ドロップキック
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ドロップキック (Drop Kick) はプロレス技のひとつで、蹴り技および飛び技の一種である。
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[編集] 解説
最も基本的な技の一つである。正式名称はフライング・ドロップキック (Flying Drop Kick) 。跳び方、相手の間合いなどに応じて豊富なバリエーションが存在する。
主に若手時代に習得することが多く、ベテランの域に達してもなお愛用しているプロレスラーも少なくない。また、名手と呼ばれるレスラーも多く、目が肥えているファンはこの技一つでプロレスが巧いか下手かを見分けることができるという(打点、着地時の受身の取り方に着目する)。
この技に凝縮されたプロレス的魅力の大きさを示す事例といえよう。また、使い手によってはこの技だけでピンフォールを取ることもある。
総合格闘技やキックボクシングなど、プロレス以外の試合でも奇襲としてこの技を繰り出す選手が時折みられる。近年ではK-1において中尾芳広がボブ・サップに放ち、それはあわや顔面直撃という見事なドロップキックであった(結果は不発)。
また、プロレスラーのドン荒川は学生時代、アマチュアレスリングの試合でドロップキックを繰り出し反則負けになるという珍事を起こしたことがある。
[編集] 掛け方
対戦相手目掛けてジャンプし両足を揃えて足裏で蹴る(飛び蹴りとも言う)。
- 技を出すタイミング
- 立っている相手のその場飛びで蹴る
- 立っている相手に向かって走り、勢いをつけて蹴る
- 走ってくる相手に対するカウンター
- コーナートップからダイビングしてくる相手に対する迎撃
- コーナートップに登ろうとしている相手を蹴り落とす
- エプロンサイドに立った相手をロープ越しに蹴る
ただし使い手によって用途は以上の限りではなく、工夫次第で様々な状況に対応できる万能技ともいえる。
[編集] 創始者と名手
1930年代に活躍したアメリカのレスラー、ジョー・サボルディが元祖である。
その後はペドロ・モラレス、パット・オコーナー、アントニオ・ロッカなどがドロップキック三人男として名手と呼ばれていた。
日本では遠藤幸吉、吉村道明が名手として名をあげ、ジュニア時代の藤波辰爾も連発式で繰り出して定評を得ていた。現在はグラウンドテクニックの達人として知られる木戸修も、かつては名手として評価されていた一人である。
三沢光晴は一回転式ドロップキック(後述)をヘビー級で本格的に使った第一人者である。現在では田口隆祐が非常にこだわりを持って使っていることで知られ、この技1本で獣神サンダー・ライガーを秒殺したことがある。
また、ジャンボ鶴田や大森隆男も190cm以上の長身にもかかわらず打点が高くキレもあり、高い評価を得ている。
現在の外国人選手ではAJスタイルズやハードコア・ホーリー、マーク・ジンドラック、現在もWWEのトップとして活躍するエッジ、ランディ・オートンなどが優れた使い手として有名。特にジンドラックは2mに迫る巨体でありながら驚異的な跳躍力を誇り、プロレス業界でも指折りの名手とする評もある。
意外なように思われるが、ドロップキックが苦手だったレスラーにアントニオ猪木がいる。日本プロレス時代の猪木は正面ジャンプ式ドロップキックを多用していたが、空中でのバランスが良くなく、見栄えが全く良くなかった。
その後、猪木は新日本プロレスリング株式会社を旗揚げした後はNWFヘビー級選手権の防衛戦など大試合でドロップキックを多用していたが、それでも苦手意識があったようでミスター高橋がレフェリー兼マッチメイカーをしていたころ、控室でウォーミングアップしていた猪木に「ドロップキックで試合を決めてください」と注文したが、猪木が苦笑して「嫌だよ、お前、俺のしょっぱいドロップキックを見せて(観客を)笑わせるつもりなんだろう」と言ったという(それでもその試合ではドロップキックを見せたとのこと)。
[編集] 種類
ドロップキックは使い手によってモーションや用途に差異があり、数多くの種類が存在する。ここでは代表的なもののみを挙げる。
- スクリュー式
- 捻り式とも言う。自分の体がマットに平行になるように横向きに飛び上がり、両足で相手を蹴り付け、ヒット後は後ろ向きにうつ伏せになるように体勢を変え、前受け身をとる。後述する正面飛び式を改良したもので、着地から素早く立ち上がり連発で放つことが可能。現在ではこちらの方が主流になっている。
- 一回転式
- 横向きに飛び上がってヒット後に後方に一回転して前受け身を取る。ジュニアヘビー級の選手に使い手が多く、跳躍力と身軽さをアピールするのに絶好の技。旋回式とも呼ばれる。
- 正面飛び式
- 仰向けに飛び上がり、ヒット後はそのまま後ろ受け身をとる。原型ドロップキックとも呼ばれ、力道山時代はこれが主流であった。現在では、普段はこの技を使用しない選手や、体の大きな選手、技量の少ないレスラー等が使用する形でもある。SUWAが使用する「ジョン・ウー」はこれをさらに昇華させたもので、低空気味に下から突き上げるように相手の胸板を撃ち抜き、リング中央からコーナーまで相手を吹っ飛ばす。
- 低空式
- 元祖は渕正信。相手の身体の下半分や、四つんばいになっている相手の顔面を狙うドロップキックであるが、有名にしたのは武藤敬司であり、彼の得意とする足殺しのや、それからの足4の字固め、シャイニング・ウィザードに持っていくまでの重要なプロセスである。
- 串刺し式
- コーナーにもたれかかっている相手に走って勢いをつけて蹴る。
- 三十二文人間ロケット砲
- ジャイアント馬場の繰り出すスクリュー式のドロップキック。全盛期でも一年に一度位しかお目にかかれなかった伝説の大技だが、1968年6月27日に行われたインターナショナル・ヘビー級選手権ボボ・ブラジル戦では三連発を見舞わせ、フォール勝ちでタイトルを奪回したことがある(一つの試合で複数回この技を出したのはこれが唯一)。名称は馬場のカウンターキックを十六文キックと呼ぶところから来ている。また、ジャイアント馬場は全日本プロレス中継の解説時、ドロップキックという言葉は使わず「飛び蹴り」と表現していた。
- カンガルーキック
- 背後から羽交い絞めを繰り出してきた相手などに対し、体を前転させながらジャンプし、両足を揃えて蹴る変型の正面飛びドロップキック。派生技にチャパリータASARIのコーナーに振った相手に対しロンダートで近づいた後、カンガルーキックを見舞うロンダート・カンガルーキックがある。また、アンドレ・ザ・ジャイアントに長時間にわたってサーフボードストレッチに捕えられたアントニオ猪木がこの技で脱出する場面が度々見られた。
[編集] ミサイルキック
[編集] 概要
コーナートップからのドロップキックはミサイルキック (Missile Kick) と呼ばれる。
1948年にアントニオ・ロッカが開発して披露しているが、日本では1975年に全日本プロレスでリッキー・ギブソン(1980年代のアメリカの人気タッグチーム、R&Rエキスプレスのロバート・ギブソンの実兄)が初公開した。テネシー地区で彼のライバルだったココ・B・ウェアも得意としている。ダイナマイト・キッドやジョニー・スミスは着地した後にヘッド・スプリングの要領ですっと立ち上がるスタイルで人気だった。高野拳磁は2メートルの巨体からこの技を繰り出し、「人間バズーカ」の異名をとった。また、森嶋猛のものは「スカッド・ミサイル」と呼ばれ、この技を喰らった丸藤正道が、その威力の凄まじさから実在のミサイル兵器をイメージして命名した。
その他の使い手は三沢光晴、高田延彦、豊田真奈美、菊地毅が有名。
[編集] 種類
- スワンダイブ式
- トップロープの反動を利用して飛び上がった後、相手めがけて放つドロップキック。大谷晋二郎が使い手として知られる。
- 急降下式
- トップロープからの低空ドロップキック。コーナーポストから膝等の下半身を狙って蹴るミサイルキック。武藤敬司の得意技。武藤はセカンドロープから放つ場合もある。
[編集] 派生技
- ライダーキック
- 仮面ライダーの必殺技から着想された、片足でのミサイルキック。DDTプロレスリングや格闘探偵団バトラーツなどにレギュラー参戦していた、仮面シューター・スーパーライダー(修斗ウェルター級初代王者・渡部優一)がリングネームの通りに得意技にしていた。ザ・グレート・サスケはこの技をリング外に向けて放っていたが、受け身に失敗して負傷して以降は封印している。
- 福岡晶が使用していた同名の技は、相手の後頭部へ放つ前方一回宙返り式ミサイルキックであり、仮面ライダーBLACK RXのRXキックに形が類似している。
- コーナー・トゥー・コーナー・ドロップキック
- 相手をコーナーに宙づり状態にして固定、自分は反対側のコーナーにたち、相手を狙って(主に頭部)ミサイルキックを放つ技。元祖はロブ・ヴァン・ダムの「ヴァン・ターミネーター」でCIMAは「トカレフ」の名称で使用。非レスラーであるシェイン・マクマホンまで使用している。丸藤正道は「fromコーナーtoコーナー」の名称でスワンダイブ式で使用している。
[編集] その他
- 逮捕術
逮捕術のひとつとして、包丁を手に人質をとっている犯人に対しドロップキックが有効な場面があるとされる。ドロップキックに対して反撃を受けても技の特性上、リーチが足らず致命傷を避けることが出来るという。ただしこれは充分な訓練を積んだ者に限ったことと考えるべきで、それでもなお奇襲色が強い最終手段に類すると思われる。
- ボクシング
変わったところでは、プロボクサーの渡邉一久は試合でKO勝ちした際、勝利後のパフォーマンスとしてドロップキックをしていた。しかし、ある時いつものようにドロップキックをしたところ着地に失敗し腕を骨折。これにより一年半もの間リングからの長期離脱を余儀なくされた。この一部始終はテレビでも放映され、渡邉はあまりの情けなさにひどく落ち込んだという。
- 芸能人
芸能界でも運動神経の良いお笑い芸人がツッコミとして使用する場合がある。
- 宮迫博之(雨上がり決死隊):走り込んで蛍原徹の胸板を正確に打ち抜く技術は、生半可なプロレスラーを凌ぐとの評価もある。受身も上手く、お笑い界一の名手との呼び声も高い。
- ヒデ(ペナルティ):サッカー経験者であるため跳躍力があり、相方のワッキーに打点の高いドロップキックを見舞う。また、ボケ役であるため使用頻度は少ないがワッキーも上手い。
- 木梨憲武(とんねるず):年齢のせいもあってか最近は使わなくなっているが、コントを中心に活躍していたころに時折なかなかに切れ味鋭いドロップキックを見せていた。なお木梨もペナルティの両名と同じくサッカー経験者である。
- 見た目が邦彦(西口プロレス):西口プロレスに属する芸人レスラーであるが、コーナートップ上に座る相手の顔面を打ち抜く程の跳躍力を誇る。また、空中でのフォームもバランスが取れており美しい。
- 鈴井貴之:『水曜どうでしょう 試験に出る石川県・富山県』のロケ先の旅館で安田顕に2回放った。学生時代サッカーをしていたこともあり、高い打点と美しいフォームを両立させている。
- 映画・アニメ作品等
漫画やアニメでも戦闘やキャラクター同士のやり取りの一部として、ドロップキックを見舞う描写もしばしば見られる。
- ゴジラシリーズ:登場する怪獣・ゴロザウルスがカンガルーキックを得意技として使用。ただし技名こそ「カンガルーキック」であるが形は正面飛びドロップキックである。
- アニメ『ロザリオとバンパイア』:ヒロインの一人が派手なドロップキックで敵キャラクターを倒すシーンがある。
- アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』:ヒロインである涼宮ハルヒが画面外からドロップキックの体勢で飛んでくるシーンがある。
- 映画『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』:オーク同士が内輪もめで戦うシーンで、オークの一人が見事なドロップキックで塔から相手を蹴り落とすシーンがある。
- 映画『300』:ペルシア軍とスパルタ軍の戦闘シーンで、ペルシア兵(不死隊)が両手に持った剣を使わずドロップキックを繰り出す珍場面がある。
