説話

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説話(せつわ)は、近代に造語された言葉で、明瞭な概念規定なしに国文学民俗学民族学神話学などの領域で使用される。広義には、古くより伝承されて来た物語一般を意味する。しかし狭義には、民話昔話)、伝説を指す。また、民話と同義の意味で使用されることもある[1]

ここでは狭義の意味の説話を説明する。

ドイツ語メルヘン/メルヒェン(Märchen)、英語フェアリーテイル(fairy tale)を含んでいる。メルヘンは、スティス・トンプソン以降、英語圏でもよく使われるようになった。

特徴[編集]

説話の多くはもともと口承文芸である。地域・言語によっては、ある時代から書き言葉で残されるようになったものもある。現代では出版されて活字で残されるようになったものも多い。西洋の『ペンタメローネ(五日物語)』や『グリム童話』なども、口伝に取材して後年にまとめられたものの一例である。

また、口承の場合は地域や時代によって細部に異同が多い。語られるたびに内容が僅かに異なっていても、聞き手はそれを同一の物語として受け取っている点にも特徴がある。

昔話・伝説・世間話の違い[編集]

口承文芸は無文字時代から存在し、一般に、昔話伝説世間話などの民話、新語作成、新文句(新句法)、諺、謎、唱え言、童言葉、民謡、語り物などに分類される。

このうち、昔話には、発端句(「むかし」を含むものが多い)と結句(「どっとはらい」など)に代表される決まり文句がある。また、固有名詞を示さず、描写も最小限度にとどめ、話の信憑性に関する責任を回避した形で語られる。時代や場所をはっきり示さず、登場人物の名前も「」「」や、出生・身体の特徴をもとにした普通名詞的である。『桃太郎』は、「桃から生まれた長男」の意味しか持たない。

伝説は、同じ昔の話であっても、一定の土地の地名や年代など、その所在や時代背景が的確に示され、登場人物も歴史上の有名な人物やその土地の何と言う人物など、好んで詳細に示そうとし、定義において昔話との大きな相違点とされる。これらの事から、伝説には伝記風の態度と要素があるが、昔話はフィクション(創作)として語られている。しかし一部の土地では『炭焼き長者』や『子育て幽霊』などといった昔話が伝説化し、定着している例も挙げられる。

世間話は体験談や実話として語られる民話である。

昔話、伝説、世間話の違いを表にすると以下のとおりとなる。 [要出典]

種類 語られる人物・時・場所 語られ方 語り・話のかたち
昔話 不特定 事実かどうかわからない(おそらく事実ではない) あり
伝説 特定 少しは事実かもしれない(少しは信じてほしい) なし
世間話 事実である(信じてほしい)

歴史[編集]

おとぎ話の起源[編集]

狭義のおとぎ話(御伽話)は、太閤秀吉が抱えた御伽衆の語った面白話に起源があるとされる。御伽という風習そのものは別名・夜伽(=通夜)にもあるように、古くからある徹夜で語り明かす伝統に基づいている(庚申待)。その晩に話される話を夜伽話、転じて御伽話とされるに至った。

童話とメルヘン[編集]

大正時代に入ってきた「メルヘン」というドイツ語は「童話、またはおとぎ話」と訳されたので、昔話(おとぎ話)と童話が混同して使われた事もあった。

説話の種類[編集]

昔話や伝説などの民話、おとぎ話、広くは神話や仏教説話を含む。モチーフによって起源説話、神婚説話などと分類される。仏教説話のように啓蒙的な要素を持ったものもある。

また民俗学者柳田國男によって完形昔話、派生昔話に分ける分類法も提唱された。

民話・昔話[編集]

世界の多くの地域に特有の民話・昔話が残されている。お伽話とも言う。

説話文学[編集]

説話を集めた作品のことを「説話集」と言う。一種のアンソロジーである。文学性の備わったものを「説話文学」と呼ぶ。民間に伝わる話を知識層が文章に記述することよって生まれた。民俗学文学などの研究対象になる。日本文学では主に中古文学中世文学の頃栄えた。『日本現報善悪霊異記(日本霊異記)』のように仏教説話の性格が強いものもあるが、特に12世紀には幅広い題材に取材した『今昔物語集』のような説話集も生まれた。また、芥川龍之介が『今昔物語集』を題材にして『羅生門』『芋粥』『』などの小説を書くなど、近代以降の文学活動にも影響を与えた。日本の有名な昔話には例えば次のようなものがある。

参考文献[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 中村恭子「説話」、『宗教学辞典』 p.498。より

関連項目[編集]

外部リンク[編集]