シャールヴィ

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古エッダ』の、19世紀にスウェーデンで出版された版より。山羊に牽かれる箱車にトールと共に乗っているのはシャールヴィ、レスクヴァロキであろう。

シャールヴィ[1]古ノルド語: Þjálfi)は、北欧神話に登場するアースガルドの住人(人間)。スィアールヴィ[2]シアルフィ[3]シアルヴィ[4]、、チアルフ[5]チャールヴィ[1]シアールフィ[要出典]とも。なお詩人エイリーヴはシャールヴィ(チャールヴィ)を「ヴロスカの弟」というケニングで呼んでいる[1]

シャールヴィの実家は農家であった。トールロキウートガルズへの遠征の際に彼の家に立ち寄ったときにトールのヤギであるタングリスニとタングニョーストの肉を食べる機会を得る。その際、を損傷しないようトールから指示されたにもかかわらず、髄が好物だったため、骨を割ってを食べてしまい、ヤギの脚に障害を与えてしまう。それがトールの激昂を招くが、父母ともども謝罪する姿を見て彼は怒りを解き、シャールヴィが妹レスクヴァとともにトールの従者としてウートガルズへ赴くことで許した。これ以後、二人はずっとトールに付き従うこととなった。(『スノッリのエッダ』第一部『ギュルヴィたぶらかし』第44章による)[6]

俊足であるが、ウートガルザ・ロキによってフギ(ウートガルザ・ロキの思考)と競走をすることとなり、完敗を喫する。(『ギュルヴィたぶらかし』第46章による)[7]

また、トールがフレーセイという島で女性のベルセルクを斃した折には、鉄棒を振り回して反撃してくる彼女たちに追い払われてしまった。(『古エッダ』の『ハールバルズルの唄』第37-39節による)[8]

しかしながら、スカルド詩トール讃歌』においては、トールとシャールヴィが巨人ゲイルロズの館へ赴く途中、困難を乗り越えて海を渡った勇敢さが語られる。 また、巨人に囲まれても2人が敏速に逃れる様が描写される。

さらに、トールがフルングニルと決闘をした際には、フルングニルに駆け寄って「地中からトールが攻めてくるから楯を伏せたほうがいい」などと嘘を言い、まんまと彼を無防備にしてしまう。また、霜の巨人たちが応援のため差し向けた巨大な土人形、モックルカールヴィを破壊するなど、活躍ぶりを見せる。(第二部『詩語法』による)[9]

なお、この土人形破壊のエピソードについては次のような推論がある。すなわち、神話はしばしばとして上演されることがあり、この物語を上演する際にはフルングニルに見立てた土人形をトールに扮した神官が破壊する場面があって、それが神話をまとめる過程でシャールヴィの活躍として神話に入り込んだのではないか、という解釈である[10]

脚注[編集]

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  1. ^ a b c 『「詩語法」訳注』17頁
  2. ^ 『エッダ 古代北欧歌謡集』にみられる表記。
  3. ^ 『北欧の神話』にみられる表記。
  4. ^ 『北欧神話』(H.R.エリス・ディヴィッドソン、青土社、1992年)にみられる表記。
  5. ^ 松村武雄編著『世界神話伝説大系 29 北欧の神話伝説(I)』(名著普及会、1980年改訂版)122頁にみられる表記。
  6. ^ 『エッダ 古代北欧歌謡集』260-261頁。
  7. ^ 『エッダ 古代北欧歌謡集』264頁。
  8. ^ 『エッダ 古代北欧歌謡集』72頁。
  9. ^ 『「詩語法」訳注』24-27頁。
  10. ^ 『北欧の神話』66-67頁。

参考文献[編集]

関連項目[編集]