クンダリニー
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クンダリニー(クンダリーニ、Kundalini, कुण्डलिनी, kuṇḍalinī)は、悟りを得るために必要なシャクティ(性力)のこと。クンダリニーの活性化を念頭においたヨーガは、「クンダリニー・ヨーガ」と呼ばれる。クンダリニーを象徴化したものとしては、密教の軍荼利明王がある。
「螺旋」「コイル」「巻き毛」「環」などを意味するサンスクリットの kundala(クンダラ)から派生した、「螺旋を有するもの」を意味する kundalin(クンダリヌ)の女性形主格が、Kundalini(クンダリニー)の語源である。
クンダリニーは、普段は尾てい骨付近のムーラーダーラチャクラに眠っているが、ヨーガの実践や宗教の各種修行によって活性化し始め、生涯をかけ各チャクラを開花させグランティ(=結節。ブラフマー結節、ヴィシュヌ結節、ルドラ結節の3種類がある)を破壊し、最終的には頭頂のサハスラーラを押し開け解脱に至る。今世で解脱できる魂は極一部といわれている。性欲を昇華させたものがクンダリニーとなるため、梵行(性的な事柄を避ける)修行が重要となる。
目次 |
[編集] ナーディーとの関係
体内(霊体)にあると言われるナーディー (en:Nadi (yoga))(気道)の中でも代表的なものは、動的で男性的性質のピンガラー・ナーディー(別名・太陽の回路)、静的で女性的性質のイダー・ナーディー(別名・月の回路)、そして身体の中央を貫いており、調和をもたらすスシュムナー・ナーディーの3つがある。ピンガラー・ナーディーとイダー・ナーディーの調和のとれた活性という条件の下、瞑想時にスシュムナー・ナーディー内をクンダリニーが上昇した結果訪れるサマーディに入定することが、サマーディより出定後も安全に高い霊性を維持していくための条件となる。
[編集] クンダリニー症候群
科学的根拠がみあたらないために、人によって考え方がまちまちである。体感異常や心身症、病的幻覚のことを自分でクンダリニー症候群だと思い込んでいるだけのケースや、逆にクンダリニー症候群であるにもかかわらず単なる精神病と誤解されるケースもあるようである。
クンダリニーを思い通りに、意図的に上昇させようとするクンダリニー・ヨーガを激しく修行し実践する場合、その「思い通りに、意図的に」とは真我ではなく個我にとってのそれであるため、クンダリニーが動的なナーディーであるピンガラー・ナーディーのみを通ってサマーディに入定してしまうことがある。そうなるとサマーディから出定後、クンダリニー症候群(英:Kundalini syndrome 中:走火入魔)と呼ばれる症状が現れ、程度の深浅こそあれ、自律神経系のうち交感神経系の暴走からくる自律神経失調症を呈し、そこから至福恍惚感、全身の激しい脈動、心拍数の増加と血圧の上昇、片頭痛、慢性疲労症候群、統合失調症、うつ病、神経症などが押し出されるおそれがあり、臨死体験や空中浮遊、脳溢血や自殺などを招いてしまうなどと主張するグルもいる。よってイダー・ナーディーを強力に活性化させる技法を知らぬままクンダリニー・ヨーガを行うことは無謀ということができる。
また、クンダリニー・ヨーガを実践するつもりでなくても、急進的な解脱願望を抱いた状態または神への絶対帰依を欠いた状態での修行の継続の結果や、さらには人生の困難、交通事故、出産などによるショックなどによっても上記のような現象が起こる場合が稀にあるという説がある。
元々人格障害(ボーダー、反社会性等)や精神病を潜在的に抱えている患者にクンダリニー覚醒に先立って、元々の病が押し出されるという説もある。カルマの浄化プロセスとも考えられる。浄化プロセスであるとすれば、クンダリニー覚醒によって反省が生じ、暴力や犯罪からは遠ざかるはずである。
このため、クンダリニー覚醒を目指す実践者はベジタリアニズムを実践し、刺激物の摂取を避け、過食、不規則な食事、わがままで否定的な態度を避けるべきである。
安全な隠遁生活がなかなか難しい現代社会において、社会生活を営みながら安全にクンダリニー覚醒を得るためにはどうしたらよいかは課題である。
[編集] イマジネーションの拡大
クンダリニー覚醒が一定のレベル以上に達すると、人間に果てしない「イマジネーション」の拡大がもたらされるといわれており、実際その事例を見ることも多い。クンダリニーの覚醒者と自称する人(その多くは覚醒者とはいえないレベルではあるが)は多くいるが、彼らの中の一部に「空想的世界観」を見ることができる。人間が自分を”実際以上”のものである(あるいは実際以上のものでありたい)と思うたびに、イマジネーションの力がそこで働いている。イマジネーションの力は、過去において不可欠であったのであり、さらに人類にとって今後もまだまだ必要な力である。あまりに現実を見てしまうと、世界の進歩が阻害されてしまうのであり、クンダリニーにより神の夢を個々の人間の器に応じて実現させることができるのである。しかし、修行者がイマジネーションの拡大に溺れてしまい、それを自分の力だと思い込み「欲望」のままに行動してしまうならば、「悟り」への道を逸脱することになってしまう。
[編集] クンダリニーに関する逸話
グルジェフの著作『ベルゼバブの孫への話』の中に神話的な人類創生の話が出てくるが、その中にクンダリニーが人間の尾てい骨のあたりに取り付けられた経緯が語られている。人間が地球上に存在する目的を知られることがないように、安全装置として取り付けたということである。
[編集] 近年の研究
臨死体験(NDE)経験者が最もクンダリニー上昇に近い経験をしているという主張が欧米の研究者を中心になされている。この分野の学術研究をトランスパーソナル心理学・精神医学という。
[編集] 参考文献
- ゴーピ・クリシュナ 『クンダリニー』 中島巌訳、平河出版社、1980年。ISBN 4-89203-033-3
- ボニー・グリーンウェル 『クンダリーニ大全 - 歴史、生理、心理、スピリチュアリティ』 佐藤充良訳、ナチュラルスピリット、2007年11月。ISBN 978-4-903821-15-3
- ジョン・ホワイト 『クンダリニーとは何か』 川村悦郎訳、めるくまーる社、1983年4月。
- ラヴィンドラ・クマール 『クンダリーニ覚醒術』 井上宏訳、心交社、2005年7月16日。
- 成瀬雅春 『クンダリニー・ヨーガ - 超常的能力ヨーガ実践書の決定版』 BABジャパン出版局、2003年9月。
- 本山博 『自分でできる超能力ヨガ - 四週間で身につくトレーニング法』 宗教心理出版、1992年12月。
- 本山博 『密教ヨーガ - タントラヨーガの本質と秘法』 宗教心理出版、1978年9月。
- 本山博 『超意識への飛躍 - 瞑想・三昧に入ると何が生ずるか』 宗教心理出版 第5版版、1985年7月。
- 本山博 『霊的成長と悟り - カルマを成就し、解脱にいたる道』 宗教心理出版、1988年5月。
- C・W・リードビーター 『チャクラ』 本山博・湯浅泰雄 共訳、平河出版社、1979年3月。
- カール・グスタフ・ユング 『クンダリニー・ヨーガの心理学』 老松克博訳、創元社、2004年10月。
- G.I.グルジェフ 『ベルゼバブの孫への話 - 人間の生に対する客観的かつ公平無私なる批判』 浅井雅志訳、平河出版社、1990年。
- ダンテス・ダイジ 『ニルヴァーナのプロセスとテクニック』 森北出版、1986年2月。
- マーシャル・ゴーヴィンダン 『ババジと18人のシッダ - クリヤー・ヨーガの伝統と自己覚醒への道』 ネオデルフィ監訳、ネオデルフィ、1998年9月15日。
[編集] 関連項目
- プロトサイエンス
- クンダリニー・ヨーガ
- チャクラ
- 内丹術
- 三昧
- 変性意識状態
- ゴーピ・クリシュナ
- 麻原彰晃 - 主にクンダリニー・ヨーガによる修行を利用し信者を獲得、マインドコントロールしていた。
[編集] 外部リンク
- クンダリニー・ヨーガ修習 -身体の健全性- (PDF) 瀧藤尊照著、四天王寺大学紀要第49号、2010年3月
- KUNDALINI YOGA (PDF) スワミ・シヴァーナンダ著、A DIVINE LIFE SOCIETY PUBLICATION (英語)
- Catharina Kiehnle著J˜n¯andev (PDF) 島岩著、マハーラーシュトラ、マハーラーシュトラ研究会、1999年7月、5,pp.104-125