スカンダ

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孔雀の背に乗るスカンダ カンボジア美術 ギメ東洋美術館
マレーシア、バトゥ洞窟のスカンダ像

スカンダサンスクリット: स्कन्द Skanda)はヒンドゥー教の軍神である。

最高神シヴァの次男。父はシヴァ、母はデーヴァセーナ(パールヴァティ)もしくはガンガー(パールヴァティの妹)で、代理父がアグニ、代理母がスヴァーハー。軍神インドラに替わって新たな神軍の最高指揮官となる。

仏教にも伝わって韋駄天(異名クマーラからは鳩摩羅天)となった。

神名[編集]

スカンダという名はイスカンダルアレクサンドロス大王)から転じたとする説[1]が有力である。インド直前まで遠征したアレクサンダー大王が土着の神ムルガンタミル語: முருகன் Murukaṉ Murugan)と融合して発展したといわれる。

カルティケヤサンスクリット: कार्त्तिकेय Kārttikeya Karttikeyaすばる星団と関係を持つ者、もしくは6人の子供の集合体から6)、クマーラकुमार Kumāra Kumara、少年)、マハーセーナ(偉大なる戦士)、セーナーパティ(戦士の王)、グハ(神秘的な者)、シャクティダラ(槍を持つ者)、ターラカジットターラカの征服者)等と64の名を持つ。

外見[編集]

6つの顔と12本の腕を備え、孔雀に乗り槍を持つ若い青少年の姿であらわされる。

神話[編集]

叙事詩マハーバーラタ』によれば、アグニが7人の聖仙の妻たちに恋をしたが彼女たちとの不倫を自制していたところ、アグニを恋慕するスヴァーハーが6人の聖仙の妻の姿に順次化けてアグニを誘惑して6回の性交を果たし、その度にアグニの精液をアシュベータ山の黄金の穴に落とした。スヴァーハーは非常に貞操の固い7人目の聖仙の妻に化けることは失敗したが、6人の聖仙の妻に化けて実施したアグニとの6回の性交でアシュベータ山の黄金の穴からは6面12臂の神であるスカンダが誕生した。スカンダは生後4日で非常に強くなり、インドラ率いる神々の軍勢も打ち破ることはできなかったため、インドラは神軍の最高指揮官をスカンダに譲った。

やがてスカンダがシヴァ派のヒンドゥー教に吸収されると、アグニとスヴァーハーと性交している時にシヴァがアグニに乗り移り、同様にパールヴァティーがスヴァーハーに乗り移っていたので、スカンダはシヴァの息子であると解釈された。

スカンダが六面十二臂を持つ理由としてこのような異説がある。元々スカンダは6人兄弟だったが、パールヴァティーが彼等をあまりにかわいく感じて強く抱きしめた為、彼等は頭と腕の数はそのままに体が合体して一つになった。スカンダを見たパールヴァティーは強い母性愛を感じ、自然と母乳が流れ出した。

ある時スカンダとインドラが互いの力をめぐって争いとなり、問題解決の為にカイラス山を周回する競走を行った。勝負は決したが二人は互いに勝利を譲らず、カイラス山に判定を求めた。カイラス山はインドラに有利な証言をしたため、怒ったスカンダが槍を投げつけてカイラス山を削り、削られた所がクラウンチャ峠になった。

現代の信仰[編集]

現在スカンダ信仰は、インド南部のタミル人社会に強く存在し、その移民の地であるスリランカの他、シンガポールマレーシアなどの東南アジアにおいても信仰されている。

配偶[編集]

戦争以外はあまり考えていない上女性すら近付けず、自分の神殿に女性が入ることすら拒む。カウマーリまたはデーヴァセナという妻・パートナーがいる場合もある。

脚注[編集]

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  1. ^ この説は、1937年、N. Gopala Pillaiが、"Skanda] The Alexander Rommance in India"で発表した説である。http://murugan.org/research/gopalapillai.htm