ダモクレス

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リチャード・ウェストール『ダモクレスの剣』(1812年
キケロの逸話の美少年たちは、新古典主義のパトロン、トーマス・ホープのために乙女に変えられてしまった。

ダモクレス(Damocles、:Δαμοκλῆς、紀元前4世紀)はシラクサ僭主ディオニュシオス1世または2世)の廷臣とされる人物。「ダモクレスの剣」の故事で有名。

ダモクレスの剣 (The Sword of Damocles)[編集]

ある日、ダモクレスがシチリアの僭主・ディオニュシオスの権力と栄光を羨み、追従の言葉を述べた。すると後日、ダモクレスは僭主から豪華な宴の招待を受けた。宴は贅を極めたものであったが、その豪華な席からダモクレスがふと頭上を見上げると、天井から今にも切れそうな細い糸(馬の尾の毛)で、剣が吊るされていた。僭主・ディオニュシオスは、ダモクレスの羨んでいる僭主という立場が、いかに命の危険をともなうものであるかを示したのである。

この故事から、ヨーロッパ文化圏で「ダモクレスの剣」は、常に戦々恐々としている状況、あるいはそのような状況をもたらすものの譬えに用いられるようになった。

キケロ『トゥスクルム談義』[編集]

ダモクレスの剣の逸話として、有名なものに、共和政ローマ期の政治家にして文筆家キケロが書いた『トゥスクルム談義』があり以下はその引用である。

ラテン語原文
Dionysius "visne igitur," inquit,"o Domocle, ipse hanc vitam dequestare et fortunam mean experirri?"
cum ille se cupere dixisset, hominem in aureo lecto collocari iussi mensasque oranavit argento auroque.
邦訳(逸身喜一郎 訳)
ディオニュシオスはいった。「それではダモクレスよ、おまえはみずからこの暮らしをちょっと味わって、私の幸福を経験する気があるか?」。
彼がぜひやってみたいというと、僭主は、当人は黄金製の席に着くようにと命令し、食卓を金と銀で飾った。

ケネディ大統領の国連演説[編集]

この逸話が日本でよく知られるようになったのは、ケネディ大統領の国連演説(1961年)である。

地球のすべての住人は、いずれこの星が居住に適さなくなってしまう可能性に思いをはせるべきであろう。
老若男女あらゆる人が、核というダモクレスの剣の下で暮らしている。世にもか細い糸でつるされたその剣は、
事故か誤算か狂気により、いつ切れても不思議はないのだ。

(参考資料:Kennedy, John (1961年9月25日). “Address Before the General Assembly of the United Nations”. Selected Speeches of John F. Kennedy. Columbia Point, Boston MA 02125, USA: John F. Kennedy Presidential Library and Museum. 2011年8月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年8月5日閲覧。 “Today, every inhabitant of this planet must contemplate the day when this planet may no longer be habitable. Every man, woman and child lives under a nuclear sword of Damocles, hanging by the slenderest of threads, capable of being cut at any moment by accident or miscalculation or by madness.”

演説と故事とは、完全な類比にはなっていないが、謂わんとするところは明快である。

参考図書[編集]