ゲジ

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ゲジ目
Thereuopoda clunifera
Thereuopoda clunifera
(国立科学博物館)
分類
: 動物界 Animalia
亜界 : 真正後生動物亜界 Eumetazoa
: 節足動物門 Arthropoda
亜門 : 多足亜門 Myriapoda
: ムカデ綱(唇脚綱) Chilopoda
: ゲジ目 Scutigeromorpha
学名
Scutigeromorpha
Pocock1895
英名
house centipede

ゲジ(蚰蜒)は、節足動物門ムカデ綱ゲジ目学名: Scutigeromorpha)に属する動物である。

伝統的にはゲジゲジと呼ばれるが、「ゲジ」が現在の標準和名である。天狗星にちなむ下食時がゲジゲジと訛ったとか、動きが素早いことから「験者(げんじゃ)」が訛って「ゲジ」となったという語源説がある。

形態[編集]

構造的にはムカデと共通する部分が多いが、触角が長く、体は比較的短いので、見かけは随分異なっている。移動する際もムカデのように体をくねらせず、滑るように移動する。胴体は外見上は8節に見えるが、解剖学的には16節あり、歩肢の数は15対である。触角も歩脚も細長く、体長を優に超える。特に歩脚の先端の節がのように伸びる。この長い歩肢と複眼や背面の大きな気門などにより徘徊生活に特化している。オオムカデ英語版よりは、イシムカデの類に近い。

幼体や足の数が少なく、脱皮によって節や足を増やしながら成長し、2年で成熟する。寿命は5〜6年である。

生態[編集]

食性は肉食で、昆虫などを捕食する。ゴキブリなどの天敵である。走るのが速く、樹上での待ち伏せや、低空飛行してきた飛行中のをジャンプして捕らえるほどの高い運動性を持つ。また他のムカデと異なり、昆虫と同じような1対の複眼に似た偽複眼を有し、高い視覚性を持つ。

等の天敵に襲われると足を自切する。切れた足は暫く動くので、天敵が気を取られている間に本体は逃げる。切れた足は次の脱皮で再生する。

分布[編集]

日本には、ゲジオオゲジの2の生息が確認されている。夜行性で、落ち葉・石の下・土中など虫の多い屋外の物陰に生息する。屋内でも侵入生物の多い倉庫内などに住み着くことがある。

人との関わり[編集]

ムカデと違って攻撃性は低く、積極的に人に噛み付くことはない。噛まれたとしてもは弱く、人体に影響するほどではないが、傷口から雑菌感染する可能性があるので、消毒するなどの注意は必要である。これはゲジに限った話ではない。

人間にとって基本的には無害な生物であり、ゴキブリなどの衛生害虫をはじめ様々な小昆虫を捕食する点では「益虫」である。その異様な外見や、意外なほど速く走り回る姿に嫌悪感を持つ人は多く、餌となる虫を求めて家屋に侵入してくることもあることから、不快害虫の扱いを受けることもある。特に山間部などにある温泉宿旅館等では、宿泊客が就寝中に姿を現し、苦情や駆除の要請を受けるケースもあるため、宿によっては部屋の常備品として不快害虫用の殺虫剤スプレーを置くところもある。

屋内への侵入を防ぎたければ、まず掃除を行い、屋内を清潔にするとともに、ゲジの捕食対象となる他の害虫を駆除する。次にコーキング剤などで収納スペースの密閉性を上げること。床下などの湿った場所を好むが、駆除目的で燻煙剤など使うと、燻されて屋内へ逃げ込んでくるので逆効果となる場合もある。ムカデと同じく乾燥に弱いので、部屋を乾燥させておくこと。

下位分類[編集]

オオゲジ
  • ゲジ科 Scutigeridae
    • Allothereua
    • Ballonema
    • Brasilophora
    • Diplacrophor
    • Lassophora
    • Madagassophora
    • Microthereua
    • Orthothereua
    • Parascutigera
    • Pilbarascutigera
    • Podothereua
    • Prionopodella
    • Prothereua
    • Pselliodes
    • Pselliophora
    • Pselloides
    • Scutigera
    • Scutigerides
    • Scutigerina
    • Selista
    • Sphendononema
    • Tachythereua
    • Teleotelson
    • Thereuella
    • ゲジ属 Thereuonema
      • ゲジ Thereuonema tuberculata - 成虫の体長がせいぜい3cmの小型の種で、日本に広く分布する。河原の石の下から人家の床下まで広く見られる。体は比較的柔らかく、灰色のまだらがある。
    • オオゲジ属 Thereuopoda
      • オオゲジ Thereuopoda clunifera - 体長7cmにも達する大型の種である。足を広げていると大人の掌には収まり切らない。本州南岸部以南に生息する。体は丈夫で、褐色つやがあり、不気味に感じなければなかなか美しいと言ってよい。夜の森の中を探索すると、樹皮上をわさわさと歩く姿が見られる。噛まれると痛いとも言われる[要出典]。昼間は物陰に隠れており、沖縄では石灰岩地帯に多数の小さな洞窟や窪みがあるが、そのような所に固まっていることがある。
    • Thereuopodina
    • Thereuopriona

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]