トール

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モルテン・エスキル・ヴィンゲ作「Tors strid med jättarne 」(1872年)
モルテン・エスキル・ヴィンゲ作「Tors strid med jättarne 」(1872年)

トールソールソア北欧神話における主要なの一柱。アース神族である。

雷の神にして北欧神話最強の戦神。農民階級に信仰された神であり、元来はオーディンと同格以上の地位があったようだが、戦士階級の台頭によってオーディンの息子の地位に甘んじた。北欧だけではなくゲルマン全域で信仰され、地名や人名に多く痕跡を残す。

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[編集] 名称

トール(Thor )はドイツ語読みで(英語読みではソア)、古ノルド語ではソール(Þórr )。ドイツ民話ワーグナーの歌劇ではドンナー(Donner )という名で登場する。

[編集] 概要

外見は赤毛の大男。性格は豪胆あるいは乱暴、なぜなら砥石(他の文献では火打石の欠けら)が頭に入っているため。武勇を重んじる好漢であるが、その反面少々単純で激しやすく、何かにつけてミョルニルを使っての脅しに出る傾向がある。しかしながら怯える弱者に対して怒りを長く持続させることはない。途方もない大食漢。武器は稲妻を意味するミョルニルといわれる槌。

神々の中では悪神ロキと最も仲がよかった。しかし、妻のシヴの自慢の金髪を彼に切られて丸坊主にされた時は怒りのままに彼を追い回した。その結果トールの怒りを治めるためにシヴのものと全く同じ金髪を小人に作らせると約束したことで小人の鍛冶勝負にまで発展して、神々は大切な宝具を手に入れた。なお、元凶にして功労者でもあるロキにとってはただ悪戯をしているだけなのであった。

最強の巨人フルングニルとの戦いで、頭に食い込んだ砥石の欠片による苦痛の叫びが雷光となる。トールはむず痒く、痛くて嫌でたまらなかった。そこでトールは、巫女グローア(en:Gróa)を呼び出した。彼女が魔法の歌を歌うと、砥石が抜け落ち始めた。痛みは完全に無くなり、もうすぐ石がなくなるだろうと思っていたトールは、お礼に彼女を喜ばしてやりたくなった。「お前の夫アウルヴァンディル(en:Aurvandil)は、生きているんだ。お前は死んでいると思い込んでいるけどね。俺が夫を助け出したのだ。しかも夫はヨトゥンヘイムにいたよ、あそこは危険極まりないからな。まぁそれはいいとして、もうすぐ夫が帰ってくるよ。」  これを聞いたグローアは喜びのあまり狂喜乱舞し、魔法の歌を忘れてしまった。したがってトールの頭の中には砥石が入っている。

雷、天候、農耕などを司り、力はアースガルズのほかのすべての神々を合わせたより強いとされる。フルングニルスリュムゲイルレズといった霜の巨人たちを打ち殺し、神々と人間を巨人から守る要となっており、エッダにも彼の武勇は数多く語られている。一方で姦策や計略に弱く、巨人ウートガルザ・ロキの宮廷に招かれた時は魔術にはまってしまい、飲み比べで杯(実は大海とつながっている)を飲み干せず馬鹿にされる、エリ(en:Elli)という老婆(実は『老い』の化身。神といえど寄る年波には勝てない。)との相撲に敗れるなど散々な目にあっている。しかし、娘のスルーズドワーフアルヴィースに結婚させられそうになると、朝まで次々に質問を出して答えさせ、アルヴィースに朝の光を浴びせて石にした。

ラグナロクにおいては大ヨルムンガンドに致命傷を与えるが、その勝利のあと「九歩退く」。これは一般に「大蛇の毒を受けていたために九歩下がった後に死んだ」と解釈されるが、「十分な手柄を立てたので退却した」との異説もある。

[編集] 家族

父にオーディン。母にヨルズ(en:Jörð)。妻にシヴヤールンサクサ。息子にモージマグニ、娘にスルーズ、シヴの連れ子のウル

[編集] 財産

トールの戦車を牽く二頭のヤギ。トールが空腹な時には彼らは食べられるが、骨と皮さえ無傷であればその2つから再び戦車を牽かせるために再生される。
二人の従者。
「打ち砕くもの」という意味をもつ鎚。トールハンマーとも呼ばれる。敵を倒す以外に、物や人を清める作用があり、しばしばトールは結婚式や葬式で、この槌を使用している。本来はその重い槌部分に見合う長い柄が付くはずであったが、ロキの妨害のせいで柄は短いままであり、少々バランスの悪いものとなっている。
力を倍加させる力帯。ミョルニルを振るうために必要。
ミョルニルを握るための鉄製の籠手。
トールの宮殿。

[編集] 関連

雷神であることからギリシア神話ゼウスローマ神話ユーピテルと同一視された。木曜日を意味する英語Thursdayドイツ語Donnerstag などは彼の名前に基づく。

北欧神話の軍神(古くは最高神)テュールとは別の神。

アメリカ軍の中距離弾道ミサイル「PGM-17 ソー」の名称はトールに由来する。ソーの発展型「ソー・デルタ」が後に人工衛星打ち上げ機として知られるデルタロケットとなった。

マーベル・コミックに、トール自らが戦う雷神ソー(「Thor」の英語読み)と言うヒーローが存在する。

[編集] トールの呼称

トールの呼び名としては

  • 雷神 
  • あらゆる神の首領
  • 戦車を駆る者 
  • 轟く者
  • 広くさすらうもの
  • ヴィーザルの身内、オーディンの子
  • ミズガルズの尊い守護者
  • 国土の神
  • ユッグの子  
  • フロールリジ 
  • 人間たちの友  
  • ヴェーオル  
  • 女巨人泣かし  
  • 巨人殺し
  • 山羊の主人  
  • モージの父  
  • ヴィングトール 
  • 大地の子

などが挙げられる。