星型エンジン
星型エンジン(ほしがたエンジン)とは主に航空機用に用いられるシリンダーを放射状に配列したエンジンである。多くはガソリンエンジンであるが、ディーゼルエンジンのものも製造された。
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[編集] 構造
クランクシャフトを中心にしてシリンダーが放射状に並べられる。英語では文字通り「Radial engine」(放射状エンジン) と呼ばれる。ひとつひとつのシリンダーは独立している。コネクティングロッドはマスターロッドとサブロッドを用いる方式を使う。ひとつのピストンがマスターロッドを介してクランクピンに繋げられ、他のシリンダーはサブロッドでマスターロッドを介して繋げられる。列あたりのシリンダーの数は4ストロークエンジンの場合、点火順序をひとつおきとすると爆発(燃焼)間隔が等間隔となるため、奇数気筒が基本である。気筒数が偶数であるものは奇数気筒の列を複数重ね合わせたエンジンである。バルブの駆動方式はほとんどがOHV方式であり、OHCのものも開発されたが主流にはならなかった。
[編集] 特徴
- 短いクランクシャフト
- 一重の星型エンジンではクランクシャフトが単気筒エンジンと同じ長さになり、エンジン製造技術の低い20世紀初頭では、クランクシャフトが長大になり剛性の確保が難しい直列エンジンやV型エンジンよりも製造が容易であった。また、全体的に見ても軽くて頑丈に仕上がる。
- 冷却方式
- 各シリンダーが前面にさらされるために冷却風が当たりやすく、ほとんどが空冷で済ますことができた。例外的に水冷のものも存在した。
- 反面、断面積が大きいため、速度が増せば増すほどプロペラ後流が冷却に浪費されると言う欠点が有った(この欠点はカウルにより軽減することができる)[1]。
- また、推進用のプロペラとは別に、小型の強制冷却ファンを用いる方法もある。
- 多気筒化
- 多くが7、9気筒を採用し、さらなる多気筒化の場合、それらを直列につなぎ合わせた、二重、三重、四重星型とされた。ただしこの場合、小型高出力を追求するあまり、冷却の均等性や整備性が犠牲になった例もみられた。
- 板カム(OHVのみ)
- 放射状シリンダーの為、給排気の弁を作動させるプッシュロッドも放射状に並ぶ。従って多くの場合カムシャフトは用いられず、カムはクランクケース外周に沿った大きな円板である。
- スムーズな回転
- 全方位に対して対象な形状のため、理論上、慣性力については実用上ほぼ完全な均衡が得られる。同時に、クランクシャフトへの負担も小さくなる。ただし重力(もしくはG)の関係上、キャブレター方式では、全ての気筒に均等に混合気を配することは比較的困難である[要出典][2]。
[編集] 具体例
代表的な星型空冷エンジンを以下に挙げる。
- 中島製 寿 - 九六艦戦に搭載された星型9気筒
- 中島製 栄 - 零戦に搭載された複列星型14気筒
- 中島製 誉 - 紫電改に搭載された複列星型18気筒
- プラット・アンド・ホイットニー ワスプ・メジャー - 四重星型28気筒
- 小川精機がOSエンジンブランドで現在でも販売するFR5-300エンジン - 大型模型飛行機用の50cc星型5気筒
その他は航空用エンジンの一覧を参照
[編集] 歴史
イタリア王国のイタリア陸軍の将軍ジュリオ・ドゥーエは将校時代にトリノ工科大学で電気工学を専攻、軍用星型エンジンを研究し評価された。実際に航空機用に星型エンジンを最初開発・製造したのは、アメリカのサミュエル・ラングレーとその助手であるチャールズ・マンリーであった。マンリーが1901年に制作したエンジンは5気筒で52馬力を出し、ライト兄弟がフライヤー1に搭載したエンジン(12馬力)よりも性能がよかった。しかし、このエンジンを搭載した実験機エアロドロームは1903年に行った2度にわたるテスト飛行に失敗、その成果をあげることはできなかった。
[編集] 出典、脚注
[編集] 出典の詳細、参考文献
富塚清編 『航空発動機』1943年12月15日、共立出版株式会社(初版。出典として用いたものは1944年の第3版。原題は旧字体で『航空發動機』)。
[編集] 関連項目
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