未来時制

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未来時制(みらいじせい)とは、言語未来の行為、現象、状態等を表現する時制。時制のある言語でも現在時制と未来時制の区別のない言語も多く、その場合には合わせて非過去時制という。逆に未来時制と非未来時制からなる言語もある(ケチュア語など)。

未来は本質的には確定したものではなく、関係する概念として予定、推量、意志・希望、命令・勧誘、当然、当為・義務、可能など(これらは言語学上はに当たる)がある。言語によってこれらを未来時制で表現したり、表現し分けたり、また別の形式で表現したりする。

過去から見た未来を表現する時制は過去未来時制という。これについては現実と異なる場合もあり、直説法ではなく条件法現在形として扱われることもある。

英語[編集]

英語では未来表現として一般に法助動詞のwillまたはshallを使う。ただし単純な現在形で確定的未来を表現する場合もあり、基本的には非過去時制といえる。willは歴史的には主語の意志・希望を表現する動詞であったが、現在では未来を表す助動詞として普通に用いられる。shallは歴史的には当然・当為を表し(過去形のshouldは今でもこの意味で用いることが多い)、現在は一般に話者の意志を表すが、アメリカ英語では使用頻度が低く、特殊な用法に限られている。さらにその他の法助動詞may、might、canなども未来の事態を指示するのに使える。

このほか未来表現としてbe going to + 原形動詞が口語でよく使われる。また現在進行形や be to +原形動詞も予定を表すのに使われることがある。

ドイツ語[編集]

ドイツ語では一般に助動詞werdenにより未来を表現するが、これは推量の意味が強く、基本的には非過去時制である。Werdenには「なる」の意味があり、助動詞としては動詞の不定詞とともに使うと未来、過去分詞とともに使うと受動態を表現する。

ラテン語とロマンス語[編集]

ラテン語では未来時制が動詞の活用形として存在する(完了形と未完了形に分かれる)。ラテン語から派生したロマンス語にも未来時制があるが、ラテン語の未来形がそのまま残ったわけではない。俗ラテン語では動詞の不定形の後に所有動詞habereの活用形をつけた形(形式上は英語で義務を表す"have to"に当たる)が発達し、ロマンス語(ルーマニア語などを除く)ではhabere部分が接尾辞化して未来語尾となった。同様にhabereの過去形または完了形が過去未来(条件法)語尾となった。

日本語[編集]

日本語には未来時制はなく、非過去時制言語である。未来を表すには、古語では助動詞「む」(否定は「じ」「まじ」)が使われたが、これは基本的には未来ではなく推量の用法であり(現在については「らむ」、過去については「けむ」という)、さらに意志や勧誘も含む広い機能があった。「む」に由来する中世以降の「う・よう」(否定「まい」)は現在・過去をも含めた推量と意志・勧誘の機能がある。現代語の「だろう」は推量用法だけが独立したものであるが、やはり時制を表すものではない。

朝鮮語[編集]

朝鮮語には未来時制がある(接辞-겠-、連体形語尾-ㄹ)。ただし未来接辞-겠-は未来表現よりも推量や婉曲の意味で使われることが多い。

関連項目[編集]