金剛頂経

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密教
仏教
金剛乗仏教
時代・地域
初期 中期 後期
インド チベット 中国 日本
主な宗派(日本)
東密
※は、「真言宗各山会」加入
- 古義真言宗系 -
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- 真言律 -
真言律宗
台密
〈日本〉天台宗
信仰対象
如来 菩薩 明王
経典
大日経 金剛頂経
蘇悉地経 理趣経
思想 基本教義
即身成仏 三密 入我我入
曼荼羅 護摩
東密
古義広沢流 小野流新義
関連人物
東密
金剛薩埵 龍樹
龍智 金剛智 不空 恵果
空海
真言律
叡尊 忍性 信空
台密
最澄 順暁 円仁 円珍
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金剛頂経』(こんごうちょうきょう、: Vajraśekhara Sūtra/Tantra , ヴァジュラシェーカラ・スートラ/タントラ)は、大乗仏教密教経典。

後に『初会金剛頂経』(しょえこんごうちょうきょう)と分類される経典、すなわち『一切如来の真実を集めたものと名付ける大乗経典』(: Sarvatathāgata-tattvasaṃgrahaṃ-nāma-mahāyāna-sūtraṃ )、略して『真実摂経』(しんじつしょうきょう、: Tattvasaṃgraha Sūtra/Tantra , タットヴァサングラハ・スートラ/タントラ))を編纂したグループが、その後次々と作製・編纂していった「金剛頂経」系テキストの総称である。

通常は、不空の『金剛頂経瑜伽十八会指帰』(大正蔵869)の説明に従い、全十八会(部)・十万頌とする。

概要[編集]

日本では、普通に「金剛頂経」と言う時は『初会金剛頂経』(『真実摂経』)、特に、不空訳『金剛頂一切如来真実摂大乗現証大教王経(大教王経)』(大正蔵865)のことを指す。

『初会金剛頂経』(『真実摂経』)は金剛界曼荼羅(こんごうかいまんだら)の典拠となる経典で、真言宗天台宗では密教の「即身成仏」の原理を明確に説いているとしている。真言宗(東密)では特に根本経典(最も重要な経典)とされ、「金剛頂経」と『大日経』の2つの密教経典を「両部の大経」という。

真言宗で唱えられている『理趣経』(『百五十頌般若』: : Adhyardhaśatikā prajñāpāramitā )は、「金剛頂経」系テキストの内、第六会に含まれる『理趣広経』とよばれる文書の略本である。

空海774年835年)は、長安において青龍寺の恵果746年805年)の弟子となり、密教の伝法潅頂を授かり、『初会金剛頂経』の教理と実践方法を伝授(大日如来―金剛薩埵―龍猛―龍智―金剛智―不空―恵果―空海と付法)される。806年に日本に初めて、『初会金剛頂経』に基づく実践体系を伝えている。

「金剛頂経」は龍猛が南天竺の鉄塔のなかで感得したという伝説がある。この経典は大日如来が18の異なる場所で別々の機会に説いた10万(じゅ)に及ぶ大部の経典の総称であり、単一の経典ではない。

漢訳経典[編集]

『初会金剛頂経』(『真実摂経』)の漢訳としては、

  • 金剛智三蔵(ヴァジュラボーディー/670年頃~741年)がサンスクリット語から漢訳した『金剛頂瑜伽中略出念誦経(略出念誦経)』4巻(大正蔵866)
  • 不空三蔵(ア-モガヴァジュラ/705年~774年)が漢訳した『金剛頂一切如来真実摂大乗現証大教王経(大教王経)』3巻(大正蔵865)
  • 施護(せご)が漢訳した『一切如来真実摂大乗現証三昧大教王経(現証三昧大教王経)』30巻(大正蔵882)

がある。

サンスクリット原典、チベット語訳も現存し、それらは漢訳では施護訳と対応する。7世紀中頃から終わりにかけて、南インドでその基本形が成立し、次第に施護訳にみられるような完成形態に移行したとされる。

十八会の構成[編集]

不空の『金剛頂経瑜伽十八会指帰』(大正蔵869)に説明されている「金剛頂経」全十八会の構成は以下の通り。

  • 初会 - 「一切如来真実摂大乗現証大教王」(『真実摂経』『大教王経』)
  • 第二会 - 「一切如来秘密主瑜伽」
  • 第三会 - 「一切経集瑜伽」
  • 第四会 - 「降三世金剛瑜伽」
  • 第五会 - 「世間出世間金剛瑜伽」
  • 第六会 - 「大安楽不空三昧耶真実瑜伽」
  • 第七会 - 「普賢瑜伽」
  • 第八会 - 「勝初瑜伽」
  • 第九会 - 「一切仏集会挐吉尼戒網瑜伽」
  • 第十会 - 「大三昧耶瑜伽」
  • 第十一会 - 「大乗現証瑜伽」
  • 第十二会 - 「三昧耶最勝瑜伽」
  • 第十三会 - 「大三昧耶真実瑜伽」
  • 第十四会 - 「如来三昧耶真実瑜伽」
  • 第十五会 - 「秘密集会瑜伽」
  • 第十六会 - 「無二平等瑜伽」
  • 第十七会 - 「如虚空瑜伽」
  • 第十八会 - 「金剛宝冠瑜伽」

内容[編集]

大日如来が一切義成就菩薩(いっさいぎじょうじゅぼさつ)(釈尊(しゃくそん))の問いに対して、自らの悟りの内容を明かし、それを得るための実践法が主となっている。その悟りの内容を具体的に示したのが金剛界曼荼羅であり、その実践法の中心となるのが五相成身(ごそうじょうじん)観である。五相成身観とは、行者の汚れた心を、瑜伽の観法を通じて見きわめ、その清浄な姿がそのまま如来の智慧(ちえ)に他ならないことを知り、如来と行者が一体化して、行者に本来そなわる如来の智慧を発見するための実践法である。

注釈書[編集]

8世紀の瑜伽部密教の三大学匠といわれるブッダグヒヤ、アーナンダガルバ、シャーキヤミトラなどの注釈書がチベット訳として残る。

『金剛頂経(真実摂経)』のチベット語訳には注釈書が付随し、現存するものを挙げると、

  • ブッダグヒヤ(Buddhaguhya)撰 『タントラ義入』
  • シャーキャミトラ(Sakyamitra)撰 『コーサラの荘厳という真実の集成に対する注釈』
  • アーナンダガルバ(Anandagarbha)撰 『一切如来の真実の集成である大乗の現観と名づけるタントラの注・真実の燈明』
  • プトゥン(Bu ston rin chen grub)撰 『瑜伽タントラの海に入る船』

の四つがある。

また、ブッダグヒヤの『タントラ義入』にはパドマヴァジュラによる再注釈書『タントラ義入釈』がある。

脚注・出典[編集]

関連項目[編集]