片仮名

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片仮名
Japanese Katakana KA.svg
類型: 音節文字
言語: 日本語琉球語アイヌ語
時期: 〜800年
親の文字体系:
漢字
姉妹の文字体系: 平仮名変体仮名
Unicode範囲: U+30A0–U+30FF
U+31F0–U+31FF
U+1B000
ISO 15924 コード: Kana
注意: このページはUnicodeで書かれた国際音声記号(IPA)を含む場合があります。

片仮名(かたかな)とは、日本語の表記に用いられる音節文字のこと。

目次

概要 [編集]

日本語では主に次のような場面で用いられる。

  • 漢文訓読・注釈等にかかわる場合
  • 文章の表記に用いる場合
  • 音を示すことを目的とする場合
  • 一般と異なる表記による効果を目的とする場合
    • 学術用語
    • 生物和名(イヌ、キジ、サクラなど)
    • 意図をもって表記するとき
    • 日本語で砕けた表現をする場合
    • 会社名や商品名などの表記
    • 漫画等において)外国人の片言での会話を表現するとき
  • 技術的な理由から使用可能な文字が限られている場合

日本語以外では、アイヌ語表記にも使われる。アイヌ語仮名も参照。また、日本統治時代台湾台湾語の表記に使われた事もある。台湾語仮名参照。

  • 片仮名の一覧
あ段 い段 う段 え段 お段
あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま行
や行
ら行
わ行

歴史 [編集]

漢字の一部を使いその文字の代わりとして用いることは8世紀初めから見られるが、片仮名の起源は9世紀初めの奈良の古宗派の学僧たちの間で漢文を和読するために、訓点として万葉仮名の一部の字画を省略し付記したものに始まると考えられている。万葉仮名(借字)は、最初は経典の行間の余白などにヲコト点とともに使われていた。それが小さく素早く記す必要から字形の省略・簡化が進んだ結果、現在見る片仮名の原型となり、ヲコト点に成り代わって盛んに訓読に利用されるようになった。片仮名はその発生より、僧侶や博士家などによって漢字の音や和訓を注記するために使われることが多く、ごく初期から仮名交り文に用いた例も見られる。 当初は字体に個人差・集団差が大きく、10世紀中頃までは異体字が多く見られ、時代を経るに従って字体の整理が進んだのではないかと考えられている。

平安時代中期に書かれた長編物語の宇津保物語国譲巻において、「書の手本」の叙述中に、男手にもあらず女手にもあらず、男手、女手、片仮名、葦手があげられており[1]、これにより平安時代中期には、片仮名がひとつの文字体系であると認識されていたことが解る[2]平安時代後期に書かれた堤中納言物語において、当時の文字の習得が片仮名から始めて平仮名に進んでいったことがわかり、片仮名が実用的であった様子が窺える[3]

明治初期のころの字体はJ・C・ヘボン著『和英語林集成』の付表などにもみられる[4]。平仮名に比べ学問的傾向が強いので、戦前の日本ではより正式な文字とみなされ、法令全書その他の公文書で用いられ、教育面でも平仮名に先行して教えられた。現代の片仮名では明治33年(1900年)の小学校令施行規則で一音一字の原則に従い、標準とされた字体だけが普及している。

1940年当時の一部の書物において、片仮名の起源は諸説あるとし、片仮名は漢字の一部から吉備真備(695-775年)が工夫して創作したのではないかとの記載も見られる[5]が、近代では俗説であると言われている。


字体の由来 [編集]

カタカナの由来
  • 「イ」「エ」を180度回転させた文字が、ヤ行の「イ」「エ」として用いられたことがある。これは江戸時代の音韻学において、「ヤ行やワ行の『イ』『エ』にも独自の文字を当てるべきではないか」という考えが生じたために作られた記号であり、一般に通用する文字ではない。用いられた記号も、学者によって異なる場合がある。
  • 」については「」の草体の変形、ならびに平仮名」の変形とする説がある。
  • 」については「箇」の異体字である「」の変形とする説がある。
  • 」については「」の草体、「」の草体、または「」の一部とする諸説がある。
  • 」については「」の旁を採ったとする説がある。
  • 」については「」の最初の2画を採ったとする説も以前からある。
  • 」「」は、現在歴史的仮名遣においてのみ用いられる。
  • 」は「」の草体を変形させたものである。
  • 」については「」の草体の一部を採ったとする説もある。
  • 」については「輪」の意の記号「」を「()」と2画で書いたところから生まれたとする説がある。
  • 」については漢字でなく撥音を表す記号()の変形とする説もある。

ただし中田祝夫は、上の表で見られるような従来からの字源についての説明を批判している。それは、従来からの説ではまず現在の活字のような楷書体の漢字から片仮名の字源を想定し、各々の片仮名の字源を探ろうとするがそれは誤りであり、片仮名が生れたころの時代を含めた近代以前には、漢字は実際には行書体や草書体で記される場合がほとんどで、そんな中でいわば平仮名のように、楷書体ではない崩した字体をさらに省略するなどして出来たのが片仮名であったとしている。

異説 [編集]

平成14年(2002年)、大谷大学所蔵の経典にある角筆の跡について、これが表音を企図して漢字を省略したものであり、片仮名的造字原理の先行例ではないかとする説が出された[6]。この角筆について小林芳規は、8世紀に朝鮮半島で表音のための漢字の省略が行われており、それが日本に渡来したのではないかとする説を主張した[7]犬飼隆はこの小林芳規の主張について、表音を企図した漢字の省略が朝鮮半島で先行して実施されていた可能性を認めながらも、なお検証を要するとした[8]。また平川南は経典の成立年代と訓読のための書き入れにはずれがあることが充分想定できるため、典籍の年代確定の難しさを指摘している[9]

さらに、「根」字の脇に見られる「マリ」の如き角筆の痕跡が「ブリ」の音を表すとした上で、現代韓国語の「根(ブリ)」と一致するとの小林の主張は、新羅時代に「根」を「ブリ」と発音した可能性は正確には確認できないとソウル大学名誉教授の安秉禧(アン・ビョンヒ)、韓国口訣学会会長の南豊鉉(ナム・プンヒョン)らによって指摘されている。

脚注 [編集]

  1. ^ 三省堂大辞林平仮名
  2. ^ 三省堂大辞林片仮名
  3. ^ 京都大学電子図書館 - 伴信友校蔵書 第十三冊 堤中納言物語 四 むしめずるひめぎみ 「仮名はまだ書き給はざりければ片かんなに」とある
  4. ^ J・C・ヘボン 『和英語林集成』〈『講談社学術文庫』477〉 松村明解説 1989年 巻頭・付表
  5. ^ 新しき図案文字の描き方:初心者の為に 国立国会図書館 1940年 片仮名の起源P10
  6. ^ 平川南編 『古代日本 文字の来た道』 大修館書店、2005年、185頁。
  7. ^ 小林芳規 「大谷大学蔵新出角筆文献について―特に、『判比量論』に書きいれられた新羅の文字と記号―」 『書香』第十九号、大谷大学、2002年6月。平川南編 『古代日本 文字の来た道』 大修館書店、2005年、185頁。
  8. ^ 平川南編 『古代日本 文字の来た道』 大修館書店、2005年、186頁
  9. ^ 前掲書

参考文献 [編集]

  • 小松茂美 『かな その成立と変遷』 岩波新書、1968年 ISBN 4004120977
  • 築島裕 『仮名』〈『日本語の世界』5〉 中央公論社、1981年
  • 中田祝夫 「片仮名の字形・字源―片仮名の発達史―」 『水茎』(第二十四号) 古筆学研究所、1998年

関連項目 [編集]

外部リンク [編集]