ラグナロク
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ラグナロク(古ノルド語:Ragnarøk (Ragnarök)、「神々の運命」の意)は、北欧神話の世界の終末の日(いわゆるハルマゲドン)のことである。
古エッダの『巫女の予言』、『フンディング殺しのヘルギ その2』、『アトリの言葉』、『バルドルの夢』では、本来の形である Ragna røk と綴られ、こちらは「神々の運命」と解される。
一方、13世紀のアイスランドの詩人スノッリ・ストゥルルソンの『エッダ』(通称『新エッダ』)および、古エッダの『ロキの口論』では Ragnarøkkr(神々の黄昏)と呼ばれる。スノッリの『エッダ』では、Ragnarøkr と綴られることもあるが、これも「神々の黄昏」と解される。ヴァーグナーはこれを Götterdämmerung とドイツ語訳して、自身の楽劇『ニーベルングの指環』最終章のタイトルとした。このため、日本でも「神々の黄昏」の訳語が定着している。
[編集] 概要
ラグナロクが起こる前にまず風の冬、剣の冬、狼の冬と呼ばれるフィンブルヴェト(恐ろしい冬、大いなる冬の意)が始まる。夏は訪れず厳しい冬が続き、人々のモラルは崩れ去り、生き物は死に絶える。
バルドル(バルデル)の死によって早められた、神族と巨人族の間に起こる世界終末戦争。太陽と月がフェンリルの子であるスコルとハティに飲み込まれ、星々が天から落ちる。大地と山が震え、木々は根こそぎ倒れ、山は崩れ、あらゆる命が巻き込まれ、あらゆる命が消える。ヘイムダルは、世界の終焉を告げる為に角笛ギャラルホルンを預けているミーミルの泉へ向かう。オーディンはミーミルの元へ駆けつけ、助言を受ける。
この日には全ての封印、足枷と縛めは消し飛び、束縛されていたロキやフェンリル、ガルムなどがアースガルドに攻め込む。ヨルムンガンドが大量の海水とともに陸に進む。その高潮の中にナグルファルが浮かぶ。舵をとるのは巨人フリュムである。ムスペルヘイムのスルトも立ち上がり、炎の剣を持って進む。前後が炎に包まれた彼にムスペルの子らが馬で続く。ビフレストは彼らの進軍に耐えられず崩壊する。
神々と死せる戦士たち(エインヘリャル)の軍は皆甲冑に身を固め、巨人の軍勢と、ヴィーグリーズの野で激突するオーディンはフェンリルに立ち向かうものの、すぐさまフェンリルに飲まれて死んでしまう。オーディンの息子ヴィーダルが、フェンリルの下顎に足をかけ、手で上顎を押さえてその体を切り裂き、父の仇を討つ。トールはヨルムンガンドと戦い、ミョルニルで殴りつけて倒すが、毒を喰らい相打ちに終わる。テュールはガルムと戦うが、ガルムが死に際にテュールの喉を噛み切り相打ち。ロキとヘイムダルも相打ちに倒れる。フレイはスルトと戦い善戦するも武器を持っていなかったため打ち倒される。
スルトの放った炎が世界を焼き尽くし、九つの世界は海中に没する。闘いの後、大地は水中から蘇りバルドル、ヘズは死者の国より復活する。オーディンの子ヴィーダル、ヴァーリ、トールの子モージ、マグニ、さらにヘーニルらも生き残り、新たな時代の神となる。彼らはかつてアースガルズのあったイザヴェルで暮らす。
天の南の端にあるギムレーという、太陽より美しく黄金より見事な広間は、天地の滅亡の時にも滅びずに立っている。ここに、永遠に、善良で正しい人が住むのである。ホッドミーミルの森だけが焼け残り、そこで炎からのがれたリーヴとリーヴスラシルという二人の人間が新しい世界で暮らしていくものとされている。ちなみにホッドミーミルの森とは世界樹ユグドラシルの別称であるとされる。太陽が狼に飲み込まれる前に産んでいた美しい娘が、母を継いでその軌道を巡り、新しい太陽となる。

