透磁率

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透磁率
magnetic permeability
量記号 μ
次元 M L T −2 I −2
種類 スカラー
SI単位 H/m
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真空の透磁率
Vacuum permeability
記号 μ0
×10−7 H/m
相対標準不確かさ 定義値
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透磁率(とうじりつ、英語: magnetic permeability)または導磁率(どうじりつ)は、磁場(磁界)の強さ H磁束密度 B との間の関係を B = μH で表した時の比例定数 μ である。単位は H/m (ヘンリーメートル)、あるいは N/A2ニュートン毎平方アンペア)。

磁界の強さ H と磁束密度 B との関係、磁化曲線英語版または B-H カーブの傾きになる。実用的な強磁性磁気材料では、磁化曲線はヒステリシスをもつので、透磁率は始め小さく(初透磁率)、その後大きくなる。

透磁率の大きい材料を芯につかえばより強力な電磁石になる。

真空の透磁率 μ0 との比 μs = μ/μ0比透磁率という。


\mu_0 = 4 \pi \times 10^{-7} \ \mathrm{H/m} = 1.2566370614 \cdots \times 10^{-6} \ \mathrm{H/m}

真空の誘電率 ε0 と真空中の光速 c との間には


\sqrt{\varepsilon_0 \mu_0} = \frac{1}{c}

という関係がある。

透磁率の値の例[編集]

以下の表を使用する場合は、強磁性体の透磁率が磁束密度によって大きく変化することに注意。例えば4%ケイ素鋼は通常0T付近で2,000の透磁率を持つが、最大では35,000にもなる[1]。そして実際には、十分に高い磁束密度中では任意の物質の比透磁率がほぼ1となる。

代表的な物質における磁化率と透磁率の値
物質 磁化率 χm
(volumetric SI)
透磁率 μ [H/m] 比透磁率 μ/μ0 磁束密度 最大周波数
Metglas英語版 1.26×100 1,000,000[2] 0.5 Tにおいて 100 kHz
(水素雰囲気中で焼きなましされた、99.95% 純鉄) 2.5×10−1 200,000[3]
ナノパーム 1.0×10−1 80,000[4] 0.5 Tにおいて 10 kHz
ミューメタル英語版 2.5×10−2 20,000[5] 0.002 Tにおいて
ミューメタル 6.3×10−2 50,000[6]
コバルト合金 (高透磁率ストリップ素材) 2.3×10−2 18,000[7]
パーマロイ 8,000 1.0×10−2 8,000[5] 0.002 Tにおいて
(99.8% 純鉄) 6.3×10−3 5,000[3]
ケイ素鋼 5.0×10−3 4,000[5] 0.002 Tにおいて
フェライトステンレス鋼 (焼きなました物) 1.26×10−3 - 2.26×10−3 1000–1800[8]
マルテンサイト系ステンレス鋼 (焼きなました物) 9.42×10−4 - 1.19×10−3 750–950[8]
フェライト (マンガン亜鉛系) >8.0×10−4 640 (または、それ以上) 100 kHz ~ 1 MHz
フェライト (ニッケル亜鉛系) 2.0×10−58.0×10−4 16–640 100 kHz ~ 1 MHz[要出典]
炭素鋼 1.26×10−4 100[5] 0.002 Tにおいて
ニッケル 1.26×10−4 - 7.54×10−4 100[5] – 600 0.002 Tにおいて
マルテンサイト系ステンレス鋼 (焼き入れ) 5.0×10−5 - 1.2×10−4 40–95[8]
オーステナイト系ステンレス鋼 1.260×10−6 - 8.8×10−6 1.003–7 [8][9] [※ 1]
ネオジム磁石 1.32×10−6 1.05[10]
プラチナ 1.256970×10−6 1.000265
アルミニウム 2.22×10−5[11] 1.256665×10−6 1.000022
木材 1.25663760×10−6 1.00000043[11]
空気 1.25663753×10−6 1.00000037 [12]
コンクリート (乾燥) 1[13]
真空中 0 4π × 10−70) 1, 正確に[14]
水素 −2.2×10−9[11] 1.2566371×10−6 1.0000000
テフロン 1.2567×10−6[5] 1.0000
サファイア −2.1×10−7 1.2566368×10−6 0.99999976
−6.4×10−6
or −9.2×10−6[11]
1.256629×10−6 0.999994
−8.0×10−6 1.256627×10−6 0.999992
ビスマス −1.66×10−4 1.25643×10−6 0.999834
超伝導体 −1 0 0
強磁性体(およびフェリ磁性)の磁化曲線とそれに対応する透磁率

磁心として使用するための良い素材は、高い透磁率を持つものである。[15]

パッシブ磁気浮上のためには、比透磁率1以下(負の透磁率に相当)の材料が必要である。

透磁率は磁場によって変化する。上の表に示した値は近似であり、記載の磁束密度においてのみ有効である。これらは周波数0においての値であり、実際には透磁率は一般的に周波数の関数である。周波数を考慮すると透磁率は複素数になり、corresponding to the in phase and out of phase response.[訳語疑問点]

磁気定数(真空透磁率英語版)μ0はSI単位系における正確な値を持っている(すなわち、その値に誤差がない)ことに注意。なぜなら、アンペアの定義によって正確に4π × 10−7  [H/m]に固定されるからである。

暗記法[編集]

真空の透磁率を覚える方法に、語呂合わせで「心配無い」(4×π×10-7の意)とするものがある。[要出典]

脚注[編集]

注釈[編集]

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  1. ^ The permeability of Austenitic Stainless Steel strongly depends on the history of mechanical stress applied to it, such as cold working

出典[編集]

  1. ^ G.W.C. Kaye & T.H. Laby, Table of Physical and Chemical Constants, 14th ed, Longman
  2. ^ "Metglas Magnetic Alloy 2714A", ''Metglas''”. Metglas.com. 2011年11月8日閲覧。
  3. ^ a b "Magnetic Properties of Ferromagnetic Materials", ''Iron''”. C.R Nave Georgia State University. 2013年12月1日閲覧。
  4. ^ "Typical material properties of NANOPERM", ''Magnetec'' (PDF)”. 2011年11月8日閲覧。
  5. ^ a b c d e f "Relative Permeability", ''Hyperphysics''”. Hyperphysics.phy-astr.gsu.edu. 2011年11月8日閲覧。
  6. ^ Nickel Alloys-Stainless Steels, Nickel Copper Alloys, Nickel Chromium Alloys, Low Expansion Alloys”. Nickel-alloys.net. 2011年11月8日閲覧。
  7. ^ "Soft Magnetic Cobalt-Iron Alloys", ''Vacuumschmeltze''”. www.vacuumschmeltze.com. 2013年8月3日閲覧。
  8. ^ a b c d Carpenter Technology Corporation (2013年). “Magnetic Properties of Stainless Steels”. Carpenter Technology Corporation. 2013年6月18日閲覧。
  9. ^ British Stainless Steel Association (2000年). “Magnetic Properties of Stainless Steel”. Stainless Steel Advisory Service. 2013年6月18日閲覧。
  10. ^ Juha Pyrhönen, Tapani Jokinen, Valéria Hrabovcová (2009). Design of Rotating Electrical Machines. John Wiley and Sons. p. 232. ISBN 0-470-69516-1. http://books.google.com/?id=_y3LSh1XTJYC&pg=PT232. 
  11. ^ a b c d Richard A. Clarke. “Clarke, R. ''Magnetic properties of materials'', surrey.ac.uk”. Ee.surrey.ac.uk. 2011年11月8日閲覧。
  12. ^ B. D. Cullity and C. D. Graham (2008), Introduction to Magnetic Materials, 2nd edition, 568 pp., p.16
  13. ^ NDT.net. “Determination of dielectric properties of insitu concrete at radar frequencies”. Ndt.net. 2011年11月8日閲覧。
  14. ^ 定義より
  15. ^ Dixon, L H (2001年). “Magnetics Design 2 – Magnetic Core Characteristics”. Texas Instruments. 2012年2月5日閲覧。

関連項目[編集]