ヘルメース

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プラクシテレスのヘルメース像

ヘルメース古典ギリシア語Ἑρμῆς, Hermēs)は、ギリシア神話に登場する青年である。長母音を省略してヘルメスとも表記される。

オリュンポス十二神の一柱。旅人、泥棒、商業、羊飼いの守護神であり、神々の伝令役を務める。能弁、体育技能、眠り、夢の神とも言われる。その聖鳥は朱鷺及び雄鶏

元来はトラーキアペラスゴイ人の神で、ドーリア人の侵入に従ってギリシア全体に広まったといわれる。

[編集] 解説

ヘルメースはゼウスマイアの子とされる。ゼウスはオリュンポス神族の伝令となる神を作るため、妻ヘーラーに気付かれないように夜中にこっそり抜け出し、マイアに会いに行くことで泥棒の才能を、ヘーラーに隠し通すことで嘘の才能を、ヘルメースが持つように狙った。特にゼウスの忠実な部下で、神話では多くの密命を果たしている。代表的なのは百眼の巨人アルゴスの殺害で、このためアルゴス殺しの異名がある。主に頭に丸い翼の付いた旅行帽ペタソス)を被った姿で表され、神々の伝令の証であるケーリュケイオンという杖と、履く事によって空を飛ぶ事ができる黄金の翼が付いた魔法のサンダルタラリア、そして武器である鎌(ショーテルとも)・ハルペーを持つ。

死者、特に英雄の魂を冥界に導く死神としての一面も持ち、その反面冥界から死者の魂を地上に戻す役割も担っており、オルペウスが妻エウリュディケーを冥界から連れ出そうとした際に同行した。この点からタキトゥス北欧神話オーディンとヘルメースを同一視している。また、アポローン竪琴の発明者とされ、以下のような逸話が残っている。

ヘルメースは早朝に生まれ、昼にゆりかごから抜け出すと、まもなくアポローンの飼っていた雄50頭を盗んだ。彼は自身の足跡を偽装し、さらに証拠の品を燃やして雄牛達を後ろ向きに歩かせ、牛舎から出た形跡をなくしてしまった。翌日、牛達がいないことに気付いたアポローンは不思議な足跡に戸惑うが、予言によりヘルメースが犯人だと知る。激怒したアポローンはヘルメースを見つけ、牛を返すように迫るが、ヘルメースは「生まれたばかりの自分にできる訳がない」とうそぶき、ゼウスの前に引き立てられても「嘘の付き方も知らない」と言った。それを見たゼウスはヘルメースに泥棒と嘘の才能があることを見抜き、ヘルメースに対してアポローンに牛を返すように勧めた。ヘルメースは牛を返すのだがアポローンは納得いかず、ヘルメースは生まれた直後(牛を盗んだ帰りとも)に洞穴で捕らえたウミガメの甲羅にを張って作った竪琴を奏でて詩を歌った。それが欲しくなったアポローンは牛と竪琴を交換してヘルメースを許し、友好の証として自身の持つケリュケイオーンの杖をヘルメースに送った(牛はヘルメースが全て殺したため、交換したのはケリュケイオーンだけとする説も。なお、殺した牛の腸を竪琴の材料に使ったとも)。このときアポローンとお互いに必要な物を交換したことからヘルメースは商売の神と呼ばれ、生まれた直後に各地を飛び回ったことから旅の神にもなった。

ヘルメースはヘーラーの息子ではなかったが、アレースと入れ替わってその母乳を飲んでいたため、ヘーラーはそれが分かった後もヘルメースに対して情が移り、彼を我が子同然に可愛がった。

ある時アプロディーテーに惚れたヘルメースは彼女を口説いたが、まったく相手にされなかった。そこでヘルメースはゼウスに頼んでを借りてくると、その鷲と泥棒の才能を使ってアプロディーテーの黄金のサンダルを盗んだ。ヘルメースはこのサンダルを返す事を条件に関係を迫り、彼女を自由にした。2人の間にはヘルマプロディートスプリアポスが生まれた。この他にもペルセポネーヘカテー、多数のニュムペーたちと関係を持っており、エウドーロスアウトリュコスなどの子供をもうけている。また、パーンもヘルメースの息子とされることがある。

ギガントマキアーにおいてヘルメースはハーデースの隠れ兜を被って姿を消し、ギガンテスの一人ヒッポリュトスを倒している。

ほかにもダイス天文学アルファベットを発明したり、度量衡の制度を整えたりするなど、人間のためにさまざまな貢献をしている。

ローマ神話におけるメルクリウス(マーキュリー)に相当する。水星はギリシアではヘルメースの星といわれ、これはローマ人にも受け継がれた。現代ヨーロッパ諸語でメルクリウスに相当する語を水星に当てるのはこのためである。

古代ギリシアにはヘルメーもしくはヘルマイなどと呼ばれるヘルメース神の石柱像があり、道端などに立てられていた。トゥーキュディデースの『戦史』によると、紀元前415年ペロポネソス戦争を戦っていたアテーナイのヘルメーが、一夜のうちに全て壊されるという事件が起きた。この事件はアルキビアデースの一派が起こしたものと疑われ、アルキビアデースがラケダイモーン側に寝返る原因となった。アルキビアーデスがラケダイモーン側に対して行った進言がきっかけでアテーナイは痛恨の打撃を受け、ついには敗北することとなった。

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