷・混淆」によって本人でも「何が出るかわからない」魔術を操ることで、敵方の作戦や戦術を崩して運任せのランダム対決に持ち込む。無駄の多い古き因習を打倒してスマートで新たな術式を組み上げると主張しているが、編纂した魔道書は「黄金」の守備範囲を超えているともされる。勝ち続けてきたという事実のみを担保にぶっつけ本番で魔術現象を現場に持ち込み、敵味方を問わず大きな混乱に陥れるが、純粋な強運を1番の武器にして「予測不能の状況(インビジブルモンスター)」を常に味方につけて戦える。ただ、他の「黄金」とは違って「魔神」相手にも確率勝負で戦わざるを得ないため、特に本式エジプト神格のネフテュスとは決定的に相性が悪い。また、コロンゾンとの最終決戦では、彼女の防衛装置として「黄金」の魔術師達を形成していたタロットカードの魔道書を用い、気象衛星からでも確認できるほどの大きなカードの渦を起こして「モ・アサイアの儀」を拒絶する巨大な壁とする、皆を編む、誰もが想う身近な誰かを守れる術式「the Hermetic Order of the Golden Dawn」を操った。
アーサー=エドワード=ウェイト
実在のモデルは、アーサー・エドワード・ウェイト。ベルトに突っ込んだ計算尺や首に回したメジャーのせいで仕立て屋のようにも見える。
ダイアンやブロディとネイキッドショッピングセンターを襲撃し、「塔」のタロットでアレイスターの首を落とそうとするも、ロールシャッハ・テストを応用した幻影に騙され全身を燃やされる。その後「王室派」襲撃時ではカンセラリウスを務めた。
仮面舞踏会の君
実在のモデルはスフィアを創立した、フローレンス・ファー英語版。研究途上につき門外不出だったはずの象徴武器で着飾り、「表」の夜会を堂々と練り歩いた伝説を持つ、組織での影響力の高さ、広告塔としての意味合いで、スキャンダラスな面において欠かすことのできない有名人の1人。ボディラインをくっきりと魅せる大仰な赤のパーティードレスと、目も口もない仮面で美貌を覆い隠す。「黄金」の中で、さらに選ばれた者しか招待されない「二重結社スフィア」を築いた、支流の女帝。華美にして大仰、飽きっぽくて1つのことを続けられない悪癖がある。
ハイドパークサーペンタイン湖の島に陣取り、配下からの連絡を受けて惑星霊の召喚でネイキッドショッピングセンターを破壊するも、肝心のアレイスターたちを取り逃がしてしまう。
古典をなぞり、「黄金」とは違った方式で水星の霊を呼び出し、目に見えるレベルまで凝縮した功績を持ち、地球に溜まったエネルギーから水星の記号を抜いて不安定化させ、避雷針を作って架空の一点へ「力」を放出させる「惑星霊タフサーサーラス」の術式を使う。威力は絶大だが、術者の性格的な問題で大雑把な爆撃にとどまっているためむらがあり、「何もしない」(=避雷針に近づかない)ことで回避できる。
フレデリック=リー=ガードナー
実在のモデルは、フレデリック・リー・ガードナー英語版。古い時代のテニスウェアを纏い、片手にオイルランプを下げた男。仮面舞踏会の君の配下の1人。
ネイキッドショッピングセンターでの戦いでは仮面舞踏会の君の側に控えて連絡役を担う。「王室派」襲撃時はストリステスを務め、女性騎士と交戦し、魔術を打ち消したものの、魔術を使わず放たれた小型ボウガンで生じた隙に、軍馬アレックスに蹴り飛ばされて戦線離脱する。
洋風ランプにまとわりつく幻想の炎で巨大な記号を作り、「黄金」系の魔術を無効化することができる。
イスラエル=リガルディ
実在のモデルは、イスラエル・リガルディー。近代西洋魔術の暴露作戦を行った事で知られる[86]。「王室派」襲撃に参加した。

薔薇十字

アンナ=シュプレンゲル
超人的存在シークレットチーフと自在にコンタクトを取れる、特別なアクセス権を持つ魔術師。モデルはアンナ・シュプレンゲル。赤みの強い金髪をロールにした上で平たく潰して先を束ねた変則エビフライのような髪型をした、10歳程度の少女の姿をしている。
古き魔術結社「薔薇十字」に所属するドイツ第1聖堂リヒトリーベレーベンの支配者で、ニュルンベルグに在住し、大陸側ドイツ式「黄金」の指導者としてウェストコットが頂戴した「シュプレンゲル書簡」で「黄金」創設許可を出したなどの逸話を持つが、「そのもの」をじかに目撃した人物は極めて少なく、証言の大半はあてにならない「名前だけの存在」。しかしながら、ある意味ではメイザースやアレイスターよりも「黄金」にただならぬ影響を与え続けてきたとも言え、つまりは魔術サイド全体と言い換えても過言ではないほどの存在。メイザースやウェストコットの女師匠アンナ=キングスフォードを正体とする説もある。一方、「所属する者はRC以外に自らを示すサインは残さない」という規律を無視していることから、掟を破る側の魔術師でもある。
伝承ではシークレットチーフである超越存在エイワスの巫女に相当する存在とされているが、実際には立場が逆で、エイワスを「愚鈍」呼ばわりして自在に使役している。オティヌスによれば、「魔神」からも脱線した別格の存在で、「魔神」を超えるほどの伝説的魔術師である。出力自体が学園都市第3位の美琴を遥かに上回っており、精神構造を掌握して支配するには最低でも天使を丸ごと奪う程度の力は必要らしく、学園都市の精神系最強である「心理掌握」でも操る事は不可能。
組織の上に立って世話焼きするのは、「黄金」がブライスロードの戦いで全てが灰に帰してからは懲り懲りだと思っていて、最初から力があったが故に常に満たされない思いを抱いており、頭の上を見上げて、天から舞い降りる奇跡を配給されて、教え導いてもらえたら十分だと思っているが、自分より上にはもう誰も存在せず、力で自分をねじ伏せて、口を開けているだけで見たこともない配給を与えてくれる真なるご主人様の存在を求めている。だが、誰かに支えてほしいと口にしているが、その気になれば自分一人で体重を支えられるから裏切りが怖くないのでいきなり手を離されても怖くないという本音が隠れており、結局は誰よりも成功や勝利にしがみついていて、それがなければ自分を保てない。上条は自分の特技の秘訣は教えないが自分だけの異能は見せびらかしたいというのは誰にとっても当たり前の感性で、自分の分は確保を終えているので自分の人生に手を抜いても満足できないと断言されている。また、正しいことを一から教えているのに、面倒くさがって勝手にショートカットして道を極めた気分だけをインスタントに味わい、失敗すると説明不足だと言って糾弾する相手をひどく嫌っており、説明を途中で遮られると普段の余裕が消えて非常に暴力的になる。「子供っぽさ」はアレイスターやメイザースをも上回るほどで、遊びのゲームにも一人だけ金切り声を上げてのめり込み、威風堂々としたミステリアスな歴史的人物のくせに全体からすれば取るに足らない細かいところを妙にこだわり、1つでも自分の思い通りにならないと異常なまでの癇癪を起こして、その解消のためなら魔術師以外の「素人」相手でも大人気ゼロの極大術式を平気な顔して振りかざし、躊躇もなく叩き潰そうとする[87]
マダム・ホロスに肉体を奪われており、100年以上前、アレイスターより先にエイワスを召喚して彼女を殺すように指示をしていた。なお、エイワスを派遣していたのは、アレイスターが独自に提唱していた突然変異に近いMagick系統と「薔薇十字」の隙間を埋めるためでもあった。
コロンゾンとの決着後、マダム・ホロスが死亡したことで復活を遂げ、オリジナルの「黄金」の唯一の生き残りであるアレイスターの最期にも特に感慨を示すこともなく立ち去った。インターネット上で魔術IT「R&Cオカルティクス」を立ち上げ、実体のないペーパー会社であるR&Cオカルティクスを構築するために、「薔薇十字」の遺産で生み出した古いルビーと純金細工をばら撒いて世界各地で協力を募った後、学園都市に侵入。12月24日にはR&Cオカルティクスを学園都市に広めた根丘を倒した上条に接触して宣戦布告、人が事前知識ゼロで異能に触れた場合に何をどこまで理解できるかを知るため、アレイスターが手を加える前の状態まで戻した上で、極限まで疲弊した上条当麻のどの側面が異能の力と結びつくかを観察する実験を行い、自ら手を加えた激症型サンジェルマンを上条に感染させる。同時にクリスマスという日時そのものを逆手に取った「自分が不幸ではないと確認するためのおまじない」を学園都市に蔓延させ、R&Cオカルティクスを利用した能力者たちに魔力を精製させ続けて大きな被害を与える。上条の命を救うために自分に挑んできた美琴と食蜂を容易く一蹴し、上条が入院している第7学区の病院までたどり着くが、上条がサンジェルマンと手を組んで2人で立ち向かってくるという想定外に見舞われ、最終的に薔薇の術式を解析されて敗北。その後は収監中の一方通行の隣室に投獄されるが、事前に仕込んであった「ニコラウスの金貨」でオペレーションネーム・ハンドカフスを破綻させ、「魔術の自由は科学の秩序に勝る」と断言し、自らも「ニコラウスの金貨」を用いて脱獄すると姿をくらました。脱獄後、頭脳と善性の奇跡的なバランスを持っていたメルザベスに従ってみようかと考えて行っていた悪趣味な計画の崩壊と、R&Cオカルティクス本社ビルの惨劇を世界の片隅からアラディアと共に眺め、ロベルトが巨大企業を倒すために掲げた正義が管理不能な恐怖政治を招くと予測していた。彼女達の本拠地へと迎え入れられるが、実はそれ以前からアリスに接触して上条の話を吹き込んでいた。そして船から脱走して思惑通りに上条に執心するようになったアリスを本拠地へと連れ帰り、計画が狂って怒りを見せる超絶者達を嘲笑う。12月31日には渋谷の喧騒の中に潜伏し、組織全体の利益を守るための口封じという名目で上条に倒されたアラディアを暗殺し、上条が「橋架結社」を許せない状況を作ろうとするが、アレイスターが復活させた天敵アンナ=キングスフォードに阻止され、何もできないまま呪符に封印されてしまい、学園都市に連れて来られるが1月3日に再会した上条に封印を解いてもらう。
5本の指を五大属性に対応させ、指の折り曲げでオンオフを切り替え、掌の中で文字を自由に合成し、手に宿した天使を制御するという、ヘブライ語を使った薔薇の術式を操る。これにより、上条への当てつけでエイワスを右手に宿し、掌に触れるだけで次元や空間ごと削り取る「構造殺し(ストラクチャブレイカー)」、電気の流れる機械を爆弾化する「資源殺し(アーティクルブレイカー)」、自分を中心に周囲の物体を集めてスクラップの塊を遠心力で叩き付ける「重力殺し(グラビティブレイカー)」などの魔術を使った。また、絵画や音楽の中に潜んで人に寄り添う術式「プネウマなき外殻」により、銀色の輝きを放つ直径2m以上の巨大な金属球から「世界中どこにでもある」歴史や伝統といった世界最古のエッセンスを抽出し、多種多様な魔術を行使出来る。さらに、人体各部に対応するセフィロトの樹を応用し、当てた箇所の生命力の循環を遮る拳法を使う。
エイワス
サンジェルマン
ダイヤノイドに現れた「魔神」を名乗るもの。魔術サイドや一般社会でも有名であるサンジェルマン伯爵を名乗っている。外見は皆燕尾服を着た紳士のような外見で、藍花に接触した個体は金髪にバニースーツとジャケットという女性奇術師の舞台衣装のような恰好をしていた。
魔術サイドの中でも謎の多い存在。公式に初めて姿が確認されたのは1750年代のパリ社交界で、ミステリアスな魅力に溢れた話術の達人だったとされ、知識人の教養として一通りのオカルトを学んでいて薬品やダイヤの操作で持て囃された。自作の丸薬とカラスムギしか口にしないという伝説があり、不老不死の秘薬の製造に成功した魔術師とウワサされ、1784年ドイツにおいて公式の死亡・埋葬の記録はあるが、その後も20世紀末までたびたび自称サンジェルマンが現れている。オカルトの箔付けとして「薔薇十字」との関連も指摘されるが、開祖や弟子たちの伝説には名前が出ないので、後世になって合流した末裔と推測され、位階としては末席でドイツ第一聖堂への接触は確認されていない[88]
上条には自らを「オティヌスの先に立つもの」と名乗っていたが、オティヌスからはサンジェルマンは名前だけの存在で魔術サイドでは「稀代の詐欺師」とよばれ、主に宝石を操りダイヤのキズを治す伝説から炭素を操るだけの魔術師であるとされた。「魔神」としての振る舞いもアメリカによって中継されたデンマークでのオティヌスの外見と言動を参考にしての演技である。人間の頭にサンジェルマンとしての思想を同期、感染させることで、多数の人間をサンジェルマンに変えることができ、サンジェルマン同士では念話のようなものでネットワークが繋がっている。そのため「魔神」たちからもどんなに世界の位相を挿んでも新たに湧き出てくる存在として厄介視されていた。所々で黒い丸薬型の霊装「サンジェルマンの丸薬」を口にしている場面があり、インデックスとオティヌスの解析で、それが寄生性質を持つ数千数万の微生物を固めて乾燥させたものであり、乾燥機で生命活動を半分停止させた微生物たちが口の中に摂取されることで唾液などの水分で活動を再開させ人体を冒し、架空の人格を仮組みしてサンジェルマンと化すトリガーとなることが判明。よって、一本道の歴史で眺めると時代時代で断片的に目撃される、不老不死の存在のように見えていただけだった[88]。無秩序に拡散する事で自己が希釈や変異を起こすことを恐れたのか、天然のサンジェルマンは代を重ねた事で侵食機能が弱まっており[89]、特定の手順を踏まない限りは二次感染しない[90]が、その一方で絶対に自然消滅することはない[91]
本質は微生物の群体であり、五臓六腑や血管神経を持つ肉体がないので、魔力の源となる生命力は宿主の肉体を使って確保する[90]。また、他人の脳を使わなければ自分の思考を持続できない[92]。肉体を分解する前の人間であったころは人に夢を与えたいだけの魔術師であり、街中で余興をして皆を驚かせ、嘘から始まった技術を誰かが追いかけて、いつの日か夢見た以上の偉業を成し遂げる誰かが現れるきっかけになることを望んでいた。しかし、魔術の道に走るきっかけの記録は自らの手で全て封印され、目的が謎めいている事からダイヤ操作の研究支援を目的とした詐欺やいたずらに政財界をかき乱す誇大妄想の持ち主として語られることが多い。
炭素を自在に操る術式「シャンボール」を得意とする。炭素で作った無数の槍による攻撃のほかに、植物細胞を細分化したうえで統合・最適化して作り出した植物質の猛獣の操作、一酸化炭素の放出、精製した石油アルコールを引火させる、レーザー状のダイヤモンドカッター、炭素粉末による粉塵爆発といった様々な攻撃手段を備える。空気が汚れた環境なら大気を操作してダイヤの粒子を作り出すことも可能。
ダイヤノイドで上条に奇襲をかけた後、「藍花悦」を名乗る者に接触し、彼をキングアーサーの双子の妹であるアンの持つ盾の主と称して彼に傅き、フレンダの死を彼に伝えその原因を「上条当麻がいなかったから」と称して彼に上条への復讐を促す。盾の魔術の才を持つため超能力開発を秘密裏に受けていないという嘘をついて彼に魔術を使わせ副作用で上条との戦いの中で藍花を死なせることで上条の心を折ろうとした。さらに別の場所でグラビトン式の人工重力制御装置を利用し矮星爆弾を生み出し、地球を握りこぶし大の大きさに圧縮することで上条の抹殺を謀っていた。しかし、藍花悦が「加納神華」としての自分を取り戻し、サンジェルマンに反旗を翻したことで上条、浜面、麦野たち「アイテム」やステファニー、インデックス、オティヌスたちとの総力戦となり、インデックスとオティヌスにサンジェルマンのネットワークを破壊され、加納に殴り飛ばされて敗北する。
ダイヤノイドを襲撃した者は全滅したが、総数としてのサンジェルマンは世界中に散らばっており、時空を超えた不死なる存在となっていることから、その後も別のサンジェルマンが登場する。木原唯一は弱毒型サンジェルマンを利用して、上里から奪った「理想殺し」を自分に接続している。
また12月24日には、アンナ=シュプレンゲルが手を加えた軍用型と呼べるレベルの毒性を備えた激症型サンジェルマンが使い捨ての駒として上条に感染させられ、「幻想殺し」の処理速度を上回るスピードで増殖し、上条の体内で魔力を生成して副作用で肉体を蝕んでいた。しかし、宿主の説得を受けて夢を守るためにアンナに立ち向かうことを決意し、上条の肉体を使って炭素操作の魔術を使いながら彼女を撃破する。魔力精製の副作用で宿主が死亡するのを避けるため、最期は自ら「幻想殺し」の宿る右手へと移動し、命というクリスマスプレゼントを上条に渡して消え去った。
ダリス=ヒューレイン / キトリニタス
アメリカ合衆国副大統領にして、「薔薇十字」の精鋭魔術師。名門の家柄に生まれて八大学の一つを首席で卒業し、様々な人脈を駆使して秘書から政治家に上り詰めた。だが、書類の記録に残る学歴では圧倒的に劣るはずのロベルトに大統領選挙で敗れ、挙句に彼にお情けで副大統領に任命されたと感じ、自分の努力を否定されたと憤り、また科学的なテクノロジーを得た移民に生活を支配されることへの恐怖から、外から来た管理組織としてのR&Cオカルティクスに与する。
使用する魔術は薔薇系で奇跡の鉱物を生み出す4工程の3つ目で、合成物を黄のに埋めて適切に「発酵」させる「黄色化(キトリニタス)」を応用したもの。「砂」を被せた相手を腐らせることで「形のない養分」に置き換え、コールドスリープのように土壌の中へ染み込ませて「保存する」ことが可能。さらに上空を飛行する「ロジスティクホーネット」を利用して、液体窒素ナフサを搭載した宅配ドローンを自爆させることで寒暖の差を操り、気象条件を意のままにコントロール、砂嵐竜巻といった複雑で大規模な砂の挙動を可能としている。工業用カッターのように超高圧で飛ばして建物を切断する、人形の口からレーザー砲のように大量の砂を吐き出して周囲を抉り取る、砂の柱でサンドバッグを作って防御する、砂を加工して鋭利なガラスの刃にする、立方体の砂岩で押し潰す、といった応用も可能。ただし、「黄色化」では「殺害」ができず、集団戦には不向きなのが欠点。
12月25日、学園都市とイギリス清教に間違った情報を与えて「オペレーション・オーバーロードリベンジ」を実行させ、R&Cオカルティクス本社ビルの切り札、真の護衛として、ヘルカリアを除く3,000万人の住民ごとロサンゼルスに存在する全生物を「消失」させる。顔に犬の顎のような籠を付けた球体関節人形に身を隠し、メルザベス=グローサリーを模した砂人形を連れ、「飼い主役と飼い犬役」を交換することで、どちらかが本物のメルザベスではないか、黒幕がメルザベスではないかと相手に疑わせようとしていた。真相を突き止めた上条を学園都市のファイブオーバーを操ることで殺害しようとしたが、イギリス政府からの情報でロサンゼルスに集結した全「妹達」に妨害され、ホワイトハウスにいた影武者の砂人形はオンライン討論会での迂闊な発言からロベルトに黒幕だとバレて銃撃戦と論戦の末に敗北、ステイルの「魔女狩りの王」が発生させた高熱でロジスティクホーネットによる気象操作を無効化され、最終手段だったロジスティクホーネットの墜落も、デジタル脊髄がメルザベスの無念に「共感」して自力で落下を止めたために失敗。最後は人形の外装と土人形に隠していた術式の核を上条に破壊され、オティヌスからは「結局4つ目の完結までは届かない魔術師」程度にしかアンナにも期待されていなかったと言われて、完全に戦意を喪失して逮捕された。

橋架結社

アリス=アナザーバイブル
ルイス=キャロルが著した世界的な知名度を誇る童話『不思議の国のアリス』に登場する少女。その童話はカバラを十分に習熟したものが目を通せば全く違った意味に見えてくるとされ、クロウリーはゴーティア金枝篇などと共に魔術への習熟を深める上での必読書として勧めたと言われる。
歳は12歳くらい、動物の耳のように巻いて尖らせた長い金髪に白い肌、宝石のような青い瞳の少女。青系の半袖ワンピースの上から、真っ白なエプロンを重ねた仮装臭い格好をしている。純粋で無邪気だが気まぐれで残忍で凶暴なので、誰にも次の行動を読めない。言っている事が意味不明かつ不条理で何も読み解けないらしく、極彩色の不思議の国に一切疑問を持たず球技大会や裁判に真面目な顔で付き合っていた辺りが本物だという。
変則カバラ式創作ブリッジ連結作業「ライブアドベンチャーズインワンダーランド」という、「冒険」して新たな順路を開拓する事で、辻褄を無理にでも合わせて、あらゆる法則や定義を繋ぎ合わせて意味を与え、全世界へ波及させるという特殊な術式を使う。こじつけや屁理屈に100%確かな力を与える奇跡のような力で、理論と理論に直接の共通項を見つけてロジックで結ぶ必要もなく、破綻が見られるようなら周辺の理論と無理矢理繋ぎ合わせて強度を増し、ありえない仮説や理論を安定化させ、問題なく「走る」理論へと変換する。これによって最適以上の現実を創る事ができ、12色の絵の具で時間を全部支配したり、死人を蘇らせるような理論ですら実現させる。また、安全で優しい絵本という封印を使っており、避けられない攻撃はクリケットで使うフラミンゴのバットやハリネズミのボールをエプロンの下から取り出して弾き返し、敵対者はボロボロの黒い布を纏う透き通った骨の「処刑人」を自らの影から呼び出して斧剣で首を刎ねさせるが、これらは自分の身を守るのが目的ではなく、行動を邪魔された事にイラついて反撃しているに過ぎないため(特に前者は相手を殺さないための配慮である)、「アリスの力」の本質とは程遠い。有象無象の邪魔者が出てきた時、興醒めする材料を迅速に片付け気分を変えるために召喚する、全長7m以上、翼開長20mほどの巨大な怪物「グリフォン」は、全ては退屈な幻想と言い切り、この世界のあらゆる物質を無価値化させる破壊の権化であり、圧倒的な筋力で人間を20m以上もぶっとばし、8.8cm砲flak.18の直撃を受けてもピンピンしている。数字のスペックではなく根本的な部分でアンナ達超常の魔術師でも絶対に勝てないとされ、癇癪を起こして手当たり次第に陶器のポットやお茶菓子を投げつけただけで、数千光年先の惑星で水や生命の痕跡が発見される、というような事態を引き起こす。
現在はアリスの興味に合わせて熱帯雨林のど真ん中にある水没したスタジアムに浮かぶ豪華客船を拠点としている。アンナから上条の冒険の話を聞かされて興味を持ち、12月29日の朝、拠点の豪華客船を抜け出し上条の部屋の彼が眠るユニットバスに潜り込む。上条を「せんせい」と呼び不自然なまでに慕い、彼と小萌の補修授業後に「オペレーションネーム・ハンドカフス」で逮捕された「暗部」達の脱走劇に巻き込まれる。そこで上条のために「ライブアドベンチャーズインワンダーランド」を使い、黒子や妖宴と協力して「倒しやすい強敵」として暴走するフリルサンド#Gを救うというイージーモードのシナリオを見せたが、幸運が連発しすぎて違和感を覚えた上条に現実ではないと看破され、自分が死んでも自力で決着をつけたいという彼の願いに応じて、脱走劇が始まった時点まで時間を戻す。そして事件解決を側で見届けると、迎えに来たアンナに連れられて拠点へと帰還する。1月1日には学園都市に領事館を設立して公式に来日し、上条達を秘密基地に招く。人を殺すなという約束を破ったトリスメギストスも、上条の危難を見過ごした「古き善きマリア」も有罪と判定して殺そうと試み、彼らをも救おうとする上条と激突する。
アンナ=シュプレンゲル
アラディア
実践魔女の魔女術を紹介する有名な魔道書『アラディア、あるいは魔女の福音』の中に登場する「あらゆる魔女の神」である、月と光の魔女。足首まで届く巨大なウィンプルを頭に被り、背徳的である事に意味を持たせた、裸足にへそ出し、鍵の形をした「純金の飾り」をつけ、変則ビキニのような踊り子衣装を装束とする、17か18歳程度の銀髪の少女。
ディアナルシファーの娘にして、富める十字教から真に貧しき民を救うために肉の体に宿って現世に降り立つ、昏き夜に輝く女神と言われ、世界中で行われるサバトは全て彼女を拝み、富める者からの迫害から抗う術を授かるための儀式的学習集会とされている。魔道書以外にはどこの神話にも登場せず、大仰な出自も含めて全部魔女側が取材者の顔色を見ながら即興で組み立てた作り話だったという説が濃厚で、遠い過去に本当に存在したかどうかは検証も証明もできない。「あらゆる魔女の擁護者」である事を期待されているので、十字架の力に常に懐疑的な目を向けているが、口で言うほどには十字架に固執していない。
根がマジメで、だからこそ爆発しやすいが、追い詰められるとエキセントリックな離れ業は捨てて、基本の積み重ねでミスのない堅実な物量を用意して安心したがる所があるので、ボロニイサキュバスからは「公務員としては成功するけど、賭け事としてはじり貧で負けていく性格」と評されている。薬の効きが悪いと術式の実行に支障が出る関係であらゆる薬品に対して過敏な体になっていて、ノンアルコールの甘酒で物理的に酔っ払えるレベルでプラシーボ効果の自己催眠がかかり、酔っ払うとハイテンションで暴れるだけ暴れて即座に電池切れになり後始末を丸投げする一番面倒臭い人種。
善行であれ悪行であれ、魔女が使った魔術は必ず3倍の強さで使用者に戻ってくるという、「魔女の3倍返し」の鉄則を応用した実践魔女の術式「三倍率の装填(リロードスリータイムス)」を扱う。本来なら自滅のリスクも大きく扱いにくい術式だが、善行と悪行は見方次第で変わる事を利用し、常に自分が善玉とみなされる視点と解釈を確立して制御に成功しているので、善行を繰り返せたと判断を下される状況を作るだけで、「装填」の連鎖によって3の累乗されて延々とリスクが上がっていき、魔神でも超絶者でも瞬殺できるほどの力を膨らませられる。魔術を「装填」する「武器本体」に相当する霊装は足元の「」で、金の金具をパレットに保管・粉末化した薬品を自分の裸足から分泌される汗や皮脂と混ぜ合わせ、魔女の「膏薬」を作っている。ゴミを1つ拾った程度の善行でも人1人殺すには十分な身体能力を得る事が可能で、巨大なキスマークの閃光を放つ虫除けの術式、ホーミングするガラス片の弾丸、爆発に似た暴風を生み出す、といった攻撃手段に加えて、1940年5月にドイツという国家そのものを呪おうとサバトを行ったイギリスの魔女達が保温と防御を兼ねて用意した「の脂肪」を利用し、肌の上の雑菌やバクテリアなどで作られる「小さな生態系」のパターンを識別して対象を「検索」、「寒さから保護すべき対象」として人の肌に飛びかかるよう設定した腐ったバターのような黄色い獣の脂肪に追跡させる術式も持つ。本気を出せば宇宙塵を利用した二酸化炭素吸着地球温暖化を解決し、世界を救う力を3倍にした莫大な力で相手をすり潰す事もできるなど、非常に強力ではあるが、余計なハーブを無遠慮に混ぜられると弾詰まりを起こすので一旦「浄化」を行う必要がある、水分と相性が悪く、特に金属粉末ごと薬品を除染する大量の放水に弱い、光源の位置を無視して常に足元の地べたに張り付いている影そのものを粉砕されると力を失う、などの弱点もある。また、自前の奥義を無償で授ける事については一切躊躇しない大盤振る舞いの女神なので、中世のサロンで横行したサバトの要領で一体感を生むために、「影の書」となる白紙のルーズリーフや自分と同じ魔女の衣装、秘密の合言葉を共有させる事で「布教」を行い、負のカリスマ性で集団をカルト化させて魔女の根城をごく短時間で作り上げる事も可能。アラディア本人から知識や奥義を一時的に分け与えられた魔女達は、使いこなせないまでも「三倍率の装填」くらいなら普通に使って魔術攻撃してくる。人域離脱の方程式は、ヘカテイシスモリガンフレイヤといった叡智を司る女性の神は常に3つの側面をもって世界を正しく見据え、傅く巫女達を守護してきたという伝承を利用して力を解放する「三相女神」。
あらゆる救済の仕組みから爪弾きにされ長い歴史の中で虐げられてきた魔女達を救い、差別や偏見から守って安住の地を与えるために「橋架結社」に参加している。アリスとは一番親しく、彼女の特殊な術式で自分の目的を達成すべく誘導しようとしていた。R&Cオカルティクス本社ビルの壊滅後、世界の片隅でアンナと対話した後、資格者の一人として迎え入れた。だが、アンナの誘導でアリスが上条に強い関心を抱いた事で計画の変更を余儀なくされ、アンナだけでなく上条にも怒りを覚える。12月31日、上条殺害派の筆頭として来日し、2度に渡って上条に致命傷を負わせるが、救出派の介入で失敗し、彼を助けるボロニイサキュバスと渋谷で全面衝突することとなる。一度は「コールドミストレス」に翻弄されて敗北するが、上条がとどめを刺さずに目を話した隙に逃走、超絶者としてのプライドを砕かれた事で本気を出し、「布教」で10万人の魔女を仕立て上げて人海戦術に乗り出す。上条を逃すため囮になったボロニイサキュバスを退け、彼女を治療させるため一人残った上条と激突、「幻想殺し」で魔術を打ち消される事すら前提とした攻撃で彼を追い詰めたが、大量のハーブ類を積んだキッチンカーを自ら破壊してしまったために「膏薬」に不具合が生じ、さらには魔女の弱点とされる水や擬似的な「撃墜術式」によって逆に追い込まれる。最後は三相女神としての本質を出したが、「幻想殺し」によって切り札の超絶魔術を打ち消されて敗北した。イギリス清教へのパイプを持つ統括理事長を頼った上条により学園都市へ連行されるが、領事館を作って学園都市に侵入してきた結社の面々と再会。上条が十字教の手で作られた禁書目録を守るために報酬や謝礼もなく巻き込まれ、サンジェルマンの補助で一度だけ魔術を使った事をオティヌスに聞かされ、彼が自分の救済条件に合致する「富める十字教の手で不当に虐げられる魔女」だと知り、彼が救おうとするアンナもまた救済対象になる可能性はあると、その処刑を止めようとする彼に協力するが、トリスメギストスを説得中に彼に切り伏せられる。
ボロニイサキュバス
「馬鹿馬鹿しい(ボロニイ)」という意味の名前を冠する「時の政府公認」の悪魔。とある男がサキュバスだけを集めた娼館を運営した罪で死刑を執行されたという、1466年ボローニャ地方の公的な裁判記録の中に残された存在。
年齢感は女子大生くらい、ふわふわした金髪を引き裂くように山羊のような形のピンク色をしたツノが2本、背中からはコウモリのようなピンク色の巨大で薄い翼、尻からは鏃のような薄いピンクの尻尾を生やし、レース繊維で彩られた薄いピンク色のワンピースコルセット、ストッキング、アームカバーを着用する、洋モノの女悪魔そのものの外見をしている。共通トーン作成によって日本語を話しているが、極東域海上圏アルタイ語族の併用だけでは追い切れないので、老人語に日本各地の方言が混ざったような奇妙な口調になる。日本語の文字も、象形文字からの派生という事である程度は理解している。超人ではあるが格好や言動からして変態側で、特に憧れる方向性に人間性が尖っている訳ではない。一方で暖かく心優しいお節介焼きな性格をしている。
使用する術式「コールドミストレス」は、宗教裁判インキュバスやサキュバスと寝た罪人から拷問で無理矢理引き出された自白証言が、この世のものとは思えないほど気持ち良いか、痛くて冷たくて苦しいかの2パターンであるという記録を利用し、「あらゆる快の信号を丸ごと苦痛に置き換える」事で、ありとあらゆる動物的な欲望を否定し封殺する魔術。痛みで集中力を削いで「揺さぶり」をかけるだけでなく、拒食症不眠症を発症させて人を自由に殺す事も、意識の水面下で原因不明の不調を訴えさせてイライラに支配させ、少なくとも渋谷全域を瞬時に集団ヒステリーに陥れる事さえも可能で、例え苦痛を堪える事に慣れたとしても、いきなり魔術を切って感情を制御できなくさせる事ができる。「橋架結社」の中で唯一アリスと相性全開で戦える可能性を持った強力な魔術だが、最初からネガティブな感情だけで行動すれば「変換のきっかけ」を失うので、直接的な致命傷にならないという弱点がある。また、10代の少年一人くらいなら抱えたまま空を飛んで運ぶ事も可能。しかし、3×10万人規模の強大な攻撃魔術を正面から凌ぐだけの力はなく、人間への輸血は可能だが、血液型を持つ人間の血を輸血して貰うことはできないなど、防御面ではアリスやアンナほど超越しているとは言えない。
「サキュバスだけの娼館を運営した罪」という世界で最も馬鹿げた死刑判決文に存在や行動の軸足を置き、あらゆる冤罪被害者の名誉の回復を目指す。アリスの変心後は冤罪被害者となった上条を守るために救出派に所属。12月31日、殺害派のアラディアから上条を守るために来日し、渋谷で彼に接触してアラディアからの逃走を手助けする。一度はアラディアを退けたもののとどめを刺すのに失敗し、上条を10万人の魔女達から逃がそうと「コールドミストレス」で魔女狩りを起こした上で囮になるが、上条への2度の輸血と内臓に受けたダメージ、2度目の会戦で受けた10万人分の騒乱を収束して3倍した一撃により瀕死の重傷を負う。だが、上条がアラディアの相手をしている間に、芹亜の主導で完全人工物による輸液が行われた事で「復活の調合法」が間に合い、一命を取り留める。
旧き善きマリア英語版
聖母マリアではなくその名を借りて素性を隠す誰か。足元まで広がる長い金髪の若奥様風で、マタニティ系のロングワンピースを着て、大きな帽子の鍔で目元を隠し、雑に体に巻いたベルトにキャンプ系のキッチングッズをいくつも提げている。一人称はママ様。
優越の表れなのか、おちょっくっているかと思うほどに、意外と律儀に言う事を聞いてくれる。戦闘や回復だけでなく家事全般もできる十徳ナイフのように多才な人物。「橋架結社」の料理担当で、レパートリーは家庭料理ばかりだが店と遜色ない腕前を振るい、パンなども原料から自作する。
聖母に引けを取らない奇跡を出力する錬金術を使う。透明な器の中に小さな宇宙を創り、1世紀か3世紀に失われたというあらゆる調合法を駆使する。奇跡をメモ書きの合成法に置き換えて操り、いったん完全に死んだ人間を、心停止状態0秒の傷一つない綺麗な体に修繕して蘇生させる術式「復活の調合法」を使う事ができる。ただし、心肺蘇生は別に必要で、流れ出た血は戻らないので失血を繰り返すと意識が再起動しなくなる、何度も繰り返すと体が覚えてアナフィラキシーショックのような拒絶反応が出るなどのリスクがあり、決して万能ではない。他人から「見えなくなる」何かを振りまいて瞬間移動のように風景から出たり消えたりするだけでなく、蛇のように動く溶岩や30t以上の氷塊を作り出す事も可能。本質はガラスの器の中に小さな宇宙を創る厨房の管理者であると共に、宇宙を創る基礎実験器具を発明する土台の支配者で、人域離脱の方程式は天を覆うほど巨大な基礎実験器具を広げ、内部に封じ込めた完全なる宇宙の全く新しい死と破壊を外に吐き出させて使うというもの。実験器具には、鉄塔を超える3本の脚に支えられるドーム球場にも似た潰れた球体「蒸留器トリビコス」の他、「保温鍋バンマリ」、「還流装置ケロタキス」などがある。その攻撃は魔術の分類そのものが既存と異なる強力な初見殺しで、魔道書図書館でも防げない可能性があるとされる。
「奇跡は選ばれた特権階級だけのものだなんて誰が決めた」という救済条件であらゆる調合物を無料配布している。自らを「目的のために生死の境を適当に誤魔化す」と認識し、ただ目の前で苦しむ人を助けたいという一心で力を持ち、命を救う「だけ」で戦える医者は、バトル最強も兼任するが故になりたくてもなれなかった憧れの対象である。
組織では救出派に所属。12月31日にはボロニイサキュバスと共に来日して、2度に渡って致命傷を負った上条を治療し、失血はボロニイサキュバスからの輸血で補った。ボロニイサキュバスが瀕死になると上条に助けを求められ、芹亜やインデックスと共にボロニイサキュバス近くの美容整形クリニックに搬送して治療を行った。並の人間より優れていながら自前の奇跡を特権的に振るい、他の大勢を踏みつけにするH・T・トリスメギストスとは救済条件から相容れず、平均より不幸な道を歩まざるを得ない上条を襲う彼と激突。だが開戦に間に合わず途中参戦した事から、アリスに危難を見過ごし全部終わってから慌てて取り繕っただけと判断され、トリスメギストス諸共に倒されてしまう。
H・T・トリスメギストス
黒髪に燕尾服、黒い仕込み杖を手にした青年魔術師。古い学者達が匿名で論文を発表する時の、使い捨ての共通ペンネームとして今日に伝わる「3倍も偉大なる者」トリスメギストスを名乗る。後述の救済条件から「一般的」が口癖。結社ではアリスの執事のような立場で、外套の中からは様々な道具を取り出し、テキパキと彼女の世話をしている。アリスによれば紅茶を淹れたら世界一。チェスが好きらしく、ルールを知らない者を見ると大きなショックを受ける。
学問の世界に容易く紛れ込む上に外すのが困難な迷信を嫌い、一般論の強度を信じる大多数を分け隔てなく救済し、一般論そのものが揺らいで起きる悲劇を回避するために「橋架結社」に所属している。個人の力でアリスを操縦できる上条を世界で一番危険な不正コントローラだと考えて殺害派に属し、アリスの希望もあって直接観察するまでは領事館での殺害を控えていたが、アラディアからアンナの殺害を止めるのに協力を要請された事で、彼が自らの目的を叶えるためにアリスを外から操縦する素振りを見せたと殺害を決意。「3つの数」という近似する方程式を持つアラディアに術式を看破されないよう、魔術を封じられているのを確認して先に切り捨て、上条と交戦して追い詰めるも「旧き善きマリア」に阻止され、決着をつけようとした直前にアリスに介入されて倒される。
基本とする戦術は黒い杖に仕込んだ刃を使った射程10m超の長距離斬撃。人域離脱の方程式「偽装創作神」は、アレイスターが自作したオカルト辞書「777の書英語版」の対応を利用した術式で、右側にある神を、左側にまた別の神を置き、意図的に自分を含めた巨大な三角形を形成する事で、全く新しい神を創作して自己に当てはめ、自分自身も神の一角であるという「間違った定義」を世界に植え付けるというものであり、基本のH・Tヘルメストート)からZ・Iゼウスインドラ)、O・Mオーディンメルクリウス)などとパターンを変えつつ、電気、光、水、氷晶など、様々な一般現象に斬撃を「相乗り」させて「どんな神話にもない」超常の刃を取り出す事が可能。照応表さえ理解していればアレンジが先に分かり、パターンが読めるので変幻自在というほどではないが、自分自身が巻き込まれて切断されるのを恐れなければ、宇宙をくまなく覆って微塵の殺戮と破壊で埋め尽くす事すらできるとされる。
ムト=テーベ
処罰に特化したエジプト神話系の超越者。ウェーブの長い金髪に褐色の肌、華奢な痩身を細いベルトや純金の装飾品で飾る15歳くらいの女の子。礼儀正しく、裸の付き合いを大切にする人柄。
子(たみ)を守る母(きさき)の記号を持ち、自分が決めたテリトリーを守るためなら何でもする。
結社を裏切ったアリスを処刑するべく学園都市領事館に呼び出され、アリスから超絶者を殺せる霊装「矮小液体」を与えられる。

オッレルス勢力

オッレルス(Ollerus)
声 - 島﨑信長
魔神」になるはずだった魔術師。オーディン以前に信仰されていたとされる北欧神話の狩りとスキーの神「オッレルス(ウル)」の名を冠する。
生命力を魔力ではなく特殊な力に変換する「北欧王座フリズスキャルヴ)」を扱う。本来の「北欧王座」に攻撃する機能は無いが、強引に利用し説明できない力として攻撃する。かつて「魔神」になるチャンスを迎えるが、子猫を助けるために動物病院を探していたことでその機会を逃した。削板を一蹴するほどの実力者だが、人身売買組織に捕まっていた100人近い子供を自宅に保護するなど、温厚かつ気ままな性格。どんな状況でも困った人にためらいなく力を貸すが、その行動基準は偏執的でどこか陰気さと歪んだ印象があり、対グレムリン包囲網では潜入中だったとはいえ友軍である学園都市の爆撃機を躊躇せず撃墜している。
「原石」を保護するために動いた学園都市へ侵入し、世界最高の「原石」である削板を倒すことで「原石」を悪用しないように警告した。
第三次世界大戦の最中、シルビアと共にロシアに現れ、アレイスターに敗れ瀕死の状態となっていたフィアンマを保護した。反学園都市サイエンスガーディアンの一拠点であるバゲージシティでは右手首を千切られて窮地に陥った上条を救出するためフィアンマと共にオティヌスの前に現れ、彼女が抱える「50:50のジレンマ」を突いてこれを退けた。その後、上条を学園都市まで運び、幻想殺しの正体を彼に告げ、フロイライン=クロイトゥーネの争奪戦後、垣根帝督の内臓を持ってトールに変装しグレムリンに潜り込む。連合軍に「船の墓場」の位置を伝え、モックルカールヴィの破壊とマリアン襲撃を行い、フィアンマと共に自らを囮にして十字教における異教の神を矮小化させる術式「妖精化」を使い、自らを囮として「魔神」に近い力と引き換えにオティヌスに土をつける。しかし、敗北100%を手にしたオティヌスの反撃にあい敗北する。
その後はオティヌスと上条のどちらか片方が死ぬことでもう片方の性質が大きく変質してしまうことを危惧して、自らの身を挺してシルビアとブリュンヒルドを制止する。しかし「妖精化」を打ち込まれた影響により並みの魔術師未満にまで力が減じており、その状態で聖人同士の戦いに身をさらした代償で両腕に大きなダメージを受ける。その後のオティヌスとの対話で、自分が彼女の「理解者」になれなかったことにわずかな寂しさを感じる。
シルビア
右方のフィアンマ
レイヴィニア=バードウェイ
ブリュンヒルド=エイクトベル

その他の組織・無所属

アウレオルス=イザード(Aureolus=Izzard)
声 - 杉田智和
元ローマ正教所属の錬金術師。魔法名はHonos628(我が名誉は世界のために)。中性的な美貌を持ち、 2mに届く細身の体を高価な純白のスーツとイタリア製の革靴で包み、髪の色を緑に染め上げオールバックにしている。18歳[93]
パラケルススの末裔で、かつてはローマ正教で教会のために特例中の特例で注意書き目的で対魔術師用の魔道書を書く「隠秘記録官(カンセラリウス)」を務めていた。魔女の邪法から罪なき人々を守るために記した魔道書を「切り札」として独占し改宗を迫るローマ正教の理不尽を許す事ができず、自らが記した「本」を英国へ持ち出しイギリス清教と内密に接触した時に、先生としてインデックスと出会い、彼女を救うためローマ正教を出奔し、以後、全世界の魔術師を敵にまわす。「無限の生命力」を持つ吸血鬼の「無限の記憶を保つ術」に着目し、「吸血殺し」の姫神を囲っている三沢塾を乗っ取り彼女と協力関係を持つ。その後、三沢塾を魔術で要塞化し、「偽・聖歌隊」で2000人の生徒を直接操り並列演算で呪文を唱えさせる事により、本来なら数百年はかかる儀式をわずか半日に短縮、実現不可能とされていた「黄金練成」を完成させる。発言の冒頭に「○然(必然、当然)」と語を付け、セリフを断定するような口調が特徴。
世界に干渉し、「自分の思い通りに」現実を歪める魔術「黄金練成アルス=マグナ)」を用いる。「思っただけ」では様々な雑念が混じり自滅の恐れもあるので、「言葉」に出す事でイメージを固定化した弾丸に変えて打ち出している。効果範囲内であれば対象を即死させる事も、逆に死者を蘇生させる事もでき、ローマ正教の切り札「グレゴリオの聖歌隊」で威力が激増したビル3棟をまとめて消滅させることも可能な魔術すら簡単に無効化する。良くも悪くも自分の思い通りに現実が歪むので、自分が「可能だ」と思えばどんなことでも可能になるが、逆に「不可能だ」と思ってしまえば決して実現しなくなる。「不安」や「疑念」さえ現実にしてしまう諸刃の剣であり、「そんなものは作れない」と心のどこかで思ってしまったものは作成できないため、首筋に治療用のを刺すことで不安を打ち消していた。元は戦闘は得意ではなく、何十もの武装や霊装で身を固めて前線に出ていた事から「骨董屋(キュリオディーラー)」とも呼ばれ、正面から向かい合って戦うのではなく、知力を使って敵を罠にかけて倒す戦い方を好む。
三沢塾に乗り込んできた上条とステイルと対峙した際、インデックスが既に上条に救われていたことを知って自暴自棄となる。その後、上条やステイルの命を狙い、上条の右腕を切断するも、黄金練成の弱点に気付いた彼の演技によって自信を喪失。上条の右手から生えた「竜王の顎」によって精神を破壊され、同時に記憶と黄金練成の力も失う。その後、ステイルの処置によって顔を変えられて別人となり、表向きは死亡したことになっている。
アウレオルス=ダミー
アウレオルスが「警備装置」として作り出した自身の偽者。基礎物質にケルト十字を使った「天使の力」の塊という一種の魔道具である。テレビアニメ版には未登場。
全体的に小物臭い言動が多く、本物のアウレオルスとは別人のようだが、上条は彼こそがアウレオルスの本質だと推察している。自身は偽者であることに気付いておらず、ステイルに魔術師の本分について酷評される。続けて上条との交戦で負傷。最後に魔術師とは何かを思い出し、ステイルに破壊される。
エーテル体を固めた黄金の鏃でわずかでも傷をつけたモノを1秒もかけずに純金へ強制変換する「瞬間錬金(リメン=マグナ)」を操る。高速の巻き戻しで秒間10発の連射を可能とし、鏃には高熱により溶解した液体の純金を操るアンテナの機能もある。
闇咲 逢魔(やみさか おうま)
声 - 中田譲治
神道系の魔術師。
全身黒づくめの強面の男。まるでマフィア関係者のような外見だが、感覚を研ぎ澄ますために平時は閉ざされているその眼は子供のように澄んでいる。右腕に「梓弓」を取り付けた仕込み籠手を装備しており、弦を弾くことで空気の刃や透明化などの魔術を発動させる。縄縛術の手練れでもある。
想いを寄せる女性の呪いを解くため、魔道書「抱朴子」の知識を求めて学園都市に侵入し、上条の目の前でインデックスを誘拐。その後、上条に敗北したが、「幻想殺し」のおかげで彼女の呪いを解くことに成功する。なお、彼が想いを寄せる女性はアニメと漫画で初めて容姿が判明する。
オリアナ=トムソン(Oriana=Thomson)
声 - 柚木涼香
「運び屋」として魔術業界では有名なフリーの女性魔術師で、手段を選ばず追手を確実に振り切ることから「追跡封じ(ルートディスターブ)」の異名を持つ。魔法名はBasis104(礎を担いし者)。現在の国籍はイタリアだが、元々はイギリスの出身で、「必要悪の教会」とも何度も交戦した経験を持つ。
極めて肉感的なスタイルを誇り、作中屈指の爆乳(Hカップ)の持ち主。[要出典]また、巻き髪や極端に露出の多い服装など外見も派手なうえ、言葉遣いでもエロティックな表現を多用し、それらを女の武器として惜しげもなく見せびらかす。
行動の原点には「人のために何かをする」と定め、万人が幸せで価値観の齟齬を生まないような世界を常に渇望しており、その実現のためには魔術・科学どちらに与することも厭わないと考えている。それら悲願達成のため、ローマ正教(リドヴィア)と契約し、大覇星祭の期間中、対聖人用の秘蔵霊装「刺突杭剣(スタブソード)」運搬役の依頼を引き受ける。しかし、オリアナの真の役割はリドヴィアが大規模魔術「使徒十字」を安全に発動できるよう、自身を捨て駒としたうえで「刺突杭剣」の名を寄せ餌とした陽動役であった(運んでいた「刺突杭剣」は模造品ですらない、ただの板きれ)。
後の追跡戦では上条らを翻弄させたが、追い詰められた末の上条とステイルとの決戦においては、あべこべで全く連携しない2人の行動に悪戦苦闘するも激闘の末にステイルを退けると、遂には上条をも追い詰めた。しかし、止めを刺さんと肉弾戦に持ち込んだ際、上条の起死回生のパンチが顔面に直撃し、この一撃が決定打となり敗北、肝心の「使徒十字」も大覇星祭の影響により不発に終わった。
その後、イギリス清教により拘束されロンドンの処刑塔へ幽閉されるが、学園都市とローマ正教の対立が激化するに伴いイギリス清教と契約し、イギリスのクーデターでは上条と共闘した。グレムリンの一斉侵攻時には、アラスカのNORADの弾道ミサイル基地を狙うフェンリルを妨害した。「クロウリーズ・ハザード」襲撃時には、ホレグラスの依頼で、大英博物館にいる元アニェーゼ部隊へ「神威混淆」イシス=デメーテルを届けた。
頭の回転が早く、相手の行動を先読みした知力で戦うスタイル。戦闘及び任務中では、「原典」の自動的に術式を繰り出す機構だけを重点的に抽出して兵器化させた単語帳風の簡易魔道書「速記原典(ショートハンド)」を使用する。五大元素を示す文字と色、そして座相法則とページ数の組み合わせで様々な魔術パターンを構築できるが、構築された魔術と同じものは二度と組み上げられず、一定時間が経過すると消滅してしまう。加えて1ページで魔術1回分の使い切りタイプであったりと制約が多いが、その分一つ一つの威力も強力で、さらに詠唱不要と大変便利。他にも逃走経路の道中に貼付けておくことでトラップのような使途も可能と汎用性も高い。また、常に新しい魔術を考案して新たに「速記原典」を作ることが出来るため、即興での補充は問題なく行える。ただしオリアナ個人のポリシーとして、1度使用したものは2度使わないようにしている。さらに、格闘術も使用し、接近戦においても非常に手強い。
エリザリーナ(Elizalina)
声 - 進藤尚美
エリザリーナ独立国同盟の建国を主導した中心人物で、その名前の由来にもなった女性魔術師。フランスの「傾国の女」の妹。
不健康なほどに色白く痩身な金髪の女性。表では政治的に、裏では魔術的にエリザリーナ独立のために活躍した実力者であり、ロシア成教の魔術攻撃をことごとく撃退するなど魔術師としての腕も相当なものである。魔導師でもあり、部下の魔術師を多く育成し同盟内の防衛戦力に役立てている。
フィアンマが狙うサーシャを匿っていたが、フィアンマの襲撃に遭い、上条やレッサーと共に応戦するが圧倒された。その後、流れ着いてきた一方通行や浜面らを保護し、滝壺を回復魔術で治療した。
ベラッギ、ロンギエ
声 - 杉崎亮(ベラッギ)、山根雅史(ロンギエ)
エリザリーナの側近である二人の大男。
傾国の女(けいこくのおんな)
声 - 慶長佑香
「ヴェルサイユの聖女」と呼ばれるフランスの実質的な国家元首の女性。本名不明。エリザリーナの姉。
妹同様、不健康なほどに色白く痩身な女性。「首脳」や「軍師」などとも呼ばれる頭脳戦のエキスパートで、フランスの政治も大統領ではなく彼女が動かしていることから、キャーリサからは宿敵として認められている。
ジャンヌ=ダルクマリー=アントワネットなどと同じ、その存在だけで国家を揺るがす「傾国の女」というフランス特有の性質を持ち、それが自身の呼び名にもなっている。ヴェルサイユ宮殿の地下に監禁されているとされていたが、第三次世界大戦が勃発するとドーヴァー海峡にてイギリスとの戦闘に参戦。後にフィアンマの引き起こした混乱を収めるべく、キャーリサと共闘してミーシャに立ち向かう。
ニューヨークでの対グレムリンの会合にも参加。フランスとしては逃避行を続けた上条とオティヌスに対し、一切の敵対行動に出なかった。
フランスの国家的な霊装「デュランダル」を持ち、霊装にフランス国内の力を流し込むことで音速挙動などを可能としており、騎士団長をも苦戦させる驚異的な戦闘能力を発揮する。他にも遠隔攻撃の魔術を使い、魔術的な知識・判断に優れる一面もみせている。
「占星施術旅団」の老人
かつての占星施術旅団の一員である魔術師の老人。本名は不明。
ロシア成教の一部門に追われた際、窮地をウィリアム=オルウェルに救われ国外脱出に無事成功した。17巻ではウィリアムと再会し、彼に武器の調達を依頼され大剣「アスカロン」と「盾の紋章」を提供する。第三次世界大戦ではワシリーサからの依頼で自らの人脈を生かして三大宗派の協力関係の結成に貢献する。さらにその後、元占星施術旅団の仲間やとある青年女性らと共に量産型霊装「雷切」を持ってウィリアムの助太刀に加わった。
「コリシュマルド」の少年
かつてウィリアムと共にオルレアン騎士団と戦った少年。本名は不明。
オルレアン騎士団に誘拐されたとある少女を救うべく立ち上がり、その後ウィリアムの協力もあって少女の救出と組織の壊滅に成功する。第三次世界大戦では彼の成長した姿であろう青年が西洋剣「コリシュマルド」を持ってウィリアムの助太刀に駆けつけた。
「ダルクの神託」の少女
ダルクの神託」と呼ばれる特殊な先天的素質を持つ少女。本名は不明。
かつてはその素質ゆえに、ジャンヌ=ダルクの再現を掲げるオルレアン騎士団に実験素体として連れ去られたが、その後とある少年とウィリアムの活躍によって救出される。第三次世界大戦では彼女が成長した姿であろう女性がある青年と共にウィリアムの助太刀に駆けつけた。
ジーンズショップの店主
ロンドンでジーンズショップを経営する20代の男性で、魔術師。本名は不明。初登場はSS2巻。
イギリス清教に所属する正規要員ではないが、魔術師としての実力が高いこともあって「必要悪の教会」の仕事を半強制的に手伝わされている。あくまで自分は民間人で本業はジーンズショップと主張しており、無給で扱き使われていることや手伝いの間に本業が滞ることなどをよくぼやいている。ジーンズに対する並々ならぬ愛着とこだわりを持ち、特に意図的なダメージ加工は大嫌いであるということから、ジーンズを切り刻む神裂には強く憤慨している。ヴァルキリーの攻撃に屈したり神裂を性的な目で見るなどスケベな人物で、たびたび神裂に殴り飛ばされたりツアーガイドの少女に軽蔑されたりしている。
魔術師としては、職業柄か縫製や服飾を利用した術式を得意とし、敵の魔術の解析や味方の魔術の支援など補助系の魔術が多い。即席かつ粗雑とはいえわずかな時間で7km四方に仕掛けられたルーンの魔法陣に干渉して発動を妨害する[94]、25km先から神裂の戦闘を支援できる[95]など高い技量を持ち、不本意ながら「魔術師・神裂火織とコンビを組んで世の悪を成敗する、スーパー非正規エージェント」とも呼ばれている。
神裂編SSではネット通販事業を始め、客として注文を受けた佐天涙子と知り合いメル友になったことを毎度の如く自慢している。
ヴァルキリー
本編開始前の2月頃にロンドンに出没していた、ジーンズ切り裂き魔。本名不明。
銀に近い髪の、スラリとした神裂と同世代の女性。肘の上辺りまである手袋や両足の太股まである長いブーツは、白と黒の牛柄である。鋼の胸当てにビキニアーマーを纏う、ヴァルキリー見習い。色香を使って優れた部下を増やし、単身で魔術結社級の力を得ることが目的らしい。ヴァルキリーの神話にちなみ、9体の分身を使って虜にした男性を操る魔術「九人祝い(ナインサポート)」を使う。神裂と戦闘を行っている最中に出番が終了したため、現在の状況は不明。
ヴィクター=ニューバーグ
アレイスターの弟子の1人。モデルはヴィクター・ニューバーグ英語版。1909年にアフリカで行われたコロンゾンを召喚する実験で適切にブレーカー役を果たし、霊媒としてアレイスターの肉体を乗っ取った大悪魔を退去させる事に成功した。ただ、結果として「破棄」ではなく「中断」してしまった事で、死亡したアレイスターがコロンゾンの霊媒に宿るというイレギュラーが発生する。
マダム・ホロス
アンナ=シュプレンゲルを名乗り、メイザースに接触して結社の秘密を持ち逃げしたとされる詐欺師。アンナの肉体を器としており、髪型はアンナと同じだが体格は3割から4割増しで、赤いレオタードにロングスカートを足したような派手なドレスを着た女性。
薔薇の亜流である「黄金」の終焉を見届けるためにスコットランドに現れ、聖マーガレット礼拝堂に拘束される滝壺に接触し、「力ある魔導書の戦闘モジュール化」によって地脈から力を吸い上げて能力者でも術式を行使できる水晶玉を与える。そして、クイーンブリタニア号に侵入した後は限界が近づいて倒れるアレイスターと言葉を交わし、ミナとダイアンを始末するため船を離れようとしたところで、突如現れたエイワスに後頭部から貫かれてアンナに肉体を奪い返された。
アンナ=キングスフォード
ウィリアム=ウィン=ウェストコットやサミュエル=リデル=マグレガー=メイザースの恩師にして、アンナ=シュプレンゲルの原型の一人とされる女魔術師。実在のモデルはアンナ・キングスフォード。西洋魔術史上の頂点に君臨する伝説の魔術師に人が起こせる神秘や超常を教授したという伝説を持つ知の大女神であり、単純な技術だけでなく思想や主義の部分まで食い込み、「黄金」が一般女性の参加を広く受け入れるきっかけを作ったと言われる、平等を愛して迷える者に絶大な力を分け与える、単体で一つの神話と化した魔術師。
肉体の外見は30に届くか否か、赤みがかった金の長い髪を巨大な1本のエビフライ状にまとめた変則的な三つ編みにして、繊細なメガネで理知的に顔を飾る。復活後はレディバードと同じオレンジ系の競泳水着風特殊スーツとパレオ、大きな帽子を装着して魔女のワンピースのようなシルエットに整えている。あらゆる魔術は国家や地域、職業、階層、年齢、男女、人種、貧富の区別なく万人へ平等に配給すべしと教え、絵本のサンタクロース笠地蔵のように周囲に奉仕する事を己の命題としている。いつでも同じものを生み出せると考えるので、「黄金」の創設を助けたという金字塔にも執着していない。
魔術とは呼吸や心拍よりも身近な「ただ其処にあるもの」と認識しており、「術式」という言葉で意識を切り替える必要もせず、特別な道具や建造物、生まれ持っての才能、座標や時間といった「前提」もなく、その辺の石ころや木の枝でも十分に奇跡を起こす事ができ、ただの名前にすら必殺の意味を宿らせられる。メイザースを〆た時に使ったという、惑星の力を符に込める魔術を応用し、大宇宙と常に対応する小宇宙である肉体を、手足や内臓ごとに分けて対応した符へと封じ込め、殺さずにフィルム缶の中へと封印する魔術「ソロール、キングスフォード、1888」などを操る。
ニコチンの臭いが嫌いなので、チェーンスモーカーの脳幹を禁煙させるために煙草やライターを没収しようとする。
「黄金」結成の直前に死亡し、死後は永久遺体として冷凍保存されていたが、アレイスターによりミヤシタアークの多国籍レストランの冷凍庫から回収され、科学的手法で再起動させられる。脂質やヒアルロン酸を皮膚に注入し、機能停止した臓器を最先端精密機器に置換して、無線式の充電で駆動しており、口に出す言葉は化けているが人格を持った状態で、魔力を生成できるので生命力がある事も証明されている。アレイスターの「人間」らしい脅えと用心深さのために、魔術とは全く関係のない最終安全装置として肩甲骨の間に機能遮断用物理スライドスイッチを取り付けられており、外部から強制的に活動を停止させられるようになっている。
12月31日の「橋架結社」の魔術の脅威にさらされた上条を助けるためにシュプレンゲル嬢を世界から「隔離」、圧倒的な実力と相性をもって彼女を一方的に封殺し、閉じ込めたフィルム缶をアレイスターへ渡す。

外伝・番外編の登場人物

ヴィース=ワインレッド
「黄金」系の女性魔術師。SPマーク編に登場。
短いスカートに前の開いたシャツ、左右にそれぞれ黒く長い手袋と白いレースの手袋を付けている。「時間稼ぎ(タイムロス)」という異名を持ち、その名の通り時間稼ぎや足止めを得意とする。黄金系だが雇われのフリーの魔術師。
ソロモン神殿の二本の柱を由来とし、近代西洋魔術の儀式場出入り口にも配置される霊装「ヤッキンボアズ」を自身の両手に対応させることで、手の位置や動作だけで魔術を発動させる。これにより手順を省いて高速化させ、多彩な攻撃を繰り出し速度と手数で攻める戦術を得意とする。ただし、「明け色の陽射し」のような儀式魔術と比べると速度は勝るが威力は劣る。主に用いるのは土属性の「天使の力」だが、他の属性も使いこなせる。
イギリス清教と学園都市に雇われ、制裁開始まで海洋資源調査船「ブルーリサーチ」で「宵闇の出口」の脱出を阻止する依頼を受けていたが、互いに「宵闇の出口」の魔術師だと誤認したためにマーク=スペースと交戦し撃破される。
フレイス
英国の「黄金」系魔術結社「暗闇を拭う夜明け」に所属する女性魔術師。SP上条編に登場。
年齢は20歳くらい。楽天的かつ大雑把でマイペースな性格をしている。自身の結社の得意分野でもある、タットワの配色を四大元素に応用した四色のカードを使う術式を扱い、火水土風の現象を自在に発生させる。
彼女の結社が扱う前述の術式は、現在の魔術業界では真空管LSIの関係のように高度な技術に取って代わられ時代遅れとなっている。それによって結社自体も衰退し、今では知名度も低くなり存続が危ぶまれている。
衰退した自身の結社を復興させるための宣伝材料を欲して大きな仕事を成し遂げようとしていた所、微細乙愛の作りだした密着微生物の人工変異体の存在を知り、それを絶滅させるべく学園都市に侵入する。その際に「警備員」と交戦中に上条とインデックスを巻き込み、行動を共にする。微細との戦闘を終えた後、腐敗浄化用の霊装を応用して人工変異体の絶滅に成功する。
「赤き洪水」の少女
イギリス人の魔術師の少女。本名不明。神裂編SSに登場。
年齢は10歳位で金髪碧眼に、丈の短い高級なワンピースを着た少女。大航海時代に十字教圏の列強が行った海外侵略が他の文化圏に与えた影響を調べるため、中南米太平洋アジアなどの遺跡を調査して回っている。その一つとしてアップヒル島の岩礁跡でルーン文字の遺跡を発掘していたところ、魔術を目撃した現地の島民に「島を守りに来た神の使者」と祭り上げられ、周辺諸島から受けた差別と迫害を怨む彼らによって復讐を求められる。島民は説得に応じず、拒否して立ち去れば今度はアップヒル島が周辺諸島から報復としてリンチを受け滅ぼされる可能性があったことから、苦悩の末に承諾する。
北欧神話の原初の巨人ユミルの血が旧世界全てを洗い流す洪水となった伝承を元にした魔術「赤き洪水(ユミルズオーシャン)」を扱う。体内の血中塩分濃度と海水の塩分濃度を均質化させることにより、「偶像崇拝の理論」で自身の血流と付近の海流を対応させ、自在に操作することができる。支配下に置かれた海流は赤く変色し異様な粘性を持ち、絡めとった対象の動きを封じる。津波を起こして相手を沖の彼方まで流したり、海中から巨大な塩の杭を生み出して攻撃することも可能。ただし、ユミル化した異質な血が全身に回らないように血流を止める必要があり、虚血による組織の壊死や塩分濃度による細胞破壊を防ぐためにも長時間は使えず、洪水に呑み込まれなかったアース神族に由来する術式で回避されるおそれがある。
計画を阻止しに来た神裂と交戦するも、スキーの神ウルの伝承を利用した水上スキーの術式で「赤い洪水」を無力化され、神裂の超人的身体能力の前に敗北。その後は周辺諸島への攻撃を取り止め、自分の誤解を解き平和的解決を図るため、島民の説得を試み続ける。
レアシック
ルーン魔術を得意とする魔術師。神裂編SSに登場。
ロングコートを着た青年。貴重な文化的資料としてのルーン石碑酸性雨から守るため、火力発電所石油コンビナートといった大気汚染を及ぼす施設を破壊して回っている。しかし、環境保護を謳っているものの、海洋などのルーン石碑以外の地域の環境汚染には全く意に介さず、その思想は非常に身勝手で独善的。
レーザーによる研磨工作機械を使ってルーンを刻むという戦法を用いる。これにより、通常なら仕掛けるのに時間がかかるような複雑かつ精密なルーンの陣を短時間で大量に配置することが可能。作中では「昼間(Dagaz)」と「真夏(Jera)」のルーンを大量設置し、高温と乾燥をエスカレートさせる事で発火を誘発していた。また、術式の詳細は不明だが、両肩を自ら切断し断面から炎を噴出させて跳ぶことができる。
学園都市協力機関であるデンマークの製鉄所爆破を目論むも、テロを阻止しに来た神裂達に妨害される。自傷してまで計画続行を目指す狂的な執念を見せるが、身勝手な「環境保護」を訴える姿勢を改めない事に心底うんざりした神裂に叩きのめされた上で捕縛された。なお、レアシックが懸念していたルーン石碑は、事件後に神裂達が手配したことで博物館などに保護される。
オーレンツ=トライス
イギリス清教から討伐対象に指定されている魔術師。神裂編SSに登場。
不老不死を専門に研究している。レイヴィニアによると、特に野望はなく、単に命を弄ぶのが好きなだけの酔狂な人物だという。魔道書の「原典」の永久自動保護機能を人体に装備する「原典アーマー」を作り出そうとしているが、他者からは理論が既に破綻していると評され、神裂によると「自殺行為」。自身の拠点を「ビフロスト」と称し、通常の手段では行けない特殊な場所に隠しており、地上との接点は宇宙空間を経由させている物資搬入コンテナのルートのみ。
神裂編SS第6話の敵役にも拘わらず、神裂とレイヴィニアに雑魚扱いされ適当に倒された不憫な人物である。
セートルア
北欧神話系の魔術師。神裂編SSに登場。
北欧系五大魔術結社の一つ「神の剣の文字を知る者」に所属する青年。北欧系魔術師でありながら十字教の聖人の性質を持ったブリュンヒルドを「混ぜ物ヘル)」という蔑称で忌み嫌い、彼女の存在が北欧神話文化を壊すと危惧する。5年前彼女の結社に総攻撃を仕掛けて滅ぼした後も、生き残り放浪する彼女に対し執拗な迫害を行い続け、半年前には捕縛し拷問にかける。その後、ブリュンヒルドの復讐によって五大結社は全て壊滅し、構成員は一人残らず重傷を負う。
収容された教会で、神裂達の事情聴取に対し五大結社の独善的な主張を力説するも、ブリュンヒルドに通信術式で今までの所業を糾弾され、「主神の槍」が完成間近という彼女の挑発に対し、恐怖で自ら舌を噛み切りかける。
ブリュンヒルド=エイクトベル
フィンランド出身の北欧神話系女性魔術師。「聖人」であり、天然のワルキューレでもある。神裂編SSでラストボスとして初登場。
神裂と同程度の年齢で、長い金髪と色白い肌の女性。羽飾り付きの帽子、膝上丈のワンピースの下に男物のズボンを重ね、肘と膝のプロテクターと防弾ベストという、中世騎士の甲冑を現代の素材で作ったような不思議な印象の服装をしている。クレイモアのような超重量の剣を好む。
十字教の聖人と北欧神話のワルキューレの両方の性質を併せ持つ。ただし、二重聖人のアックアとは違って聖人とワルキューレの力は同時には扱えず、どちらか一方の力が強まると一方の力が極端に弱まるという状態にある。3ヶ月ほどの周期で力の増減を繰り返すが、五分五分に拮抗した時は互いの力を相殺してしまうため、周期のうち数日間は両方の力を失い常人並みとなる。
元々は、北欧圏の伝統的な生活をひっそり営むことを目的とする小規模で無害な魔術結社に所属し、そこで平穏に暮らしていた。だが5年前、北欧系五大魔術結社に自身の結社を滅ぼされ、迫害から逃れながら放浪生活を送る。さらに半年前、運悪く力を失う時期に襲撃を受けて五大結社に監禁・拷問される。そこで親しくなったセイリエの境遇を知り、共に脱出しようと五大結社への反攻を決心するが、実行前にセイリエが自殺を図ってしまい絶望する。そして、北欧神話の主神オーディンの力を手に入れ、その力で植物状態のセイリエを蘇生させるべく行動する。
オーディンの持つ北欧神話最強の武具「主神の槍(グングニル)」を再現した霊装を使った天候制御能力を持ち、純白の落雷や純白の溶岩などの様々な天候や自然災害を出現させて自在に操作することができる。また、「槍」の完成のために「最後のルーン」と呼ばれる特殊なルーンを地球の中心核に刻む必要があり、中心核への干渉方法として海洋牢獄の遠隔制御技術を利用したり、そのセキュリティを解除する為にエーラソーンから技術情報を得る、「真の中心核」の表面に傷をつけるため、磁力の流れを逆算して液状外核の「流れ」に干渉するという科学的手法と魔術の適応の可否を検証するためレシアックを利用する、「主神の槍」を使う資格が人間にあるかを確かめるためアルファルを製造していたスラッパールに接触するなど、準備を整える過程で神裂SS各話の魔術師や魔術設備と接触している。
準備を終えると、北欧系五大結社を壊滅させて復讐を遂げる。その後、魔術通信を逆探知して追ってきた神裂と、出力70%の未完成な「主神の槍」を用いて交戦する。その途中、神裂から自分を含む数多の聖人の経験から、失った者の蘇生は不可能であり、その試みは無意味であると説得されるが、葛藤の末に感情が爆発し暴走。最終的には、神裂に「聖人」の力を強引に上乗せされてワルキューレの力を半減させられた事で弱体化して敗北し、「主神の槍」や「最後のルーン」を失いイギリス清教に捕縛された。
その後、第三次世界大戦での協力で釈放され、目を覚ましたセイリエと共に平和に過ごしていたが、「主神の槍」関連の技術を狙う「グレムリン」の襲撃を受け、駆けつけたシルビアやレイヴィニアと共闘する。以降はセイリエを守るためにオッレルス達に協力する事を決め、フロイライン=クロイトゥーネ争奪戦では美琴と交戦した。後に彼女の「主神の槍」の技術を狙った襲撃は、その事実と情報によってグレムリンの敵をわざと増やすための作戦で、オティヌスにとってブリュンヒルドの槍と技術は無価値なゴミでしかなかった事が判明する。「グレムリン」包囲網ではシルビアと行動を共にし、太平洋上でヘルと交戦するが、オティヌス討伐時には彼女を憎悪するシルビアと共にオーデンセに向かい、オティヌスを始末しようとしたがオッレルスに止められて失敗する。あとがきで作者はブリュンヒルドは「話せば分かる人間」であると解説しており、上条とオティヌスが対話を諦めなければ戦闘はまた違ったものになったとされている。
セイリエ=フラットリー
北欧系五大魔術結社に捕らわれていた間、ブリュンヒルドの牢獄へ食事を運ぶ係を務めていた9歳の少年。神裂編SSで初登場。
彼も何らかの理由で五大結社に捕らわれていた人間で、粗末な服を着て鉄の足枷を嵌められている。ブリュンヒルドが精神を閉ざし拷問の効果が半減するのを防ごうと画策した結社の人間から、彼女と親しくするよう脅される。ブリュンヒルドと交流を深め親しくなるが、強い自責の念に駆られ、ついには罪の意識に耐えられなくなって自殺を図り、一命は取り留めるものの植物状態となり、ベルギーの病院で眠り続けていた。事件解決後の神裂達の調査により、植物状態ではなく結社の魔術師が何らかの回復阻害魔術をかけて眠りから覚めないだけであり、精神が破壊されたわけではないので目覚める可能性があると判明する。
新約4巻時点では、入院生活は続いているものの無事意識を回復し平和に過ごしている。
フラック=アンカーズ
魔道書強奪事件を起こした魔術師。『必要悪の教会』特別編入試験編SSに登場[96]
物々しいジュラルミンケースを携えた大柄な男。自分の力では夢に手が届かない事を悟り、自分より強く、同じ指向性を持った魔術師に師事する道を選んだ。
ウッドストックと回転式シリンダーを備えた猟銃を模した霊装を魔を祓うパイプオルガンに対応させ、10名ほどの部下と協力して聖化を帯びた「和音」を自由に生み出し、広域に回避不能の攻撃を放つ術式を操る。雑音が入るだけでバランスが崩れて使えなくなる欠点を隠すため、「血を吸う猟銃」やを模した弾丸、意味ありげな詠唱により、「『神の子』の処刑と信徒に浮かび上がる『聖痕』の対応を、攻撃的に転化させたもの」と誤認させる。
「必要悪の教会」の増援を装ってフリーディアに接触し、彼女を騙して市民図書館を案内させたあとで昏倒させ、魔道書「死霊術書」の一節を「銃声」としてアーランズへ送信する。だが、その直後に図書館に現れた天草式と戦い、五和に術式のカラクリを看破され、建宮が吹き飛ばした本棚の下敷きになり、「原典」の知識に触れたダメージも加わって戦闘不能となる。
アーランズ=ダークストリート
魔術結社「目覚め待つ宵闇」のボスをしている青年魔術師。『必要悪の教会』特別編入試験編SSに登場[97]
人材の損失を嘆かず、「仕事」に没頭しすぎたせいで私生活との区別がつかなくなっている。
英仏共同の沈没船団引き揚げ事業を隠れ蓑に、ドーバー海峡クトゥルフと眷属が眠る海底都市ルルイエを浮上させる計画を立てる。フラックから「死霊術書」の知識を受け取り、作業用フロートをルルイエに見立てるために、海底火山の噴火を模して海中で爆発を起こし、ライトや金属板、ガラスで通常の遠近法やユークリッド幾何学では説明できない曲線の光景を作り出し、一定以上の割合を超える精度のエミュレーションを得ようとした。
「眠れる邪神」クトゥルフの幻影を呼び出し天草式に精神攻撃を行うが、クトゥルフ神話群が持つ「物語性」という弱点を突かれ、天草式が敗北したという結末の偽情報を割り込まされて物語が一度終わってしまい、「次の物語」が始まるまでの時間に測量機器に細工された事で計画は失敗し、「人の手に負えない存在」を呼んだ過負荷が全身に回って倒れた。しかし、実は既存の神話や伝承に横槍を入れて組み換える際の自由度についての「許容誤差」の研究をしていたに過ぎず、実験データはストーンヘンジにいるヴェイズに送信されていた。
ヴェイズ
「目覚め待つ宵闇」のメンバー[98]
第一線の闇の中で戦い生き残ってきた屈強な魔術師。人は慢心した時に敗北を背負うと考えており、自身が停滞しないよう心がけている。
ガラスで作った宝石のイミテーションを利用して、クトゥルフ神話群のろくでもないものに直結する貴金属の一種、一切の光を遮る闇の中で邪神ナイラトホテプの召喚媒体となるトラペゾヘドロンにまつわる術式を使う。トラペゾヘドロンの箱という記号を与えた空間の中と外を徹底的に断絶する、大量の雷光を放つ「黒い煙」を天から落とす魔術のほか、切り札としてトラペゾヘドロンを呑み込み胃袋の闇を利用して邪神を召喚する事も可能。
倒れたアーランズの後を継ぎ計画を進め、ドーバーから送信された実験データを元に、ストーンヘンジを利用して「分類不能(ブランクペーパー)」の結果を出そうとしていた。迫り来るイギリス清教の魔術師を撃破し、駆けつけた天草式とも交戦。五和に追い詰められて体内で邪神の召喚を試みたがが、施術鎧を装備して現場に急行したフリーディアに仲間もろとも蹴散らされた。
ダッジ、ローティア
「目覚め待つ宵闇」のメンバー。
エミリア=フォーディア
アイリ=ヘクセンフォビアの派遣した女性魔術師。赤毛のショートヘア、色白、長身が特徴。『必要悪の教会』特別編入試験編SSに登場。
柄のすぐそばに8桁のダイヤルが付いた「刀剣」型の霊装を扱う。霊装の本質はこのダイヤル部分で、歯車のように配置された細かい「宝石」がダイヤルを回す事で配置を変え、適宜状況に合った形状や性能の刃を自由に作り出す。大型トラックの車列を1台残らず両断する遠距離攻撃や拷問用の杭などの多様な攻撃手段を備えており、同時に「癒しの石」の逸話から対応したダイヤルの数字に合わせれば傷を治療する事も可能。
ストーンヘンジへ出向いたフリーディアの命を狙い、イギリス清教の移送チームを襲撃、五和とフリーディアを除く全員を人質に取る。対馬を拷問して2人を誘き出そうとするが、フリーディアがヴェイズから奪っていたトラペゾヘドロンに対応する極悪な刃を霊装が勝手に製造した事で、自らの制御を離れて爆発してしまい戦闘不能となる。
アイリ=ヘクセンフォビア
ポンド圏の某国の首相。『必要悪の教会』特別編入試験編SSに登場。
旧宗主国イギリスに魔術的基盤を握られ続ける事への不満から、「ポンド圏」とくくられる加盟40ケ国を率いて戦争を起こそうと計画する。ポンド圏首脳陣による会議の警備計画を立案したフリーディアを暗殺するため、雇ったエミリエに「目覚め待つ宵闇」を一人で相手にしても勝てるだけの戦力を貸し与えて派遣するが、作戦は失敗。イギリス清教側の魔術師に拘束されそうになり、棄教を強要された聖ジョージが隕石のような「何か」を降り注がせてローマ神官を神殿ごと破壊した伝承を利用した、半径20km圏内にある魔術の器物を徹底的に破壊する術式を発動するが、シンシアが標的設定を入れ替えていたために、地脈や霊脈で繋げられていた自国を含むポンド圏の国々の魔術的基盤を破壊する結果となる。
シンシア=エクスメント
イギリス王室から委託されて星や宇宙の法則について調べる魔術サイドの研究施設「王立天文学研究機構」を、ほぼワンマンで束ねている13歳の天才少女。『必要悪の教会』特別編入試験編SSに登場。イギリス国籍ロンドン在住だが、出生のよくわからない移民で、1年の3分の2は世界各地の天文台を転々としている。天草式SSのラストボスであり、全ての事件の裏で暗躍していた黒幕。
本当の所属は「天草式十字凄教・外海分派」。出島で接触したオランダ人の船に乗って弾圧が続く日本から脱出したが、新天地では万人の平等を謳いながら公然と差別が行われ、古巣の日本へ帰る事もできず、やむなく新天地で隠れ住むしかなかった。その事情から、時と共にあらゆる日本人的な特徴を失ってもなお、何百年かかっても、どんな形であっても「日本」へ帰るという悲願を持ち、イギリスという国家そのものを学園都市に「身売り」させるような環境を整えていた。
持ち主の意思に応じて高精度に形を変える杖を作成しており、作中では大英博物館の「見本」のデータを片っ端から入手した事で、魔術の火薬庫とまで呼ばれる世界最大の博物館に収められたポンド圏の全霊装を操る力を得た。さらに、天草式の特徴である「『仕草』や『挙動』に魔術的記号を織り込み、呪文や供物もなく儀式を執行する」技術を活用する事で、戦闘中の霊装機能の複雑な切り替えを可能としている。
ポンド圏の国々の魔術的基盤が失われた場合、他の旧派から邪推される前に女王エリザードが大英博物館の霊装を「見本」として再興・修繕させようとすると予見し、「見本」をデータ化し地脈や霊脈を通して一斉配信する工程に横槍を入れるために、天草式SS全編にわたる事件を引き起こす。計画通り霊装の力を手に入れると、ポンド圏の魔術で自分を追っていたイギリス清教側の魔術師を全滅させ、イギリスから魔術という文化を絶滅させるために力の源である大英博物館を破壊しようとする。だが、最後に立ち塞がったのが同じ天草式の五和であったという誤算から、類感魔術で彼女も自分と同じ霊装の力を使えるようになったためにアドバンテージを失い、最終的に精神面で圧倒されて敗北。その後はイギリス清教によって身柄を引き取られた。
テルノア
声 - 石塚さより
元・魔術師の女性。ラジオドラマ(ドラマCD)版に登場。
過去に喉を潰されたため、人工器官を使用している。そのために呪文の詠唱はできないが、周囲の音に魔術的な干渉をすることで魔術を発動できる。「震災術式」を使って学園都市を破壊しようと目論む。

一般サイド

科学・魔術の両サイドに属さない人々。

主要人物の親族・関係者

上条 刀夜(かみじょう とうや)
声 - 乃村健次
上条当麻の父親。
無精ヒゲで軽い性格にも見えるが、どこか理知的な人物。外資系企業の証券取引対策室という11人しかいない精鋭部署に所属しており、経済学や心理学の知識技術をフル稼働させ、国境をまたいだグレーゾーンのラインを駆使して「本社にとって有害となる株式売買や吸収合併などを、あらゆる手段をもって全力で阻止する事」を目的として、月数回海外出張をしているなど、見た目に反してエリート社員。息子に負けず劣らずのカミジョー属性を連発する性質。
息子と違い幸運の持ち主であり、宝くじで10万を当てたこともある。息子の不幸体質をとても気に掛けており、当麻を学園都市に入れたのもそれが理由だった。海外出張の際には怪しいお守りやオカルトグッズを買ってきては息子に与えていた。後にそれらの土産物が「御使堕し」を発動させることとなる。
上条 詩菜(かみじょう しいな)
声 - 井上喜久子
上条当麻の母親。
刀夜とは学生時代に知り合った模様。外見年齢は20代後半。美鈴が羨むような瑞々しい肌を「何の手入れもなく天然で保持している」という。かなり嫉妬深い性格をしており、夫が他の女性と話すたびに顔の陰影が濃くなる。「あらあら」が口癖。SS2では御坂美鈴の家の近くに引っ越した模様。初登場時は「御使堕し」の効果で姿がインデックスに変わっていた。
スフィンクス
声 - 虎太郎
第2巻でインデックスが拾ったオスの三毛猫。以降、第7学区の上条宅で飼われている。命名はインデックス。
アニメ版での声には、制作スタッフが飼っている猫「虎太郎」(こたろう)の鳴き声が使われている[99]
竜神 乙姫(たつがみ おとひめ)
上条当麻の従妹。
黒髪でベリーショートの少女。典型的な妹キャラクターで、上条当麻を「おにいちゃん」と呼び、懐いている。「御使堕し」の効果で外見が御坂美琴となっていた(アニメ版では本来の姿が写真として登場)。
御坂 旅掛(みさか たびがけ)
御坂美琴の父親。
長身で整った顔立ちという「裏通りが似合う種類の身なりのいい男」。仕事は「世界に足りないものを示す」統合コンサルタントとして、世界中を飛び回っている。
CIAによる「原石」採掘の一件に少し関与し、「妹達」のことを知る。アレイスターとも面識があり、電話で「妹達」のことについて詰問した。
学園都市の機能停止後はロンドンからバリ島で疎開中の娘に連絡を取り、イギリスには絶対に来ないように忠告する。ピカデリーサーカスに潜伏していた時、ウェストコットとアニーから浜面たちを助けるために囮になり、ウェストコットの魔術で吹き飛ばされて脱臼などの重傷を負うが、A.A.Aを着た娘によって絶体絶命の危機から救われる。
御坂 美鈴(みさか みすず)
声 - 篠原恵美
御坂美琴の母親。
一見すると大学生くらいの姉にも見えるほど容姿は若く、プロポーションも良い。大学に通っているため、名実共にそのまま女子大生に見える。いたずら好きで、娘をからかって楽しんでいる。
大覇星祭で上条家と出会い、娘が当麻を好いていることを知ってからかう。その後、学園都市とローマ正教の対立を受けて子供たちを学園都市から避難させる保護者のグループに入っていたため、学園都市にやってきた際に都市上層部から依頼を受けたスキルアウトに命を狙われる。

日本

一一 一(ひとつい はじめ)
声 - 谷山紀章
美形の男性アイドル。「御使堕し」事件では、土御門の外見が他人からは彼に見えていた。
火野 神作(ひの じんさく)
脱獄した死刑囚。連続殺人犯。
こっくりさんのように、自らナイフで文字を彫り、これを「エンゼルさま」の啓示として従う。この啓示によって28人にも及ぶ大量殺人を犯して逮捕されるが、「御使堕し」事件と前後して脱獄する。相手を襲う際、人が不快に感じる点を突くことで不安心を掻き立てることを得意とする。
脱獄後、上条達がいる浜辺にまで逃げてくる。そこで上条に襲い掛かるがミーシャに撃退され、町へ逃げて偶然にも上条の実家に立てこもる。姿が変化していないことから「御使堕し」の犯人と考えられ、上条達の追跡を受ける。そして上条達に捕まるが、実は二重人格者で、「御使堕し」の影響では中の人格が入れ替わっていたことが判明する。その後、警察に再逮捕された。
アニメ版ではストーリーが大幅に変更されたため、登場しない。
田中(たなか)
上条刀夜と同じ会社に勤める男性。登場時は新入社員で、刀夜とともにロンドンに出張していた。御坂旅掛や原石の少女と出会い、トラブルに巻き込まれる。
郭(くるわ)
半蔵に付きまとっているくノ一の少女。伊賀七天女の一人[43]
茶髪に濃い化粧や大量のアクセサリーを身につけ、丈が異常に短い浴衣を着ている。一つの目的のために死をも厭わない、忍びらしからぬ武士道精神の持ち主。伊賀出身で現代に忍を再興させるため、何かにつけて半蔵を引き込もうとしている。最初は最新の装備という事で拳銃を武器にしていたが、浜面に忍者らしくないと酷く落胆されたので携帯を辞め、新たに暗器として鎖鎌を用意したものの、目立ちすぎで忍びの武器じゃないと半蔵に酷評された。
「新約」にて本編に登場。フレメアを守ろうとする浜面に協力した。
「超電磁砲」では少年院を脱獄した元甲賀の釣鐘に弟子入りを請われる。
加納 神華(かのう しんか)
学園都市第6位の超能力者「藍花悦」を名乗っていた少年。小柄で幼い印象の顔立ちで肩まで伸ばしたセミロングの茶髪といった容姿をしている。黒系のフードを頭にかぶっていたが、後にはずすようになる[6][100]
友人であるフレンダ=セイヴェルンを追って学園都市へ入り込もうとするも、暗部に関わる事態に踏み込もうとしていたため、仲介人の横須賀から学園都市に入るために「藍花悦」を名乗ることを提案され、以降藍花悦として振る舞っている。フレンダの行方を探るべくダイヤノイドに潜入し、そこで上条と出会うがその際にサンジェルマンと遭遇し、ダイヤノイドの戦いに巻き込まれる。サンジェルマンの目的が自分にあると知ると、周りの人間を逃がすために単独でサンジェルマンに接触する。しかしそこでサンジェルマンから友人のフレンダの訃報とそのときの状況を見せつけられ絶叫し、「上条当麻がいなかったからフレンダが死んだ」というサンジェルマンの言葉に惑わされ上条に対する復讐を決意する。その後上条ではなくフレンダと同じ「アイテム」であった浜面が現れ彼と戦おうとするが、上条がフレンダの部屋から持ち出した自分への誕生日プレゼント[注 17] と彼女の自分への録音メッセージを聞いたことで「藍花悦」としての身分を捨て、自分の本当の名前を名乗りフレンダの死を利用したサンジェルマンに立ち向かい、上条、浜面、麦野たち「アイテム」やインデックスとオティヌスとを交えた総力戦の末サンジェルマンを撃破する。一人称は基本的に「ボク」だが、自分の本名を明かしたときには「おれ」を使っていた。

ロシア連邦

ソールジエ=I=クライニコフ
ロシア連邦大統領。名前のみ登場。
ディグルヴ(Digurv)
声 - 山本格
エリザリーナ独立国同盟との国境付近にある集落に住む男性。かつて観光ガイドをしていた経験があり、日本語が話せる。
ロシアに入国していた浜面たちと出会い、浜面の運転するディーゼル車軽油を交換条件に、体調不良の滝壺に医者を紹介した。その後、侵攻してきた「プライベーティア」に対して応戦しようとする浜面に加勢し、浜面やグリッキンとともに高射砲に乗り込んでプライベーティアを撃退した。また、戦争後に学園都市の部隊によって包囲されていた「アイテム」の面々を、武装した仲間と共に助け出している。

ロシア軍

グリッキン
ロシア空軍に所属していた兵士。
空軍基地の内勤であったが、第三次世界大戦で学園都市側からの攻撃を受ける。敗走途中に凍傷となっていた所、エリザリーナ独立国同盟の前線に近い集落に辿り着き、浜面たちによって保護される。その後、独立国同盟への侵攻作戦においてロシア軍がプライベーティアを派遣すると、自らを見捨てたロシア軍への失望と助けてくれた浜面達への恩義から、共に高射砲を操ってプライベーティアを撃退した。
エカリエーリャ=A=プロンスカヤ
ロシア空軍に所属する女性パイロット。第三次世界大戦で、日本海上空で学園都市の誇る防空部隊に翻弄される。
アンツェカ=S=クファルク
ロシア軍に所属する男性兵士。第三次世界大戦で、ロシア中央部で戦車の指揮官を務める。
セリック=G=キールノフ
ロシア軍に所属する男性。第三次世界大戦において、エリザリーナ独立国同盟に派遣されたスパイ。一方通行に捕縛され、拷問を受けて軍の計画を白状する。

アメリカ合衆国

ロベルト=カッツェ
アメリカ合衆国大統領ヒスパニック系の40代男性で、凄みを感じさせる海賊のような外見の筋肉質な巨漢。失言の度に支持率を上げる通称「ミスタースキャンダル」。メキシコ国境を縦断した不法移民からスタートし、文字や計算を覚えて選挙制度そのものの修正に成功、高校中退初・独身初の大統領となる。
「ミスタースキャンダル」の異名通り、ジョークを好む軽い性格で、知性は感じられず、卑猥で下品な言動も多いが、大統領としての自覚と正義感を持つ。女、酒、車、銃、ギャンブル、アメコミ、遊園地、ハリウッドの感動話、ポップコーン、ハンバーガー、青春を好む。正義か性欲が関わる瞬間に限り規格外の怪物に化けられる人物で、逢引きのために最大級の警戒をしているホワイトハウスから脱走するという忍者アクション顔負けのスキルを備えている。補佐官からは「常識人を怒らせる事にかけて右に出る者はいない」と言われており、ホワイトハウスには本人の私物より部下達のストレス解消グッズが多い。外見のせいか、出会う人々の多くが大統領本人であると正しく認識できておらず、モノマネ芸人扱いばかり受ける。あまりのキャラの濃さから上条はハワイの印象が大統領のことしか残っていなかったほど。
グレムリンの陰謀をいち早く察し、それに対処するべく「インペリアルパッケージ」を片手に単身姿を隠しながらハワイで調査を行っていた。その後、一方通行を助けたことで、上条達と共闘し、「起爆剤」の妨害とその後のトライデントとの戦闘に関わることとなる。
オティヌス討伐作戦時には軍の回線を通して上条の説明を聞き、その説得に応じて参加国の中ではいち早く彼に味方することを決めた。
12月26日にロサンゼルス3,000万人の「消失」を確認すると、「オペレーション・オーバーロードリベンジ」の指揮を執っていたイギリス清教へ連絡。そしてチャリティーのオンライン討論会で、野党側からロサンゼルスの住民消失や学園都市のクローン製造などについて説明を求められたが、軍用量産クローンである「妹達」の参戦を中継で見ると、万人に平等にチャンスが与えられる合衆国の代表としてクローンという人間を生まれで差別しないと宣言し、話の中でメルザベスが黒幕だと口を滑らせたダリス副大統領こそが真の黒幕だと看破する。そして懐に忍ばせていたセミオート式のショットガンで銃撃戦を演じ、最後は殴り飛ばして無力化したが、これは魔術で作った砂人形だった。
ローズライン=クラックハルト
アメリカ合衆国大統領補佐官。30代前半の女性。基本的に常識人であるが、目的のためには手段を選ばない冷酷な面も持つ。一方で不意なアクシデントへの対応は苦手であり、ロベルトからは「ジャパニーズツンデレの素質あり」と評される。大統領との関係にゲスな勘ぐりを入れたマスコミに鉄拳制裁した過去から、セクハラ被害者を庇護する守護神として有名。
行方をくらましたロベルトを捜索する最中、トライデントの襲撃を受ける。その後、黒幕がオーレイだと気づき、交渉を有利に進めるためリンディの確保に動く。
オーレイ=ブルーシェイク
アメリカ有数の資産家にして事業家。祖父から受け継いだあらゆるマスメディアを掌握し、「メディア王」と称される女性。「米国を動かす重要人物100」の中においても大きな支配力を持ち、「第3の議院」と呼ばれるほどの影響力を有する。
アメリカのオカルトに対する脆さを危惧しており、グレムリンやPMCトライデントを利用して、アメリカを宗教国家に変えようと目論む。F.C.E.によるインターネットを介した防犯カメラ網を利用し、ハワイ中の人の動きを掌握した。しかし、計画が失敗に終わり追求を避けるために姿をくらましていたことが徒となり、大統領を中心とした動きで自分の知らぬ間に資産の全てが娘に生前分与され無一文にまで転落、これまで多く作ってきた敵による暗殺の危険から逃れるために刑務所に出頭するのが最善であると部下から提案される。
リンディ=ブルーシェイク
オーレイの娘。カウアイ島ナパリコーストに住む8歳の少女。
母親のオーレイからDVを受けていたため不仲。両親の離婚後は情報操作により母方に親権が認められていたものの、オーレイの危険性から政府により緊急保護され、親元を離れて暮らしていた。以来母親に知られることもなく平穏な生活を送っていたが、オーレイの唯一の弱点ということで事件に巻き込まれトライデントや海兵隊に狙われる。上条らの手で救出された後で母親の資産を生前分与されたが、事件による被害に対する保証金としてその多くが使われることになった。
ハーザック=ローラス
リンディの保護者役。身長2mを超える長身のネイティブハワイアン系男性。事件後、リンディの後見人となる。
ジョージ=キングダム
スターゲート計画を指導していた男。CIAを自由に扱える権限を持つ。
「原石」の回収を指示していたが、「妹達」の妨害によって失敗した上に自身も絹旗に襲撃された。
ジェニー
母親と共にオアフ島を訪れていた観光客。5歳の白人少女。偶然ロベルトに出くわす。
エドワード=トーキー
商談のためオアフ島を訪れていた男性。サローニャに操られロベルトを襲撃しようとしたが、一方通行とレイヴィニアによって阻止された。
ウェック=ルナサンド
カウアイ島の子供向けサーフィンインストラクター。お人好しで、トライデントに捕まったスティーブを助けようとしたために自身も命を狙われるが、一方通行たちに助けられる。
スティーブ
ウェックのサーフィン教室の教え子。10歳の少年。
メルザベス=グローサリー(Melzabeth=Grocery)
宇宙系ベンチャー企業「スペースエンゲージ社」の社長。インド系アメリカ人の銀髪褐色の女性。全幅5,000mもの巨大空中式宇宙機発射台「ロジスティクホーネット」を開発した天才技術者。日本語、英語、ロシア語を話せる。
多段式ロケット「ウラノスⅢ」の大気圏離脱失敗事故で夫を29歳で失い、夫の悲劇を繰り返させないため、娘の結婚式を宇宙で行うという夢のために民間宇宙旅行を目的とする会社を設立したが、物流インフラ機材と設計図の使用権利を欲したR&Cオカルティクスに娘を人質に取られて重要な傘下独立部門となり、支援の皮を被った侵略を受けて隷属状態にあった。だが、R&Cオカルティクスから与えられる金を汚いものと拒んでいたようで、使用していた携帯電話はスペックを落とした廉価版、拠点のホテルは格安のシングルルーム、衣類は安物といったようにとことんまでに質素な生活をしていた。
天才的な頭脳と常人の善性を併せ持つアインシュタイン以上の人格者としてアンナ=シュプレンゲルに目を付けられ、頼れる仲間が欲しくなった彼女からの気まぐれで悪趣味な「報復作戦」により、ロサンゼルスの「消失」事件の黒幕に仕立て上げられそうになる。自身も「黄色化」の対象になって「消失」していたが、事前にいくつかの暗号を刻んだスマートウォッチを金庫の中に隠しており、相手の攻撃の仕掛けや娘のヘルカリアが隠れている場所についての情報を残していた。最終的に上条らの奮闘で救出され、事件後はお礼として上条の頬にキスをした。12月29日には日本に帰った上条からの連絡を受けて、レディバードの頭脳部分とロジスティクスホーネットの完全自立型光ニューロコンピュータとを無線ネットワークで結びつけ、再起動させる。
ヘルカリア=グローサリー
メルザベスの娘。長い銀髪に小麦色の肌の女の子。年齢は10歳くらい。12月28日生まれ。
人口3,000万人が「消失」したロサンゼルスで、たった一人でダウンタウンダイナー「チープパーティ」に隠れており、母が残していた暗号を辿ってきた上条達に保護される。高圧的なステイルに怯え、英語がろくに話せず会話の輪に入っていなかった上条に懐く。アンナの仕込みのせいで、母親がR&Cオカルティクスと組んでロサンゼルスを壊滅させたのではないかと疑ったが、上条がその嫌疑を晴らした。上条がステイルに排除されてからはインデックスと共に行動し、事件後は無事に母親と再会する。
ハーヴァス=スプリング
通信設備の設置や修理を請け負うプロバイダ会社の通信機器敷設作業員。大柄な黒人。所属は州をまたいだラスベガス支店だが、禁酒家だったせいで、12月25日に住民3,000万人が行方不明になったロサンゼルスの様子を見てくるよう理不尽な出動を命じられ、市内30ヶ所の地上通信機器が適切に作動しているかを調べるだけのはずだったが、ロサンゼルス市内に深く切り込んだあたりで華氏マイナス4度(氷点下20度)という寒波にいきなり襲われたうえ、キトリニタスの魔術攻撃を受けて「消失」してしまう。

アメリカ軍

バックス=シェルヴァ
海兵隊パールハーバー第三基地の司令官。
ニケ=カノークス
海兵隊パールハーバー第三基地所属の海兵隊員。アフリカ系の男性。基地に突然現れたロベルトをモノマネ芸人だと勘違いする。
アーク=ダニエルズ
海兵隊パールハーバー第三基地所属の海兵隊員。他の隊員たちとロベルトの救出に向かうが、トライデントの攻撃を受ける。
アルフレッド=サードマン
グランドアロー空軍基地の司令官。ハワイ諸島へ救援部隊を送るために行動を起こす。
マーティン=フラワーズ
海兵隊伍長。ロベルトの命を狙いだした同僚からロベルトを救う。
エルート=ラックス、シャオロン=ハルヴァード
それぞれ海兵隊軍曹、上等兵。マーティンの意志に同調する。
イングリット=マーティン
軍曹。ギリースーツを纏った女性。コードネームは「ホワイトライオン」。既婚子持ちの妹がいる。
正規番号を割り当てられていないコマンドで、常に越境作戦に従事する精兵。戦車隊を率いてデンマークのビルンで上条・オティヌスの捜索「北欧の風」作戦を指導する。上条らの拿捕に成功するが、ロベルトの指示により解放し、その後の学園都市の攻撃では一時的に行動を共にした。その後も上条らを監視し続けている。
リンクス、ジャガー
イングリットと同じ隊に属するコマンド。本名は不明。

ナチュラルセレクター関係者

サフリー=オープンデイズ
ナチュラルセレクター」参加選手の一人である総合格闘家
20歳前後で肩までかかる金髪の白人女性。青系のパーティドレスの上に革のベルトを縛り付けた服装をしている。何事にも爽快感を追求し、後味の悪い展開や状況を嫌う性格。根っからの格闘馬鹿であり、爽快感を極めれば純度の高い感動的な破壊が生まれるという持論を持つ。
異能に頼らない格闘技の力を広く知らしめスポンサーを求めるという単純な目的で大会に参加している。そのため必ずしも大会には固執せず、バゲージシティの崩壊や異能の持ち主との対戦にもあまり動じない。
ナチュラルセレクター崩壊時に加群から上条当麻を探すよう助言され、生き残りに声をかけて協力を求めつつ、マリアンに敗れて昏倒していた鞠亜を介抱する。マリアンの「戦乱の剣」により心停止に陥るも上条の介入で蘇生、事件後は鞠亜とメル友になったらしい。
近江 手裏(おうみ しゅり)
「ナチュラルセレクター」参加選手の一人である甲賀くノ一。甲賀三比丘尼の一人[43]杉谷とは別の派閥で、講談読本で語られる空想上の忍術を実現しようとする一派に所属する。本物の異能を使った忍術を完成させる事を目的とする。『超電磁砲』にも登場する。
徹底的な肉体改造によって体格の成長が止まり、ボツリヌス菌を利用した肌の調整なども加えることで外見年齢10歳前後を保っている30代の女性。長い茶髪にチアリーダーのような服装、肩紐の付いた学生鞄を背負っている。すでに高位のため甲賀の里にいれば安泰なのだが、常に先陣を切って潜入し、また殿を務めたがり、陽動として敵の注意を引き付け仲間の任務遂行を助ける要としての役割を担っている。少女を装って潜入する機会が多いため、ここ数十年の子供のブームに詳しい。本人は勉強のためと主張しているが、日曜朝はテレビの前から離れないほか、20代の時にカエルに爆竹を突っ込む遊びをするなど見た目通り子供っぽいところがある。
異能にはあまり慣れていないが、園芸スコップ型のくないなどの道具を使いこなし、マリアンを手持ちの道具だけで敗走させるなど高い能力を持つ。失伝した忍具の再現を行なっており、最近では効果音以外は完璧に再現した煙玉を開発している。
10月には釣鐘の手引きで部下3名と学園都市に侵入し、本来の目的まで1週間空いたことから、忍術に転化できる技術や能力を持ち出すため、第二少年院の「脱獄トライアル」に参加を決める。第3位の美琴に目を付け情報収集のため接近するが、他の参加者の能力の暴走で尾てい骨を負傷してリタイア。イベント終了後に突如釣鐘から襲われ、痺れ薬付き武器で斬り付けられたためやむなく撤退する。その後は離れた場所から黒子と釣鐘の戦いを監視し、どれほど有用でも学園都市の技術を忍術に取り入れるのは危険すぎると判断、上忍として二度と近づかないよう布告をする。また、甲賀を裏切った釣鐘に対しては、学園都市の技術のリスクを証明したこと、既に学園都市の人間であることを考慮して、抜け忍として処分することなく学園都市の法に処断を委ねることを決定した[23]
11月にはナチュラルセレクターに参加したが、大会の崩壊と円周の襲撃で部下の多くと連絡が取れなくなり、学園都市から来た鞠亜と行動を共にする。当初は超常の力に翻弄されたが、鞠亜がマリアンの攻撃で昏倒した後は部下が確保したシギンからの「助言」で、逆にマリアンを追い詰めていく。サフリーと接触した後はしばらく別行動していたが、円周が手にした高出力ライターを弾いて鞠亜の勝利に貢献した。再び現れたマリアンの「戦乱の剣」への恐怖から心停止したものの上条の介入で蘇生、その後は鞠亜にも連絡先を教えぬまま姿を消す。
ウェイスランド=ストライニコフ
反学園都市サイエンスガーディアンの重鎮を務める老人。ウートガルザロキ共々、乱数に襲撃される。
オーサッド=フレイクヘルム
「ナチュラルセレクター」参加者の一人。2m近い巨漢の男性。電磁波攻撃を行うらしい胡散臭い道具を使う。1回戦でサフリーと戦い、敗北する。
ミストレイ=フレイクヘルム
オーサッドの娘。小柄な少女。自称「えむあいびー」の利益優先主義者に誘拐されていた。
エールズ=ビッグアント
「ナチュラルセレクター」参加者の男性。円周によって殺害される。
シャール=ベリラン
反学園都市サイエンスガーディアンに雇われたガードマン。20代半ばの男性。切り替えの早さのおかげで、戦闘後も生き延びることができた。
坂田(さかた)、浅井(あさい)、野洲(やす)
近江手裏と同僚の甲賀の忍。「ナチュラルセレクター」に潜入し、近江と別行動をしていたところ、円周に襲撃され、通信機越しに異音を残して消息不明となる。
『超電磁砲』にも登場。「獄門開錠編」で手裏と学園都市に潜入し、「脱獄トライアル」に参加する。

上里勢力

上里 翔流(かみさと かける)
声 - 松岡禎丞[101]
「どこにでもいる普通の高校生」を自称する茶髪の少年。その言葉通り11月初頭までは学園都市外に住むごく普通の高校生でしかなかったが、オティヌスが活動を開始し上条が彼女と戦うこととなったことで危機感を覚えた「魔神」たちから、無意識のうちに「理想送り」を与えられる。その結果、「神々との殺し合い」のような異常な場面でしか役に立たないような突き抜けすぎた個性を得てしまったことに苦悩し、同時に「救い」によって自分が尊敬していた少女たちとの関係性が変化してしまったことに憤り、「魔神」たちと敵対する。
「女の形をしていればなんでも救ってしまう」という性質を自覚し、救った女性たちから向けられる好意も理解している。周囲の変化は「魔神」たちによって歪められた結果だと考えていたが、上条からは自身が持つ何らかの求心力が彼女たちを惹きつけているのではないかと指摘されており、事実木原唯一の手で能力を奪われてからも彼女たちは自分の元から離れようとはしなかった。
普通を自認しているものの、家族からも厄介者扱いされる義妹を見捨てずに手を差し伸べ続ける一方で、一切の躊躇なく目的を遂行しようとする歪みをもっていることや、市販品だけを武器に巨大怪獣並みのエレメントを撃破するなど明らかに「普通」の範疇に収まらない異常性を持っており、オティヌスも上条よりは自分自身に似た精神性を有すると評している。「魔神」達は何か問題に直面したときに正確な青写真を書いて実際に何とかできてしまうような特殊性について言及しており、その個性が「理想送り」を引き寄せたのだろうと考えている。
実戦経験が1カ月に満たないにもかかわらず、その能力を使い、真のグレムリンを壊滅させた。学園都市に潜入しとある中高一貫校に転校、そのまま上条のもとに向かい対話を試みるが考え方を理解されず訣別。パトリシアを救うため一時的に協力したが、その後激突し、「幻想殺し」を倒したものの、その奥に存在するものに重傷を負わされ、直後に対峙した脳幹とも戦い彼に瀕死の重傷を負わせている。自身が通う高校に通うことになった上条を彼の勢力の側から切り崩し、暴走する義妹を止めるために勢力の中心である上条の殺害を図るが失敗、明日香に変装した木原唯一によって右手を切断され、「理想送り」を失ってしまう。その復讐のために力を蓄え、上条の協力を取り付けて行動を開始し唯一を追い詰めたかに見えたが、彼女が上里勢力を巻き添えにして自滅しようとしたため、それを防ぐために自らの意思で「理想送り」の手にかかることを決め、この世界から「消滅」する。
その後は「魔神」達がいる「新天地」へと送られ、彼らの八つ当たりによってボコボコにされた後で惑星規模の壮絶なケンカに巻き込まれていたが、自分の力が輝く異世界で「魔神」たちとの戦いに身を投じるのではなくありふれた世界で挑戦し続けることを選び、府蘭と琉華がネフテュスの残滓を利用して発動させた「類感魔術」によって元の世界へ帰還した。「理想送り」も自身の元へ戻ってきたが体につなぎ直すことに関しては保留としている。
能力は「理想送り(ワールドリジェクター)」。右手が作った影を起点に発動し、願望の重複によって現世にすがりながら新たな天地を望むものを同時間軸の余剰領域に追放する能力で、対象が「魔神」であろうと問答無用で「新天地」へと送ることができる。「魔神」たちは新天地への希望という抗いがたい快感に囚われたまま消滅する。「幻想殺し」とは違い「新たな天地を望むか」という言葉を発する事が発動条件で、影に触れただけでは発動しない。また、対象となる存在が作り上げた物品に関してもその効果が発揮される。一方で、ブレない筋を持った人物に対してはうまく能力が作用せず、表層から深層へ順に作用するためタイムラグが生じるという弱点もあるほか、己に迷いを持っている上里自身をも消し飛ばしてしまう危険性がある。科学的な視点で見ると空間移動の応用に近いが、質量保存の法則相対性理論もぶち抜いていて、原子崩壊を伴う大爆発を起こさないのが不思議なレベルの超常現象だと唯一は評している。新天地を望む「魔神」たちの夢から生まれた能力であり、誕生の経緯からオティヌスは「世界を巻き込む自殺ごっこ」と彼らを揶揄している。
田妻 暮亞(たづま くれあ)
上里と同じクラスの園芸部員。「科学サイド」に分類される、分厚い眼鏡をかけ髪を2つに縛り白いワンピースを身に纏う少女。むっつりスケベ。
原石」の一人で、植物に近い細胞でできた肉体を持つ。再生力が高く、菌類や藻類の「接合」を利用して金属からプラスチックまで様々なものを取り込み、その性質を利用できる。その性質上無限再生が可能なので、生命力が非常に強く、腹部に穴を開けられた程度では致命傷にもならない。さらに植物性アルコールを燃焼させることで高速飛行まで可能。
その能力を使ってパトリシアからサンプル=ショゴスを取り除くために尽力する。その翌日には美琴と交戦する去鳴を制止しようとして失敗、胴体を切断されるが自身の体質のおかげで一命は取り留めた。上里の復讐戦ではA.A.A.のハリボテを身につけて囮となっていたが、上里の消滅と帰還の可能性を上条から告げられると他のメンバー同様彼を攻撃しようとしたため、府蘭によって撃墜される。その後、短時間で完全復活し、A.A.A.を実戦可能なものへ作り替えて「営巣部隊」のヘリに攻撃をしかけたが、巨大化した冥亞の転倒に巻き込まれ戦闘不能になった。
獲冴(エルザ)
上里の幼馴染で「魔術サイド」に所属する。キツネ耳にも見えるザク切りの髪の少女。巨乳で料理上手なことは隠したがっている。不良風だが意外と乙女なところがある。
ペットボトルに入れた10円玉を利用して、こっくりさん「のようなもの」を作って自在に憑依させる術式を使う。無数の10円玉を自在に操ることができ、高速で降り注がせることによる面制圧なども可能。
上条との初戦ではインデックスの「強制詠唱」を受けて10円玉の制御を失い戦闘不能になったが、翌々日の戦闘では魔術で上条を戦闘不能に追い込んだ。
有村 絵恋(ありむら えれん)
辿り屋」を自称する「科学サイド」に属する少女。京都弁で話し、ぶかぶかの白衣と礼服を身に纏う。自分に「恋」を教えてくれた上里を慕う。戦闘向きではないが情報解析を得意とし、繊細な鑑識技術を駆使して後方支援に徹する。
五感全てを徹底数値化することができる「完全官能検査機材」という体質の持ち主で、非公式な科学捜査を生業としている。唾液毛髪靴跡などの様々な地面残留物を感知し続けるので、相手がどれだけ隠蔽工作したとしても、相手が地上に足跡を残す限り、時間の長短はあれど必ず標的の居場所まで辿り着く事が可能。また、最新機材を使ったガスクロマトグラフィー炭素年代測定なども得意とする。
上里勢力が唯一に掌握された後は上条と府蘭の追跡を主導し、府蘭が上里と話す時にストレスを感じていた事を思い出して、彼女が上里勢力に潜入していたイギリス清教の魔術師である事を看破する。雷矛の大トカゲに乗って府蘭達を追跡したが、上条が「幻想殺し」で大トカゲを分断したために車道のアスファルトに投げ出されて重傷を負い、それでも自分達を騙し続けた府蘭に上里を任せられないと一人で上条に立ち向かい、敗北して戦線離脱する。
去鳴(サロメ)
声 - 本渡楓[102]
上里の義妹で「絶滅犯」と呼ばれる少女。CDのように輝く銀髪を悪魔の角のように丸め、小柄だがメリハリの利いた日焼跡の残る肢体を半透明のレインコートに包んでいる。ピーマンが苦手。
義理の兄以外の家族との縁は限りなく薄くなっており、彼が「理想送り」を手にする前から狩猟感覚でカルト教団や麻薬密輸集団を潰していた。自覚のある狂人だったが、それゆえに自身に対して「普通」に接する義兄には深く感謝し惚れ込んでいる。首から下げる懐中時計も義兄との大切な思い出の品である。頭部に付けた電極により精神世界の迷宮に閉じ込められていたが、義兄を元に戻すために脱走して学園都市に侵入。鎖仁と恋因が残したリストをもとに上条勢力をつぶすために浜面・美琴・一方通行に接触するが思うような成果が得られず、すべての元凶である取り巻きの女たちを全滅させるため上条と手を組む。その後「理想送り」を奪った木原唯一とも交戦することとなった。上里の消滅後は、悩みながらも帰還の希望を捨てられず唯一に味方をする。その間は唯一から特に手酷くいたぶられていたが、義兄の帰還を知ると彼女に反旗を翻して奪い返した「理想送り」を持って合流した。
ケルト式の「生贄」を応用した2つの術式を使う魔術師。「外的御供(がいてきごくう)」は素手で破壊した攻撃を吸収し性質と破壊力を上乗せするという術式で、連鎖を続けることで威力が上昇し続けるが、破壊できない強度のモノや武具の体を為していない攻撃手段は利用できず、3分以上武器の補給を繰り返さなければニュートラル状態に戻ってしまう。「内的御供(ないてきごくう)」は自らの肉体に薬品的サイボーグ処理を施して、余った血肉を神に捧げて身体能力を急激に上昇させる術式。
烏丸 府蘭(からすま ふらん)
声 - 伊藤美来[103]
上里勢力の一員であるパジャマ少女。語尾に「〜です」を付ける口調が特徴。イギリス原産のマスコット「ウサギグレイ」の大ファン。小心者だが上里にさえ理解してもらえればいいとも思っている。UFOを探すため無線機を詰め込んだリュックを背負い首筋にインプラントを移植し、巨大風船を片手に年中無休で遊覧飛行しているという変わり者だが、無線通信や天体観測に詳しく、情報戦では絵恋に匹敵する実力者。ウサギグレイを模したファンアート作品で「ウサギグレイメッセンジャー」という全長360mはある高出力マイクロ波方式の銀河間通信ステーションを自作しており、ここから放たれるマイクロ波を利用して都市一つを丸ごと加熱したり、収束させてレーザーのように焼き切る攻撃ができる。
エレメント襲来時には敵が高温に弱いという性質を持つ事から、学園都市中にマイクロ波を照射することで気温を55℃にまで上昇させていた。上里消滅時には唯一から直接呪縛をかけられずに済んだため、上里を救い出そうとする上条と協力体制を築くことになる。
科学サイド寄りの「原石」系能力者であると周囲には告げていたが、その正体はイギリス清教所属の諜報員にして「黄金」系の魔術師であり、いわば「上里翔流版の土御門元春」のような存在。魔術師としては凶星のエキスパートで、星の光を撃符や護符に込めて任意に引き出すことができる。唯一が仕掛けた呪縛の効果が薄かったのも他の少女達とは異なる立ち位置から上里に近づいていたためだったが、彼と接する内に本物の好意を抱いていた模様。立場上はローラの直属で、上里勢力が学園都市に向かったのもローラの指示を受けて誘導した結果であった。
一連の逃走劇の中で正体が露見してしまうも、そのことを逆に利用して自身の失恋を大々的に宣言する事で学園都市の世論を味方に付け、ウサギグレイメッセンジャーを第21学区に墜落させることで上里勢力もろとも「営巣部隊」の本拠地を潰す。その後も上里の帰還に向けて尽力し、A.A.A.を利用した一度目の呼び戻しは冥亞に妨害されたものの、パトリシアの体内にあったネフテュスの残滓を利用した再挑戦で作戦は成功、事件後は責任を取るように上里勢力を離れる。学園都市を彷徨っているところでイギリス清教に直接繋がる人材としてアレイスターに身柄を狙われることになるが、自分と似た立場である土御門に危地を救われ上条との再合流を目指す。脱出を目前にして協力者の義妹である舞歌が魔術の被害に遭ったため「窓のないビル」へ引き返すことになり、内部では土御門が彼女の術を開場する間の時間稼ぎを行った。
実はローラ直属の部下であった頃から自身の知らぬ間にコロンゾンによる肉体改造を受けており、意識のない間は大悪魔の霊媒A・O・フランキスカとして活動している。コロンゾンの意に従い学園都市に対して様々な工作を行っていたが、後述の通り憑依に使っていたルビーをアレイスターに摘出されて解放された。
学園都市の機能停止後はイギリス本土へ向かうアレイスターたちに同行、上条が彼女に囮として利用されると境遇が似たインデックスと共に別行動し、UFO型のバルーンでロンドン市内へ潜入する。逃亡生活に終止符を打つため、終戦後は「王室派」のヴィリアンと交渉して後ろ盾についてもらい、神浄がウィンザー城を乗っ取った事件の際にはエリザードとの戦いに決着を付けた一方通行の前に王女を送り届けた。
A・O・フランキスカ
府蘭のローラ(=コロンゾン)の霊媒としての人格。憑依の核として、3個の最高品質ルビー「ピジョン・ブラッド」を後頭部に埋め込まれており、それがもう1つの顔にも見える。名前はルビーの主成分であるAl2O3ローマ時代末期に活躍したフランク人が使った投げ斧フランキスカに由来するが、正体が府蘭である事を府蘭自身が意識を支配される中で必死でヒントとして残したもの。
アレイスターがかつてネス湖で行い精霊の成りそこないを召喚した魔術実験を再定義し、儀式をあえて失敗させ「何にでも姿を変えられる」性質を持つ細胞質の怪物「ミメティックプレデター」を自由に操ることが出来る。これは質量32kgの範囲内であればどんな形にもなり、体に取り付けて触手状の武器とすることだけでなく、身長130cmに満たない少女に擬態させて移動能力と学習能力のある生体凶器として扱い、上里勢力で学んだ大戦力の管理法を応用して指揮することも可能。さらに、「天使の力」と似て非なる力を流し込まれてシャクティ)の達人のインスタント版となっており、その上、プロセッサスーツを装着する事で、元の運動神経ゼロかつ華奢な体格からは想像できないほどの身体能力を発揮出来るが、生命力の経路が焼き切られる恐れがあるため大出力での長時間運用は不可能。
「窓のないビル」にコロンゾンを招き入れてからは、プロセッサスーツの親機を纏って総合証券取引所の先代「書庫」を破壊し、その機能を受け継ぐ。当日の朝にすれ違っただけの浜面を、自分と縁が薄く、アネリがついていて、簡単には死なないという理由から囮に選び、スペアのスーツを着せて街中に放置するが、そのためにアドレス競合が発生して正常な利用が出来なくなり、スペアを破壊するために執拗に彼を襲撃する。だがリリスやアレイスターの妨害を受け、「霊的蹴たぐり」によるガンマナイフを用いた緊急手術で頭部のルビーを摘出され、排除された。
鎖仁(サニー)、恋因(レイン)
姉妹の占い師。地球全体の気象図と星の運行にまつわる天球儀を利用して広範囲・高精度の情報所得が可能な能力を持ち、ヨウ化銀ドライアイスを使って気象を変えることで望む運命を導くこともできる。優秀な「お天気お姉さん」でもあり、天候相場やウェザーデリバリーで資金源にもなっていた。
去鳴の封印を解いてしまい、制御することもできずに返り討ちにあった。
御霊 冥亞(ごりょう めいあ)
人工霧発生装置の中に浮かぶ白装束幽霊少女。元々は自分の名前も死因も思い出せない地縛霊で、「御霊冥亞」という名も本名ではない模様。猫背だが長身で巨乳。わずかに切れ込みの入ったハートにも見える天冠を頭につけている。空対空監視やネットによる情報操作を得意とする。自分が幽霊のままでいる事を認めてくれた上里を慕う。
人工的な「名所」に見立てたドローンの「香炉」から知覚不能な低周波や匂いを振り撒き、人の意識を不安定化させることによって顕現する。肉体を持たず睡眠も必要としないが、匂いによって実体を保つために野菜や果実を常食している。また「触れた感覚」も感じ取れるらしい。時の流れで命の匂いが消える前によそへ擦りつけて移せば存在を保つ事ができるが、大元の匂いを生み出せないため、一度匂いが消えてしまえば存在ごと消失してしまうという弱点があり、府蘭が使用したマイクロ波攻撃などは天敵と言え、「香炉」の飛行を阻害する突風も苦手。だが、調合・配分を変化させることで国家を揺るがす御霊と化すこともでき、この状態では高層ビル並みの巨体となって、「香炉」も必要とせず半永久機関となってほぼ無敵の状態を維持し続ける。
唯一が上里勢力の頂点に立ってからは彼女に渋々従い、第5学区の大学構内に設けられた避難所【学会】の王となりネットの主格として情報操作を行う。府蘭が上空から落とした「ウサギグレイメッセンジャー」に「香炉」を破壊されてしまったが、御霊化することで存在を保ち巨大化して上条達を猛追する。その後、ミントを育てていた農業ビルを破壊したことで匂いの配分が乱されて実体が崩壊してしまったが、学園都市の技術で「香炉」を作り直したことで以前より調子がよくなった模様。
豊山 琉華(とやま るか)
片目のファッション眼帯と海賊帽、ミニスカートに身を包み、カトラスマスケット銃で武装した海賊少女。年齢は15歳くらい、瞳は青く、金色のカールした髪を肩甲骨のあたりまで伸ばしている。元々はどこかへ繋がる海を愛する絵描きであり、自分の絵に込められた想いをただ一人正確に理解した上里に対して好意を持つようになった。カリブ海の海賊ブードゥー教が結びついた特殊な戦闘職で、実働部隊の戦闘要員の中でも高火力を有する。また、中型自動二輪車までの運転免許を所持している。真面目だが期待され持ち上げられると空回りして失敗するタイプ。
儀式を管理するブードゥーの門の神レグバ=アティボン英語版に師事する魔術師。全ての儀式に間接登場するため特定の儀礼日が存在せず、あらゆる時間に存在しているとも定義できるというレグバ=アティボンの性質を応用し、主観時間を制御する術式を使用する。これにより肉体年齢を自在に変化させたり、時間のかかる大魔術を一瞬で発動させることが可能となるほか、生理痛酩酊を短時間で治すこともできる。
上里の消滅後は渋々唯一に従っていたが、上里勢力内でも優れた魔術師であることを府蘭から教えられた上条に説得され彼らに協力する事を決め、「類感」を利用した魔術で上里を「新天地」から呼び戻す事を提案する。府蘭の正体を知ってからも彼らの味方に付き続けて上里の帰還に尽力、学園都市中に配置した火薬で魔法陣を描いて儀式を完遂し、事件後は上里勢力に戻った。
沢井 織雛(さわい おりびあ)
作中に登場するギミックならば科学だろうが魔術だろうが片っ端から再現してしまうコスプレ少女。実働部隊の戦闘要員の中でも高火力を有している。現在の趣味は「超機動少女カナミン」で、ジェットエンジン搭載の巨大化ステッキで空を飛ぶ。
上里消滅後はそのことから目を逸らすために、あえて唯一の命令に従い続ける。上条が搭乗する「営巣部隊」のヘリを攻撃していたが、崩壊し始めた冥亞に接触してしまい、肩を脱臼し墜落したものの一命は取り留める。
芽李(メリー)
豪快な縦ロールと赤いドレスの少女。正真正銘狼に育てられた狼少女で、野獣並みの嗅覚・聴覚・咬合力・脚力を有し、近接戦闘と追跡を得意とする実働部隊の戦闘要員。特に嗅覚は犬をも上回る常人の6,000倍オーバーの鋭敏さで、一度捕捉されれば振り切って逃走するのは困難。
上里消滅後は上条達を追撃し、ウサギグレイメッセンジャー墜落後に一度は彼らに追いつくも、横転した出洞のバスに衝突して戦線離脱。上里帰還後はしばらく野良になっていたようだが、「営巣部隊」のサイレンに反応して遠吠えしていたところを無事捕獲された。
愛燐(アイリーン)
実働部隊の戦闘要員で「現代」兵器マニア。
燦泥(サンディ)
実働部隊の戦闘要員で微生物博士。
姪龍(メロン)
実働部隊の戦闘要員で暗器使い。
瑛魅(エイミ)
実働部隊の戦闘要員で捕食女王。
出洞(デボラ)
大型車両の運転を得意とする。通称・ トラック野郎。
上里消滅後、巨大な黄色いスクールバスを調達して上条達を追走したが、走行中に側面のガラスを割って車内に侵入してきた上条によってバスを横転させられ、気絶し戦線離脱した。
診華(ミルカ)
背中一面からイカやタコのような触腕を生やした少女。一人称は「わらわ」。
牧納(マキナ)
水着にエプロン姿のキッチンドランカー幼妻。四精体内召喚を使う。
米璃(ベリー)
殺人パティシエ。砂糖菓子の投げ槍による攻撃を行う。
零紋(レモン)
アスリートソルジャー。ハンマー投げの競技モデルを使った砲撃を行う。
雷矛(ライム)
和装の背中一面からサンゴじみた天使の羽のようなものを広げ、各々の先端から伸ばした大量の糸によってカラクリ細工の大トカゲを操る女性。
上里消滅後、絵恋を大トカゲに乗せて府蘭達を追っていたが、競技用自転車で追いかけてきた上条に、「幻想殺し」で大トカゲを破壊されて戦線離脱する。
理沙(リサ)、杏奈(アンナ)、入洲(イリス)、丹南(ニナ)、銘撫(メイヴ)、江梨(エリ)、来蘭(クララ)、妹伊(メイ)、聳愛(ソフィア)、精錬(セイレーン)、魔鈴(マリン)、露去(ロザリー)、好楽(スカラー)、夢肖(ユニ)、賑多(ニキータ)、麗美(レミ)、傘厘(キャサリン)、蕩輝(ドロテア)、宛那(アテナ)、夢厨(ミューズ)、数斬(スーザン)、麟堕(リンダ)、比阿(フィーア)、好応(スノウ)、来夏(ライカ)、覇尼(ハニー)、威舞(イヴ)
上里勢力に所属する少女たち。

その他

フロイライン=クロイトゥーネ
魔女狩りの時代より、ありとあらゆる拷問を受けても傷も無く顔色一つ変えず、老いることなく生き続けている長身の女性。
科学と魔術のどちらにも分類できない存在で、殺害すら不可能なために「窓のないビル」に閉じ込めるしかなかった[注 18]。科学の方面からの考察によると、その思考は善悪問わず単純な条件に対する走査の積み重ねで、昆虫をより簡略化させたものでしかない。一方、魔術方面の解釈としては始点でも終点でもない存在で、非常に純粋な存在であるために人間としてはやけに特別であるらしい。そのため、人間の純度を増すことを目的とする十字教の手法では殺すこともできなかったが、理論上では近代西洋魔術の手法で「殺せる身体」へ変貌させることができる。新約22巻で織り成しているのが「全体論能力」であると語られた。上条とトールの「窓のないビル」への攻撃で外への関心を持ち、ビルから脱走した。
「自分だけの現実」を持たない独自の思考回路を持った生命体で、周辺環境から恐るべき速度で情報を吸収し、その性質を変化させていく特徴を備えている。彼女が「窓のないビル」に閉じ込められていたのは、隔離によって情報を与えないようにするためという理由もあり、性質の変化によって人間の脳を捕食する「機能」を獲得、本来2300年かかるとされる羽化までの時間を短縮するために、「ともだち」になったはずのミサカネットワークを統べる打ち止めに対する堪えきれない食欲を感じ、苦悩しつつも本能のままに彼女を狙う。しかし、サンドリヨンの「材料」から作り出された打ち止めの脳のダミーを食したことで、その「機能」は完全に停止、同時に副作用で体が小さくなった。また、友達に対する抱きつき癖がついている。
その後は路上生活をしながらフレメア達と仲良くしているようで、「人的資源」ではゴキブリの群れに宿った薬味を「捕食」で後始末したほか、エレメント襲来時にはその戦闘力を活かして彼女を守っている。オペレーションネーム・ハンドカフスの際にはフレメアや垣根と共にホテルに避難していた。
パトリシア=バードウェイ
声 - 天野聡美[104]
レイヴィニアの妹。SPステイル編のヒロイン。
12歳の少女。髪や瞳の色は姉と同じで顔も似ているが、性格・言動・表情は姉と違い年相応に純真かつ素直で、泣き虫。レイヴィニアが魔術から遠ざけて守っているため、魔術サイドの存在を知らず平凡な一般人の生活を送っており、結社「明け色の陽射し」の事はバードウェイの家柄に関するサークル活動か何かだと思っている。
学校では首席クラスの成績を修め飛び級候補になるほどの天才少女で、様々な機関から研究員として勧誘を受けている。博士号を取って大学主導のプロジェクトを回し、発表された論文は20本以上、学園都市やその協力機関から委託を受けて、研究所や実習船にゲスト研究員として招かれる事もある。本人は学園都市への入学を希望しているが、レイヴィニアらから止められている。
アラスカルーン解析作業に必要な材料である、バードウェイ一族の血縁者を求めたリチャードに狙われ、彼の工作により「背信者」の認定を受けイギリス清教から追われる身となる。学園都市で孤立していた所をテオドシアとステイルに救われ、2人の奮戦によりリチャードの魔の手から守られた。
SPマーク編では、海洋地質学を専攻していたため油田開発プロジェクトに参加し、「宵闇の出口」の息がかかった計画と知らずに運悪く海洋資源調査船「ブルーリサーチ」に乗り合わせた。
南極調査活動に客員研究員として参加した際に新種の寄生生命体「サンプル=ショゴス」に寄生されてしまい、治療施設をたらい回しにされた結果、学園都市にたどり着く。そこで上里勢力に保護され、自分を治すために姉が犠牲となる結末を防ぐべく、彼らに協力を頼む。上里勢力と一時的に協力した上条の尽力も虚しく、窮地に陥って暴れ出した寄生生物を「幻想殺し」が消滅させた事で体内の脂肪が急速に失われて瀕死になるも、ネフテュスの犠牲によって命の危機を免れ、その後は「冥土帰し」の病院に入院中。
イネス
ブラジルリオデジャネイロに住む少女。非常に貧乏な家庭を救うため借金取りと心中しようとしていたが、御坂旅掛と出会って助言を受け、家電ゴミからレアメタルを回収する事業で成功する。
ミュッセ
声 - 徳本英一郎
大型旅客機「スカイバス365」のハイジャックを目論んだフランス人テロリストの一人。
単独で客室に搭乗して行動を起こすが、予定外の事態が連続し混乱する。最終的には上条に倒された。
エーカー=ルゴーニ
声 - 島田岳洋
大型旅客機「スカイバス365」のハイジャックを目論んだフランス人テロリストの一人。
計画失敗時に予定していた機体の爆破のために、貨物室に侵入する。ミュッセが失敗したために爆破を実行しようとするが、上条とステイルによって防がれた。
キネシック=エヴァーズ
PMCトライデントの指揮官。元フランス海軍参謀で、ブリテン・ザ・ハロウィンの際の対応のまずさを押し付けられて失脚した。カウアイ島の民間港に設けた司令部から指揮を執っていたところでロベルトに率いられた海兵隊の攻撃を受け、「アメリカに戦争を仕掛けた罪」という既存の法では裁けない罪を指摘され、オーレイとの契約を破棄し軍を撤退させるよう交渉を受けるが拒絶する。全軍を持って切り札となり得るサローニャの支援を命じたが、彼女が上条に敗北したことを知りやむなく降伏する。
レイモンド=カールマン
PMCトライデント所属の傭兵。
ジョージ=クローズ
ロンドンシティ区にある証券取引所で働いていたインテリ職員。だが実情は借金まみれであり、札束に目が眩んで書類を書き換え、幽霊会社であるR&Cオカルティクスをシティ区に上場させた。イギリス清教や「明け色の日差し」からも目を付けられていたが、汚職データを焼却しようとした際に魔術の暴走によって火だるまになる。
密着微生物
火星に生息していると推測されている知的生命体。
元は地球に生息していた微生物だったが、火星に送られた惑星探査機に付着していたそれが火星の環境に適応し急激な進化を遂げたものと言われている。繊毛が発達しておりその振動で演算し、また群体での並列演算処理と地球からの信号情報を学習することによって、人間に近い高度な思考能力を得たらしい。探査機に搭載された少量の水や酸素ボンベで生き長らえ、探査機のアンテナを使い地球に電磁波を送ることができる。
進化や知性に程度の差があるいくらかの群体がおり、現在では密着微生物同士で内戦状態にあるという。群体の一つは火星から地球の微細乙愛の研究施設へ通信を行っており、彼女に救援を求めている。その他にも、魔術サイドとコンタクトを取った群体や稚拙な電波を飛ばしただけの群体などがいる。
ただしこれらは全て偽装で、小型衛星を使い火星から電波が送られてきたように装って何者かが詐称している可能性もあるというが、真相は明らかになっていない。
ニュイ=マ=アサヌール=ヘカテ=サッポー=イザベル=リリス
アレイスター=クロウリーと妻ローズ=ケリーとの間に誕生した第一子。1904年生まれ。「アレイスターの娘である」というだけで位相の衝突によって生じる火花の悲劇に襲われ命を落とすという運命を背負っており、父の必死の努力もむなしく幼くして腸チフスで命を落としている。
だが、実はエイワスが妊娠中の母に憑依した時に、構造を把握されて別の位相へと退避させられていた。自身の死から100年以上を経て父親がエイワスの光臨を可能とし、自身の肉体を生み出せるようになったことで学園都市内部へ送られる。見た目は元気な赤ん坊だが、実際は肉体も細胞も持たない剥き出しの魂の状態であり、霊格の高さで存在を一時的に固着させているに過ぎない。赤ちゃんとは思えないほどの明晰な頭脳を持ち、母胎から生まれ落ちる前に取り出されたことで得た純粋無垢かつ高い霊格と、生命力の拡散を防ぐために天使から与えられた力により、術式や量子力学も関係なく思念だけで木目調の物体を自在に操るという怪奇現象を起こすことが出来る。ただし、さすがに発声は出来ないため、乳母型の木像に代弁させることで意思疎通を行っていた。
自分に長くて大仰なキラキラネームを付けた父親には思うところがあり、再会した父が驚くほどの美少女になっていたときには大きなショックを受けた。
手配犯と間違われて逃走していた浜面に偶然保護されて、力の弊害で一切の異常も無いのに高熱を出してしまったため第7学区の病院へと届けられる。浜面がA.O.フランキスカに追い詰められていくのを見かねて助けに入るが、力を振るえる限界を迎えたためただの未熟な命として残った。その後は意思疎通手段と物体を操る力を失い、このままではいつ魂が霧散してもおかしくない状態のため、父がイギリスに向かった際にはスフィンクスやミナナイル川からやや離れた「隠れ家」に預けられ、アレイスターにより学園都市から呼び出された「冥途帰し」が治療に当たることになった。原罪抜きの無垢なる魂を持つことから、コロンゾンへの唯一の対抗策として命を落とす覚悟をしていたが、父親達の奮闘で魂を消費せずに済み、アレイスターの死後は遺言でミナが乳母を任された。
ローズ=ケリー
実在の人物で、ローズ・ケリー英語版。アレイスター=クロウリーの妻。儚げな印象の女性。
結婚当初から夫の魔術儀式に付き合わされることも多く、1904年の実験では催眠暗示によるトランス状態で自身の肉体にエイワスを憑依させた。この時に口述した内容をまとめたのが「法の書」である。
新婚時代はオルソラに似た優しい女性だったが、夫が研究の遅れを取り戻そうとK2登頂を行なっている間に娘と死別し、その原因を押し付けられてアルコール依存症になってしまったという。
ブルーストーカー

脚注

注釈

  1. ^ オティヌスが「上条当麻が世界中の敵になった世界」を作り出し、上条と彼が命をかけて戦うというシリアスな場面ですら本名ではなくニックネームで呼んでいた。
  2. ^ 服装も大人用の服がまともに着られないので、子供服を着ているため、見た目の幼さに拍車をかけている。
  3. ^ 座高も極端に低いので、前方がまともに見えているかも不明。車の外からは、「無人の車がひとりでに走っている」と怪奇現象扱いされている。
  4. ^ CD付属のブックレットおよび『禁書目録ノ全テ』での表記。登場したドラマCD内では「サイドアーム」と呼称。
  5. ^ 作中では史実と同じく1947年12月1日に没したとされているが、これも彼の情報操作によるものという設定。
  6. ^ 『超電磁砲』では、男子用のランドセルや半ズボンを所持している、男子小学生の尻に獲物を狙う肉食獣のような視線を向けるなど、ショタコンとしての側面が強調されている。
  7. ^ 滝壺が無意識のうちに使用していた「能力追跡」の干渉を受けた結果と考えられている。
  8. ^ 本名は『超電磁砲』より。本編では「ゴーグルの少年」と呼称されている。
  9. ^ 対象同士が同じ幻覚の中で会話を成立させるなど。
  10. ^ アニメのEDクレジットでは「カエル医者」。
  11. ^ 『超電磁砲』では美琴から「リアルゲコ太」と称された。
  12. ^ 挿絵では前後の露出度が異様に高い水着のような格好として描かれている。
  13. ^ 実際に雷神トールに変装したオッレルスの右腕を切り落とした際に、負の50%が作用して自身の右腕も破損した。
  14. ^ レイヴィニアとは口調まで似ており、『とある魔術のヘヴィーな座敷童が簡単な殺人妃の婚活事情』では姿が見えなかったこともあり、同居人である上条でも人違いしている。
  15. ^ 聖人とは違い、その力をスピードに変換することはできない。
  16. ^ あくまで人間が想像できる程度の「全能」で、本物の「魔神」の全能性には遠く及ばない。
  17. ^ 『超電磁砲』第81話にて生前のフレンダがプレゼントを選んでいる姿が描かれている。
  18. ^ ただ、後述の通り「黄金」の手法で殺せるため、「黄金」メンバーであるアレイスターは敢えて手を出さなかっただけだとされる。

出典

  1. ^ キャラクター紹介
  2. ^ 9巻、43-44ページ。
  3. ^ とある魔術の禁書目録 幻想収束(イマジナリーフェスト)公式の2021年6月1日のツイート2022年7月14日閲覧。
  4. ^ 灰村キヨタカ画集『rainbow spectrum:colors』収録の書き下ろしSS「ラブレター争奪戦」
  5. ^ 『とある魔術の禁書目録9』第一章「炎天下の中での開始合図 commence_hostilities. - 2」(49ページ 1行目)
  6. ^ a b c d 灰村キヨタカのサイト
  7. ^ SP 11頁
  8. ^ 小説『とある科学の超電磁砲』第四章 御坂美琴とお嬢の終わり(p171)
  9. ^ 小説『とある科学の超電磁砲』第一章 白井黒子は躊躇わない(p19)
  10. ^ アニメ版超電磁砲S第14話に於いて上条に話した会話より
  11. ^ 小説『とある科学の超電磁砲』第一章 白井黒子は躊躇わない(p37)
  12. ^ a b 『超電磁砲』第115話。
  13. ^ 『超電磁砲』16巻、p232
  14. ^ 『アストラル・バディ』4巻、p12
  15. ^ 『アストラル・バディ』第1話より。
  16. ^ a b 『超電磁砲』能力実演旅行編SS。
  17. ^ a b 『超電磁砲』幻想御手編。
  18. ^ a b アニメ『超電磁砲』乱雑解放編。
  19. ^ a b アニメ『超電磁砲S』革命未明編。
  20. ^ a b 『超電磁砲』学芸都市編SS。
  21. ^ a b c 『超電磁砲』大覇星祭編。
  22. ^ a b 『超電磁砲』天賦夢路編。
  23. ^ a b c d 『超電磁砲』獄門開錠編。
  24. ^ 8巻、12-13ページ
  25. ^ 8巻、66ページ。
  26. ^ 小説『とある科学の超電磁砲』第一章 白井黒子は躊躇わない(p32)
  27. ^ 『超電磁砲』第113話より。
  28. ^ 創約3巻、284ページ。
  29. ^ とある魔術の禁書目録 幻想収束(イマジナリーフェスト)公式の2021年10月30日のツイート2022年7月14日閲覧。
  30. ^ 新約7巻
  31. ^ アニメ「超電磁砲」第1話中の本人の発言。
  32. ^ 8巻45ページ
  33. ^ a b c 『超電磁砲』16巻、p34
  34. ^ a b ハッカーという言葉は、単にコンピューターやそのネットワークに関する知識や技術(ハッキング)が優れている者を指す総称であり、破壊工作など(クラッキング)を行う者は「クラッカー」と呼ぶ。初春の場合は、そのハッキング技術を善良な目的に利用する「ホワイトハットハッカー」に属し、特にサイバーテロに対する政府機関・民間企業の防衛に従事するサイバーセキュリティ人材を指す。逆に工山の場合、犯罪者気質を持つ「ブラックハットハッカー」に属し、ホワイトハットハッカーと区別される。
  35. ^ 『超電磁砲』学芸都市編SS第5話
  36. ^ アニメ版「超電磁砲S」第17話での固法との会話の中に、「このサーバ自体がトラップですから」というセリフがある。
  37. ^ 小説『とある科学の超電磁砲』第三章 初春飾利もマジメに仕事する(p126-131)
  38. ^ 『アニメ「とある魔術の禁書目録」ノ全テfeaturingアニメ「とある科学の超電磁砲」』
  39. ^ 『超電磁砲』16巻、p33
  40. ^ 「超電磁砲」では入院中の春上のもとにたい焼きを温かいまま届け、春上の不安な心を穏やかにし、「超電磁砲S」では、退院後の枝先と一緒に住むために引っ越すになった春上にたい焼きを贈り、感激した春上は初春と共に号泣した。
  41. ^ 小説『とある科学の超電磁砲』第二章 佐天涙子のドロドロ血祭りパラダイス⭐︎(p100)
  42. ^ とある魔術の禁書目録 幻想収束(イマジナリーフェスト)公式の2020年11月9日のツイート2022年7月14日閲覧。
  43. ^ a b c d 『とある科学の超電磁砲』17巻、p46。
  44. ^ 『アストラル・バディ』4巻、p26-30
  45. ^ 『アストラル・バディ』4巻、p17
  46. ^ 『アストラル・バディ』4巻、p40
  47. ^ 『アストラル・バディ』4巻、p25
  48. ^ 『アストラル・バディ』4巻、p23
  49. ^ とある魔術の禁書目録SP 上条当麻、215ページ。
  50. ^ とある魔術の禁書目録 幻想収束(イマジナリーフェスト)公式の2022年1月13日のツイート2022年7月14日閲覧。
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  54. ^ 新約19巻、15-16ページ。
  55. ^ 『とある魔術の禁書目録SS -バイオハッカー編-』第二話より。本編では「ドレスの少女」と表記されている。
  56. ^ 『とある科学の超電磁砲T』第1話
  57. ^ ファミリーネームは新約1巻で判明。
  58. ^ 新約20巻、319ページ。
  59. ^ 新約21巻、236-238ページ。
  60. ^ とあるプロジェクトTwitter” (2020年7月25日). 2020年7月25日閲覧。
  61. ^ とある魔術の禁書目録 幻想収束(イマジナリーフェスト)公式の2020年3月24日のツイート2022年7月14日閲覧。
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  65. ^ a b 創約5巻あとがき、p486-489
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  91. ^ 創約2巻、79-80ページ
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  93. ^ 2巻、p156-157
  94. ^ 神裂編SS 第3話
  95. ^ 神裂編SS 第5話
  96. ^ 『必要悪の教会』特別編入試験編SS 第2章
  97. ^ 『必要悪の教会』特別編入試験編SS 第3章
  98. ^ 『必要悪の教会』特別編入試験編SS 第5章
  99. ^ 『とあるラジオの禁書目録』第30回より。
  100. ^ 他人の威を借り、正体を曖昧にしていることを象徴しており、後に本当の自分の正体を現したときにはずすようにしたとのこと
  101. ^ とある魔術の禁書目録 幻想収束(イマジナリーフェスト)公式の2021年4月19日のツイート2022年7月14日閲覧。
  102. ^ とある魔術の禁書目録 幻想収束(イマジナリーフェスト)公式の2021年7月3日のツイート2022年7月14日閲覧。
  103. ^ とある魔術の禁書目録 幻想収束(イマジナリーフェスト)公式の2021年4月19日のツイート2022年7月14日閲覧。
  104. ^ とある魔術の禁書目録 幻想収束(イマジナリーフェスト)公式の2021年7月120日のツイート2022年7月14日閲覧。

外部リンク