ダイナモ理論
ダイナモ理論(ダイナモりろん、英: dynamo theory)は、天体が内部の流体運動によって大規模な磁場を生成・維持する働きのこと。ダイナモ効果、ダイナモ作用とも呼ばれる。
地球内部の鉄やニッケルを多く含んだ核(コア)の流動物質が自転と熱対流によって回転することで電流を生じ、この電流が電磁石あるいは発電機(ダイナモ)のように磁場を生成・維持すると考えられている。
ダイナモ理論は地球のような天体が磁場を生成する機構を提案する。
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理論の歴史 [編集]
特殊相対性理論の論文を執筆して間もない1905年に、アルバート・アインシュタインは地磁気の起源を近代物理学が直面している未解決の大問題であるとした。それ以来、地球磁場の歴史的な計測に基づく地磁気ダイナモ問題についての研究が数多くなされてきた。
オームの法則による電流崩壊(磁気双極子の場について2万年以内に発生する)に抗して磁場を維持するためには、外核は対流していなくてはならない。対流は熱的対流と組成的対流の混合と目される。マントルが熱がどこで核から放出されるかの比率を制御する。熱(重力エネルギーを含む)は核の圧縮によって放出され、内核が成長する際に内核との境界において軽い元素(おそらくは硫黄、酸素、またはケイ素)が退けられることで重力のエネルギーが熱として放出され、内核境界における結晶化の潜熱、ならびにカリウム、ウラン、トリウムの放射能[1]によっても熱が放出される。
形式的定義 [編集]
ダイナモ理論は回転し、対流し、通電する流体が磁場を維持する振る舞いのプロセスを述べる。この理論は天体物理学的物体における異常に長命な磁場の存在の説明にも使われる。導電性流体は地球磁場においては外核にある液体の鉄であり、太陽磁場においてはタコクライン (tachocline) のイオン化ガスである。天体物理学的物体のダイナモ理論は磁気流体力学の方程式を用いてどのように流体が継続的に磁場を再生するかを調べる。
古くは実際に双極子(永久磁石)が地球内部の物質の恒久的な磁気を引き起こしており、それが地球磁場のほとんどを成しており、自転軸から11.3度のずれを持っているのだと信じられていた。つまりダイナモ理論はそもそもは太陽の磁場を説明するために地球の磁場と関連づけて使われたということである。しかしながら、この理論が最初に提案されたのは1919年ジョゼフ・ラーモアによってだが[2]、古地磁気学(地磁気逆転を含む)、地震学、および太陽系の元素の多様性など広範囲の各種各様の磁気の研究のために修正を受けた。また、カール・フリードリヒ・ガウスの理論の磁気観測への応用が、地磁気が外部ではなく内部に起源を持つことを明らかにした。
地球の場合、磁場が誘導され定常的に維持されるのは外核における液体の鉄の対流による。磁場の誘導を引き起こすのは回転する液体である。外核での回転は、地球の自転が引き起こすコリオリ効果による。コリオリ力は流体の動きと自転軸に沿ったカラム(テイラー柱参照)の中への電流の流れを組成する。磁場の誘導ないし発生は次の誘導方程式で記述される:

ここで
は速度、
は磁場、
は時間、
は電気伝導率
と透磁率
による磁気拡散率である。右辺第二項の第一項に対する比率は、磁場の拡散の移流についての無次元の比率である磁気レイノルズ数を与える。
力学的ダイナモ理論 [編集]
力学的ダイナモ理論では、速度場は動的な変数ではなく所与のものとされる。この方法では完全な非線形カオス的ダイナモの時間変数による振る舞いを与えることはできないが、流れ (flow) の構造とスピードに伴って磁場の強さがどのように変わるかを研究するには有用である。
オームの法則の回転 (curl) とあわせてマクスウェル方程式を使い、磁場が速度場とは独立であると仮定すると、磁場
についての線形な固有値方程式を導くことができる。それにより、流れの強さがかけられた磁場を増幅するのに十分に高く、それが崩壊してしまわないくらい低い、臨界磁気レイノルズ数に到達する。
力学的ダイナモ理論のほとんどの機能特性は速度場がダイナモ作用が有効かどうかのテストに使える。小さい磁場に特定の速度場を適用するとき、適用された流れに対する反応の中で磁場が成長するかどうかを観測すれば決定できる。もし磁場が成長するならその系はダイナモ作用が有効でありダイナモであるといえるが、もし磁場が成長しないならそれは単純にダイナモでないとみなせる。
膜パラダイム (membrane paradigm) はダイナモ理論の言葉でブラックホール表面近くの物質を覗く方法である。
非線形ダイナモ理論 [編集]
磁場が強くなり、流体の運動に影響するようになると、力学近似は使えなくなる。この場合、速度場はローレンツ力によって影響され、そのため誘導方程式はもはや磁場において線形ではなくなる。ほとんどの場合、これはダイナモの増幅を衰微させる方向にはたらく。こうしたダイナモはときに磁気流体ダイナモと呼ばれる。天体物理学と地球物理学におけるほぼすべてのダイナモは磁気流体ダイナモである。
完全な非線形ダイナモのシミュレートには数値モデルが使われる。最低でも五つの方程式が必要である。以下がそれである。誘導方程式は上を参照。マクスウェル方程式:

(ときに)ブシネスク質量保存:

(ときに)ブシネスク運動量保存(ナビエ-ストークス方程式としても知られる):

ここで
は力学的粘性、
は(熱対流
のための)浮力を与える密度摂動、
は地球の自転率、そして
は電流密度である。
最後に、通常は熱について(元素濃度の小さいとき)の輸送方程式:

ここで T は温度、
は熱伝導率 k による熱拡散率、
は熱容量、
は密度、そして
は付加的な熱源である。しばしば圧力は、静水力学的な圧力と求心ポテンシャルが除かれた動的な圧力である。これらの方程式は、次いで無次元化され、無次元のパラメータを導入する

ここで Ra はレイリー数、 E はエクマン数、 Pr と Pm はプラント数および磁気プラント数である。磁場スケールはしばしばエルセッサー数(Elsasser number)単位
である。
脚注 [編集]
- ^ Sanders, Robert (2003年12月10日). “Radioactive potassium may be major heat source in Earth's core”. UC Berkeley News 2007年2月28日閲覧。
- ^ J. Larmor (1919) "How could a rotating body such as the Sun become a magnet?," Reports of the British Association, vol. 87, pages 159-160. See also: J. Larmor (26 September 1919) "Possible rotational origin of magnetic fields of sun and earth," Electrical Review, vol. 85, pages 412ff. Reprinted in Engineering, vol. 108, pages 461ff (3 October 1919).
参考文献 [編集]
- Demorest, Paul. "Dynamo Theory and Earth's magnetic Field." 21 May 2001. [1]
- Fitzpatrick, Richard. "MHD Dynamo Theory." 18 May 2002. [2]
関連項目 [編集]
外部リンク [編集]
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