唐音

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
清楽の歌詞。「九」「解」「児」などの音が現代の中国語と異なっており、18世紀前半以前の音を反映していることがわかる。『月琴楽譜』(1878(明治10)年刊)より。

唐音(とうおん・とういん)は、日本漢字音(音読み)において鎌倉時代以降に中国から入ってきた字音。以降の字音である。唐音の唐は、漢音呉音と同様に、王朝名を表す(唐朝)のではなく、中国を表す語(唐土)である。

概要[編集]

室町時代には宋音(そうおん)と呼ばれた。唐音と宋音をあわせて唐宋音(とうそうおん)とも呼ばれる。唐音は呉音・漢音のようにすべての字にわたる体系的なものではなく、断片的で特定の語と同時に入ってきた音である。遣唐使の中止で途絶えた日中間の交流が、平安末、鎌倉初から再開し、室町、江戸を通じてさかんになって、禅宗の留学僧や民間貿易の商人たちによってもたらされた。

学術的には鎌倉仏教の禅宗にもとづく中世唐音(これを宋音と呼ぶ人もいる)と、江戸時代黄檗宗にもとづく近世唐音に分けられる。

[編集]

  • 餡(アン)
  • 行火(アンカ)
  • 行脚(アンギャ)
  • 杏子(アンズ)
  • 行灯(アンドン)
  • 椅子(イス)
  • 茴香(ウイキョウ)
  • 胡乱(ウロン)
  • 胡散(ウサン)
  • 看經(カンキン)
  • 橘飩(キットン) - 異説あり
  • 銀杏(ギンナン) - 「杏」の唐音は「アン」だが、連声によって「ギンナン」
  • 石灰(シックイ) - 当て字で「漆喰」と書くことが定着している
  • 清(シン)
  • 繻子(シュス)
  • 杜撰(ズサン)
  • 水団(スイトン)
  • 扇子(センス)
  • 炭団(タドン)
  • 箪笥(タンス)
  • 湯麺(タンメン)
  • 楪子(チャツ)
  • 提燈(チョウチン)
  • 亭(チン)
  • 団栗(ドングリ)
  • 緞子(ドンス)
  • 南京(ナンキン) - 地名
  • 暖簾(ノレン)
  • 瓶(ビン)
  • 普請(フシン)
  • 蒲団(フトン)
  • 北京(ペキン) - 地名
  • 饅頭(マンジュウ)
  • 明(ミン)
  • 鈴(リン)
  • 湯婆(タンポ) - 「湯たんぽ」の「たんぽ」


参考文献[編集]

湯沢質幸『唐音の研究』,勉誠社,1987年

関連項目[編集]

外部リンク[編集]