携帯電話の絵文字

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携帯電話の絵文字(けいたいでんわのえもじ)では、主に携帯電話PHSインターネット接続サービス(iモードEZwebYahoo!ケータイH"・AIR-EDGE PHONEEMnet等)で使われる、特殊な文字コードやタグで表される絵文字について説明する。

概要[編集]

絵文字とは携帯電話PHSEメールウェブページにおいて、文字の一部を1文字で表現する絵(例えば自動車や電車などのアイコン、グリフ)に割当て、表示できるようにしたものである。絵文字は日本では仮名漢字と併用して使用され、絵文字文化とも呼ばれる。当初は、絵文字を表示する携帯電話にはモノクロームの液晶ディスプレイが装備されていたため、ピクトグラムを表示する外字グリフとして開発されていたが、ツーカーなどの携帯キャリアがカラー表示できる液晶ディスプレイを備えた携帯電話に最適化したカラー絵文字という多色の絵文字表示を行い、日本の各携帯電話キャリアはすべて、絵文字を実装することとなった。最後発となるソフトバンクは、携帯電話の液晶ディスプレイの高精細化を利用した、細密な多色絵文字を開発した。また、文字にアニメーションをさせた、動く絵文字と呼ばれる絵文字も使用した。

文字コードは、多くの事業者でShift_JISもしくはUnicodeの空き領域に2バイトのコードを割り当てて使用している(従って外字の一種)。ただしソフトバンクモバイル(Yahoo!ケータイ)ではShift_JISの場合に特殊なエスケープシーケンスを用いて文字を表記する方式であり[1]au (EZWeb) ではHTMLの<IMG>タグを独自に拡張した表記法もある[2]。このほか、HTMLの数値文字参照の形で文字コードを十進数もしくは十六進数で記述する方法もあるが、機種によって絵文字が表示できない場合もある[3]。当初はISベースのコードのみでの対応であったが、その後Unicodeの外字にマッピングした絵文字も利用されるようになった。2010年になってUnicodeに絵文字が含まれるようになり、PCや携帯電話など機種間の違いなどを気にせず交換が可能になった。

なお、ワンセグに対応した携帯電話では、字幕放送文字放送に対応するため、通常の携帯電話の絵文字のほか、ARIB外字を含む端末も多い。

文字コードを利用した絵文字以外では、デコメールで使用される、JPEGまたはGIF形式によるインライン画像のうち、画像サイズが一定サイズ(NTTドコモの場合20ドット×20ドット)のものを「デコメ絵文字」と呼ぶが、これについてはデコメール#デコメ絵文字を参照。

現在ではUnicodeに文字コードとして搭載されスマートフォンやOSなどで世界的に対応されたことから日本国内だけでなく世界中で利用されるようになった。

互換性[編集]

機種依存文字時代[編集]

当初は、絵文字は携帯電話・PHS事業者により仕様が異なる機種依存文字であった。そのため原則として、絵文字を含むメールは同一事業者の端末間のみで利用可能で、絵文字を含むウェブページについては各事業者毎に別のページを作成する必要があった。しかし、絵文字には統一されたデザインや呼称がなかったため、絵文字を含む文章や雰囲気が各事業者毎に微妙に異なって受け取られることがあった。

日本語のEメールの、事実上標準の文字コードはISO-2022-JPであるため、絵文字を含むEメールは本来他のネットワークに送出しない方がよいとされていた。たとえば、後述の他社宛て絵文字変換が実施される以前(あるいは同機能を利用しない場合)は、iモードの端末から絵文字をメールで送信しようとすると、メールサーバで「〓」に変換された。ただし受信は以前から変換されないため、絵文字をそのまま送出する端末・サーバからの絵文字メールの受信は可能である。また、ウェブページに関しては、絵文字に関する変換は行われないので、端末とページの対応が取れていれば、絵文字を含むページは表示可能である。

なおKDDI、並びに沖縄セルラー電話の各auiモードの絵文字に一部対応している、あるいは互換仕様になっている[4]

以前は一般のパソコンでは絵文字の組み込まれたメールやウェブページを見ることができなかった。そのため、各事業者の絵文字に対応したフォントをパソコンにインストールして表示させるなどの方法をとる必要があった。このフォントは、各事業者公式の物として、また非公式のフリーウェアとしても、配付されている。

他社宛て絵文字変換機能[編集]

他社宛て絵文字変換機能とは、Eメール送信時にメールサーバーにおいて、機種依存文字である絵文字を、他社(他の携帯電話・PHS事業者)の似た絵文字に変換して、他社のメール受信者に送信できる機能である。送信先の事業者に相応するものがない場合は顔文字や一般の文字列に、それでも適切なものがない場合は「〓」(下駄記号)へ変換する[5]

他社宛て絵文字変換機能は、当初、事業者とは関係ないメールサーバーを経由して変換し、受信者側に配信する方式で開始された。提供者は事業者以外のウェブ・メールサービス提供会社等であり、送受信時に、サービスの定める何らかの特殊な操作等をする必要があった(例えば、他社メールアドレスのドメイン名の一部に、特定の文字を追加変更する等)。

その後、携帯電話・PHS事業者自身が、標準のサービスとして、絵文字変換機能を提供した。これは、送信元のキャリア側のメールサーバーで自動変換し、利用者は特に操作・設定をせずに機能を利用することができる。

2005年11月1日に現ソフトバンク(ソフトバンクモバイル)がVodafone 3G(現SoftBank 3G)のS!メールで他社携帯電話宛の絵文字を含むメールの絵文字部分の自動変換機能を開始した。このサービスの特徴はメールアドレスの末尾部分を書き換えるなどの特別な操作を必要とせず、絵文字を含まないメールと同じ送信操作で他社に絵文字を含むメールを送信できることである。他社も追随し、2006年7月12日にNTTドコモiモードメールの、同年9月5日にauKDDI/沖縄セルラー電話)がEメールの同様のサービスを開始したことにより、これら3事業者間においては、ユーザの特別な操作無く絵文字が送受信できるようになった(ただし、SoftBank 6-2では他社への絵文字送信は不可能である)。

ソフトバンクモバイルは、2007年10月29日より同じソフトバンクグループのYahoo! Japanが提供するメール「Yahoo!メール」宛の絵文字を含むメールの絵文字部分の自動変換機能も開始している(Yahoo!メールのパソコン用サイトで受信・閲覧した場合に限る)。またNTTドコモでは、2009年11月現在Yahoo!メール・Gmailau oneメールへの送信の際に絵文字がそのまま表示されるようになっている[5]

なお、PHSは、PHSへの送信・PHSからの送信共に絵文字変換が実施されていなかったが、ウィルコムは2008年1月22日より、AIR-EDGE PHONE以降の一部機種について、NTTドコモ・au(KDDI/沖縄セルラー電話)と相互に、メール送受信時の絵文字変換を開始すると発表した。また、ソフトバンクモバイル及び同社のMVNOであるディズニー・モバイルとの絵文字変換も同年3月18日より開始した。

出版における絵文字への対応[編集]

前述の通り、絵文字は本来、携帯電話・PHS事業者により仕様が異なる機種依存文字であるため、出版物で絵文字を使おうとしても、印刷で用いられる書体セットの中に絵文字は含まれていない。そのため、印刷物に絵文字を用いようとした場合、完全に非対応とされるか、以下のような何らかの条件や制限が加わることがある。また、対応できる場合であっても意図していたデザインの絵文字であるとは限らない。

  • 外字、あるいは画像データとして別途作成され、その分のデータ作成料を追加請求される。
  • 絵文字でキャラクタ(丸や三角、ハートマークなどの文字記号)に置き換え可能なものは置き換え、他は対応しない。
  • パソコン表示用の絵文字対応フォントを、利用制限の範囲内で使用。
  • 納期を長めに設定されたり、金額を割高に設定される。

このことから、絵文字を使う可能性がある場合には、事前にデザイナーや印刷業者と打ち合わせをすることが望ましい。

Unicodeへの収録[編集]

経緯[編集]

前述のように絵文字は日本国内で幅広く使用されていたものの特定の閉じた環境内でしか使用できない技術的な問題があった。たとえば外字を利用したインターネット上のデータ交換は適切でないと考えられた[6][7]

2002年ごろある携帯用OSベンダーがUnicodeコンソーシアムに絵文字の提案を行ったが、当時それ以上の話に進まずにそのまま提案は流れた[8]2006年の秋にGoogleGmailのチームで各社の絵文字を相互に表示できるようなメールシステムが考えられ、それを元に2007年7月にUnicodeに符号化を行うチームが作られ[9]、2007年10月に3社の絵文字をUnicodeに収録しようという提案がGoogleアップル社の共同で行われ[10][11]2008年にそのためのオープンソースプロジェクトemoji4unicodeが開始された。このプロジェクトの成果の一部は「emoji symbols」(絵文字記号)として2009年3月にユニコードコンソーシアムに提案され[12]、その一部がUnicode 6.0.0に収録された[13]。しかし、提案の審議の過程で、絵文字を表現する代表グリフに多くの変更が加えられたほか、すでに符号化されている文字との統合などの調整もされた[14]。この制定により、携帯キャリア間および携帯以外の端末との間でも新たに制定されたUnicodeでの表現することにより誤った変換が発生せずにデータ交換が可能になった。iPhoneMac OS XWindows Phoneなど世界中のOSなどに、共通でUnicode 6.0形式のフォントが徐々に標準添付されるようになり、Unicode 6.0での絵文字データの交換が可能となった。

企業のロゴマーク等は収録されていないので、これらについては引き続き私用領域で表す必要がある。また、0〜9および#ボタンと国旗は合字で表現する[15]

絵文字には、ハートマークや赤リンゴと青リンゴなど、形が同じで色のみが違うものがいくつかある。Unicodeでは通常文字の色は規定しないが、これらについてはYELLOW HEART、BLUE HEART、RED APPLE、GREEN APPLEなど色名を含んだ名称で登録された。ただし、コードチャートの例示字形はモノクロで網掛けや縞模様で表現されている。

制定後の動き[編集]

各社でUnicode 6.0の絵文字に対応が進んでおり、機種に依存せずに絵文字を使える環境が普及しつつある。

  • iPhoneおよびiPadでは、新たに制定されたUnicode6.0.0での絵文字表現を内蔵の絵文字で表現する。これにより、キャリアをまたいだUnicode 6.0での絵文字の交換が可能になった。
  • Windows Phoneでは、Unicode 6.0の絵文字が添付される[16]
  • Googleの携帯サイトでは、検索結果のページ変換で、Unicode 6.0の絵文字を携帯電話の絵文字のマッピングに変換する。検索結果についても、Goolgle独自の絵文字はUnicode6.0に変換したうえで検索結果に表示されるようになり、Google翻訳でも、Unicode6.0に変換してから表示される[17]
  • AppleのMac OS X v10.7以降では、Unicode 6.0の形式で、i-mode、docomo、SoftBankのすべての絵文字をが表示できる[18]
  • Windows 8では、Unicode 6.0の形式で絵文字が採用された[19]
  • Unicode 6.0の絵文字に対応した、複数のフリーフォントがあり[20]、これらのフォントをインストールすれば、携帯電話以外からでもUnicode 6.0の絵文字を表示することが可能である。また、Unicodeの絵文字に変換するためのかな漢字変換の辞書も公開されている[21]
  • Unicode 6.1では、絵文字としても使われるUnicodeコードポイントのうち107個に対し、異体字セレクタの組合せが例示され、テキストスタイルと絵文字スタイルを切り替えられるようになった。例示された中には、Unicode6.0では規定していない#、1から9の数字単独での絵文字スタイルも示された。
  • 2014年5月以降、NTTドコモ、KDDI、沖縄セルラー、ソフトバンクモバイル、イー・アクセス、ウィルコムのキャリア6社はキャリアメールおよびSMSサービスの文字コードをUnicodeに対応し、絵文字の数と種類を共通化する。ただしアップルのiPhoneは対象外。[22]としており、Nexusなどシムフリーandroid端末、タブレットや、pcとの互換性については、発表時に言及されていない。
  • Windows8.1からカラー絵文字が実装され、Windows上でもカラーの絵文字が利用できるようになった。

文字コード[編集]

使用される文字コードは以下の通りである。

キャリア Shift_JIS JIS EUC Unicode外字 Unicode 6.0 記事
au
(KDDI・沖縄セルラー電話連合)
第1バイトがF3,F6,F7で始まる2バイト文字すべて
F440-F47E
F480-F48D
- - E468-E5DF
EA80-EB88
対応
docomo F89F-F8FC
F940-F949
F950-F957
F95B-F95E
F972-F97E
F980-F9FC
- - E63E-E6A5
E6AC-E6AE
E6B1-E6BA
E6CE-E757
未対応
(スマートフォンでは対応)
SoftBank ESC $ [G/E/F/O/P/Q] + [0x21-0x7E] + 0x0F ESC $ [G/E/F/O/P/Q] + [0x21-0x7E] + 0x0F ESC $ [G/E/F/O/P/Q] + [0x21-0x7E] + 0x0F E001-E05A
E101-E15A
E201-E253
E301-E34D
E401-E44C
E501-E537
対応
emobile
(イー・アクセス)
F89F-F8FC
F940-F949
F950-F957
F95B-F95E
F972-F97E
F980-F9FC
F860-F879
- - E63E-E6A5
E6AC-E6AE
E6B1-E6BA
E6CE-E757
E600-E619
対応

関連項目[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ ウェブコンテンツ開発ガイド(HTML編) - ソフトバンクモバイル
  2. ^ 技術情報 > 絵文字 - EZFactory
  3. ^ 絵文字記述方法 - NTTドコモ・作ろう!iモードコンテンツ
  4. ^ KDDI. “iモードとの互換性”. KDDI au: 技術情報. 2007年8月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年9月10日閲覧。
  5. ^ a b 絵文字変換機能 - NTTドコモ
  6. ^ 外字は自由に文字を定義される文字を示すため、どこにどの文字が入っているかは環境によって異なり、異なる文字が表示されることは異常ではない。たとえば、i-modeからiPhoneに音符マークの絵文字をメールで送信すると、うんこマークになる。nakamura001 (2010年11月26日). “ドコモからGmailにメールを送ると「音符」の絵文字が「うんこ」になる”. 2011年2月5日閲覧。これはi-modeの音符の絵文字の外字でのコードと、SoftBankのうんこマークの絵文字の外字でのコードが同じであることにより発生する。Unicode 6.0.0の絵文字でデータ交換を行えばこのような問題は発生しない。
  7. ^ ただし以上のような文字化けは、外字データが指定されていないことに起因する。外字データを含む文章をPDFなどに変換して埋め込みフォントにするか、画像化を行って文書に添付すれば、このような問題は発生しない。
  8. ^ 小形克宏 (2010年2月25日). “グーグルが絵文字を世界標準に提案した理由--国際化エンジニアに聞くプロジェクトの舞台裏(前編) - (page 2)”. 2014年8月9日閲覧。
  9. ^ 小形克宏 (2010年2月25日). “グーグルが絵文字を世界標準に提案した理由--国際化エンジニアに聞くプロジェクトの舞台裏(前編) - (page 1)”. 2014年8月9日閲覧。
  10. ^ Markus Scherer (2008年11月26日). “Emoji for Unicode: Open Source Data for the Encoding Proposal” (英語). Google Open Source Blog. 2009年1月4日閲覧。
  11. ^ Markus Scherer (2008年11月27日). “絵文字のユニコード符号化: 符号化提案用のオープンソースデータ”. Google Japan Blog. 2009年1月4日閲覧。
  12. ^ Markus Scherer, Mark Davis, Kat Momoi, Darick Tong, Yasuo Kida and Peter Edberg (2009-03-05). N3582 “Proposal for Encoding Emoji Symbols (PDF) ”. 2010年10月13日閲覧。
  13. ^ Unicode 6.0: Support for Popular Symbols in Asia”. Unicode, Inc. (2010年10月11日). 2010年10月13日閲覧。
  14. ^ 小形克宏『絵文字が開いてしまった「パンドラの箱」第7回--そして舞台はダブリンから東京へ』Cnet Japan、2010年2月5日06時00分。2010年10月13日閲覧。
  15. ^ 国旗についてはあいまいな仕様がある。国旗の絵文字 - yasuoka の日記
  16. ^ Windows Phone のフォントのサポート - Microsoft
  17. ^ Googleでの&#xFE000;の検索結果
  18. ^ アップル - OS X Lion - 250を超える新機能をすべてご紹介します。
    Mac OS Xの文字コード問題に関するメモ さっそくUnicode絵文字をLionで表示してみた
    Mac OS X Lion Supports The Viewing Of Japanese Emoji
  19. ^ Windows 8のソフトウエアキーボードを検証、日本語入力は?
  20. ^ ユニコード6.0以降で使用できる絵文字 - 世界の特殊文字ウィキ」のサイトでいくつかのフォントが紹介されている。
  21. ^ Unicode絵文字に関するプロジェクト
  22. ^ 携帯電話・PHS事業者6社によるキャリアメール、SMSサービスの絵文字共通化の取組みについて NTTドコモ 2014年4月24日

外部リンク[編集]