ゴキブリ

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ゴキブリ
Cockroachcloseup.jpg
ワモンゴキブリ Periplaneta americana
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: ゴキブリ目 Blattodea
上科

本文参照

ゴキブリ(蜚蠊)は、昆虫綱ゴキブリ目(Blattodea)のうちシロアリ以外のものの総称。シロアリは系統的にはゴキブリ目に含まれるが、「ゴキブリ」に含められることはなく、伝統的には別としてきた。なお、カマキリ目と合わせて網翅目(Dictyoptera)を置き、Blattodeaをその下のゴキブリ亜目とすることがあるが、その場合、ゴキブリはゴキブリ亜目(のうちシロアリ以外)となる。

Blaberus giganteus

概要

熱帯を中心に、全世界に約 4,000 種、うち日本には南日本を中心に 50 種余り(朝比奈 1991 によると 52 種 7 亜種)が知られる[1]。世界に生息するゴキブリの総数は1兆4853億匹ともいわれており、日本には236億匹(世界の1.58%)が生息するものと推定されている[1]

特徴

体長は10mmほどから100mmに達する種類まで様々だが、家住性の種はどれも10-40mm程度である。最大種は南米に生息するナンベイオオチャバネゴキブリで、体長110mm、開長200mmに達する。日本産の最大種は石垣島西表島に生息し、体長50mmになるヤエヤママダラゴキブリである。

全身が上から押しつぶされたように平たく、狭い場所に潜むのに都合がよい体型をしている。頭部は胸部の下に隠れる。口には大あごがあり、食物をかじって食べる。複眼の機能はあまり良くないが、長い触角と尾部の尾毛(びもう)がよく発達し、暗い環境下でも周囲の食物や天敵の存在を敏感に察知する。がよく発達し、走るのが速い。例えばワモンゴキブリの走る速さは1秒当たり1.5m(体長の40-50倍)と言われている。成虫にはふつうが 2 対 4 枚あるが、前翅だけ伸びる種類、もしくは翅が全く退化してしまった種類もいて、これらの種類は飛翔能力を欠く。また、翅が揃っている種でも飛翔能力は低く、短距離を直線的に飛ぶ程度である。体表に光沢をもつ種類が多く、「アブラムシ」(油虫)の別名もあるが、種類によっては光沢を欠くものもいる。光沢をつくる脂質は、ヘプタコサジエンを主成分とする[1]

生活史

- 幼虫 - 成虫という成長段階を踏む不完全変態の昆虫である。卵は数十個が一つの卵鞘に包まれて産みつけられるが、チャバネゴキブリのようにメスが卵鞘を尾部にぶら下げて保護するものや、サツマゴキブリのように一旦体外で形成した卵鞘を体内のポケット状の器官に引き込んで体内保護するものもいる。また、完全な胎生である種もいる[2]。幼虫は翅がない以外は成虫とほぼ同じ形をしており、5 - 7 回の脱皮を経て成虫となる。クロゴキブリのような大型種は成虫になるのに 1 年半から 2 年ほどかかるものが多く、世代交代の速度は意外に遅い。体の脂肪体を栄養とすることで、ワモンゴキブリは水さえ摂取していない状態でも30-40日は生き残れる[1]

歴史

ゴキブリが出現したのは約3億年前の古生代石炭紀で、「生きている化石」ともいわれる[1]。日本における最古の昆虫化石は、中生代三畳紀の地層から発見されたゴキブリの前翅である[1]。古生代から絶滅せずに生き残ってきたことから「人類滅亡後はゴキブリが地球を支配する」と言われるほどだが、実際には森林環境に依存している種が多いので、人類が自らの環境破壊によって森林環境を道連れに滅亡した場合には絶滅する種が多いと推測され、人家生活型のコスモポリタン種は依存する人家環境の消滅によって絶滅する可能性が高い。むしろこの発言は著名な生物学者がマスコミ向けに、人類が万物の霊長として驕り高ぶることに対して警鐘を鳴らす意味で発した、はったりの要素が強いものである。

生態

本来は熱帯雨林に生息する昆虫で、昼間は朽ち木や落ち葉のかげにひそみ、夜になると出歩いて菌類、樹液、朽ち木、動物の死骸やなどを食べる雑食性の昆虫である。食物の主体は朽ち木などの腐植質であり、中にはクワガタムシの幼虫やシロアリのように朽ち木のみを食べて生活するものも少なくない。やがて特に雑食性の強い種の中から寒さや食物に困らない人間の住環境に進出する種類が現れ、害虫として激しく忌み嫌われるに至っている。ゴキブリは、体内に共生する微生物により、タンパク質などのアミノ酸体窒素に非常に乏しい食環境で生活できる。残飯や動植物遺骸は勿論、人間の髪、和紙や油まで食べる。

家屋害虫となるゴキブリの種類は全てのゴキブリのうち1%にも満たない[2]。人家に棲むゴキブリの中で特にコスモポリタンとして世界中に広まっている外来種には、クロゴキブリ、チャバネゴキブリ、ワモンゴキブリなどのようにアフリカ原産だったと推測されているものが多い。これらは寒さには弱く、日本での生息地は北海道と高標高地を除く場所である。しかし近年では人家生のコスモポリタン種は北海道にも進出して一年中暖かいビル内などで繁殖・定着している。一方、森林性の種類は在来種のオオゴキブリ、モリチャバネゴキブリ、サツマゴキブリ、ルリゴキブリなどがいるが、在来種のヤマトゴキブリのように人家にも生活の場を広げる例もある。

分類

ゴキブリ目はカマキリ目と近縁で、合わせて網翅類(Dictyoptera)を成す[3]。なお、これを網翅目とすることがあり、その場合、ゴキブリ目はゴキブリ亜目となる。

古くは現在のバッタ目ナナフシ目、ゴキブリ目、カマキリ目を1目とし、網翅目または直翅目と呼ぶこともあった。しかし実際は、バッタ目とナナフシ目、ゴキブリ目とカマキリ目は近縁だが、たがいは近縁ではなく、このような分類は現在ではなされない。

シロアリは伝統的な分類では独立目のシロアリ目(等翅目)とされていたが、現在はゴキブリ目に含められ、シロアリをキゴキブリ属の姉妹群とする説が支持されている[3]

分類体系についてはさまざまな説がある。朝比奈(1991)は一部の亜科(マルゴキブリ亜科、オガサワラゴキブリ亜科、ハイイロゴキブリ亜科、マダラゴキブリ亜科)を独立した科として扱っている[2]

おもな種類

日本産

クロゴキブリ Periplaneta fuliginosa Serville, 1839
【外来種】体長30mmほどで、体はつやのある黒褐色。関東以南の西日本ではチャバネゴキブリと並んでよく見かけられる種類だが、北日本では少ない。チャバネゴキブリと比べ野外活動性が高く、隣家よりの進入も多い。日本以外では台湾、中国に分布するが、アメリカにも移入している。
ワモンゴキブリ P. americana (Linnaeus, 1758)
【外来種】クロゴキブリに似て、さらに大型で、体長40mmを越える。全身の色は明るく、胸には黄色い輪の模様があることからその名がある。性質は極めて活発でよく飛び、しかも攻撃的。沖縄でよく見られる。九州以北においても、温泉街などの暖かい所に侵入している例がある。
コワモンゴキブリ P. australasiae Fabricius, 1775
【外来種】南西諸島、伊豆諸島、小笠原諸島でみられ、札幌や東京でも偶発的な記録がある[4]
トビイロゴキブリ P. brunnea Burmeister, 1838
【外来種】日本では1960年に初めて確認され、各地で局所的な記録がある[4]
ヤマトゴキブリ P. japonica Karny, 1915
本州東部で多くみられ、北海道南西部には人為的に生息する[4]。体長は20-30mmほど。オスはクロゴキブリと似るが、メスは翅が短く飛べない。おもに森林に生息するが、オスは人家に飛んでくる。
チャバネゴキブリ Blattella germanica Linnaeus, 1767
【外来種】体長15mmほどの小型種。体はつやのある黄褐色で、胸部に2本の太くて黒い帯がある。全世界の建造物に分布するが比較的寒さに弱く、人家よりはビルなどの24時間温度の安定した場所を好む。
モリチャバネゴキブリ B. nipponica Asahina, 1963
人家には生息せず、落ち葉や枯れ草の下に生息していて、分布域も本州以南の比較的温暖な地域(太平洋側では茨城県、日本海側では石川県のそれぞれ以西、以南)に限られる[4]
ヒメチャバネゴキブリ B. lituricollis Walker
九州、南西諸島、小笠原諸島に分布する[4]
トルキスタンゴキブリ Blatta lateralis (Walker, 1868)
【外来種】大阪での記録があるが、定着の可能性は低いとされる[5]。体長19-25mm。
キョウトゴキブリ Asiablatta kyotensis Asahina
新潟、東京、滋賀、愛知、大阪、宮崎などで記録がある[4]
キスジゴキブリ Symploce striata Shiraki
神奈川、大阪、兵庫、和歌山などで記録がある[4]
オオゴキブリ Panesthia angustipennis spadica (Shiraki, 1906)
森林性のゴキブリ。腐朽の進んだ柔らかい朽ち木の中で家族生活し、朽ち木のみを食べる。特に低山地で赤色腐朽菌により赤茶色に腐ったモミの倒木に多い。体長40mm、全身真っ黒で、触角は短く、足は太短くて棘があり、カブトムシのようゴツゴツとした形をしている。
サツマゴキブリ Opisthoplatia orientalis (Burmeister, 1838)
伊豆諸島南部(人為分布)、四国、九州南部、南西諸島に分布するが人家に侵入することはない。近年本州南部からの報告[6][7]があり、分布の拡大・定着の可能性がある。朽ち木の中や落ち葉、空き地に置かれた古いベニヤ板や石の下にひそむ。体長30mm前後。体は黒褐色だが胸部が黄白色、腹部が赤褐色で縁取られる。翅は鱗状に退化しているため見た目は「三葉虫の出来損ない」といった感じであり、裏返した際に見える頭部によりゴキブリであることが分かる。
ヤエヤママダラゴキブリ Rhabdoblatta yayeyamana
石垣島と西表島に分布する。体長50mm近くにもなる日本最大のゴキブリ。昼間は樹洞などに潜んでおり、夜間活動する。幼虫は沢沿いの石の下などにおり、短時間の潜水行動も可能。
オガサワラゴキブリ Pycnoscelus surinamensis Linnaeus
【外来種】原産地は東洋。日本では九州、南西諸島、伊豆諸島、小笠原諸島に分布する。
ハイイロゴキブリ Nauphoeta cinerea (Olivier)
【外来種】原産地は東アフリカ。日本では南西諸島に分布する。

日本国外産

ヨロイモグラゴキブリ
オオメンガタブラベルスゴキブリ
トウヨウゴキブリ Blatta orientalis Linnaeus, 1758
原産地はアフリカもしくはロシア南部とされ、ヨーロッパや北アメリカに広く分布する。
マダガスカルオオゴキブリ Gromphadorrhina portentosa
マダガスカルに生息する屋外ゴキブリ。体長70mmにもなる大型種。一般的なペットゴキブリ。無翅で体つきは頑丈。雄は胸に二つの突起をもつ。シューと音をだし敵を威嚇する。動きは遅い。
マダガスカルには、本種と同様の特徴を持ち屋外に生息するゴキブリが他にもおり、ペット用や生餌用として日本にも10種類前後が既に輸入されている。
ヨロイモグラゴキブリ Macropanesthia rhinoceros Saussure, 1895
オーストラリアに生息する地中種。体長80mm・体重35gに達し、重さではナンベイオオチャバネゴキブリを上回る。翅は退化し脚は棘が発達する。地中に巨大なを作り家族単位で生活をする(亜社会性)。餌は枯れ葉。動きは遅く頑丈で力強い。ペット用に販売されている。
デスヘッド
ドクロゴキブリと呼ばれるブラベルスの一種。体長50mmほどになる。ブラベルスにしては珍しく翅が黒い。この種は胸の模様が骸骨のようにみえる。
トラペゾイデウスドクロゴキブリ
透明な褐色の翅をもつ大型種。フスカの名前で販売されている。体長70mmになる。
オオメンガタブラベルスゴキブリ blaberus giganteus
体長90mm近くにもなる最大のブラベルス。
ガイアナオオゴキブリ
小型のブラベルス。ディスコイダリスとも呼ばれ、アメリカでは爬虫類やタランチュラなどの餌用に養殖されている。
アルゼンチンモリゴキブリ Blaptica dubia
南アメリカに分布する。体長50mmほどになる。雌は無翅。デュビアとも呼ばれ、爬虫類などの餌用に販売されている。
グリーンバナナゴキブリ Panchlora nivea
アメリカ、中央アメリカ、南アメリカに分布する。透明な翅と薄い緑色の体をもつ小型種。低温に弱く多湿を好む。
ジャイアントウッドローチ
ブラベルスに似るが違う属の仲間。テッセラータとも呼ばれる謎の大型種。体長70mmほどになるが幅があり、体長以上に巨大にみえる。
ユウレイゴキブリ Eublaberus posticus (Erichson, 1846)
中央アメリカ、西インド諸島に分布する。オレンジヘッドローチの名で販売される中型種。肉食性が強くたまに共食いをしたりするので、飼育する時はドッグフードなどを与える。
フミガタゴキブリ
キューバに生息する黒色の地中性ゴキブリ。雌は雄より大きく無翅で三葉虫のような姿をしている。
ナンベイオオチャバネゴキブリ Megaloblatta longipennis
世界一羽根が広いゴキブリで、翼開長20cmにもなる。

人間との関わり

Supella supellectilium, Brown-banded cockroach

家住性のゴキブリは、台所をはじめ住居の各所に生息している。古代ギリシャ時代から記録があるほどで、古来より身近な昆虫の一つとして認識されている。そのグロテスクな姿やカサカサと早い動き方からもあって現代の日本では一般的には忌み嫌われることが多く、「不衛生」や悪い意味での「しぶとさ」の代名詞と見なされることが多い。アメリカの人々の方が日本よりもゴキブリを嫌う傾向が強いという比較調査結果もある[8]。一方で、世界的には必ずしも害虫扱いされているわけではなく、ペットや食用に利用されることもある。

病害

隠れ家になりやすい汲み取り式便所台所を経て人間に対してサルモネラ菌などの病原体を伝播させたりする[9]。ただし、ネズミや蚊などと異なり、ゴキブリが特定の病気を媒介することはない[10]。まれにゴキブリに対してアレルギー反応を示し、喘息の発作を起こす人がいる[10]。また、機械類に侵入して内部の配線等を切断・破壊したりといった行動も注目される。活動する人を襲って傷つける事はないが、就寝中などに噛まれる事例もある。

ペット

ゴキブリは海外ではポピュラーなペットであり、愛好家も存在し、ペット用にさまざまな種が輸入されてもいる[10]。1993年6月4日には、岡山市でゴキブリの品評会が初開催された。当初はゴキブリの大きさを競うだけだったものが、最近はゴキブリの艶を競ったり、ゴキブリレースを行うなど、年々多様化している。会場は、最初は市役所、次は文化ホールで、3回目はスーパーマーケットで開催された。

食用・薬用

ほぼ全世界(日本、中国、ベトナム、タイ、ナイジェリア、カメルーン、コンゴ、メキシコ、ブラジル、イギリス)の一部地域もしくは先住民族によって、広く食用として利用されてきた歴史がある[11]。ただし、バッタ類やハチ類、甲虫類などと比べれば、ゴキブリを食べる地域やその消費量は少ないといえる[11]。清潔な環境下で育成すれば臭みも少なく、種類によっては可食部も大きい。卵鞘も揚げて食べたり酒に漬けたりできる。調理法は食人口の多さから極めて多岐に亘るが、東アジアでは油揚げが一般的である。ゴキブリの唐揚げを食べた人の話によれば、食味はシバエビに似ており、食べられない味ではないとのことだが[12]、あくまで個人の感想である。またこれらの食べ方は食用種や野生種の話であり、一般家庭の台所などから見つかる個体は有害物質の生物濃縮が進んでいる危険性が高く、食用するのは不適切である。ゴキブリを口にした人間や犬猫は、ゴキブリを中間宿主とする条虫に寄生される場合も有る。

民間療法では地域ごとに様々な効能が謳われているが(無論、迷信が殆どである)、牛馬の骨折や捻挫に湿布として用いることは広域で行われて来た。有効成分は各種脂肪酸であると推測され、臨床例ではサツマゴキブリの遊離脂肪酸から溶血作用が報告されている。「金匱要略(きんきようりゃく)」によればサツマゴキブリやシナゴキブリの雌は血行促進作用を持つものとして漢方薬の一つに扱われている。また、これらの薬効は日本の薬局方では認められていないが、シナゴキブリの乾燥品は漢方薬として入手が容易である。

実験動物

ゴキブリはその体構造が原始的・平均的であるため実験動物としても利用されており、アメリカ合衆国などには専門の業者がいて珍種などを販売している。中でもワモンゴキブリの評価が高い。エヴァンズはその利点として飼いやすいことを挙げ、何しろ最初から実験室に住んでいるからと述べている。

名称について

「御器(食器)をかぶる(かじる)」ことから「御器被り(ごきかぶり)・御器噛り(ごきかじり)」と呼ばれるようになり、明治時代までは「ごきかぶり」だったが、文献の誤植によって「か」の字が抜け落ちたまま広まってしまったのが「ゴキブリ」という名称の直接の由来とされる(詳しくは誤植#辞書の誤植の『生物学語彙』を参照)[9]。現在でも地方によっては「ゴキカブリ」「ゴッカブイ」「ボッカブリ」などの方言呼称が残っている。

平安時代には「阿久多牟之(あくたむし)」や「都乃牟之(つのむし)」の古名で呼ばれ、江戸時代には「油虫(あぶらむし)」とも呼ばれた[9]。他の方言呼称として先述のアブラムシのほか、クロッツ、アマメ(長崎県ほか九州三重県志摩半島)、ヒーラー、トービラー(沖縄県)などが挙げられる。関西地方などでは、1970年代頃までは「あぶらむし」の名称が一般的であったが、ごきぶりホイホイの大ヒット等の要因により、全国的にゴキブリの名称が一般化している。

主な対処法

市販の薬品使用から直接攻撃まで多岐に渡る。しかし、幅広い食性や環境への適応力といった形態的・生態的特性から、ゴキブリを根絶するのは困難である。

薬品などの使用

家庭内のゴキブリを捕獲・駆除するための商品は数多く開発・発売されている。餌・誘引剤と粘着シートによる捕獲器(「ごきぶりホイホイ」など)、薬剤が遠くまで飛ぶスプレー型殺虫剤、火や水による化学燻蒸で締め切った室内を燻す殺虫剤(「バルサン」など)、ホウ酸や薬剤入りのベイト剤などが挙げられる。学習性の高いゴキブリは、粘着シートによる捕獲器等には入らなくなるという。なお、薬品は人体にも有害な場合が多く、使用法によっては耐性ゴキブリが発生するおそれもある。

スプレー式殺虫剤
捕獲器
ベイト剤
持ち帰らせて巣ごと殲滅するタイプのもの(「コンバット」など)は放置すると設置した給餌ケースそのものが巣と化す場合がある。
燻蒸タイプ
  • アシダカグモなど、ゴキブリの天敵である益虫も死んでしまう。もっともこれは、アシダカグモも不快害虫だと思う人にとっては無視できる欠点ではある。
  • 卵には効果がないので、完全に家のゴキブリを全滅させるには卵が孵化するタイミングを待って2-3週間後にもう一度使用する必要がある。
  • 煙の届かない奥まったより安全な場所へ逃げてそこに巣をつくってしまい、事態をより悪化させてしまう。
などの欠点がある。特に最後に挙げた欠点は致命的なので、プロの害虫駆除業者ではこの方法を使わず、ベイト剤などの毒餌を仕掛ける方法で駆除している。JRでは、新幹線車両や食堂車などにゴキブリが生息することから、定期的に燻蒸作業を実施していることを公表している。
泡スプレー、合成洗剤など界面活性剤を含む石鹸類
消毒用アルコール
以上の2つは呼吸孔を保護している油を溶解させ、穴をふさぐことにより窒息死させる
氷殺スプレー
殺虫成分を含まず、急激に温度を低下させることによって殺すタイプのスプレー。ただし、殺虫成分を含まないことから法的にゴキブリに効果があると表記することは禁止されている。

天敵の飼育

益虫の中にはアシダカグモのように人間には害のないものもいるが、最も一般的な手段としてネコの飼育がある。しかし、幼いときからキャットフードのみで屋内生活をしてきたネコの場合、逆にゴキブリを恐れそのエリアに近づかなくなってしまうこともある。

ゴキブリに関する逸話・都市伝説

ゴキブリについてはさまざまな逸話や都市伝説(噂話)が存在する。

  • メキシコ民謡の「ラ・クカラチャ」とはスペイン語でゴキブリのことだが、この歌が指すゴキブリとは人のことであるといわれている。
  • 2001年にイギリス人のケン・エドワーズによって、1分間に36匹のマダガスカルオオゴキブリを生食いするという世界記録が樹立されている[13]
  • 「テレビ番組『TVジョッキー』内のコーナー「奇人・変人」で、素人が一般参加でゴキブリを食べた後、食べたゴキブリがの中で繁殖(卵を産卵、胃の中で孵化)し、内臓や胃を食いちぎられて死亡した」[10]
    ゴキブリを食べたというテレビの内容は事実だが、いかに生命力の強いゴキブリといえども強力な胃酸の中で卵が孵化することは有り得ない。しかし、このような都市伝説が広まるということ自体がゴキブリのイメージの悪さを物語っているものとも言える。この都市伝説は漫画『GTO』の第18話でも取り上げられた(都市伝説一覧も参照のこと)。なお、この都市伝説は1990年代に雑誌『GON!』(ミリオン出版)、2000年代にテレビ番組『特命リサーチ200X』で真偽の確認をしており、いずれも本人の生存を確認したことで噂が誤りであると結論づけている。
    ちなみに、2012年10月5日にアメリカ合衆国フロリダ州ディアフィールドビーチで開催されたゴキブリ大食い大会でゴキブリを約30匹食べた優勝者が死亡する事故が起きている。ただし、この優勝者は同大会でゴキブリを食べる直前にミミズを約30匹、ヤスデを約100匹食べており、死因がゴキブリであるかどうかはわかっていない[14]
  • 「ゴキブリは核戦争後に生き残ることのできる唯一の生物である」[13]
    実際にヒトと比較してゴキブリの放射線に対する耐久力は高い[13]。一方で、ゴキブリよりもゾウムシ類やショウジョウバエコクヌストモドキなどの昆虫の方が、放射線への耐久力ははるかに高いことも示されており、決してゴキブリが絶対的に強いというわけではない[13]
  • 「ゴキブリは頭を切り落としてもしばらくの間は生き続ける」[13]
    生き続ける時間帯は、9日であったり、1-2週間であったり、27日だったりと、さまざまな主張がなされる[13]。また、このあとに「その後餌が食べられないために餓死する」と続く場合がある。
  • 粘着型の罠に大量にかかったら、一斉に羽ばたいて罠ごと飛ぶ」
    ゴキブリの羽は飛翔能力が弱く実際は滑空で飛ぶため、このような現象はあり得ない(探偵ナイトスクープより)。
  • 「郵便局に勤めている女性が封筒の折り返しや切手を舐めていたところ、封筒の先端で舌を切ってしまった。さらに、数日後に舌が腫れて痛み始めた。そこで、医者に診てもらい、舌を切開すると、一匹のゴキブリの幼虫が出できた」[13]
    唾液で湿った封筒のシールにゴキブリが卵を産みつけ、その卵が傷口から舌へ混入したというのがこの話の背景である。しかし、ゴキブリは比較的大きな卵鞘を産むことから考えて、この話はあり得ないと思われる[13]
  • 「家でゴキブリを発見した女性がトイレに逃げ込んだゴキブリに対して殺虫剤を一缶丸ごと使い切ってしまった。その後、その騒動を全く知らない女性の夫がそのトイレを利用した際、吸っていたタバコを落としてしまい、噴霧剤に引火・爆発して、男性は救急車で搬送された」[13]
    エルサレム・ポストボストン・グローブなどのメディアが実際に報道したが、後に作り話であることが判明した[13]。ただし、2007年に日本で氷殺型殺虫剤の1種である氷殺ジェットを使用した後に火気を使用したために爆発事故を起こした例がある(害虫がゴキブリであるとは明言されていない)。

脚注・出典

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  1. ^ a b c d e f 安富和男 2000.
  2. ^ a b c 朝比奈正二郎 『日本産ゴキブリ類』 中山書店1991年12月10日ISBN 4-521-00281-1
  3. ^ a b 岩槻邦男・馬渡峻輔(監修) 石川良輔(編集) 『バイオディバーシティ・シリーズ 節足動物の多様性と系統』 裳華房2008年4月5日ISBN 978-4-7853-5829-7
  4. ^ a b c d e f g 富岡康浩 & 柴山淳 1998.
  5. ^ 田中和夫「トルキスタンゴキブリBlatta lateralis (WALKER, 1868)覚書き」、『家屋害虫』第25巻第2号、日本家屋害虫学会、2003年11月29日、 101-106頁、 NAID 110007724250
  6. ^ サツマゴキブリ、旧日置川町で初確認 生息域、紀南全体へ - AGARA紀伊民報
  7. ^ サツマゴキブリ : シロアリ駆除「シー・アイ・シー」のゴキブログ
  8. ^ 平尾素一「ゴキブリに対する問題意識調査(第5回研究発表会講演抄録)」、『ペストロジー学会誌』第5巻第1号、日本ペストロジー学会、1990年11月1日、 24-26頁、 NAID 110007332116
  9. ^ a b c 安富和男 『ゴキブリのはなし』 技報堂出版1991年11月25日ISBN 4-7655-4372-2
  10. ^ a b c d 鈴木知之 『ゴキブリだもん 美しきゴキブリの世界』 幻冬舎2005年3月31日ISBN 4-344-80496-1
  11. ^ a b 三橋淳 『世界昆虫食大全』 八坂書房2008年11月25日ISBN 978-4-89694-920-9
  12. ^ 篠永哲・林晃史 『虫の味』 八坂書房2006年11月20日ISBN 4-89694-877-7
  13. ^ a b c d e f g h i j メイ・R・ベーレンバウム(著者) 久保儀明(訳) 『ゴキブリだって愛されたい 昆虫たちの都市伝説』 青土社2010年7月10日ISBN 978-4-7912-6554-6
  14. ^ ヤスデ100匹、ミミズ30匹も食べていた ゴキブリ大食いで死亡の男性”. MSN産経ニュース (2012年10月11日). 2012年10月11日閲覧。

参考文献

  • 安富和男「ゴキブリ3億年の来し方,行く末(創立20周年記念号)」、『家屋害虫』第21巻第2号、日本家屋害虫学会、2000年1月30日、 63-67頁、 NAID 110007724177

関連項目

外部リンク