サガ
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サガ(アイスランド語:saga、複数形:sögur、サーガとも)とは、中世晩期の主に12世紀から14世紀にかけて北欧で編纂された、散文形式の文学作品の総称である。エッダ(古エッダ・スノリのエッダ)が神話や英雄伝説を集めたものであるのに対し、サガは主にノルマン人の植民前後の歴史的な出来事を年代記風に記述したものである。しかし、中には英雄にまつわる伝説など、叙事詩的な内容を取り扱ったものもある。実際の歴史と比較すると、内容に矛盾も見られる。
サガという言葉は、アイスランド語で「語られたもの」を意味する言葉に由来する。
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[編集] 歴史
サガの多くは、12世紀から14世紀にアイスランドで編纂された。
1477年、クリストファー・コロンブスが大西洋の果ての情報を求め、アイスランドへ渡航し、アイスランド・サガを閲覧したという。
[編集] 分類
『ブリタニカ百科事典』では、「王のサガ」「伝説のサガ」「アイスランド・サガ」の3分類が挙げられている。すなわち、アイスランドで伝承された物語をアイスランド・サガ、ノルウェーに伝わる中世の物語を王のサガ、そして文学的要素を含め想像において書かれた物語を伝説のサガと呼ぶ。ヴァイキング時代のスウェーデンの族長について書かれたサガも存在する。
谷口幸男は、著書『エッダとサガ』や、『世界大百科事典』(平凡社刊)へ寄稿した「サガ」の項目において、ヤン・デ・フリースの分類に従ったとして、「宗教的学問的サガ」「王のサガ」「アイスランド人のサガ」「伝説的サガ」の4つに分類している[1]。また、その他の日本語のサガに関する文献も、多くはこのような4分類を行っている。
その他、『スカルド詩人のサガ』(森信嘉著)では「アイスランド人のサガ・家族のサガ」「同時代のサガ」「王のサガ」「サイッティル」「聖人のサガ」「伝説・いにしえの物語」「騎士のサガ」という7分類が[2]、『アイスランド・サガ 血讐の記号論』(J.L.バイヨック著)では「王のサガ」「古代のサガ」「騎士のサガ」「虚構のサガ(伝説のサガ)」「司教のサガ」「一族のサガ」「ストゥルルングのサガ」の7分類がなされている[3]。ただし、いずれもサガの分類を主眼に置いた記述ではなく、サガについて論ずる前置きとしての分類が試みられている。
[編集] 代表的なサガ
[編集] 王のサガ
- 『ユングリング家のサガ』 (Ynglinga saga) - ヘイムスクリングラに収録されているサガの一つ。
- 『アイスランド人の書』 (Íslendingabók)
- 『ノルウェー史』 (Historia Norwegiæ)
- 『クニートリンガ・サガ』 (en:Knýtlinga saga) - ハーラル1世から12世紀までのデンマークの支配者に関するサガ。
- 『オーラブ・トリグヴァソンのサガ』 (Óláfs saga Tryggvasonar) - ノルウェー王オーラヴ1世に関するサガ。
- 『聖オーラヴのサガ』(Ólafs saga helga) - オーラヴ2世“聖王”に関するサガ。
- 『ハーコン・ハーコナルソンのサガ』 (Hakonar saga Hakonarsonar) - ホーコン4世に関するサガ。ストゥルラ・ソルザルソン (en:Sturla Tordarson) の作。
- 『ヨームのヴァイキングのサガ』 (Jómsvíkinga saga) - ヨームのヴァイキング (en:Jomvikings) に関するサガ。
- 『ファグルスキンナ』 (Fagrskinna)
- 『モルキンスキンナ』 (Morkinskinna)
[編集] 伝説のサガ
- 『ヴォルスンガ・サガ』 (Völsunga saga) - ニーベルンゲン伝説(ニブルング伝説、en:Nibelung、de:Nibelungensageなども参照)に関するサガ。
- 『ユングヴァルのサガ』 (Yngvars saga víðförla)
- 『フリシオフのサガ』 (Frithiof's Saga)
- 『ガウトレクのサガ』 (Gautreks saga)
- 『勇士殺しのアースムンドのサガ』 (Ásmundar saga kappabana) - ヒルデブラントの伝説にも関わる物語。
- 『ヘルヴォルとヘイズレク王のサガ』 (Hervarar saga ok Heiðreks) - ティルヴィングに関する物語。
- 『ボーシとヘラルドのサガ』 (Bósa saga ok Herrauðs)
- 『ラグナル・ロズブロークのサガ』 (Ragnars saga loðbrókar) - ラグナル・ロズブローク (en:Ragnar Lodbrok) と彼の息子たちの生涯を描く。
- 『フロールヴ・クラキのサガ』 (Hrólfs saga kraka) - デンマークの伝説的な王フロールヴ・クラキ (en:Hrólfr Kraki) に関するサガ。
[編集] アイスランド・サガ
『エッダとサガ』や『アイスランド・サガ』(いずれも谷口幸男著)では、以下の5つの長編サガが「五大サガ」として挙げられている。
- 『エギルのサガ』 (Egils saga)
- 『ニャールのサガ』 (Njál's saga)
- 『ラックス谷の人々のサガ』 (Laxdœla saga)
- 『エイルの人々のサガ』 (Eyrbyggja saga)
- 『グレティルのサガ』 (Grettis saga)
他にも、以下のようなサガがある。
- 『コルマクのサガ』 (Kormáks saga)
- 『赤毛のエイリークのサガ』 (Saga of Eric the Red)
- 『グリーンランド人のサガ』 (Grœnlendinga saga) - ヴィンランドへの5回に渡る旅が描かれている。
- 『スールの子ギースリのサガ』 (Gísla saga Súrssonar)
- 『フレイル神ゴジ・フラヴンケルのサガ』 (Hrafnkels saga Freysgoða)
- 『ヒータル谷の勇士ビョルンのサガ』 (Bjarnar saga Hítdœlakappa) - オッドニューという女性をめぐる、詩人ソールズとビョルンの争いの話。
- 『蛇舌のグンラウグのサガ』 (Gunnlaugs saga ormstungu)
- 『みずうみ谷のサガ』 (en:Vatnsdœla saga) - 『ヴァトン谷のサガ』とも。
- 『めんどりのソーリルのサガ』 (Hænsna-Þóris saga)
[編集] その他のサガ
- 『シズレクのサガ』 (Þiðrekssaga) - 『シドレクスサガ』とも。「騎士のサガ」 (Chivalric sagas) に分類されている。ディートリッヒ (de:Dietrich von Bern) の活躍を描き、シグルズ(ジークフリート)の伝説やヴェルンドへの言及も見られる。
- 『ギュータサガ』 (Gutasaga)
- 『植民の書』 (Landnámabók) - 『入植の書』とも。
- 『キリスト教のサガ』 (Cristni saga)
- 『ストゥルルンガ・サガ』 (Sturlunga saga) - ストゥルルング一族 (en:Sturlungar family clan) に関するサガ。
- 『フェロー諸島の人々のサガ』 (Færeyinga Saga)
- 『オークニー諸島人のサガ』 (Orkneyinga saga)
[編集] 脚注
[編集] 参考文献
- 谷口幸男 『エッダとサガ 北欧古典への案内』 新潮社、1976-03-15。ISBN 978-4106001826。
- 28篇のサガの概説が載っている。
- 谷口幸男 『アイスランド・サガ』 新潮社、1979-09-25。ISBN 978-4103137023。
- 上記五大サガと『ヴォルスンガ・サガ』が収録されている。
- 山室静 『北欧文学の世界』 弘文堂、1959-01-15。ISBN 978-4486007937。
- 二十数篇のサガの概説が載っており、また附録として『めんどりのトーレ記(めんどりのソーリルのサガ)』『氷島改宗記(キリスト教のサガ)』『西氷島のオードウンの話』の3篇が収録されている。
- 森信嘉 『スカルド詩人のサガ コルマクのサガ/ハルフレズのサガ』 東海大学出版会、2005-09-05、初版第1刷。ISBN 978-4486016960。
- J. L. バイヨック 『アイスランド・サガ 血讐の記号論』 柴田忠作訳、東海大学出版会、1997-06-20、初版第1刷。ISBN 978-4486014089。
- ペーテル・ハルベリ 『北欧の文学 古代・中世編』 岡崎晋訳、鷹書房、1990-09-30、初版。ISBN 978-4803403732。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク

