タロット

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15世紀に描かれた(悪魔のカードを除く)ヴィスコンティ・スフォルツァ版デッキ

タロット(Tarot)、あるいはタロットカード遊戯占いタロット占い)などに使用されるカードのこと。

目次

[編集] 名称

このカードを意味するフランス語英語tarot(フランス語・英語では語尾の t を発音せず「タロー」の様に発音する)の日本語訳では、一般的に語尾の t を発音し「タロット」としている。因みに他言語ではイタリア語: tarocco(タロッコ)、ドイツ語: Tarock(タロック)となっている。タロットカードを指す言葉としてtarotという呼称が定着するまでは、ラテン語: triumphus(凱旋)が使用されていた。このラテン語: triumphusは「切り札」を意味する「トランプ」の語源として考えられているもののtarot自体の語源については現存する資料・文献の希薄性等の理由により、未だ謎のままである。

[編集] 歴史

起源については、神秘主義者や占術家によって、エジプト起源説(クール・ド・ジェブラン)、ユダヤ起源説、インド起源説などが唱えられてきたが、いずれも信憑性に乏しい。

歴史上辿れる限りでは、15世紀前半の北イタリアで製作されたのが始まりと思われる[1]。当時は、貴族や富豪の為に画家が描いた手描きの物が主流で、ゲーム用に使用されていたらしい。この頃のタロットは、元来あった数札に、よりゲームを複雑化するための絵札を追加して行ったものと考えられ、まだ枚数や絵柄なども確定していなかった。現存する最古のタロットは、1484年の日付の入ったもので「ヴィスコンティ・スフォルツァ版」と呼ばれる。この「ヴィスコンティ・スフォルツァ版」には、「悪魔」と「」の凶札2枚が欠けており、最初から無かったのか、紛失によって欠損したのか、凶意を排除する為に意図的に廃棄されたのかは、今でも研究家の間で意見が分かれる。

その後、16世紀頃から木版画の量産品が出回るようになり、徐々に庶民へ、全ヨーロッパへと普及して行った。特にタロットゲームによるギャンブルは盛んで、風紀を乱すという理由から何度も禁止令が出ている。

18世紀頃には、ミラノ辺りでほぼ現在と同じ絵柄、枚数が確立。この当時の絵柄のタロットは、当時一大生産地となったマルセイユにちなみ「マルセイユ版タロット」と呼ばれる。この頃よりタロットを神秘的な物と見る風潮が高まり、ようやく占いに多用されるようになる。クール・ド・ジェブランがエジプト起源説を唱えるなどし、それを受けてエッティラが新解釈の「エッティラ版タロット」を創作し、「タロット=神秘的」というイメージを確立する。 しかしこのエジプト起源説は根拠のあるものではなく、当時、歴史的な箔付けのためにオカルト関係事の起源をエジプトに求めることが多かったことから、タロットもこれに倣って、神秘的な魔術用具として起源をエジプトに求めたものと思われる。また、カード占いを生業とする者が多かった流浪の民がジプシー(エジプトからの流民)と呼ばれていたことも、エジプト起源説の一因となっている。しかし、現在ではジプシーはエジプトではなく西アジアからの移民である説が有力である。また、ジプシーの占いは、元来は手相占いが主であり、カード占いが行われるようになるのは、それがひろまってからのことである。

[編集] タロットと占い

一般的な印象と異なり、トランプ占いとタロット占いでは、トランプ占いの方が古い。トランプ占いの最古の記録は1540年にフェラーラ公ヘルキューレ・エステに献じられた占いの書物に記されたものであるが、マイケル・ダメットによると、最古のタロット占いの記録は、一八世紀前半のタロット占いのやり方を記した手書きのシートである。

なお、初期のカードによる占いの方法は、あらかじめカードに意味が割り当てられているタイプのものではなく、易占いやサイコロ占いのように、出た数枚のカードの組み合わせに対して、それぞれ解説が割り当てられてるという方式のものであり、いわばカード自体は、偶然性を提供する役をしているにすぎなかった。

現在に通じる、カードに予め意味が割り当てられているタイプのカード占いを確立したのは、日本では英語読みのエッティラでも知られている最初の職業タロット占い師でもあるエテイヤ(本名ジャン・バプティスタ・アリエット)の1770年の書物である。この本の初版でエテイヤは逆位置による意味の変化、カードに予め意味を割り当てる、といった点をトランプ占いに導入した。(ただし、こうした占いの方法が、彼以前の数十年程度の範囲であれば、記録に残らないところで、すでに民間でうまれていた可能性は高い。実際、前述の、最古のタロットの占いの記録は意味を予め割り当てる方式である)

ついで1781年のクール・ド・ジェブランによるタロット・エジプト起源説に触発され、エテイヤは1783年から1785年にかけて上記のカード占いの方法をつかったタロット占いの書物『タロットと呼ばれるカードのパックで楽しむ方法』を出版した。また、かれはエジプト起源説によって神秘主義的な意味づけをタロットに与え、かつ、順番が入れ替えられていると主張して、はじめて、占い専用のタロットのデッキを作成した。

なお、一般にエテイヤの前職が理髪師であったとされることがあるが、実際の前職は商人であった。

(参照 『タロット大全』伊泉龍一)

[編集] カバラとタロット

19世紀中盤に、エリファス・レヴィが「大アルカナ22枚とヘブライ文字22文字に対応がある」など、カバラとの関連を示唆してからは、神秘主義者達によって、カバラの教義を盛り込んだ創作タロットが数多くデザインされた。

このタロットのカバラ的解釈は、黄金の夜明け団によって整備・確立され、後にこの教義に基づいた多くのオリジナルタロットを産む事となる。 黄金の夜明け団では、レヴイの示唆した「カバラとの対応」を具体化し、大アルカナ22枚のカードにヘブライ文字を対応させた。さらに、カバラの基本文献である『形成の書』ではヘブライ文字と世界の構成諸要素を対応させている事から、各カードを(ヘブライ文字を介して)七曜十二宮などの占星術上の各要素と対応させた。

かくてタロットは、黄金の夜明け団によって「机上の占星術」という一面を持つに至った。なお黄金の夜明け団では、原則として「愚者」のカードにアレフ、「魔術師」にベートを当てはめ、以下、タロットの番号順にヘブライ文字の字母順を当てはめている。しかし伝統的なタロットの番号順に当てはめていくと、天秤の描かれたカードである「正義」に獅子宮に対応する文字ヘットが、獅子の描かれたカードである「力」に天秤宮に対応する文字ラメドが当たってしまう。 そこで黄金の夜明け団では、この二枚のカードの順番を入れ換えてヘブライ文字に対応させ、よりカバラの教学との親和性の高いタロットを提唱、その考えは多くのタロット愛好家に受け入れられた。

また、黄金の夜明け団では小アルカナについてもカバラの象意を配当した。即ちワンド・カップ・ソード・ペンタクルのスートに、それぞれ四大元素の火・水・風・地、ヤハウェの名前Y・H・V・H、カバラの創世論におけるアツィルト・ブリアー・イェツィラー・アッシャーの四つの世界を関連づけた。さらに各スートの1から10までの数札に生命の樹におけるケテルからマルクトまでのセフィラを当てはめ、キング・クィーン・ナイト・ペイジにはコクマー・ビナー・ティファレト・マルクトのセフィラと四大元素の火・水・風・地を当てはめている。

こうしたカバラ系タロットの中でも特に人気を集めたのは、黄金の夜明け団の解釈を元にアーサー・エドワード・ウェイトがデザインしたウェイト版或いはライダー版タロットで、現在の多くの創作タロットの手本となっている。

他に、アレイスター・クロウリーがデザインした「トート・タロット」も名作とされている。サルバドール・ダリがデザインした、巨大サイズのタロットも存在する。

[編集] カードの種類

大アルカナMajor Arcana、22枚)と小アルカナMinor Arcana、56枚)の2種類があるが、小アルカナはカードゲーム以外では余り使用されないため、市販のカードには大アルカナのみのセットも多い。 一組のタロットカードのセットを、デッキという。

[編集] 大アルカナ(22枚)

ウィキメディア・コモンズ

詳細については大アルカナを参照のこと。

※1:マルセイユ版など伝統的な物の場合。ウェイト版など黄金の夜明け団系タロットでは「VIII」と「XI」が逆になっている。

※2:「XIII」は無記名の場合あり。

[編集] 小アルカナ(56枚)

項目小アルカナも参照。以下の4種類に大別され、それぞれ1〜10・ペイジ(Page)・ナイト(Knight)・クィーン(Queen)・キング(King)で構成される。

ワンド(Wand)
バトン(Baton)とも。棍棒。トランプのクラブに相当。
ソード(Sword)
剣。トランプのスペードに相当。
カップ(Cup)
杯または聖杯。トランプのハートに相当。
コイン(Coin)
ペンタクル(Pentacle)、またはディスク(Disk)とも。金貨又は護符。トランプのダイヤに相当。

[編集] 遊び方

ヨーロッパでは、タロットは現在でも「遊戯」に使用されている。トランプと同じく様々な遊び方があるが、多くのゲームではトランプのトリックテイキングのルールに従う。

大アルカナが切り札で0 愚者が最強で次に強いのがXXI 世界の場合が多い。(日本式)ナポレオンなどと同じく、ポイントトリックゲームであるが、カードによって点数が違うというルールなどの違いがある。

[編集] 派生品

タロットは占いとしての完成度の高さから、様々な派生品を生み出す要因にもなっている。特にビーバン・マリア・クリスチーナによって執筆された「悪魔のカード」と呼ばれるカード占いは、大小アルカナの枚数が同じで、各カードの意味もほぼタロットの古典的解釈に等しい所から、各カードを悪魔に置き換えたタロットであるといえる。

[編集] 脚注

  1. ^ 正確にはイタリアフェラーラに於いて、当時の領主であった「エステ家」の帳簿の中に「トリオンフィ(Trionfi トライアンフと同義)のカードパックを購入した」との記述が確認されており、日付は1442年となっている。その後も1452年1454年1461年の日付入りで「トリオンフィ」に言及した記録が発見されており、15世紀半ば頃には既にタロットカードが一般的に存在していたことになる。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク