ヨーガ

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ヨーガ (: योग, Yoga、瑜伽, ゆが) とは、古代インド発祥の修行法。アーサナ(asana,姿勢)や、プラーナーヤーマ呼吸法)のみを重視する健康ヨーガ的なものや、瞑想による精神統一を重視するものなど様々である。狭義には、六派哲学ヨーガ学派から始まった、解脱、すなわち個体への結合を実現するための実践体系を指す。ヨガとも表記される。

なお、ヨーガは現代人の生活に入り込んでおり、洞窟潜水などにヨーガを取り入れているダイバーもいる。最近ではヨーガを取り入れるスポーツクラブもあるが本格的なヨーガとは似て非なるものも多い。

「ヨーガ」という言葉[編集]

ヨーガ Yoga は、「馬にくびきをかける」という意味の動詞の語根「yuj」から派生した名詞である。つまり語源的に見ると、馬を御するように心身を制御するということを示唆しているようである。

一般的には「ヨガ」と認識されているが、サンスクリットで「O」(オー)の字は、常に長母音なので、正しくは「ヨーガ」と発音する。ただ日本語の長母音はサンスクリット語の三倍母音なので長くのばしすぎるのも問題である。インド人の発音を聞くとヨゥガと言っているように聞こえる。男性の修行者はヨーギン (Yogin)、女性の修行者はヨーギニー (Yogini) と呼ばれる。ヨーギンはしばしば単数主格形でヨーギー(ヨーギ、Yogi)と書かれる。

仏教においては元のサンスクリットを漢字で音写して「瑜伽」(ゆが)と呼ぶか、あるいは意訳して「相応」とも呼ぶ(詳細は「瑜伽」の項参照)。

歴史[編集]

紀元前[編集]

パタンジャリの典型的な像

明確な起源は定かではないが、紀元前2500年-1800年のインダス文明に、その遠い起源をもつ可能性が指摘されている。同文明の都市遺跡のモヘンジョ・ダロからは、坐法を組み瞑想する神像や、様々なポーズをとる陶器製の小さな像などが見つかっている。

ヨーガという語が見出される最も古い書物は、紀元前800年-紀元前500年の「古ウパニシャッド初期」に成立した『タイッティリーヤ・ウパニシャッド』である。また、紀元前350年-紀元前300年頃に成立したとされる『カタ・ウパニシャッド』にはヨーガの最古の説明がある。

感官の確かな制御がヨーガである (『カタ・ウパニシャッド』6-11)

ヨーガ学派[編集]

2世紀-4世紀ごろ、サーンキヤ学派の形而上学を理論的な基礎として、その実践方法がパタンジャリによって『ヨーガ・スートラ』としてまとめられ、解脱への実践方法として体系づけられた。内容としては主に観想法(瞑想)によるヨーガ、静的なヨーガであり、それゆえ「ラージャ・ヨーガ」(=王・ヨーガ)と呼ばれている。その方法がアシュターンガ・ヨーガ(八階梯のヨーガ)と言われる8つの段階のヨーガである。ヤマ(禁戒)、ニヤマ(勧戒)、アーサナ(座法)、プラーナーヤーマ(調気法、呼吸法を伴ったプラーナ調御)、プラティヤーハーラ(制感、感覚制御)、ダーラナー(精神集中)、ディヤーナ(瞑想、静慮)、サマーディ(三昧)である(『解説ヨーガ・スートラ』『魂の科学』参照)。また同書を根本教典として「ヨーガ学派」が成立した。同派は、ダルシャナ(インド哲学)のうちシャド・ダルシャナ(六派哲学)の1つに位置づけられている。 『ヨーガ・スートラ』では、ヨーガを次のように定義している。

ヨーガとは心素の働きを止滅することである (『ヨーガ・スートラ』1-2)、
その時、純粋観照者たる真我は、自己本来の姿にとどまることになる (『ヨーガ・スートラ』1-3)(『魂の科学』参照)

ハタ・ヨーガ[編集]

12世紀-13世紀には、タントラ的な身体観を基礎として、動的なヨーガが出現した。これはハタ・ヨーガ(力(ちから)・ヨーガ)と呼ばれている。現在世界中に普及しているヨーガはこのハタ・ヨーガの方法である。内容としては難しい坐法(アーサナ)や調気法(プラーナーヤーマ)を重視し、超能力や三昧を追求する傾向もある。

ヨーガはバラモン教仏教ジャイナ教の修行法でもあった。また、ハタ・ヨーガの経典の中にハタ・ヨーガ・プラディーピカーゲーランダ・サンヒターシヴァ・サンヒターもある。

近代[編集]

科学的な研究は1920年代にインドマハーラーシュトラ州ロナワラ市に設立されたカイヴァルヤダーマ・ヨーガ研究所で開始され、インド中央政府はその後、8校の“ヨーガと自然療法医科大学”をはじめ30校を超える大学にヨーガ学科を設置してきている。その内の1つであるスワミ・ヴィヴェーカナンダ研究財団の教育部門はインド中央政府人的資源管理省より2002年5月にヨーガ大学院大学として認定をうけ修士号博士号を発行している。

日本の状況[編集]

最初に瑜伽として日本にヨーガが伝わったのは、大同元年(806年)、より帰国した空海にまでさかのぼる。その後、真言宗や天台宗の「護摩」、「阿字観」等の密教行法として、現在に伝わっている。禅宗の座禅も、ヨーガ・スートラ第2章に記述されるディヤーナの音写である。

現在巷で流行している健康法としてのヨーガは昭和時代に伝播したが、伝統的ヨーガを導入した新興宗教団体オウム真理教による一連の事件の影響で、一時下火になった。

だが2004年頃から健康ヨーガは再びブームとなり、ダイエット方法の1つとしてテレビで紹介されたり、CMで使用されることが増えた。フィットネスクラブなどでは、エアロビクスと同じようなスタジオプログラムの1つとして行なわれている。この流行はインドから直接流入したものではなく、アメリカ、特にニューヨークハリウッドでの流行が影響したものと考えられ、近年では同流行がインドへ逆輸入されている。

なお、伝統的ヨーガ系のグループには現在でも、イニシエーションを行なうなど宗教団体的側面を持つものもある。

内容[編集]

主とする座法はパドマ・アーサナ(蓮華坐)という結跏趺坐である。

実践上依拠する理論として、インド古来のチャクラ理論との結び付きが強い。

人体内に大きな6または7つのチャクラ(Chakra、輪、車輪)と小さなチャクラがありそれを目覚めさせれば、またはクンダリニーを体内の脊椎にそって上昇させると悟りがひらけると一部の人たちは言うが、全くそういうことはない。実際は、タイティリーヤ・ウパニシャッドで説明される、生気レベル(プラーナーマヤ・コーシャ)の覚醒にすぎず、修行の「入り口」に立ったにすぎない。また、生気レベルの覚醒それ自体は霊格の向上をもたらさず、あくまでもカルマ・ヨーガの実践や世俗との係わりの中での人格の向上や、その他のヨーガを「総合的」に実践することにより、霊格は向上していくものと心得るべきである。

7つチャクラ[編集]

  1. ムーラーダーラ (mūlādhāra)
  2. スワーディシュターナ (swādhişţhāna)
  3. マニプーラ (maņipūra)
  4. アナーハタ (anāhata)
  5. ヴィシュッダ (viśuddha)
  6. アージニャー (ājñā)
  7. サハスラーラ (sahasrāra)

種類[編集]

伝統的ヨーガ[編集]

ハタ・ヨーガを実践する人々。写真のなかのポーズのうち、頭立ち(逆立ち)のポーズは「シールシャ・アーサナ」といい、精神の調和と強化などの様々な効能により、古くからアーサナの王様と位置づけられている。

ハタ・ヨーガ (Hatha yoga)[編集]

「ハ」は太陽、「タ」は月をそれぞれ意味し、「ハタ」で「力の」という意味があるとされる。アーサナ(姿勢)、プラーナーヤーマ呼吸法)、ムドラー(印・手印や象徴的な体位のこと)、クリヤー/シャットカルマ(浄化法)、バンダ(制御・締め付け)などの肉体的操作により、深い瞑想の条件となる強健で清浄な心身を作り出すヨーガ。起源は紀元後10世紀-13世紀頃。ゴーラクシャ・ナータが開祖。『ハタ・ヨーガ』と『ゴーラクシャ・シャタカ』という教典を書き残したと言われているが現存していない。インドにおいて社会が荒廃していた時期に密教化した集団がハタ・ヨーガの起源と言われる場合もある。悟りに至るための補助的技法として霊性修行に取り入れるならば、非常に有効であるが、理解の偏ったものは肉体的操作ばかりに重きがおかれ、秀逸なハタ・ヨーガの可能性を極端に狭めることとなる。なお、スポーツのストレッチなどはこのヨーガのアーサナ(姿勢)に由来している。

ラージャ・ヨーガ (Raja yoga)[編集]

「ラージャ」は「王の」という意味であり、神を悟るための本格的なヨーガといえる。「マハー(偉大な)・ヨーガ」とも呼ばれる。根本教典はパタンジャリの『ヨーガ・スートラ』(紀元後2-4世紀)。第2章にはラージャ・ヨーガの段階について記述されており{1.ヤマ(禁戒)2.ニヤマ(勧戒)3.アーサナ座法)4.プラーナーヤーマ(調気)5.プラティヤーハーラ(制感)6.ダーラナー(凝念)7.ディヤーナ(静慮)8.サマーディ(三昧)}、その第2段階(ニヤマ)のうち、苦行、読誦、自在神への祈念の3つをクリヤー・ヨーガという。ここでのクリヤーは浄化の意味ではなく、準備段階という意味。

これら8つの段階からなることから、ラージャ・ヨーガをアシュターンガ・ヨーガ(アシュタ:8つ アンガ:枝、部門)とも言う。今日アシュターンガ・ヨーガ=アーサナと受け取られているが、誤りである。

カルマ・ヨーガ (Karma yoga)[編集]

日常生活を修行の場ととらえ、善行に励みカルマの浄化を図るヨーガ。見返りを要求しない無私の奉仕精神をもって行う。カルマ・ヨーガの教典は『バガヴァッド・ギーター』。

バクティ・ヨーガ (Bhakti yoga)[編集]

クリシュナが『バガヴァッド・ギーター』をアルジュナに説く場面

神への純粋な信愛を培い、グルがいる場合はグルを、その他の普遍的な愛の対象がある場合はその対象を、超意識(宇宙的な意識)の化身とみなし、全てを神の愛と見て生きるヨーガ。 古典文学『マハーバーラタ』(Maha Bharata)にある有名なクルクシェートラの戦いで、クリシュナが勇者アルジュナに説いたとされる『バガヴァッド・ギーター』(The Bhagavad Gita=神の詩)は、バクティ・ヨーガやカルマ・ヨーガの本質を謳っているため、ヴィシュヌ(ナラヤン)の転生として実在したとされるクリシュナが開祖とも言える。また、近代の大覚者ラーマクリシュナとシヴァーナンダ、現代のサッティヤーナンダは、現代においてはこのバクティ・ヨーガこそ最も必要であると説いている。

このヨーガを主軸に据えるグルの団体において、弟子・信者はグルの指導に帰依することになるが、サティヤ・サイ・ババシュリ・チンモイは、弟子の病気などのカルマを引き受けることも行っていたとされる。新興宗教の中には、インド人の信頼できるグルの指導を受けずに、このヨーガを取り入れている団体が多いが、自らのエゴが消滅できていないことを理解できない団体運営者によって独自の解釈がされており、大変危険である。間違った「自称グル」(大抵そのグルのグルが誰であるか、公表できない)を師と仰ぐと、一生を棒に振ることにもなりかねないため、事前に十分調査をし、常に一般常識に照らし合わせることが重要とされる。

このヨーガの行者をバクタ (bhakta) という。

ギャーナ・ヨーガ (Jnana yoga)[編集]

高度な論理的熟考分析により、真我悟るヨーガ。クリシュナムルティが有名。20世紀を代表する聖者の一人であるラマナ・マハルシは、このヨーガで大悟したとされているが、一般的に難易度の高いヨーガと云わざるを得ない。だが、巧く実践可能であるならば最も高度なヨーガとなりうるとの意見もある。 このヨーガの行者はギャーニ(ジュニャーニ、jnani) と呼ばれる。

マントラ・ヨーガ (Mantra yoga)[編集]

マントラを使うヨーガ。ガヤトリー・マントラをはじめ、マハー・マントラ、ハレークリシュナ・マントラ等、主にサンスクリット語のインヴォケーション・マントラ(神を讃えるマントラ)などが広く用いられている。

師から弟子へと贈られるパーソナル・マントラ(最大でも4音節)は、個人別で大変差がある霊的成長を目的に、師によって特別にデザインされたアクシャラ音の強力な組合せである。そのマントラの振動は、練習者の肉体と霊体を浄化するだけでなく、その個人に必要な特定のチャクラを覚醒させる大きな手助けとなる。ヨーガの霊的求道者が、一生を通して毎日行う、大変重要なヨーガ練習の基本。

音(ヴァイブレーション=振動)のヨーガである、ナーダ・ヨーガ(Nada Yoga)の一種。

マントラに簡単なメロディをつけ、コール・アンド・レスポンス(初めに一人が一節を歌い、次に参加者が同様に歌う)方式で、複数人から大勢で歌うキールタン(Kirtan)は、マントラの振動エネルギーをキルタニストが増幅させ、その場に大きなエネルギー・フィールドを構築する。キルタニストと自主的な参加者だけでなく、その場に居合わせた者まで浄化する優れた練習法。

キールタンと混同されやすいものにバジャン (Bhajan) がある。バジャンを歌うシンガーは確かに何某かの影響を受けるが、居合わせた者は、普通の音楽を楽しむ程の影響しか受けられないばかりでなく、バジャン・シンガー自身、聴衆の前で歌を披露することによって、自分のエゴを増幅させない注意が常に必要である。

古代のヨーガのテクニックによって悟りを得たブッダを開祖とする仏教のうち、日本の密教でいう真言や梵字は、このサンスクリット語の音を、多くは最終的に中国語に訳したものが、大陸を通って日本に輸入されているもので、輸入した日本人とそれを継承した日本人の外国語に対する聴力と発音能力の限界からか、本来のアクシャラ(サンスクリット語の各1音)の音とは異なる場合も多い(例:般若心経の「ギャーテー、ギャーテー」は「ジャーテー、ジャーテー=行って、行って」)。

ジャパ・ヨーガ (Japa yoga)[編集]

基本的には、数珠を用いて定数のマントラを唱えるヨーガ。パーソナル・マントラの日々の練習は、この代表的なもの。目的に応じて、その他のマントラでも、もちろん行われる。

ジャパ用の数珠は、その練習に精妙なエネルギーを利用するので、ヨーガ的には天然素材であるが、クリスチャン(キリスト教徒)やモスリム(イスラム教徒)、仏教徒のジャパ用のロザリオ、念数などは、一部ガラス製のものも見受けられる。成功裏なジャパ練習のためには、数珠の素材は大変重要で、目的や伝統、教義等によって異なる。トゥルシー聖樹、ルドラクシャ(菩提樹の実)、白檀、紫檀、水晶等が一般的。ビーズの総数はヨーガ的な伝統では108個であるが、半分数の54個、4分の1数の27個の簡易タイプも普及している。

紙に、定数のマントラの文字を書いてゆくものを、リキタ・ジャパという。

クンダリニー・ヨーガ (Kundalini yoga)[編集]

ムーラーダーラに眠るというクンダリニーを覚醒させ、身体中の気道やチャクラを活性化させ、悟りを目指すヨーガ。密教の軍荼利明王は、そのクンダリニーを象徴化したものであると言われることもある。別名ラヤ・ヨーガ。クンダリニーの上昇を感じたからヨーガが成就したというのは早計で、その時点ではまだ「初期」の段階に過ぎない。格闘家に愛好者が多い「火の呼吸」はクンダリニー・ヨーガの側面もあるがイコールではない。チベット仏教のトゥンモ(内なる火)などのゾクリム(究竟次第)のヨーガや、中国の内丹術などとも内容的に非常に近い。

このヨーガを実践するにあたっては重大な注意点がある。クンダリニーが一旦上昇を始めると、本人の力だけではそれをコントロールできなくなることがある。具体的には、クンダリニーが上昇して頭部に留まってしまい、それを再び下腹部に下げることも、頭部から抜けさせることもできなくなり、発熱頭痛、またそれが長期に渡ると、脊髄を痛めたり、精神疾患を起こす事さえある。

従ってこのヨーガは、自己流又は単独実践は避け、然るべき師に就いて実践すべきとされている。「然るべき師」とは、単に知識豊富で多少の呼吸法ができる師のことではなく、自身がクンダリニーの上昇経験を持ち、且つそれを制御できる師のことである。そうでなければ上昇を始めた他人(弟子)のクンダリニーの制御は不可能に近い。更に師に就く場合、その師がどの師からの指導を受け、またその先先代の師はどの師なのか、少なくとも2、3代先の師まで辿れる師に就くことが望ましい。しかしながらそうした人物に出会うのは難しい。また、自らクンダリニーを制御できることを標榜する人物は、その時点で、クンダリニーに対する執着を棄てきれず、神に対して敬虔なヨーガの精神に反する生き方をしていると世間にアピールするようなものであり、そうした人物を師と仰ぐのは危険とする意見がある。しかしながら、クンダリニー云々を標榜できる人物でなければ制御は難しいとする意見もある。

このヨーガは段階が進むほど師を必要とするという意見があり、特にクンダリニーの体内自覚を感じてから先は、必ず師の指導の元にヨーガを実践すべきとされる。一方で、ある程度の段階に達すると師をそれほど必要としなくなるという意見もある。

このヨーガの効果は、ハタ・ヨーガの効果のように身体が柔らかくなったり、以前に比べて健康になったという、割合穏やかな効果に比べ、クンダリニーの上昇に伴うチャクラの開眼という劇的なものがあり、自分が超能力者や超人になったかのような”錯覚”を覚えてしまうことが往々にしてある。その故に、一度効果(クンダリニーの体内自覚)が出始めると、他のヨーガに比べて非常にのめり込みやすいという特徴がある。

クンダリニーの自覚が修行の完成と錯覚するのは危険である。クンダリニーの自覚と修行者の人格的向上とは無縁といえる。クンダリニーの自覚に修行の目的が置かれてしまっては”主客逆転”、”本末転倒”である。手段が目的にならぬよう修行者は努めねばならず、本来の修行の「目的」を達するならば、そうしたクンダリニーを始めチャクラなど肉体次元、生気次元へのこだわりを無くす事に努めることが先決とされる。また、生気レベルの覚醒それ自体は霊格の向上をもたらさず、あくまでもカルマ・ヨーガの実践や世俗との係わりの中での「人格」の向上や、その他のヨーガを総合的に実践することにより、霊格は向上していくものと心得るべきである。

クリヤ・ヨーガ (Kriya yoga)[編集]

クリヤー・ババジ・ナガラジによって復興され、18のシッダたちによる伝統的な教えと技法を統合したもので、144の技法がある。

  1. クリヤ・ハタ・ヨーガ(Kriya Hatha Yoga)
  2. クリヤ・クンダリニー・プラーナヤーマ(Kriya Kundalini Pranayama)
  3. クリヤ・ディヤーナ・ヨーガ(Kriya Dhyana Yoga)
  4. クリヤ・マントラ・ヨーガ(Kriya Mantra Yoga)
  5. クリヤ・バクティ・ヨーガ(Kriya Bhakti Yoga)

以上の5つの部門から構成されている。個人に存在する肉体的、生気的、メンタル的、知性的、霊的レベルの5つの側面に統合的な変化をもたらし幸福と平安を見出す科学的な技法。

近年の種類[編集]

伝統的なハタ・ヨーガにフィットネス等の要素を取り入れ改良を加えたものが、現代人に人気である。

アシュターンガ・ヨーガ[編集]

現在のパワー・ヨーガの源流ともなっているヨーガ。呼吸と共にアーサナを行う。しかし実際はラージャ・ヨーガの修行体系をいい、このことは『ヨーガ・スートラ』第2章29節に記述されている。

現在一般的にヨーガのシーンでアシュターンガ・ヨーガと呼ばれるものは、正式にはアシュターンガ・ビンヤーサ・ヨーガ。パッタビ・ジョイスがこのヨーガの創始者として伝え、現在は継承者でパッタビ・ジョイスの孫であるシャラスが指導している。このヨーガの大本山とされる南インドの都市マイソールのアシュターンガ・ヨガ・リサーチ・インスティテュート(AYRI)には、世界中からこのヨーガの教えを求めて多くのヨーギーとヨーギニーが集まり、マイソールに住み込み、練習に励んでいる。

パワー・ヨーガ[編集]

アシュターンガ・ヨーガをベースにしたヨーガで、アーサナを通して肉体に負荷をかけることにより脂肪を燃焼させ、美しい肉体を作ることを目的として主にアメリカで開発された。

伝統的ハタ・ヨーガが、1つのポーズをとったまま一定時間静止した上で次のポーズに移行するのに比べ、アシュターンガ・ヨーガをベースにしたパワー・ヨーガは、各種ポーズをストレッチのように一連の流れの中で行うのが特徴である。また、アシュターンガ・ヨーガに比べ、1つのポーズの静止時間は長く、この点では伝統的なハタ・ヨーガの要素も取り入れられている。

もっとも、その目的はハタ・ヨーガとは異なり、アイソメトリックな運動によるフィットネスが主な目的。過度な負荷は乳酸を増加させるだけでなく、腰痛、関節痛などを引き起こすことが指摘されていることから実習には注意が必要。

肉体的に健康な若者に人気がある。ハリウッドスターを中心に一大ブームとなり先進諸国に広がったことから「ハリウッド・ヨーガ」ともいう。

マタニティ・ヨーガ[編集]

妊産婦向けのヨーガ。ヨーガの体操や呼吸法を通して一体感を味わえることが、命の尊さを再認識し、出産後の子育てが意欲的に取り組めるようになる。呼吸と共に行うヨーガの体操は妊婦の心の状態を安定させる効果や、分娩時の痛みのコントロールにもつながる。

アヌサラ・ヨガ[編集]

1997年にジョン・フレンドによってアメリカで創設された新しいヨーガである。Anusara (a-nu-sar-a)には、サンスクリット語で「大いなる意思とと共に」、「流れに任せて」、「心のままに」という意味がある。現代医学の解剖学や生理学に基づいて古典的なヨーガと融合した合理性の高いヨーガであり、ニューヨークを中心に米国のみならず、英国、欧州、オーストラリア、香港、台湾、上海など世界100ヶ国(2011年5月現在)以上で学ぶ人が増えてきている。

日本でも、東京を中心に、横浜、千葉、静岡、京都、大阪、岡山、福岡とアヌサラヨガを指導するインストラクターが増えてきている。それと同時に、アヌサラヨガを学ぶ人たちも増加しているのが現状である。2010年3月末から4月初旬に、ジョン・フレンドが2年ぶりに来日し、京都と東京でワークショップやトレーニングを直接指導した。ひとつの国で10日間以上も指導に当たることは極めて稀であり、いかにジョン・フレンドが日本に対して期待を寄せているかの現れである。

アヌサラヨガの特徴は、ヨーガのポーズにアライメントを正す動きを取り入れていることから、怪我が少なく、さらに継続した訓練により、より力強いポーズが無理なくできるようになる。体を動かすヨーガ(いわゆるハタ・ヨーガ)のひとつであるが、自分の中に「本来備わっている善と美」を見出だすタントラ哲学と「アラインメントにおける普遍的原則」を併せ持つシステムである。今回の来日で、アヌサラヨガのタントラ哲学を「シバ・シャクティ・タントラ哲学」として改めてその哲学的な特徴を示している。

阿字観・ヨーガ[編集]

真言宗の伝統的な瞑想法、阿字観ハタ・ヨーガアーサナを取り入れたもの。真言宗の布教方法として確立している。蓮華の花の上の(月を表す)月輪の中に、大日如来を表す梵字の阿字が描かれた掛け軸を、半眼で見つめる。元々、真言密教における僧侶の鍛錬の方法であった。

ヨーガ・セラピー[編集]

多くのストレス関連疾患に対して著効があることから、近年、医療機関での導入が進んでいる。日本国内では一般的に「ヨーガ療法」と呼ばれる。

著名なグル・ヨーガ指導者[編集]

ヨーガにおけるグルとは、普通の指導者ではなく、魂の教師そのものである。グルと弟子の関係は、弟子にとれば人生の全てである。よって、真のグルは(神そのものが真のグルだが、それが具現したものとしての)、数十年に1人存在するか否かの稀有な存在といえる。

存命人物

理論家[編集]

  • 山口恵照(1918年 - ) - 古代インド哲学、サーンキヤ哲学研究者

参考文献[編集]

関連項目[編集]