中沢新一

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

中沢 新一なかざわ しんいち1950年5月28日 - )は、 山梨県山梨市出身の宗教学者哲学者評論家文化人類学者。父は民俗学者中沢厚。祖父は生物学者中沢毅一。父の弟は歴史学者中沢護人。父の妹の夫は歴史学者網野善彦。遠縁に作家の芹沢光治良

目次

[編集] 来歴・人物

東京大学大学院人文科学研究科へ入学後、ネパールチベット仏教の修行を行い、帰国後現代思想研究の成果を駆使して著作活動を開始。1983年に公刊した『チベットのモーツァルト』が、同年浅田彰が出した『構造と力-記号論を超えて-』と並んで注目され、ニュー・アカデミズムブームの一翼を担った。初の本格的なビデオゲーム論『ゲームフリークはバグと戯れる』(『雪片曲線論』所収)、その後の成果『ポケットの中の野生/ポケモンと子ども』など。

中央大学教授を経た後、友人の平出隆に招かれ2006年に多摩美術大学教授に就任。

[編集] 略歴

[編集] 受賞歴

[編集] エピソード

  • ネパールに渡り、チベット仏教のニンマ(古)派の修行を経験。この体験を元に『チベットのモーツァルト』(せりか書房)を発表。 また、いわゆるチベット『死者の書』を紹介した(『三万年の死の教え―チベット『死者の書』の世界』角川書店)[1]。ニンマ派はチベット仏教でも歴史のある宗派で、チベット四大宗派の1つとされる。 

 

  • 東大駒場騒動
    • 1988年(昭和63)、当時東京大学教養学部教授の職にあった西部邁により、同学部社会科学科助教授に推薦されるも教授会で異例の否決となった。西部は教授会に抗議して辞任。いわゆる東大駒場騒動中沢事件などと報道されて話題となった。
  • オウム真理教関係
    • 中沢は坂本弁護士事件発生直後、雑誌『SPA!』の企画で麻原彰晃と対談するなど、社会問題化しつつあったオウム真理教の問題に取り組んでいた。サリン事件が同教団主導であることが発覚した後、マスコミ、学者、事件の被害者と被害者弁護士などから、中沢批判の声が一斉に上がった。浅田彰は、事件後に『諸君!』誌上で中沢と対談。その後『噂の真相』で中森明夫らと座談会の際、中沢を評価したことを過ちだと述べた。
    • 島田裕巳は中沢を批判する著作を発表。中沢が1981年(昭和56年)に著した『虹の階梯』(ケツン・サンポと共著)が、オウム真理教信者に広く読まれていた点を強調。2007年(平成19年)現在、中沢がオウム事件に関して沈黙していると批判した[2]
    • 苫米地英人は、中沢がオウム真理教をめぐる諸々の事件の最重要人物(著書においてはA級戦犯)であり、その責任を問われぬまま、大学教授という高等研究機関に携わっていることを、著作の中で疑問視した[3]

[編集] 著書

[編集] 単著

  • 1983年『チベットのモーツァルト』せりか書房
  • 1985年『雪片曲線論』青土社
  • 1986年『野ウサギの走り』思潮社
  • 1987年『虹の理論』新潮社
  • 1988年『悪党的思考』平凡社
  • 1992年『森のバロック』せりか書房
  • 1992年『幸福の無数の断片』河出書房新社
  • 1993年『三万年の死の教え―チベット『死者の書』の世界』角川書店
  • 1995年『哲学の東北』青土社
  • 1995年『知天使のぶどう酒』河出書房新社
  • 1995年『ゲーテの耳』河出書房新社
  • 1996年『純粋な自然の贈与』せりか書房
  • 2001年『フィロソフィア・ヤポニカ』集英社
  • 2002年『緑の資本論』集英社
  • 2002年『人類最古の哲学―カイエ・ソバージュ〈I〉』講談社
  • 2002年『熊から王へ―カイエ・ソバージュ〈II〉』講談社
  • 2003年『精霊の王』講談社
  • 2003年『愛と経済のロゴス―カイエ・ソバージュ〈III〉』講談社
  • 2003年『神の発明 カイエ・ソバージュ〈IV〉』講談社
  • 2004年『対称性人類学 カイエ・ソバージュ〈V〉』講談社
  • 2004年『僕の叔父さん 網野善彦』集英社(新書
  • 2005年『アースダイバー』講談社
  • 2006年『芸術人類学』みすず書房
  • 2006年『三位一体モデル TRINITY』東京糸井重里事務所
  • 2007年『ミクロコスモス I〜II』四季社

[編集] 共著

[編集] 編著

  • 『東洋の不思議な職人たち』平凡社・東洋文庫ふしぎの国2
  • 『神々と妖精たち』 平凡社・東洋文庫ふしぎの国9

[編集] 共編

  • 鶴岡真弓月川和雄)1997年『ケルトの宗教ドルイディズム』岩波書店
  • (河合隼雄)1998年『私とは何か』岩波書店・叢書現代日本文化論1
  • (河合隼雄)2003年『あいまいの知』岩波書店

[編集] 脚注

  1. ^ 山口瑞鳳は、日本でも翻訳が出ているニンマ派の『チベット死者の書』について、偽書と述べた。山口瑞鳳「中沢新一氏とNHKが持ち上げる「チベット死者の書」はエセ仏典」『諸君』26(6)、1994年、154~161頁。
  2. ^ 島田裕巳『中沢新一批判、あるいは宗教的テロリズムについて』亜紀書房、2007年
  3. ^ 苫米地英人『スピリチュアリズム』にんげん出版、2007年。

[編集] 関連人物

[編集] 関連項目


[編集] 外部リンク