再生 (生物学)

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生物学における再生(さいせい)とは、損傷を受けた組織や器官、四肢などを復元する現象のことである。


再生の仕組み[編集]

再生が行われる場合、まず未分化の肉の塊(再生芽)が生じ、それが次第に完成した形になる。このとき、各組織幹細胞や、すでに分化した細胞が脱分化や分化転換し、分裂することで細胞が供給される。種々の幹細胞は様々な組織に分化できることから、これを用いて臨床に役立てようとする研究が再生医学の視点から行われている。

再生と発生生物学[編集]

再生が発生生物学の中で扱われるのは、そこに胚の発生の場合と似通った問題があるからである。再生芽に見られる組織の分化が起きる様子などはその例である。

特に、極性の問題は、再生の研究から主として出てきた問題である。プラナリアの体をいくつかに切ると、どの断片でも頭の方向へ頭が、尾の方向へ尾が再生してくる。同じ切り口で、前方の切り口からは尾が、後方の切り口からは頭が生じるわけで、それがどのようにして決まるのかの問題である。かなり小さな破片であっても、ちゃんと元の体の方向に体が再生される。このことは、磁石の場合によく似ている。磁石のS・N極は、それをつなぎ合わせても、その一部をとっても、同じ方向の磁石になる。これは磁石そのものが無数の小さな磁石から出来ているためであるが、これと同じようなふうに見えるので、この性質を極性と言うわけである。具体的には、何らかの物質の濃度勾配などがあれば、そのような性質が期待できる。

このような性質が分化に対して影響を与えるケースは、後に胚発生でも発見される。ウニなどにおいて、発生初期に左右に分割すると2つの正常な胚ができるが、上下に分けると発生が異常になり、動物極、植物極の間の極性が問題になった。

なお、これら細胞相互の配列・分化の極性のことを、細胞極性と区別するために構造極性と呼ぶことがある。

再生におけるモデル生物[編集]

古くから、特に再生能力の強いものが知られ、この分野のモデル生物として用いられた。特に有名なのがヒドラプラナリアで、これらは条件がよければ100-200分の1からも全身を再生することが出来る。また、多毛類のCtenodilusでは、体の一体節を含む破片から全身を再生する。脊椎動物では、イモリが特に再生力に優れており、尾や足などを切断しても完全に元に戻る。トカゲはしっぽが自切しても生えるので有名だが、実際には脊椎骨までは再生されない。

関連項目[編集]