森達也

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森 達也(もり たつや、1956年 - )は、日本のドキュメンタリー映画監督、テレビ・ドキュメンタリー・ディレクター、ノンフィクション作家[1]明治大学特任教授[2]

人物・活動[編集]

広島県呉市出身[3]立教大学卒業後、アルバイトを転々としつつ演劇活動に打ち込む[4]。29歳にして就職活動を始め、広告代理店に就職。その後も職を転々とし、不動産会社商社[4]、そして1986年テレビ番組制作会社へ転職[4]。後にフリーになる[4]

1992年ミゼットプロレスのテレビドキュメント作品『ミゼットプロレス伝説 〜小さな巨人たち〜』でデビュー[5]

広報副部長荒木浩を中心にオウム真理教信者達の日常を追うドキュメンタリー映画『A』を公開[5]ベルリン国際映画祭に正式招待される[4]。2001年には続編『A2』を発表[5]山形国際ドキュメンタリー映画祭にプレミア出品され、市民賞・審査員賞受賞[1]

一方、テレビでは、フジテレビNONFIX」枠で、秋山眞人堤裕司清田益章らエスパーを職業とする者たちの日常をとらえた『職業欄はエスパー』(1998年)[6]、他の生物を犠牲にして生きる人間の矛盾を描いた『1999年のよだかの星』(1999年)[7]、『「放送禁止歌」〜歌っているのは誰?規制しているのは誰?〜』(1999年[8]など、タブーから目をそらさない姿勢で取り組んだドキュメンタリー作品を続けて制作[9]

『言論統制列島』では「僕は、思想・信条から自由でありたいというか、むしろ特定の思想・信条やイズム(主義)にどうしても埋没できない。だからね、左でも右でも、まあ、どっちでもいい」「マルクスなんか読んだこともない」と発言している[10]

代表作に映画『A』『A2』、テレビドキュメンタリー『放送禁止歌』、書籍『下山事件(シモヤマ・ケース)』がある。

エピソード[編集]

  • 立教大学時代は映画サークル「立教SPP」に所属[11]。このサークルには黒沢清塩田明彦らがいた[11]。黒沢や石井聰亙の映画にも出演した[11]
  • 2004年に発表したノンフィクション『下山事件(シモヤマケース)』において「彼」と匿名で登場する取材協力者が、事件に関わる自動車の車種など著者である森に詳細に語る部分が記されていた。2005年7月、当の「彼」である柴田哲孝が、『下山事件 最後の証言』(祥伝社)を実名で発表。書中で森の書いた証言部分は事実ではないと指摘した。森は2006年の『下山事件』の文庫化に際し「付記」の中で、「こんな場合、おおむね語られた人よりも語った人の記憶のほうが正しい」「つまり僕は圧倒的に分が悪い」「この本に記したように柴田から聞いた記憶があるけれど、それは糺されねばならないだろう」と、ほぼ柴田の指摘を認め、あくまでもミスに過ぎず、意図的な捏造ではないとも述べ、記憶通りに書いたことを理由に、本文自体は変更せず「謝罪はしない。なぜなら自分が間違ったことをしたとは思っていない」と述べた[12]
  • 2010年出版の『A3』(集英社インターナショナル)で第33回講談社ノンフィクション賞受賞。この賞に対し、日本脱カルト協会代表理事の西田公昭立正大学教授や教団の問題に取り組んできた滝本太郎弁護士らは、「松本死刑囚からの指示を認定した確定判決にほとんど触れず、ノンフィクションとは言えない」と批判し、2011年9月1日付で講談社に抗議書[13]を郵送し、9月2日に記者会見を行った。
  • 前述の抗議書に対して森は『』で反論し公開論争を呼び掛け『創』が滝本太郎に提案したが、経過について行き違いがあり[14]、滝本は討論する意義はないとして応じなかった[15]
  • 2011年9月5日の講談社ノンフィクション賞贈呈式・祝賀会のスピーチで「いろいろ批判が来てますが、基本的には全部反論できます。ぼく自身は、これによってAmazonの順位が500位くらい上がったんでね、ありがたいことで。もっともっと油を注ぎたいぐらい」と発言した[16]

映像作品[編集]

劇場映画[編集]

TVドキュメンタリー[編集]

映画出演[編集]

著書[編集]

単著[編集]

  • 『ベトナムから来たもう一人のラストエンペラー』 角川書店、2003年8月ISBN 4048838288

共著[編集]

対談集[編集]

  • 『世界と僕たちの、未来のために 森達也対談集』作品社、2006年1月 ISBN 4861820669
  • 『豊かで複雑な、僕たちのこの世界 森達也対談集』作品社、2007年8月29日 ISBN 4861821436

関連項目[編集]

  • NONFIX - ドキュメンタリーを作成。
  • 村上賢司
  • 「職業欄はエスパー」に出演

脚注[編集]

  1. ^ a b 森 & 安岡 2002, p. 239.
  2. ^ 専任教員紹介”. 2013年7月9日閲覧。
  3. ^ 特集vol.39 森達也(作家・映画監督) インタビュー”. CINRA. 2013年7月9日閲覧。
  4. ^ a b c d e 第5回ドキュメンタリー作家 森達也さん”. 株式会社アイ・キュー. 2013年7月9日閲覧。
  5. ^ a b c 森達也プロフィール 森達也オフィシャルウェブサイト”. 2013年7月9日閲覧。
  6. ^ NONFIX : 1998年オンエア作品”. フジテレビ. 2013年7月9日閲覧。
  7. ^ NONFIX : 1999年のよだかの星”. フジテレビ. 2013年7月9日閲覧。
  8. ^ NONFIX : 放送禁止歌~唄っているのは誰? 規制するのは誰?~”. フジテレビ. 2013年7月9日閲覧。
  9. ^ 森 & 安岡 2002, pp. 188-196.
  10. ^ 鈴木邦男・斎藤貴男・森達也 『言論統制列島 - 誰もいわなかった右翼と左翼』 講談社、2005年6月28日、10頁。ISBN 978-4062129770
  11. ^ a b c d e f 森 & 安岡 2002, p. 212.
  12. ^ 森達也 『下山事件 (シモヤマ・ケース)』 新潮社〈新潮文庫〉、2006年10月31日ISBN 9784101300719
  13. ^ 西田公昭 (2011年9月1日). “講談社への抗議書全文 (PDF)”. 日本脱カルト協会. 2013年7月9日閲覧。
  14. ^ 森達也『A3』講談社ノンフィクション賞受賞めぐる応酬” (2011年9月7日). 2013年7月9日閲覧。
  15. ^ 滝本太郎 (2012年3月19日). “公開討論云々-森達也氏”. 2013年7月9日閲覧。
  16. ^ 藤倉善郎 (2011年9月8日). “やや日刊カルト新聞 森達也氏「抗議のおかげでAmazonの順位が上がった」”. やや日刊カルト新聞社. 2013年7月9日閲覧。

参考文献[編集]

  • 森達也・安岡卓治 『A2』 現代書館、2002年4月10日ISBN 978-4768476826

外部リンク[編集]