アイテム課金

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アイテム課金(アイテムかきん)とは、主にオンラインゲームソーシャルゲームなどで導入されている、ユーザーゲーム内で利用できるアイテム(追加コンテンツ)を販売する課金制度である。アイテム課金という名称は、大半のゲームで基本料金が無料の範囲があり、ゲーム内アイテムを購入することによって機能が拡充するというシステムによるものである。

日本では一部でも無料で遊べる要素がある場合、無料部分を強調し「基本無料(または基本料無料)」と呼ぶことが多い。ただし欧米では、特にゲームの根幹部分(勝敗やプレイ要素、プレイ回数など)に制限を設けず自由・無料(Free)とした場合にのみF2P (Free to Play) と呼称することが求められるため[1]、両者は本来異なるものである。

ビジネスモデル[編集]

アイテム課金は、2001年ごろに韓国中国で、急激に増える違法ユーザーを防ぐために始まったオンライン商法が起源とされる。当初はカジュアルゲームと呼ばれ、経済力の低い学生を対象とするゲームに採用された。それらが成功をするのを見た企業も、自社のコンテンツを「月定額制」から「アイテム課金制」へと変えた[2]。また、スマートフォンタブレット端末といったスマートデバイス向けに、ユーザーに追加で有料コンテンツを購入させることができるような仕組みである「アプリ内課金」が開発者に公開され、個人でもアイテム課金方式のゲームを作ることができるようになった[3][4]

基本的にリアルマネー(現金電子マネー)、またはプリペイドカード、携帯電話料金決済などでゲームで使用できる仮想通貨であるポイントを購入する。そしてポイントを使用してアイテムあるいは後述する「アイテムくじ(ガチャ)」を購入する。

アイテム課金制のゲームの多くは、無料プレーヤーには「ストレス」を与え、徐々に課金に導くシステムとなっている[5]

「基本無料」のゲームでは、大半で一定量の「スタミナ」「燃料」「体力」などと呼ばれる要素を持たせる概念を導入し、ゲーム内のプレイや行動にはそれを消費する事が必要となる。その消費と上限値を設けることで、基本無料の状態では、1日あたりにプレイできる回数が、1回から多くて数回に制限されている。

「スタミナ」等の要素はゲーム内でクリアした際に得られる報酬の他に、時間の経過と共にゆっくりと回復していく。連続プレイにより消費が自然回復に追いつかなくなってきた(待ち時間が煩わしくなってきた)場合、課金アイテムを使用することで「スタミナ」等を回復できる[6]アーケードゲームでいうところの「クレジット」に近い。

販売されるアイテムは、性能が高いアイテム、ゲーム内では入手の困難(もしくは不可能)なレアアイテム、キャラクターの服装や髪型など見た目を変えるアバター関連アイテム(ファッションアイテム)、経験値の獲得効率、コンティニュー、待ち時間の短縮、アイテム所有数枠の増加といった利便性を向上させるアイテムなどがある。アイテムに使用開始日から1週間~1ヶ月程度の利用期間制限が設定されているケースや、アイテムの販売期間が限定されているもの、さらには販売終了後に再発売を行わないことをうたって希少感を高めているケースもある。これらのアイテムはゲーム内で購入するのが一般的である。また、タイトルによっては書籍やインターネットカフェの利用権にレアアイテムと交換できるシリアルコードを付属させることでさらなる収益を計るものもある。

また、商業PBWでも同様のシステムがあり販売されるものはキャラクターの行動結果をまとめた『小説』やキャラクターのイメージを描いた『イラスト』『音声』『音楽』や少人数パーティーで編成される『ウェブゲームシナリオ』『ウェブゲームバトルコロシアム』がある。

問題点[編集]

基本料金無料の宣伝の問題[編集]

無料でプレイできることを強調する宣伝をしながら、実際はある程度以上ゲームを進めるためには有料アイテムの購入や有料サービスの利用が必須になるようなゲームがあり、消費者庁はこれを景品表示法上の問題点として指摘している[7]。また、未成年が「無料」に気を引かれて有料のアイテムやコンテンツの存在を自覚せずプレイした結果、数万円の料金が請求されたり、無断で親のカードを利用するトラブルも報告されている[8]

アイテムくじ(ガチャ)[編集]

アイテム課金を採用しているゲームの中には、ゲーム内アイテムやアバターを商品とした景品くじ(通称:ガチャ)が販売されているものがあり、ガチャ課金と呼ばれる。ガチャ課金については日本国内の法的には問題が無く、自ら管理すべきなのが現状である[9]。くじの価格は基本的にゲームで異なり、1回いくらかの金額を消費し、画面演出のち設定された確率によりレアリティの異なる1個ないしいくつかのアイテムを入手する。その中にはくじでしか入手ができない強力なレアアイテムや、レアキャラクターユニット、他プレーヤーとの差別化を目的としたファッションアイテムが一定の確率で目玉景品として入る。目玉景品の当たる確率は運営会社のさじ加減次第といえ、レアアイテムは出現率が低く抑えられていることが多い。レアアイテムの確率が低く設定されている『女神転生IMAGINE』では10万円を投じても欲しいアイテムが出なかったプレイヤーが、運営会社を提訴した[10][11]

景品くじでしか購入できないアイテムを、特定の組み合わせで揃えると別のレアアイテムを獲得できる「コンプリートガチャ」(通称:コンプガチャ)と呼ばれるシステムがかつて日本に存在した。懸賞による景品類の提供に関する事項の制限(昭和52年3月 1日公正取引委員会告示第3号)では「二以上の種類の文字、絵、符号等を表示した符票のうち、異なる種類の符票の特定の組合せを提示させる方法を用いた懸賞による景品類の提供はしてはならない」としており、消費者庁は「コンプリートガチャ」がこの違法な「カード合わせ」に該当するとの見解を示した[12]。その後、日本国内各社はコンプリートガチャを終了した。

2014年に入って『ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト』のガチャ課金が、「金の地図ふく引き」にて表示されている画像には「金の地図」が8枚あるのに対して、その地図を入手できる確率が非常に低いことから不当表示であるとして、購入したユーザが胴元であるApple StoreおよびGoogle Playに直接返金を求め、それが受理されたことから、騒動に発展した[13]。これは『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』『ガンダムコンクエスト』にも飛び火し[14]、『魔法使いと黒猫のウィズ』開発・運営元のコロプラはプラットフォームへ直接請求した場合アカウントを停止するとしている[15]

リアルマネートレーディングにまつわる問題[編集]

有料アイテムをキャラクター同士で取引できる場合、間接的に現実世界の財産とゲーム内財産を相互に交換が可能であり、リアルマネートレーディング(RMT)行為の原因になる[16]。RMTにアイテムくじによるガチャ課金という射幸心を煽るシステムが加わると、ゲーム上でレアアイテムに対する希少価値が高くなり、ギャンブル性が増す[16]

脚注[編集]

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  1. ^ 「無料(Free)」と冠するゲームにおけるアプリ内課金活動の制限について 欧州委員会 2014年2月27日
  2. ^ 【韓国】オンラインゲームの部分有料・アイテム課金モデル、8年の歴史とこれから - japan.internet.com、2009年12月3日[リンク切れ]
  3. ^ Androidでアプリ内課金を始めるための基礎知識(1/3) - @IT 2011年4月28日
  4. ^ In-App Purchaseプログラミングガイド - Apple Developer
  5. ^ Erik Kain (2014年3月6日). “スマホに背を向ける任天堂は間違っていない”. Forbes.com. 日本経済新聞社. 2014年3月20日閲覧。
  6. ^ 『パズル&ドラゴンズ』初心者はこれだけ覚えておけばいい基本情報まとめ”. ファミ通.com. エンターブレイン (2012年5月16日). 2013年5月4日閲覧。
  7. ^ 「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」の公表について 消費者庁ホームページ 平成23年10月28日
  8. ^ コンプガチャ、規制後も子供の高額課金トラブル減らず 未成年の半数超は中学生以下 産経新聞 2013年1月5日
  9. ^ 読売新聞社モニ太のデジタル辞典[リンク切れ]
  10. ^ 『女神転生』でユーザーがメーカーを訴訟! トレビアンニュース 2007年9月12日
  11. ^ 「くじ1000回「当たらん」と提訴」- 朝日新聞2007年6月10日号 東京14版 38面
  12. ^ インターネット上の取引と「カード合わせ」に関するQ&A 2013年1月9日 消費者庁 表示対策課
  13. ^ 「DQMスーパーライト」ガチャ表示にユーザー怒り → 返金祭りへ発展か スクエニ「現在確認中です」 ※追記”. ITMedia (2014年2月5日). 2014年2月8日閲覧。
  14. ^ 「DQMスーパーライト」の返金騒動が飛び火 「黒猫のウィズ」「ガンダムコンクエスト」でも返金求める動き”. ITMedia (2014年2月6日). 2014年2月8日閲覧。
  15. ^ 「黒猫のウィズ」運営元が告知、「不正な返金請求にはアカウント停止も」”. ITMedia (2014年2月6日). 2014年2月8日閲覧。
  16. ^ a b 薄まるギャンブル性 競売サイト自粛なら効果 日本経済新聞 2012年5月18日

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]