V型4気筒

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V型4気筒(ブイがたよんきとう)とは、レシプロエンジン等のシリンダー配列形式のひとつ。4つのシリンダーがV型に開かれ配置される。V4とも呼ばれる。

概要[編集]

ガソリンエンジンのV型4気筒エンジンはかつては自動車にも使用されたが、今日では主に大型のオートバイに使用されるにとどまる。V型4気筒を採用した自動車は狭角V型エンジンを搭載したランチアが有名である。オートバイでは古くから採用例があったが、水冷90°V型4気筒DOHC4バルブ1982年本田技研工業より発売されたVF750での採用が世界初であるとされる。ドゥカティも水冷V型4気筒のアポロを市販化しようと試みたが、試作車を製作したにとどまった。

特徴[編集]

本節では狭角V4は除いて通常の90°VバンクのV型4気筒エンジンについてのみ言及する。通常、左右(前後)のバンク間でクランクピンは共有される。クランクシャフトは180°と360°(0°)の2種類が主に使用される。同じ4気筒の直列型エンジンに比べ、全てのピストンが同時に停止する瞬間は無いが、4ストローク機関の場合は、どちらの位相のクランクを持つエンジンも点火間隔が270°空くタイミングが必ず発生し、等間隔燃焼にはなり得ない。2ストローク機関の場合は90°V型180°クランクとすることで、等間隔燃焼となる。エンジンの振動面では、偶数シリンダの90°V型エンジンは最小の2気筒でも優れているので、それを2組並べたV型4気筒エンジンも優秀となる。具体的には簡単なバランサーウェイトのみで1次振動は理論上は0となり、2次振動も直列4気筒より少なくすることができる。

したがって4ストロークV4エンジンの特性は、一般的な直列4気筒エンジンに比べ、特に低回転時に鼓動感のあるトルクフィーリングとなる。一転して高回転域では、その粒だった排気音からは想像し難いが滑らかなフィーリングである。

180°のクランクを持つエンジンでは、隣り合うピストンは逆の動きをすることになる。点火間隔は4ストロークは 180°- 90°- 180°- 270°でどちらかといえば高回転型、2ストロークでは 90°- 90°- 90°- 90°で高回転型となる。

360°(0°)のクランクを持つエンジンでは隣合うピストンは同じように動き、4ストロークでは交互に、2ストロークでは同時に点火することになる。従って対向バンクのシリンダと合せて 90°- 270°- 90°- 270°の点火間隔となる。これはつまり、2ストローク90°V型2気筒のエンジンと同じことであり、中回転向きの特性で、マルチとツインの中間的な味付けとされることが多い。

主な採用車種[編集]

※ 特に注記なき場合は4ストロークエンジン搭載モデル
フォード
ランチア
  • 市販車
    • フルヴィアおよびその他多数。狭角V型エンジンを搭載。
ポルシェ
本田技研工業
  • 市販車
  • 競技専用車
    • RVF750/400
    • NSR500 - 2ストロークエンジン搭載。ロードレース世界選手権 (GP500) 参戦用モデル。実際は前後気筒でクランクピンは共有されておらず、直列4気筒エンジンのシリンダーが気筒ごとに独立し、前後互い違いに配置された形式といえる。これは2ストロークエンジンの特性上、気筒ごとにクランク室が密閉されている必要があるため。
    • RC212V - ロードレース世界選手権のレギュレーション変更に伴い、RC211VV型5気筒から変更されて採用。
ヤマハ発動機
  • 市販車
    • VMAX
    • ベンチャーロイヤル
    • ロイヤルスター
    • RZV500R - 2ストロークエンジン搭載モデル。ただし前後バンクでクランクを共有しない2軸型V4、つまりクランクシャフトが2本存在するので、2つのバンク間に角度の付いた4気筒U型エンジン(直列二気筒エンジンが2機V型に接合された形式)といえる。ボディにV4のロゴが書かれていた。
  • 競技専用車
    • YZR500 - 2ストロークエンジン搭載。ロードレース世界選手権(GP500)参戦用モデル。これも2軸型V4エンジン。
スズキ
  • 市販車
    • GV1400カバルケイド - 水冷1,400cc、フェアリング装着のクルーザー。
  • 競技専用車
    • GSV-R - ロードレース世界選手権(MotoGP)参戦用モデル。
    • RGV-Γ - 2ストロークエンジン搭載。ロードレース世界選手権(GP500)参戦用モデル。スクエア4から発展したもので、ヤマハと同様の2軸型V4。
ドゥカティ
L型2気筒からならい、L型4気筒と呼ばれている。
アプリリア

軍用車両での採用[編集]

陸上自衛隊73式装甲車およびその派生車両はV型4気筒エンジン(三菱重工業製4ZF 2ストロークターボディーゼルエンジン)を搭載しているが、これは世界に類を見ないもので、同車のような大型の装甲戦闘車両へV型4気筒エンジンが採用されることは極めて稀である。4気筒程度の気筒数のエンジンではV型にするメリットがないためである。73式装甲車へのV型4気筒エンジンの採用は、74式戦車用の10ZFや75式自走155mmりゅう弾砲用の6ZFなどとエンジンの基本設計を共通とした結果であり、V型4気筒であること自体に必然性があったわけではない。

小型軍用車両においても珍しいことに変わりはなく、アメリカ海兵隊で使用されていたM422小型トラックに空冷V型4気筒ガソリンエンジンが装備されていたのが数少ない例である。