バイト敬語

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バイト敬語(バイトけいご)とは、レストランファーストフード店などの飲食店において、アルバイト店員が多数を占めるサービス業界での接客時に特徴的な日本語表現である。

概要[編集]

ファーストフード、コンビニエンスストア、ファミリーレストランなどにおいて、ある種の特徴のある接客表現が用いられており、それらは特に若いアルバイト店員がお客に対して使うものであり、バイト敬語、コンビニ敬語、ファミレス敬語、またはファミコン言葉(ファミレス+コンビニ)などと呼称されている[1]。このような接客用語をマニュアル化している企業もあるとされ、マニュアル敬語[2]とも呼ばれる。

マスコミを通じ日本語の乱れ若者言葉の典型として紹介されたことから注目を集めたが、言語学や方言学の見地からは、さまざまな検証や反論が提示されている。

主な表現[編集]

金額+からお預かりします[編集]

会計時に金銭を受け取る際、「○円、お預かりします」ではなく「○円からお預かりします」と言う。

  • 1万円からお預かりします。

[3]「1万円からお預かりします」の場合、客が端数の細かい金額を足し合わせようと財布の中を覗き込んでいながら、どうも足りなさそうなので店員側で「もう1万円から計算してしまいますよ」と確認するニュアンスを持つ。このため「急かされている」「決め付けられている」と不快に感じる聞き手がいる。

森山(2001)によると「~から」は計算の起点を表すとする。この場合「~から」が使用されるとかならずお釣りが出る場面であると考えられる。この説によればお釣りが出ない場面「9650円ちょうどからお預かりします」は説明できない。「クレジットカードからお預かりします」の用法も報告されている(飯田2002a)。

岩松(2001:26-28)によると、「~から」は「1万円からでよろしいですか」と「それでは1万円お預かりします」の両者がつながった物であるとされる。「1万円からお預かりします」の用法は個人商店が多かったかつての日本にはなかった表現である。個人商店では受け取ったお金は店主のものになるので「(9650円頂きますがそのまえに)1万円お預かりします」と直接的な語法となっていた。ところがアルバイトはあくまで「店主と客のお金をめぐる仲介人」であるためこのような曖昧な語法が生じたとする。

北原(2005:10-16)は「~から」は「まずは1万円から」「とりあえず1万円から」という意味である可能性を指摘する。「1万円からお預かりします」は「まずは1万円から、代金を仮にお預かりします」という店員の気持ちからの発言とする。

よろしかったでしょうか[編集]

「○○で、よろしかったでしょうか?」と、注文の確認のために用いられる。場面や状況の捉え方により客側に違和感を与え得るとされる[4]。この用法の正誤については反論もある[5]

脚注[編集]

  1. ^ 「バイト敬語」を使う若者たち (PDF) 洞澤伸・岡江里子(岐阜大学地域科学部研究報告第19号 2006)P.1
  2. ^ 敬語の指針 (PDF) - 文化審議会答申 2007年2月2日付け
  3. ^ この項目「バイト敬語」を使う若者たち」 (PDF) 洞澤伸・岡江里子(岐阜大学地域科学部研究報告第19号(2006)から引用。P.23-27
  4. ^ 店員が「○○で、よろしかったでしょうか?」 - 独立行政法人 国立国語研究所:ことばQ&A(2010年9月15日時点のアーカイブ
  5. ^ たとえば「ありえない日本語」秋月高太郎(ちくま新書)

文献情報[編集]

関連項目[編集]