V型12気筒

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V型12気筒レシプロエンジン等のシリンダー配列形式の一つで、シリンダーの配置がV字型のエンジンにおいて片バンクに6気筒ずつ合計12持つことから呼ばれる。当記事では専らピストン式内燃機関のそれについて述べる。V12と略されることが多い。

航空機での利用[編集]

第一次世界大戦から第二次世界大戦までの軍用機水冷ガソリンエンジンが広く用いられた。特に欧州では高性能なエンジンが開発され、イギリスではロールス・ロイス マーリン、ドイツではダイムラー・ベンツ DB 600等が挙げられる。アメリカではアリソンV-1710が開発されたが主流とはならず空冷星型エンジンの性能向上が進んだ。

日本ではドイツ製V12エンジンのライセンス生産が、海軍用は愛知航空機陸軍用は川崎航空機でそれぞれ行われたが、どちらも生産技術や資材の問題から量産に手間取り、実践投入後もトラブルや整備難で稼働率は低かった。結局、V12エンジン向けに設計された彗星三式戦闘機の胴体が余り、代わりに空冷星型エンジンを搭載し、彗星三三型と五式戦闘機として登場させる事態となった。

自動車での利用[編集]

主に乗用車でガソリンエンジンが用いられる他、大型のトラック・バス用としてディーゼルエンジンも使用される。

フェラーリやランボルギーニなどは専用設計だが、片バンクを直6と共用したり(TVR、メルセデスM120、BMW)、あるいはV6を2つ(メルセデスM、アストンマーチン)繋げた設計がなされている。

米国では、パッカード社のジェス・G・ビンセントにより開発された米国初の自動車用V12「ツイン=シックス」が1916年ツーリング・モデルに搭載された。世界初の量産V12エンジンでもある。ピストンはアルミニウム製。シリンダーブロックのバンク角は60度で3,000rpm時85馬力を出力した。

第二次世界大戦で使われたドイツV号戦車VI号戦車やそれらの派生車種のエンジンは排気量23Lのマイバッハ製HL230ガソリンエンジンであった。

フェラーリでは一時期、レーシングカーから市販車まで、生産される全ての車種のエンジンがV12であった。そのため、1シリンダーあたりの容積を車名の排気量表示としていた。

日本の乗用車ではトヨタGZG50型センチュリーが、唯一の搭載車である。また、大型バスにおいては、三菱重工業(当時。現:三菱ふそうトラック・バス)が日本国有鉄道自動車局(国鉄バス)の要求仕様に対応させるべく、V6エンジンを2つ連結する形のV12エンジンを開発したことがある。

F1では前述のフェラーリ以外にも、ホンダヤマハポルシェアルファ・ロメオランボルギーニなどがV12エンジンを投入していた。また1990年代初頭にはフォードルノー、2000年代にはトヨタでV12エンジンの投入計画があったがお蔵入りとなった(トヨタは、F1規則が変更されV10搭載が義務となったため、2001年からの参戦自体を1年遅らせた)。現在ではレギュレーションで使用不可となっている。

21世紀に入るとV6やV8でも設計・製造技術の進歩や過給器の高性能化、あるいはハイブリッド化などによって高出力化が可能になり、V6やV8と比べて生産コストが高くサイズも重量も大きく、燃費CO2などの温室効果ガス排出量といった環境性能で劣るV12の開発、製造をやめるメーカーが続出した。

搭載車種[編集]

現行搭載車種[編集]

過去の搭載車種[編集]

鉄道車両での利用[編集]

日本[編集]

主にディーゼル機関車に搭載されている。 DD13形に搭載されていた直列6気筒のDMF31系エンジンはターボチャージャーを装着しても500馬力と非力だったため、これを改良・発展させた1,000馬力クラスのエンジンが要求されていた。これを受けてターボつきV型12気筒のDML61系エンジンが1960年代に開発され、幹線用のDD51形や入換用のDE10形などに搭載されている。JR移行後はJR貨物のDF200形に引き続きV型12気筒エンジンが採用されている。
またキハ181系などの気動車に搭載されているDML30系エンジンは、水平対向エンジン同様の気筒配置に見えるが、バンク角180°のV型12気筒エンジンである。

関連項目[編集]