水平対向16気筒

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ポルシェが開発した水平対向16気筒エンジン

水平対向16気筒(すいへいたいこうじゅうろっきとう)はレシプロエンジン等のシリンダー配列形式の一つで、16個のシリンダーが8個ずつ水平に対向して配置されている形式である。当記事では専らピストン内燃機関のそれについて述べる。英語圏ではフラット16 (Flat-Sixteen) とも呼ばれる。

このエンジンは6気筒以下のフラットエンジンの多くが採用しているボクサー型ではなく、クランクピン1本につき2本のコンロッドを持つため、180度V16とも呼ばれていた[1][2]

フラット16エンジンは、V16エンジンに比べて一般的ではなく、フラット16配置を採用したレース用試作エンジンは2、3台しかない。

ひとつはイギリスのエンジン製造メーカーであるコヴェントリー・クライマックス1963年から1965年に掛けてF1用の1.5リッター水平対向16気筒エンジン「FWMW」(2.13 x 1.60" 220/225 bhp @ 12,000 rpm 2 valve/cyl (209 bhp measured))を開発した[3]ブラバムロータスは実際にこのエンジンを搭載するためのシャーシを開発していたが、当時の現行エンジンであったクライマックスV8エンジンの採用と開発が優先され、選手権に投入されることはなかった[4][5][3][6]

また、スポーツカーレースの分野では、1971年にポルシェが北米のCan-Amシリーズに参戦するポルシェ・917においてツインプラグ形式の水平対向16気筒を開発した[7]。このプロジェクトは中止され、1972年のポルシェ917/10Kは、ポルシェの既存のフラット12エンジンをターボチャージしたものを搭載した[8]

出典[編集]

  1. ^ Coventry Climax FWMW Engine”. Stanford Digital Repository. 2021年8月31日閲覧。
  2. ^ Exclusive: Porsche to run sixteen cylinder engine at Goodwood (Video) (英語). 17 July 2014. 2017年12月12日閲覧
  3. ^ a b Climax flat - 16” (英語). www.motorsportmagazine.com (2014年7月7日). 2019年10月14日閲覧。
  4. ^ This Coventry Climax flat-16, 1.5-liter GP engine schematic is awesome”. www.roadandtrack.com (2013年8月2日). 2019年10月14日閲覧。
  5. ^ 'Sweet but unsung Sixteen', (2014). Retrieved 19 April 2017 from Motor Sport Magazine website.
  6. ^ 'Climax, an engine to be proud of', (n.d.). Retrieved 19 April 2017.
  7. ^ Sweet sixteen - 16-cylinder Porsche motor” (英語). www.drive-my.com. 2019年10月14日閲覧。
  8. ^ Why The 16-Cylinder Is The Most Mythic, Tragic Engine”. www.jalopnik.com. 2019年10月14日閲覧。

関連項目[編集]