レーヴァテイン
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レーヴァテイン (古ノルド語:Lævateinn[1]、資料によっては Hævateinn[2]と表記されている) とは、北欧神話に登場する武器である。
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[編集] 伝承
レーヴァテインはエッダ詩の一つ『フィヨルスヴィズの歌』(en:Fjölsvinnsmál) に登場する(この詩は『王の写本』には含まれていないが、その形式・成立年代から古エッダに分類されている。また別の詩『グロアの呪文』(en:Grógaldr) とともに一つにまとめられ、『スヴィプダーグの歌』(en:Svipdagsmál) と呼ばれることもある)。この物語の主人公スヴィプダーグ(Svipdagr[1]、スヴィプダグとも)はメングラッド (Menglöð[1]) という女性を探し求めており、あるときムスペルヘイムの砦の前にいる巨人フィヨルスヴィズ(Fjölsviðr[1]、フィヨルスヴィドとも)に謎掛けをされる。レーヴァテインはこの巨人の謎掛けの中に言及されるのみである。
レーヴァテインはロキがニヴルヘイムの門でルーンを唱えて作りあげたとされている。その後レーギャルンの箱(古ノルド語:segjárnskeri[1]、英語:Lægjarn's chest[3])に入れられ、9つの鍵を掛けた上でスルトの妻シンモラ(Sinmöru[1]、シンマラとも)に預けられた。
| 26. Tell me, Fiölsvith! etc. / whether there be any weapon, / before which Vidofnir may / fall to Hel´s abode? | 教えてくれ、フィヨルスヴィズ! ヴィゾフニルをヘルの住処に撃ち落とす武器があるのか? |
| 27. Hævatein the twig is named, / and Lopt plucked it, / down by the gate of Death. / In an iron chest it lies / with Sinmoera, / and is with nine strong locks secured. | その枝はレーヴァテインと呼ばれ、ロプトが死の扉の下で摘み取ったものだ。シンモラが持つ鉄の箱に収められ、そして9つの丈夫な鍵で固く締められている。 |
| (en:Lævateinn(15:46, 30 July 2007 UTC の版)より引用。英訳はベンジャミン・ソープ(en:Benjamin Thorpe)によるものという(引用元リンク)。改行は「/」(斜線)で表した。) |
スヴィプダーグが砦に入るためには、世界樹ユグドラシルの天辺に住む雄鶏ヴィゾフニルの肉が必要であり、レーヴァテインのみがヴィゾフニルを殺すことができる。しかしシンモラからレーヴァテインを貰うためには、そのヴィゾフニルの尾羽が必要だという。なお、その詳細は不明だが、ヴィゾフニルはスルトとシンモラに大きな悲しみをもたらすとされている。
[編集] 名前
その意味を直訳すれば「災いの枝」となる。「Læva-」は「破滅、災厄」を意味し、「-teinn」は「枝、杖」を意味する。
レーヴァテインを取り上げている日本語の書籍では、それぞれ
- 『北欧神話物語』(K.C.ホランド、山室静・米原まり子訳) - 「傷つける魔の杖」[4]
- 『Truth In Fantasy VI 虚空の神々』(健部伸明と怪兵隊) - 「害なす魔の杖」[5]
- 『魔法の道具屋』(Truth In Fantasy 編集部) - 「害をなす魔法の杖」[6]
の意味だとされている。
またケニングの一つに「○○の枝」で「剣」を意味するというものがあり、レーヴァテインは剣であるとされることが多い。
日本ではしばしばレーヴァティン、レヴァンティン、レーヴァンテインなどのカタカナ表記が用いられるが、後者2つに関しては原語表記を見る限り正しいとは言えない(単語の中ほどに本来は無い/ん/の音素が入っている)。
[編集] スルトの剣との同一視
特に日本において、レーヴァテインを「スルトがラグナロクの時にふるう炎の剣」(詳細はスルトの項を参照)と同一視する傾向がある。たとえばエンターテイメント系の一般書『Truth In Fantasy VI 虚空の神々』(1990年)では、ラグナロクの解説部分でスルトが持つ炎の剣に触れ、その脚注でレーヴァテインを紹介し、「もしかしたらこのレーヴァテインが、スルトのもつ炎の剣なのかもしれません」と述べている[7]。また『虚空の神々』と同じ出版社から出された、これも同じくエンターテイメント系の一般書『魔法の道具屋』(1992年)では、上記の出自を紹介した上で、「世界をまるごと焼き尽くすという究極の武器」「ラグナレクでスルトが世界を焼き払う剣は、おそらくはこのレーヴァテインである」としている[8]。
しかし『フィヨルスヴィズの歌』の中では、レーヴァテインがスルトの炎と同じであるとは明言されていない。
このように日本ではレーヴァテインに「世界を滅ぼす剣」というイメージが付加されているためか、いくつかの創作において強力な武器の名前として用いられている(レヴァンティンを参照)。
[編集] フレイの剣との同一視
スウェーデンの作家ヴィクトル・リュードベリ (en:Viktor Rydberg) は、著書『ゲルマン神話』(未邦訳。この書籍は神話の採録・翻訳ではなく、彼の手による神話の翻案・再構成という側面が強い)の中で、スヴィプダーグとスキールニルが同一人物であると考え、レーヴァテインとガンバンテイン、さらにはフレイの剣(彼はこれを「勝利の剣」と読んでいる)が同一のものであると主張した。リュードベリによると、レーヴァテイン(ガンバンテイン)は鍛冶屋ヴェルンド (en:Wayland Smith) (リュードベリはイヴァルディの息子たちの一人だと主張する)が、彼らが鍛えた宝物(グングニルなど)がブロックとエイトリの鍛えた宝物(ミョルニルなど)に負けたことを受け、ミョルニルを超えるものとして鍛えた剣であるという。
[編集] 脚注
[編集] 出典
- K.C.ホランド、山室静・米原まり子訳、『北欧神話物語』(ISBN 978-4791751495)、青土社、1992年11月16日発行、新版第3刷(初版第1刷は1983年10月20日発行)、200-207,317-319ページ。
- 健部伸明と怪兵隊、『Truth In Fantasy VI 虚空の神々』(ISBN 978-4915146244)、新紀元社、1996年4月3日発行、第5刷(初版は1990年4月26日発行)、319,332ページ。
- Truth In Fantasy 編集部、『魔法の道具屋』(ISBN 978-4883172160)、新紀元社、1992年11月14日発行、初版、26ページ。
- Viktor Rydberg - Teutonic Mythology - Contents - ヴィクトル・リュードベリ『ゲルマン神話』の英訳版テキスト。
- Northvegr - Rydberg's Teutonic Mythology - ヴィクトル・リュードベリ『ゲルマン神話』の英訳版テキスト。

