バルサン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

バルサンは、ライオンが製造・販売する燻蒸燻煙式を主とした殺虫剤である。医薬品扱い。

概要[編集]

『バルサン』ブランドの製品第一号は、1954年中外製薬から発売された燻蒸式殺虫剤『バルサン錠』。高純度のγ-BHCを小型錠剤化したもので、これをスプーンの上に乗せてローソクの火などで加熱して揮発させるものであった。後に『バルサン錠』を電球の熱を利用して簡便に加熱できる『バルサンリング』も用意され、現在の「電気蚊取」の前身といえるものであった。

『バルサン』ブランドの由来は、当時米国で爆発的な人気を博していた有機塩素系殺虫剤バルカザン(Varcasan)』に因み、これに元々中外製薬が有していた商標『バルサン(Varsan)』をあてたもの。また『バルカザン』から「カ」の文字を抜くことで、「カ="蚊"」を取るという解釈も含まれている。

2004年12月29日をもって中外製薬がライオンに一般消費者向け医薬品等の事業及び『バルサン』の商標を譲渡したために、現在はライオンの製品となっている。くん煙剤は医薬品扱いであったが、現在は『バルサン』の知名度を活かして害虫に関する総合ブランドとなっている。そのために、ライオンに移管後、医薬品や医薬部外品(防除用医薬部外品)ではない製品も出回った。医薬品の商品が多いため、販売チャネルは、主に薬局薬店ドラッグストアでの取り扱いが多い。移管後ブランドロゴが若干変更されているほか、テレビCMでは冒頭画面右上に小さくブランドロゴを表示している。また移管後もテレビCMでは商品名のサウンドロゴも継承している。

強い噴射力と拡散力で殺虫成分が部屋の隅々まで運び、隠れたゴキブリや見つけにくいダニ・ノミなどの害虫を逃さず、部屋中の害虫をくまなく駆除できるのが特徴。ゴキブリ・ダニなどの害虫を退治する医薬品の燻蒸・燻煙式殺虫剤としては、アース製薬の『アースレッド』と並んで一般的な商品であり、燻蒸・燻煙式殺虫剤を使うことを「バルサンする」と形容するほど定着している。

『バルサン』といえば、ふたに付いているすり板で起動するもの(『バルサンSPジェット』『バルサンSXジェット』『バルサンプロEX』『バルサンいや~な虫』)が有名だが、後になって『アースレッド』と同じく水で起動するもの(『水ではじめるバルサン』)や、ボタンを押して起動するもの(『霧のバルサン』)も登場した(いずれも中外製薬時代から発売)。

ライオン移管後、電気や電池を使わずに害虫を寄せ付けない置き型虫除けの『バルサン虫除けキューブ』(2006年発売)、ぬいぐるみやクッション等のダニを薬剤を使わずに窒息死させ駆除する『バルサンダニ駆除パック』(2006年発売/現在は生産中止)、殺虫成分を使わずマイナス40度の冷却効果で害虫を駆除する『氷殺ジェット』(2007年3月発売/現在は販売中止[1][2])等、中外製薬時代にはほとんど不可能であった家庭用品メーカーライオンのノウハウを生かした商品を発売した。

なお、『バルサン』のくん煙剤は入手性が良く、物性が知られていることから、空気の流れを最適化する必要がある飛行機や自動車の車体形状を実験検討する(風洞実験)ために用いる実験材料として代表的なものとされ、以前はそれによる実験結果が国際的な論文などによく見られた。

2009年の「バルサンプロEX」のテレビCMから薬事法の改正により、中外製薬時代以来続けていた「使用上の注意をよく読んで正しくお使い下さい。」のテロップが表示されなくなった。但し、ライバル商品の「アースレッド」は従来通りテロップが継続されている。

歴代キャラクターは中外製薬時代は「バルサン王」、ライオンは「バルサンマン」(バルサンプロEXのCMのみ)がある。

注意点[編集]

  • 発生する煙から、火事と誤認されることがあるので、説明書には「近所に伝言しておくこと」とある。
  • かつて、サッカー観戦時に発煙(炎)筒代わりに利用したサポーターがいたが、発煙筒同様、競技場内への持ち込みは原則禁止されている。
  • 同じ部屋でスリ板タイプと霧タイプのバルサンを併用すると、発火の危険性がある。これはスリ板タイプの火に霧タイプの噴射ガスが引火するためである。同様にスリ板タイプは使用上の注意として、引火性危険物(ガス・ガソリン・シンナーなど)やエアゾール製品の同時使用を強く禁止している。水タイプは本体が熱くなるとの記述はあるものの、引火に関する注意事項はない。
  • 2007年に『氷殺ジェット』による引火事件が複数報告された。エアゾール製品は噴射剤にLPガスを使用しており、缶には「高温や火気に注意」という注意書きを表示し、テレビなどでも注意を呼びかけていた。消費者が火気に注意せず使用してガスコンロの火を大きくしたり、やけどを負ったりする事件などが東京都や千葉県など各所で複数発生していた。火気のない場所で使用すれば事故などの危険性はない製品だが、5月27日から8月27日までに事故の報告件数が20件にのぼっている。『氷殺ジェット』はその後、発火する事故が相次いだことを受けて2007年8月27日に販売を中止し、自主回収することとなった[1]
  • 用法として、特に効果的なのはゴキブリ等が活動的になる夜間に使用することである。また、卵状態のゴキブリへの効きが弱いため、2~3週間ほど経ってから再度使用すると一層の駆除効果がある。マンション等の集合住宅の場合、『バルサン』を焚いていない隣室に逃げてしまって効果が薄まることも多い。
  • 燻蒸・燻煙式であるため、クモやゲジなど、生きた害虫を積極的に捕食する肉食性の益虫までも駆除してしまい、結果的に将来の害虫繁殖を促進してしまうケースがある(リサージェンス)。

商品ラインナップ[編集]

くん煙式バルサン
(バルサンSPジェット)
くん蒸式バルサン(霧のバルサン)

家庭用製品[編集]

くん煙殺虫剤[編集]

※「バルサンプロEX ノンスモーク霧タイプ」の発売に伴い、他のバルサンのくん煙殺虫剤もパッケージデザインを変更し、新たに火災警報機用カバーを同梱した。

バルサン(販売名:バルサン・SPジェット)
【第2類医薬品】
ゴキブリ・ダニ・ノミを総合駆除するふたを取ってこするタイプ。
バルサンダニα
【第2類医薬品】
ダニ・ノミを駆除するふたを取ってこするタイプ。ゴキブリにも効果がある。2010年3月に従来の「バルサンダニ(販売名:バルサンSXジェット)」を処方改良。
バルサンプロEX(販売名:バルサンCPMジェット)
【第2類医薬品】
2009年3月発売。3種類の有効成分(d・d-T-シフェノトリンメトキサジアゾンフェノトリン)を配合し、従来の有効成分では完全に駆除できなかった「抵抗性ゴキブリ」にも効果があるバルサンシリーズでは最強の効き目があるふたを取ってこするタイプ。2010年3月には、より広い部屋に使用できる12~16畳用を追加発売。
バルサンプロEX ノンスモーク霧タイプ(販売名:霧のバルサンa)
【第2類医薬品】
2012年3月発売。3種類の有効成分(d・d-T-シフェノトリン、メトキサジアゾン、フェノトリン)を配合し、従来の有効成分では完全に駆除できなかった「抵抗性ゴキブリ」にも効果があるバルサンシリーズ最高の効き目がある霧タイプ。ボタンを押すだけで簡単に始動でき、煙も熱も出ないので、使用方法に従って使用すれば火災警報器に反応せず(ガス警報器では反応する場合がある)、ハーブミントの香りで嫌なニオイも気にならない。
香るバルサン
【第2類医薬品】
2014年2月発売。ほのかに残るさわやかな香りで使用後のいやなニオイを残さない霧タイプのくん煙剤。ボタンを押すだけで簡単に始動でき、煙も熱も出ないので、使用方法に従って使用すれば火災警報器に反応しない設計である(ガス警報器では反応する場合がある)。香りはフレッシュローズの香り(販売名:バルサン ノンスモーク霧タイプR)とクリアシトラスの香り(販売名:バルサン ノンスモーク霧タイプC)の2種類。
水ではじめるバルサン
【第2類医薬品】
ゴキブリ・ダニ・ノミを総合駆除する水につけるタイプ。
水ではじめるバルサンダニ
【第2類医薬品】
ダニ・ノミを駆除する水につけるタイプ。ゴキブリにも効果がある。
水ではじめるバルサンプロEX(販売名:水ではじめるバルサンCPM)
【第2類医薬品】
2010年3月発売。3種類の有効成分(d・d-T-シフェノトリン、メトキサジアゾン、フェノトリン)を配合し、従来の有効成分では完全に駆除できなかった「抵抗性ゴキブリ」にも効果があるバルサンシリーズ最強の効き目がある水につけるタイプ。
バルサンいや~な虫
家中の不快害虫をまとめて駆除する。ふたを取ってこするタイプ。

殺虫剤[編集]

バルサンうじ殺し乳剤
【第2類医薬品】
汲み取りトイレのウジ、下水のボウフラの殺虫に。液体タイプ。中外製薬時代からのロングセラー。
バルサンまちぶせスプレー
【第2類医薬品】
あらかじめ通り道にスプレーるだけでその上を通ったゴキブリを駆除し、室内への侵入を防ぐスプレー。2014年3月に新たにマダニの効能を追加し、マダニとトコジラミへの効能を明確に伝えるパッケージデザインにリニューアル。
バルサンゴキZero
【防除用医薬部外品】
置いたその日から効果を発揮するゴキブリ用駆除剤。

業務用くん煙殺虫剤[編集]

バルサンCPMジェット
【第2類医薬品】
くん煙式バルサンで最強の効き目。「バルサンプロEX」の業務用仕様。公共交通機関(鉄道・航空機・長距離バスなど)や飲食店に多い薬剤耐性のチャバネゴキブリの駆除に適している。
バルサンPジェットa
【第2類医薬品】
煙の噴出力が強く、ミクロ粒子の追い詰め効果でしっかり駆除。処理空間が広い場所(映画館パチンコホール・事業所や学校など)での害虫駆除や、工場の飛翔性害虫(ハエ・蚊)の駆除に適している。内容量は、480g(1号)・240g(2号)・120g(3号)で、30g(4号)があったが廃止された。
バルサンSXジェットa(販売名:バルサンダニα)
【第2類医薬品】
「バルサンダニα」の業務用仕様。
バルサンPCジェット
貯穀・飛翔害虫用(不快害虫用)。有効成分はバルサンPジェットと同等。内容量は240g。

販売終了品[編集]

  • くん煙式殺虫剤
    • バルサンPジェット(家庭用)(医薬品)
    • バルサンPジェットS(医薬品) - 広いお部屋に適した大型。煙の穏やかな電池式(付属の専用電池を差し込んで始動)。
    • バルサンジェットV(医薬品)
    • バルサンPVジェット(医薬品)
    • バルサンSPジェット100【第2類医薬品】 - 「バルサンSPジェット」の業務用仕様。
    • バルサンボンブV(医薬品)
    • バルサンロッドV(医薬品)
    • バルサン香(ロッド)
    • バルサン霧ジェット(医薬品)
    • 霧のバルサン【第2類医薬品】
    • 霧のバルサンダニ(販売名:バルサン霧ジェット)【第2類医薬品】
    • バルサン錠(医薬品)
    • バルサンリング(医薬品)
    • カメムシバルサン
  • 殺虫剤
    • バルサンゾール(医薬部外品)
    • うじ殺しバルサンS(医薬品)
    • バルサン飛ぶ虫氷殺ジェット - 自主回収
    • バルサン這う虫氷殺ジェット - 自主回収
    • バルサンエアゾル(医薬部外品)
    • バルサンエアゾルトップ(医薬部外品)
    • バルサンエアゾルキング(医薬部外品)
    • バルサンエアゾルC(医薬部外品)
    • バルサントップエアゾル(医薬品)
    • バルサンエアゾルF(医薬部外品)
    • 油虫とりバルサンエアゾル(医薬品)
    • ゴキブリバルサンエアゾル(医薬品)
    • 新ゴキブリバルサンエアゾル(医薬部外品)
    • バイゴンゾール(医薬品)
    • バイゴンF(医薬品)
    • ツーゴン
    • バルサンパウダー(医薬部外品)
    • バルサンスミチオン粉剤
    • ツーゴン微粒剤
    • バルサンいや~な虫退治スプレー
    • バルサンいや~な虫侵入防止剤
    • バルサンいや~な虫直撃ジェット
    • バルサンアリの巣退治
    • うじ殺しバルサン粒剤(医薬品)
    • バルサンゴキZero1
    • バルサンベイト
    • 鼡とりバルサン
    • バルサンパナプレート(医薬品劇薬)
    • バルサン直撃ジェット【防除用医薬部外品】
    • バルサンこれ1本スプレー(販売名:バルサンエアゾルF)【防除用医薬部外品】 - 2013年3月製造終了。
  • ゴキブリ捕獲器
    • わにべえ
    • バルサンゴキブリメチャとれ
  • 電子蚊取り
    • バルサン電気蚊取り器(液剤使用タイプ)
    • バルサン電子蚊とり器(マットタイプ)
    • バルサン蚊とりマットF(医薬部外品)
  • 虫よけ剤
    • モスコート(医薬部外品)
    • バルサン虫よけキューブ
    • バルサン虫よけキューブ セレクト
    • バルサン虫よけキューブ 貼るシート 進入禁止
    • バルサン虫よけ【防除用医薬部外品】
  • その他
    • バルサン渦巻(蚊取り線香)(医薬部外品)
    • バルサンダニ駆除フォーム(医薬部外品)
    • バルサンハウスダスト・ダニクリア
    • バルサンダニ駆除パック
    • バルサン農薬 - エス・ディー・エス・バイオテックへ事業譲渡
    • クリンザースプレー(ツンとこない防カビスプレー)
    • クリンザージェット(くん煙式防カビ剤)
    • バルサン消臭剤

歴代広告キャラクター[編集]

中外製薬時代[編集]

ライオン移管後[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b 「バルサン氷殺ジェット」の自主回収について”. ライオン (2007年8月28日). 2008年5月17日閲覧。
  2. ^ ライオン、バルサン「虫氷殺ジェット」を自主回収”. 財経新聞社 IBTimes (2007年8月27日). 2008年5月17日閲覧。

外部リンク[編集]