天部

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天部(てんぶ、サンスクリット (देव, deva)は、密教における神々を意味する尊格の一つ。ほとんどは、古代インドバラモン教(古代のヒンドゥー教)の神々が密教に取り入れられ、仏の守護神である護法善神となったものである。天部神

天部のルーツと語義[編集]

サンスクリット語のデーヴァ (deva) は「神」に相当する語であり、インド神話の天空神ディヤウスや、 印欧祖語を介してラテン語・キリスト教のデウスやギリシャ神話のゼウスとは同根語である。中国において「天」と訳され、日本語においてもそれが踏襲されている。天部が住む世界も(devaloka)と訳されるため、漢字文化圏ではしばしば混同される。「天部」の「部」は「部門」「グループ」というほどの意味であるから、「天」だけでも意味が通じるはずだが、たとえば仏像を指すときには、日本語では「天像」とは言わず「天部像」と言いならわしている。[1]なおdevaは天神、天人とも訳すが、その場合は多少ニュアンスが異なる。ゾロアスター教においてはデーヴァに相当するダエーワは悪神・悪魔に位置付けられている。

天部諸尊のルーツである古代インドのバラモン教の神々は、宇宙の創造神から、悪霊鬼神の類に至るまでさまざまである。そのうちには、男性神(毘沙門天、大黒天など)、女性神(吉祥天、弁才天など)、貴紳形(梵天)、天女形(吉祥天)、力士形(金剛力士)、武将形(十二神将)など、さまざまな形態や性格のものを含む。

仏教の尊格と天部[編集]

仏教の信仰・造像の対象となっている、広い意味での「」は、その由来や性格に応じ、「如来部」「菩薩部」「明王部」「天部」の4つのグループに分けるのが普通である。[2]如来」とは「仏陀」と同義で「悟りを開いた者」の意、「菩薩」とは悟りを開くために修行中の者の意、なお顕教では、十界を立てて本来は明王部を含まない。これに対し密教では、自性輪身・正法輪身・教令輪身の三輪身説を立てて、その中の「明王」は教令輪身で、如来の化身とされ、説法だけでは教化しがたい民衆を力づくで教化するとされる。そのため忿怒(ふんぬ)といって恐ろしい形相をしているものが多い。以上3つのグループの諸尊に対して、「天部」に属する諸尊は、仏法の守護神・福徳神という意味合いが濃く、現世利益的な信仰を集めるものも多数存在している。

天部の諸尊[編集]

天部の神を代表するものに、梵天帝釈天持国天増長天広目天多聞天毘沙門天)の四天王弁才天(弁財天)、大黒天吉祥天韋駄天摩利支天歓喜天金剛力士鬼子母神(訶梨帝母)、十二神将十二天八部衆二十八部衆などがある。

数尊を集めて護法や守護神的な威力を高めたものとして、四天王・八部衆・十二天・十二神将・二十八部衆などが挙げられる。

安置形態としては、寺院の入口の門の両脇に安置される場合、本尊の周辺や仏壇の周囲に安置される場合などさまざまであり、毘沙門天、弁才天などは堂の本尊として安置され、崇敬の対象となっている場合もある。

脚注[編集]

  1. ^ 他の尊格で「部」が省略されている場合でも、「天」だけは「天部」と称されることがある。
  2. ^ 「観音」を「菩薩」と分ける場合もある。

関連項目[編集]