オーディン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
オーディン (Oden, Odin) は、北欧神話の主神(最高神)。戦争と死の神であり、魔術の達人とされている。詩文の神でもあり吟遊詩人のパトロンでもある。知識に対して非常に貪欲な神であり、知識を得るためならばどんな犠牲も惜しまない。
なお、「オーディン」は古ノルド語名オージン (Óðinn) の英語への転写形であり、アングロサクソン人に信仰されていた時代の本来の古英語形はウォーデン (Woden)。現代英語にもウォウドゥン(Woden またはWodan)として引継がれている。また、ドイツ語では ヴォーダン (Wodan) もしくはヴォータン (Wotan) という。
目次 |
[編集] 概要
絵画などでは、片目が無く、長い白髭を持った老人で、つばの広い帽子を被り、グングニルという槍を持った姿で表される。
世界樹ユグドラシルの根元にある泉の水を飲むことで知恵を身に付け、魔術を会得する。片目はその時の代償として失ったとされる。
また、オーディンは、ルーン文字の秘密を得るために、ユグドラシルの木で首を吊り、グングニルに突き刺されたまま、九日九夜、自分を最高神オーディンに捧げたという(つまり自分自身に捧げた)。このときは縄が切れて助かった。この逸話にちなんで、オーディンに捧げる犠牲は首に縄をかけて木に吊るし槍で貫く。
神々の世界にあるヴァーラスキャールヴの館に住み、高座フリズスキャルヴに座り、世界を見渡している。
グラズヘイム にあるヴァルハラという宮殿に、戦死した勇者(エインヘリャル)をヴァルキリーによって集め、世界の終わりの戦い(ラグナロク)に備えて大規模な演習を毎日行わせるという。ヴァルハラでの戦いにおいては、敗れた者も日没とともに再び甦り、夜は大宴会を開き、翌日にはまた戦を行うことができるとされる。
愛馬は八本足の戦馬スレイプニル。フギン(=思考)、ムニン(=記憶)という2匹のワタリガラスに、世界中を飛ばせてさまざまな知識を得ているという。また、足元にはゲリ(=貪るもの)とフレキ(=飢えるもの)という2匹の狼がおり、戦死者を食らうという。
最後は、ラグナロクにて、ロキの息子である巨大な狼フェンリルによって飲み込まれる結末となってしまう。
エインヘリャルにするためにしばしば英雄を死なせることと、魔術の達人であることから、ヘルメス、メルクリウスと同一視される。多くのゲルマン語派の言語で、水曜日を「オーディンの日」という意味のWednesday(英語)、Wotanstag(ドイツ語ーただし常用はされていない)、woensdag(オランダ語)、onsdag(ノルウェー語、スウェーデン語)と呼ぶのはこのためである(ローマ暦では水曜日が「メルクリウスの日」であることから)。
タロットカードの大アルカナXII「吊された男」は、オーディンを描いたものだという解釈もある。
また、トールと口論した渡し守ハールバルズの正体は変装したオーディンである。
[編集] オーディンの呼称
オーディンは多くの呼び名を持っている。 その呼び名としては、以下のものが挙げられる。
- 詩の神
- 戦神
- 魔術と狡知の神
- 死と霊感の神
- 戦死者の父(ヴァルファズル)
- 偉大で崇高な神(フィムブチュール)
- 叫ぶ者(フロプト)
- 語る者(フロプト)
- 高き者(ハーヴィ)
- 禍を引きおこす者(ベルヴェルク)
- 知恵者
- フロプタチュール
- 軍勢の父
- 恐ろしき者(ユッグ)
- 勝利を決める者(ガグンラーズ)
- 仮面をかぶる者(グリームニル)
- 人間の神(ヴェラチュール)
- 兜をかぶれるもの(グリーム)
- 旅路に疲れたもの(ガングレリ)
- 兜をつけたもの(ヒァームベリ)
- 第三のもの(スリジ)
- わきかえるもの・海?(スンド)
- 波(ウズ)
- 戦士の目をくらますもの(ヘルブリンディ)
- 片眼のもの(ハール)
- 真実のもの(サズ)
- 姿を変えるもの(スヴィパル)
- 真実をおしはかるもの(サンゲタル)
- 軍勢の名で快く感じるもの(ヘルテイト)
- 突くもの(フニカル)
- 突くもの(フニクズル)
- 片眼を欠くもの(ビレイグ)
- 焔の眼をせるもの(バーレイグ)
- (蜜酒を)隠すもの、守るもの(フィヨルニル)
- 誘惑に長じたもの(グラプスヴィズ)
- 途方もなく賢いもの(フィヨルスヴィズ)
- 眼深に帽子をかぶったもの(シーズヘト)
- 長髯の者(シーズスケッグ)
- 戦の父(シグフェズル)
- 馬にのって突進するもの(アトリーズ)
- 船荷の神(ファルマチュール)
- 顔をかえることのできるもの(イヤールク)
- 船人(キャラル)(橇を引くときは)
- 促進者(スロール)(民会のときは)
- 滅ぼす者(ヴィズル)(戦では)
- 望むもの(オースキ)(神々のところでは)
- 最高のもの(オーミ)(神々のところでは)
- 同じように高きもの(ヤヴンハール)(神々のところでは)
- 盾をふりまわすもの(ビヴリンディ)(神々のところでは)
- 魔法の心得あるもの(ゲンドリル)(神々のところでは)
- 槍をもつもの(スヴィズル)
- 槍をもつもの(スヴィズニル)
- 目覚めたるもの(ヴァク)
- 高座につくもの(スキルヴィング)
- さすらうもの(ヴァーヴズ)
- 生贄に決められたもの(ガウト)
- 灰色の髯(神々のところでは)
- 灰色の鬚(ハールバルズ)(渡守に身を変えたオーディン)
- 戦の狼(ヒルドールヴ)
- ヴィズリル
- 勝利の父
- シーズグラニ
- 万物の父(アルファズル)
- 盲目(ブリンド)
- フリニカル
- 分捕品をつくる者(フェング)
- 攻撃者
- 疾駆する者
- 試す者
- 片眼の英雄(ハール)
- 知を欲す者
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク

